(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
たとえば、液晶表示装置を製造する場合、基板としての液晶表示パネルに、電子部品としてのTCP(Tape Carrier Package)を実装するための実装装置が用いられる。上記TCPは金型によってキヤリアテープから打ち抜かれた後、所定角度ずつ間欠的に回転駆動されるインデックステーブルに供給される。
【0003】
上記インデックステーブルには1回当たりの回転角度に応じた間隔で周方向に複数の吸着ヘッドが設けられている。そして、上記金型によって打ち抜かれたTCPは複数の吸着ヘッドに順次供給される。上記液晶表示パネルはXY方向に駆動される保持テーブルに吸着保持されている。
【0004】
上記インデックステーブルの吸着ヘッドに吸着保持されたTCPは、保持テーブルに保持された上記液晶表示パネルを側辺部が上記吸着ヘッドに対向するよう位置決めして実装する場合や、上記インデックステーブルの吸着ヘッドに吸着保持されたTCPを受け渡しヘッドに受け渡し、この受け渡しヘッドから実装ツールに受け渡して実装する場合などがある。
【0005】
前者の場合、保持テーブルに保持された液晶表示パネルをX、Y方向に対して駆動し、その側辺部のTCPが実装される部位を吸着ヘッドに吸着保持されたTCPに対して位置決めしてから、上記吸着ヘッドを下降させて実装することになる。
【0006】
これに対して後者の場合、上記保持テーブルに保持された液晶表示パネルはX、Y方向に駆動して位置決めせず、実装ツールを液晶表示パネルに対してX、Y方向に駆動してTCPを位置決めし、このTCPを液晶表示パネルに実装することになる。
【0007】
上記実装ツールに対して上記保持テーブルは質量が数十〜数百倍も大きい。そのため、保持テーブルをX、Y方向に駆動して位置決めする前者の場合、実装ツールをX、Y方向に駆動して位置決めする後者の場合に比べて位置決めに要するタクトタイムが長く掛かるということがあるばかりか、保持テーブルを移動させることで、液晶表示パネルに振動が発生し、その振動が収束するまではTCPを実装することができないから、タクトタイムが長くなるということなどがある。
【0008】
そこで、最近では後者の実装ツールをX、Y方向に駆動して保持テーブルに保持された液晶表示パネルにTCPを実装するということが行われるようになってきている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明の一実施の形態の電子部品の実装装置の全体構成の一部を示す概略図である。この実装装置は基板としてのたとえば液晶表示パネル1を搬送する第1の搬送手段であるパネルテーブル2と、電子部品としてのTCP3を搬送するインデックステーブル4を有する。
【0023】
上記パネルテーブル2はベース5上に
図1に矢印で示すX方向に沿って移動可能に設けられたXテーブル6を有する。このXテーブル6は、上記ベース5に設けられた第1のX駆動源7によって上記ベース5上を上記X方向に沿って駆動されるようになっている。
【0024】
上記Xテーブル6にはX方向と直交するY方向に沿って移動可能なYテーブル8が設けられている。このYテーブル8は上記Xテーブル6に設けられた第1のY駆動源9によってY方向に沿って駆動される。上記Yテーブル8には保持テーブルとしてのθテーブル10が回転方向に移動可能に設けられ、上記Yテーブル8に設けられたθ駆動源10aによって回転方向に駆動されるようになっている。
【0025】
そして、上記θテーブル10の上面に上記液晶表示パネル1が供給され、たとえば真空吸着などの手段によって保持される。それによって、上記液晶表示パネル1は上記パネルテーブル2によってXY及びθ方向に対して位置決め可能となっている。なお、θテーブル10は液晶表示パネル1よりも小さく形成されている。そのため、液晶表示パネル1は周辺部をθテーブル10の周辺部から外方へ突出させている。
【0026】
上記インデックステーブル4は、中心に回転軸11が設けられ、この回転軸11は
、第1の回転駆動源12によってたとえば
図3に矢印Rで示す時計方向に所定角度ずつ間欠的に回転駆動されるようになっている。この実施の形態では、上記インデックステーブル4は90度の回転角度で間欠駆動されるようになっている。
【0027】
図1と
図2に示すように、上記インデックステーブル4の下面には、90度間隔で4つの吸着ヘッド15が設けられている。
図1では3つの吸着ヘッド15だけを図示し、他の吸着ヘッド15を省略している。
【0028】
各吸着ヘッド15には、
図2と
図3にAで示す受け取りポジションで後述する部品供給部21から供給されたTCP3が受け渡されるようになっている。なお、インデックステーブル4は上述した受け取りポジションAの他に、B〜D1で示す3つのポジション、つまり合計で4つのポジションを有する。
【0029】
Bは受け取りポジションAで吸着ヘッド15に供給されたTCP3の端子部をブラシ(ともに図示せず)で洗浄する洗浄ポジション、Cは洗浄されたTCP3の端子部に所定長さに切断された異方性導電部材からなる粘着テープ19(
図1に示す)を貼着してから、その粘着テープ19から離型テープ(図示せず)を剥離する貼着剥離ポジション、D1は端子部に粘着テープ19が貼着されたTCP3を後述する受け渡しヘッド18に受け渡す第1の受け渡しポジションである。
【0030】
上記部品供給部21は、
図2に示すようにキヤリアテープ22から上記TCP3を打ち抜く金型23を有する。この金型23は上下方向に駆動される上型23aと、この上型23aに対向して固定的に配置された下型23bとを有し、上型23aにはポンチ24が設けられ、下型23bには上型23aが下降したときに上記ポンチ24が入り込む貫通孔25が設けられている。
【0031】
上記キヤリアテープ22は上型23aと下型23bとの間に通され、上型23aが下降することで上記TCP3が打ち抜かれ、上昇したときに+Yで示す矢印方向に所定ピッチで送られて新たにTCP3が打ち抜き可能な状態となる。
【0032】
上記下型23bの下方には受け具26が配置されている。この受け具26はXテーブル27に設けられたZ・θ駆動源28によって上下方向となるZ方向及び回転方向となるθ方向に駆動されるようになっている。
【0033】
上記Xテーブル27はYテーブル29に上記Y方向と直交するX方向に沿って移動可能に設けられている。このYテーブル29には上記Xテーブル27をX方向に沿って駆動する第2のX駆動源31が設けられている。
【0034】
上記Yテーブル29は
図2に矢印で示すY方向に沿って配置されたベース32にY方向に沿って移動可能に設けられている。このベース32の一端には上記Yテーブル29をY方向に沿って駆動する第2のY駆動源33が設けられている。上記ベース32の他端は上記インデックステーブル4の受け取りポジションAの下方に位置している。
【0035】
上記金型23によってキヤリアテープ22から打ち抜かれたTCP3を受け具26が受けて下降すると、Yテーブル29が第2のY駆動源33によってベース32の一端から他端へ駆動される。それによって、TCP3を保持した受け具26が
図1に鎖線で示すようにインデックステーブル4の受け取りポジションAの下方に位置決めされる。
【0036】
受け具26が受け取りポジションAの下方に位置決めされると、上記受け具26が上昇方向に駆動される。それによって、上記インデックステーブル4の下面に設けられた吸着ヘッド15によって上記受け具26に保持されたTCP3の端子部が設けられた一端部の上面が吸着される。TCP3の端子部が吸着ヘッド15によって吸着された状態は
図1に示されている。
【0037】
上記吸着ヘッド15が受け取りポジションAでTCP3を吸着すると、インデックステーブル4が90度回転駆動され、その吸着ヘッド15が洗浄ポジションBに位置決めされる。洗浄ポジションBでは図示しないブラシによって吸着ヘッド15に吸着保持されたTCP3の端子部がブラッシングされる。それによって、端子部に付着した汚れが除去される。
【0038】
洗浄ポジションBでTCP3の汚れが除去されると、インデックステーブル4は90度回転駆動されて上記TCP3は貼着剥離ポジションCに位置決めされる。貼着剥離ポジションCでは、上記TCP3の端子部に所定長さに切断された粘着テープ19が貼着され、その粘着テープ19から離型テープが剥離される。
【0039】
粘着テープ19が貼着されて離型テープが剥離されたTCP3は
図1に示すように第1の受け渡しポジションD1に位置決めされ、ここで上記受け渡しヘッド18に下面の端子部が設けられた一端部と反対側の他端部が吸着保持される。
【0040】
上記受け渡しヘッド18は、
図1に示すようにリニアモータなどの上下駆動源35の駆動軸36の上端に設けられている。上記上下駆動源35は受け渡しテーブル37に軸線を垂直にして設けられている。
【0041】
上記受け渡しテーブル37は、
図1に矢印で示すX方向に沿って配置されたXリニアガイド38に移動可能に設けられ、このYリニアガイド38の一端に設けられた第3のX駆動源39によってX方向に沿って所定の範囲で駆動されるようになっている。
【0042】
つまり、上記受け渡しヘッド18は
図1に実線で示す上記第1の受け渡しポジションD1に位置決めされた吸着ヘッド15の下方と、同図に鎖線で示す上記吸着ヘッド15から受け取ったTCP3を実装ツール41に受け渡す第2の受け渡しポジションD2との間でX方向に沿って駆動されるようになっている。
【0043】
上記実装ツール41
はX・Y・Z・θ駆動源42によって、水平方向であるX、Y方向、上下方向であるZ方向及び水平に回転するθ方向に対して駆動されるようになっている。
【0044】
図4に示すように、上記第1のX駆動源7、第1のY駆動源9、第1の回転駆動源12、Z・θ駆動源28、第2のX駆動源31、第2のY駆動源33、第3のX駆動源39及びX・Y・Z・θ駆動源42は制御手段としての制御装置40に設けられた後述する駆動出力部49によって駆動が制御されるようになっている。
【0045】
上記実装ツール41は第2の受け渡しポジションD2で上記受け渡しヘッド18によって下面の他端部が吸着保持された上記TCP3の上面の一端部を吸着保持して受け取る。このとき、上記受け渡しヘッド18が上昇方向に駆動される。
【0046】
TCP3を受け取った実装ツール41は矢印で示すX方向に駆動されて上記パネルテーブル2に保持された液晶表示パネル1の一側部の上面の上記TCP3を実装する実装位置の上方に位置決めされてから、その実装位置に設けられた液晶表示パネル1のリードに一端部の下面に設けられたリード(ともに図示せず)が一致するようY方向及びθ方向に対して精密に位置決めされる。このときの位置決めは図示しない撮像カメラの撮像に基いて行われる。
【0047】
上記実装ツール41がX、Y及びθ方向に駆動されて上記液晶表示パネル1の実装位置の上方に位置決めされると、上記実装ツール41はZ方向下方に駆動されて上記TCP3を上記液晶表示パネル1の実装位置に実装する。このとき、上記液晶表示パネル1の実装位置の下面は図示しないバックアップツールによって保持される。
【0048】
上記実装ツール41には、この実装ツール41をX方向、Y方向及びθ方向に駆動して実装位置の上方に位置決めしたとき、この実装ツール41に発生する各方向の振動(加速度)を検出する検出手段としての加速度センサ43が設けられている。この加速度センサ43としてはX、Y及びZ方向の3方向の加速度を検出できるものが用いられている。
【0049】
上記加速度センサ43の検出信号は
図5に示す制御回路44を構成する周波数検出器45に出力される。上記制御回路44は上記制御装置40に設けられている。上記周波数検出器45に検出信号が入力され、上記実装ツール41に振動が発生したことが検出されると、上記検出信号は上記周波数検出器45に接続された積分器46で2回積分されて変位に換算される。すなわち、振動の振幅と周期が算出されることになる。
【0050】
上記積分器46で求められた上記実装ツール41の変位(振幅と周期)は波形発生器47に出力される。この波形発生器47では上記実装ツール41に発生した振動と逆位相の波形を生成し、その波形がタイミング補正器48を介して上記駆動出力部49に出力され、この駆動出力部49から上記実装ツール41に発生した振動と逆位相の波形に対応する駆動信号が上記X・Y・Z・θ駆動源42に出力される。
【0051】
具体的には、この実施の形態では
、図6に示すように
、Y方向に対して液晶表示パネル1とTCP3の多数のリード1a,3aが狭ピッチで配置されているので、X方向
と交差する方向に対してわずかでもずれが生じると、実装不良の発生原因となる。そこで、実装ツール41がX・Y・Z・θ駆動源42によって
Y方向に駆動されるときに、この
Y方向の駆動時に生じる振動に対して逆位相の波形となる駆動信号を出力する。
【0052】
つまり、
図7にV1で示す実装ツール41に発生する実線の振動に対し、同図にV2で示す破線の逆位相の振動を、矢印で示す波形の進行方向に対して線対称となるよう加える。
【0053】
それによって、上記実装ツール41に発生した振動による変位と、上記X・Y・Z・θ駆動源42によって上記実装ツール41を駆動する駆動信号による変位とが打ち消し合うため、上記実装ツール41に生じた振動が短時間で収束されることになる。
【0054】
このとき、上記タイミング補正器48によって実装ツール41に発生した振動による変位に、実装ツール41を駆動する駆動信号による変位が逆位相の状態で同期するようタイミングが合わされるから、上記実装ツール41に生じた振動が確実に収束されることになる。
【0055】
そして、上記実装ツール41は、上記波形発生器47からの駆動信号を受けて振動が収束してからZ方向下方に駆動されてTCP3を液晶表示パネル1の側辺部の上面に実装することになる。
【0056】
なお、上記周波数検出器45が検出した上記実装ツール41の振動の波形から、その振動の振幅がゼロになる振動収束時間を算出する。そして、この振動収束時間よりも実装位置の上方に位置決めされた実装ツール41が下降方向に駆動されてTCP3を液晶表示パネル1に実装するに要する時間だけ前に、実装するための下降を開始させるようにしてもよい。
【0057】
そのようにすれば、実装ツール41の振動の振幅がゼロになる振動収束時間になってから実装ツール41を下降させてTCP3を実装する場合に比べてタクトタイムを短縮することができる。
【0058】
上記周波数検出器45にはブザーなどの警報器51が接続されている。この警報器51は上記周波数検出器45で検出された振動の振幅が設定値以上になったときに警報を出力するようになっている。
【0059】
つまり、上記実装ツール41に通常の運転状態では発生することのない振幅の振動、たとえば外乱などによる異常な振動が加わると、そのことが検出されて上記警報器51によって作業者に知らせるようになっている。
【0060】
このように、上記構成の実装装置によれば、実装ツール41が受け渡しヘッド18からTCP3を受け取って実装位置に位置決めされたとき、この実装ツール41には、実装ツール41に生じた振動と逆位相の振動が加えられるため、実装ツール41に生じた振動を短時間で収束することができる。
【0061】
そのため、実装ツール41が受け渡しヘッド18からTCP3を受け取り、X、Y及びθ方向に駆動されて液晶表示パネル1の側辺部の上方の上記TCP3が実装される実装位置に位置決めされた後、Z方向下方に駆動されて上記TCP3を液晶表示パネル1の実装部に実装するまでのタクトタイムを短縮することができる。
【0062】
したがって、液晶表示パネル1にTCP3を実装する際の生産性を向上させることができるばかりか、実装ツール41の振動が確実に収束されることで、実装精度を向上させることもできる。
【0063】
上記一実施の形態では保持テーブルとしてのθテーブル上に保持された基板としての液晶表示パネルに電子部品としてのTCPを実装する場合を例に挙げて説明したが、上記基板がガイドレールに沿って搬送されるリードフレームなどの基板で、そのリードフレームに電子部品として半導体チップなどを実装ツールによって実装する場合であっても、この発明を適用することができる。
【0064】
つまり、実装ツールをX、Y方向に駆動して位置決めしてから電子部品を基板に実装する実装装置であれば、この発明を適用することが可能である。
【0065】
また、実装ツールに生じた振動を打ち消すために駆動手段としての実装ツールを駆動するX・Y・Z・θ駆動源を制御装置で制御して逆位相の振動を発生させるようにしたが、駆動手段としてたとえば実装ツールにピエゾ振動子などの振動発生手段を設け、この振動発生手段に上記制御装置によって上記実装ツールに生じた振動と逆位相の振動を発生させる所定の周波数の電圧を加えるようにしてもよい。