(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
【0017】
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置1は、
図1に示すように、搬送部10と、キャリッジ20と、記録部30と、上流側遮蔽機構40と、照射部50と、下流側遮蔽機構60と、制御部70とを有する。インクジェット記録装置には、シリアル型のインクジェット記録装置と、ライン型のインクジェット記録装置とがある。本実施形態では、インクジェット記録装置1が、ライン型のインクジェット記録装置である場合を例に説明する。インクジェット記録装置1では、フルカラーの画像が記録(形成)される。画像が記録される記録媒体としては、パーソナルユースでも広く用いられる記録用紙の他、加工生産において用いられる産業資材90が例示される。産業資材90には、建築材が含まれる。建築材としては、
図1に示すようなコンクリートブロックの他、例えば、窯業サイディング材等が含まれる。産業用途のインクジェット記録装置1では、画像の記録に、活性エネルギー硬化型インクが用いられる。活性エネルギー硬化型インクとしては、紫外線硬化型インク又は電子線硬化型インク等が例示される。本実施形態では、紫外線硬化型インクを例に説明する。なお、
図1(a),(b)は、インクジェット記録装置1の概略を示すものであって、これに図示された各部及び各部間のサイズ比は、実際のインクジェット記録装置1とは異なる比率とされ、また、産業資材90としてのコンクリートブロックは、インクジェット記録装置1に対して大きく示されている。
【0018】
搬送部10は、コンベア等によって構成される。搬送部10は、搬送面12に載せ置かれた産業資材90を搬送する。産業資材90は、所定の間隔(
図1、
図2及び
図5の「間隔K1」参照)で、搬送面12に連続して載せ置かれることもある。この場合、産業資材90が載せ置かれる間隔K1は、例えば、50mm〜500mm程度に設定される。搬送部10は、産業資材90を、搬送部10の一端側(
図1(a),(b)を正面視したとき左端側)から、キャリッジ20と、上流側遮蔽機構40と、照射部50と、下流側遮蔽機構60とを通過させ、搬送部10の他端側に搬送する(
図1(a)を正面視したとき右側に示す「画像」と記載の産業資材90参照。なお、「画像」は、記録面92に画像が記録されていることを示す。
図2、
図4〜
図6において同じ)。搬送部10による産業資材90の搬送速度は、例えば、5m/min〜50m/minの範囲に設定される。
【0019】
キャリッジ20は、記録部30を有する。記録部30は、キャリッジ20に取り付け固定されている。記録部30は、例えば記録ヘッドユニット32K,32C,32M,32Yを含む。記録ヘッドユニット32Kは、ブラックの紫外線硬化型インク(以下、「ブラックインク」ともいう。)を吐出する複数の記録ヘッドによって構成される。記録ヘッドユニット32Cは、シアンの紫外線硬化型インク(以下、「シアンインク」ともいう。)を吐出する複数の記録ヘッドによって構成される。記録ヘッドユニット32Mは、マゼンタの紫外線硬化型インク(以下、「マゼンタインク」ともいう。)を吐出する複数の記録ヘッドによって構成される。記録ヘッドユニット32Yは、イエローの紫外線硬化型インク(以下、「イエローインク」ともいう。)を吐出する複数の記録ヘッドによって構成される。すなわち、記録部30は、複数の記録ヘッドによって構成されている。記録ヘッドユニット32Kを構成する複数の記録ヘッドは、搬送方向に直交する方向(
図1(a)の「幅方向」参照)の複数列に整列された状態で、且つ隣接する列同士の記録ヘッドが千鳥状となるように配置されている。記録ヘッドユニット32C,32M,32Yのそれぞれにおける複数の記録ヘッドについても、記録ヘッドユニット32Kと同様に配置されている。なお、各色の記録ヘッドユニット32K,32C,32M,32Yを構成する記録ヘッドには、複数のノズルが形成される。各色の紫外線硬化型インクは、詳細には、このノズルから吐出される。
【0020】
キャリッジ20に固定された状態の記録部30は、搬送面12から鉛直方向に離間した位置であって、順次、搬送部10によって搬送される産業資材90それぞれが記録部30を通過する状態において、搬送面12を基準とした記録面92の高さのばらつきを許容できる位置に設けられる。具体的に、記録部30は、搬送面12と対向する記録部30の面、詳細には、記録ヘッドユニット32K,32C,32M,32Yのそれぞれを構成する複数の記録ヘッドにおける吐出面34と、産業資材90の記録面92との間のギャップG(
図1(b)参照)が、5mm以上、具体的には5mm〜10mm程度又は十数mm程度離間した状態となる位置に設けられる。なお、本実施形態のインクジェット記録装置1において、搬送面12を基準とした記録面92の高さ(産業資材90の厚み)は、概ね100mm〜500mm程度までが対象とされる。記録部30がキャリッジ20に取り付けられた状態において、搬送面12に対向するキャリッジ20の面及び吐出面34は、同一の平面内に含まれるように、同一の高さに設定される。なお、各色の記録ヘッドユニット32K,32C,32M,32Yを構成する記録ヘッドから吐出された紫外線硬化型インクによるインク滴は、ギャップGの空間を、記録面92に向けて鉛直方向に飛翔する。
【0021】
上流側遮蔽機構40は、搬送方向において記録部30と照射部50との間、換言すれば、記録部30に対して搬送方向下流側で、且つ照射部50に対して搬送方向上流側に設けられる。上流側遮蔽機構40は、照射部50と隣り合う(隣接する)ようにして設けられる。上流側遮蔽機構40は、照射部50で照射された活性エネルギー線としての紫外線を、搬送方向上流側において遮蔽する機構(装置)である。なお、上流側遮蔽機構40については、後述する。照射部50は、活性エネルギー線を照射する活性エネルギー照射部として機能する。照射部50は、前述から明らかな通り、記録部30及び上流側遮蔽機構40に対して搬送方向下流側で、上流側遮蔽機構40と隣り合う位置に設けられる。紫外線硬化型インクが用いられる本実施形態では、照射部50では、紫外線が照射される。すなわち、照射部50は、搬送部10の搬送面12に向けて設けられた紫外線ランプを有し、搬送面12の方向に活性エネルギー線としての紫外線を照射する。なお、活性エネルギー硬化型インクとして電子線硬化型インクが用いられる場合、照射部50では、活性エネルギー線としての電子線が照射される。照射部50は、シャッターを有し、このシャッターを開閉させることで、紫外線の照射を開始し停止する。なお、紫外線の照射の開始及び停止は、照射部50が有する紫外線ランプの点灯及び消灯によって実現する構成としてもよい。この場合、シャッターを省略することができる。
【0022】
紫外線の照射は、例えば、記録部30に対して搬送方向下流側で且つ照射部50に対して搬送方向上流側の所定の位置に設けられた検知センサ(不図示)で、産業資材90が検知されたことを条件として開始される。また、紫外線の照射は、照射部50に対して搬送方向下流側の所定の位置に設けられた検知センサ(不図示)で、産業資材90が照射部50を通過したことが検知されたことを条件として停止される。紫外線の照射を開始した後、所定の時間経過したとき、紫外線の照射を停止するようにしてもよい。
【0023】
下流側遮蔽機構60は、搬送方向において照射部50と隣り合う(隣接する)ようにして設けられる。下流側遮蔽機構60は、照射部50で照射された活性エネルギー線としての紫外線を、搬送方向下流側において遮蔽する機構(装置)である。なお、下流側遮蔽機構60については、後述する。制御部70は、インクジェット記録装置1で実行される画像の記録を含む各種処理を制御する。制御部70は、電子部品が搭載された回路基板及び電気配線等を含む。
【0024】
インクジェット記録装置1は、この他、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの紫外線硬化型インクをそれぞれ貯留したメインタンク(不図示)を有する。ブラック用のメインタンクに貯留されたブラックインクは、ブラック用のインク供給ライン80を介して記録ヘッドユニット32Kの複数の記録ヘッドにそれぞれ供給される。シアン用のメインタンクに貯留されたシアンインクは、シアン用のインク供給ライン80を介して記録ヘッドユニット32Cの複数の記録ヘッドにそれぞれ供給される。マゼンタ用のメインタンクに貯留されたマゼンタインクは、マゼンタ用のインク供給ライン80を介して記録ヘッドユニット32Mの複数の記録ヘッドにそれぞれ供給される。イエロー用のメインタンクに貯留されたイエローインクは、イエロー用のインク供給ライン80を介して記録ヘッドユニット32Yの複数の記録ヘッドにそれぞれ供給される。なお、
図1(a),(b)では、各色用のインク供給ライン80は、簡略化して図示されている。
【0025】
インクジェット記録装置1は、ネットワークインターフェース等の所定のインターフェース(不図示)を有する。インクジェット記録装置1は、インターフェースを介して、パーソナルコンピュータ等の外部装置と通信可能に接続されている。外部装置は、インクジェット記録装置1に対し、記録面92への画像の記録指令及び記録する画像を示すデータ等を入力する。記録指令が入力されたインクジェット記録装置1では、所定の処理が実行され、インクジェット記録方法が実行される。インクジェット記録装置1でインクジェット記録方法が実行されると、入力されたデータによって示される画像が記録面92に記録され、産業資材90が模様付けされる。
【0026】
インクジェット記録方法では、先ず、搬送部10が動作を開始し、搬送面12に載せ置かれた産業資材90の搬送が開始される。次に、記録部30において、搬送されてきた産業資材90に対して各色の紫外線硬化型インクが吐出され、記録面92に着弾する。各色の紫外線硬化型インクは、対応する色の記録ヘッドユニット32K,32C,32M,32Yそれぞれの記録ヘッドから吐出される。これによって、ブラックインクによるブラックドットと、シアンインクによるシアンドットと、マゼンタインクによるマゼンタドットと、イエローインクによるイエロードットとが、記録面92に記録(形成)される。
【0027】
その後、さらに搬送部10によって産業資材90が搬送され、上流側遮蔽機構40を通過し、照射部50において、紫外線硬化型インクが着弾した記録面92に紫外線が照射される。これによって、記録面92に着弾した各色の紫外線硬化型インクによって形成されたブラックドット、シアンドット、マゼンタドット、イエロードットが硬化する。そして、産業資材90は、さらに搬送部10によって搬送され、下流側遮蔽機構60を通過する。これによって、1つの産業資材90に対する画像の記録による模様付けが終了する。なお、産業資材90は、間隔K1で順次連続して搬送面12に載せ置かれ、搬送が開始される。そして、この産業資材90に対して、上記処理が連続的に繰り返して実行される。
【0028】
<上流側遮蔽機構>
上流側遮蔽機構40について、
図2〜
図4を参照して説明する。
図2及び
図4では図示を省略しているが、上流側遮蔽機構40は、実際には、搬送部10が貫通し、産業資材90が通過できるように搬送方向に貫通した筐体で覆われている。従って、後述する搬送方向上流側の他、インクジェット記録装置1の上方側及び下方側(
図1(b)及び
図4参照)についても、活性エネルギー線としての紫外線は遮蔽される。なお、
図4は、産業資材90が上流側遮蔽機構40を搬送される状態を説明するための図であって、上流側遮蔽機構40を構成する一部の構成を省略し、図示を簡略化している。従って、
図2及び
図3に示す構成と形状等が一致していない箇所もある。
【0029】
上流側遮蔽機構40は、
図2に示すように、第一遮蔽部410と、第二遮蔽部420と、開閉部460とを有する。第一遮蔽部410は、搬送部10の幅方向(
図2の「幅方向」参照)の一方側に、複数設けられる。第二遮蔽部420は、搬送部10の幅方向の他方側に、複数設けられる。第一遮蔽部410及び第二遮蔽部420は、それぞれ同数(
図2に示す例では、各10台)だけ設けられ、1つの第一遮蔽部410と、1つの第二遮蔽部420とは、対をなし、搬送方向上流側に向かう紫外線を遮蔽する機能を有する。第一遮蔽部410及び第二遮蔽部420は、同一の構成を有する。
【0030】
第一遮蔽部410及び第二遮蔽部420は、
図3に示すように、フレーム430と、遮蔽材440と、接触部442と、付勢部444とを有する。フレーム430には、遮蔽材440と接触部442と付勢部444とが取り付けられる。フレーム430は、ベース部432と、固定部434と、可動部436と、ガイド部438とで構成される。固定部434は、ベース部432に固定される。可動部436は、付勢部444による付勢方向及びこれと反対方向を往復移動可能な状態で、ベース部432に取り付けられる。ガイド部438は、可動部436の往復移動をガイドする。遮蔽材440は、可動部436に取り付けられ、可動部436の移動に連動して同一方向に移動する。遮蔽材440は、照射部50で照射された紫外線であって、上流側遮蔽機構40を貫通する貫通路を、搬送方向上流側に向かう紫外線を遮蔽し、この進行方向において紫外線が、記録部30の側に漏洩することを防止する。これによって、吐出面34において紫外線硬化型インクが硬化することを防止することができる。遮蔽材440は、例えば、板状又は垂れ幕状の部材によって構成される。なお、遮蔽材440の高さ(搬送面12に対して鉛直方向の寸法)は、上流側遮蔽機構40の貫通路の高さ程度以上に設定される。
【0031】
接触部442は、可動部436に取り付けられ、可動部436の往復移動に連動して同一方向に往復移動する。第一遮蔽部410の接触部442は、後述する開閉部460の第一案内部490に押圧された状態で接し、第二遮蔽部420の接触部442は、この開閉部460の第二案内部510に押圧された状態で接する。すなわち、それぞれの接触部442によって、可動部436の移動範囲は、第一案内部490及び第二案内部510までとなるように規制される。接触部442は、ガイドローラ等によって構成される。後述する開閉部460の移動部470,480によって、第一遮蔽部410及び第二遮蔽部420が、それぞれ移動した場合、第一遮蔽部410の接触部442は第一案内部490に接し、第二遮蔽部420の接触部442は第二案内部510に接して、移動に対応する方向にそれぞれ回転する。
【0032】
付勢部444は、固定部434と可動部436との間に、圧縮された状態で収容され、付勢力を生じさせる。この付勢力は、可動部436に伝達され、可動部436を付勢方向に移動させる。付勢部444は、第一案内部490、第二案内部510による反力によって可動部436が、付勢方向と反対の反付勢方向に移動した場合、圧縮される。なお、付勢部444による付勢力によって、可動部436に取り付けられた接触部442は、第一案内部490、第二案内部510にそれぞれ押圧された状態で接する。また、付勢部444の伸縮に伴う可動部436の移動に連動して、遮蔽材440は往復移動される。付勢部444は、
図2及び
図3に示すようにコイルばねで構成される。なお、付勢部444は、所定の方向(一軸方向)に付勢力を発生できるものであればコイルばね以外の構成としてもよい。
【0033】
開閉部460は、
図2に示すように、移動部470,480と、第一案内部490と、第二案内部510とを有する。移動部470は、ベルト部472と、回動部474,476とを有する。移動部470において、ベルト部472と、回動部474,476とは、それぞれ、搬送面12の上方となる所定の位置と、搬送面12と同
等となる所定の位置とに設けられる。
搬送面12の上方となる所定の位置より下方に設けられるベルト部472及び回動部474,476は、搬送面12以下又は搬送面12より下方となる所定の位置に設けられるようにしてもよい。ベルト部472は、環状をなし、例えばチェーン等によって構成される。ベルト部472には、
図2に示すように複数の第一遮蔽部410が、等間隔(
図2の「間隔K2」参照)で取り付けられる。具体的に、上方に設けられるベルト部472には、第一遮蔽部410のフレーム430の上方端面部が取り付けられ、下方に設けられるベルト部472には、フレーム430の下方端面部が取り付けられる(
図3(b)参照)。
【0034】
回動部474は、搬送方向上流側の所定の位置に設けられ、回動部476は、搬送方向下流側の所定の位置に設けられる。回動部474,476には、ベルト部472が掛けられる。例えば
、上方及び下方に設けられている回動部476のうち、上方に設けられる回動部476には、モータ等のような駆動部(不図示)が所定の伝達機構(不図示)を介して接続される。駆動部を所定の方向に回動させると、この回動部476は、伝達機構を介して、右回りに回転(従動回転。回動部476の中に記載の「矢印R」参照)する。これに伴い、上方に設けられるベルト部472及び回動部474が、回動部476と同一の方向に回転(従動回転。ベルト部472及び回動部474の中にそれぞれ記載の「矢印R」参照)する。そして、ベルト部472の回転に伴い、ベルト部472に取り付けられた第一遮蔽部410は、ベルト部472の他方側の部分(符号472a参照)において、搬送方向下流側に向かって移動し、一方側の部分(符号472b参照)において搬送方向上流側に向かって移動する。なお、下方に設けられた各部472,474,476についても、前述のように回転(従動回転)する。
【0035】
移動部480は、移動部470と同様の構成を有する。すなわち、移動部480は、ベルト部482と、回動部484,486とを有する。移動部480においても、ベルト部482と、回動部484,486とは、それぞれ、搬送面12の上方となる所定の位置と、搬送面12と同
等となる所定の位置とに設けられる。
搬送面12の上方となる所定の位置より下方に設けられるベルト部482及び回動部484,486は、搬送面12以下又は搬送面12より下方となる所定の位置に設けられるようにしてもよい。移動部470,480において、上方及び下方にそれぞれ設けられる、各部472,474,476と、各部482,484,486とは、互いに同一の高さに設けられる。ベルト部482は、環状をなし、例えばチェーン等によって構成される。ベルト部482には、
図2に示すように複数の第二遮蔽部420が、等間隔で取り付けられる。具体的に、上方に設けられるベルト部482には、第二遮蔽部420のフレーム430の上方端面部が取り付けられ、下方に設けられるベルト部482には、フレーム430の下方端面部が取り付けられる(
図3(b)参照)。第二遮蔽部420の取り付け間隔は、ベルト部472への第一遮蔽部410の取り付け間隔と等しく、間隔K2に設定される。
【0036】
回動部484は、搬送方向上流側の所定の位置に設けられ、回動部486は、搬送方向下流側の所定の位置に設けられる。回動部484,486には、ベルト部482が掛けられる。例えば
、上方及び下方に設けられている回動部486のうち、上方に設けられる回動部486には、回動部476を回転させるための駆動部が所定の伝達機構(不図示)を介して接続される。駆動部を所定の方向に回動させると、この回動部486は、伝達機構を介して、左回りに回転(従動回転。回動部486の中に記載の「矢印L」参照)する。これに伴い、上方に設けられるベルト部482及び回動部484が、回動部486と同一の方向に回転(従動回転。ベルト部482及び回動部484の中にそれぞれ記載の「矢印L」参照)する。そして、ベルト部482の回転に伴い、ベルト部482に取り付けられた第二遮蔽部420は、ベルト部482の一方側の部分(符号482b参照)において、搬送方向下流側に向かって移動し、他方側の部分(符号482a参照)において搬送方向上流側に向かって移動する。なお、下方に設けられた各部482,484,486についても、前述のように回転(従動回転)する。
【0037】
ここで、上述した通り、上流側遮蔽機構40では、上方に設けられた回動部476及び回動部486が、単一の駆動部によって回転される。従って、移動部470による第一遮蔽部410の移動と、移動部480による第二遮蔽部420の移動とは、同期が取られた状態で行われる。
【0038】
第一案内部490は、搬送面12の上方となる所定の位置(
図3(b)参照)であって、搬送部10の幅方向の一方側に設けられる。第一案内部490は、第一平行部492と、第一離間部494と、第一リターン部496と、第一方向転換部498,500とが連続した環状に形成される。第一平行部492と第一離間部494とは、搬送方向に延在する部分のうち、搬送部10の幅方向の他方側の部分を形成する。第一平行部492は、搬送方向に対して平行となるように形成される。第一離間部494は、搬送方向下流側に向かうに従い、搬送部10の幅方向において搬送部10から離間する方向に傾斜して形成される。第一リターン部496は、搬送方向に延在する部分のうち、搬送部10の幅方向の一方側の部分を形成する。第一リターン部496は、搬送方向に対して平行となるように形成される。第一方向転換部498は、第一離間部494の搬送方向下流側の端部と、第一リターン部496の搬送方向下流側の端部とを接続する。第一方向転換部500は、第一リターン部496の搬送方向上流側の端部と、第一平行部492の搬送方向上流側の端部とを接続する。
【0039】
搬送部10の幅方向における第一案内部490とベルト部472との間の幅寸法について、第一平行部492では幅W1で一定である。第一リターン部496及び第一方向転換部498,500では、幅W2で一定である(幅W1>幅W2)。第一離間部494における幅W3は、第一平行部492との境界における幅W1から、第一方向転換部498との境界における幅W2に漸次減少する(幅W1>幅W3>幅W2)。なお、第一方向転換部500では、第一平行部492に繋がる第一移行部502において、ベルト部472との間の幅寸法が、幅W2から幅W1に変化する。
【0040】
第二案内部510は、例えば
図2で一点鎖線で示す搬送部10の幅方向の中心線Mを基準として、第一案内部490と線対称の形状を有する。第二案内部510は、搬送面12の上方となる所定の位置(
図3(b)参照)であって、搬送部10の幅方向の他方側に設けられる。第一案内部490と、第二案内部510とは、例えば搬送面12を基準として、同一の高さに設けられ、また、中心線Mを基準として、線対称の位置に設けられる。第二案内部510は、第二平行部512と、第二離間部514と、第二リターン部516と、第二方向転換部518,520とが連続した環状に形成される。第二平行部512と第二離間部514とは、搬送方向に延在する部分のうち、搬送部10の幅方向の一方側の部分を形成する。第二平行部512は、搬送方向に対して平行となるように形成される。第二離間部514は、搬送方向下流側に向かうに従い、搬送部10の幅方向において搬送部10から離間する方向に傾斜して形成される。第二リターン部516は、搬送方向に延在する部分のうち、搬送部10の幅方向の他方側の部分を形成する。第二リターン部516は、搬送方向に対して平行となるように形成される。第二方向転換部518は、第二離間部514の搬送方向下流側の端部と、第二リターン部516の搬送方向下流側の端部とを接続する。第二方向転換部520は、第二リターン部516の搬送方向上流側の端部と、第二平行部512の搬送方向上流側の端部とを接続する。
【0041】
搬送部10の幅方向における第二案内部510とベルト部482との間の幅寸法について、第二平行部512では幅W1で一定である。第二リターン部516及び第二方向転換部518,520では、幅W2で一定である(幅W1>幅W2)。第二離間部514における幅W3は、第二平行部512との境界における幅W1から、第二方向転換部518との境界における幅W2に漸次減少する(幅W1>幅W3>幅W2)。なお、第二方向転換部520では、第二平行部512に繋がる第二移行部522において、ベルト部482との間の幅寸法が、幅W2から幅W1に変化する。なお、この幅寸法は、上述した第一案内部490とベルト部472との間の幅寸法と同様の関係である。
【0042】
次に、対をなす一組の、第一遮蔽部410の遮蔽材440と、第二遮蔽部420の遮蔽材440とを適宜移動させて行われる、上流側遮蔽機構40の開閉動作について、
図2及び
図4を参照して説明する。先ず、説明の便宜上、産業資材90が搬送されていない場合について説明する。移動部470のベルト部472に、間隔K2で取り付けられた複数の第一遮蔽部410において可動部436は、第一遮蔽部410が取り付けられたそれぞれの位置で、付勢部444によって付勢方向に付勢される。例えば、第一平行部492の位置にある第一遮蔽部410では、可動部436は、付勢部444によって、搬送部10の幅方向の一方側から他方側の方向に付勢され、接触部442が第一平行部492に接する位置まで移動する。そして、この可動部436に取り付けられた遮蔽材440は、可動部436の移動に連動して同一方向に移動する。このとき、この遮蔽材440の先端側は、搬送部10の幅方向の中心(
図2及び
図4で一点鎖線で示す「中心線M」参照)を他方側に越えた位置に配置される。従って、第一遮蔽部410の遮蔽材440は、搬送部10の幅方向の一方側の位置において、上流側遮蔽機構40の貫通路の領域(端面)のうち、搬送部10の幅方向の半分以上を閉鎖する(例えば
図4で、上流側及び下流側で且つ一方側に示された「遮蔽材440」参照)。
【0043】
同様に、移動部480のベルト部482に、間隔K2で取り付けられた複数の第二遮蔽部420において可動部436は、第二遮蔽部420が取り付けられたそれぞれの位置で、付勢部444によって付勢方向に付勢される。例えば、上述した第一平行部492の位置にある第一遮蔽部410と対をなし、第二平行部512の位置にある第二遮蔽部420では、可動部436は、付勢部444によって、搬送部10の幅方向の他方側から一方側の方向に付勢され、接触部442が第二平行部512に接する位置まで移動する。そして、この可動部436に取り付けられた遮蔽材440は、可動部436の移動に連動して同一方向に移動する。このとき、この遮蔽材440の先端側は、搬送部10の幅方向の中心(中心線M)を一方側に越えた位置に配置される。従って、第二遮蔽部420の遮蔽材440は、搬送部10の幅方向の他方側の位置において、上流側遮蔽機構40の貫通路の領域(端面)のうち、搬送部10の幅方向の半分以上を閉鎖する(例えば
図4で、上流側及び下流側で且つ他方側に示された「遮蔽材440」参照)。
【0044】
ここで、第一平行部492及び第二平行部512において、第一遮蔽部410の遮蔽材440と、第二遮蔽部420の遮蔽材440とは、上述した通り、それぞれが設けられた側において、上流側遮蔽機構40の貫通路の領域(端面)のうち、搬送部10の幅方向の半分以上を閉鎖する。従って、対をなす一組の第一遮蔽部410と第二遮蔽部420とが、それぞれ第一平行部492及び第二平行部512の位置にある場合、第一遮蔽部410及び第二遮蔽部420それぞれの遮蔽材440によって、上流側遮蔽機構40の貫通路の全領域(端面)が閉鎖される。すなわち、上流側遮蔽機構40が閉鎖される。その際、第一遮蔽部410の遮蔽材440の先端部分と、第二遮蔽部420の遮蔽材440の先端部分は、例えば
図4に示すように、中心線Mの部分で搬送方向に重複して配置される。そのため、上流側遮蔽機構40は、より好適に閉鎖され、搬送方向上流側に向かう紫外線は、より好適に遮蔽される。遮蔽材440の高さは、上述した通り、上流側遮蔽機構40の貫通路の高さ程度以上に設定されるため、貫通路の上方側及び下方側において、隙間は生じない。なお、
図4において、上流側に示された遮蔽材440それぞれに付したハッチングは、上述した遮蔽材440の先端部分を明示するためのものである。
【0045】
続けて、移動部470,480が駆動し、第一平行部492の位置にあった第一遮蔽部410が第一離間部494に移動し、且つ、第二平行部512の位置にあり、この第一遮蔽部410と対をなす一組の第二遮蔽部420が第二離間部514に移動したとする。このとき、第一遮蔽部410では、第一離間部494に押圧された状態で接する接触部442に、第一離間部494からの反力が作用し、第一離間部494の傾斜に対応して、可動部436が反付勢方向(
図3(b)参照)に漸次移動する。なお、この場合の反付勢方向は、搬送部10の幅方向において他方側から一方側の方向であって、搬送部10の幅方向において搬送部10から離間する方向、すなわち、搬送方向下流側に従い第一離間部494が傾斜していく方向に一致する。そして、この可動部436に取り付けられた遮蔽材440は、可動部436の移動に連動して同一方向に漸次移動する。
【0046】
同様に、第一離間部494の位置にある第一遮蔽部410と対をなし、第二離間部514の位置にある第二遮蔽部420では、第二離間部514に押圧された状態で接する接触部442に、第二離間部514からの反力が作用し、第二離間部514の傾斜に対応して、可動部436が反付勢方向に漸次移動する。なお、この場合の反付勢方向は、搬送部10の幅方向において一方側から他方側の方向であって、搬送部10の幅方向において搬送部10から離間する方向、すなわち、搬送方向下流側に従い第二離間部514が傾斜していく方向に一致する。そして、この可動部436に取り付けられた遮蔽材440は、可動部436の移動に連動して同一方向に漸次移動する。最終的に第一離間部494及び第二離間部514では、第一遮蔽部410の可動部436と、第二遮蔽部420の可動部436とは、幅W2に対応した位置まで、反付勢方向に移動し、これに連動して第一遮蔽部410の遮蔽材440と、第二遮蔽部420の遮蔽材440とも、幅W2に対応した位置まで移動する。これによって、対をなす一組の、第一遮蔽部410の遮蔽材440と、第二遮蔽部420の遮蔽材440とが、開放される。すなわち、上流側遮蔽機構40が開放される。
【0047】
第一離間部494を通過した第一遮蔽部410は、その後、第一方向転換部498、第一リターン部496及び第一方向転換部500を順次連続して移動する。同様に、第二離間部514を通過した第二遮蔽部420は、その後、第二方向転換部518、第二リターン部516及び第二方向転換部520を順次連続して移動する。ここで、第一方向転換部498、第一リターン部496及び第一方向転換部500(第一移行部502を除く)において、ベルト部472との間の幅寸法は、幅W2で一定である。また、第二方向転換部518、第二リターン部516及び第二方向転換部520(第二移行部522を除く)においても、ベルト部482との間の幅寸法は、幅W2で一定である。そのため、第一遮蔽部410は、第一離間部494を通過したときの状態を維持して、これら区間を移動し、第二遮蔽部420は、第二離間部514を通過したときの状態を維持して、これら区間を移動する。
【0048】
第一方向転換部500で、移動方向が搬送方向上流側から搬送方向下流側とされた第一遮蔽部410は、その後、第一方向転換部500の第一移行部502に到達する。第一移行部502では、ベルト部472との間の幅寸法が、幅W2から幅W1に変化する。そのため、可動部436は、付勢部444による付勢力によって、幅寸法の変化に対応しつつ付勢方向に移動し、遮蔽材440もこの移動に連動して同一方向に移動する。同様に、第二方向転換部520で、移動方向が搬送方向上流側から搬送方向下流側とされた第二遮蔽部420は、その後、第二方向転換部520の第二移行部522に到達する。第二移行部522では、ベルト部482との間の幅寸法が、幅W2から幅W1に変化する。そのため、可動部436は、付勢部444による付勢力によって、幅寸法の変化に対応しつつ付勢方向に移動し、遮蔽材440もこの移動に連動して同一方向に移動する。すなわち、第一遮蔽部410と第二遮蔽部420とは、上述したような上流側遮蔽機構40を閉鎖する状態となる。
【0049】
ところで、第一移行部502及び第二移行部522において、第一遮蔽部410の可動部436と、第二遮蔽部420の可動部436とが、それぞれ、付勢方向、すなわち、搬送部10の幅方向のうち、中心線Mの方向にそれぞれ移動したとき、産業資材90が、第一移行部502及び第二移行部522の位置を搬送されているとする。この場合、第一遮蔽部410の接触部442が第一平行部492に接する前に、第一遮蔽部410の遮蔽材440が産業資材90の一方側の側面に接し、これ以降、付勢方向への移動が規制される。同様に、第二遮蔽部420の接触部442が第二平行部512に接する前に、第二遮蔽部420の遮蔽材440が産業資材90の他方側の側面に接し、これ以降、付勢方向への移動が規制される。第一遮蔽部410及び第二遮蔽部420において、産業資材90と、これを挟み込む遮蔽材440,440とは、例えば
図4で搬送方向の中央に示すような状態となる。すなわち、上流側遮蔽機構40では、第一遮蔽部410の遮蔽材440と、第二遮蔽部420の遮蔽材440とが、紫外線硬化型インクが着弾し、未硬化状態の記録面92を横切る等して、これと接触することはない。
【0050】
そして、産業資材90は、
図2(搬送方向の中央に示された産業資材90参照)及び
図4に示すように、両側面を、遮蔽材440,440で挟まれた状態で、搬送方向下流側に搬送される。ここで、搬送部10によって搬送される産業資材90は、例えば、第一遮蔽部410及び第二遮蔽部420それぞれのベルト部472,482への取り付け間隔K2より広い間隔K1となるようにして(間隔K1>間隔K2)、搬送面12に、順次載せ置かれる。また、搬送部10による産業資材90の搬送速度と、移動部470,480による第一遮蔽部410及び第二遮蔽部420の移動速度とは、同一速度に設定される。従って、一の産業資材90が、第一移行部502及び第二移行部522の位置を搬送され、第一遮蔽部410の遮蔽材440と、第二遮蔽部420の遮蔽材440とに挟み込まれ、その状態で搬送された後、次に他の産業資材90が、第一移行部502及び第二移行部522の位置を搬送される前に、対をなす一組の第一遮蔽部410及び第二遮蔽部420が、第一移行部502及び第二移行部522に、それぞれ移動される。すなわち、上流側遮蔽機構40では、第一移行部502及び第二移行部522で産業資材90が挟み込まれたとしても、その後、これに後続して第一移行部502及び第二移行部522に移動される、対をなす一組の第一遮蔽部410及び第二遮蔽部420それぞれの遮蔽材440,440によって、搬送方向上流側への遮蔽は、上述したように、好適に実現される。
【0051】
遮蔽材440,440で産業資材90を挟み込んだ第一遮蔽部410及び第二遮蔽部420は、その後、第一平行部492及び第二平行部512を通過し、第一離間部494及び第二離間部514を移動することとなる。この移動途中において、第一遮蔽部410では、遮蔽材440と産業資材90の一方側の側面との接触に応じた位置にあった接触部442が、第一離間部494に接する。また、第二遮蔽部420では、遮蔽材440と産業資材90の他方側の側面との接触に応じた位置にあった接触部442が、第二離間部514に接する。そして、これ以降、搬送方向下流側に移動されるに従い、第一遮蔽部410では、接触部442に第一離間部494からの反力が作用し、第一離間部494の傾斜に対応して、可動部436が反付勢方向に漸次移動する。また、第二遮蔽部420では、接触部442に第二離間部514からの反力が作用し、第二離間部514の傾斜に対応して、可動部436が反付勢方向に漸次移動する。これによって、第一遮蔽部410及び第二遮蔽部420それぞれの遮蔽材440,440による挟み込みが解除される。産業資材90は、さらに搬送方向下流側に搬送されて照射部50に到達する。照射部50では、記録面92に紫外線が照射される。その後、産業資材90は、さらに搬送部10によって搬送され、下流側遮蔽機構60を通過する。
【0052】
<下流側遮蔽機構>
下流側遮蔽機構60について、
図5及び
図6を参照して説明する。
図5及び
図6では図示を省略しているが、下流側遮蔽機構60は、実際には、搬送部10が貫通し、産業資材90が通過できるように搬送方向に貫通した筐体で覆われている。従って、後述する搬送方向下流側の他、インクジェット記録装置1の上方側及び下方側(
図1(b)及び
図6参照)についても、活性エネルギー線としての紫外線は遮蔽される。なお、
図6は、産業資材90が下流側遮蔽機構60を搬送される状態を説明するための図であって、下流側遮蔽機構60を構成する一部の構成を省略し、図示を簡略化している。
【0053】
下流側遮蔽機構60は、移動部610,630と、遮蔽材650,670とを有する。下流側遮蔽機構60において、遮蔽材650は、複数設けられ、遮蔽材670は、遮蔽材650と同数だけ設けられる。移動部610と、複数の遮蔽材650とによる構成は、搬送部10の幅方向の一方側に設けられる。移動部630と、複数の遮蔽材670とによる構成は、搬送部10の幅方向の他方側に設けられる。
【0054】
移動部610は、ベルト部612と、回動部614,616,618,620とを有する。移動部610において、ベルト部612と、回動部614,616,618,620とは、それぞれ、搬送面12の上方となる所定の位置に設けられる。ベルト部612は、環状をなし、例えばチェーン等によって構成される。ベルト部612には、
図5に示すように複数の遮蔽材650が、所定の取付機構(不図示)を介して、等間隔(間隔K3:間隔K1>間隔K3)で取り付けられる。回動部614,616,618,620は、それぞれ、
図5に示すような位置に設けられる。回動部614,616,618,620には、ベルト部612が掛けられる。例えば回動部620には、モータ等のような駆動部(不図示)が所定の伝達機構(不図示)を介して接続される。駆動部を所定の方向に回動させると、この回動部620は、伝達機構を介して、右回りに回転(従動回転。回動部620の中に記載の「矢印R」参照)する。これに伴い、ベルト部612と、回動部614,616,618とが、回動部620と同一の方向に回転(従動回転。ベルト部612及び回動部614,616,618の中にそれぞれ記載の「矢印R」参照)する。そして、ベルト部612の回転に伴い、ベルト部612に取り付けられた遮蔽材650は、ベルト部612の他方側の部分(符号612a,612b参照)において、搬送方向下流側に向かって移動し、一方側の部分(符号612d参照)において搬送方向上流側に向かって移動する。
【0055】
移動部610において、回動部614の部分と、回動部618及び回動部620の間のベルト部612の部分612cで、遮蔽材650の移動方向が転換される。また、回動部614と回動部616との間においてベルト部612の部分612aは、搬送方向下流側に向かうに従い、搬送部10の幅方向において搬送部10に接近する方向に傾斜している。従って、遮蔽材650は、この部分612aを、搬送部10の幅方向の中心(
図5で一点鎖線で示す「中心線M」参照)に漸次接近するように移動する。
【0056】
移動部630は、ベルト部632と、回動部634,636,638,640とを有する。移動部630において、ベルト部632と、回動部634,636,638,640とは、それぞれ、搬送面12の上方となる所定の位置であって、移動部610と同一の高さに設けられる。ベルト部632は、移動部610のベルト部612に対応する構成である。ベルト部632には、
図5に示すように複数の遮蔽材670が、所定の取付機構(不図示)を介して、等間隔で取り付けられる。遮蔽材670の取り付け間隔は、ベルト部612への遮蔽材650の取り付け間隔と等しく、間隔K3に設定される。また、回動部634は回動部614に、回動部636は回動部616に、回動部638は回動部618に、回動部640は回動部620に、それぞれ対応する。そして、回動部634,636,638,640は、
図5に示すように、例えば搬送部10の幅方向の中心線Mを基準として、回動部614,616,618,620と線対称の位置に設けられ、ベルト部632が、回動部634,636,638,640に掛けられる。
【0057】
例えば回動部640には、回動部640を回転させるための駆動部(不図示)が所定の伝達機構(不図示)を介して接続される。駆動部を所定の方向に回動させると、この回動部640は、伝達機構を介して、左回りに回転(従動回転。回動部640の中に記載の「矢印L」参照)する。これに伴い、ベルト部632と、回動部634,636,638とが、回動部640と同一の方向に回転(従動回転。ベルト部632及び回動部634,636,638の中にそれぞれ記載の「矢印L」参照)する。そして、ベルト部632の回転に伴い、ベルト部632に取り付けられた遮蔽材670は、ベルト部632の一方側の部分(符号632a,632b参照)において、搬送方向下流側に向かって移動し、他方側の部分(符号632d参照)において搬送方向上流側に向かって移動する。なお、回動部640を回転させるための駆動部は、回動部620を回転させるための駆動部を用いるとよい。遮蔽材650の移動と、遮蔽材670の移動とを、同期が取られた状態で行うことができる。
【0058】
移動部630において、回動部634の部分と、回動部638及び回動部640の間のベルト部632の部分632cで、遮蔽材670の移動方向が転換される。また、回動部634と回動部636との間においてベルト部632の部分632aは、搬送方向下流側に向かうに従い、搬送部10の幅方向において搬送部10に接近する方向に傾斜している。従って、遮蔽材670は、この部分632aを、搬送部10の幅方向の中心(中心線M)に漸次接近するように移動する。なお、移動部630による遮蔽材670の移動軌跡は、移動部610の場合の移動軌跡と、中心線Mを基準として線対称となる。搬送部10による産業資材90の搬送速度と、移動部610,630による遮蔽材650,670の移動速度とは、例えば同一速度に設定される。
【0059】
ベルト部612,632にそれぞれ取り付けられた遮蔽材650,670は、
図6に示すように、搬送面12の上方に垂れ下がった状態とされる。遮蔽材650,670は、同様の構成を有する。すなわち、遮蔽材650,670は、垂れ下がった状態で、搬送面12と対向する部分が搬送面12に接近又は接触するような長さを有し、搬送部10の幅の半分以上の幅を有する。搬送部10の幅方向において、遮蔽材650の他方側の辺部と、遮蔽材670の一方側の辺部とは、例えば
図6に示すように、中心線Mの部分で隣接するように配置される。そのため、対をなす一組の遮蔽材650,670によれば、下流側遮蔽機構60の貫通路の全領域(端面)を閉鎖することができる。すなわち、ベルト部612,632に取り付けられ、搬送面12の上方に垂れ下がった状態において、1つの遮蔽材650と、1つの遮蔽材670とは、対をなし、搬送方向下流側に向かう紫外線を遮蔽する機能を有する。遮蔽材650,670は、上流側遮蔽機構40における、第一遮蔽部410の遮蔽材440と第二遮蔽部420の遮蔽材440とのように、重複するようにしてもよい(
図4参照)。なお、遮蔽材650がベルト部612の部分612bを通過し、部分612cを移動することとなり、遮蔽材670がベルト部632の部分632bを通過し、部分632cを移動することとなったとき、下流側遮蔽機構60は、開放される。
【0060】
遮蔽材650が回動部614を通過し、ベルト部612の部分632aを移動し、この遮蔽材650と対をなす遮蔽材670が回動部634を通過し、ベルト部632の部分632aを移動するタイミングで、搬送部10によって産業資材90が搬送されてきたとする。この場合、遮蔽材650,670は、それぞれ、産業資材90に接し、記録面92上で所定の方向に変形する。なお、この時点において、産業資材90は照射部50を通過しており、記録面92に着弾した紫外線硬化型インクは硬化している。そのため、この接触によって、画像品質が損なわれることはない。
【0061】
ところで、遮蔽材650,670が変形した場合、照射部50で照射され、搬送方向下流側に向かう紫外線は、変形によって形成された隙間を通過することとなる。しかし、下流側遮蔽機構60では、この変形した遮蔽材650,670(例えば
図6で搬送方向上流側に示す「遮蔽材650,670」参照)の前方を移動する、未変形の他の遮蔽材650,670(例えば
図6で搬送方向下流側に示す「遮蔽材650,670」参照)によって、紫外線を好適に遮蔽することができる。
【0062】
本実施形態の構成は、次のようにすることもできる。すなわち、上記では、インクジェット記録装置1が有する搬送部10が、
図1(a),(b)に示すように、連続した単一の構成である場合を例に説明した。この他、搬送部10は、複数のコンベア等を、適宜組み合わせて構成されてもよい。例えば、記録部30と、上流側遮蔽機構40の間で、搬送経路を分割するような場合、記録部30までの一の搬送部に隣接した位置、又は、離間した位置に、他の搬送部を設け、記録面92に紫外線硬化型インクが着弾した産業資材90を、上流側遮蔽機構40と、照射部50と、下流側遮蔽機構60を通過させるようにしてもよい。なお、他の搬送部を一の搬送部から離間した位置に設けられるインクジェット記録装置(インクジェット記録システム)である場合、記録部30で画像が形成された産業資材90は、パレット等を利用して、他の搬送部に運ばれ、再度、他の搬送部の搬送面に載せ置かれる。
【0063】
また、下流側遮蔽機構60は、例えば、上流側遮蔽機構40と同様の構成を有する遮蔽機構としてもよい。