(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5713654
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】アンダランプロテクタ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 19/56 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
B60R19/56
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-279224(P2010-279224)
(22)【出願日】2010年12月15日
(65)【公開番号】特開2012-126253(P2012-126253A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2013年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003908
【氏名又は名称】UDトラックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100167025
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100136227
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 玲子
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100184424
【弁理士】
【氏名又は名称】増屋 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
(72)【発明者】
【氏名】中澤 勇
【審査官】
田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−052897(JP,A)
【文献】
特開2000−272444(JP,A)
【文献】
特表2009−528950(JP,A)
【文献】
特開2006−137363(JP,A)
【文献】
特開2009−096386(JP,A)
【文献】
特開2008−024019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/02−19/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームの前部又は後部に固着された左右一対のブラケットと、
前記ブラケットにより中間部が支持されつつ車幅方向に延びる、中空かつ均一の横断面を有するプロテクタ本体と、
前記プロテクタ本体の内部空洞に挿入される補強部材と、
を含んで構成され、
前記補強部材は、丸パイプからなり、前記プロテクタ本体の内壁面から突出する一対の突出部に接着剤により固定され、前記ブラケットが前記プロテクタ本体を支持する範囲のいずれかの箇所から、前記プロテクタ本体の外方の先端まで挿入されることを特徴とするアンダランプロテクタ装置。
【請求項2】
前記プロテクタ本体は、アルミ材からなることを特徴とする請求項1記載のアンダランプロテクタ装置。
【請求項3】
前記プロテクタ本体の外端部には、前記プロテクタ本体の開口を閉塞するキャップが取り付けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンダランプロテクタ装置。
【請求項4】
前記補強部材は、高張力鋼からなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のアンダランプロテクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型車両の前部又は後部に乗用車が衝突したときに、乗用車が大型車両の下にもぐり込むことを抑制するアンダランプロテクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックなどの大型車両の前部又は後部に乗用車が衝突したときに、乗用車が大型車両の下にもぐり込まないようにするアンダランプロテクタ装置が知られている。アンダランプロテクタ装置は、車体フレームの前部又は後部に固着された左右一対のブラケットと、このブラケットにより支持される車幅方向に延びるプロテクタ本体と、を含んで構成される。プロテクタ本体の強度を確保しつつ重量を軽減するために、特開2008−189273号公報(特許文献1)に記載されるように、角形の閉断面を有する中空のアルミ材を使用し、少なくともブラケットへの取付部位を含む内側に補強用鋼材を挿入する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−189273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プロテクタ本体においては、一対のブラケットの車幅内方に位置する内側部分は、その両端が支持されているため、衝突時の強度を確保し易い反面、ブラケットの車幅外方に位置する外側部分は、その一端のみが支持されている「片持ち状態」であるため、衝突時の強度を確保することが難しい。このため、従来技術のアンダランプロテクタ装置では、外側部分の強度が低下しがちであり、ここを補強するために、例えば、アルミ部材の板厚を上げるなどの方策を採る必要があり、重量を十分軽減することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は従来技術の問題点に鑑み、中空形状のプロテクタ本体に補強部材を挿入する位置を見直すことで、衝突時の強度を確保しつつ重量を軽減したアンダランプロテクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
アンダランプロテクタ装置は、車体フレームの前部又は後部に固着された左右一対のブラケットと、ブラケットにより中間部が支持されつつ車幅方向に延びる、中空かつ均一の横断面を有するプロテクタ本体と、プロテクタ本体の内部空洞に挿入される補強部材と、を有する。そして、補強部材を、
丸パイプから構成し、プロテクタ本体の内壁面から突出する一対の突出部に接着剤により固定し、ブラケットがプロテクタ本体を支持する範囲のいずれかの箇所から、プロテクタ本体の外方の先端まで挿入する。
【発明の効果】
【0007】
ブラケットによりプロテクタ本体が片持ち状態で支持される外側部分が集中的に補強されるため、アンダランプロテクタ装置の強度を確保しつつ重量を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】補強部材の一例及びその固定方法を説明するための斜視図
【
図4】補強部材の内方への移動を規制する方法を説明するための平面図
【
図5】補助ブラケットがある場合の補助部材の挿入位置を説明するための平面図
【
図6】大型車両における補強部材の挿入位置を説明するための斜視図
【
図7】プロテクタ本体の変形例を説明するための平面図
【
図8】補強部材の他の例及びその固定方法を説明するための斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳細に説明する。
図1は、アンダランプロテクタ装置の一例として、トラックの前部に取り付けられたフロントアンダランプロテクタ装置の概要を示す。
車体フレーム10の前部に位置するフロントクロスメンバ10Aには、車幅方向に所定距離だけ離間した状態で固着された左右一対のブラケット20を介して、車幅方向に延びるプロテクタ本体30の中間部が支持・固定される。プロテクタ本体30は、図示しないフロントバンパの下方に位置し、軽量化を促進するため、例えば、アルミ合金を押出成形した、中空かつ均一の横断面を有するアルミ材からなる。ここで、中空かつ均一の横断面を有するアルミ材として、例えば、アルミ角パイプなどを適用することができる。
【0010】
また、プロテクタ本体30の内部空洞には、プロテクタ本体30を補強するための補強部材40が挿入される。補強部材40は、
図2に示すように、ブラケット20がプロテクタ本体30を支持する範囲Aのうち車幅外方に位置する部分Bの内方から、プロテクタ本体30の車幅外方に位置する外端部Cまで挿入される。要するに、補強部材40は、プロテクタ本体30のうち、ブラケット20により片持ち状態で支持される外側部分のみを補強するように、プロテクタ本体30の左右両端部にのみ挿入される。また、プロテクタ本体30の外端部Cが開口しているため、ここから内部へと雨などが侵入しないように、例えば、プラスチック製のキャップ50を取り付け、開口を閉塞するようにしてもよい。
【0011】
ここで、補強部材40の材質としては、種々のものが適用可能であるが、重量を軽減しつつ強度を向上させるためには、ハイテンション鋼などの高張力鋼を適用することができる。
補強部材40は、例えば、
図3に示すように、円形の横断面を有する丸パイプからなり、プロテクタ本体30の内壁面から突出する一対の突出部30Aにより、振動などで異音が発生しない程度の弱接合で挟持・固定される。なお、プロテクタ本体30に対する補強部材40の固定方法としては、接着剤など公知の方法を用いてもよい。また、プロテクタ本体30に対する補強部材40の内方への移動を規制するために、
図4に示すように、
補強部材40の内端部と接触する状態で、プロテクタ本体30にピン60を打ち込むようにしてもよい。
【0012】
このようにすれば、補強部材40は、ブラケット20によりプロテクタ本体30が片持ち状態で支持される外側部分を集中的に補強するため、アンダランプロテクタ装置の強度を確保しつつ重量を軽減することができる。このとき、プロテクタ本体30は、素材を押出成形した中空かつ均一の横断面を有しているため、その内部空洞を利用して補強が行われる。
【0013】
プロテクタ本体30の全長が長いとき、
図5に示すように、左右一対のブラケット20に加えて、車体フレーム10から延びる左右一対の補助ブラケットであるステー70により、プロテクタ本体30の中間部を支持・固定する構成が採用される場合がある。この場合には、補強部材40は、ステー70がプロテクタ本体30を支持する範囲Dのうち車幅外方に位置する部分Eの内方から、プロテクタ本体30の車幅外方に位置する外端部Cまで挿入されればよい。
【0014】
大型トラックなどでは、
図6に示すように、プロテクタ本体30の高さが大きくなり、その強度を確保するために、内部空洞が複数形成されているものがある。この場合には、同図に示すように、内部空洞の少なくとも1つに補強部材40を挿入すればよい。なお、プロテクタ本体30に対する補強部材40の固定方法は、前述した方法と同様である。
フロントアンダラン装置のプロテクタ本体30としては、直線形状のものに限らず、
図7に示すように、ブラケット20の車幅外方から車両後方へと弓状に屈曲するものであってもよい。この場合には、プロテクタ本体30に補強部材40を挿入した後、その両端部を曲げ加工することで、補強部材40の脱落を防止しつつ、プロテクタ本体30を形成することができる。
【0015】
また、補強部材40としては、丸パイプに限らず、
図8に示すように、矩形断面を有する単なる板部材であってもよい。この場合には、素材を押出成形する金型を変更することで、同図に示すように、プロテクタ本体30の内壁面に、板部材たる補強部材40を挟持固定するための凹溝30Bを一体成形すればよい。
【0016】
なお、本実施形態は、フロントアンダランプロテクタ装置に限らず、大型車両の後部に乗用車がもぐり込むことを防止する、リアバンパなどのアンダランプロテクタ装置にも適用可能である。また、アンダランプロテクタ装置としては、各図面に記載した構成を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0017】
10 車体フレーム
20 ブラケット
30 プロテクタ本体
40 補強部材
50 キャップ
70 ステー(補助ブラケット)
A ブラケットがプロテクタ本体を支持する範囲
B 車幅外方に位置する部分
C プロテクタ本体の外端部
D 補助ブラケットたるステーがプロテクタ本体を支持する範囲
E 車幅外方に位置する部分