(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基台の上面における前記第2のガイド孔の両側には、それぞれ、前記第2のガイド孔に平行にのびる滑り促進板が取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載の無線綴じ製本装置。
前記第1のセンサーから検出信号が所定の時間継続して出力されたときにのみ、前記可動体が前記固定体に近づく向きにスライドすることを特徴とする請求項1に記載の無線綴じ製本装置。
前記第2のセンサーから検出信号が出力されたとき、前記第1のセンサーから検出信号が出力されていれば、前記移動距離測定手段による測定がなされるが、前記第1のセンサーから検出信号が出力されていなければ、前記移動距離測定手段による測定はなされず、前記可動体は前記固定体から遠ざかる向きに元の位置までスライドすることを特徴とする請求項9に記載の無線綴じ製本装置。
前記移動距離測定手段による測定は、前記第2のセンサーから検出信号が出力されて前記可動体が停止した後、所定の時間が経過したときになされることを特徴とする請求項10に記載の無線綴じ製本装置。
先の本身の無線綴じ製本処理の実行中に次の本身の厚さが前記測定ユニットによって測定されたとき、前記第1の制御ユニットは、前記次の本身の厚さの測定値をメモリに記録し、前記一対のクランプ板に挟持された前記先の本身が前記搬送路上の予め決定された位置に達したとき、前記先の本身の位置よりも上流側にある前記処理ユニットの前記一対の部材の間隔を、前記メモリに記録した前記測定値に基づいて調節し、その後、前記予め決定された位置よりも下流側の前記処理ユニットの前記一対の部材の間隔を、前記先の本身が当該処理ユニットを通過したときに、前記メモリに記録した前記測定値に基づいて調節し、その後、前記先の本身の無線綴じ製本処理の完了後に、一対のクランプ板の間隔を、前記メモリに記録した前記測定値に基づいて調節することを特徴とする請求項1に記載の無線綴じ製本装置。
前記一連の処理ユニットは、少なくとも、ミリングユニットおよび糊付けユニットおよび表紙付けユニットからなり、前記ミリングユニットは、前記一対の部材として、前記本身の背の切削処理の間に、前記一対のクランプ板からはみ出す前記本身の背の両側を支持する一対のガイド板を有し、前記表紙付けユニットは、前記一対の部材として、前記本身の背に表紙を貼着する際に、前記表紙を前記本身の背の両側に押しつける一対のニップ板を有していることを特徴とする請求項1に記載の無線綴じ製本装置。
【背景技術】
【0002】
従来の無線綴じ製本装置として、例えば、搬送路と、搬送路に沿って配置された、無線綴じ製本処理を行う一連の処理ユニットと、搬送路に沿って移動する少なくとも1つのクランプユニットとを備え、本身が、クランプユニットの一対のクランプ板に挟持されて、一連の処理ユニットを順次通過せしめられる間に無線綴じ製本処理がなされるようになっており、2以上の処理ユニットが、一対のクランプ板の間からはみ出す本身の背の両側に係合しまたは接触する一対の部材を有しており、さらに、本身の厚さを測定する測定ユニットを備え、製本処理の開始前に、本身の厚さが測定ユニットによって測定され、得られた測定値に基づき、一対のクランプ板の間隔、および処理ユニットの一対の部材の間隔が本身の厚さに対応するように予め調節される無線綴じ製本装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、この無線綴じ製本装置の概略的な構成を示した斜視図である。
図4を参照して、無線綴じ製本装置は、搬送路Fと、搬送路Fに沿って配置された無線綴じ処理を実行する一連の処理ユニット(ミリングユニットB、糊付けユニットCおよび表紙付けユニットD)と、搬送路Fに沿って往復運動し得る単一のクランプユニット(
図4では、クランプユニットのクランプ板1a、1bのみが図示される)と、クランプユニットを往復運動させる第1の駆動機構(図示されない)とを備えている。
【0004】
製本処理が開始されると、本身挿入位置Aにおいて、本身Pが、本身挿入位置Aに配置された揃え板1c上に置かれるとともに、クランプユニットの一対のクランプ板1a、1bの間に挿入され、それらによって挟持された後、クランプユニットによって搬送路Fに沿ってミリングユニットBに送られる。
【0005】
ミリングユニットBは、フライスカッター2aおよび一対のガイド板2b、2cを備えている。そして、一対のクランプ板1a、1bに挟持された本身Pがフライスカッター2a上を通過する間に、一対のクランプ板1a、1bからはみ出した本身Pの背の両側が一対のガイド板2b、2c間に挿入される。こうして、本身Pの背の両側が一対のガイド板2b、2cによって支持されつつ、本身Pの背が切削される。その後、一対のクランプ板1a、1bに挟持された本身Pは、糊付けユニットCに送られる。
【0006】
糊付けユニットCは、糊を収容する糊タンク3aと、糊付けローラ3bと、余分な糊を拭き取るローラ3cとを有し、本身Pの背に適当な厚さに糊を付ける。糊付けが終了すると、一対のクランプ板1a、1bに挟持された本身Pは、表紙付けユニットDに送られる。
【0007】
表紙付けユニットDは、底板4cおよび一対のニップ板4a、4bを備えている。製本処理が開始されると、印刷された表紙Qが、表紙集積部(図示されない)からコンベヤ等の適当な搬送手段によって、矢印S方向に、底板4c、一対のニップ板4a、4b上に搬送される。その後、一対のクランプ板1a、1bの間に挟持された本身Pが、本身Pの背が表紙Qの背部分に対向する位置で停止する。そして、底板4cおよび一対のニップ板4a、4bが上昇し、表紙Qが、上昇する底板4cによって本身Pの背に押しつけられ、それと同時に、可動ニップ板4aが固定ニップ板4bに近接する方向に動かされ、それによって表紙Qが本身Pの背の両側に押しつけられ、表紙Qが本身Pに貼着され、製本物が完成する。その後、クランプユニットは本身挿入位置Aまで戻り、そしてそこで、一対のクランプ板1a、1bが最大限まで開き、製本物が排出される。
【0008】
無線綴じ製本装置は、また、本身Pの厚さを測定する測定ユニットを備えている。
図8Aは、測定ユニットの平面図であり、
図8Bは、
図8Aに示された測定ユニットの立面図である。
図8Aおよび
図8Bに示されるように、測定ユニットは、基台40aと、基台40a上に間隔をあけて固定された一対の支持部材40bと、これらの支持部材40bの間にのび、支持部材40bによって支持された水平な直線状のガイドレール40cとを備えている。
【0009】
測定ユニットは、また、ガイドレール40cにスライド可能に取り付けられた摺動体40dを有している。摺動体40dは、ガイドレール40cに対して垂直にのびる平坦な計測面40eを有している。
測定ユニットは、また、基台40a上に固定された固定体40fを備えている。摺動体40dは、固定体40fに対し近接および離間する方向にスライドし、固定体40fは、摺動体40dの計測面40eに対向しかつ計測面40eによって当接され得る平坦な基準面40gを有している。
【0010】
測定ユニットは、さらに、摺動体40dの計測面40eが固定体40fの基準面40gに当接した位置をゼロ点として、測定面40eの基準面40gに対する移動距離を測定する移動距離測定手段を有している。移動距離測定手段は、ガイドレール40cの両端に配置され、基台40a上に取り付けられた一対のプーリ40h、40iと、これらのプーリ40h、40iの間に張られたエンドレスベルト40jを有している。エンドレスベルト40jには、摺動体40dが連結されている。移動距離測定ユニットは、さらに、一方のプーリ40hの回転軸に連結されたロータリーエンコーダ40kを有している。
【0011】
測定ユニットは、製本装置の本身挿入位置Aに隣接して設けられた、本身Pを揃えるためのテーブルに隣接して配置される。この場合、測定ユニットは、テーブルに、それと同じレベルになるように連結される補助テーブル部分40mを有している。補助テーブル部分40mにはガイドレール40cに沿ってのびるスロット(図示されない)が設けられ、基台40aが補助テーブル部分40mの下面に固定されるとともに、少なくとも固定体40fの基準面40gおよび摺動体40dの計測面40eがスロットを通じて補助テーブル部分40mの上面に突出し、計測面40eがスライド自在に配置される。
【0012】
こうして、製本処理に先立って、本身Pが、操作者の手によって、テーブル上で突き揃えられた後、測定ユニットの基準面40gおよび計測面40e間に挿入される。
次いで、本身Pが操作者の一方の手で起立状態に支持されるとともに、摺動体40dが操作者の他方の手でスライドせしめられ、本身Pが、摺動体40dの計測面40eによって固定体40fの基準面40gに対して押しつけられた状態で基準面40gと計測面40eの間に挟まれ、本身Pの厚さが測定される。
【0013】
得られた測定値に基づき、本身Pの挟持前の一対のクランプ板1a、1bの間隔、ミリングユニットBの一対のガイド板2b、2cの間隔、糊付けユニットCの一対の横糊ローラ3c、3dの間隔、表紙付けユニットDの一対のニップ板4a、4bの間隔および表紙供給ユニットEの一対の折目形成ローラ5a、5bの間隔が、制御部によって、本身Pの厚さに対応するように予め調節される。
【0014】
しかしながら、この無線綴じ製本装置においては、本身Pの厚さの測定に際して、操作者が一方の手で本身Pを起立状態に支持しつつ、他方の手で摺動体40dを動かさなければならないので、多種類の製本物を小ロット生産する場合には、測定に時間を要し、生産性が悪かった。また、片手で本身Pを支持しなければならないので、本身Pが厚くなると、摺動体40dを動かす間に一旦突き揃えた本身Pを崩してしまい、測定をやり直さねばならない場合があり、測定作業は操作者にかなりの負担となっていた。
【0015】
さらには、本身Pを基準面40gと計測面40eの間に挟む際に、摺動体40dによって本身Pを固定体40fに押しつける必要があるが、これが手作業で行われるので、押圧力が一定ではなく、本身Pが厚くなると、本身Pからの空気抜きが十分に行えず、そのため、測定値の誤差が大きくなって、製本の仕上がりが悪くなるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の課題は、無線綴じ製本装置において、本身の厚さの測定を簡単にかつ短時間で行え、しかも高精度で測定ができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この課題を解決すべく、本発明によれば、搬送路と、前記搬送路に沿って配置された、無線綴じ製本処理を行う一連の処理ユニットと、前記搬送路に沿って移動し得る少なくとも1つのクランプユニットと、前記クランプユニットを移動させる第1の駆動機構と、を備え、本身が、前記クランプユニットの一対のクランプ板に挟持されて、前記一連の処理ユニットを順次通過せしめられる間に無線綴じ製本処理がなされるようになっており、2以上の前記処理ユニットが、前記一対のクランプ板の間からはみ出す前記本身の背の両側に係合しまたは接触する一対の部材と、前記一対の部材を互いに近接または離間する方向に運動させる間隔調節手段と、を有し、さらに、前記クランプユニットおよび前記間隔調節手段を制御する第1の制御ユニットと、前記本身の厚さを測定する測定ユニットと、を備え、製本処理の開始前に、前記本身の厚さが前記測定ユニットによって測定され、得られた測定値に基づき、前記一対のクランプ板の間隔、および前記処理ユニットの前記一対の部材の間隔が、前記第1の制御ユニットによって、前記本身の厚さに対応するように予め調節される無線綴じ製本装置において、前記測定ユニットは、前記本身が置かれる上面を有する基台と、前記基台の上面に取り付けられた固定体と、を備え、前記固定体は、前記上面に垂直な基準面を有しており、前記測定ユニットは、さらに、前記基台に取り付けられ、前記基準面に対し垂直にのびるガイドレールと、前記ガイドレールに取り付けられ、前記固定体に対し近接または離間する方向にスライド可能とされた可動体と、前記可動体をスライド運動させる第2の駆動機構と、を備え、前記可動体は、前記ガイドレールの軸方向に互いに間隔をあけて位置する2つの壁面を有し、前記2つの壁面の間には空間が形成されており、前記測定ユニットは、さらに、前記可動体の空間内に配置されるとともに、前記ガイドレールに取り付けられて、前記2つの壁面の間においてスライド可能とされた測定体を備え、前記測定体は、前記固定体の基準面に対向する計測面を有しており、前記測定ユニットは、さらに、前記可動体および前記測定体の間に配置され、前記測定体を前記2つの壁面のうちの前記固定体に近い方の壁面に常時押しつける弾性付勢手段と、前記基台または前記固定体に設けられ、前記本身が前記固定体の基準面の前方に置かれた時を検出する第1のセンサーと、前記可動体または前記測定体またはその両方に配置され、前記測定体が前記弾性付勢手段の弾性力に抗して前記固定体に近い方の壁面から所定の距離離れたときを検出する第2のセンサーと、前記測定体の計測面が前記固定体の基準面に当接した位置をゼロ点として、前記計測面の前記基準面に対する移動距離を測定する移動距離測定手段と、前記第2の駆動機構および前記移動距離測定手段を制御する第2の制御ユニットと、を備え、前記第1のセンサーが検出信号を出力したとき、前記可動体は、前記固定体に向かって、前記測定体の計測面が本身に当接して該本身を前記基準面に押し付ける位置を通り越してスライドし、その後、前記第2のセンサーが検出信号を出力したとき、前記可動体は停止し、そのとき前記移動距離測定手段による測定がなされ、それによって、該本身の厚さが測定されることを特徴とする無線綴じ製本装置が提供される。
【0019】
本発明の好ましい実施例によれば、前記測定ユニットの前記弾性付勢手段はコイルバネからなっている。
本発明の別の好ましい実施例によれば、前記第1のセンサーは光電センサーからなっており、前記第2のセンサーは近接センサーからなっている。
【0020】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記基台は、前記上面を形成する上壁と、前記上壁の下側に形成された内部空間を有し、前記内部空間内に前記ガイドレールが取り付けられ、前記可動体は、前記2つの壁面をそれぞれ形成する第1および第2の側壁と、前記第1および第2の側壁の上端同士を接続する接続壁とを有し、前記第1および第2の側壁には、それぞれ、前記ガイドレールの挿通のための開口が形成され、前記測定体には、前記ガイドレールの挿通のための貫通穴が形成され、前記可動体が前記基台の内部空間内に配置され、前記測定体が前記可動体の空間内に配置されるとともに、前記可動体および前記測定体がそれぞれ前記開口および貫通穴を通じて前記ガイドレールに嵌め込まれ、前記ガイドレールにおける、前記可動体の前記固定体から遠い方の壁面と前記測定体との間には、前記コイルバネが圧縮状態で嵌め込まれ、前記可動体の接続壁および前記基台の上壁には、互いに整合しかつ前記ガイドレールに平行にのびる第1および第2のガイド孔が形成され、前記測定体は、前記第1および第2のガイド孔を通って前記基台の上面から上方に突出する拡張部を有し、前記拡張部に前記計測面が設けられる。
【0021】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記基台は、前記上面を形成する上壁と、前記上壁の下側に形成された内部空間を有し、前記内部空間内に前記ガイドレールが取り付けられ、前記可動体は、前記2つの壁面をそれぞれ形成する第1および第2の側壁と、前記第1および第2の側壁の上端同士を接続する接続壁とを有し、前記第1および第2の側壁には、それぞれ、前記ガイドレールの挿通のための開口が形成され、測定体には、前記ガイドレールの挿通のための第1の貫通穴が形成され、前記可動体の空間内には、前記測定体の両側においてそれぞれ前記第1および第2の側壁間にのびる、前記ガイドレールに平行なロッドが取り付けられ、前記測定体には、前記ロッドの挿通のための第2の貫通孔が形成され、前記可動体が前記基台の内部空間内に配置され、前記測定体が前記可動体の空間内に配置されるとともに、前記可動体および前記測定体がそれぞれ前記開口および前記第1の貫通穴を通じて前記ガイドレールに嵌め込まれ、かつ前記測定体が前記第2の貫通孔を通じて前記ロッドに嵌め込まれ、前記ロッドにおける、前記固定体から遠い方の壁面と前記測定体との間には、前記コイルバネが圧縮状態で嵌め込まれ、前記可動体の接続壁および前記基台の上壁には、互いに整合しかつ前記ガイドレールに平行にのびる第1および第2のガイド孔が形成され、前記測定体は、前記第1および第2のガイド孔を通って前記基台の上面から上方に突出する拡張部を有し、前記拡張部に前記計測面が設けられる。
【0022】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記第2の駆動機構は、前記基台の内部空間内に、前記ガイドレールの軸方向に間隔をあけて配置された一対の第1のプーリを備え、前記一対の第1のプーリはそれぞれ前記ガイドレールの軸に垂直な回転軸を有しており、前記第2の駆動機構は、さらに、前記一対の第1のプーリ間に張られ、その一部に前記可動体が連結された第1のタイミングベルトと、前記基台の内部空間内に配置され、一方の前記第1のプーリの回転軸に連結されたモータと、を備えている。
【0023】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記移動距離測定手段は、前記基台の内部空間内に、前記ガイドレールの軸方向に間隔をあけて配置された一対の第2のプーリを備え、前記一対の第2のプーリはそれぞれ前記ガイドレールの軸に垂直な回転軸を有しており、前記移動距離測定手段は、さらに、前記一対の第2のプーリの間に張られ、その一部に前記測定体が連結された第2のエンドレスベルトと、一方の前記第2のプーリの回転軸に連結され、前記第2のプーリの回転量を前記測定体の計測面の移動距離に換算し、前記移動距離を出力する手段と、を備えている。
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記基台の上面における前記第2のガイド孔の両側には、それぞれ、前記第2のガイド孔に平行にのびる滑り促進板が取り付けられている。
【0024】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記第1のセンサーから検出信号が所定の時間継続して出力されたときにのみ、前記可動体が前記固定体に近づく向きにスライドする。
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記第2のセンサーから検出信号が出力されたとき、前記第1のセンサーから検出信号が出力されていれば、前記移動距離測定手段による測定がなされるが、前記第1のセンサーから検出信号が出力されていなければ、前記移動距離測定手段による測定はなされず、前記可動体は前記固定体から遠ざかる向きに元の位置までスライドする。
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記移動距離測定手段による測定は、前記第2のセンサーから検出信号が出力されて前記可動体が停止した後、所定の時間が経過したときになされる。
【0025】
本発明のさらに別の好ましい先の本身の無線綴じ製本処理の実行中に次の本身の厚さが前記測定ユニットによって測定されたとき、前記第1の制御ユニットは、前記次の本身の厚さの測定値をメモリに記録し、前記一対のクランプ板に挟持された前記先の本身が前記搬送路上の予め決定された位置に達したとき、前記先の本身の位置よりも上流側にある前記処理ユニットの前記一対の部材の間隔を、前記メモリに記録した前記測定値に基づいて調節し、その後、前記予め決定された位置よりも下流側の前記処理ユニットの前記一対の部材の間隔を、前記先の本身が当該処理ユニットを通過したときに、前記メモリに記録した前記測定値に基づいて調節し、その後、前記先の本身の無線綴じ製本処理の完了後に、一対のクランプ板の間隔を、前記メモリに記録した前記測定値に基づいて調節する。
【0026】
本発明のさらに別の好ましい実施例によれば、前記一連の処理ユニットは、少なくとも、ミリングユニットおよび糊付けユニットおよび表紙付けユニットからなり、前記ミリングユニットは、前記一対の部材として、前記本身の背の切削処理の間に、前記一対のクランプ板からはみ出す前記本身の背の両側を支持する一対のガイド板を有し、前記表紙付けユニットは、前記一対の部材として、前記本身の背に表紙を貼着する際に、前記表紙を前記本身の背の両側に押しつける一対のニップ板を有している。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、操作者が、突き揃えた本身を、固定体の基準面の前方に置き、手で起立状態に支持するだけで、可動体が自動的に移動して、本身の厚さが測定されるので、測定を短時間で行え、また、測定時に両手を使って本身を支持することができるので、本身が厚い場合であっても一旦突き揃えた本身を崩してしまうおそれがなく、それによって測定のやり直しが回避されて操作者の作業負担が軽減される。そして、本発明によれば、特に、多品種小ロット生産の場合に、生産性を従来よりも大幅に向上させることができる。
さらに、測定時に、本身を可動体の計測面によって常に一定の圧力で固定体の基準面に押し付けるので、本身が厚い場合であっても、十分に空気抜きがなされ、それによって、測定精度が向上し、製本物の仕上がりが良くなる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例について説明する。
図1は、本発明の1実施例による無線綴じ製本装置の構成を概略的に示す平面図であり、
図2は、
図1に示された無線綴じ製本装置の側面図である。本発明の無線綴じ製本装置は、
図1に示されるように、搬送路Fと、搬送路Fに沿って配置された、無線綴じ製本処理を行う一連の処理ユニット(ミリングユニットB、糊付けユニットC、表紙付けユニットD)と、搬送路Fに沿って往復運動し得る単一のクランプユニット1と、クランプユニット1を往復運動させる第1の駆動機構とを備えている。
【0030】
なお、
図1および
図2中、Aは、本身(図示されない)がクランプユニット1の一対のクランプ板1a、1b間に挿入され、挟持される本身挿入位置を表し、本身挿入位置Aには、本身を一対のクランプ板1a、1bに挟持する際に本身の背を支持する揃え板1cが備えられている。また、Eは、表紙付けユニットDに表紙Qを供給する表紙供給ユニットを表す。
【0031】
第1の駆動機構は、各処理ユニットB〜Dの上方に間隔をあけて配置され、搬送路Fに沿ってのびるガイドレール10を有している。図示されないが、ガイドレール10は、ガイドレール10に併設され、往復旋回運動するエンドレスチェーンを備えている。
そして、クランプユニット1が、ガイドレール10に対しスライド運動可能に取り付けられるとともに、エンドレスチェーンの一部に連結され、エンドレスチェーンの往復旋回運動に伴って、搬送路Fに沿って往復運動する。
【0032】
ガイドレール10は、表紙付けユニットD側にある一端10aが、製本装置のフレーム12に固定された旋回軸11の周りに旋回可能に取り付けられる。また、ガイドレール10の他端10b側には、モータ13が配置され、フレーム12に対し固定される。モータ13の回転軸には回転板14が取り付けられ、回転板14の外周には、ロッド15の一端がピン16aによって旋回可能に取り付けられ、ロッド15の他端は、ピン16bによってガイドレール10の他端10bに旋回可能に取り付けられる。
【0033】
こうして、モータ13の回転駆動によりロッド15が上下運動することによって、ガイドレール10は、旋回軸11のまわりに、ガイドレール10が搬送路Fに沿って水平にのびる第1の位置と、ガイドレール10が旋回軸11を支点に傾斜して各処理ユニットB〜Dから上方に退避する第2の位置とをとる。
【0034】
クランプユニット1の一対のクランプ板1a、1bは、固定クランプ板1aと可動クランプ板1bとから構成される。可動クランプ板1bは、クランプユニット1に設けられたモータM1の駆動によって、固定クランプ板1aに対し近接および離間する方向に運動可能になっている。
そして、ガイドレールが第1の位置に配置され、本身挿入位置Aにおいて、本身が、背を下にして揃え板1c上に置かれ、一対のクランプ板1a、1bに挟持される。この場合、本身は、一対のクランプ板1a、1bに対し、背の両側が一対のクランプ板1a、1bの下側にはみ出すように配置される。そして、本身がクランプユニット1によって搬送されて、一連の処理ユニットB〜Dを順次通過せしめられる間に無線綴じ製本処理がなされる。
【0035】
表紙付けユニットDによる処理が完了すると、ガイドレール10が第1の位置から第2の位置まで旋回し、クランプユニット1がガイドレール10に沿って前と反対向きに本身挿入位置Aまで戻され、ここで、表紙Qが貼着された本身が一対のクランプ板1a、1bから排出される。
【0036】
ミリングユニットBは、フライスカッター2aおよび一対の平行なガイド板2b、2cを備えている。一対のガイド板2b、2cは、固定ガイド板2bと、可動ガイド板2cとから構成される。可動ガイド板2cは、ミリングユニットBに備えられたモータM2の駆動によって、固定ガイド板2bに対し近接または離間する方向に動かされ、それによって、一対のガイド板2b、2cの間隔が調節され得る。
【0037】
そして、製本処理の開始に先立って、一対のガイド板2b、2cは、それらの間隔が本身の厚さに応じて予め調節された状態で待機する。製本処理の開始後、一対のクランプ板1a、1bに挟持された本身がフライスカッター2a上を通過する間に、一対のクランプ板1a、1bからはみ出した本身の背の両側が一対のガイド板2b、2c間に挿入される。
こうして、本身の背の両側が一対のガイド板2b、2cによって支持されつつ、本身の背が切削され、本身の背の全体に糊を均一に付着させるための前処理がなされる。その後、一対のクランプ板1a、1bに挟持された本身は、糊付けユニットCに送られる。
【0038】
糊付けユニットCは、糊を収容する糊タンク3aと、本身の背に糊付けする糊付けローラ3bと、本身の背の両側に糊付けする一対の横糊ローラ3c、3dと、本身の余分な糊を拭き取るローラ3eと、を有している。一対の横糊ローラ3c、3dは、固定横糊ローラ3cと、可動横糊ローラ3dから構成され、可動横糊ローラ3dは、モータM3の駆動によって、固定横糊ローラ3cに対し近接および離間する方向に運動可能になっている。
【0039】
そして、製本処理の開始に先立って、一対の横糊ローラ3c、3dは、それらの間隔が本身の厚さに応じて予め調節された状態で待機する。こうして、一対のクランプ板1a、1bに挟持された本身が糊タンク3a上を通過する間に、本身の背の両側に一対の横糊ローラ3c、3dが係合し、本身の背の両側に糊付けがなされる。
糊付けが終了すると、一対のクランプ板1a、1bに挟持された本身は、表紙付けユニットDに送られる。
【0040】
表紙付けユニットDは、底板4cおよび一対のニップ板4a、4bを備えている。一対のニップ板4a、4bは、固定ニップ板4bと、可動ニップ板4aとから構成される。可動ニップ板4aは、表紙付けユニットDに備えられたモータM4の駆動によって、固定ニップ板4に対し近接および離間する方向に動かされることによって、一対のニップ板4a、4bの間隔が調節され得る。
そして、製本処理の開始に先立って、一対のニップ板4a、4bは、それらの間隔が本身の厚さに応じて予め調節された状態で待機する。
【0041】
表紙供給ユニットEは、表紙Qが置かれたトレイと、表紙Qをトレイから表紙付けユニットDの底板4cおよび一対のニップ板4a、4b上に搬送する表紙搬送機構とを備えている。
表紙搬送機構は、表紙Qの所定位置に折目を付ける一対の折目形成ローラ5a、5bを有している。一対の折目形成ローラ5a、5bは、固定折目形成ローラ5aと、可動折目形成ローラ5bとから構成される。可動折目形成ローラ5bは、モータM5の駆動によって、固定折目形成ローラ5aに対し近接および離間する方向に動かされることによって、一対の折目形成ローラ5a、5bは、それらの間隔が本身の厚さに応じて予め調節された状態で待機する。
【0042】
製本処理が開始されると、表紙Qが、表紙供給ユニットEから搬送機構によって、表紙付けユニットDの底板4cおよび一対のニップ板4a、4b上に搬送される。この搬送の間に、一対の折目形成ローラ5a、5bによって、表紙Qの所定位置に2本の平行な折目が形成される。
【0043】
その後、一対のクランプ板1a、1bに挟持された本身が、本身の背が表紙Qの背の部分(表紙Qの平行な折目の間の部分)に対向する位置で停止する。そして、底板4cおよび一対のニップ板4a、4bが上昇し、表紙Qが、上昇する底板4cによって本身の背に押しつけられ、それと同時に、可動ニップ板4aが固定ニップ板4bに近接する方向に動かされ、それによって表紙Qが本身の背の両側に押しつけられ、表紙Qが本身Pに貼着され、製本物が完成する。
【0044】
この実施例では、搬送路が直線状に形成され、単一のクランプユニットがこの搬送路上を往復運動するが、別の好ましい実施例によれば、搬送路がループ状に形成され、複数のクランプユニットが、一定の間隔をあけてこの搬送路上を一方向に循環運動し、その間に、一連の処理ユニットによって製本処理が行われる。
【0045】
本発明によれば、また、本身の厚さを測定する測定ユニット6が備えられる。
図3は、測定ユニットを示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は、基台が取り外された状態の(A)に類似の図である。また、
図4および
図5は、
図3に示された測定ユニットの測定動作を説明する概略的な側面図である。
図3〜
図5を参照して、測定ユニット6は、本身Pが置かれる上面17dを有する基台17を備えている。この実施例では、基台17は、上面17dを形成する上壁17aと、上壁17aの両側縁に接続し、脚として機能する側壁17b、17cとを有し、上壁17aの下側には、内部空間18が形成されている。
【0046】
基台17の上面17dには、固定体19が取り付けられる。固定体19は、上面17dに垂直な基準面19aを有している。この実施例では、固定体19は、実質上L字形に折り曲げられた板状部材からなり、一方の折り片部分が上面17dに取り付けられる一方、他方の折り片部分が上面17dに対して垂直に起立し、基準面19aを形成している。
基台17の内部空間18内には、ガイドレール20が取り付けられ、基準面19aに垂直にのびている。
【0047】
測定ユニット6は、また、ガイドレール20に取り付けられ、固定体19に対し近接または離間する方向にスライド可能とされた可動体21を備えている。
可動体21は、ガイドレール20の軸方向に間隔をあけて位置する第1の側壁21aおよび第2の側壁21bと、第1および第2の側壁21a、21bの上端同士を接続する接続壁21cとを有し、第1および第2の側壁21a、21bの間には、空間21dが形成されている。
そして、可動体21の空間21d内には、測定体22が配置され、ガイドレール20に取り付けられて、2つの側壁21a、21b(壁面21e、21f)の間においてスライド可能になっている。
【0048】
この場合、可動体21の第1および第2の側壁21a、21bに、それぞれ、ガイドレール20の挿通のための開口が形成され、測定体22には、ガイドレール20の挿通のための貫通穴が形成される。そして、可動体21が基台17の内部空間18内に配置され、測定体22が可動体21の空間21d内に配置されるとともに、可動体21および測定体22がそれぞれ開口および貫通穴を通じてガイドレール20に嵌め込まれている。
【0049】
また、ガイドレール20における、可動体21の第2の側壁21bの壁面21f(固定体19から遠い方の壁面)と測定体22との間には、コイルバネ24が圧縮状態で嵌め込まれ、それによって、測定体22は、可動体21の第1の側壁21aの壁面21e(固定体19に近い方の壁面)に常時押しつけられる。この場合、コイルバネ24の代わりに、フックの法則に従う公知の適当な弾性付勢手段を用いることができる。
【0050】
可動体21の接続壁21cおよび基台17の上壁17aには、互いに整合しかつガイドレール20に平行にのびる第1および第2のガイド孔21g、17eが形成される。この場合、可動体21の第1のガイド孔21gの一端は、測定体22が可動体21の第1の側壁21aの壁面21eに当接することを妨げない位置にあり、基台17の第2のガイド孔17eの一端は、測定体22の計測面22bが固定体19の基準面19aに当接することを妨げない位置にある。
そして、測定体22は、第1および第2のガイド孔21g、17eを通って基台17の上面17dから上方に突出する拡張部22aを有し、拡張部22Aには、固定体19の基準面19aに対向する計測面22bが形成される。
【0051】
測定ユニット6は、また、可動体21をスライド運動させる第2の駆動機構を備えている。
第2の駆動機構は、この実施例では、基台17の内部空間18内に、ガイドレール20の軸方向に間隔をあけて配置された一対の第1のプーリ25a、25bを備えている。一対の第1のプーリ25a、25bはそれぞれガイドレール20の軸に垂直な回転軸を有している。
第2の駆動機構は、さらに、一対の第1のプーリ25a、25b間に張られ、その一部に可動体21が連結された第1のタイミングベルト25cと、基台17の内部空間18内に配置され、一方の第1のプーリ25aの回転軸に連結されたモータ25dを備えている。
そして、モータ25dによって第1のプーリ25aが回転駆動され、それによって、可動体21がスライド運動するようになっている。
【0052】
また、測定ユニット6は、測定体22の計測面22bが固定体19の基準面19aに当接した位置をゼロ点として、計測面22bの基準面19aに対する移動距離を測定する移動距離測定手段を備えている。
移動距離測定手段は、この実施例では、基台17の内部空間18内に、ガイドレール20の軸方向に間隔をあけて配置された一対の第2のプーリ26a、26bを備えている。一対の第2のプーリ26a、26bはそれぞれガイドレール20の軸に垂直な回転軸を有している。
移動距離測定手段は、さらに、一対の第2のプーリ26a、26bの間に張られ、その一部に測定体22が連結された第2のタイミングベルト26cと、一方の第2のプーリ26bの回転軸に連結され、第2のプーリ26bの回転量を測定体22の計測面22bの移動距離に換算し、移動距離を出力する手段、例えば、ロータリーエンコーダ26dを備えている。
第2の駆動機構および移動距離測定手段は、第2の制御ユニット7bによって制御される。
【0053】
測定ユニット6は、さらに、基台17または固定体19に設けられ、本身Pが固定体19の基準面19aの前方に置かれた時を検出する第1のセンサー27を備えている。この実施例では、第1のセンサー27は、光電センサーからなり、固定体19の一方の折り片部分に、検出部が起立した他方の折り片部分に向くように取り付けられる。また、他方の折り片部分には、第1のセンサー27の検出部に対応する位置に検出窓19bが形成される。
こうして、基準面19aの前方に本身Pが置かれると、第1のセンサー27の検出部に達する光が遮られ、それによって、第1のセンサー27から検出信号が出力される。
【0054】
また、測定ユニット6は、可動体21または測定体22またはその両方に配置され、測定体22がコイルバネ24の弾性力に抗して可動体21の第1の側壁21aの壁面21e(固定体に近い方の壁面)から所定の距離離れたときを検出する第2のセンサー28を備えている。この実施例では、第2のセンサー28は近接センサーからなり、可動体21の接続壁21cの上面に、検出部が上向きになるように取り付けられる。一方、測定体22の上面には、第2のセンサー28と対をなす金属板29が取り付けられる。金属板29は、測定体22が可動体21の壁面21eから所定の距離離れたときに、第2のセンサー28の検出部に接近して、第2のセンサー28によって検出される位置にある。
【0055】
基台17の上面17dにおける第2のガイド孔17eの両側には、それぞれ、第2のガイド孔17eに平行にのびる滑り促進板30a、30bが取り付けられている。
【0056】
測定ユニット6による測定は、次のようにしてなされる。
測定開始前においては、可動体21、よって測定体22の計測面22bは、固定体19の基準面19aから最大距離離れた初期位置にある(
図4A参照)。
そして、本身Pが、製本装置に設けられた適当な平面上において、操作者によって突き揃えられた後、基準面19aの前方に、第1のセンサー27の検出部を遮るように置かれ、操作者の手によって起立状態に支持される。そのとき、本身Pが第1のセンサー27によって検出され、第1のセンサー27が検出信号を出力する。第2の制御ユニット7bは、この検出信号を受信して第2の駆動機構を作動させ、それによって、可動体21が固定体19に向ってスライド運動を開始する。
この場合、測定の意図なく第1のセンサー27の検出部を遮り、誤作動させることを防止するため、第1のセンサー27から検出信号が所定の時間継続して出力されたときにのみ、可動体21がスライドを開始するようになっていることが好ましい。
【0057】
可動体21のスライド運動の途中で、本身Pが、測定体22の計測面22bによって、基準面19aに向けて、基準面19aと計測面22bの間に隙間無く挟まれるまで押される(
図4B参照)。このとき、滑り促進板30a、30bの作用によって、厚い本身Pであっても、スムーズに押し動かされる。
【0058】
この位置において、測定体22は、計測面22bが本身Pに当接することによって、固定体19に向かってさらに移動することはできない。一方、可動体21は、その後もスライド運動を続ける。それによって、コイルバネ24が徐徐に圧縮されながら、測定体22が可動体21の第1の側壁21aの壁面21eから徐徐に離れる(
図5A参照)。
【0059】
測定体22が可動体21の壁面21eから所定の距離離れると、測定体22の金属板28が可動体21の第2のセンサー28の検出部によって検出され、第2のセンサー28から検出信号が出力される。そして、第2の制御ユニット7bは、この検出信号を受信し、第2の駆動機構を停止させ、それによって可動体21が停止する。次いで、第2の制御ユニット7bは移動距離測定手段を作動させ、それによって、本身Pの厚さが測定される(
図5B参照)。測定値のデータは第2の制御ユニット7bに送られる。
こうして、測定時に、本身Pが、測定体22の計測面22bによって常に一定の圧力で固定体19の基準面19aに押し付けられる。この場合、可動体21の停止時の測定体22および可動体21の壁面21e間の距離を調節することによって、測定時に本身Pに及ぼされる圧力の大きさを調節することができる。
【0060】
好ましい実施例によれば、誤測定を避けるため、第2のセンサー28から検出信号が出力されたとき、第1のセンサー27から検出信号が出力されていれば、移動距離測定手段による測定がなされるが、第1のセンサー27から検出信号が出力されていなければ、移動距離測定手段による測定はなされず、可動体21は固定体19から遠ざかる向きに初期位置までスライドする。
【0061】
また、移動距離測定手段による測定は、第2のセンサー27から検出信号が出力されて可動体21が停止した後、所定の時間が経過したときになされることが好ましい。それによって、本身Pが厚い場合であっても、空気抜きが十分になされ、測定精度が向上する。
【0062】
こうして、本発明によれば、操作者が、突き揃えた本身Pを、固定体19の基準面19aの前方に置き、手で起立状態に支持するだけで、可動体21が自動的に移動して、本身Pの厚さが測定されるので、測定を短時間で行え、また、測定時に両手を使って本身Pを支持することができるので、本身Pが厚い場合であっても一旦突き揃えた本身Pを崩してしまうおそれがなく、それによって測定のやり直しが回避されて操作者の作業負担が軽減される。そして、特に、多品種小ロット生産の場合に、生産性が従来よりも大幅に向上する。
【0063】
さらに、測定時に、本身Pが測定体22の計測面22bによって常に一定の圧力で固定体19の基準面19aに押し付けられるので、本身Pが厚い場合であっても、十分に空気抜きがなされ、それによって、測定精度が向上し、製本物の仕上がりが良くなる。
【0064】
本発明によれば、さらに、クランプユニット1のモータM1、ミリングユニットBのモータM2、糊付けユニットCのモータM3、表紙付けユニットDのモータM4および表紙供給ユニットEのモータM5を制御する第1の制御ユニット7aと、メモリ8と、ディスプレイ9が備えられる。そして、第1および第2の制御ユニット7a、7b間でデータ伝送がなされる。
【0065】
本身Pの製本処理の開始前に、本身Pの厚さが測定ユニット6によって測定されると、測定値のデータが第2の制御ユニット7bから第1の制御ユニット7aに送られ、ディスプレイ9に表示される。また、得られた測定値に基づき、本身Pの挟持前の一対のクランプ板1a、1bの間隔、ミリングユニットBの一対のガイド板2b、2cの間隔、糊付けユニットCの一対の横糊ローラ3c、3dの間隔、表紙付けユニットDの一対のニップ板4a、4bの間隔および表紙供給ユニットEの一対の折目形成ローラ5a、5bの間隔が、制御部7によって、本身Pの厚さに対応するように予め調節される。
【0066】
そして、先の本身Pの製本処理の実行中に次の本身Pの厚さが測定ユニット6によって測定されたとき、第1の制御ユニット7aは、次の本身Pの厚さの測定値をメモリ8に記録する。そして、一対のクランプ板1a、1bに挟持された先の本身Pが搬送路F上の予め決定された位置に達したとき、先の本身Pの位置よりも上流側にある処理ユニットB〜Eの一対の部材2b、2c;3c、3d;4a、4b;5a、5bの間隔を、メモリ8に記録した測定値に基づいて調節する。その後、予め決定された位置よりも下流側の処理ユニットB〜Eの一対の部材2b、2c;3c、3d;4a、4b;5a、5bの間隔を、先の本身が当該処理ユニットB〜Eを通過したときに、メモリ8に記録した測定値に基づいて調節し、その後、先の本身Pの製本処理の完了後に、一対のクランプ板1a、1bの間隔を、メモリ8に記録した測定値に基づいて調節する。
【0067】
この場合、第1の駆動機構を構成するエンドレスチェーンを旋回運動させる一対のスプロケットの一方にロータリエンコーダが取り付けられる。そして、クランプユニット1が本身挿入位置Aにおいて本身Pを挟持した後、本身挿入位置を出発する時にクランプユニット1または本身挿入位置に配置されたセンサーから搬送開始信号が出力される。そして、制御部7は、この搬送開始信号を受信すると同時にロータリーエンコーダから出力されるパルス数のカウントを開始することによって本身Pの搬送距離を計測する。そして、予め決定された搬送距離に達したとき、本身Pが予め決定され位置に到達したことを検出する。この実施例では、本身Pが表紙付けユニットDに達した時点で、予め決定された位置に達したものとしている。
【0068】
以上、本発明を好ましい1実施例に基づいて説明したが、本発明の構成は上述の実施例に限定されるものではなく、添付の請求の範囲に記載された構成の範囲内において種々の変形例を考案することができる。
【0069】
図6は、本発明の別の実施例による測定ユニットを示す図であり、(A)は、基台が取り外された状態の測定ユニットを上方から見た斜視図であり、(B)は、基台が取り外された状態の測定ユニットを下方から見た斜視図であり、(C)は、測定ユニットの測定体の斜視図である。
図6に示された実施例は、
図1〜
図5に示された実施例と、測定ユニットの可動体および測定体の構成が異なるだけである。したがって、以下では、
図1〜
図5に示したものと同じ構成要素に同一番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0070】
図6を参照して、この実施例では、可動体31は、底のない中空直方体形状を有しており、上壁31cと、互いに対向する第1および第2の側壁31a、31bと、互いに対向する第3および第4の側壁31d、31eを有している。
そして、第1および第2の側壁31a、31bには、それぞれ、ガイドレール20の挿通のための開口が形成される。
【0071】
測定体32は、可動体31の第1の側壁31aに対向する端面に、第1の側壁31aより小さい長方形状の拡張板33を有している。測定体32には、ガイドレール20の挿通のための第1の貫通穴32cが形成される。
【0072】
可動体31の空間内には、測定体32の両側においてそれぞれ第1および第2の側壁31a、31b間にのびる、ガイドレール20に平行なロッド34が取り付けられている。測定体32の拡張板33の両側には、ロッド34の挿通のための第2の貫通孔33a、33bが形成される。
【0073】
そして、可動体31が基台17の内部空間18内に配置され、測定体32が可動体31の空間内に配置されるとともに、可動体31および測定体32がそれぞれ開口および第1の貫通穴32cを通じてガイドレール20に嵌め込まれ、かつ測定体32が第2の貫通孔33a、33bを通じてロッド34に嵌め込まれる。
【0074】
ロッド34における、可動体31の第2の側壁31bの壁面(固定体19から遠い方の壁面)と測定体32の拡張板33との間には、コイルバネ35が圧縮状態で嵌め込まれる。こうして、測定体32(拡張板33)は、コイルバネ35の弾性付勢力によって、可動体31の第1の側壁31aの壁面(固定体19に近い方の壁面)に常時押しつけられる。
【0075】
可動体31の上壁31cおよび基台17の上壁17aには、互いに整合しかつガイドレール20に平行にのびる第1および第2のガイド孔31f、17eが形成される。測定体32は、第1および第2のガイド孔31f、17eを通って基台17の上面17dから上方に突出する拡張部32aを有し、拡張部32aに計測面32bが設けられる。
【0076】
可動体31の第3の側壁31dには、第2のセンサー(近接センサー)28が検出部を外向きにして取り付けられ、第3の側壁31dの上部に、ガイドレール20に平行なスロット31gが形成される。また、測定体32の上面には、金属板29が取り付けられて、スロット31gを通って外部に突出している。そして、測定体32の可動体31に対する運動に伴って、金属板29がスロット31gに沿って運動し、測定体32(拡張板33)が可動体31の第1の側壁31aの壁面から所定の距離離れたときに、金属板29は、第2のセンサー28の検出部に接近し、第2のセンサー28によって検出されるようになっている。
【0077】
この実施例によれば、可動体および測定体が著しくコンパクトになるうえ、コイルバネの一定長を確保することができるので、厚さ測定時の圧力の調節が簡単に行える。