(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
セラミックスを主成分とする多孔質の隔壁と、前記隔壁により区画形成されて一方の端面から他方の端面まで通じる複数のセルとを備えるハニカム構造部を有するとともに、
前記ハニカム構造部の中心部分は、前記一方の端面である流入側端面のみを目封止された前記セルと、いずれにも目封止されていない前記セルとが形成された片面目封止ハニカム構造部であり、
前記ハニカム構造部の外周部分は、前記一方の端面のみを目封止された前記セルと、前記他方の端面のみを目封止された前記セルとが交互に並ぶ構造である両面目封止ハニカム構造部であり、
前記他の端面においては、前記他方の端面の中心から前記他方の端面の外周に向かういずれの方向においても前記両面目封止ハニカム構造部の幅が前記セルの個数にして2個分以上あるセラミックスフィルタ。
前記他方の端面を目封止された前記セルについては、目封止された部分の前記セルの通じる方向に沿った長さが3〜30mmである請求項1または2に記載のセラミックスフィルタ。
セラミックスを主成分とする多孔質の隔壁と、前記隔壁により区画形成されて一方の端面から他方の端面まで通じる複数のセルとを備えるハニカムセグメントを複数個有し、
前記複数個のハニカムセグメントは、前記一方の端面である流入側端面のみを目封止された前記セルと、いずれにも目封止されていない前記セルとが形成された片面目封止ハニカムセグメントと、前記一方の端面である前記流入側端面のみを目封止された前記セルと、前記他方の端面のみを目封止された前記セルとが交互に並ぶ両面目封止ハニカムセグメントとを含み、
中心部分に1個以上の前記片面目封止セグメントを配置する状態にて前記複数個のハニカムセグメントを互いの側面同士を対向させつつ隣接させて接合させたセラミックスフィルタ。
前記片面目封止ハニカムセグメントの前記他方の端面において目封止された前記セルの数の合計が全ての前記ハニカムセグメントにおける全ての前記セルの数の5〜15%である請求項5に記載のセラミックスフィルタ。
前記両面目封止ハニカムセグメントにおいては、前記他方の端面における目封止された部分の前記セルの通じる方向に沿った長さが3〜30mmである請求項5または6に記載のセラミックスフィルタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、セラミックスフィルタでは、一部のセルが残余のセルよりも多量の排ガスを取り込んでしまう場合があり、このような場合には、多量の排ガスを取り込むセルでは過剰量の粒子状物質を捕集して目詰まりを生じてしまうことがある。
【0005】
上記の問題に鑑みて、本発明の目的は、粒子状物質を含む排ガスを処理した場合に粒子状物質によるセルの目詰まりが生じにくいセラミックスフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述した目的を達成するものである。具体的には、以下に示すセラミックスフィルタが提供される。
【0007】
[1] セラミックスを主成分とする多孔質の隔壁と、前記隔壁により区画形成されて一方の端面から他方の端面まで通じる複数のセルとを備えるハニカム構造部を有するとともに、前記ハニカム構造部の中心部分は、前記一方の端面
である流入側端面のみを目封止された前記セルと、いずれにも目封止されていない前記セルと
が形成された片面目封止ハニカム構造部であり、前記ハニカム構造部の外周部分は、前記一方の端面のみを目封止された前記セルと、前記他方の端面のみを目封止された前記セルとが交互に並ぶ構造
である両面目封止ハニカム構造部であり、前記他の端面においては、前記他方の端面の中心から前記他方の端面の外周に向かういずれの方向においても前記両面目封止ハニカム構造部の幅が前記セルの個数にして2個分以上あるセラミックスフィルタ。
【0008】
[2] 前記他方の端面を目封止された前記セルの数が全ての前記セルの数の5〜15%である前記[1]に記載のセラミックスフィルタ。
【0009】
[3] 前記他方の端面を目封止された前記セルについては、目封止された部分の前記セルの通じる方向に沿った長さが3〜30mmである前記[1]または[2]に記載のセラミックスフィルタ。
【0010】
[4] 前記セルが通じる方向に垂直な前記両面目封止ハニカム構造部の断面においては、前記一方の端面
である前記流入側端面のみを目封止された前記セルの断面積が、前記他方の端面のみを目封止された前記セルの断面積よりも小さい前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセラミックスフィルタ。
【0011】
[5] セラミックスを主成分とする多孔質の隔壁と、前記隔壁により区画形成されて一方の端面から他方の端面まで通じる複数のセルとを備えるハニカムセグメントを複数個有し、前記複数個のハニカムセグメントは、前記一方の端面
である流入側端面のみを目封止された前記セルと、いずれにも目封止されていない前記セルと
が形成された片面目封止ハニカムセグメントと、前記一方の端面
である前記流入側端面のみを目封止された前記セルと、前記他方の端面のみを目封止された前記セルとが交互に並ぶ両面目封止ハニカムセグメントとを含み、中心部分に1個以上の前記片面目封止セグメントを配置する状態にて前記複数個のハニカムセグメントを互いの側面同士を対向させつつ隣接させて接合させたセラミックスフィルタ。
【0012】
[6] 前記片面目封止ハニカムセグメントの前記他方の端面において目封止された前記セルの数の合計が全ての前記ハニカムセグメントにおける全ての前記セルの数の5〜15%である前記[5]に記載のセラミックスフィルタ。
【0013】
[7] 前記両面目封止ハニカムセグメントにおいては、前記他方の端面における目封止された部分の前記セルの通じる方向に沿った長さが3〜30mmである前記[5]または[6]に記載のセラミックスフィルタ。
【0014】
[8] 前記セルが通じる方向に垂直な前記両面目封止ハニカムセグメントの断面においては、前記一方の端面
である前記流入側端面のみを目封止された前記セルの断面積が、前記他方の端面のみを目封止された前記セルの断面積よりも小さい前記[5]〜[7]のいずれかに記載のセラミックスフィルタ。
【発明の効果】
【0015】
本発明のセラミックスフィルタは、粒子状物質を含む排ガスを処理した場合に粒子状物質によるセルの目詰まりが生じにくい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0018】
1.第一発明のセラミックスフィルタ:
本願の第一発明のセラミックスフィルタは、セラミックスを主成分とする多孔質の隔壁と、隔壁により区画形成されて一方の端面から他方の端面まで通じる複数のセルとを備えるハニカム構造部を有するとともに、ハニカム構造部の中心部分は、一方の端面
である流入側端面のみを目封止されたセルと、いずれにも目封止されていないセルと
が形成された片面目封止ハニカム構造部であり、ハニカム構造部の外周部分は、一方の端面のみを目封止されたセルと、他方の端面のみを目封止されたセルとが交互に並ぶ構造
である両面目封止ハニカム構造部であるものである。
【0019】
第一発明のセラミックスフィルタでは、ハニカム構造部が、片面目封止ハニカム構造部と、両面目封止ハニカム構造部とから構成されている。ガスを一方の端面
である流入側端面から両面目封止ハニカム構造部に当てると、一方の端面
である流入側端面を開口するセルの内部にガスを流入させることができる。このとき、両面目封止ハニカム構造部のセル内に流入したガスについては、反対側の他方の端面を目封止されているので、ガスを多孔質の隔壁に通り抜させ、隣のセルへと送り込み、最終的に他方の端面からガスを排出する。ここで、ガスを多孔質の隔壁に通り抜けさせる際に、隔壁を通り抜けることができない粒子状物質を捕捉する。そのため、両面目封止ハニカム構造部の内部にガスを流入させると、粒子状物質の濃度を減らしたガスを排出する。すなわち、両面目封止ハニカム構造部によってガスを浄化することができる。
【0020】
また、第一発明では、片面目封止ハニカム構造部には、どこにも目封止されていないセルが含まれている。このようなセルにガスを流入させると、そのままセルを通り抜けさせて、反対側からガスを排出することになる。このように一方の端面
である流入側端面から他方の端面まで、ガスに同一セル内を通過させるだけなので、圧力損失が大きくなりにくい。そのため、ハニカム構造部全体で考えても、ハニカム構造部の内部を一方の端面
である流入側端面から他方の端面に向かってガスを流す際には、圧力損失が過度に大きくならない。
【0021】
本明細書にいうセラミックスを主成分とする多孔質の隔壁とは、隔壁がセラミックスを50質量%以上含んでいることをいう。第一発明のセラミックスフィルタでは、多孔質の隔壁については、コージェライトやSiCを主成分とすることができる。また、セルの目封止については、例えば、セラミックスを主成分とする目封止材によってセルの端部を塞ぐことにより行うことができる。このとき、目封止材の主成分となるセラミックスの種類については、隔壁の主成分となるセラミックスの種類と同じものを用いることができる。
【0022】
一般に、ハニカム構造のセラミックスフィルタにおいては、ガスを一方の端面に当てた場合に、セル内に流入するガスの流量は、セラミックスフィルタの中心部分にあるセルの方が外周部分にあるセルよりも多くなる傾向がある。これに伴って、粒子状物質についても、セラミックスフィルタの中心部分のセルの方が外周部分のセルよりも多量に流入しやすい。第一発明のセラミックスフィルタのように、セラミックスフィルタの中心部分にどこにも目封止されていないセルを含む場合には、この目封止されてないセルでは、粒子状物質をそのまま排出することが可能であり、その結果、多量のガスが流入する場合であっても、粒子物質の捕集を少量にとどめることができる。よって、セラミックスフィルタ内に多量のガスが流入する場合であっても、セラミックスフィルタの中心部分にあるセルが粒子状物質によって早期に目詰まりしてしまうことが起こりにくい。
【0023】
また、第一発明のセラミックスフィルタでは、セラミックスフィルタの中心部分に一方の端面を目封止されたセルを含むので、ガスを一方の端面に当てると、ガスの一部に対しては、セラミックスフィルタ内に流入する前に、セルの端部を目封止されていることによって行く手を阻み、その結果として、セラミックスフィルタの外周部分へと流れるように振り分けていくことができる。こうしてガスを振り分けられたセラミックスフィルタの外周部分は両面目封止ハニカム構造部とされており、この両面目封止ハニカム構造部では上述したように粒子状物質を捕集する能力が高いので、ガスに含まれる粒子状物質を確実に捕集することができる。
【0024】
さらに、第一発明のセラミックスフィルタでは、他方の端面においては、他方の端面の中心から他方の端面の外周に向かういずれの方向においても両面目封止ハニカム構造部の幅がセルの個数にして2個分以上ある。両面目封止ハニカム構造部は、一方の端面のみを目封止されたセルと他方の端面のみを目封止されたセルとが交互に並ぶ構造を含んでいる。すなわち、両面目封止ハニカム構造部では、セルが2個以上並んでいると、必ず1以上のセルはセラミックスフィルタの一方の端面において開口していることになる。この構造を踏まえた上で、上述した他方の端面における両面目封止ハニカム構造部の幅についての特徴を、一方の端面に注目して言い換えると、第一発明のセラミックスフィルタでは、一方の端面の中心から一方の端面の外周に向かういずれの方向においても、両面目封止ハニカム構造部に含まれるセルが少なくとも1個以上が開口していることになる。したがって、上述したガスの振り分けによって、セラミックスフィルタの外周部分のどの箇所にガスを振り分けたとしても、その振り分けられた先でガスを両目封止面ハニカム構造部のセル内に流入させることができる。その結果、この両面ハニカム構造部で粒子状物質を確実に捕集することができる。
【0025】
また、ハニカム構造のセラミックスフィルタでは、通常、粒子状物質によって一部のセルに目詰まりを生じた場合に、目詰まりによってガスの流れが変化し、ガスの流量が所定のセルへと偏ってしまいやすい。本第一発明のセラミックスフィルタでは、上述したような目封止の働きによりセラミックスフィルタ内に流入する前にガスの流れを振り分けることができるので、一部のセルに目詰まりを生じた場合でも、このような目詰まりを生じた状態に応じたガスの振り分けがなされやすく、その結果、ガスの流量が所定のセルへと偏ってしまうことも生じにくくなる。
【0026】
また、第一発明のセラミックスフィルタでは、他方の端面を目封止されたセルの数が図全てのセルの数の5〜15%であることが好ましい。第一発明においては、他方の端面を目封止されたセルの数が全てのセルの数の5%以上である場合には、ガスに粒子状物質が含まれている粒子状物質を十分に捕集することが可能になる。また、第一発明においては、他方の端面を目封止されたセルの数が全てのセルの数の15%以下である場合には、セラミックスフィルタにガスを通過させる際の圧力損失が過度に大きくならなくなる。
【0027】
また、第一発明のセラミックスフィルタでは、セラミックスフィルタにガスを通過させる際の圧力損失を過度に大きくしない観点からは、他方の端面を目封止されたセルについては、目封止された部分のセルの通じる方向に沿った長さが3〜30mmであることが好ましい。また、セラミックスフィルタに捕集された粒子状物質を燃焼することにより除去する場合には、目封止された部分のセルの通じる方向に沿った長さが3mm以上であると、目封止している部分の熱容量が増すのでフィルタが急激に温度上昇しにくくなり、その結果、粒子状物質が局所的に燃焼してしまうという不具合が生じにくくなる。
【0028】
また、第一発明のセラミックスフィルタでは、ガスに含まれる粒子状物質を捕集する能力を高める観点からは、セルが通じる方向に垂直な両面目封止ハニカム構造部の断面においては、一方の端面のみを目封止されたセルの断面積が、他方の端面のみを目封止されたセルの断面積よりも小さいことが好ましい。このような形態の場合には、一方の端面で開口している部分の総面積の割合が多くなるので、より多くのガスを一方の端面からセル内に流入させることが可能になり、また、粒子状物質を捕集するのに寄与する隔壁の面積が増えるので、捕集する粒子状物質の量を増やすことができる。
【0029】
また、従来のセラミックスフィルタを用いる場合には、セルの目詰まりを回避するために、セラミックスフィルタに並列するバイパス経路を配置する技術(例えば、特開平3−15615号公報を参照)と併用しなければならないことがある。しかし、この従来技術では、新たにバイパス経路を追加することにより装置が大型化してしまい、また、排ガスの流れをセラミックスフィルタとバイパス経路との間で切り替える機構が必要になるので複雑な構造になってしまう。このような事情から、バイパス経路を配置する技術を適用できないケースが存在している。本第一発明のセラミックスフィルタによれば、セルの目詰まりが生じにくいので、バイパス経路を配置する技術を併用しなくてもよいケースが増え、その結果、従来のセラミックスフィルタよりも適用範囲を拡げることができる。
【0030】
以下、第一発明のセラミックスフィルタの実施形態を参照しつつ、その内容を詳しく説明する。
【0031】
図1は、第一発明のセラミックスフィルタの一実施形態の斜視図である。図示されるように、本セラミックスフィルタ1は、円筒状の外周壁2を有し、この外周壁2の筒の内部が隔壁3によって区画されてハニカム構造になっている。これにより本セラミックスフィルタ1は、筒状の外周壁2が抜けている方向(Z方向)に対して垂直な断面にからみると、X方向に延びる隔壁3と、X方向に垂直なY方向に延びる隔壁3とによって、外周壁3に囲まれた部分が方眼紙のます目のように四角形に区画され、各区画にはセル5が形成されている。そして、セル5は、外周壁2に囲まれた内部をZ方向に貫いている。
【0032】
また、本セラミックスフィルタ1では、Z方向の両端は、上述したように方眼紙のます目のように区画している隔壁3の縁によって平面状になっており、端面7aと端面7bとを形作っている。
【0033】
図1に示されるように、本セラミックスフィルタ1の端面7aにおいては、目封止材9によって目封止されたセル5の端部と、目封止されていないセル5の端部とが交互に並んでいることにより、市松模様が形作られている。
【0034】
図2は、
図1に示したセラミックスフィルタ1を上下逆さにしたときの斜視図であり、この図では、端面7aとは反対側の端面7bが現れている。図示されるように、本セラミックスフィルタ1の端面7bにおいては、中心部分にあるセル5の端部がいずれも目封止されていない。また、本セラミックスフィルタ1の端面7bにおいては、中心部分を取り囲む外周部分では、目封止材9によって目封止されたセル5の端部と、目封止されていないセル5の端部とが交互に並んでいることにより、市松模様が形作られている。なお、この外周部分では、端面7bで端部を目封止されているセル5は、反対側の端面7aでは端部を目封止されておらず、一方で、端面7bで端部を目封止されていないセル5は、反対側の端面7aでは端部を目封止されている。よって、本ハニカムフィルタ1の外周部分では、一方の端面7aのみ目封止されたセル5と、他方の端面7bを目封止されたセル5とが交互に並んでいる。
【0035】
図3は、
図1中のA−A’断面の図である。図示されるように、複数のセル5は、外周壁2に囲まれた内部を端面7aから端面7bまでZ方向に貫いている。そして、上述したうように、外周壁2に近い側の部分、すなわち外周部分では、端面7aのみを目封止材9によって目封止したセル5と、端面7bのみを目封止材9によって目封止したセル5とが交互に並んでいる。すなわち、この外周部分が両面目封止ハニカム構造部17となっている。そして、中心部分には、端面7bのみを目封止材9によって目封止したセル5と、全く目封止されていないセル5とが交互に並んでいる。すなわち、この中心部分が片面目封止ハニカム構造部15となっている。
【0036】
図示されるように、排ガスG
1を端面7aに当てると、端面7aを目封止されていないセル内に排ガスG
1が流入していく。ここで、両面目封止ハニカム構造部17については、排ガスG
1が流入したセル5内をそのままZ方向に進むと端面7bで目封止材9に行き当たる。そのため、排ガスG
1は隔壁3を通り抜けて隣のセル5に流入することを強いられる。このとき、排ガスG
1中の粒子状物質は隔壁3に捕捉され、浄化された排ガスG
2が隣のセル5に流入し、最終的に端面7bから排出される。したがって、両面目封止ハニカム構造部17では、排ガスG
1を端面7aから流入させると、反対側の端面7bからは浄化された排ガスG
2を排出することができる。
【0037】
対して、片面目封止ハニカム構造部15では、排ガスG
1が端面7aから流入すると、同じのセル5内をZ方向に進んで反対側の端面7bからそのまま排出される。したがって、片面目封止ハニカム構造部15では、排ガスG
1中の粒子状物質が隔壁3に付着することにより、少量の粒子状物質が捕集されることはあるものの、多くの粒子状物質が端面7bから排出されていく。このように粒子状物質を捕集する量を少なく抑えることにより、多量の粒子状物質が流入しやすい中心部分にある片面目封止ハニカム構造部15では、粒子状物質を過剰に捕集してしまうことを減らすことができ、その結果、セル5が粒子状物質によって目詰まりをしてしまうことを低減できる。
【0038】
また、本セラミックスフィルタ1では、片面目封止ハニカム構造部15が、一部のセル5においては端面7aの側を目封止材9によって目封止されていることにより、片面目封止ハニカム構造部15内へと流入する排ガスG
1の流量を抑え、その代わりに、捕集能力の高い両面目封止ハニカム構造部17内へと流入していく排ガスG
1の流量を増やしている。このように排ガスG
1を両面目封止ハニカム構造部17へと振り分けると、両面目封止ハニカム構造部17は捕集能力が高いので、粒子状物質をより効果的に捕集できる。
【0039】
図4は、第一発明のセラミックスフィルタに用いることが可能なハニカム構造体の端面の拡大図である。図示されるように、本ハニカム構造体では、断面積の大きな大セル41と、断面積の小さな小セル43とが交互に並んでいる。本ハニカム構造体を用いる場合には、一方の端面において小セル43の端部を目封止し、他方の端面において大セル41の端部を目封止するとよい。このような形態の場合には、大セル41内に多量のガスを流入させることが可能になり、また、大セル41を構成する隔壁3の表面積も大きいので、多量のガスが流入しても、粒子状物質を十分に捕集することができる。
【0040】
2.第二発明のセラミックスフィルタ:
本願の第二発明のセラミックスフィルタは、セラミックスを主成分とする多孔質の隔壁と、隔壁により区画形成されて一方の端面から他方の端面まで通じる複数のセルとを備えるハニカムセグメントを複数個有し、複数個のハニカムセグメントは、一方の端面
である流入側端面のみを目封止されたセルと、いずれにも目封止されていないセルと
が形成された片面目封止ハニカムセグメントと、一方の端面
である流入側端面のみを目封止されたセルと、他方の端面のみを目封止されたセルとが交互に並ぶ両面目封止ハニカムセグメントとを含み、中心部分に1個以上の片面目封止セグメントを配置する状態にて複数個のハニカムセグメントを互いの側面同士を対向させつつ隣接させて接合させたものである。
【0041】
第二発明のセラミックスフィルタでは、多孔質の隔壁については、コージェライトやSiCを主成分とすることができる。また、セルの目封止については、例えば、セラミックスを主成分とする目封止材によってセルの端部を塞ぐことにより行うことができる。このとき、目封止材の主成分となるセラミックスの種類については、隔壁の主成分となるセラミックスの種類と同じものを用いることができる。
【0042】
第二発明のセラミックスフィルタが備える両面目封止ハニカムセグメントにおいては、上述した第一発明における両面ハニカム構造部と同様の仕組みによって、ガスを隔壁に通り抜けさせ、ガスに含まれる粒子状物質を捕集することが可能である。
【0043】
また、第二発明では、片面目封止ハニカムセグメントは、どこにも目封止されていないセルが含まれている。このようなセルにガスが流入すると、ガスはそのままセルを通り抜け、反対側から排出されるので、圧力損失を小さく保つことができる。そのため、セラミックスフィルタ全体で考えると、セラミックスフィルタの内部を一方の端面から他方の端面に向かってガスを流す際には、圧力損失が過度に大きくならない。
【0044】
一般に、第二発明のような複数のハニカムセグメントを接合したセラミックスフィルタにおいては、ガスを一方の端面に当てた場合に、ハニカムセグメント内に流入するガスの流量は、セラミックスフィルタの中心部分にあるハニカムセグメントの方が外周部分にあるハニカムセグメントよりも多くなる傾向がある。これに伴って、粒子状物質は、セラミックスフィルタの中心部分にあるハニカムセグメントの方が外周部分にあるハニカムセグメントよりも多量に流入しやすい。第二発明のセラミックスフィルタのように、セラミックスフィルタの中心部分に片面目封止ハニカムセグメントが含まれていると、多量のガスが流入する場合であっても、この中心部分にある片面目封止ハニカムセグメントが局所的に多量の粒子状物質を捕集してしまうことが少なくなる。その結果として、中心部分にある片面目封止ハニカムセグメントでは、セルが粒子状物質によって早期に目詰まりしてしまうことが起こりにくくなる。
【0045】
また、第二発明のセラミックスフィルタでは、片面目封止ハニカムセグメントの他方の端面において目封止されたセルの数の合計が全てのハニカムセグメントにおける全てのセルの数(すなわち、セラミックスフィルタの全てのセルの数)の5〜15%であることが好ましい。ここで、片面目封止ハニカムセグメントの他方の端面において目封止されたセルの数の合計とは、例えば、セラミックスフィルタに2個の片面目封止ハニカムセグメントが含まれる場合には、これら2個の片面目封止ハニカムセグメントについての他方の端面において目封止されたセルの数の合計を意味することとする。第二発明においては、片片面目封止ハニカムセグメントの他方の端面において目封止されたセルの数の合計が全てのハニカムセグメントにおける全てのセルの数(すなわち、セラミックスフィルタの全てのセルの数)の5%以上である場合には、粒子状物質を十分に捕集することが可能になる。また、第二発明においては、片面目封止ハニカムセグメントの他方の端面において目封止されたセルの数の合計が全てのハニカムセグメントにおける全てのセルの数(すなわち、セラミックスフィルタの全てのセルの数)の15%以下である場合には、セラミックスフィルタにガスを通過させる際の圧力損失が過度に大きくならなくなる。
【0046】
また、第二発明のセラミックスフィルタでは、セラミックスフィルタにガスを通過させる際の圧力損失を過度に大きくしない観点からは、両面目封止ハニカムセグメントにおいては、他方の端面における目封止された部分のセルの通じる方向に沿った長さが3〜30mmであることが好ましい。また、セラミックスフィルタに捕集された粒子状物質を燃焼することにより除去する場合には、目封止された部分のセルの通じる方向に沿った長さが3mm以上であると、目封止している部分の熱容量が増すのでフィルタが急激に温度上昇ににくくなり、その結果、粒子状物質が局所的に燃焼してしまうという不具合が生じにくくなる。
【0047】
また、従来のセラミックスフィルタを用いる場合には、セルの目詰まりを回避するために、セラミックスフィルタに並列するバイパス経路を配置する技術(例えば、特開平3−15615号公報を参照)と併用しなければならないことがある。しかし、この従来技術では、新たにバイパス経路を追加することにより装置が大型化してしまい、また、排ガスの流れをセラミックスフィルタとバイパス経路との間で切り替える機構が必要になるので複雑な構造になってしまう。このような事情から、バイパス経路を配置する技術を適用できないケースが存在している。本第二発明のセラミックスフィルタによれば、セルの目詰まりが生じにくいので、バイパス経路を配置する技術を併用しなくてもよいケースが増え、その結果、従来のセラミックスフィルタよりも適用範囲を拡げることができる。
【0048】
以下、第二発明のセラミックスフィルタの実施形態を参照しつつ、その内容を詳しく説明する。
【0049】
図5は、第二発明のセラミックスフィルタの一実施形態の斜視図である。図示されるように、本セラミックスフィルタ40は、外周をコート材34に覆われた円柱状の外観を備えている。そして、本セラミックスフィルタ40は、合計32個のハニカムセグメント31が、互いの側面39同士を接合部33を介して接合することにより作られている。
【0050】
本セラミックスフィルタ40を構成するハニカムセグメント31は、長さ方向(Z方向)に対して垂直な断面でみると、X方向に延びる隔壁3と、X方向に垂直なY方向に延びる隔壁3とによって、外周壁3に囲まれた部分が方眼紙のます目のように四角形に区画され、各区画にはセル5が形成されている。そして、セル5は、ハニカムセグメント31の内部をZ方向に貫いている。また、本セラミックスフィルタ40では、Z方向の両端は、方眼紙のます目のように区画している隔壁3の縁によって平面状になっており、端面7aと端面7bとを形作っている。
【0051】
また、これらのハニカムセグメント31は、片面目封止ハニカムセグメント35と両面目封止ハニカムセグメント37とを含んでいる。そして、
図5に示されるように、本セラミックスフィルタ40では、中心部分に縦に4列、横に4列で合計16個の片面目封止セグメント35を配し、その四方の外側にそれぞれ4個ずつの両面目封止ハニカムセグメント37を配している。
【0052】
図5に示されるように、両面目封止ハニカムセグメント37の端面7bにおいては、目封止材9によって目封止されたセル5の端部と、目封止されていないセル5の端部とが交互に並んでいることにより、市松模様が形作られている。また、両面目封止ハニカムセグメント37では、端面7bで端部を目封止されていないセル5については端面7aで端部を目封止されている。そのため、両面目封止ハニカムセグメント37では、端面7aのみ目封止されたセル5と、端面7bを目封止されたセル5とが交互に並んでいる。両面目封止ハニカムセグメント37では、排ガスG
1を端面7aに当てると、端面7aを目封止されていないセル内に排ガスG1が流入していく。そして、上述した第一発明における両面目封止ハニカム構造部17と同様に、セル5内に流入した排ガスG
1は隔壁3を通り抜けて隣のセル5に流入することを強いられる。このとき、排ガスG
1中の粒子状物質は隔壁3に捕捉され、浄化された排ガスG
2が隣のセル5に流入することになる。したがって、両面目封止ハニカムセグメント37では、排ガスG
1を端面7aから流入させると、反対側の端面7bからは浄化された排ガスG
2を排出することができる。
【0053】
また、片面目封止ハニカムセグメント35の端面7bにおいては、いずれのセル5も目封止されていない。
図6は、片面目封止ハニカムセグメント35の斜視図である。図示されるように、片面目封止ハニカムセグメント35の端面7aにおいては、目封止材9によって目封止されたセル5の端部と、目封止されていないセル5の端部とが交互に並んでいることにより、市松模様が形作られている。すなわち、片面目封止ハニカムセグメント35では、端面7aにのみが目封止材9によって目封止されたセル5と、どこにも目封止されていないセル5とが交互に並んでいる。片面目封止ハニカムセグメント35では、排ガスG
1を端面7aから流入させると、同じのセル5内をZ方向に進んで反対側の端面7bからそのまま排ガスG
1を排出する。したがって、片面目封止ハニカセグメント35では、排ガスG1中の粒子状物質が隔壁3に付着することにより、少量の粒子状物質が捕集されることはあるものの、多くの粒子状物質が端面7bから排出されていくことになる。このように粒子状物質を捕集する量を少量に抑えることにより、多量の粒子状物質が流入しやすい中心部部分にある片面目封止ハニカムセグメント35で、粒子状物質を過剰に捕集してしまうことを減らすことができ、その結果、セル5が粒子状物質によって目詰まりをしてしまうことを減らすことが可能になる。
【0054】
また、本セラミックスフィルタ40では、片面目封止ハニカムセグメント35が、一部のセル5においては端面7aを目封止材9によって目封止されていることにより、片面目封止ハニカムセグメント35の内部へと流入する排ガスG
1の流量を抑え、その代わりに、捕集能力の高い両面目封止ハニカムセグメント37内へと流入していく排ガスG
1の流量を増やしている。その結果、粒子状物質を両面目封止ハニカムセグメント37へと振り分けて、粒子状物質を確実に捕集できるようになっている。
【0055】
図7〜
図9のそれぞれは、第二発明の一実施形態のセラミックスフィルタの端面の平面図である。これらのセラミックスフィルタ50a〜50cは、セルや隔壁の形状については同一であるハニカムセグメント31を同一の配置で組み合わせて作られたものである。図示されるように、セラミックスフィルタ50a〜50cのいずれもが中心に片面ハニカムセグメント35を配している。そして、排ガス中に含まれる粒子状物質を捕集する能力を高めたい場合には、両面目封止ハニカムセグメント37の数の割合を増やしてゆけばよい。セラミックスフィルタ50a〜50cについては、セラミックスフィルタ50a(
図7)、セラミックスフィルタ50b(
図8)、セラミックスフィルタ50c(
図9)の順に両面目封止ハニカムセグメント37の割合が増えてゆき、これに伴って粒子状物質を捕集する能力が高くなっていく。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0057】
(実施例1〜10および比較例1,2)
焼成後にコージェライト組成となるようにアルミナ、カオリン、タルク、およびシリカを配合した無機粉末に対し、有機バインダ(メチルセルロース)、造孔剤、水を適量混ぜ合わせ、次いで混練して、坏土を作製した。この坏土を押出成形によって円柱状の外観を備えたハニカム形状に成形して成形体を作製し、この成形体を乾燥、次いで焼成することにより、ハニカム構造体を製造した。このハニカム製造体は、円筒状の外周壁(厚さ6mm)に囲まれた内部が直交する隔壁によって区画されたものであり、直径190.5mm、長さ304.8mm、隔壁厚さ0.3mm、セルピッチ1.8mmであった。また、このハニカム構造体の長さ方向に垂直な断面からみると、外周壁に込まれた内部が隔壁によって方眼紙のます目のように正方形に区画されている(表1では「Square」と表記)。
【0058】
上述したハニカム構造体については、入口側の端面には目封止されたセルの端部と目封止されていないセルの端部とが互い違いに現れる市松模様となるようにセルの端部を目封止材で塞いだ。目封止材には、ハニカム構造体と同じくコージェライトを主成分とするものを用いた。出口側の端面については、全てのセルの数に対する出口側の端面を目封止されたセルの数の割合(%)が表1に示す値となるように、セルの端部を目封止材で塞いだ。なお、目封止は、出口側の端面の最外周から施していき、最外周のセルが一通り目封止された場合には、その一列内側のセルに目封止を施しておくという具合にして、上述したセル数の割合になるまで外周側から中心に向かって順次施していった。そのため、全てのセルの数に対する出口側の端面を目封止されたセルの数の割合(%)が増えるにつれて、中心部分により近い箇所まで目封止されていくことになる。なお、出口側の端面で目封止されたセルは、入口側で目封止されていないセルに限定した。また。目封止された部分の長さ[セラミックスフィルタの長さ方向(セルの通じる方向)での目封止材の長さ]については、表1に示す。なお、目封止めされた部分の長さの測定は、ハニカム構造体の長さよりも長い丸棒(直径1.0mm)をセルに挿入し、ハニカム構造体からはみ出た丸棒長さをスケールで測定することにより行った。この際には、ランダムに9点のセルを測定し、その相加平均値を目封じされた部分の長さとした。
【0059】
実施例1〜10および比較例1,2のセラミックスフィルタについては、表1に、粒子状物質(PM)の濃度が8g/Lである排ガスを入口側の端面からセラミックスフィルタ内に流入させたときの粒子状物質の捕集効率(%)(表1では「PM堆積量8g/Lでの捕集効率」と表記)、比較例1のセラミックスフィルタの圧力損失に対する各実施例および各比較例の圧力損失の比(表1では「圧損比」と表記)を示す。本明細書にいう捕集効率とは、入口側の端面から流入した粒子状物質の量に対する出口側の端面から排出されることなくセラミックスフィルタに捕集された粒子状物質の量の割合(%)である。また、これら捕集効率および圧損比の結果から、「優」、「良」、「不可」の3段階により評価した。「優」は捕集効率が30%超、圧損比が10%未満、かつ目封止された部分の長さが3mm以上の場合、「良」は捕集効率が30%超、圧損比が10%以上15%以下、かつ目封止された部分の長さが3mm未満の場合、「不可」は捕集効率が30%以下かつ圧損比が15%超の場合である。
【0060】
(実施例11〜13および比較例3)
焼成後にコージェライト組成となるようにアルミナ、カオリン、タルク、およびシリカを配合した無機粉末に対し、有機バインダ(メチルセルロース)、造孔剤、水を適量混ぜ合わせ、次いで混練して、坏土を作製した。この坏土を押出成形によって円柱状の外観を備えたハニカム形状に成形して成形体を作製し、この成形体を乾燥、次いで焼成することにより、ハニカム構造体を製造した。このハニカム製造体は、円筒状の外周壁(厚さ6mm)に囲まれた内部が隔壁によってセルの断面が正方形または八角形となるように区画され、さらに正方形の断面を持つセルと、八角形の断面を持つセルとが交互に並ぶように作られたものである(表1では「HAC」と表記)。なお、正方形のセルの断面の面積は八角形のセルの断面の面積よりも小さい。また、ハニカム構造体は、直径190.5mm、長さ304.8mm、隔壁厚さ0.3mm、セルピッチ1.3mm(八角形セル)、1.0mm(正方形セル)であった。
【0061】
上述したハニカム構造体については、目封止されたセルの端部と目封止されていないセルの端部とによって市松模様となる配置にて、入口側の端面では正方形の断面を持つセルのみを目封止を施した。目封止材には、ハニカム構造体と同じくコージェライトを主成分とするものを用いた。出口側の端面については、全てのセルの数に対する出口側の端面を目封止されたセルの数の割合(%)が表1に示す値となるように、セルの端部を目封止材で塞いだ。なお、目封止は、出口側の端面の最外周から施していき、最外周のセルが一通り目封止された場合には、その一列内側のセルに目封止を施しておくという具合にして、上述したセル数の割合になるまで外周側から中心に向かって順次施していった。そのため、全てのセルの数に対する出口側の端面を目封止されたセルの数の割合(%)が増えるにつれて、中心部分により近い箇所まで目封止されていくことになる。なお、出口側の端面で目封止されたセルは、八角形の断面を持つセルに限定した。また、目封止された部分の長さ[セラミックスフィルタの長さ方向(セルの通じる方向)での目封止材の長さ]は、10mmにした(表1)。なお、目封止された部分の長さの測定については、上述した実施例1などと同様である。
【0062】
実施例11〜13および比較例3のセラミックスフィルタについては、表1に、粒子状物質(PM)の濃度が8g/Lである排ガスを入口側の端面からセラミックスフィルタ内に流入させたときの粒子状物質の捕集効率(%)(表1では「PM堆積量8g/Lでの捕集効率」と表記)、比較例3のセラミックスフィルタの圧力損失に対する各実施例および各比較例の圧力損失の比(表1では「圧損比」と表記)を示す。これら捕集効率および圧損比の結果についての3段階の評価も表1に示す。
【0063】
(実施例14〜16)
SiC粉末に対し、有機バインダ(メチルセルロース)、造孔剤、水を適量混ぜ合わせ、次いで混練して、坏土を作製した。この坏土を押出成形によって四角柱状の外観を備えたハニカム形状に成形して成形体を作製し、この成形体を乾燥、次いで焼成することにより、ハニカムセグメントを作製した。ハニカムセグメントは、四角柱状の筒型の外周壁(厚さ0.5mm)に囲まれた内部が直交する隔壁によってセルの断面が正方形(表1では「Square」と表記)となるように区画されたものであり、縦36mm×横36mmの端面、長さ304.8mm、隔壁厚さ0.3mm、セルピッチ1.8mmであった。
【0064】
このハニカムセグメントに、入口側の端面については目封止されたセル開口部と目封止されていないセルの開口部とが互い違いに現れる市松模様となるように目封止材によって目封止を施した。目封止材には、SiCを主成分とするものを用いた。さらに入口側の端面に目封止を施したハニカムセグメントのうちの一部については、出口側端面についても市松模様となるように目封止を施した。なお、この出口端面の目封止は、入口側端面を目封止していないセルに対して行った。ここで、入口側および出口側の端面を目封止したハニカムセグメントについては両面目封止ハニカムセグメント、入口側の端面のみを目封止したハニカムセグメントについては片面目封止セグメントということにする。また。目封止された部分の長さ[セラミックスフィルタの長さ方向(セルの通じる方向)での目封止材の長さ]については、6mmにした(表1)。なお、目封止された部分の長さの測定は実施例1などの同様である。
【0065】
続いて、ハニカムセグメントを縦に6個、横に6個の合計36個を並べて側面同士を接合材により接合してハニカム接合体を作製した。このハニカム接合体の外周を削って円柱形状にし、次いで、外周をコート処理することにより、直径190.5mm、長さ304.8のセラミックスフィルタを製造した。ハニカムフィルタの出口側端面の平面図については、
図7(実施例14)、
図8(実施例15)、
図9(実施例16)に示す。ハニカムフィルタの全てのセルの数に対する片面目封止ハニカムセグメントの出口側の端面を目封止されたセルの数の合計の割合(%)については、実施例16が8%、実施例15が15%、実施例16が41%であった。
【0066】
(比較例4)
合計36個のハニカムセグメントの全てを片面目封止ハニカムセグメントにしてハニカム接合体を作製した以外は、実施例14と同じ方法によってセラミックスフィルタを製造した。
【0067】
実施例14〜16および比較例4のセラミックスフィルタについては、粒子状物質(PM)の濃度が8g/Lである排ガスを入口側の端面からセラミックスフィルタ内に流入させたときの粒子状物質の捕集効率(%)(表1では「PM堆積量8g/Lでの捕集効率」と表記)、比較例4のセラミックスフィルタの圧力損失に対する各実施例および各比較例の圧力損失の比(表1では「圧損比」と表記)を表1に示す。これら捕集効率および圧損比の結果についての3段階の評価も表1に示す。
【0068】
【表1】