(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5713630
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】収納構造
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
E04F19/08 102B
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-248657(P2010-248657)
(22)【出願日】2010年11月5日
(65)【公開番号】特開2012-97540(P2012-97540A)
(43)【公開日】2012年5月24日
【審査請求日】2013年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183428
【氏名又は名称】住友林業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077241
【弁理士】
【氏名又は名称】桑原 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 朋広
【審査官】
五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−167956(JP,A)
【文献】
特開平07−026648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間とこの収納空間外の空間とを、この収納空間の出し入れ開口を開放可能に塞ぐ戸とこの出し入れ開口上の壁部とによって仕切ってなる収納の構造であって、
前記収納空間を上下に区分する中間棚と、
この中間棚上の空間を前記出し入れ開口の上縁位置において上下に区分する上棚とを有しており、
この上棚の受け部材が、前記収納空間を構成する奥壁、左右側壁、及び前記出し入れ開口上の壁部の内面となる前壁に設けられていると共に、
上棚における、前記前壁と、この前壁に設けられた受け部材と前記奥壁に設けられた受け部材との間に架設される一対の前後補助受け部材と、この前壁との間に間隔を開けてこの一対の前後補助受け部材間に亘る左右補助受け部材とに囲繞された箇所が、前記上棚上の空間に対する出し入れ開放部となっており、
しかも、一対の前後補助受け部材の少なくとも一方と側壁との間に位置される箇所に、追加前後補助受け部材が備えられていると共に、
上棚における、この追加前後補助受け部材と側壁との間に位置される箇所が、上棚の一部をなす蓋板体によって取り外し可能に閉塞された追加開放部となっており、
前記追加開放部の直下において、側壁と中間棚との間に隙間を形成させていることを特徴とする収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、押し入れや、クローゼットなどの収納の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅においては、押し入れの上方にさらに天袋を設けて、収納量を増やす造作がなされている。また、押し入れの中に、さらに枕棚を設けて収納量を増やすようにすることも行われている。しかるに、前者の場合には、それを設けたことによる収納量の増加に必ずしもそれを設けるための施工手間及びコストが見合っているといえない場合もあり、また、後者の場合には、枕棚は押し入れの奥壁によって支持されるため、枕棚の出幅は大きくし難く、したがってかかる枕棚によって収納量を増やすことには自ずと限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、単一の収納空間内に、天袋と同じように利用可能な収納可能箇所を容易かつ適切に備え付け可能とする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、収納構造を、収納空間とこの収納空間外の空間とを、この収納空間の出し入れ開口を開放可能に塞ぐ戸とこの出し入れ開口上の壁部とによって仕切ってなる収納の構造であって、
前記収納空間を上下に区分する中間棚と、
この中間棚上の空間を前記出し入れ開口の上縁位置において上下に区分する上棚とを有しており、
この上棚の受け部材が、前記収納空間を構成する奥壁、左右側壁、及び前記出し入れ開口上の壁部の内面となる前壁に設けられていると共に、
上棚における、前記前壁と、この前壁に設けられた受け部材と前記奥壁に設けられた受け部材との間に架設される一対の前後補助受け部材と、この前壁との間に間隔を開けてこの一対の前後補助受け部材間に亘る左右補助受け部材とに囲繞された箇所が、前記上棚上の空間に対する出し入れ開放部となっているものとした。
【0005】
かかる構成によれば、上棚は受け部材、前後補助受け部材及び左右補助受け部材によって安定的に支持され、上棚上への物品の納め入れ、及び納めた物品のそこからの取り出しは、出し入れ開口側に形成された出し入れ開放部を利用して円滑になすことができる。
【0006】
前記一対の前後補助受け部材の少なくとも一方と側壁との間に位置される箇所に、追加前後補助受け部材を備えさせると共に、
上棚における、この追加前後補助受け部材と側壁との間に位置される箇所を、上棚の一部をなす蓋板体によって取り外し可能に閉塞された追加開放部としておくこともある。
【0007】
この場合にはさらに、追加開放部の直下において、側壁と中間棚との間に隙間を形成させるようにしておくこともある。
【0008】
このようにした場合、前記追加開放部を利用して、収納状態において高さを持つ物品の上側を上棚上に逃してこのような物品を収納空間の側壁側に無理なく納めるようにすることができる。また、前記追加開放部の直下において、側壁と中間棚との間に隙間を形成させておけば、収納状態において収納空間の底から上棚までの寸法以上の高さを持つ物品も収納空間の側壁側に無理なく納めることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、収納空間の出し入れ開口の上方に、上棚によって天袋と同じように利用可能な収納可能箇所を容易かつ適切に備えさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は実施の形態にかかる収納構造
(参考例)の要部を示した斜視構成図である。
【
図2】
図2は実施の形態にかかる収納構造
(参考例)の縦断面図である。
【
図4】
図4は実施の形態にかかる収納構造
(参考例)の要部分離斜視構成図である。
【
図5】
図5は
図1〜
図4に示される収納構造
(参考例)の構成の一部を変更してなる実施の形態にかかる収納構造の要部を示した斜視構成図である。
【
図6】
図6は
図5に示される実施の形態にかかる収納構造の要部分離斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1〜
図6に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかる収納構造は、押し入れや、クローゼットなどの住宅などの収納に利用されるものである。
【0012】
具体的には、かかる収納構造は、収納空間1とこの収納空間1外の空間2とを、この収納空間1の出し入れ開口3を開放可能に塞ぐ戸4(引き戸や開き戸などの戸)とこの出し入れ開口3上の壁部5とによって仕切ってなる収納に適用されるものである。図示の例では、前記出し入れ開口3を引き戸4aにより閉塞するようにした例を示している。
【0013】
かかる収納構造は、前記収納空間1を上下に区分する中間棚6と、この中間棚6上の空間を前記出し入れ開口3の上縁位置において上下に区分する上棚7と、かかる上棚7の受け部材8とを備えてなる。
【0014】
かかる上棚7の受け部材8は、前記収納空間1を構成する奥壁1a、左右側壁1b、1b、及び前記出し入れ開口3上の壁部5の内面となる前壁1cに設けられている。
【0015】
それと共に、前記上棚7における、前記前壁1cと、この前壁1cに設けられた受け部材8と前記奥壁1aに設けられた受け部材8との間に架設される一対の前後補助受け部材9、9と、この前壁1cとの間に間隔を開けてこの一対の前後補助受け部材9、9間に架設される左右補助受け部材8とに囲繞された箇所が、前記上棚7上の空間1’に対する出し入れ開放部11となっている。
【0016】
図示の例では、前記受け部材8を、その長さ方向に直交する向きの断面を略L字状とする棒状体によって構成させている。すなわち、受け部材8は、縦部分8aと、この縦部分8aの下端から水平方向に突き出す横部分8bとを有し、縦部分8aにおける横部分8bの突きだし側と反対の背面を前記奥壁1aなどに密着させた状態でこの奥壁1aなどに止着されている。
【0017】
また、図示の例では、前記一対の前後補助受け部材9、9を、その長さ方向に直交する向きの断面を略T字状とする棒状体によって構成させている。すなわち、前後補助受け部材9は、縦部分9aと、この縦部分9aの下端から水平方向に突き出す左右の横部分9b、9bとを有している。前後補助受け部材9の後端は奥壁1aに設けられた受け部材8に組み合わされて固定され、また、前後補助受け部材9の前端は前壁1cに設けられた受け部材8に組み合わされて固定されている。図示の例では、右側の前後補助受け部材9は、収納空間1の幅方向略中程の位置Sを挟んだ右側において、この中程の位置Sと右側の側壁1bとの中間となる位置に設けられている。また、左側の前後補助受け部材9は、収納空間1の幅方向略中程の位置Sを挟んだ左側において、この中程の位置Sと左側の側壁1bとの中間となる位置に設けられている。
【0018】
また、図示の例では、前記左右補助受け部材10を、その長さ方向に直交する向きの断面を略L字状とする棒状体によって構成させている。すなわち、左右補助受け部材10は、縦部分10aと、この縦部分10aの下端から水平方向に突き出す横部分10bとを有している。左右補助受け部材10の右端は右側の前後補助受け部材9に組み合わされて固定され、また、左右補助受け部材10の左端は左側の前後補助受け部材9に組み合わされて固定されている。左右補助受け部材10の横部分10bは奥壁1a側に突き出すように左右補助受け部材10は配されている。
【0019】
図示の例では、奥壁1aと右側の側壁1bと前壁1cと右側の前後補助受け部材9との間に張り込まれる右側板体7aと、奥壁1aと左側の側壁1bと前壁1cと左側の前後補助受け部材9との間に張り込まれる左側板体7bと、奥壁1aと一対の前後補助受け部材9、9と左右補助受け部材10との間に張り込まれる奥側板体7cとによって、上棚7が構成されている。前壁1cと一対の前後補助受け部材9、9と左右補助受け部材10との間が前記出し入れ開放部11となっている。各板体7a、7b、7cは、その縁部を、対応する受け部材8、前後補助受け部材9及び左右補助受け部材10の横部分8b、9b、10bによって下方から支持される。
【0020】
この実施の形態にかかる収納構造によれば、前記収納空間1の出し入れ開口3の上方に、前記上棚7によって天袋と同じように利用可能な収納可能箇所を容易かつ適切に備えさせることができる。すなわち、上棚7は受け部材8、前後補助受け部材9及び左右補助受け部材10によって安定的に支持され、上棚7上への物品の納め入れ、及び納めた物品のそこからの取り出しは、出し入れ開口3側に形成された出し入れ開放部11を利用して円滑になすことができる。
【0021】
図5は、前記一対の前後補助受け部材9、9の一方、図示の例では右側の前後補助受け部材9と右側の側壁1bとの間に位置される箇所に、さらに追加前後補助受け部材12を備えさせると共に、上棚7における、この追加前後補助受け部材12と右側の側壁1bとの間に位置される箇所を、上棚7の一部をなす蓋板体(図示は省略する。)によって取り外し可能に閉塞された追加開放部13とした例を示している。図示は省略するが、さらに左側の前後補助受け部材9と左側の側壁1bとの間に位置される箇所に、さらに追加前後補助受け部材を備えさせると共に、上棚7における、この追加前後補助受け部材と左側の側壁1bとの間に位置される箇所を、追加開放部とするようにしても良い。
【0022】
追加前後補助受け部材12は、その長さ方向に直交する向きの断面を略T字状とする棒状体によって構成させている。すなわち、追加前後補助受け部材12は、縦部分12aと、この縦部分12aの下端から水平方向に突き出す左右の横部分12b、12bとを有している。追加前後補助受け部材12の後端は奥壁1aに設けられた受け部材8に組み合わされて固定され、また、追加前後補助受け部材12の前端は前壁1cに設けられた受け部材8に組み合わされて固定されている。
【0023】
この
図5に示される例のようにした場合、この追加開放部13を利用して、収納状態において高さを持つ物品の上側を上棚7上に逃してこのような物品を収納空間1の側壁1b側に無理なく納めるようにすることができる。
【0024】
また、この
図5に示される例にあっては、前記追加開放部13の直下において、側壁1bと中間棚6との間に隙間14を形成させている。中棚の幅寸法は収納空間1の幅寸法よりも小さく、図示の例ではこの中棚の右辺と右側の側壁1bとの間に、前記追加開放部13の幅分の隙間14が形成されるようにしてある。このようにしておけば、収納状態において収納空間1の底から上棚7までの寸法以上の高さを持つ物品も収納空間1の側壁1b側に無理なく納めることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 収納空間
1a 奥壁
1b 側壁
1c 前壁
3 出し入れ開口
6 中間棚
7 上棚
8 受け部材
9 前後補助受け部材
10 左右補助受け部材
11 出し入れ開放部