【実施例】
【0032】
上述の試験結果に基づき、本発明に係るROSEプロセスにおけるPtの分配挙動を検討した。
【0033】
[実施例1]
実施例1において、被処理部材(セラミックス製自動車触媒)とするAl
2O
3製自動車触媒を破砕し、縮分した後にICP−AES法にて定量分析を行った結果、Ptが0.5質量%含まれていた。
【0034】
実施例1に係る操業条件について説明する。
〈1〉フラックスとして、CaO、SiO
2(1)を、それぞれ853kg、995kgとなるように調整した。
〈2〉被処理部材として、前記Al
2O
3製自動車触媒(2)を、1000kg用いた。
〈3〉抽出剤として、Cu(3)を、100kg用いた。
〈4〉酸化物として、SiO
2(8)を、Cu
2Oスラグ(11)中に含有される酸化物(SiO
2)の質量%が、2質量%、5質量%、0質量%の3水準となるように調整した。
〈5〉還元剤として、コークス(4)を、酸化物量に応じ後述する量を添加した。
【0035】
〈SiO
22質量%の場合〉
本発明に係るROSEプロセスにおけるPtの分配挙動について
図5を参照しながら説明する。
【0036】
1回目の還元溶錬(5)に際し、フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)をそれぞれ853kg、995kg(スラグ組成がCaO30質量%、SiO
235質量%になるよう調整した。)、被処理部材としてAl
2O
3製自動車触媒(2)を1000kg、抽出剤としてCu(3)を100kg準備した。還元剤として、コークス(4)を15.5kg準備した。
これらを電気炉に投入し、還元雰囲気条件下、1450℃、6時間、密閉状態で保持し1回目の還元溶錬(5)を行った。その結果、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)層の下方にCu合金(6)の溶融メタルが沈降した。CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)中のPt量は0.04030kg、Cu合金(6)中のPt量は4.9597kgであった。これらを用いて上記式(1)にて算出した当該還元溶錬(5)におけるPtの分配比は0.0003であった。
【0037】
Cu合金(6)の溶融メタルを酸化炉へ移し、さらにCu合金(6)と、Cu
2Oスラグ(11)の質量比が1:17前後となることを前提として、SiO
2(8)をCu
2Oスラグに対して2質量%になるように2.26kg添加し、40%酸素を30L/hで流し込む酸化雰囲気条件下、1300℃、6時間、保持し1回目の酸化溶錬(9)を行った。一方、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)は廃棄した。
その結果、Cu
2Oスラグ(11)層の下方に、Cu−PGM合金(10)が沈降した。Cu
2Oスラグ(11)中のPt量は1.693kgであった。Cu−PGM合金(10)中のPt量は3.267kgで、Ptを50%含有していた。これらを用いて算出した当該酸化溶錬(9)におけるPtの分配比は0.03であった。
【0038】
上記得られたCu
2Oスラグ(11)と、 フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)(但し、スラグ組成としてCaO30質量%、SiO
235質量%になるよう調整した。)、被処理部材としてAl
2O
3製自動車触媒(2)を1000kg、抽出剤として追加のCu(3)を準備した。還元剤として、コークス(4)を準備した。
ここで当該Cu
2Oスラグ(11)には、96.73kgのCuと、2.26kgのSiO
2とが含有されていた。このため、フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)は、それぞれ853kg、993kg、抽出剤としてCu(3)は3.27kgとした。還元剤としてコークス(4)は24.7kgとした。
【0039】
これらを電気炉に投入し、還元剤としてコークス(4)を24.7kg用いた以外は、1回目と同条件で2回目の還元溶錬(5)を行った。その結果、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)層の下方にCu合金(6)の溶融メタルが沈降した。CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)中のPt量は0.05301kg、Cu合金(6)中のPt量は6.637kgであった。これらを用いて算出した当該還元溶錬(5)におけるPtの分配比は0.0003であった。
【0040】
Cu合金(6)の溶融メタルを酸化炉へ移し、さらにCu合金(6)と、Cu
2Oスラグ(11)の質量比が1:11前後となることを前提としてSiO
2(8)をCu
2Oスラグに対して2質量%になるように2.22kg添加し、1回目と同条件で2回目の酸化溶錬(9)を行った。一方、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)は廃棄した。
その結果、Cu
2Oスラグ(11)層の下方に、Cu−PGM合金(10)が沈降した。
Cu
2Oスラグ(11)中のPt量は1.663kgであった。Cu−PGM合金(10)中のPt量は4.974kgで、Ptを50%含有していた。これらを用いて算出した当該酸化溶錬(9)におけるPtの分配比は0.03であった。
【0041】
上記得られたCu
2Oスラグ(11)と、フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)(但し、スラグ組成としてCaO30質量%、SiO
235質量%になるよう調整した。)、被処理部材としてAl
2O
3製自動車触媒(2)を1000kg、抽出剤として追加のCu(3)を準備した。
ここで当該Cu
2Oスラグ(11)には、95.03kgのCuと、2.22kgのSiO
2とが含有されていたため、フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)は、それぞれ853kg、993kg、抽出剤としてCu(3)は4.97kgとした。
【0042】
これらを電気炉に投入し、還元剤としてコークス(4)は24.2kg用いた以外は、1回目と同条件で3回目の還元溶錬(5)を行った。その結果、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)層の下方にCu合金(6)の溶融メタルが沈降した。CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)中のPt量は0.05279kg、Cu合金(6)中のPt量は6.607kgであった。これらを用いて算出した当該還元溶錬(5)におけるPtの分配比は0.0003であった。
【0043】
Cu合金(6)の溶融メタルを酸化炉へ移し、さらにCu合金(6)と、Cu
2Oスラグ(11)の質量比が1:11前後となることを前提としてSiO
2(8)をCu
2Oスラグに対して2質量%になるように2.22kg添加し、1回目と同条件で3回目の酸化溶錬(9)を行った。一方、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)は廃棄した。
その結果、Cu
2Oスラグ(11)層の下方に、Cu−PGM合金(10)が沈降した。Cu
2Oスラグ(11)中のPt量は1.664kgであった。Cu−PGM合金(10)中のPt量は4.943kgで、Ptを50%含有していた。これらを用いて算出した当該酸化溶錬(9)におけるPtの分配比は0.03であった。
【0044】
以上、3回の還元溶錬(5)および酸化溶錬(9)により、Al
2O
3製自動車触媒(2)は3000kg(内、Pt15kg)が処理され、Cu−PGM合金(10)中のPtとして、合計(1回目3.267kg+2回目4.974kg+3回目4.943kg=)13.184kgが得られた。一方、ROSEプロセス内のPtは1.664kgとなった。
【0045】
〈SiO
25質量%の場合〉
次に、PGMを含有するCu
2Oスラグ(11)中における酸化物であるSiO
2(8)含有量について、5質量%に設定した場合の本発明に係るROSEプロセスにおけるPtの分配挙動について
図6を参照しながら説明する。
尚、
図6は上述の操業条件であって、酸化物であるSiO
2(8)添加量を5質量%に設定したときのマスフローを示す図面である。
【0046】
1回目の還元溶錬(5)に際し、上述した〈SiO
22質量%の場合〉と同様に、フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)をそれぞれ853kg、995kg(CaO30質量%、SiO
235質量%になるよう調整した。)、被処理部材としてAl
2O
3製自動車触媒(2)を1000kg、抽出剤としてCu(3)を100kg準備した。還元剤として、コークス(4)を15.4kg準備した。
これらを電気炉に投入し、〈SiO
22質量%の場合〉と同様に1回目の還元溶錬(5)を行った。その結果、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)層の下方にCu合金(6)の溶融メタルが沈降した。CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)中のPt量は0.04030kg、Cu合金(6)中のPt量は4.9597kgであった。これらを用いて算出した当該還元溶錬(5)におけるPtの分配比は0.0003であった。
【0047】
Cu合金(6)の溶融メタルを酸化炉へ移し、さらにCu合金(6)と、Cu
2Oスラグ(11)の質量比が1:15前後となることを前提としてSiO
2(8)をCu
2Oスラグに対して5質量%になるように5.76kg添加し、〈SiO
22質量%の場合〉と同様に1回目の酸化溶錬(9)を行った。一方、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)は廃棄した。
その結果、Cu
2Oスラグ(11)層の下方に、Cu−PGM合金(10)が沈降した。Cu
2Oスラグ(11)中のPt量は1.152kgであった。Cu−PGM合金(10)中のPt量は3.808kgで、Ptを50%含有していた。これらを用いて算出した当該酸化溶錬(9)におけるPtの分配比は0.02であった。
【0048】
上記得られたCu
2Oスラグ(11)と、フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)、被処理部材としてAl
2O
3製自動車触媒(2)を1000kg、抽出剤として追加のCu(3)を準備した。
ここでCu
2Oスラグ(11)には96.19kgのCuと、5.76kgのSiO
2とが含有されていたため、フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)は、それぞれ853kg、989kg、抽出剤としてCu(3)は3.81kgとした。
【0049】
これらを電気炉に投入し、還元剤としてコークス(4)を24.5kg用いた以外は1回目と同条件で2回目の還元溶錬(5)を行った。その結果、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)層の下方にCu合金(6)の溶融メタルが沈降した。CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)中のPt量は0.04892kg、Cu合金(6)中のPt量は6.101kgであった。これらを用いて算出した当該還元溶錬(5)におけるPtの分配比は0.0003であった。
【0050】
Cu合金(6)の溶融メタルを酸化炉へ移し、さらにCu合金(6)と、Cu
2Oスラグ(11)の質量比が1:11前後となることを前提としてSiO
2(8)をCu
2Oスラグに対して5質量%になるように5.69kg添加し、1回目と同条件で2回目の酸化溶錬(9)を行った。一方、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)は廃棄した。
その結果、Cu
2Oスラグ(11)層の下方に、Ptを50%含有するCu−PGM合金(10)が沈降した。Cu
2Oスラグ(11)中のPt量は1.138kgであった。Cu−PGM合金(10)中のPt量は4.963kgで、Ptを50%含有していた。これらを用いて算出した当該酸化溶錬(9)におけるPtの分配比は0.02であった。
【0051】
上記得られたCu
2Oスラグ(11)と、 フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)、被処理部材としてAl
2O
3製自動車触媒(2)を1000kg、抽出剤として追加のCu(3)を準備した。
ここで当該Cu
2Oスラグ(11)には、95.04kgのCuと、5.69kgのSiO
2とが含有されていたため、フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)は、それぞれ853kg、989kg、抽出剤としてCu(3)は4.96kgとした。
【0052】
これらを電気炉に投入し、還元剤としてコークス(4)を24.2kg用いた以外は1回目と同条件で3回目の還元溶錬(5)を行った。その結果、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)層の下方にCu合金(6)の溶融メタルが沈降した。CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)中のPt量は0.04885kg、Cu合金(6)中のPt量は6.091kgであった。これらを用いて算出した当該還元溶錬(5)におけるPtの分配比は0.0003であった。
【0053】
Cu合金(6)の溶融メタルを酸化炉へ移し、さらにCu合金(6)と、Cu
2Oスラグ(11)の質量比が1:11前後となることを前提としてSiO
2(8)をCu
2Oスラグに対して5質量%になるように5.69kg添加し、1回目と同条件で3回目の酸化溶錬(9)を行った。一方、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)は廃棄した。
その結果、Cu
2Oスラグ(11)層の下方に、Cu−PGM合金(10)が沈降した。Cu
2Oスラグ(11)中のPt量は1.138kgであった。Cu−PGM合金(10)中のPt量は4.953kgで、Ptを50%含有していた。これらを用いて算出した当該酸化溶錬(9)におけるPtの分配比は0.02であった。
【0054】
以上、3回の還元溶錬(5)および酸化溶錬(9)により、Al
2O
3製自動車触媒(2)は3000kg(内、Pt15kg)が処理され、Cu−PGM合金(10)中のPtとして、合計(1回目3.808kg+2回目4.963kg+3回目4.953kg=)13.724kgが得られた。一方、ROSEプロセス内のPtは1.138kgとなった。
【0055】
〈SiO
20質量%の場合〉
次に、酸化物としてSiO
2(8)を添加しなかった場合の、本発明に係るROSEプロセスにおけるPtの分配挙動について
図7を参照しながら説明する。
尚、
図7は上述の操業条件であって、酸化物であるSiO
2(8)を添加しなかったときのマスフローを示す図面である。
【0056】
1回目の還元溶錬(5)に際し、上述した〈SiO
22質量%の場合〉と同様に、フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)をそれぞれ853kg、995kg(CaO35質量%、SiO
230質量%になるよう調整した。)、被処理部材としてAl
2O
3製自動車触媒(2)を1000kg、抽出剤としてCu(3)を100kg準備した。還元剤として、コークス(C)を15.7kg準備した。
これらを電気炉に投入し、〈SiO
22質量%の場合〉と同様に1回目の還元溶錬(5)を行った。その結果、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)層の下方にCu合金(6)の溶融メタルが沈降した。CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)中のPt量は0.04030kg、Cu合金(6)中のPt量は4.9597kgであった。これらを用いて算出した当該還元溶錬(5)におけるPtの分配比は0.0003であった。
【0057】
Cu合金(6)の溶融メタルを酸化炉へ移し、酸化物としてのSiO
2(8)を添加せず、〈SiO
22質量%の場合〉と同様に1回目の酸化溶錬(9)を行った。一方、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)は廃棄した。
その結果、Cu
2Oスラグ(11)層の下方に、Cu−PGM合金(10)が沈降した。当該酸化溶錬(9)におけるPtの分配比は0.05であることから、Cu
2Oスラグ(11)中のPt量は2.825kg、Cu−PGM合金(10)中のPt量は2.135kgで、Ptを50%含有していた。これらを用いて算出した当該酸化溶錬(9)におけるPtの分配比は0.05であった。
【0058】
上記得られたCu
2Oスラグ(11)と、フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)、被処理部材としてAl
2O
3製自動車触媒(2)を1000kg、抽出剤として追加のCu(3)を準備した。
ここでCu
2Oスラグ(11)には97.87kgのCuが含有されていたため、フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)は、それぞれ853kg、995kg、抽出剤としてCu(3)は2.13kgとした。
【0059】
これらを電気炉に投入し、還元剤としてコークス(4)を24.9kg用いた以外は1回目と同条件で2回目の還元溶錬(5)を行った。その結果、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)層の下方にCu合金(6)の溶融メタルが沈降した。CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)中のPt量は0.06142kg、Cu合金(6)中のPt量は7.769kgであった。これらを用いて算出した当該還元溶錬(5)におけるPtの分配比は0.0003であった。
【0060】
Cu合金(6)の溶融メタルを酸化炉へ移し、酸化物としてのSiO
2(8)は添加せず、1回目と同条件で2回目の酸化溶錬(9)を行った。一方、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)は廃棄した。
その結果、Cu
2Oスラグ(11)層の下方に、Cu−PGM合金(10)が沈降した。Cu
2Oスラグ(11)中のPt量は2.742kgであった。Cu−PGM合金(10)中のPt量は5.027kgで、Ptを50%含有していた。これらを用いて算出した当該酸化溶錬(9)におけるPtの分配比は0.05であった。
【0061】
上記得られたCu
2Oスラグ(11)と、 フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)、被処理部材としてAl
2O
3製自動車触媒(2)を1000kg、抽出剤として追加のCu(3)を準備した。
ここで当該Cu
2Oスラグ(11)には、94.97kgのCuが含有されていたため、フラックスとしてCaOおよびSiO
2(1)は、それぞれ853kg、995kg、抽出剤としてCu(3)は5.03kgとした。
【0062】
これらを電気炉に投入し、還元剤としてコークス(4)を24.2kg用いた以外は1回目と同条件で3回目の還元溶錬(5)を行った。その結果、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)層の下方にCu合金(6)の溶融メタルが沈降した。CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)中のPt量は0.06077kg、Cu合金(6)中のPt量は7.679kgであった。これらを用いて算出した当該還元溶錬(5)におけるPtの分配比は0.0003であった。
【0063】
Cu合金(6)の溶融メタルを酸化炉へ移し、さらに酸化物としてのSiO
2(8)を添加せず、1回目と同条件で3回目の酸化溶錬(9)を行った。一方、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ(7)は廃棄した。
その結果、Cu
2Oスラグ(11)層の下方に、Cu−PGM合金(10)が沈降した。Cu
2Oスラグ(11)中のPt量は2.744kgであった。Cu−PGM合金(10)中のPt量は4.935kgで、Ptを50%含有していた。これらを用いて算出した当該酸化溶錬(9)におけるPtの分配比は0.05であった。
【0064】
以上、3回の還元溶錬(5)および酸化溶錬(9)により、Al
2O
3製自動車触媒(2)は3000kg(内、Pt15kg)が処理され、Cu−PGM合金(10)中のPtとして、合計(1回目2.135kg+2回目5.027kg+3回目4.935kg=)12.097kgが得られた。一方、ROSEプロセス内のPtは2.744kgとなった。
【0065】
[実施例2]
抽出剤としてのCu(3)を50kgとした以外は、実施例1と同様の操業条件により、被処理部材であるAl
2O
3製自動車触媒(2)を処理した。
【0066】
〈SiO
22質量%の場合〉
Cu合金(6)と、Cu
2Oスラグ(11)の質量比が1:6前後(1〜3回目)となることを前提として、PGMを含有するCu
2Oスラグ(11)中における酸化物であるSiO
2(8)を2質量%に設定した場合の本発明に係るROSEプロセスにおけるPtの分配挙動について
図8に示した。当該図面の記載方法は、実施例1と同様である。
【0067】
3回の還元溶錬(5)および酸化溶錬(9)により、Al
2O
3製自動車触媒(2)は3000kg(内、Pt15kg)が処理され、Cu−PGM合金(10)中のPtとして、合計(1回目4.120kg+2回目4.923kg+3回目4.913kg=)13.956kgが得られた。一方、ROSEプロセス内のPtは0.789kgとなった。
【0068】
〈SiO
25質量%の場合〉
Cu合金(6)と、Cu
2Oスラグ(11)の質量比が1:6前後(1〜3回目)となることを前提として、PGMを含有するCu
2Oスラグ(11)中における酸化物であるSiO
2(8)を5質量%に設定した場合の本発明に係るROSEプロセスにおけるPtの分配挙動について
図9に示した。当該図面の記載方法は、実施例1と同様である。
【0069】
3回の還元溶錬(5)および酸化溶錬(9)により、Al
2O
3製自動車触媒(2)は3000kg(内、Pt15kg)が処理され、Cu−PGM合金(10)中のPtとして、合計(1回目4.377kg+2回目4.926kg+3回目4.916kg=)14.219kgが得られた。一方、ROSEプロセス内のPtは0.540kgとなった。
【0070】
〈SiO
20質量%の場合〉
次に、酸化物としてのSiO
2(8)を添加しない場合の、本発明に係るROSEプロセスにおけるPtの分配挙動について
図10に示した。当該図面の記載方法は、実施例1と同様である。
【0071】
3回の還元溶錬(5)および酸化溶錬(9)により、Al
2O
3製自動車触媒(2)は3000kg(内、Pt15kg)が処理され、Cu−PGM合金(10)中のPtとして合計(1回目3.583kg+2回目4.944kg+3回目4.903kg=)13.43kgが得られた。一方、ROSEプロセス内のPtは1.302kgとなった。
【0072】
[まとめ]
上記、実施例1、2において
図5〜10で示した本発明に係るROSEプロセスにおけるPtの分配挙動について、Cu−PGM合金中のPt質量(但し、3回合計)、Cu
2Oスラグ中のPt質量(但し、3回目)、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ中のPt質量(但し、3回合計)の観点から結果を集計して、表2に示した。
【0073】
表2より、実施例1、2の両者において、酸化溶錬時におけるSiO
2添加によりROSEプロセスを循環するPt量を顕著に削減できることが判明した。一方、3回合計のCu−PGM合金中のPt質量は増加した。他方、ROSEプロセスを循環するPt量の顕著な削減に伴い、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ中のPt質量も減少した。
以上のことから、ROSEプロセスの酸化溶錬工程において、SiO
2のような酸性酸化物または塩基性酸化物を添加することは、Cu−PGM合金中のPt質量、Cu
2Oスラグ中のPt質量、CaO−SiO
2−Al
2O
3スラグ中のPt質量のいずれの観点においても、生産性の向上をもたらす好ましい結果を得ることが出来た。
【0074】
さらに、発明を実施するための形態欄にて説明したPtと、RhおよびPdとの挙動比較より、上述した実施例1、2の効果は、PGMにおいて発現するものと考えられる。同様に「発明を実施する為の形態」欄にて説明した、Cu
2Oスラグ中に添加されるSiO
2と、Na
2O、Na
2CO
3およびNaHCO
3から成る群より選ばれた少なくとも1種のものとの挙動比較より、上述した実施例1、2の効果は、Cu
2Oスラグ中へ当該塩基性酸化物を添加した場合でも発現するものと考えられる。
【0075】
【表2】