特許第5713758号(P5713758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5713758
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】栽培方法及び栽培装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/00 20060101AFI20150416BHJP
   A01G 31/04 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   A01G9/00 C
   A01G31/04 B
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-76211(P2011-76211)
(22)【出願日】2011年3月30日
(65)【公開番号】特開2012-210155(P2012-210155A)
(43)【公開日】2012年11月1日
【審査請求日】2013年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 由
(72)【発明者】
【氏名】平井 達也
(72)【発明者】
【氏名】河野 浩二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 豪
【審査官】 松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−209970(JP,A)
【文献】 特開2001−078568(JP,A)
【文献】 特開2004−166584(JP,A)
【文献】 特開2000−023574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G9/00−9/10
A01G31/00−31/06
A01G1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を定植する培地が載置される栽培ユニットと、該栽培ユニットを複数段及び1又は複数列に収納する収納棚と、該収納棚の収納位置及び該収納棚以外の位置を含む複数の位置間で前記栽培ユニットを移送する移送機構とを備える栽培装置で前記植物を栽培する方法において、
前記栽培ユニットを第1位置から前記収納棚の上段の空き収納位置に移送する収納工程と、
前記収納棚の下段に収納された前記栽培ユニットを第2位置に移送する搬出工程と、
前記収納棚に収納された各栽培ユニットを最下段に近い収納位置から順次下方の収納位置に移送する段下げ工程と
を含むことを特徴とする栽培方法。
【請求項2】
前記栽培装置は、空きの栽培ユニットをストックするストック棚を備え、
該ストック棚から前記空きの栽培ユニットを前記第1位置に移送する工程と、
該工程で移送された空きの栽培ユニットに前記培地を載置する工程と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の栽培方法。
【請求項3】
前記搬出工程で前記第2位置に移送された前記栽培ユニットから前記培地を取り出す工程と、
該工程で前記培地が取り出された空きの栽培ユニットを前記ストック棚に移送する工程と
を含むことを特徴とする請求項に記載の栽培方法。
【請求項4】
前記培地を載置する工程及び前記培地を取り出す工程は、日中の時間帯に行うことを特徴とする請求項に記載の栽培方法。
【請求項5】
前記第1位置及び第2位置は、同一位置であることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の栽培方法。
【請求項6】
前記収納棚は、上段、該上段の1つ下の段及びそれより下の下段の夫々に、前記栽培ユニットに養液を給液するための給液バルブを備え、
前記収納工程の後に前記上段の前記給液バルブを開き、
前記搬出工程の前に前記下段の前記給液バルブを閉じ、
前記段下げ工程の前に前記上段及び該上段の1つ下の段の前記給液バルブを閉じ、
前記段下げ工程の後に前記上段の1つ下の段及び前記下段の前記給液バルブを開くこと
を特徴とする請求項からの何れか1項に記載の栽培方法。
【請求項7】
植物を定植する培地が載置される栽培ユニットと、該栽培ユニットを複数段及び1又は複数列に収納する収納棚と、該収納棚の収納位置及び該収納棚以外の位置を含む複数の位置間で前記栽培ユニットを移送する移送機構とを備える栽培装置で前記植物を栽培する方法において、
前記収納棚の下段に収納された前記栽培ユニットを所定位置に移送する工程と、
該工程で移送された前記栽培ユニットから前記培地を取り出して新たな培地を載置する工程と、
該工程で新たな培地が載置された前記栽培ユニットを前記収納棚の上段の空き収納位置に移送する工程と、
前記収納棚に収納された各栽培ユニットを最下段に近い収納位置から順次下方の収納位置に移送する工程と
を含むことを特徴とする栽培方法。
【請求項8】
植物を定植する培地が載置される栽培ユニットと、該栽培ユニットを複数段及び1又は複数列に収納する収納棚と、該収納棚の収納位置及び該収納棚以外の位置を含む複数の位置間で前記栽培ユニットを移送する移送機構とを備える栽培装置において、
前記移送機構は、
前記栽培ユニットを前記第1位置から前記収納棚の上段の空き収納位置に移送する収納手段と、
前記収納棚の下段に収納された前記栽培ユニットを第2位置に移送する搬出手段と、
前記収納棚に収納された各栽培ユニットを最下段に近い収納位置から順次下方の収納位置に移送する手段と
を有することを特徴とする栽培装置。
【請求項9】
空きの栽培ユニットをストックするストック棚と、
前記ストック棚から前記空きの栽培ユニットを第1位置に移送する手段と、
前記第2位置から空きの栽培ユニットを前記ストック棚に移送する手段と
を備えること
を特徴とする請求項に記載の栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を定植する培地が載置される栽培ユニットを収納棚に収納して植物を栽培する栽培方法及び該栽培方法を用いる栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、促成栽培に適した植物を短期間内に大量に栽培する試みが数多くなされており、そこでは、植物が播種又は定植された栽培容器に対する農薬散布、給液、施肥、日照管理等の作業を効率よく行うために、無端搬送装置等の移動装置によって栽培容器が栽培施設内を搬送される構成が採用されている。
【0003】
例えば特許文献1では、農薬噴霧室、潅水室及び作業室が設置された作業エリアと育成エリアとに分割されて仕切られた温室内を、多数の栽培ポットが無担搬送装置によって搬送されるようにすることにより、設備費を抑制して増設変更を容易とする植物工場が開示されている。また、特許文献2では、植物栽培用の複数の容器を出入り可能に収容する容器棚が複数段及び複数列に積層された集合棚と、容器を容器棚から移動させる移動装置とを備え、個別の容器を植物の育成に必要な場所に適宜移動させることができる立体式水耕栽培設備が開示されている。更にまた、特許文献3では、植物株を栽培する栽培トレイを複数段及び複数列に収容可能な栽培トレイ収容棚に、任意の栽培トレイを入出移動させる栽培トレイ移載機構の構成を単純にすることが可能であり、スペース効率が良好な植物栽培装置が開示されている。
【0004】
一方、上述したような栽培装置を用いて更に効率よく植物を栽培する試みもなされている。例えば特許文献4では、種ゴケが植え付けられて昼夜形成装置内の棚に並べられた栽培トレイを、蛍光灯を昼夜点灯させる昼間区と蛍光灯を設置しない夜間区との間で交互に移動させることにより、栽培に必要とされる昼夜の条件を適当に形成して栽培時間の短縮と設備コストの低減とを可能とする人工栽培装置が開示されている。また、特許文献5では、芽出室、育成室及び抑制室の各室に設置されている複数列のラックに格納されたキノコの栽培容器の収納パレットを、入庫コンベアによって芽出室から出庫して抑制室へ移送する前に、ラック上段の棚から下段の空き棚に移し替えることにより、生育状態を均一化すると共に生育状態を容易に監視できるようにした栽培用倉庫システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−023574号公報
【特許文献2】特開2000−209970号公報
【特許文献3】特許第4617395号公報
【特許文献4】特開2000−004672公報
【特許文献5】特開2001−078568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1から5に開示された技術では、植物の苗の収納及び育成と、成育した植物の収穫のための搬出とを一連の処理として実行することができなかった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、植物の苗の効率的な収納及び育成から、成育した植物の搬出までを統括的に実行することが可能な栽培方法及び栽培装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る栽培方法は、植物を定植する培地が載置される栽培ユニットと、該栽培ユニットを複数段及び1又は複数列に収納する収納棚と、該収納棚の収納位置及び該収納棚以外の位置を含む複数の位置間で前記栽培ユニットを移送する移送機構とを備える栽培装置で前記植物を栽培する方法において、前記栽培ユニットを第1位置から前記収納棚の上段の空き収納位置に移送する収納工程と、前記収納棚の下段に収納された前記栽培ユニットを第2位置に移送する搬出工程と、前記収納棚に収納された各栽培ユニットを最下段に近い収納位置から順次下方の収納位置に移送する段下げ工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る栽培方法は、前記栽培装置は、空きの栽培ユニットをストックするストック棚を備え、該ストック棚から前記空きの栽培ユニットを前記第1位置に移送する工程と、該工程で移送された空きの栽培ユニットに前記培地を載置する工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る栽培方法は、前記搬出工程で前記第2位置に移送された前記栽培ユニットから前記培地を取り出す工程と、該工程で前記培地が取り出された空きの栽培ユニットを前記ストック棚に移送する工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る栽培方法は、前記培地を載置する工程及び前記培地を取り出す工程は、日中の時間帯に行うことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る栽培方法は、前記第1位置及び第2位置は、同一位置であることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る栽培方法は、前記収納棚は、上段、該上段の1つ下の段及びそれより下の下段の夫々に、前記栽培ユニットに養液を給液するための給液バルブを備え、前記収納工程の後に前記上段の前記給液バルブを開き、前記搬出工程の前に前記下段の前記給液バルブを閉じ、前記段下げ工程の前に前記上段及び該上段の1つ下の段の前記給液バルブを閉じ、前記段下げ工程の後に前記上段の1つ下の段及び前記下段の前記給液バルブを開くことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る栽培方法は、植物を定植する培地が載置される栽培ユニットと、該栽培ユニットを複数段及び1又は複数列に収納する収納棚と、該収納棚の収納位置及び該収納棚以外の位置を含む複数の位置間で前記栽培ユニットを移送する移送機構とを備える栽培装置で前記植物を栽培する方法において、前記収納棚の下段に収納された前記栽培ユニットを所定位置に移送する工程と、該工程で移送された前記栽培ユニットから前記培地を取り出して新たな培地を載置する工程と、該工程で新たな培地が載置された前記栽培ユニットを前記収納棚の上段の空き収納位置に移送する工程と、前記収納棚に収納された各栽培ユニットを最下段に近い収納位置から順次下方の収納位置に移送する工程とを含むことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る栽培装置は、植物を定植する培地が載置される栽培ユニットと、該栽培ユニットを複数段及び1又は複数列に収納する収納棚と、該収納棚の収納位置及び該収納棚以外の位置を含む複数の位置間で前記栽培ユニットを移送する移送機構とを備える栽培装置において、前記移送機構は、前記栽培ユニットを前記第1位置から前記収納棚の上段の空き収納位置に移送する収納手段と、前記収納棚の下段に収納された前記栽培ユニットを第2位置に移送する搬出手段と、記収納棚に収納された各栽培ユニットを最下段に近い収納位置から順次下方の収納位置に移送する手段とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る栽培装置は、空きの栽培ユニットをストックするストック棚と、前記ストック棚から前記空きの栽培ユニットを第1位置に移送する手段と、前記第2位置から空きの栽培ユニットを前記ストック棚に移送する手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、移送機構の移送範囲内にある第1位置に置かれた栽培ユニットを収納棚の上段の空き収納位置に移送して収納し、収納棚の下段に収納された栽培ユニットを搬出して第2位置(第1位置と同一又は異なる位置)に移送し、収納棚に収納された各栽培ユニットを最下段に近い収納位置から順次下方の収納位置に移送して段下げを行う。そしてこれらの収納、搬出及び段下げからなるサイクルを適宜繰り返す。
これにより、植物の苗が培地に定植された栽培ユニットが適宜第1位置に準備される場合は、上記サイクルの繰り返しによって培地の植物が成育した栽培ユニットが、収納棚の下段から第2位置に移送される。
【0020】
本発明にあっては、栽培ユニットを第1位置から収納棚の最上段の空き収納位置に移送して収納し、収納棚の最下段に収納された栽培ユニットを搬出して第2位置に移送する。
これにより、収納棚の全段が無駄なく利用される。
【0021】
本発明にあっては、培地が載置されていない空きの栽培ユニットをストック棚から搬出して第1位置に移送し、移送した栽培ユニットに培地を載置する。
これにより、収納、搬出及び段下げからなるサイクル毎に、植物の苗が培地に定植された栽培ユニットが第1位置に準備される。
【0022】
本発明にあっては、収納棚の下段から搬出されて第2位置に移送された栽培ユニットから培地を取り出し、培地が取り出されて空きとなった栽培ユニットをストック棚に移送して収納する。
これにより、収納、搬出及び段下げからなるサイクル毎に、第2位置に移送された栽培ユニットから適宜培地が取り出されると共に、空きとなった栽培ユニットがストック棚にストックされる。
【0023】
本発明にあっては、第1位置に移送された空きの栽培ユニットへの培地の載置と、第2位置に移送された栽培ユニットからの培地の取り出しとを日中の時間帯に行う。
これにより、処理時間の多くを占める段下げの一部又は全部の処理が日中以外の時間帯に振り向けられるため、栽培ユニットに対する培地の載置及び取り出しを人手によって行う場合は、作業者が日中に無理なく作業することができる。
【0024】
本発明にあっては、植物の苗が培地に定植された栽培ユニットが置かれる第1位置と同一の位置に、培地の植物が成育した栽培ユニットが移送される。
これにより、収納棚に対する培地の収納の準備と搬出後の処理とが同一位置にて効率的に行われる。
【0025】
本発明にあっては、栽培ユニットを第1位置から収納棚の上段の空き収納位置に移送して収納した後に上段の給液バルブを開き、収納棚の下段に収納された栽培ユニットを搬出して第2位置に移送する前に下段の給液バルブを閉じ、段下げの前に上段及びその1つ下の段の給液バルブを閉じ、そして段下げ後に上段の1つ下の段及び下段の給液バルブを開く。
これにより、収納棚の上段に栽培ユニットを収納する都度、収納された栽培ユニットに対する養液の給液が開始され、収納棚の下段から栽培ユニットを搬出する都度、搬出される栽培ユニットに対する養液の給液が停止され、段下げの前に段下げ対象列の全ての栽培ユニットに対する養液の給液が停止され、そして段下げ後に段下げ対象列の全ての栽培ユニットに対する養液の給液が再開される。
【0026】
本発明にあっては、収納棚の下段に収納された栽培ユニットを搬出して所定位置に移送し、移送した栽培ユニットから培地を取り出して新たな培地を載置し、培地が載置された栽培ユニットを収納棚の上段の空き収納位置に移送して収納し、収納棚に収納された各栽培ユニットを最下段に近い収納位置から順次下方の収納位置に移送して段下げを行う。そしてこれらの収納、搬出及び段下げからなるサイクルを適宜繰り返す。
これにより、上記サイクルの繰り返しによって培地の植物が成育した栽培ユニットが収納棚の下段から所定位置に移送され、該所定位置にて培地の取り出しと、苗が定植された新たな培地の載置とが行われる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、収納棚に収納すべき苗が培地に定植された栽培ユニットが適宜第1位置に準備される場合は、培地の植物が成育した栽培ユニットが収納棚の下段から搬出されて第2位置に移送される。また、収納、搬出及び段下げのサイクル数を、上段から下段までの段数と一致させることにより、植物の生育サイクルが連続的に繰り返される。
従って、植物の苗の効率的な収納及び育成から、成育した植物の搬出までを統括的に実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施の形態1に係る栽培装置を正面右上から見た斜視図である。
図2図1の栽培装置の正面図である。
図3図1の栽培装置の平面図である。
図4図1の栽培装置の側面図である。
図5】栽培ユニットの下部を構成する支持フレームを略示する斜視図である。
図6】栽培ユニットの上部を構成する栽培トレイを略示する斜視図である。
図7】栽培ユニット及び移載機を略示する斜視図である。
図8】棚集合体における養液の給液位置及び排液経路を模式的に示す説明図である。
図9】制御部の構成及び周辺回路との接続構成を示すブロック図である。
図10】本発明の実施の形態1に係るCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図11】収納のサブルーチンに係るCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図12】搬出のサブルーチンに係るCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図13】段下げのサブルーチンに係るCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図14】本発明の実施の形態2に係るCPUの処理手順を示すフローチャートである。
図15】搬出・収納のサブルーチンに係るCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る栽培装置を正面右上から見た斜視図、図2図1の栽培装置の正面図、図3図1の栽培装置の平面図、図4図1の栽培装置の側面図である。図中1は、後述する複数の栽培ユニット5(図7参照)を収納する収納棚であり、収納棚1は、縦方向に15段及び横方向に6列の棚を有する棚集合体10,10同士を、列方向(ここでは横方向)と交差する方向に並設して夫々の上部にて連結したものである。後側に位置する棚集合体10の右側方には、縦方向に12段の棚を有するストック棚3が、空きの栽培ユニット5をストック(以下、収納ともいう)すべく連結されている。前側に位置する棚集合体10の右側方には、ストック棚3の最下段と対向する位置に、作業者が植物の栽培に必要な作業を行うための作業ステーション4が並設されている。
【0030】
棚集合体10,10の間には、収納棚1及びストック棚3の任意の収納位置にある棚(以下、単に棚ともいう)並びに作業ステーション4相互間で栽培ユニット5を移送する移送機構2が配されている。移送機構2は、直立する4本の昇降ガイド21と該4本の昇降ガイド21に沿って上下に移動可能に構成された移載機22とを有しており、棚集合体10,10間の地上に敷設されたレール20に案内されてその全体が収納棚1の列方向(以下、単に列方向という)に移動するスタッカークレーンである。移載機22は、自身と任意の棚又は作業ステーション4との間で、栽培ユニット5を双方向に載せ替えする。移載機22を含む昇降ガイド21の列方向への移動と、移載機22の上下方向への移動とは、図示しないモータの駆動力によって走行するチェーンを用いて各別に行われる。
【0031】
次に、栽培ユニット5及び移載機22について説明する。
図5は、栽培ユニット5の下部を構成する支持フレーム51を略示する斜視図であり、図6は、栽培ユニット5の上部を構成する栽培トレイ52を略示する斜視図であり、図7は、栽培ユニット5及び移載機22を略示する斜視図である。
【0032】
図5に示す支持フレーム51は、亜鉛メッキ鋼板を矩形の浅皿状に成形してなり、底部には、略正方形の打ち抜き穴511が長手方向に2つ開設されている。各打ち抜き穴511の周囲には、周縁部を上向きに折り曲げてなる4つのリブ512が立設されている。支持フレーム51の長辺に沿う方向に設けられた4つのリブ512には、支持フレーム51の各短辺に近い側に切り欠きが形成してあり、後述する養液が前記切り欠きから打ち抜き穴511を介して下方に流れ落ちるようになっている。支持フレーム51の各短辺の外側には、横長の金属板の長手方向に沿う両端部を互いに反対方向に折り曲げてなる下向きのフック513が、例えば溶接によって固着されている。
【0033】
図6に示す栽培トレイ52は、合成樹脂を矩形の浅皿状に成形してなり、一方の短辺の中央部近傍の底部には、養液を排出する排液口521が形成されている。栽培トレイ52には、発泡スチロールからなる複数(図6では4つ、図7では8つ)の培地6が載置される。各培地6は複数(図では9つ)の嵌凹部61を有し、該嵌凹部61に例えばリーフレタスの苗が定植される。
【0034】
図7に移って、上述した栽培トレイ52が支持フレーム51によって下側から支持されて一体化されたものが栽培ユニット5を構成する。栽培ユニット5は、収納棚1及びストック棚3夫々に対し、長手方向を前後方向に向けて収納及びストックされる。
一方、移載機22は、図示しないモータの駆動力で循環走行する並行2条(1条は図示せず)のチェーン221と、該チェーン221間に掛け渡された直棒状のアタッチメント222とを備える。
【0035】
栽培ユニット5を任意の棚又は作業ステーション4から移載機22に載せ替える場合、アタッチメント222が、チェーン221の走行に応じて栽培ユニット5の長手方向に平行移動し、図7に示す位置でフック513に下側から係合する。その後、チェーン221の走行に伴って栽培ユニット5全体が引き寄せられることにより、栽培ユニット5が棚又は作業ステーション4から移載機22に載せ替えられる。
【0036】
これとは逆に、栽培ユニット5を移載機22から任意の棚又は作業ステーション4に載せ替える場合、載せ替え先の方向(例えば図3,4で移載機22から見て棚がある方向)に応じて移載機22のモータの回転方向が決定され、チェーン221の走行に伴って栽培ユニット5全体が移載機22から任意の棚又は作業ステーション4側に押し出される。その後、フック513からアタッチメント222が下方に離脱して係合が解除された時に載せ替えが完了する。このように、移載機22に対して栽培ユニット5が引き寄せられ、又は押し出される方向と、その範囲とを白抜き矢印にて示す。
【0037】
次に、栽培ユニット5に対する養液の給液及び排液について説明する。
図8は、棚集合体10における養液の給液位置及び排液経路を模式的に示す説明図である。他の棚集合体10についても同様である。棚集合体10は、最上段(第15段)、該最上段の1つ下の段(第14段)及び最下段(第1段)の夫々に養液を給液する給液パイプ11と、該給液パイプ11を開閉する電磁バルブからなる給液バルブ12とを備える。棚集合体10は、また、最上段、最下段及び該最下段の1つ上側の段(第2段)の夫々に養液を排出する排液パイプ13を備える。給液パイプ11及び排液パイプ13は、棚集合体10の前後方向に対して互いに反対側に位置するように配されている。栽培ユニット5は、排液パイプ13側に排液口521が位置するように、各段の棚に収納される。
【0038】
第15段の給液パイプ11は、該第15段の棚に収納された栽培ユニット5の長手方向の一端部の上方から給液バルブ12を介して養液を給液する。第15段の棚の栽培ユニット5の排液口521から打ち抜き穴511を介して(以下、単に排液口521から、という)排出された養液は、第15段の排液パイプ13から排出される。次に、第14段の給液パイプ11は、該第14段の棚に収納された栽培ユニット5の長手方向の一端部の上方から給液バルブ12を介して養液を給液する。第14段の棚の栽培ユニット5の排液口521から排出された養液は、第14段及びその下段(第13段)の間に設けられた樋14を介して、第13段の棚に収納された栽培ユニット5の長手方向の一端部の上方から養液を供給する。
【0039】
以下同様に、第N段(Nは13から2までの整数)の棚の栽培ユニット5の排液口521から排出された養液は、第N及び第N−1段の間に設けられた樋14を介して、第N−1段の棚に収納された栽培ユニット5の長手方向の一端部の上方から養液を供給する。第2段の棚の栽培ユニット5の排液口521から排出された養液は、第2段の排液パイプ13から排出される。第1段の給液パイプ11は、該第1段の棚に収納された栽培ユニット5の長手方向の一端部の上方から給液バルブ12を介して養液を給液する。第1段の棚の栽培ユニット5の排液口521から排出された養液は、第1段の排液パイプ13から排出される。
【0040】
図8では、第1段から第15段までの全段の棚に栽培ユニット5が収納されているものとして説明したが、後述するように、第1段及び第15段夫々の棚に栽培ユニット5が収納されていない場合は、夫々の段の給液バルブ12を閉じて給液しないようにすればよい。
【0041】
移送機構2の動作は、例えば作業ステーション4に配された制御部7によって制御される。
図9は、制御部7の構成及び周辺回路との接続構成を示すブロック図である。制御部7はCPU71を備え、CPU71は、プログラム等の情報を記憶するROM72、一時的に発生した情報を記憶するRAM73、及び時間を計時するタイマ74とバス接続されている。CPU71には、また、LCD81及びタッチパネル82を有する操作表示部8を制御するための操作表示インタフェース75と、移載機22の移動及び給液バルブ12の開閉を制御するための入出力インタフェース76とがバス接続されている。操作表示部8は、例えば作業者からの指示を受け付けるためのものであり、作業者が操作表示部8から与える指示及び通知の夫々は、CPU71が実行する処理に対する指示及び通知として受け付けられる。
【0042】
入出力インタフェース76には、図示しないチェーンを用いて移載機22を列方向及び上下方向に夫々移動させる2つのモータと、チェーン221を走行させるモータとを、夫々インバータによって駆動させる3つのモータ駆動回路15が接続されている。入出力インタフェース76には、また、移載機22の列方向及び上下方向夫々への移動量並びにチェーン221の走行量を検出するための3つのロータリエンコーダ16と、3つの給液バルブ12の夫々を開閉させる3つのバルブ駆動回路17とが接続されている。
【0043】
各ロータリエンコーダ16は、例えば、上述した夫々のチェーンを走行させる図示しないスプロケットの回転に応じてパルスを発生させる。CPU71は、移載機22の列方向及び上下方向への移動並びにチェーン221の走行に応じて各ロータリエンコーダ16が発生させるパルスを計数することによって、移載機22の移動量及びチェーン221の走行量を検出する。CPU71は、これらの検出値が目標値となるように各モータ駆動回路15を制御することによって、移載機22の移動量とチェーン221の走行量とを自在に制御すると共に、符号付きの移動量及び走行量を積算することにより、移載機22及びアタッチメント222の所在位置を随時把握する。
【0044】
以下では、上述した栽培装置における制御部7の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
図10は、本発明の実施の形態1に係るCPU71の処理手順を示すフローチャートであり、図11から13の夫々は、収納、搬出及び段下げのサブルーチンに係るCPU71の処理手順を示すフローチャートである。CPU71は、栽培装置の機能を実現するために、ROM72に予め格納されている制御プログラムに従って図10から13に示す処理を実行する。図10のメインルーチンは、例えば1日に1回、作業者の就業時間帯の前に起動される。時刻情報はタイマ74から取得される。各サブルーチンの処理は、作業者が実行する処理と連携して実行される。
【0045】
図10の処理が起動された場合、CPU71は、収納に係るサブルーチンを呼び出して実行する(S11)。図11に移って、収納に係るサブルーチンがメインルーチンから呼び出された場合、CPU71は、作業者からの収納開始の指示があったか否かを判定して(S31)指示があるまで待機している(S31:NO)。一方の作業者は、操作表示部8から収納開始を指示した(S21)後、空きの栽培ユニット5が作業ステーション4に荷降しされるまで待機する(S22)。
【0046】
作業者からの収納開始の指示があった場合(S31:YES)、CPU71は、空きの栽培ユニット5が収納されているストック棚3に移載機22を移動させる(S32)。移載機22を収納棚1の列方向に移動させる場合、本実施の形態1では、先に移載機22を昇降ガイド21の最下部に降ろした後に、昇降ガイド21を移載機22と共に列方向に移動させるが、これに限定されるものではない。ストック棚3の各収納位置に空きの栽培ユニット5が収納されているか否かのストック情報は、RAM73に記憶されている。どの収納位置から先に空きの栽培ユニット5を取り出すかの順番は、任意であってもよいし、ファーストイン・ファーストアウト(先入れ先出し)、ラーストイン・ファーストアウト(後入れ先出し)等の方式に従ってもよい。
【0047】
次に、CPU71は、空きの栽培ユニット5をストック棚3から搬出して(S33)移載機22に載せ替え、RAM73に記憶したストック情報を更新した(S34)後に、作業ステーション4に向けて移載機22を移動させ(S35)、移送した空きの栽培ユニット5を作業ステーション4に載せ替えて荷降しする(S36)。
【0048】
一方の作業者は、空きの栽培ユニット5が作業ステーション4に荷降しされたのを確認して待機を終えると、予めリーフレタスの苗が定植された培地6を空きの栽培ユニット5の栽培トレイ52に載置した(S23)後に、操作表示部8から載置完了を通知する(S25)。次いで、作業者は、準備された全ての培地6の載置が完了したか否かを判定し(S26)、完了していない場合(S26:NO)、次に空きの栽培ユニット5が荷降しされるまで再度待機する(S22)。全ての培地6の載置が完了した場合(S26:YES)、作業者は、操作表示部8から収納終了を指示した(S27)後、図11に示す作業を終了する。
【0049】
ステップS36の処理の後、CPU71は、培地6の載置完了の通知があったか否かを判定して(S37)通知があるまで待機しており(S37:NO)、通知があった場合(S37:YES)、栽培ユニット5を荷揚げして(S38)移載機22に載せ替える。その後、CPU71は、空き収納位置を目指して収納棚1の最上段(第15段)に移載機22を移動させる(S39)。収納棚1の各収納位置に栽培ユニット5が収納されているか否かの収納情報は、RAM73に記憶されている。移載機22の移動先は、収納棚1の全12列について適当に割り振られた列番号の順番に決めてもよいし、列の順番を問わずに決めてもよい。
【0050】
次いで、CPU71は、移送した栽培ユニット5を移載機22から空き収納位置の棚に載せ替えて収納し(S40)、RAM73に記憶した収納情報を更新した(S41)後に、先の収納位置の給液バルブ12を開いて(S42)第15段の栽培ユニット5に対する養液の給液を開始させる。この栽培ユニット5に給液された溶液は、図8に示すように、第15段の排液パイプ13から排出される。
【0051】
その後、CPU71は、作業者からの収納終了の指示があったか否かを判定し(S43)、指示があった場合(S43:YES)、図10のメインルーチンにリターンする。収納終了の指示がなかった場合(S43:NO)、CPU71は、収納棚1の最上段(第15段)に空き収納位置が有るか否かを判定し(S44)、空きがない場合(S44:NO)、メインルーチンにリターンする。空きが有る場合(S44:YES)、CPU71は、収納棚1の他の列の最上段に栽培ユニット5を収納するために、処理をステップS32に戻す。
【0052】
図10に戻って、収納に係るサブルーチンからリターンした場合、CPU71は、搬出に係るサブルーチンを呼び出して実行する(S12)。図12に移って、搬出に係るサブルーチンがメインルーチンから呼び出された場合、CPU71は、作業者からの搬出開始の指示があったか否かを判定して(S61)指示があるまで待機している(S61:NO)。一方の作業者は、操作表示部8から搬出開始を指示した(S51)後、培地6のリーフレタスが成育した栽培ユニット5が作業ステーション4に荷降しされるまで待機する(S52)。
【0053】
作業者からの搬出開始の指示があった場合(S61:YES)、CPU71は、栽培ユニット5が収納されている最下段(第1段)の給液バルブ12を閉じる(S62)。閉じるべき給液バルブ12は、収納棚1の全12列について適当に割り振られた列番号の順番に決めてもよいし、列の順番を問わずに決めてもよい。給液が停止された栽培ユニット5から養液の排出が完了するまでには概ね1分を要するため、この段階で1分間待機してもよいし、移載機22の移動時間を見越して特に待機時間を設けなくてもよい。
【0054】
その後、CPU71は、直前に給液バルブ12を閉じた収納位置を目指して、収納棚1の最下段(第1段)に移載機22を移動させ(S63)、栽培ユニット5を最下段の棚から搬出して(S64)移載機22に載せ替える。そして、CPU71は、RAM73に記憶した収納情報を更新した(S65)後に、作業ステーション4に向けて移載機22を移動させ(S66)、移送した栽培ユニット5を作業ステーション4に載せ替えて荷降しする(S67)。
【0055】
一方の作業者は、栽培ユニット5が作業ステーション4に荷降しされたのを確認して待機を終えると、荷降しされた栽培ユニット5から培地6を取り出した(S53)後に、操作表示部8から取出完了を通知する(S55)。次いで、作業者は、全ての培地6の取り出しが完了したか否かを判定し(S56)、完了していない場合(S56:NO)、ステップS52に戻って、次の栽培ユニット5が荷降しされるまで待機する。全ての培地6の取り出しが完了した場合(S56:YES)、作業者は、操作表示部8から搬出終了を指示した(S57)後、図12に示す作業を終了する。
【0056】
ステップS67の処理の後、CPU71は、培地6の取出完了の通知があったか否かを判定して(S68)通知があるまで待機しており(S68:NO)、通知があった場合(S68:YES)、空きとなった栽培ユニット5を荷揚げして(S69)移載機22に載せ替える。次いで、CPU71は、空き収納位置を目指してストック棚3に移載機22を移動させ(S70)、移送した空きの栽培ユニット5を移載機22からストック棚3に載せ替えて収納し(S71)、RAM73に記憶したストック情報を更新する(S72)。
【0057】
その後、CPU71は、作業者からの搬出終了の指示があったか否かを判定し(S73)、指示があった場合(S73:YES)、図10のメインルーチンにリターンする。搬出終了の指示がなかった場合(S73:NO)、CPU71は、収納棚1の最下段に栽培ユニット5が有るか否かを判定し(S74)、ない場合(S74:NO)、メインルーチンにリターンする。栽培ユニット5が有る場合(S74:YES)、CPU71は、収納棚1の他の列の最下段から栽培ユニット5を搬出するために、処理をステップS62に戻す。
【0058】
図10に戻って、搬出に係るサブルーチンからリターンした場合、CPU71は、段下げに係るサブルーチンを呼び出して実行する(S13)。図13に移って、段下げに係るサブルーチンがメインルーチンから呼び出された場合、CPU71は、収納棚1の1列分の給液バルブ12を全て閉じて(S81)養液の給液を停止する。この段階では、第1段の給液バルブ12が既に閉じられているため、第15段及び第14段夫々の給液バルブ12を閉じることとなる。給液バルブ12を閉じるべき列は、収納棚1の全12列について適当に割り振られた列番号の順番に決めてもよいし、列の順番を問わずに決めてもよい。
【0059】
その後、CPU71は、給液バルブ12を閉じた列の全ての栽培ユニット5から養液が排出されるまでの時間を見越して15分間待機する(S82)。上述したように、1つの栽培ユニット5から養液の排出が完了するまでには概ね1分を要するため、ここでは第14段の給液パイプ11から給液された養液が各段の間の樋14を介して第2段の排液パイプ13から排出されるまでの時間を合計した13分に余裕を見て15分としている。15分の待機を終えた場合、CPU71は、養液の給液を停止した列について、最下段の1つ上の段(第2段)に移載機22を移動させる(S83)。
【0060】
その後、CPU71は、移載機22の移動先の段の棚から栽培ユニット5を搬出して(S84)移載機22に載せ替え、RAM73に記憶した収納情報を更新した(S85)後に、1つ下の段に移載機22を移動させる(S86)。そして、CPU71は、移送した栽培ユニット5を移載機22から移動先の段の棚に載せ替えて収納し(S87)、RAM73に記憶した収納情報を再び更新する(S88)。
【0061】
次いで、CPU71は、移載機22の移動先が最上段の1つ下の段(第14段)であるか否かを判定し(S89)、第14段ではない場合(S89:NO)、2つ上の段に移載機22を移動させ(S90)、その列の栽培ユニット5についての段下げを継続するために、ステップS84に処理を移す。移載機22の移動先が第14段である場合(S89:YES)、CPU71は、他に最下段が空きとなっている列が有るか否かを判定し(S91)、ない場合(S91:NO)はメインルーチンにリターンする。他に最下段が空きとなっている列が有る場合(S91:YES)、CPU71は、他の列の全ての栽培ユニット5について段下げを行うために、ステップS81に処理を移す。
【0062】
図10に戻って、段下げに係るサブルーチンからリターンした場合、CPU71は、図10に示す一連の処理を全て終了する。
【0063】
以上のように本実施の形態1によれば、作業ステーションに置かれた栽培ユニットを収納棚の上段の空き収納位置に移送して収納し、収納棚の下段に収納された栽培ユニットを搬出して作業ステーションに移送し、収納棚に収納された各栽培ユニットを最下段に近い収納位置から順次下方の収納位置に移送して段下げを行う。そしてこれらの収納、搬出及び段下げからなるサイクルを収納棚の列の数だけ繰り返す。
これにより、収納棚に収納すべき植物の苗が培地に定植された栽培ユニットが適宜作業ステーションに準備される場合は、上記サイクルの繰り返しによって培地の植物が成育した栽培ユニットが、収納棚の下段から搬出されて作業ステーションに移送される。
従って、植物の苗の効率的な収納及び育成から、成育した植物の搬出までを統括的に実行することが可能となる。更に、人手による苗の準備作業及び成育株の出荷作業と、移送機構による栽培ユニットの収納及び搬出とを並行させることができ、栽培装置の稼働率を向上させることが可能となる。
【0064】
また、栽培ユニットを作業ステーションから収納棚の最上段の空き収納位置に移送して収納し、収納棚の最下段に収納された栽培ユニットを搬出して作業ステーションに移送する。
従って、収納棚の全段を無駄なく利用することが可能となる。
【0065】
更にまた、培地が載置されていない空きの栽培ユニットをストック棚から搬出して作業ステーションに移送し、移送した栽培ユニットに作業者が培地を載置する。
従って、収納、搬出及び段下げからなるサイクル毎に、植物の苗が培地に定植された栽培ユニットを作業ステーションに準備することが可能となる。
【0066】
更にまた、収納棚の下段から搬出されて作業ステーションに移送された栽培ユニットから作業者が培地を取り出し、培地が取り出されて空きとなった栽培ユニットをストック棚に移送して収納する。
従って、収納、搬出及び段下げからなるサイクル毎に、作業ステーションに移送された栽培ユニットから適宜培地が取り出されるため、空きとなった栽培ユニットをストック棚にストックすることが可能となる。
【0067】
更にまた、作業ステーションに移送された空きの栽培ユニットへの培地の載置と、作業ステーションに移送された栽培ユニットからの培地の取り出しとを日中の時間帯に行う。
これにより、処理時間の多くを占める段下げの一部又は全部の処理を日中以外の時間帯に振り向けることができるため、栽培ユニットに対する培地の載置及び取り出しを行う作業者が日中に無理なく作業することが可能となる。
【0068】
更にまた、リーフレタスの苗が培地に定植された栽培ユニットが置かれる作業ステーションと同一の位置に、培地のリーフレタスが成育した栽培ユニットが移送される。
これにより、収納棚に対する培地の収納の準備と搬出後の処理とを同一位置にて効率的に行うことが可能となる。
【0069】
更にまた、栽培ユニットを作業ステーションから収納棚の最上段(第15段)の空き収納位置に移送して収納した後に第15段の給液バルブを開き、収納棚の最下段(第1段)に収納された栽培ユニットを搬出して作業ステーション移送する前に第1段の給液バルブを閉じ、段下げの前に第15段及び第14段の給液バルブを閉じ、そして段下げ後に第14段及び第1段の給液バルブを開く。
従って、収納棚の上段に栽培ユニットを収納する都度、収納された栽培ユニットに対する養液の給液を開始し、収納棚の下段から栽培ユニットを搬出する都度、搬出される栽培ユニットに対する養液の給液を停止し、段下げの前に段下げ対象列の全ての栽培ユニットに対する養液の給液を停止し、そして段下げ後に段下げ対象列の全ての栽培ユニットに対する養液の給液を再開することが可能となる。
【0070】
(実施の形態2)
実施の形態1が、収納棚1の最上段に栽培ユニット5を収納した後に、最下段から栽培ユニット5を搬出する形態であるのに対し、実施の形態2は、収納棚1の最下段から栽培ユニット5を搬出した後に、最上段に栽培ユニット5を収納する形態である。
図14は、本発明の実施の形態2に係るCPU71の処理手順を示すフローチャートである。図14のメインルーチンは、例えば1日に1回、作業者の就業時間帯の前に起動される。サブルーチンの処理は、作業者が実行する処理と連携して実行される。
【0071】
図14の処理が起動された場合、CPU71は、搬出・収納に係るサブルーチンを呼び出して実行する(S111)。図15に移って、搬出・収納に係るサブルーチンがメインルーチンから呼び出された場合、CPU71は、作業者からの搬出・収納開始の指示があったか否かを判定して(S161)指示があるまで待機している(S161:NO)。一方の作業者は、操作表示部8から搬出・収納開始を指示した(S151)後、培地6のリーフレタスが成育した栽培ユニット5が作業ステーション4に荷降しされるまで待機する(S152)。
【0072】
作業者からの搬出・収納開始の指示があった場合(S161:YES)、CPU71は、栽培ユニット5が収納されている最下段(第1段)の給液バルブ12を閉じる(S162)。以下のステップS163からステップS167までの処理は、図12に示すステップS63からステップS67までの処理と同一であるため、その説明を省略する。
【0073】
一方の作業者は、栽培ユニット5が作業ステーション4に荷降しされたのを確認して待機を終えると、荷降しされた栽培ユニット5から培地6を取り出す(S153)。その後、作業者は、予めリーフレタスの苗が定植された培地6を空きの栽培ユニット5の栽培トレイ52に載置した(S154)後に、操作表示部8から、培地6の更新完了を通知する(S155)。
【0074】
次いで、作業者は、全ての培地6の更新が完了したか否かを判定し(S156)、完了していない場合(S156:NO)、ステップS152に戻って、次の栽培ユニット5が荷降しされるまで待機する。全ての培地6の更新が完了した場合(S156:YES)、作業者は、操作表示部8から搬出・収納終了を指示した(S157)後、図15に示す作業を終了する。
【0075】
ステップS167の処理の後、CPU71は、培地6の更新完了の通知があったか否かを判定して(S168)通知があるまで待機しており(S168:NO)、通知があった場合(S168:YES)、培地6が更新された栽培ユニット5を荷揚げして(S138)移載機22に載せ替える。以下のステップS139からステップS142までの処理は、図11に示すステップS39からステップS42までの処理と同一であるため、その説明を省略する。
【0076】
ステップS142の処理の後、CPU71は、作業者からの搬出・収納終了の指示があったか否かを判定し(S173)、指示があった場合(S173:YES)、図14のメインルーチンにリターンする。搬出・収納終了の指示がなかった場合(S173:NO)、CPU71は、収納棚1の最下段に栽培ユニット5が有るか否かを判定し(S174)、ない場合(S174:NO)、メインルーチンにリターンする。栽培ユニット5が有る場合(S174:YES)、CPU71は、収納棚1の他の列の最下段から栽培ユニット5を搬出するために、処理をステップS162に戻す。
【0077】
図14に戻って、搬出・収納に係るサブルーチンからリターンした場合、CPU71は、段下げに係るサブルーチンを呼び出して実行する(S113)。段下げに係るサブルーチンは、実施の形態1と同様である。段下げに係るサブルーチンからリターンした場合、CPU71は、図14に示す一連の処理を全て終了する。
【0078】
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0079】
以上のように本実施の形態2によれば、収納棚の下段に収納された栽培ユニットを搬出して作業ステーションに移送し、移送した栽培ユニットから培地を取り出して新たな培地を載置し、培地が載置された栽培ユニットを収納棚の上段の空き収納位置に移送して収納し、収納棚に収納された各栽培ユニットを最下段に近い収納位置から順次下方の収納位置に移送して段下げを行う。そしてこれらの収納、搬出及び段下げからなるサイクルを収納棚の列の数だけ繰り返す。
従って、上記サイクルの繰り返しによって培地の植物が成育した栽培ユニットを収納棚の下段から所定位置に移送し、該所定位置にて培地の取り出しと、苗が定植された新たな培地の載置とを行うことが可能となる。
【0080】
尚、実施の形態1及び2にあっては、1つの作業ステーション4を起点及び終点にして、収納棚1への栽培ユニット5の収納と、収納棚1からの栽培ユニット5の搬出とを行ったが、これに限定されるものではなく、別々の作業ステーションを起点及び終点にして収納と搬出とを行うようにしてもよい。また、収納棚1に含まれる一の棚を作業ステーションとして用いてもよい。
【0081】
更に、実施の形態1及び2にあっては、移載機22の列方向及び上下方向への移動量を積算することについて誤差の累積を特に考慮していないが、例えば作業ステーション4を基準位置にして移載機22を適宜作業ステーション4に移動させ、その都度移載機22の所在位置を示す情報を初期化するようにしてもよい。
【0082】
更にまた、実施の形態1及び2にあっては、作業者からの指示及び通知を受けて処理を進めたが、これに限定されるものではなく、適宜自動的に処理を進めるようにしてもよい。
【0083】
更にまた、実施の形態1及び2にあっては、段下げのサブルーチンにおいて一の列の段下げが終了した後に他の列の給水バルブ12を閉じたが、一の列の段下げの半ばで他の列の給紙バルブ12を閉じることにより、他の列の段下げ前の15分間の待機時間を短縮するようにしてもよい。
【0084】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
1 収納棚
12 給液バルブ
2 移送機構
22 移載機
3 ストック棚
4 作業ステーション(第1位置、第2位置)
5 栽培ユニット
52 栽培トレイ
6 培地
7 制御部
71 CPU
72 ROM
73 RAM
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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