(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の清掃シートについて図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
<清掃シート1>
本発明の清掃シート1は、
図1に示すように、清掃部7を形成しているシート構造体21からなる。
【0013】
(シート構造体21)
シート構造体21(21a)は、清掃部7を有する構造体であり、シート材2を備えるものである。ここでは、
図1の例に示すように、清掃シート1が1枚のシート材2でシート構造体21を構成している場合を例として説明を進める。
【0014】
(清掃部7)
清掃部7は、シート構造体21の表面22のうちの少なくとも一方の表面22aの所定領域を含む所定の部分として特定される。シート構造体21の全体が清掃部7となっていてもよい。清掃部7は、清掃シート1のうち清掃時に被清掃面の塵や埃の拭い取りに使用される部分であり、清掃シート1が後述するような台座16に取り付けられて清掃具15に使用される場合には、清掃シート1のうち、その清掃シート1が台座16に取り付けられた状態において台座16の底面19側に位置する部分である。
【0015】
シート構造体21において、清掃部7に、シート材2における少なくとも一部のスリット穴3が位置しており、塵や埃の拭い取り能力向上の点で好ましくは全てのスリット穴3が位置している。清掃部7は、シート材2における少なくとも一部のスリット穴3の形成された部分で特定される領域が少なくとも含まれるような部分として特定されることになる。なお、この場合、清掃部7内にスリット穴3が位置するのであるから、清掃シート1が台座16に取り付けられて清掃具15に使用される場合には、清掃シート1のスリット穴3が台座16の底面19側に位置することとなる。
【0016】
<シート材2>
シート材2は、シート原材23を引き伸ばしたものにスリット穴3を形成した構造を備えるものである。シート材2は、
図1や、
図3から
図8、
図10の例に示すように平面視矩形状に形成されていてもよいし、そのほか適宜形状に形成されてよい。
【0017】
(シート材2の材料)
シート材2の材料は、シート原材23の材料でもあるが、特に限定されず、紙、合成樹脂フィルム、不織布などを用いることができる。このとき、紙としては、エアレード等を挙げることができる。また、不織布が上記に挙げたほかの材料に比べて軽量性、強度、耐久性、接着性に優れる観点からは、シート材2は、不織布からなるシートであることが特に好ましい。
【0018】
シート材2が不織布である場合、不織布としては、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布等を用いることができる。不織布を構成する繊維は、天然繊維、合成繊維、複合繊維等を用いることができる。
【0019】
ただし、清掃シート1においてシート原材23の切れ目24を拡幅してスリット穴3を形成しやすくするためには、シート材2は、適度な変形のびを生じさせることの容易な材質からなるものであることが好ましい。また、
図2B,
図2Cのようにスリット穴3としてその側縁部4(4a,4b)に後述する立ち上がり部11を形成された構造を有するものを容易に調製するという観点からしてみても、シート材2は、適度な変形のびを生じさせることの容易な材質からなるものであることが好ましい。こうした点を考慮すれば、シート材2は、スパンレース不織布を用いられることが好ましい。また、清掃具で清掃を実施するにあたり、清掃シート1を台座にしっかりと固定する観点からは、シート材2の材質は、過剰なのびの生じにくい材質からなるものであることが好ましい。その場合には、清掃シート1において、シート材2は、スパンボンド不織布もしくはエアスルー不織布であることが好ましい。
【0020】
シート材2は、同一材質のもので形成されていてもよいし、部分的に材質を異にして形成されていてもよい。例えば、シート材2は、後述の取り付け部9となす部分を形成されてよい部分としての耳部29の取り付け部形成部30について、のびの少ない材質を用いて構成し、清掃部7となる部分に対応する部分について、のびを大きく形成可能な材質を用いて構成してもよい。
【0021】
(スリット穴3)
シート材2には、スリット穴3が所定のパターンで形成されている。スリット穴3の形成数は、特に限定されないが、清掃シート1に十分な塵や埃の拭い取り能力を確保する観点から、シート材2には、2以上のスリット穴3、通常は、多数のスリット穴3が好適に形成される。
【0022】
(スリット穴3の形状)
スリット穴3の形状は適宜選択可能である。スリット穴3は、
図1Bに示すような条状に形成されるほか、
図12Cに示すようなV字状などの屈曲部を有する細長状、
図9A,
図9Bに示すようなC字状、S字状などの湾曲部を有する形状、それら以外にも波型状等、適宜形状に形成されてよい。その他にも、スリット穴3は、分岐形状を有するものでもよい。したがって、スリット穴3は、
図9Cから
図9Hに示すように、十字形状のように4方向への分岐を有する形状(
図9C)、6方向への分岐を有する形状(
図9D)、8方向への分岐を有する形状(
図9E)、Y字状、T字状の形状など3方向への分岐を有する形状(
図9F,
図9G,
図9H)など適宜形状に形成されてよい。
図9に示すように、分岐点からスリット穴の延在端までの距離が同じ(
図9H)でも異なっていてもよい(
図9G)。スリット穴3の幅は、適宜設定可能であり、スリット穴3の延在方向に異なる位置において互いに同じくしていても異なっていてもよい。具体的に、
図9Cのスリット穴3を例にとって見た場合に、分岐点N0からスリット穴3のそれぞれの延在端N1,N2,N3,N4までの距離WLが互いに同じくされてよく、スリット穴3の幅について、スリット穴3の延在方向に異なる位置における幅W1、W2が互いに同じであってよい。さらに、スリット穴3の幅について、スリット穴3の延在方向に分岐点N0から延在端N1,N2,N3,N4に向かって幅狭になるように形成されていてもよい。すなわち、スリット穴3について、異なる位置における幅W1、W2について、幅W2のほうが幅W1よりも小さくなっていてもよい。なお、スリット穴3の幅は、向かい合う側縁部間の距離で特定される。
【0023】
また、スリット穴3の延在方向に沿った長さは、適宜設定可能であるが、スリット群5を形成可能な程度の長さに留められていることが好ましい。スリット群が、複数のスリット穴を並べて配置してなる後述のスリット列6を複数列形成してなる場合には、スリット穴3の延在方向に沿った長さは、スリット列6を複数列形成可能な程度であることが好ましい。
【0024】
なお、スリット穴3の延在方向とは、シート材2の厚み方向を法線とする平面に沿う方向であり且つスリット穴3の一方端部から他方端部に向かってスリット穴の延びる方向を示すものとする。また、スリット穴3が途中で折れ曲がっている形状である場合、屈曲位置で、延在方向が変化しているものとし、スリット穴3が一方端部から他方端部に向かって湾曲している形状である場合には、延在方向も湾曲に合わせて一方端部から他方端部に向かって変化しているものとする。また、スリット穴3が、十字形状など分岐を有する形状に形成される場合には、分岐点を基準としてスリット穴3の延在方向が特定されるものとする。具体的に、例えば、スリット穴3が十字形状に形成されている場合、クロス交差箇所を基準とした四方向が延在方向(
図9Cにおいては、分岐点N0を中心とし延在端N1、N2,N3,N4のそれぞれに向かう方向)として特定されるものとする。
【0025】
また、清掃シート1が、後述するように被清掃面に対して所定方向に移動させて使用される清掃具15の台座16に取り付けられるようなものである場合、清掃シート1に形成されるスリット穴3の延在方向が、台座16の移動方向を斜めに横切る方向となっていることが好ましい。清掃シート1が台座に取り付けて使用されるときに、スリット穴3が適度に開く状態を効率的に形成することができるようになる。
【0026】
1枚のシート材2内に形成される多数のスリット穴3は、
図1Bに示すように、互いに同形状に形成されている場合に限定されず、異なる複数種類の形状を組み合わせてもよい。例えば、隣り合うスリット列6に形成されるスリット穴3を見た場合に、スリット穴3の延在方向が互いに異なっているようにスリット穴3が形成されてもよい。
【0027】
(立ち上がり部11)
また、
図2B,
図2Cに示すように、シート材2に形成されるスリット穴3は、スリット穴3の延在方向に沿った側縁部4がシート材2の表面10から斜めに立ち上がって立ち上がり部11を形成している、ことが好ましい。このとき、
図2B,
図2Cに示すように、スリット穴3の延在方向に沿った互いに向かい合う両側縁部4,4について立ち上がり部11が形成されている、ことがより好ましい。
【0028】
スリット穴3の両側縁部4,4に立ち上がり部11が形成されている場合には、両側縁部4,4の立ち上がり方向は、互いに同じ向きであってもよいし、互いに逆むきであってもよい。なお、立ち上がり部11について両側縁部4,4の立ち上がり方向が同じ向きであるとは、スリット穴3の側縁部4aの位置でシート材2の表面10の一方面10a側に立ち上がって立ち上がり部11が形成されている場合では、
図2Cに示すように、スリット穴3の側縁部4bの位置でシート材2の表面10の一方面10a側に立ち上がって立ち上がり部11が形成されていることを示す。また、立ち上がり部11について両側縁部4の立ち上がり方向が逆向きであるとは、上記のようにスリット穴3の側縁部4aの位置でシート材2の表面10の一方面10a側に立ち上がって立ち上がり部11が形成されている場合では、
図2Bに示すように、スリット穴3の側縁部4bの位置ではシート材2の表面10の他方面10b側に立ち上がって立ち上がり部11が形成されていることを示す。
【0029】
立ち上がり部11は、スリット群5の一部のスリット穴3に形成されていてもよく、また、スリット群5において両側縁部4,4を同じ向きに立ち上がらせているスリット穴3と逆向きに立ち上がらせているスリット穴3とが混在していてもよいが、スリット群5を構成するスリット穴3全体について両側縁部4,4が互いに逆向きに立ち上がってなる立ち上がり部11,11が一様に形成されていることが好ましい。
【0030】
スリット穴3の両側縁部4,4の立ち上がり方向が互いに逆むきである場合には、次の点で利点が大きい。すなわち、スリット穴3がシート材2の面方向に開いて開口T1が形成されるのみならず、シート材2の厚み方向に両側縁部4,4の間で凹凸差T2も形成されて表面凹凸構造が形成され、スリット穴3の側縁部4端面を塵や埃に対してより効率的に接触させることができるようになり、塵や埃の拭い取り性能をより一層向上させることができる。
【0031】
(スリット群5)
シート材2は、多数のスリット穴3を形成してなるスリット群5を所定パターンで形成している。スリット群5は、少なくとも清掃部形成領域Rに形成される。ここに、清掃部形成領域Rは、シート材2の表面領域のうち清掃部7に含まれる領域として設定される。すなわち、シート材2の表面領域のうち所定の領域が、清掃部形成領域Rとして設定され、その領域にスリット群5が形成され、また、その領域が台座16の底面側に位置することになる領域となり、清掃シート1のうちその領域で区画特定される部分は、清掃シート1において清掃部7を構成する部分とされる。
【0032】
(スリット群5の形成パターン)
スリット群5の形成パターンは、適宜選択可能であるが、
図1Bの例で示すように、多数のスリット穴3を所定の方向に沿って1列に整列形成してなるスリット列6を、そのスリット列6の延びる方向(
図1ではY方向)に対して直交する方向(
図1ではX方向)に多数列を配して形成されるパターンであると、シート材2に多数のスリット穴3を所定の整列パターンに一様に配置することができて好ましい。なお、スリット列6の延びる方向は、スリット穴3の整列方向である。また、スリット列6の並び方向を、配列方向とする。
図1Bのスリット列6のパターンは一例であり、スリット列6の延びる方向は、Y方向に限らず、X方向とされていてもよい。なお、
図1B中、X方向及びY方向は、それぞれ、清掃シート1の厚み方向を法線とする平面上にX−Y2次元座標系を張った場合のX軸方向及びY軸方向を示す。このことは、
図3から
図8、及び、
図10においても同様である。
【0033】
(スリット列6)
スリット群5が複数のスリット列6を備える場合には、互いに隣り合うスリット列6,6は、スリット穴3をスリット列6の配列方向に見た場合に、
図1Bのようにスリット穴3の形成位置が並ぶように配置されてもよいし、また、
図13Aのようにスリット穴3の形成位置がずれた位置となるように配置されていてもよい。前者の場合には、スリット穴3がシート材2に格子状に配置され、後者の場合には、スリット穴3がシート材2に千鳥状に配置される。スリット群5が、一列に並ぶスリット穴3からなるスリット列6を、スリット穴3の形成位置がスリット列6の配列方向にも並ぶように整列配置して形成されている場合、清掃時に、どのスリット穴3も適度に開いた状態とすることが容易となって好ましい。また、隣り合うスリット列6,6は、
図1Bの例では、スリット列6,6同士互いに離れて形成されているが、
図14Aのように部分的に重なりあって形成されていてもよい。
図14Aのシート材2の例は、所定の2つのスリット列6,6が互いにスリット列6,6の延びる方向に沿って部分的に重なりあうとともに、その重なり合う部分で各スリット列6,6を構成するスリット穴3が交互に配置されているように構成されている。そして、このシート材2の例では、そのような部分的に重なりあうスリット列6,6の組み合わせが、所定間隔をおいて複数組形成されている。なお、このようなスリット列6,6の組み合わせは、
図14Bに示すように、間隔をおかずに複数組形成されていてもよい。この場合、スリット群5はメッシュ状のパターンに形成されうることになる。
【0034】
スリット列6の幅は、適宜設定可能であるが、清掃部7にスリット列6を複数列形成可能な程度であることが好ましい。
【0035】
<シート材2の製造方法>
シート材2は、次のように製造される。すなわち、
図1Aのようにシート原材23に所定のパターンで多数の切れ目24を形成してなる切れ目群25を設ける。次に、切れ目群25の形成されたシート原材23を、その厚み方向に対して交差する方向に引っ張ることで、引き伸ばす。
図1Aでは、例えば、互いに逆向きの矢印で示す方向Ts1と方向Ts2に、シート原材23が引き伸ばされればよい。シート原材23を引き伸ばす大きさは、適宜設定可能である。そして、この引き伸ばしが実施されたときに、切れ目群25を構成する少なくとも一部の切れ目24が引きのばされて拡幅され、貫通穴となる。その切れ目24の開口により拡幅形成された貫通穴が、スリット穴3をなす。シート材2が塵や埃の拭い取り能力に優れたものとなる点で、切れ目群25を構成する切れ目24の全体が開口してスリット穴3となることが好ましい。このとき、多数のスリット穴3が所定の位置にパターン形成されてスリット群5が形成される。
【0036】
なお、切れ目群25の形成されたシート原材23を引き伸ばす方向は、切れ目24ののびる方向を横断する方向が好適である。なお、切れ目24が平面視湾曲状である場合や、切れ目24が平面視折れ線状である場合、切れ目24が十字状などの分岐のあるものである場合のような、切れ目24の延びる方向が1方向でない場合には、切れ目24の両端部のうちいずれかの位置で特定される切れ目24の延びる方向が、シート原材23を引き伸ばす方向とされればよい。
【0037】
また、シート原材23を引き伸ばすにあたり、その引き伸ばし方向とシート原材23の伸び量とをシート原材23の材質に応じて適宜調製することで、スリット穴3の両側縁部4,4に立ち上がり部11をより確実に形成することができる。なお、スリット群5を形成する場合には、スリット群5をなす切れ目群25の形成パターンとしては、多数のスリット穴3を整列してなるスリット列6を複数列備えたパターンに対応した切れ目24の形成パターン、すなわち複数の切れ目24を整列形成してなる切れ目列26を複数列配列したパターンが選択されることが好ましい。この場合、スリット穴3を形成するための切れ目24が整列形成されることになるため、切れ目24を形成したシート原材23を所定方向に引き伸ばしたとき、いずれの切れ目24についても、伸び方向と各切れ目24の延在方向とのなす角の大きさを一様にすることができ、スリット穴3を一様に形成することが容易となる。
【0038】
<清掃シート1の効果>
図1の例に示す清掃シート1は、シート材2で構成される。この清掃シート1は、切れ目を引き伸ばされて形成されるスリット穴3を有するため、従来のような製造工程時の抜きカス付着の虞のないものである。したがって、この清掃シート1によれば、清掃時に被清掃面に抜きカスが付着してかえって被清掃面が汚れてしまうといった問題を生じる虞も抑制される。また、スリット穴3が形成されていることから、清掃時に、スリット穴3が適度に開いて塵や埃を効果的に拭い取ることが可能である。
【0039】
<清掃シート1の状態>
清掃シート1は、乾燥した状態で使用されてよいのみならず、所定の薬液をシート材2に含浸させて濡れた状態で使用されてもよい。薬液としては、清掃時に使用可能な薬液を適宜採用することができ、例えば、界面活性剤やアルコールなどを挙げることができる。
【0040】
<清掃シート1に追加されてよい構成>
(ヒートシール線27)
清掃シート1には、
図3A,
図3Bに示すように、シート構造体21を構成するシート材2の所定位置にヒートシール線27が形成されていてもよい。
【0041】
ヒートシール線27の形成方法は、シート材2にヒートシール線27を形成しようとする対象部分を加熱することで、その加熱部分がヒートシール線27となる。このヒートシール線27の形成部分は、シート材2の非加熱部分よりもコシの強い部分となり、また、
図3Bに示すように、非加熱部分よりも厚みの薄い部分となる。このように、シート材2にヒートシール線27が形成されると、シート材2は、コシと厚みを部分的に異ならせたものとなり、ヒートシール線27の形成された部分のコシの強さによってヒートシール線27の形成部分及びその周囲に過剰な変形に伴う型崩れが生じにくくなる。ヒートシール線27の形成部分又はその周囲にスリット穴3が形成されていると、そのスリット穴3の形状の過剰な変形の虞がより効果的に抑制される。また、ヒートシール線27の形成部分とその非形成部分とでシート材2の厚みが相違することで、シート材2の表面に凹凸段差28が形成されることとなり、清掃時に凹凸段差28とスリット穴3との両部位で被清掃面に付着した塵や埃がしっかりとかきとられ、清掃シート1における塵や埃の拭い取り性能をより向上させる効果を得ることができる。そして、このような効果をより高める点では、シート材2には、複数のヒートシール線27が形成されていることが好適であり、さらにスリット穴3を挟んでヒートシール線27(27a,27b)が形成されていることがより好適である。
【0042】
(耳部29及び取り付け部9)
清掃シート1には、
図1Bに示すように、シート構造体21における清掃部7の外側部分の所定位置に切れ込みが入れられて取り付け部9を形成してもよい。このとき、清掃部7の外側部分が耳部29をなす。耳部29は、取り付け部形成部30を有して構成されており、取り付け部形成部30は、清掃シート1を台座16に取り付ける際に台座16の上面側に巻き付けられて台座16の少なくとも上面に向かい合わせになる部分として特定される。また、このとき、耳部29の取り付け部形成部30に形成されることになる取り付け部9は、清掃シート1を台座16に取り付ける際の台座16の係止片に係止されて取り付け構造を構成する。
図1の清掃シート1の例では、シート構造体21における清掃部7は、シート材2のスリット群5の形成された部分として特定され、その清掃部7の外側部分として耳部29が特定され、耳部29に切れ込みが形成されて取り付け部9が形成されている。取り付け部9を形成する切り込みの形状及び形成数は特に限定さればいが、
図1の例では、切り込みは4箇所にそれぞれ十字型に形成されており、それぞれが台座16に取り付ける際の取り付け部9をなす。
【0043】
<シート構造体21の他の形態1>
上記では清掃シート1が1枚のシート材2でシート構造体21(21a)を構成している場合を例として説明したが、清掃シート1は、
図4A,
図4Bに示すように、重なりあう複数枚のシート材2(2a,2b)でシート構造体21(21b)を構成してもよい。
図4A,
図4Bでは、2枚のシート材2の積層構造でシート構造体21bを構成した場合を例示するが、3枚以上のシート材2が重なりあわされてなる3層の積層構造でシート構造体21を構成していてもよい。
【0044】
この場合、清掃シート1において、シート構造体21bは、清掃部7に、個々のシート材2a,2bに複数形成されたスリット穴3の少なくとも一部を位置させている。ただし、清掃部7には、個々のシート材2a,2bに複数形成されたスリット穴3で構成されるスリット群5の全体が位置されていることが、塵や埃の拭い取り能力向上の観点では好適である。このとき、清掃部7は、個々のシート材2a,2bにパターン形成された複数のスリット穴3で構成されるスリット群5の形成部分を含む所定の部分として特定されることになる。
【0045】
シート構造体21bにおいて、シート材2a、2bに形成されるスリット穴3のパターンは、特に限定されず、シート構造体21aの場合と同様に調製可能であるとともに適宜選択可能である。スリット群5の形成パターンについても、特に限定されず、適宜設定可能である。例えば、スリット群5のパターンは、一様なパターンでもよいし、隣り合うスリット列6に形成されるスリット穴3を見た場合に、スリット穴3の延在方向が互いに異なっているようにスリット穴3が形成されてなるパターンでもよい(
図12B)。また、スリット列6の配置についても、適宜選択可能であり、例えば、
図4Aのようにスリット穴3の形成位置がスリット列6の配列方向にならぶようにスリット列6が配置されていてよいし、
図13Bのようにスリット穴3の形成位置がスリット列6の配列方向にずれた位置となるようにスリット列6が配置されていてもよい。
【0046】
(シート材2の積層構造)
シート構造体21bにおいて、複数のシート材2は、適宜、互いに位置あわせされつつ重ね合わされて積層構造を形成する。このとき、シート材2におけるスリット穴3の相対的な位置関係は適宜設定されてよい。シート材2を重ね合わせた際のスリット穴3の位置関係を適宜設定することは、具体的に、シート材2のスリット穴3の形成パターン及びスリット群5の形成パターンを適宜設定することで実現可能である。例えば、シート材2を重ね合わせたときに、スリット穴3,3同士が重なりあうような位置関係となるようにシート材2にスリット穴3及びスリット群5がパターン形成されてよいし、スリット穴同士が交差するような位置関係となるようにシート材2にスリット穴3及びスリット群5がパターン形成されてよいし、スリット穴同士が交差しないような位置関係となるように互いにずれた位置に配置されるようにシート材2にスリット穴3及びスリット群5がパターン形成されてよい。なお、清掃シート1が、複数のシート材2,2を備える場合においては、上記したような3パターンの位置関係の中でも、
図4に示すように、スリット穴3,3が交差するような位置関係となるようにシート材2を積層してシート構造体21bが構成されることが、清掃時にスリット穴が適度に開いた状態とすることが容易となって好ましい。そこで、この場合について更に具体的に説明する。
【0047】
(シート材2の重ね合わせ)
図11A,
図11Bに示すように、清掃シート1のシート構造体21bにおいては、その平面視上、個々のシート材2(2a、2b)について、シート材2aに形成されたスリット群5aの少なくとも一部を構成するスリット穴3aと、シート材2aに対して向かい合わせに重なり合うシート材2bに形成されたスリット群5bの少なくとも一部を構成するスリット穴3bとが、互いに交差する。このとき、シート材2を構成する重なり合わさる複数のシート材2a,2bとしては、スリット穴3a、3bとで互いに交差する部分が生じるようなスリット群5を形成したものの組み合わせが選択されて、そのようなシート材2a、2bが相互に位置あわせされつつ重ね合わさる。
図4の例では、
図11Aに示すように、一方のシート材2aとして、所定方向を延在方向とする条状のスリット穴3aを多数形成してなるスリット列6aを複数列形成してなるパターンでスリット群5aを形成したものが選択されており、さらに、これに重なりあう他方のシート材2bとして、
図11Bに示すように、上記一方のシート材2aのスリット穴3aとは延在方向を異にする条状のスリット穴3bを多数形成してなるスリット列6bを複数列形成してなるパターンでスリット群5bを形成したものが選択されている。そして、そのようなシート材2a、2bがスリット群5a、5bの位置を合わせて重ね合わさることで、それぞれのシート材2a、2bに形成されたスリット穴3a、3bが互いに交差する。
【0048】
(スリット穴3の交差パターン)
清掃シート1のシート構造体21において、向かい合わせのシート材2a,2bのそれぞれに形成され互いに交差するスリット穴3a,3bは、清掃シート1の平面視上、清掃シート1の厚み方向を法線とする平面に平行な所定の軸を中心にして一方のシート材2aのスリット穴3aを反転させた形状と他方のシート材2bのスリット穴3bの形状とが重なるように形成されている、ことが好ましい。ここに、所定の軸を中心にして反転させた形状とは、スリット穴3aに対応する形状を軸周りに180度回転させた際に得られる形状である。例えば、
図4Aでは、清掃シート1の厚み方向を法線とする平面に平行な所定の軸としてスリット列6の配列方向(X軸方向)に沿って延びる直線Lを軸として想定する。シート材2aのスリット穴3aをこの直線Lを中心軸にして反転させると、このスリット穴3aに対して交差するシート材2bのスリット穴3bに重ねあわさることになる。
【0049】
図4Aの例では、互いに向かい合うシート材2a.2bにおいて、一方のシート材2aの1つのスリット穴3aに対して、他方のシート材2bの1つのスリット穴3bが交差するような交差パターンとなるように形成されている。清掃シート1において、スリット穴3の交差パターンはこれに限定されず、その他にも、
図12Aに示すように、一方のシート材2aの1つのスリット穴3aが、他方のシート材2bの複数のスリット穴3b,3bに対して交差するように形成されていてもよい。なお、この例では、シート材2a、2bのスリット穴3b,3bでスリット列6a、6bが形成され、シート材2aのスリット列6aが、シート材2bの隣り合うスリット列6b,6bの両方に対して部分的に重なっている。
【0050】
また、
図4のシート材2a,2bにおいて、一方のシート材2aの1つのスリット穴3aと、他方のシート材2bの1つのスリット穴3bとの交差位置が1箇所であるが、交差位置の数は、これに限定されず、
図12C、
図12Dなどに示すように、2箇所以上であってもよい。
【0051】
また、互いに交差するスリット穴3a,3bについて、両スリット穴3a,3bの交差位置で、清掃シート1の平面視上、一方のスリット穴3aの延在方向と他方のスリット穴3bの延在方向とのなす角度は、特に限定されない。
【0052】
(シート材2の重ね合わせ枚数)
清掃シート1のシート構造体21においては、すでに述べたように、シート材2を、
図4A,
図4Bに示すような2枚を重ね合わせる場合に限定されず、3枚以上を重ね合わせてもよい。ただし、この場合、互いに向かい合わせに重なり合うシート材2同士について、それぞれのシート材2に形成されたスリット群5のうちの少なくとも一部のスリット穴3同士が交差するように構成されることが、清掃時におけるスリット穴3の適切な開きの実現の点で、好ましい。
【0053】
(接合部8)
清掃シート1には、重なり合うシート材2,2同士が所定の部分で接合されて接合部8が形成されている。接合部8は、
図4Aの例では、シート材2の清掃部7の外側且つスリット列6の配列方向に外側所定の位置に、シート材2の側端縁に沿って条状に形成されている。清掃シート1において、接合部8は形成位置や形状は、
図4Aの例に限られない。たとえば、接合部8の形成位置については、隣り合うスリット列6の間の位置など、スリット群5の形成される清掃部7内の所定位置に形成されてもよいし、また、接合部8の形状についても、曲線状、破線状、点状、帯状、波形状など、適宜形状に形成されてよい。
【0054】
接合部8の形成方法としては、ヒートシールを用いた接合方法、接着剤による接合方法、超音波シールによる接合方法を挙げることができる。
【0055】
ヒートシールを用いた接合方法は、シート材2,2同士を接合しようとする対象部分を加熱し、その被加熱部分にてシート材2,2同士を貼り合わせるという方法であり、従前より公然知られたヒートシール機を用いて実現可能である。
【0056】
超音波シールによる接合方法は、シート材2,2同士を互いに接合しようとする対象部分に対して微細な超音波振動と圧力を加えることによってその対象部分を瞬時に溶融し、シート材2,2同士を対象部分で接合する方法であり、従前より公然知られた超音波シール機を用いて実現可能である。
【0057】
また、接着剤を用いた接合方法については、使用される接着剤としては、二液硬化型接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、エラストマー系接着剤、熱硬化樹脂系接着剤、瞬間接着型接着剤、ホットメルト型接着剤等を用いることでことができる。接着剤は、加熱・冷却による迅速な接着作業が可能である観点からはホットメルト型接着剤が好ましい。また、シート材2が不織布である場合、不織布内部への浸透性の良さの観点からは溶液型またはエマルジョン型の、熱可塑性樹脂系接着剤またはエラストマー系接着剤が好ましい。
【0058】
なお、シート構造体21bには、
図5A,
図5Bに示すように、シート構造体21aと同様に、所定の位置にヒートシール線27が形成されてよい。このとき、シート材2の積層構造体にヒートシール線27が形成されていることになる。また、この場合、シート構造体21bは、接合部8を複数箇所に形成するとともに、少なくとも一部の接合部8がヒートシール線27を兼ねるように形成されてよい。これは、接合部8が、
図5A,
図5Bに示すように、線状に形成され、且つ、シート材2のうち清掃部7に含まれる部分における上述のヒートシール線27に対応する位置に形成されることで、具体的に実現可能である。そして、このとき、シート材2における接合部8の構成がヒートシール線27を兼ねるように形成されていることになり、シート構造体21bは凹凸段差28を形成されたものとなる。
【0059】
<シート構造体21の他の形態2>
上記では、シート構造体21の形態として、シート構造体21がシート材2で形成される形態について説明し、さらに、シート構造体21が耳部29を有する場合について、清掃部7及び耳部29全体をシート材2にて形成する形態について説明したが、シート構造体21の形態は、これに限定されない。シート構造体21が耳部29を備えるものである場合に、
図6A,
図6Bのシート構造体21(21c)に示すように、シート材2とは別体で準備された耳部形成片31がシート材2に対して所定の位置で接合されて耳部29が形成されていてよい。この場合、耳部29の少なくとも一部が、耳部形成片31で形成されることになる。すなわち、
図6A,
図6Bに示す例では、清掃シート1を構成するシート構造体21cは、シート材2で構成される清掃部7と、その清掃部7の外側に耳部29を備えて構成されており、また、耳部29は、清掃部7の外側の所定部分にて、取り付け部形成部30,30を形成しており、その取り付け部形成部30,30をそれぞれ耳部形成片31、31で構成していることになる。
図6の例では、耳部29のうち、清掃部7の側端縁のうちY方向に延びる2つの側端縁(側辺)からX方向に沿って清掃部7の外側の部分を除いた部分が、取り付け部形成部30,30をなし、それらが耳部形成片31、31で構成される。なお、その耳部29の取り付け部形成部30を形成するそれぞれの耳部形成片31には、取り付け部9が形成されてよい。
【0060】
(耳部形成片31)
耳部形成片31は、その形状を、特に限定されずに適宜選択可能であるが、短冊状でシート状であることが、調製容易であるとともにシート材2に対して面あたりでも接合できることによる接合容易性を考慮すれば、好適である。また、耳部形成片31は、その材料を特に限定されずに適宜選択可能であるが、上述のシート材2の材料として使用可能なものを適宜選択されてよい。耳部形成片31をシート材2に安定して固定するとともに、清掃具15で清掃を実施するにあたり、清掃シート1全体として台座16にしっかりと固定可能とする観点から、シート材2よりも伸びの少ない材質が用いられることが好ましく、スパンボンド不織布もしくはエアスルー不織布であることが好ましい。
【0061】
(耳部形成片31とシート材2との接合)
耳部形成片31とシート材2との接合に関しては、シート構造体21cの平面視上、シート材2の端縁部の位置に耳部形成片31の端縁部が接合されて耳部形成片接合部32が形成されてよい。
【0062】
シート構造体21(21c)は、
図6のように、1枚のシート材2に耳部形成片31を接合して構成されているものに限定されず、
図7A,
図7B,
図7C,
図7Dに示すように、複数のシート材2,2を積層した構造体に耳部形成片31を接合して構成されるものであってもよい。この場合、耳部形成片31は、
図7Bに示すように複数のシート材2,2を積層した構造体の表面に接合されよいし、
図7C、
図7Dに示すように向かい合うシート材2,2の間に挟み込まれるように接合されてもよい。いずれの場合でも、その接合位置に耳部形成片接合部32が形成されることとなる。
【0063】
(耳部形成片31とシート材2との接合方法)
耳部形成片31とシート材2との接合により耳部形成片接合部32を形成する方法は、特に限定されず、上記したような接合部8を形成する方法と同様の方法、例えばヒートシールによる接合方法などを、適宜選択可能である。
【0064】
<シート構造体21の他の形態3>
清掃シート1が、清掃部7をシート材2で形成したシート構造体21(21a、21b、21c)を構成している場合を例として説明したが、清掃シート1は、
図8A,
図8Bに示すように、清掃部7に基材シート33とシート材2の積層構造を形成しているシート構造体21(21d)を備えるものであってよい。
【0065】
(基材シート33)
基材シート33は、特にその大きさを限定されるものではないが、シート材2の大きさと比較してシート材2の大きさ以上であることが好適であり、シート構造体21dとされた状態で上述した耳部29の取り付け部形成部30を少なくとも形成できる程度の大きさを有するようにシート材2よりも大寸法であることが、より好適である。
【0066】
基材シート33の材料としては、特に限定されない。基材シート33は、上述の耳部形成片31と同様に、シート材2の材料として使用可能なものを適宜選択されてよい。シート材2を安定して固定するとともに、清掃具15で清掃を実施するにあたり、清掃シート1を台座16にしっかりと固定する観点から、基材シート33の材料には、シート材2よりも伸びの少ない材質が用いられることが好ましく、スパンボンド不織布もしくはエアスルー不織布であることが好ましい。
【0067】
(シート構造体21d)
シート構造体21dは、清掃部7と、その清掃部7の外側に耳部29を備えて構成される。清掃部7は、基材シート33とシート材2との積層構造を備えており、シート構造体21dの平面視上、スリット穴3で構成されるスリット群5の形成部分を含む所定の領域(清掃部形成領域R)で区画される部分として特定される。耳部29は、清掃部7の外側所定部分に取り付け部形成部30,30を形成しており、
図8の例では、取り付け部形成部30,30は、基材シート33におけるシート材2の非積層部分(非対面部分)で構成される。なお、この例では、基材シート33におけるシート材2の非積層部分は、シート構造体21の平面視上、耳部29のうち、清掃部7の側端縁のうちY方向に延びる2つの側端縁(側辺)からX方向に沿って清掃部7の外側の部分を除いた部分となっている。さらに、耳部29の取り付け部形成部30は、上記したような取り付け部9を形成されていることが好適である。
【0068】
シート構造体21が清掃部7に基材シート33とシート材2との積層構造を備えていると、清掃シート1は清掃部7の強度の点でより強くされたものとなる。
【0069】
シート構造体21dは、
図8Bのように、基材シート33の一方面にシート材2を備えて構成されているものに限られず、
図8C,
図8Dに示すように、基材シート33の両面にシート材2を備えて構成しているものでもよい。基材シート33の両面にシート材2が備えられている場合に、
図8Dに示すように、シート構造体21dは、基材シート33の少なくとも一方面上に複数のシート2を積層された構成を備えるものでもよい。シート構造体21dが基材シート22の両面にシート材2を備えた構成を備えていると、清掃シート1の両面ともに清掃に使用することができ、1つの清掃シート1で、より多くの塵や埃を拭い取ることができる。
【0070】
(シート構造体21dの調製)
シート構造体21dは、基材シート33とシート材2とを位置あわせしつつ基材シート33とシート材2とを接合して基材シート接合部34を形成することで調製される。基材シート33とシート材2との接合については、基材シート33とシート材2とが融着されて接合されていることが好ましい。この場合、基材シート33とシート材2とが融着されて融着部が形成されて、その融着部が基材シート接合部34をなす。基材シート33とシート材2との接合で形成される基材シート接合部34の形成方法は、上記したシート材2,2同士を接合して接合部8を形成する際に使用可能な方法と同様の方法を、適宜選択可能である。
【0071】
シート構造体21dには、ヒートシール線が形成されていてもよい。これは、基材シート33とシート材2とを接合する場合に、基材シート33とシート材2とを熱融着して融着部としての基材シート接合部34が形成されること、すなわちヒートシール法が用いられて基材シート接合部34が形成されることで、実現可能である。そしてヒートシール法が用いられる場合に、シート材2における基材シート接合部34に対応する部分が、線状に形成されていればよい。その場合、シート材2における線状の融着部としての線状の基材シート接合部34に対応する部分が、上述のシート構造体21aなどにおけるヒートシール線27の機能を兼ねることとなり、すなわち基材シート接合部34にヒートシール線の機能を兼ねさせることができることとなり、シート構造体21dにヒートシール線を形成することができることとなる。
【0072】
<シート構造体21の他の形態4>
上記では、シート構造体21が清掃部7に基材シート33とシート材2とを積層した積層構造を備えるように構成されてよいことを、シート構造体21dを用いて説明した。このとき、シート構造体21dでは、基材シート33の1つの面に対して直接向かい合わせに配置されるシート材2の枚数は1枚であった。この点につき、シート構造体21は、これに限定されず、
図10A,
図10Bに示すシート構造体21eのように、基材シートの少なくとも1つの面に対して複数のシート材2が直接向かい合わされて配置されていてもよい。
【0073】
このシート構造体21eにおいては、個々のシート材2は、スリット穴3で構成されるスリット群5を形成したものであって、基材シート33の1つの面に対して複数枚接合可能な形状に形成されていれば、特に限定されるものではないが、
図10Aに示すように短冊状に形成されることが、基材シート33に対する個々のシート材2の接合位置の位置決めの容易性を考慮すれば好ましい。シート構造体21eは、基材シート33の1つの面に対して複数枚のシート材2を向かい合わせて配置しており、且つ、そのようなシート材2は、そのシート材2の短手方向(
図10AではY方向)に互いに間隔をあけて配置されている。この場合、シート構造体21eの清掃部7は、隣り合うシート材2間に間隔をあけつつ基材シート33の一面上に複数のシート材2を接合配置して基材シート接合部34を形成した構造を有している。
【0074】
このシート構造体21eでは、清掃部7は、シート構造体21eの平面視上、Y方向については、もっともシート材2の配列方向外側に配置された2つのシート材2のうち一方のシート材2の外側端縁からY方向に沿って他方のシート材2の外側端縁までの領域、X方向については、シート材2の長手方向両端間の領域で特定される部分として定められ、その清掃部7の外側の部分が耳部29をなしている。耳部29は、清掃部7の外側の所定部分にて、取り付け部形成部30,30を形成している。
図10の例では、耳部29のうち、清掃部7の側端縁のうちY方向に沿って延びる2つの側端縁(側辺)からX方向に沿って清掃部7の外側の部分を除いた部分が、取り付け部形成部30,30をなす。なお、その耳部29の取り付け部形成部30には、取り付け部9が形成されてよい。
【0075】
清掃シート1は、清掃部7に、基材シート33の同一面上に複数の短冊状のシート材2を面順次に並べた構造を備えることとなり、各シート材2,2のスリット穴3で塵や埃を拭い取るほかにもそのシート材2自体の端縁で塵や埃を拭いとることも可能となり、清掃能力の向上されたものとなる。
【0076】
なお、シート構造体21eにおいて、基材シート接合部34は、シート材2の周縁位置でそのシート材2の周縁に沿った線状に形成されてよいし、
図17に示すように、シート材2の周縁よりもやや内側の位置で、シート材2の周縁に沿って延びるような線状に形成されて、そのシート材2の周縁に自由端35を形成してもよい。基材シート接合部34が、シート材2の周縁よりもやや内側の位置で形成されている場合には、シート材2における基材シート接合部34から自由端35までの部分を、基材シート接合部34から自由端35に向かって基材シート33面からやや立ち上がらせて、シート材立ち上がり端部36を形成することができるようになる。シート構造体21eにシート材立ち上がり端部36が形成されていると、清掃時にスリット穴3のみならずシート材立ち上がり端部36でも塵や埃をより効果的に拭い取らせることができ、より清掃能力の向上された清掃シート1を得ることができるようになる。
【0077】
また、基材シート接合部34の形成方法は、上記シート構造体21dで説明したのと同様に、適宜選択可能であるが、ヒートシール法が用いられて基材シート接合部34が形成されることが好ましい。ヒートシール法が用いられる場合、基材シート接合部34にヒートシール線27の機能を兼ねさせることができる。さらに、ヒートシール法を用い、シート材2の周縁よりもやや内側の位置で、シート材2の周縁に沿った線状に基材シート接合部34が形成されると、シート材立ち上がり端部36がより効率的に形成可能となる。なお、基材シート接合部34は、シート材2の周縁の全部に沿って形成されても一部に沿って形成されていてもよい。
図10Aのシート構造体21eの例では、個々のシート材2において、基材シート接合部34が、個々のシート材2の周縁のうち長手方向に延びる2つの側辺それぞれに沿って線状に形成されており、1つのシート材2に2条形成されている。
【0078】
上記のシート構造体21eの例では、基材シート33として矩形状のシートを用いて、その基材シート33の同一面上、基材シート33の短手方向(
図10AではY方向)と、複数の短冊状のシート材2の短手方向とがそろえられている。シート構造体21eは、このような例に限定されず、
図18に示すように、基材シート33の同一面上、基材シート33の長手方向(
図18ではX方向)と、複数の短冊状のシート材2の短手方向とがそろえられていてもよい。その場合、清掃部7は、X方向について、もっともシート材2の配列方向外側に配置された2つのシート材2のうち一方のシート材2の外側端縁からX方向に沿って他方のシート材2の外側端縁までの領域、Y方向については、シート材2の長手方向両端間の領域で特定される部分として定められる。
【0079】
なお、上記の清掃シート1では、シート構造体21eが基材シート33の一方面上に複数のシート材2を接合した例について詳細に説明したが、シート構造体21eは、これに限定されない。シート構造体21eは、
図10Cに示すように、基材シート33の両面ともに複数のシート材2を直接接合されていてもよい。このような清掃シート1によれば、清掃シート1の両面ともに、被清掃面の塵や埃の拭い取りに使用することができる。
【0080】
<シート構造体21の他の形態5>
清掃シート1においては、シート構造体21は、
図19Aに示すシート構造体21fのように、基材シート33の少なくとも1つの面に対して、複数のシート材2を互いに間隔をあけつつ直接向かい合わせて配置し、且つ、シート構造体21の平面視上、シート材2の側周面の少なくとも一部が少なくとも1枚の基材シート33の外周縁に沿い、さらに、基材シート33の周縁を含む内側領域にシート材2全体が存在するように構成されていてよい。
図19Aに示す清掃シート1の例では、シート構造体21fの全体が清掃部7とされる。このような清掃シート1によれば、シート構造体21fの外周端までくまなく清掃時に使用可能な部分とすることができる。
【0081】
このようなシート構造体21fは、基材シート原反の少なくとも1つの面に対して帯状のシート材原反を直接向かい合わせて所定位置に複数本配置してシート構造体原反となし、これに切断加工を施すことで形成される。
【0082】
すなわち、まず、基材シート原反及びシート材原反を準備する。基材シート原反及びシート材原反は、切断加工を施されることでそれぞれ基材シート33及びシート材2とされるものである。したがってシート材原反には、シート材2のスリット穴3の形状及びスリット群5の形成パターンに応じた所定のパターンで多数のスリット穴3が形成されている。次に、基材シート原反に複数のシート材原反を互いに間隔をあけつつ所定位置で接合して原反接合部を形成して、シート構造体原反を得る。基材シート原反と複数のシート材原反との接合については、基材シート原反と複数のシート材原反とを融着させて接合させることが、後の切断加工によって基材シート接合部34が融着部として形成されることとなって好ましい。
【0083】
さて、上記したシート構造体原反には切断加工が施される。この切断加工において、シート構造体原反を構成する基材シート原反とともにシート材原反も適宜切断されて、それぞれ基材シート33及びシート材2が形成される。また、このとき、原反接合部は、基材シート接合部34をなす。こうして、基材シート33にシート材2を積層した積層体としてシート構造体21fがシート構造体原反から形成される。
【0084】
切断加工の際におけるシート構造体原反の切断位置及び切断方向は、得ようとするシート構造体21fの構造に応じて適宜設定される。ただし、切断加工では、少なくとも1つのシート材原反を横切るようにシート構造体原反が切断されることが好ましい。
図19Aの例では、切断加工を施す際の切断方向は、シート材原反の長手方向を斜めに横切るような方向となっている。このようなシート構造体原反の切断加工が行われると、シート材原反の切断面が、シート構造体21fの平面視上、シート構造体21fの外周縁の位置にあらわれる。そして、その切断面は、シート材2の周端面の少なくとも一部を構成する。さらに、その切断加工時にあらわれるシート材2の周端面は、シート構造体の平面視上、シート構造体21fの外周縁に沿うことになる。
【0085】
なお、シート構造体21fは、
図19Bに示すように構成されたものであってよい。すなわち、シート構造体21fは、基材シート33a(33)にシート材2を積層してなる積層体に対して、切断加工を施された基材シート33aとは別体の基材シート33b(33)を更に積層してなるものでもよい。ここに、基材シート33a(33)にシート材2を積層してなる積層体は、上記したシート構造体原反の切断加工によって得られた積層体である。また、このシート構造体21fでは、更に積層される別体の基材シート33bは、積層体の基材シート33aの面のうちシート材2の非積層面側に積層される。このとき、基材シート33bの積層方法は、ヒートシール法など適宜選択可能である。また、この基材シート33bは、基材シート33aよりも大寸法に形成されており、基材シート33bのうち基材シート33aよりも外側にはみ出した部分が、シート構造体21fにおいて耳部29を形成する。なお、その耳部29には、取り付け部形成部30が形成されてよく、さらに取り付け部形成部30には、取り付け部9が形成されてよい。
【0086】
本発明の清掃シート1を取り付けた清掃具について具体的に説明する。
【0087】
<清掃シート1を取り付けた清掃具15>
本発明の清掃シート1を取り付けた清掃具15は、例えば床清掃用のモップであり、
図15に示すように、把持柄17を付けた台座16に清掃シート1を取付けてなる。
図15は、
図4に示す清掃シート1を台座16に取り付けた清掃具15を示す概略斜視模式図である。
【0088】
台座16の上面には予め定めた位置に係止片18が設けられており、清掃シート1が台座16に取り付けられるにあたっては、清掃シート1の清掃部7を台座16の底面19に対して対面させ、清掃シート1の清掃部7の外側部分である取り付け部9を形成した部分である取り付け部形成部を折り曲げて台座16の上面に巻き付け、取り付け部9にて台座16の上面の係止片18に係止させる。これにより、清掃シート1が台座16に取付けられ、清掃具15が得られる。係止片18は、台座16の上面より上方に突出した出っ張り片であり、台座16の上面側端部よりやや内側の所定位置として予め選択された4箇所に設けられている。そして、係止片18をなす出っ張り片に対して、取り付け部9がとめつけられることで、清掃シート1が台座16に係止されて固定される。
【0089】
清掃具15において、清掃シート1の清掃部7は、少なくとも台座16の底面19に向かい合わせとなる位置に配置されることとなり、清掃時には、被清掃面に押し当てられる部分となる。
【0090】
<清掃シート1が塵や埃を拭い取る機構>
清掃時、清掃シート1は、清掃具15の台座16に装着されるとともに清掃部7を床面などの被清掃面に押し当てられ、清掃者から把持柄17に加えられた力が台座16に伝わって台座16とともに被清掃面上を所定の方向に移動する。このとき、台座16の移動方向が、
図16に示す清掃方向Fである。なお
図16は、清掃具15を、その台座16の底面19側から見た状態を模式的に示す図である。ここに例示する清掃シート1では、最表面のシート材2aのスリット穴3aの延在方向E1が清掃方向Fを横切るように各スリット穴3aが形成されているため、清掃時には、最表面に露出したシート材2aに形成されたスリット穴3aを開かせてその幅を拡大させようとする拡幅力が清掃シート1に作用する。ここで、清掃シート1の最表面に露出したシート材2aを、便宜上、露出シート材とよぶ。基材シート1は、清掃時には、台座の動きに応じて、拡幅力の作用により最表面に露出した露出シート材(シート材2a)のスリット穴3aが更に開き、そのスリット穴3aの側縁部4等にて塵や埃がかきとられる。
【0091】
なお、上述した機構が働くのは、清掃シート1がシート構造体21として
図4のようなシート構造体21bを備えた構成である場合に限定されない。すなわち、清掃シート1がシート構造体21として
図1など他のシート構造体21a、21c、21d、21e、21fを備えた構成である場合にも、上述した機構が働きうる。そして、
図4のように複数枚のシート材1をそれぞれのシート材1のスリット穴3同士が交差するように重ねあわせた構造を有する場合には、上述した機構のほかに、さらに次のような機構が、塵や埃の拭い取り効率の向上に資する。
【0092】
清掃シート1が、
図4のように、清掃部7に、複数枚のシート材2をそれぞれのシート材2のスリット穴3同士が交差するように重ねあわせなる構造を有して構成されている場合、露出シート材に向かい合わせに重なるシート材2bが存在しており、そのシート材2bについて、便宜上、向合いシート材と呼ぶ。さて、露出シート材のスリット穴3aについてみるに、スリット穴3aの延在方向E1は、スリット穴3bの延在方向E2と異なっており、このスリット穴3aは、向合いシート材のスリット穴3bに交差している。そのため、露出シート材のスリット3aは、交差部分以外の部分で、向合いシート材から摩擦力を受けることになり上記した拡幅力を弱められる。すなわち、スリット3aは、拡幅力を受けつつも交差部分以外では拡幅力を弱める摩擦力を受けることになる。こうして、清掃時に、最表面に露出したシート材2aのスリット穴3bが開きつつも、スリット穴3aの過剰な拡大開口は抑制されることになる。また、最表面に露出したシート材2aのスリット穴3aが開口したときの清掃シート1の状態についてみるに、スリット穴3bに交差する部分以外の部分では、最表面に露出したシート材2aのスリット穴3aの開口から、シート材2bにおけるスリット穴3bの非形成部分が臨んだ状態となっている。したがって、最表面に露出したシート材2aのスリット穴3aの側縁部4等にてかきとられた塵や埃については、そのシート2aに対して向き合うシート材2bの面でより確実に受けとめられやすくなり、シート材2a,2bの間に塵や埃を取り込ませることが容易になる。こうして、清掃シート1によれば、スリット穴3aの過剰な拡大がなく、しかも、スリット穴3aでかきとられた塵や埃がシート材2a,2bの間で捕捉されやすくなって、塵や埃が清掃シート1のスリット穴3から台座16側の底面19の位置まで通り抜けてしまう虞が抑制されることとなり、清掃シート1による塵や埃の効率的な拭い取りが容易になる。
【0093】
<他の利用形態>
上記では、清掃シート1が、清掃具15の台座16に取り付けられて使用される場合について説明したが、清掃シート1は、そのままテーブルなどの塵等をふき取るシートとして用いることも可能である。