【実施例】
【0044】
<4.実施例>
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。ここでは、実施例1〜9及び比較例1〜7のシート状接続材料を用いて実装体を作製し、実装体の接続抵抗及び接着強度を測定し、評価した。
【0045】
[実施例1]
先ず、撹拌機、温度計、冷却器、及び窒素ガス導入管を備えた4ツ口フラスコに、ポリカーボネートジオール(Mn=2000、商品名:プラクセルCD220、ダイセル化学(株)製)300質量部と、ポリエーテルジオール(Mn=2000、商品名:エクセノール2020、旭硝子ウレタン(株)製)700質量部と、イソホロンジシソシアネート200質量部とを配合し、窒素気流下、80℃で5時間反応させて、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。これにトルエン512質量部を加えてウレタンプレポリマー溶液とした。
【0046】
次に、イソホロンジアミン31.2質量部、ジ−n−ブチルアミン12.8質量部、トルエン279質量部、メチルエチルケトン579質量部及びジアセトンアルコール579質量部からなる混合物に、ウレタンプレポリマー溶液1000質量部を添加し、50℃で3時間反応させ、固形分30%のポリカーボネートポリウレタン樹脂溶液(ポリウレタン樹脂)を得た。
【0047】
この合成したポリウレタン樹脂と、ラジカル重合性物質(商品名:EB600、ダイセル・サイテック(株)製)と、硬化剤(商品名:パーヘキサC、日本油脂(株)製)とを60:38:2の質量比で配合し、絶縁性バインダを作製した。そして、絶縁性バインダに導電性粒子(商品名:AUL704、積水化学工業(株)製)を体積比率10%で分散させ、PETフィルムに塗布・乾燥させることにより、厚さ20μmのシート状接続材料を作製した。
【0048】
[実施例2]
ポリカーボネートジオール(Mn=2000、商品名:プラクセルCD220、ダイセル化学(株)製)を400質量部、及びポリエーテルジオール(Mn=2000、商品名:エクセノール2020、旭硝子ウレタン(株)製)を600質量部とした以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0049】
[実施例3]
ポリカーボネートジオール(Mn=2000、商品名:プラクセルCD220、ダイセル化学(株)製)を500質量部、及びポリエーテルジオール(Mn=2000、商品名:エクセノール2020、旭硝子ウレタン(株)製)を500質量部とした以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0050】
[実施例4]
ポリカーボネートジオール(Mn=2000、商品名:プラクセルCD220、ダイセル化学(株)製)を600質量部、及びポリエーテルジオール(Mn=2000、商品名:エクセノール2020、旭硝子ウレタン(株)製)を400質量部とした以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0051】
[実施例5]
ポリカーボネートジオール(Mn=2000、商品名:プラクセルCD220、ダイセル化学(株)製)を700質量部、及びポリエーテルジオール(Mn=2000、商品名:エクセノール2020、旭硝子ウレタン(株)製)を300質量部とした以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0052】
[実施例6]
ポリカーボネートジオール(Mn=2000、商品名:プラクセルCD220、ダイセル化学(株)製)を800質量部、及びポリエーテルジオール(Mn=2000、商品名:エクセノール2020、旭硝子ウレタン(株)製)を200質量部とした以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0053】
[実施例7]
ポリカーボネートジオール(Mn=1000、商品名:プラクセルCD210、ダイセル化学工業(株)製)を500質量部、及びポリエーテルジオール(Mn=2000、商品名:エクセノール2020、旭硝子ウレタン(株)製)を500質量部とした以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0054】
[実施例8]
ポリカーボネートジオール(Mn=5000、商品名:クラレポリオール C−5090、クラレ(株)製)を500質量部、及びポリエーテルジオール(Mn=2000、商品名:エクセノール2020、旭硝子ウレタン(株)製)を500質量部とした以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0055】
[実施例9]
ポリカーボネートジオール(Mn=2000、商品名:プラクセルCD220、ダイセル化学(株)製)を500質量部、ポリエーテルジオール(Mn=2000、商品名:エクセノール2020、旭硝子ウレタン(株)製)を500質量部、及びイソホロンジシソシアネート400質量部とした以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0056】
[比較例1]
ポリカーボネートジオール及びポリエーテルジオールの代わりに、ポリエステルジオール(クラポールP2010、クラレ(株)製)を1000質量部配合した以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0057】
[比較例2]
ポリカーボネートジオールを配合せずに、ポリエーテルジオール(Mn=2000、商品名:エクセノール2020、旭硝子ウレタン(株)製)を1000質量部配合した以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0058】
[比較例3]
ポリカーボネートジオール(Mn=2000、商品名:プラクセルCD220、ダイセル化学(株)製)を1000質量部配合し、ポリエーテルジオールを配合しない以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0059】
[比較例4]
ポリカーボネートジオール(Mn=2000、商品名:プラクセルCD220、ダイセル化学(株)製)を200質量部、及びポリエーテルジオール(Mn=2000、商品名:エクセノール2020、旭硝子ウレタン(株)製)を800質量部とした以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0060】
[比較例5]
ポリカーボネートジオール(Mn=2000、商品名:プラクセルCD220、ダイセル化学(株)製)を500質量部配合し、ポリエーテルジオールを配合せずに、ポリエステルジオール(クラポールP2010、クラレ(株)製)を500質量部配合した以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0061】
[比較例6]
ポリカーボネートジオールを配合せずに、ポリエーテルジオール(Mn=2000、商品名:エクセノール2020、旭硝子ウレタン(株)製)を500質量部、及びポリエステルジオール(クラポールP2010、クラレ(株)製)を500質量部配合した以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0062】
[比較例7]
ポリカーボネートジオール(Mn=500、商品名:プラクセルCD205、ダイセル化学(株)製)を500質量部、及びポリエーテルジオール(Mn=2000、商品名:エクセノール2020、旭硝子ウレタン(株)製)を500質量部とした以外は、実施例1と同様にしてシート状接続材料を作製した。
【0063】
<評価>
実施例1〜9及び比較例1〜7のシート状接続材料をそれぞれ1.5mmにスリットし、これを緩衝材150μm厚のテフロンを用いたツール幅1.5mmの仮圧着機にて70℃−1MPa−1secの条件、ガラス基板(IZO、厚さ250nm)上に仮圧着させた。
【0064】
次いで、COF(Chip On Film用フィルム、50μmP(L/S=1/1)、Cu:8μmt、Sn plating、PI=38μmt)を仮圧着機にて80℃−0.5MPa−0.5secの圧着条件で仮固定し、最後に200℃−5MPa−10secの圧着条件にて1.5mmツールを用いた本圧着機で圧着し、各実装体を完成させた。
【0065】
このようにして得られた各実装体について、接続抵抗値及び接着強度を測定し、評価した。表1に評価結果を示す。また、接続抵抗値及び接着強度の測定は、次のように行った。
【0066】
[接続抵抗値の測定]
各実装体について、プレッシャークッカー試験(PCT)を行って接続抵抗値を評価した。初期及び85℃/85%/500hr投入後の接続抵抗値は、デジタルマルチメータ(横河電機社製)を用いて測定した。測定は、4端子法を用い、電流1mAを流して行った。
【0067】
[接着強度の測定]
各実装体について、プレッシャークッカー試験(PCT)を行って接着強度を評価した。初期及び85℃/85%/500hr投入後の接着強度は、引張試験機(AMD社製)を用いて測定した。測定は、90℃の温度において50mm/secの速度でCOFを引き上げて行った。
【0068】
【表1】
【0069】
表1から分かるように、ポリウレタン樹脂のソフトセグメントとして、ポリエステルジオールのみ用いた場合(比較例1)、ポリエステル骨格の加水分解によって高温・高湿環境後の接続抵抗値及び接着強度が劣化した。
【0070】
また、ポリウレタン樹脂のソフトセグメントとして、ポリエーテルジオールのみ用いた場合(比較例2)、耐熱水性に劣るため、高温・高湿環境後で同様に接続抵抗値及び接着強度が劣化した。
【0071】
また、ポリウレタン樹脂のソフトセグメントとして、ポリカーボネートジオールのみ用いた場合(比較例3)、耐熱性及び耐湿性に優れていたものの、良好な接着強度が得られなかった。
【0072】
また、ポリウレタン樹脂のソフトセグメントとして、ポリカーボネートジオールとポリエステルジオールとを配合した場合(比較例5)、ポリエステル骨格の加水分解によって高温・高湿環境後の接続抵抗値及び接着強度が劣化した。
【0073】
また、ポリウレタン樹脂のソフトセグメントとして、ポリエーテルジオールとポリエステルジオールとを配合した場合(比較例6)、ポリエステル骨格の加水分解によって高温・高湿環境後の接続抵抗値及び接着強度が劣化した。
【0074】
また、ポリウレタン樹脂のソフトセグメントとして、ポリカーボネートジオールとポリエーテルジオールとを質量比で、(ポリカーボネートジオール):(ポリエーテルジオール)=2:8の割合で配合した場合(比較例4)、高温・高湿環境後の接続抵抗値及び接着強度が劣化した。
【0075】
また、ポリウレタン樹脂のソフトセグメントとして、ポリカーボネートジオールとポリエーテルジオールとを質量比で、(ポリカーボネートジオール):(ポリエーテルジオール)=0:10の割合で配合した場合(比較例3)、耐熱性及び耐湿性に優れていたものの、良好な接着強度が得られなかった。
【0076】
一方、ポリウレタン樹脂のソフトセグメントとして、ポリカーボネートジオールとポリエーテルジオールとを質量比で、(ポリカーボネートジオール):(ポリエーテルジオール)=3:7〜8:2の割合で配合した場合(実施例1〜6)、高温・高湿環境後においても良好な接続抵抗値及び接着強度が得られた。
【0077】
また、ポリウレタン樹脂のソフトセグメントとして、ポリカーボネートジオールとポリエーテルジオールとを配合し、ポリカーボネートジオールに数平均分子量Mnが500のものを用いた場合(比較例7)、架橋密度が高くなり、脆くなるため、良好な接着強度が得られなないが、ポリカーボネートジオールに数平均分子量Mnが1000〜5000のものを用いた場合(実施例3、7、8)、良好な接着強度が得られた。
【0078】
また、ポリオールとポリイソシアネートとの仕込み質量比が1000:400である場合(実施例9)も、仕込み質量比が1000:200の場合(実施例3)と同様、良好な接続抵抗値及び接着強度が得られた。