特許第5713639号(P5713639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5713639
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】建具用錠前
(51)【国際特許分類】
   E05B 41/00 20060101AFI20150416BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   E05B41/00 E
   E05B47/00 J
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-255839(P2010-255839)
(22)【出願日】2010年11月16日
(65)【公開番号】特開2012-107411(P2012-107411A)
(43)【公開日】2012年6月7日
【審査請求日】2013年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】小川 健二
(72)【発明者】
【氏名】浦田 藤久
【審査官】 川島 陵司
(56)【参考文献】
【文献】 特許第2894625(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 41/00
E05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉に設けられた長尺状の錠箱と、この錠箱内に設けられ、操作手段の操作力又は/及び駆動源の駆動力により施錠方向及び解錠方向へ回動するダルマと、このダルマの回動に基づいて錠箱から進退動するデッドボルトと、錠箱内に設けられかつ錠前の施・解錠状態を検出する検出装置とを含む建具用錠前に於いて、前記検出装置は、錠箱に回転自在に軸支されると共に周端部の一部に当り部を有する回転体と、この回転体の近傍に配設された一つのフォトセンサーと、該フォトセンサーに対して、その長片部分の先端が遮蔽状態に接近乃至離れて該遮蔽状態を解消するように、一方、その短片部分の端部が前記当り部と押圧状態で係脱するように中間部寄りの部位が軸支されたテコ式スイッチ片とから成り、前記テコ式スイッチ片は、その長片部分の先端が前記フォトセンサーから離れるようにバネ端支持部が付勢バネにより付勢されている建具用錠前。
【請求項2】
請求項1に於いて、建具用錠前は電気錠であると共に、また回転体は歯車体であり、検出装置の一部を構成する部材のみならず、駆動源の駆動力を他の部材に伝達するための動力伝達手段の一部を構成していることを特徴とする建具用錠前。
【請求項3】
請求項1に於いて、長尺状の錠箱内には、駆動源の駆動力を伝達する動力伝達手段が配設され、歯車体は該動力伝達手段としての歯車群を構成する一つの小歯車の軸に揺動自在に軸支されていることを特徴とする建具用錠前。
【請求項4】
扉に設けられた長尺状の錠箱と、この錠箱内に設けられ、操作手段の操作力又は/及び駆動源の駆動力により施錠方向及び解錠方向へ回動するダルマと、このダルマの回動に基づいて錠箱から進退動するデッドボルトと、錠箱内に設けられかつ錠前の施・解錠状態を検出する検出装置とを含む建具用錠前に於いて、前記検出装置は、周端部の一部に当り部を有する回転体としての前記ダルマと、このダルマの近傍に配設された一つのフォトセンサーと、該フォトセンサーに対して、その長片部分の先端が遮蔽状態に接近乃至離れて該遮蔽状態を解消するように、一方、その短片部分の端部が前記当り部と押圧状態で係脱するように中間部寄りの部位が軸支されたテコ式スイッチ片とから成り、前記テコ式スイッチ片は、その長片部分の先端が前記フォトセンサーから離れるようにバネ端支持部が付勢バネにより付勢されている建具用錠前。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建具用錠前に関し、特に、施錠状態、解錠状態、連続解錠状態等の状態信号を検出する検出装置を備えた建具用錠前に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図8には、「電気錠の駆動箱に回動可能に支承された駆動軸に、センサー用識別部を有する回転板を一体的に設け、一方、前記回転体の外面に対して配設され、かつ前記センサー用識別部の位置状態を検出するフォトセンサーを備えているセンサー支持体を駆動箱内に固定し、前記駆動箱内或いは駆動箱外の箇所に前記フォトセンサーから出力された検知信号を取得して前記駆動モータを駆動制御する制御部を設けた電気錠の駆動軸駆動機構の制御装置」が記載されている。
【0003】
この特許文献1は、出願人が次の理由から貴庁に提案したものである。すなわち、電気錠の施・解錠状態(具体的には、デッドボルトの位置、サムターン摘みのポジション位置等)を検知する場合に於いて、接触型スイッチの可動接片を用いる方式は、安定した位置検出及び駆動箱内の省スペース化を両立するという発明の課題を十分に達成することができないことから、駆動モータ用の駆動停止信号を安定的に取得する、駆動箱内の省スペースを有効的に活用する、駆動箱内へセンサーを容易に組込みこむことができる等の諸問題を十分に解決することである。
【0004】
ところで、建具用錠前の錠箱は、例えば扉の自由端部に取り付けられるので、普通一般に上下方向に長く、扉の厚み方向である前後方向の幅は非常に狭い。そして、この長尺状錠箱の内部空間には、例えば電気錠であれば、駆動源としての駆動モータ、電気錠用プリント基板、動力伝達手段、クラッチ機構、錠前の施・解錠に関する状態信号検出装置、ダルマ、デッドボルト等の施・解錠機構を構成する各部材や部品を組み込むので、内部空間を有効的に活用することが求められる。そこで、現在、この種の錠箱が、普通一般に前後方向の幅が狭く、内部空間に余裕がないことを前提として、前記状態信号検出装置の工夫が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−221690号公報の図8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明の所期の目的は、内部空間の前後方向の幅に比較的余裕がない長尺状錠箱に、錠前の状態信号を取得することができる検出装置を組み込むことができると共に、スイッチ片の長片部分の先端部の位置変位の範囲を拡大して錠前の状態信号を確実に取得することである。第2の目的は、フォトセンサーに対して、スイッチ片が確実に接近乃至離れることである。また、極力、部品点数を少なくすると共に、内部空間の所望する箇所にスイッチ片を配設することができることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の建具用錠前は、扉に設けられた長尺状の錠箱と、この錠箱内に設けられ、操作手段の操作力又は/及び駆動源の駆動力により施錠方向及び解錠方向へ回動するダルマと、このダルマの回動に基づいて錠箱から進退動するデッドボルトと、錠箱内に設けられかつ錠前の施・解錠状態を検出する検出装置とを含む建具用錠前に於いて、前記検出装置は、錠箱に回転自在に軸支されると共に周端部の一部に当り部を有する回転体と、この回転体の近傍に配設された一つのフォトセンサーと、該フォトセンサーに対して、その長片部分の先端が遮蔽状態に接近乃至離れて該遮蔽状態を解消するように、一方、その短片部分の端部が前記当り部と押圧状態で係脱するように中間部寄りの部位が軸支されたテコ式スイッチ片とから成り、前記テコ式スイッチ片は、その長片部分の先端が前記フォトセンサーから離れるようにバネ端支持部が付勢バネにより付勢されている
【0008】
また、本発明の建具用錠前は、扉に設けられた長尺状の錠箱と、この錠箱内に設けられ、操作手段の操作力又は/及び駆動源の駆動力により施錠方向及び解錠方向へ回動するダルマと、このダルマの回動に基づいて錠箱から進退動するデッドボルトと、錠箱内に設けられかつ錠前の施・解錠状態を検出する検出装置とを含む建具用錠前に於いて、前記検出装置は、周端部の一部に当り部を有する回転体としての前記ダルマと、このダルマの近傍に配設された一つのフォトセンサーと、該フォトセンサーに対して、その長片部分の先端が遮蔽状態に接近乃至離れて該遮蔽状態を解消するように、一方、その短片部分の端部が前記当り部と押圧状態で係脱するように中間部寄りの部位が軸支されたテコ式スイッチ片とから成り、前記テコ式スイッチ片は、その長片部分の先端が前記フォトセンサーから離れるようにバネ端支持部が付勢バネにより付勢されている
【発明の効果】
【0009】
(a)一つのフォトセンサーを用いたので、内部空間の前後方向の幅に比較的余裕がない長尺状の錠箱に、建具用錠前の状態信号を取得することができ検出装置を容易に組み込むことができると共に、スイッチ片の長片部分の先端の移動する範囲を拡大させて、前記状態信号を確実に取得することができる。また、付勢バネを設けたので、フォトセンサーに対して、接近乃至離れる。さらに、必ずしもスイッチ片の重心や形状に捉われず、該スイッチ片の形状を自由に設計してスイッチ片を確実に開閉させることができると共に、信号発生器(フォトセンサー)の部品点数を少なくすることができる。
(b)請求項2に記載の発明は、建具用錠前は電気錠であると共に、また回転体は歯車体なので、長尺状の錠箱の内部空間を有効的に活用することができる最適な実施形態である。
(c)
(d)請求項3に記載の発明は、部品点数を少なくすることができる。
(e)請求項4に記載の発明は、電気錠でない、普通一般の機械式錠前にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1乃至図5は、本発明の第1実施形態を示す各説明図。図6は第2実施形態の説明図。図7乃至図10は第3実施形態の各説明図。図11及び図12は第4実施形態の各説明図。
図1】本発明の主要部を適用した電気錠の概念図。
図2】施錠状態の概略説明図。
図3】解錠状態の概略説明図。
図4】検出装置Yの主要部を分解的に示した概略説明図。
図5】解錠状態から施錠状態になった場合の概略説明図。
図6】第2検出装置Y1を加味した第2実施形態の図2と同様の図(第2実施形態)。
図7】本発明の第3実施形態を示す図2と同様の説明図(施錠状態)。
図8】解錠状態から施錠状態へ移行する作用の説明図。
図9】解錠状態の説明図。
図10】施錠状態から解錠状態へ移行する作用の説明図。
図11】本発明の第4実施形態を示す図2と同様の説明図。
図12】第4実施形態の作用を示す説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(1)環境部材
図1は本発明の主要部を適用した電気錠の概略説明図(概念図)である。図2図1に示した電気錠の一例を示す概略説明図である(なお、図2は本発明の主要部のみを示し、クラッチ機構等は省略している)。
【0012】
まず、これらの図に於いて、Xは電気的にも機械的にもデッドボルト(以下、「デッド」という。)が出没可能な電気錠、1は戸枠、2は受け具、3は開閉体としての扉、4は長尺状の錠箱、6は制御部、7はコネクタを含む配線手段、8は電気錠制御用プリント基板、9はフロント板4aに形成した開口、10は電気的駆動源(例えば駆動モータ)、11は後述する回転体(検出装置を構成する歯車体)を含む動力伝達手段、12は動力伝達手段側からの動力を伝達又は後述するダルマ側からの動力を切断するクラッチ機構、そして、Yは電気錠Xの施・解錠状態に関する状態信号を検出する検出装置、13はダルマ、14はダルマの回動に基づいて前記錠箱4の開口9から進退動するデッドである。
【0013】
次に、図1に於いて、制御部6は出力部15を有し、該出力部15には表示部16が電気的に接続している。また、制御部6には解錠信号発生手段17や図示しないモード切換手段等も電気的に接続している。制御部6は、例えば室内の適宜箇所に配設された住宅用電気錠操作盤の操作パネルに設けられ、該操作パネルは図示しない連続解錠用ボタン、自動施錠用ボタン、一回解錠用ボタン等の複数固の操作ボタンを有している。これらの信号処理の関しては本発明の特定要件ではないので、詳細な説明は割愛する。
【0014】
さて、制御部6は錠箱4内のプリント基板8側から施錠状態、解錠状態等の状態信号を取得し、一方、プリント基板8側に駆動モータ10用の起動信号や停止信号を送信する。したがって、例えば起動信号に基づいて電気的駆動源10が駆動すると、動力伝達手段11は所定方向に回転し、その結果、後述の検出装置Yを構成する回転体の一例としての歯車体20が所要量回転する。本発明は、前記検出装置Yに特徴がある。
【0015】
(2)本発明の前提要件
本発明の建具用錠前Xは、扉3に設けられた長尺状の錠箱4と、この錠箱4内に設けられ、操作手段(キーやサムターン摘み)の操作力又は/及び駆動源(例えば駆動モータ、駆動バネ等)10の駆動力により施錠方向及び解錠方向へ回動するダルマ13と、このダルマの回動に基づいて前記錠箱4から進退動するデッド14と、錠箱4内に設けられかつ錠前の施・解錠状態を検出する検出装置Yとを含むことが前提要件である。そして、本発明の建具用錠前Xは、望ましくは、多数の部材や部品が長尺状の錠箱4の内部空間に組み込まれる電気錠に適用される。
【0016】
(3)本発明の特徴事項
本発明の特徴事項は、扉の厚み方向に相当する前後方向の幅が非常に狭く、内部空間に余裕がない長尺状の錠箱4に組み込まれた検出装置Yである。
【0017】
しかして、検出装置Yは、施錠状態の図2、解錠状態の図3等で示すように、長尺状の錠箱4に回転自在に軸支されると共に周端部の一部に当り部を有する回転体(例えば歯車体)20と、この歯車体に近傍に配設された状態信号検出手段としてのフォトセンサー21と、該フォトセンサーに対して、その長片部分の先端部が接近乃至離れるように、一方、その短片部分の後端部が前記当り部と係脱するように中間部が軸支されたスイッチ片23とから成り、望ましくは、該スイッチ片の前記長片部分の先端部が前記フォトセンサーから離れる方向へ付勢する付勢バネ24を含む。
【0018】
付言すると、本発明の建具用錠前Xは、 扉に設けられた長尺状の錠箱4と、この錠箱内に設けられ、操作手段の操作力又は/及び駆動源の駆動力により施錠方向及び解錠方向へ回動するダルマと、このダルマの回動に基づいて錠箱から進退動するデッドボルト14と、錠箱内に設けられかつ錠前の施・解錠状態を検出する検出装置Yとを含む建具用錠前に於いて、前記検出装置Yは、錠箱4に回転自在に軸支されると共に周端部の一部に当り部32を有する回転体20と、この回転体の近傍に配設された一つのフォトセンサー21と、該フォトセンサーに対して、その長片部分23aの先端が遮蔽状態に接近乃至離れて該遮蔽状態を解消するように、一方、その短片部分23bの端部が前記当り部と押圧状態で係脱するように中間部寄りの部位23cが軸支されたテコ式スイッチ片23とから成り、前記テコ式スイッチ片23は、その長片部分23aの先端が前記フォトセンサー21から離れるようにバネ端支持部39が付勢バネ24により付勢されている。
【0019】
(4)検出装置Yの具体的構成
図4は検出装置Yの主要部を分解的に示した概略説明図、図5は解錠状態から施錠状態になった場合の概略説明図である。これらの図に於いて、まず、31は歯車体20の中心軸で、この中心軸31は錠箱に横設軸架されている。32は歯車体20の周端部の一部に設けられた当り部で、本実施形態では、当り部32は短柱状の突起で、その外周面は円形である。もちろん、当り部32の形状は発明の目的を逸脱しない範囲内で、五角形、六角形等の多角形にし、又は半円弧状の突起に形成することも出来る。
歯車体20は、前述したように、本実施形態では、検出装置Yの一部を構成する部材のみならず、駆動モータ10の駆動力を直接又は間接的に他の部材に伝達するための動力伝達手段11の一部を構成している。
【0020】
次に、状態信号検出手段としてのフォトセンサー21は、歯車体20の近傍に配設されている。本実施形態では、図2及び図3で示すように、電気錠制御用プリント基板8の下端部側に一体的に又は別体にセンサー基板35を介して錠箱4の一側内壁面に固定されている。
【0021】
フォトセンサー21は、周知のように、発光側(LED)の側壁部21aと、該発光側の側壁部に所定間隙aを有して対向する受光側(フォトトランジスタ)の側壁部21bとを有している。ここで「状態信号」とは、解錠状態、施錠状態、連続解錠状態等をいう。具体的には、例えばデッド14が錠箱4の開口9から完全に突出した状態(その状態を「原点位置」とする。)、デッド14が錠箱4内に完全に後退した状態である。したがって、本実施形態のフォトセンサー21は、錠前の状態信号を検出するものである。
【0022】
次に、スイッチ片23は、その中間部寄りの部位が支軸36を介して揺動自在に軸支されている。本実施形態では、前記支軸36は、動力伝達手段11としての歯車群を構成する一つの小歯車11aの軸と兼用している。
【0023】
しかして、スイッチ片23は、「テコの原理」を応用したものであり、例えば図5の支軸36を基準にすると、図面上左側の人差し指状に延びた長片部分23aの先端部は、フォトセンサー21の発光側(LED)と受光側(フォトトランジスタ)に対して、互いを遮蔽するように接近乃至遮蔽状態を解消するように離れることが可能であり、一方、図面上右側の親指状の短片部分23bの端部は、歯車体20の周端部の小突起状当り部32と係脱することが可能である。
【0024】
ところで、本実施形態では、テコ式スイッチ片23の中間部寄りの部位には、前述した支軸36用の軸孔23cが形成されている。また、長片部分23aの先端部には、そのややは幅広の下端部がフォトセンサー21の所定間隙aに入り込み乃至出たりすることができる細長状の遮蔽突片38が一体的に設けられている。そして、該細長状の遮蔽突片38の上端部には、長片部分23aに直交して水平方向に延在する棒状のバネ端支持部39が形成されている。
【0025】
最後に、テコ式スイッチ片23を所定方向へ付勢する付勢バネ24は、その中央部分24aが錠箱内の固定支軸41に巻装され、一端部24bは錠箱内の支持ピン42に支持され、他端部24cは前述の棒状バネ端支持部39に圧接している。付言すると、本実施形態では、付勢バネ24は、テコ式スイッチ片23の長片部分の先端部の遮蔽突片38がフォトセンサー21から離れる方向へと付勢している。
【0026】
(5)作用
本実施形態では、歯車体20が回転することにより、その当り部32がテコ式スイッチ片23の短片部分23bの端部に接離する結果、フォトセンサー21が「ON」、「OFF」の状態信号を検知することができる。
【0027】
すなわち、図2は施錠状態の概略説明図であるが、このように解錠状態から施錠状態になった場合を図5で示す。解錠状態(図3を参照)では、歯車体20の当り部32はテコ式スイッチ片23の短片部分23bの端部から離れるので、テコ式スイッチ片23は付勢バネ24のバネ力により、フォトセンサー21の所定間隙aから離れる。
【0028】
これに対して、施錠状態(図2を参照)では、歯車体20の当り部32はテコ式スイッチ片23の短片部分23bの端部の内面を押圧しながら接触するので、テコ式スイッチ片23は支軸36を支点として、かつ、付勢バネ24のバネ力に抗して矢印で示す方向へと回転し、その長片部分の先端部の遮蔽突片38がフォトセンサー21の所定間隙aに入り込む。このような作用は、特に図示しないが、施錠状態(図2を参照)から解錠状態(図3を参照)にモードが切り換る場合も同様である。
【実施形態】
【0029】
まず、図6は第2検出装置Y1を加味した第2実施形態の図2と同様の図である。この第2実施形態では、直線的に往復動する摺動部材、例えばデッド14の中央部乃至後端部の一側壁に突起状の当り部32Aを設け、第1実施形態の検出装置Yと同一構成の第2検出装置Y1を、前記デッド14よりも下方の空間部分に組み込んだものである。なお、第2検出装置Y1の具体的構成の説明は割愛する。
【0030】
次に、図7乃至図10は本発明の第3実施形態を示す検出装置Y2である。第1実施形態の検出装置Yは、テコ式スイッチ片23の長片部分23aの先端がフォトセンサー21から離れる方向へ付勢する付勢バネ24を含むが、この検出装置Y2では、前記テコ式スイッチ片23の重心・形状等に工夫をすることにより、前記付勢バネ24を、発明の特定要件とはしていない。
【0031】
しかして、(a)この検出装置Y2の回転体としての歯車体20Bは、その一側表面に合計2個の当り部32a、32bを周方向に、例えば略45度の間隔を隔てて有している点、(b)テコ式スイッチ片23Bは、その長片部分23aの重心が支軸36よりもフォトセンサー21に位置する指状の形状であり、しかも、前記長片部分23aのフォトセンサー21が位置する反対側の一辺は、適宜に切欠45されている点、(c)歯車体20Bの回転範囲が、例えば第1実施形態の歯車体より少なく、合計2個の当り部32a、32bが選択的にテコ式スイッチ片23Bの短片部分23bの端部に当接する点である。
上記のように構成すると、図示しないテコ式スイッチ片23B用のストッパーピンや付勢バネを設けることなく、本発明の第1実施形態と同一の目的(例えば、少なくとも、一つの状態信号を確実に取得すること。)を達成することができる。
【0032】
そこで、図8を参照にして、施錠状態に成る場合の作用を説明すると、(a)解錠状態の時、この実施例では、テコ式スイッチ片23Bの長片部分23aがフォトセンサー21の隙間aに完全に入り込んでいる。そこで、歯車体20Bが、今仮に矢印で示す反時計方向へと回転し始めると、ハッチングで示した左側の当り部32bがテコ式スイッチ片23Bの短片部分23bの端部から離れ、一方、非ハッチングの右側の当り部32aが前記短片部分23bの端部へと接近する。この場合、途中状態の時、テコ式スイッチ片23Bの長片部分23aは、まだフォトセンサー21の隙間aに完全に入り込んだままである。そして、一番右側の図で示すように、やがて前記右側の当り部32aが前記短片部分23bの端部に当って押圧すると、テコ式スイッチ片23Bは支軸36を支点にして、矢印で示すように時計方向へと回転し、その長片部分23aがフォトセンサー21の隙間aから離れる。したがって、施・解錠状態に関する施錠状態を所望する時点で確実に取得することができる。
【0033】
(b)図9は解錠状態を示す説明図である。図10は施錠状態から解錠状態へと移行する場合の作用の一例を示す説明図である。施錠状態から解錠状態へと移行する場合は、図8の態様と逆に成る。但し、その中途状態の時に、テコ式スイッチ片23Bの長片部分23aがフォトセンサー21の隙間aに完全に入り込んでしまう点が、第1実施例とは若干異なる。
【0034】
なお、上記の第3実施形態に於いて、長片部分23aのフォトセンサー21が位置する反対側の一辺に適宜に切欠45しているが、該切欠45は発明の本質的事項ではない。その理由は、例えば支軸36を金属材で成形され、一方、テコ式スイッチ片23Bが硬質の合成樹脂材で成形されており、前記支軸36の外周面とテコ式スイッチ片23Bの軸孔23cの内周面とが互いに摩擦するような構成であれば、テコ式スイッチ片23は、どの回転位置でも「静止状態」を維持することができるので、上述した(b)の態様の場合であっても、所望する位置にて解錠信号を取得することができる。
【0035】
最後に、図11及び図12は本発明の第4実施形態を示す。この第4実施形態の構成は第1実施例形態のそれと同一なので、説明の便宜上、第1実施例形態の符号をそのまま援用している。
【0036】
しかして、この第3実施形態の建具用錠前X1は、扉に設けられた長尺状の錠箱4と、この錠箱内に設けられ、操作手段の操作力又は/及び駆動源の駆動力により施錠方向及び解錠方向へ回動するダルマ13と、このダルマの回動に基づいて錠箱から進退動するデッドボルト14と、錠箱内に設けられかつ錠前の施・解錠状態を検出する検出装置とを含む建具用錠前に於いて、前記検出装置は、周端部の一部に当り部を有する回転体としての前記ダルマ13と、このダルマの近傍に配設された一つのフォトセンサー21と、該フォトセンサーに対して、その長片部分23aの先端が遮蔽状態に接近乃至離れて該遮蔽状態を解消するように、一方、その短片部分23bの端部が前記当り部32と押圧状態で係脱するように中間部寄りの部位23cが軸支されたテコ式スイッチ片23とから成り、前記テコ式スイッチ片23は、その長片部分23aの先端が前記フォトセンサー21から離れるようにバネ端支持部39が付勢バネ24により付勢されている。
【0037】
この第4実施形態から明らかなように、本発明の本質的事項は、長尺状の錠箱4の内部空間に検出装置Yを組み込んだことであり、該検出装置Yの回転体は、その全周又は一部にギヤを有する歯車体、或いは該歯車体とは別個のダルマ13であっても良い。したがって、建具用錠前は一例であり、図面に示した構成の電気錠に限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
錠前や建具の分野で利用される。
【符号の説明】
【0039】
X、X1…建具用錠前、Y、Y2…検出装置、1…戸枠、2…受け具、3…扉、4…錠箱、6…制御部、8…電気錠制御用プリント基板、9…開口、11…動力伝達手段、11a…小歯車、13…ダルマ、14…デッドボルト(デッド)、20…歯車体、21…フォトセンサー、21a…発光側の側壁部、a…隙間、21b…受光側の側壁部、a…所定間隙、23、23B…スイッチ片(揺動片)、23a…長片部分、23b…短片部分、31…中心軸、32、32a、32b…当り部、35…センサー基板、36…支軸、38…遮蔽突片、39…バネ端支持部、45…切欠。
図1
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図12