特許第5713799号(P5713799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5713799部品実装ラインの基板搬送制御方法および基板搬送制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5713799
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】部品実装ラインの基板搬送制御方法および基板搬送制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   H05K13/02 U
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-117514(P2011-117514)
(22)【出願日】2011年5月26日
(65)【公開番号】特開2012-248585(P2012-248585A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2014年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(72)【発明者】
【氏名】清水 浩二
(72)【発明者】
【氏名】原 朗
【審査官】 遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−091287(JP,A)
【文献】 特開2004−071892(JP,A)
【文献】 特開2009−283803(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0115060(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアベルトが搬送経路に沿って搬送方向に所定距離だけ基板を搬送して所定位置に停止させる基板搬送装置と、実装位置としての前記所定位置に停止された基板に部品供給装置から採取した部品を実装する部品移載装置とをそれぞれ備えた複数台の部品実装機を直列に配置し、各前記基板搬送装置によって上流側から下流側に向けて前記基板を各前記実装位置に順次搬入出し、各前記部品移載装置によって前記基板に前記部品を実装する部品実装ラインの基板搬送制御方法であって、
各前記部品実装機において、前記実装位置に停止された基板に実装される部品が基板端部から前記搬送方向にはみ出す場合に当該はみ出し量を算出するはみ出し量算出工程と、
前記はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機に、前記基板端部から前記部品がはみ出したはみ出し基板を順次搬送する以前に前記はみ出し量を順次伝達するはみ出し量伝達工程と、
前記はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機において、前記基板搬送装置によって前記所定距離から前記はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を搬送して前記所定位置に停止させるはみ出し基板搬送工程と、を有し、
前記搬送経路に配置された基板センサが搬送途中の基板の上流側端部を検出してから、前記基板搬送装置によって前記基板を第1所定距離だけ搬送して前記実装位置に停止させ、
前記はみ出し基板搬送工程は、前記基板搬送装置によって前記はみ出し基板を搬送して前記実装位置に停止させるはみ出し基板搬入工程であり、
該はみ出し基板搬入工程では、前記はみ出し量算出工程で前記基板の上流側端部から前記部品が前記搬送方向にはみ出す上流側はみ出し量を算出し、かつ前記はみ出し量伝達工程で前記上流側はみ出し量を順次伝達した場合に、前記上流側はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機において、前記基板センサが搬送途中のはみ出し基板の前記上流側端部からはみ出した部品の上流側端部を検出してから、前記基板搬送装置によって前記第1所定距離から前記上流側はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を搬送して前記実装位置に停止させる部品実装ラインの基板搬送制御方法。
【請求項2】
コンベアベルトが搬送経路に沿って搬送方向に所定距離だけ基板を搬送して所定位置に停止させる基板搬送装置と、実装位置としての前記所定位置に停止された基板に部品供給装置から採取した部品を実装する部品移載装置とをそれぞれ備えた複数台の部品実装機を直列に配置し、各前記基板搬送装置によって上流側から下流側に向けて前記基板を各前記実装位置に順次搬入出し、各前記部品移載装置によって前記基板に前記部品を実装する部品実装ラインの基板搬送制御方法であって、
各前記部品実装機において、前記実装位置に停止された基板に実装される部品が基板端部から前記搬送方向にはみ出す場合に当該はみ出し量を算出するはみ出し量算出工程と、
前記はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機に、前記基板端部から前記部品がはみ出したはみ出し基板を順次搬送する以前に前記はみ出し量を順次伝達するはみ出し量伝達工程と、
前記はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機において、前記基板搬送装置によって前記所定距離から前記はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を搬送して前記所定位置に停止させるはみ出し基板搬送工程と、を有し、
前記部品移載装置が前記実装位置に停止された基板に前記部品の実装を終了すると、前記基板搬送装置によって当該基板を前記実装位置から第2所定距離だけ搬送して待機位置に停止させ、
前記はみ出し基板搬送工程は、前記基板搬送装置によって前記はみ出し基板を前記実装位置から搬送して前記待機位置に停止させるはみ出し基板待機搬送工程であり、
該はみ出し基板待機搬送工程では、前記はみ出し量算出工程で前記基板の下流側端部から前記部品が前記搬送方向にはみ出す下流側はみ出し量を算出し、かつ前記はみ出し量伝達工程で前記下流側はみ出し量を順次伝達した場合に、当該下流側はみ出し量を算出した部品実装機および当該部品実装機より下流側の部品実装機において、前記基板搬送装置によって前記第2所定距離から前記下流側はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を前記実装位置から搬送して前記待機位置に停止させる部品実装ラインの基板搬送制御方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記はみ出し量算出工程で前記はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機において、前記はみ出し量算出工程で前記はみ出し量より大きい更新はみ出し量を算出し、かつ前記はみ出し量伝達工程で前記更新はみ出し量を順次伝達した場合に、前記はみ出し基板搬送工程では、前記更新はみ出し量を算出した前記下流側の部品実装機よりさらに下流側の部品実装機において、前記基板搬送装置によって前記所定距離から前記更新はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を搬送して前記所定位置に停止させる部品実装ラインの基板搬送制御方法。
【請求項4】
コンベアベルトが搬送経路に沿って搬送方向に所定距離だけ基板を搬送して所定位置に停止させる基板搬送装置と、実装位置としての前記所定位置に停止された基板に部品供給装置から採取した部品を実装する部品移載装置とをそれぞれ備えた複数台の部品実装機を直列に配置し、各前記基板搬送装置によって上流側から下流側に向けて前記基板を各前記実装位置に順次搬入出し、各前記部品移載装置によって前記基板に前記部品を実装する部品実装ラインの基板搬送制御装置であって、
各前記部品実装機において、前記実装位置に停止された基板に実装される部品が基板端部から前記搬送方向にはみ出す場合に当該はみ出し量を算出するはみ出し量算出手段と、
前記はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機に、前記基板端部から前記部品がはみ出したはみ出し基板を順次搬送する以前に前記はみ出し量を順次伝達するはみ出し量伝達手段と、
前記はみ出し量を算出した前記部品実装機より下流側の前記部品実装機において、前記基板搬送装置によって前記所定距離から前記はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を搬送して前記所定位置に停止させるはみ出し基板搬送手段と、を有し、
前記搬送経路に配置された基板センサが搬送途中の基板の上流側端部を検出してから、前記基板搬送装置によって前記基板を第1所定距離だけ搬送して前記実装位置に停止させ、
前記はみ出し基板搬送手段は、前記基板搬送装置によって前記はみ出し基板を搬送して前記実装位置に停止させるはみ出し基板搬入手段であり、
該はみ出し基板搬入手段では、前記はみ出し量算出手段で前記基板の上流側端部から前記部品が前記搬送方向にはみ出す上流側はみ出し量を算出し、かつ前記はみ出し量伝達手段で前記上流側はみ出し量を順次伝達した場合に、前記上流側はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機において、前記基板センサが搬送途中のはみ出し基板の前記上流側端部からはみ出した部品の上流側端部を検出してから、前記基板搬送装置によって前記第1所定距離から前記上流側はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を搬送して前記実装位置に停止させる部品実装ラインの基板搬送制御装置。
【請求項5】
コンベアベルトが搬送経路に沿って搬送方向に所定距離だけ基板を搬送して所定位置に停止させる基板搬送装置と、実装位置としての前記所定位置に停止された基板に部品供給装置から採取した部品を実装する部品移載装置とをそれぞれ備えた複数台の部品実装機を直列に配置し、各前記基板搬送装置によって上流側から下流側に向けて前記基板を各前記実装位置に順次搬入出し、各前記部品移載装置によって前記基板に前記部品を実装する部品実装ラインの基板搬送制御装置であって、
各前記部品実装機において、前記実装位置に停止された基板に実装される部品が基板端部から前記搬送方向にはみ出す場合に当該はみ出し量を算出するはみ出し量算出手段と、
前記はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機に、前記基板端部から前記部品がはみ出したはみ出し基板を順次搬送する以前に前記はみ出し量を順次伝達するはみ出し量伝達手段と、
前記はみ出し量を算出した前記部品実装機より下流側の前記部品実装機において、前記基板搬送装置によって前記所定距離から前記はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を搬送して前記所定位置に停止させるはみ出し基板搬送手段と、を有し、
前記部品移載装置が前記実装位置に停止された基板に前記部品の実装を終了すると、前記基板搬送装置によって当該基板を前記実装位置から第2所定距離だけ搬送して待機位置に停止させ、
前記はみ出し基板搬送手段は、前記基板搬送装置によって前記はみ出し基板を前記実装位置から搬送して前記待機位置に停止させるはみ出し基板待機搬送手段であり、
該はみ出し基板待機搬送手段では、前記はみ出し量算出手段で前記基板の下流側端部から前記部品が前記搬送方向にはみ出す下流側はみ出し量を算出し、かつ前記はみ出し量伝達手段で前記下流側はみ出し量を順次伝達した場合に、当該下流側はみ出し量を算出した部品実装機および当該部品実装機より下流側の部品実装機において、前記基板搬送装置によって前記第2所定距離から前記下流側はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を前記実装位置から搬送して前記待機位置に停止させる部品実装ラインの基板搬送制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の部品実装機を直列に配置した部品実装ラインの基板搬送制御方法および基板搬送制御装置に関し、より詳細には、基板端部から部品がはみ出しているはみ出し基板の停止位置制御に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の部品が実装された基板を生産する基板生産機として、はんだ印刷機、部品実装機、リフロー機、基板検査機などがあり、これらを基板搬送装置で連結して基板生産ラインを構築することが一般的になっている。さらに、モジュール化された複数台の部品実装機を直列に配置して部品実装ラインを構成する場合も多い。基板搬送装置は、これらの基板生産機の間で基板を順次受け渡すとともに、基板生産機の内部で基板を搬送して所定位置に停止させる役割を担っている。この種の基板搬送装置では、搬送経路に沿って輪転するコンベアベルト上に基板を載置して搬送するのが一般的である。また、所定位置に基板を停止させる制御方法として、搬送経路の途中に設けられた基板センサが基板端部を検出してから所定距離だけ搬送する方法がある。
【0003】
この基板搬送制御方法では、部品が基板端部からはみ出して実装されてみかけの基板全長が増加する場合に、基板を所定位置に停止させることが困難になる問題が生じる。例えば、上流側の部品実装機でコネクタ部品が基板の上流側端部からはみ出して実装され下流側の部品実装機に搬入される場合に、基板センサが基板の上流側端部を検出するものであると、コネクタ部品の上流側端部を基板の上流側端部として検出するため、はみ出し量だけ位置検出誤差が生じる。この結果、所定の実装位置に基板を停止させることができなくなり、マークカメラによる基板上の基準マークの読み取りや部品移載装置による部品の実装などを実施できなくなるおそれが生じる。
【0004】
また、実装位置で部品の実装を終了した後に下流側の部品実装機の直前の待機位置まで予め基板を搬送しておくことにより搬送所要時間を短縮する搬送制御方法においても、はみ出し基板では問題が生じる。つまり、実装された部品が基板の下流側端部からはみ出していると、実装位置から待機位置までの所定距離を搬送した時点で部品が待機位置よりも下流側に突出するため、待機位置を越えて搬送されたオーバーランと判定され、搬送異常になってしまう。
【0005】
このような問題に対して基板の停止位置を制御する精度を維持・向上する技術の一例が、特許文献1の回路基板加工機の回路基板検出方法および装置に開示されている。特許文献1の回路基板検出方法は、拡散光を照射して基板からの反射光を検出する第1の基板検出センサと、収束光を照射して基板からの反射光を検出する第2の基板検出センサとを配設し、回路基板の種類に応じていずれかのセンサを選択的に切り替えて使用するようになっている。これにより、例えばミシン目や切り欠きを有する複数枚基板や種々の電子部品が実装済みとなった回路基板に対しても、検出精度の信頼性を向上できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−31991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の方法は、拡散光と収束光とを使い分けることで検出精度を高めている。例えば、ミシン目や切り欠きを収束光が通過して反射しないことや、実装済みの部品の表面状態により拡散光の反射量が変化することに起因する基板端部の誤検出を防止している。しかしながら、この方法は、実装された部品が基板端部からはみ出る場合にまでは対応していない。生産する基板の種類に依存してはみ出す部品の種類やはみ出し量(はみ出し長さ)、はみ出し幅が変化し得ることを考慮すると、拡散光と収束光との使い分けだけで本来の基板端部を正確に検出することは困難である。したがって、基板を所定位置に正確に停止させることが困難になる。また、特許文献1の方法は、複数種類のセンサおよびそれらの選択制御手段が必要であり、コストが高いという問題点がある。
【0008】
前述の実装位置や待機位置へ基板を停止させる制御では、或る部品実装機で基板の上流側端部または下流側端部からはみ出す部品が実装されたことおよびそのはみ出し量を確実に下流側の部品実装機に伝達し、停止位置制御に反映する必要がある。
【0009】
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたもので、上流側の部品実装機で部品が基板端部からはみ出るように実装されたはみ出し基板でも、下流側の部品実装機の実装位置および待機位置に正確に停止させることができるコスト低廉な部品実装ラインの基板搬送制御方法および基板搬送制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する請求項1に係る部品実装ラインの基板搬送制御方法の発明は、コンベアベルトが搬送経路に沿って搬送方向に所定距離だけ基板を搬送して所定位置に停止させる基板搬送装置と、実装位置としての前記所定位置に停止された基板に部品供給装置から採取した部品を実装する部品移載装置とをそれぞれ備えた複数台の部品実装機を直列に配置し、各前記基板搬送装置によって上流側から下流側に向けて前記基板を各前記実装位置に順次搬入出し、各前記部品移載装置によって前記基板に前記部品を実装する部品実装ラインの基板搬送制御方法であって、各前記部品実装機において、前記実装位置に停止された基板に実装される部品が基板端部から前記搬送方向にはみ出す場合に当該はみ出し量を算出するはみ出し量算出工程と、前記はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機に、前記基板端部から前記部品がはみ出したはみ出し基板を順次搬送する以前に前記はみ出し量を順次伝達するはみ出し量伝達工程と、前記はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機において、前記基板搬送装置によって前記所定距離から前記はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を搬送して前記所定位置に停止させるはみ出し基板搬送工程と、を有し、前記搬送経路に配置された基板センサが搬送途中の基板の上流側端部を検出してから、前記基板搬送装置によって前記基板を第1所定距離だけ搬送して前記実装位置に停止させ、前記はみ出し基板搬送工程は、前記基板搬送装置によって前記はみ出し基板を搬送して前記実装位置に停止させるはみ出し基板搬入工程であり、該はみ出し基板搬入工程では、前記はみ出し量算出工程で前記基板の上流側端部から前記部品が前記搬送方向にはみ出す上流側はみ出し量を算出し、かつ前記はみ出し量伝達工程で前記上流側はみ出し量を順次伝達した場合に、前記上流側はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機において、前記基板センサが搬送途中のはみ出し基板の前記上流側端部からはみ出した部品の上流側端部を検出してから、前記基板搬送装置によって前記第1所定距離から前記上流側はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を搬送して前記実装位置に停止させる
【0011】
請求項2に係る発明は、コンベアベルトが搬送経路に沿って搬送方向に所定距離だけ基板を搬送して所定位置に停止させる基板搬送装置と、実装位置としての前記所定位置に停止された基板に部品供給装置から採取した部品を実装する部品移載装置とをそれぞれ備えた複数台の部品実装機を直列に配置し、各前記基板搬送装置によって上流側から下流側に向けて前記基板を各前記実装位置に順次搬入出し、各前記部品移載装置によって前記基板に前記部品を実装する部品実装ラインの基板搬送制御方法であって、各前記部品実装機において、前記実装位置に停止された基板に実装される部品が基板端部から前記搬送方向にはみ出す場合に当該はみ出し量を算出するはみ出し量算出工程と、前記はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機に、前記基板端部から前記部品がはみ出したはみ出し基板を順次搬送する以前に前記はみ出し量を順次伝達するはみ出し量伝達工程と、
前記はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機において、前記基板搬送装置によって前記所定距離から前記はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を搬送して前記所定位置に停止させるはみ出し基板搬送工程と、を有し、前記部品移載装置が前記実装位置に停止された基板に前記部品の実装を終了すると、前記基板搬送装置によって当該基板を前記実装位置から第2所定距離だけ搬送して待機位置に停止させ、前記はみ出し基板搬送工程は、前記基板搬送装置によって前記はみ出し基板を前記実装位置から搬送して前記待機位置に停止させるはみ出し基板待機搬送工程であり、該はみ出し基板待機搬送工程では、前記はみ出し量算出工程で前記基板の下流側端部から前記部品が前記搬送方向にはみ出す下流側はみ出し量を算出し、かつ前記はみ出し量伝達工程で前記下流側はみ出し量を順次伝達した場合に、当該下流側はみ出し量を算出した部品実装機および当該部品実装機より下流側の部品実装機において、前記基板搬送装置によって前記第2所定距離から前記下流側はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を前記実装位置から搬送して前記待機位置に停止させる
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1または2において、前記はみ出し量算出工程で前記はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機において、前記はみ出し量算出工程で前記はみ出し量より大きい更新はみ出し量を算出し、かつ前記はみ出し量伝達工程で前記更新はみ出し量を順次伝達した場合に、前記はみ出し基板搬送工程では、前記更新はみ出し量を算出した前記下流側の部品実装機よりさらに下流側の部品実装機において、前記基板搬送装置によって前記所定距離から前記更新はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を搬送して前記所定位置に停止させる。
【0014】
請求項4に係る部品実装ラインの基板搬送制御装置の発明は、コンベアベルトが搬送経路に沿って搬送方向に所定距離だけ基板を搬送して所定位置に停止させる基板搬送装置と、実装位置としての前記所定位置に停止された基板に部品供給装置から採取した部品を実装する部品移載装置とをそれぞれ備えた複数台の部品実装機を直列に配置し、各前記基板搬送装置によって上流側から下流側に向けて前記基板を各前記実装位置に順次搬入出し、各前記部品移載装置によって前記基板に前記部品を実装する部品実装ラインの基板搬送制御装置であって、各前記部品実装機において、前記実装位置に停止された基板に実装される部品が基板端部から前記搬送方向にはみ出す場合に当該はみ出し量を算出するはみ出し量算出手段と、前記はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機に、前記基板端部から前記部品がはみ出したはみ出し基板を順次搬送する以前に前記はみ出し量を順次伝達するはみ出し量伝達手段と、前記はみ出し量を算出した前記部品実装機より下流側の前記部品実装機において、前記基板搬送装置によって前記所定距離から前記はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を搬送して前記所定位置に停止させるはみ出し基板搬送手段と、を有し、前記搬送経路に配置された基板センサが搬送途中の基板の上流側端部を検出してから、前記基板搬送装置によって前記基板を第1所定距離だけ搬送して前記実装位置に停止させ、前記はみ出し基板搬送手段は、前記基板搬送装置によって前記はみ出し基板を搬送して前記実装位置に停止させるはみ出し基板搬入手段であり、該はみ出し基板搬入手段では、前記はみ出し量算出手段で前記基板の上流側端部から前記部品が前記搬送方向にはみ出す上流側はみ出し量を算出し、かつ前記はみ出し量伝達手段で前記上流側はみ出し量を順次伝達した場合に、前記上流側はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機において、前記基板センサが搬送途中のはみ出し基板の前記上流側端部からはみ出した部品の上流側端部を検出してから、前記基板搬送装置によって前記第1所定距離から前記上流側はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を搬送して前記実装位置に停止させる。
請求項5に係る発明は、コンベアベルトが搬送経路に沿って搬送方向に所定距離だけ基板を搬送して所定位置に停止させる基板搬送装置と、実装位置としての前記所定位置に停止された基板に部品供給装置から採取した部品を実装する部品移載装置とをそれぞれ備えた複数台の部品実装機を直列に配置し、各前記基板搬送装置によって上流側から下流側に向けて前記基板を各前記実装位置に順次搬入出し、各前記部品移載装置によって前記基板に前記部品を実装する部品実装ラインの基板搬送制御装置であって、各前記部品実装機において、前記実装位置に停止された基板に実装される部品が基板端部から前記搬送方向にはみ出す場合に当該はみ出し量を算出するはみ出し量算出手段と、前記はみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機に、前記基板端部から前記部品がはみ出したはみ出し基板を順次搬送する以前に前記はみ出し量を順次伝達するはみ出し量伝達手段と、前記はみ出し量を算出した前記部品実装機より下流側の前記部品実装機において、前記基板搬送装置によって前記所定距離から前記はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を搬送して前記所定位置に停止させるはみ出し基板搬送手段と、を有し、前記部品移載装置が前記実装位置に停止された基板に前記部品の実装を終了すると、前記基板搬送装置によって当該基板を前記実装位置から第2所定距離だけ搬送して待機位置に停止させ、前記はみ出し基板搬送手段は、前記基板搬送装置によって前記はみ出し基板を前記実装位置から搬送して前記待機位置に停止させるはみ出し基板待機搬送手段であり、該はみ出し基板待機搬送手段では、前記はみ出し量算出手段で前記基板の下流側端部から前記部品が前記搬送方向にはみ出す下流側はみ出し量を算出し、かつ前記はみ出し量伝達手段で前記下流側はみ出し量を順次伝達した場合に、当該下流側はみ出し量を算出した部品実装機および当該部品実装機より下流側の部品実装機において、前記基板搬送装置によって前記第2所定距離から前記下流側はみ出し量を減算した距離だけ前記はみ出し基板を前記実装位置から搬送して前記待機位置に停止させる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る部品実装ラインの基板搬送制御方法の発明では、部品実装ライン内の或る部品実装機で実装した部品が基板端部から搬送方向にはみ出す場合にはみ出し量を算出し、下流側の部品実装機にはみ出し基板を順次搬送する以前にはみ出し量を順次伝達し、下流側の部品実装機において所定距離からはみ出し量を減算した距離だけはみ出し基板を搬送して所定位置に停止させる。このため、はみ出し量だけみかけの基板全長が増加するはみ出し基板に対し、搬送距離をはみ出し量だけ減少させてその影響をキャンセルして、本来の所定位置に正確に停止させることができる。
【0016】
また、本発明は、従来構成に対してセンサや画像カメラなどのハードウェアの追加を必要とせず、はみ出し量を算出して順次伝達するとともにコンベアベルトの停止位置を変更するソフトウェアで実現できるので、装置構成や制御ロジックは簡易でコストは低廉である。
【0017】
さらに、搬送経路に配置された基板センサが搬送途中の基板の上流側端部を検出してから基板を第1所定距離だけ搬送して実装位置に停止させる部品実装機を複数台直列に配置した構成で、或る部品実装機で基板の上流側端部から部品が搬送方向にはみ出す上流側はみ出し量を算出して順次伝達した場合に、下流側の部品実装機において基板センサがはみ出した部品の上流側端部を検出してから、第1所定距離から上流側はみ出し量を減算した距離だけはみ出し基板を搬送して実装位置に停止させる。このため、上流側はみ出し量だけみかけの基板全長が増加するはみ出し基板に対し、搬送距離を上流側はみ出し量だけ減少させてその影響をキャンセルできる。したかって、はみ出し基板を本来の実装位置に正確に停止させることができ、確実に部品実装を行うことができる。
【0018】
請求項2に係る発明では、基板に部品の実装を終了すると当該基板を実装位置から第2所定距離だけ搬送して待機位置に停止させる部品実装機を複数台直列に配置した構成で、或る部品実装機で基板の下流側端部から部品が搬送方向にはみ出す下流側はみ出し量を算出して順次伝達した場合に、当該部品実装機および下流側の部品実装機において第2所定距離から下流側はみ出し量を減算した距離だけはみ出し基板を実装位置から搬送して待機位置に停止させる。このため、下流側はみ出し量だけみかけの基板全長が増加するはみ出し基板に対し、搬送距離を下流側はみ出し量だけ減少させてその影響をキャンセルできる。したがって、はみ出し基板を待機位置に正確に停止させることができ、オーバーランによる搬送異常は発生しない。
【0019】
請求項3に係る発明では、はみ出し量算出工程ではみ出し量を算出した部品実装機より下流側の部品実装機においてさらに大きい更新はみ出し量を算出してさらに下流側の部品実装機に伝達した場合に、さらに下流側の部品実装機において所定距離から更新はみ出し量を減算した距離だけはみ出し基板を搬送して所定位置に停止させる。つまり、上流側から下流側に向けて部品実装が進捗するのに伴いはみ出し量が増加すると、その都度下流側に伝達される更新はみ出し量が更新される。したがって、全ての部品実装機で搬送距離を適宜はみ出し量だけ減少させてその影響をキャンセルでき、本来の所定位置に正確に停止させることができる。
【0020】
請求項4および5に係る発明では、基板搬送装置と部品移載装置とをそれぞれ備えた複数台の部品実装機を直列に配置した部品実装ラインの基板搬送制御装置において、はみ出し量算出手段と、はみ出し量伝達手段と、はみ出し基板搬送手段とを有する。本発明は装置として実施することもでき、その効果は、請求項1および2に記載された方法の発明と同様である。

【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態の基板搬送制御方法を実施する部品実装ラインの構成例を説明する平面図である。
図2】実施形態の基板搬送制御方法を包含した第1部品実装機の実装工程の処理フローのうち部品実装までの前半を説明する図である。
図3】実施形態の基板搬送制御方法を包含した第1部品実装機の実装工程の処理フローのうち部品実装以降の後半を説明する図である。
図4】部品のはみ出しがない通常の基板の搬送制御の作用を模式的に説明する図である。
図5】部品のはみ出しが有るはみ出し基板の搬送制御の作用を模式的に説明する図である。
図6】従来技術によるはみ出し基板の搬送制御の作用を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態の部品実装ラインの基板搬送制御方法について、図1図5を参考にして説明する。図1は、実施形態の基板搬送制御方法を実施する部品実装ライン1の構成例を説明する平面図である。実装工程を行う部品実装ライン1は、3台の部品実装機2〜4が直列に配置されて構成されている。部品実装ライン1の上流側(図1の左側)には、図略のはんだ印刷機から印刷工程を終了した基板Kを搬入する基板搬送装置91が配置されている。また、部品実装ライン1の下流側(図1の右側)には、図略の基板検査機に実装工程を終了した基板Kを搬出する基板搬送装置92が配置されている。2つの基板搬送装置91、92は、コンベアベルトに基板Kを載置して搬送する周知の装置である。
【0023】
部品実装ライン1は、比較的大形の部品および比較的小形の部品を実装する第1部品実装機2、ならびに比較的小形の部品を実装する第2および第3部品実装機3、4が、記載した順序で直列に配置されて構成されている。基板Kは、3つの部品実装機2〜4を通して直線的に搬送され、所定の複数種類の部品が実装されるようになっている。
【0024】
第1部品実装機2は、基板搬送装置21、2つのフィーダ式部品供給装置22、23、トレイ式部品供給装置24、部品移載装置25、上流基板センサ27、下流基板センサ28、および図略の制御コンピュータなどを備えている。基板搬送装置21は、一対のガイドレール211およびコンベアベルト、クランプ装置などにより構成されている。一対のガイドレール211は、図1に示されるように搬送方向(X軸方向、図の左右方向)に延在して平行配置され、搬送経路を構成している。コンベアベルトは、無端環状で搬送経路に沿って張設されており、基板Kを載置して輪転することにより搬送する。クランプ装置は、コンベアベルトの下方に配置されており、搬送経路の略中央の実装位置に基板Kを位置決めする。図1には、実装位置に位置決めされた基板Kが示されている。
【0025】
2つのフィーダ式部品供給装置22、23は、搬送経路の一側および他側(図1の下側および上側)にそれぞれ配置されている。フィーダ式部品供給装置22、23は、着脱可能な多数のカセット式フィーダ221を有し、フィーダ数が異なる点を除いて類似の構成となっている。各カセット式フィーダ221には、部品が所定ピッチで封入された細長いテープが巻回された図略の供給リールがセットされている。この供給リールからテープが所定ピッチで引き出され、部品が封入状態を開封されて図略の部品取出し部に順次送り込まれ、供給されるようになっている。トレイ式部品供給装置24は、搬送経路の他側(図1の上側)に配置されている。トレイ式部品供給装置24には、交換可能なトレイ241がセットされている。トレイ241の上面には、比較的大形のコネクタ部品などが並べられて供給されるようになっている。
【0026】
部品移載装置25は、基板搬送装置21の上方に配置されたX方向レールおよびY方向ビームに移動可能に保持される実装ヘッド251を有している。実装ヘッド251は、サーボモータにより移動制御され、基板Kを搬送するX軸方向、および水平面内でX軸方向と直交するY軸方向に移動する。実装ヘッドは、フィーダ式部品供給装置22、23およびトレイ式部品供給装置24から部品を採取して、実装位置に位置決めされた基板Kに実装する。
【0027】
上流基板センサ27は、基板搬送装置21の搬送経路の上流端(図の左端)に配置されており、搬送途中の基板Kの上流側端部すなわち搬送後方端部を検出する。上流基板センサ27は、例えば、搬送経路の一側に光ビーム射出部を配置し、搬送経路の他側に光ビーム受光部を配置し、光ビーム射出部から光ビーム受光部に向けて搬送方向と直角な方向に光ビームを射出するようにして構成する。この上流基板センサ27では、光ビーム受光部で受光していた光ビームが遮光されたことで基板Kの下流側端部(搬送前方端部)を検出でき、遮光されていた光ビームが再び受光されることで基板Kの上流側端部(搬送後方端部)を検出できる。また、基板Kの上流側端部から部品がはみ出しているときには、当該の部品が光ビームを遮光する。したがって、上流基板センサ27は、はみ出した部品の上流側端部を検出し、基板K本体の上流側端部は検出できない。
【0028】
下流基板センサ28は、基板搬送装置21の搬送経路の下流端(図の右端)に配置されており、搬送途中の基板Kの下流側端部すなわち搬送前方端部を検出する。下流基板センサ28は、上流基板センサ27と同様に光ビームを用いる方式の構成とする。下流基板センサ28では、光ビーム受光部で受光していた光ビームが遮光されたことで基板Kの下流側端部、または基板Kの下流側端部からはみ出している部品の下流側端部を検出できる。搬送経路の下流基板センサ28の手前(上流側)には待機位置が設定されている。基板Kを待機位置まで搬送したときに、下流基板センサ28が基板Kの下流側端部を検出すると、オーバーラン異常と判定される。
【0029】
図略の制御コンピュータは、生産する基板Kの品種に応じた実装ジョブデータを内蔵してソフトウェアで動作し、上位のホストコンピュータと連携して実装工程の動作を制御する。詳述すると、制御コンピュータは、上流基板センサ27および下流基板センサ28の検出情報を取得して基板搬送装置21の搬送動作を制御し、実装ジョブデータにしたがって部品移載装置25の実装動作を制御する。また、制御コンピュータは、実装工程を終了した基板Kの数量、および2つのフィーダ式部品供給装置22、23とトレイ式部品供給装置24の部品使用数をカウントし、必要に応じてホストコンピュータとの情報交換やオペレータへの連絡を行う。
【0030】
第2部品実装機3は、トレイ式部品供給装置24を備えない点を除いて第1部品実装機2と類似の構成で同様の機能を有している。すなわち、第2部品実装機3は、基板搬送装置31、2つのフィーダ式部品供給装置32、33、部品移載装置35、上流基板センサ37、下流基板センサ38、および図略の制御コンピュータなどを備えている。なお、2つのフィーダ式部品供給装置32、33は、搬送経路の一側および他側にそれぞれ配置され、フィーダ数は一致している。
【0031】
第3部品実装機4は、第2部品実装機3と同様の構成で同様の機能を有している。すなわち、第3部品実装機4は、基板搬送装置41、2つのフィーダ式部品供給装置42、43、部品移載装置45、上流基板センサ47、下流基板センサ48、および図略の制御コンピュータなどを備えている。
【0032】
上述の構成の第1部品実装機2で、トレイ式部品供給装置24から供給されるコネクタなどの比較的大形の部品を、基板Kの搬送方向の上流側端部および下流側端部からはみ出すように実装する場合がある。部品が搬送方向の上流側端部または下流側端部からはみ出した基板Kは、はみ出し基板となる。
【0033】
次に、実施形態の基板搬送制御方法について説明する。実施形態の基板搬送制御方法は、部品実装ライン1の各部品実装機2、3、4における実装工程の処理フローに包含されて実施される。3台の部品実装機2、3、4は概ね同じ処理フローを有するので、第1部品実装機2を例にして説明する。図2は、実施形態の基板搬送制御方法を包含した第1部品実装機2の実装工程の処理フローのうち部品実装までの前半を説明する図である。また、図3は、実施形態の基板搬送制御方法を包含した第1部品実装機2の実装工程の処理フローのうち部品実装以降の後半を説明する図である。図2および図3に示される処理フローは、基板Kの生産数量に相当する回数だけ繰返して実施され、主に制御コンピュータによって実行制御されている。
【0034】
図2のステップS1で、部品実装ライン1の上流側に配置された基板搬送装置91のコンベアベルトおよび第1部品実装機2の基板搬送装置21のコンベアベルトが輪転して基板Kの搬入が開始される。基板Kは、基板搬送装置21の搬送経路を上流側から下流側に向けて進む。次のステップS2で、上流基板センサ27の検出情報が繰返して参照され、基板Kの上流側端部を検出するとステップS3に進む。
【0035】
ステップS3で、上流側はみ出し量A1の有無が確認される。上流側はみ出し量A1は、前以って上流側の装置から伝達されており、第1部品実装機の場合、はんだ実装機から直接あるいはホストコンピュータを介して伝達される。上流側はみ出し量A1がないとき、ステップS4に進み、基板搬送装置21によって第1所定距離L1だけ基板Kを搬送する。上流側はみ出し量A1が有るとき、ステップS5に進み、基板搬送装置21によって第1所定距離L1から上流側はみ出し量A1を減算した距離L1A(L1A=L1−A1)だけ基板Kを搬送する。
【0036】
上流側はみ出し量A1が有るとき、はみ出した部品によって基板Kのみかけの全長が増加しており、ステップS2で検出した基板Kの上流側端部は、実際は部品の上流側端部である。このため、基板K本体の実際の位置は、上流側はみ出し量A1がないときと比較して、上流側はみ出し量A1の分だけ下流側に先行して移動していることになる。したがって、ステップS4およびステップS5のいずれの搬送でも、基板Kは搬送経路の略中央の実装位置まで搬送される。次に、ステップS6でクランプ装置により基板Kを実装位置に位置決めし、ステップS7で部品移載装置25により部品実装を行う。
【0037】
次に、図3のステップS8に進み、部品実装を行ったことによって上流側はみ出し量A1が発生し、または増加したか否かを確認する。発生または増加があったときには、ステップS9で、上流側はみ出し量A1を算出して設定し(発生の場合)、または更新する(増加の場合)。次に、ステップS10で同様に、部品実装を行ったことによって下流側はみ出し量A2が発生し、または増加したか否かを確認する。発生または増加があったときには、ステップS11で、下流側はみ出し量A2を算出して設定し(発生の場合)、または更新する(増加の場合)。
【0038】
次に、ステップS12で、上流側はみ出し量A1および下流側はみ出し量A2を下流側の装置に伝達する。第1部品実装機の場合、第2部品実装機3に直接、あるいはホストコンピュータを介して伝達する。次に、ステップS13で、基板Kを直ちに搬出できるか、あるいは待機する必要があるかを確認する。待機の要否は、下流側の装置の動作状況に依存し、第1部品実装機の場合には第2部品実装機3への直接の問い合わせ、あるいはホストコンピュータを介した問い合わせにより確認できる。待機が不要のときステップS18に進み、基板搬送装置21によって基板Kを下流側に搬出して処理フローを終了する。
【0039】
待機が必要なときステップS14に進み、下流側はみ出し量A2の有無が確認される。下流側はみ出し量A2がないとき、ステップS15に進み、基板搬送装置21によって第2所定距離L2だけ基板Kを実装位置から搬送する。下流側はみ出し量A2が有るとき、ステップS16に進み、基板搬送装置21によって第2所定距離L2から下流側はみ出し量A2を減算した距離L2A(L2A=L2−A2)だけ基板Kを搬送する。
【0040】
下流側はみ出し量A2がないとき、ステップS15の第2所定距離L2の搬送により、基板Kは下流基板センサ28の直前の待機位置まで搬送される。また、下流側はみ出し量A2が有るとき、はみ出した部品によって基板Kのみかけの全長が増加している。このため、はみ出した部品の下流側端部は、基板K本体の下流側端部よりも下流側はみ出し量A2だけ下流側に突出している。したがって、ステップS16の搬送により、基板Kからはみ出した部品の下流側端部がちょうど待機位置まで搬送される。つまり、いずれの場合も、待機位置をオーバーランしない。
【0041】
基板Kが待機位置にある状態のステップS17で待機終了を待つ。下流側の装置から待機終了の連絡を受けるとステップS18に進み、基板搬送装置21によって基板Kを下流側に搬出して処理フローを終了する。1枚の基板に対する処理が終了すると、図2のステップS1に戻り、次の基板Kに対する処理フローが繰り返される。
【0042】
上述の処理フローで、ステップS9およびS11が本発明のはみ出し量算出工程に相当し、ステップS12が本発明のはみ出し量伝達工程に相当する。また、ステップS5およびS16が本発明のはみ出し基板搬送工程に相当し、より詳細には、ステップS5がはみ出し基板搬入工程に相当し、ステップS16がはみ出し基板待機搬送工程に相当する。
【0043】
次に、実施形態の基板搬送制御方法の作用について、従来技術と比較しながら説明する。図4は部品のはみ出しがない通常の基板の搬送制御の作用を模式的に説明する図であり、図5は部品のはみ出しが有るはみ出し基板の搬送制御の作用を模式的に説明する図である。また、図6は従来技術によるはみ出し基板の搬送制御の作用を模式的に説明する図である。説明を簡略にするため、図4図6には第1〜第3部品実装機2〜4の一部を示し、基板搬送装置21、31、41の各搬送経路の長さが同一であり、各搬送経路中の実装位置および待機位置も同一である場合を想定する。なお、各基板K、K1〜K8には斜線を付して見易くしてある。
【0044】
図4において、第1部品実装機2では基板K1が実装位置に位置決めされ、第2部品実装機3では基板K2が実装位置に位置決めされ、第3部品実装機4では部品実装が終了した基板K3が待機位置まで搬送された状態が示されている。各基板K1〜K3は部品のはみ出しがない通常の基板である。ここで、第1部品実装機2における基板K1の上流側端部K1Rと上流基板センサ27との搬送方向の距離L1が第1所定距離L1である。つまり、上流基板センサ27が搬送途中の基板K1の上流側端部K1Rを検出してから、基板搬送装置21によって基板K1を第1所定距離L1だけ搬送すれは、図示される実装位置に基板K1は停止する。また、基板K1の下流側端部K1Fと下流基板センサ28との搬送方向の距離L2が第2所定距離L2である。つまり、基板搬送装置21によって基板K1を第2所定距離L2だけ実装位置から搬送すれは、待機位置に基板K1は停止する。
【0045】
図5において、第1部品実装機2では図示される実装位置で基板K4に第1コネクタC1および第2コネクタC2が実装される。第1コネクタC1は、基板K4の上流側端部K4Rから搬送方向上流側に上流側はみ出し量A1だけはみ出している。また、第2コネクタC2は、基板K4の下流側端部K4Fから搬送方向下流側に下流側はみ出し量A2だけはみ出している。つまり、基板K4は第1部品実装機2内で、通常の基板からはみ出し基板K4に変化する。
【0046】
この上流側および下流側はみ出し量A1、A2は、第1および第2コネクタC1、C2の部品サイズと、基板K4上の実装位置から算出することができる。また、上流側および下流側はみ出し量A1、A2は、第1および第2コネクタC1、C2の実装が終了した時点で第1部品実装機2の制御コンピュータによって設定される。また、上流側および下流側はみ出し量A1、A2は、当該の基板K4に関する情報として第2部品実装機3の制御コンピュータに直接、またはホストコンピュータを介して伝達され、さらに第3部品実装機4やその下流側の基板生産機にも順次伝達される。仮に、部品切れやその他の理由で第1および第2コネクタC1、C2の実装ができなかった場合は、上流側および下流側はみ出し量A1、A2は設定されず、伝達もされない。つまり、上流側および下流側はみ出し量A1、A2は、各基板に固有な情報として基板毎に設定される。
【0047】
ここで、はみ出し基板K4となる以前の基板Kを基板搬送装置91から第1部品実装機2の実装位置に搬入するまでは、図4と同様の搬送制御を行う。また、上流側はみ出し量A1を算出した第1部品実装機2より下流側の第2および第3部品実装機3、4において、図4とは異なる実装位置への搬入制御を行う。例えば、図5で第2部品実装機3において、基板センサ37が搬送途中のはみ出し基板K5の上流側端部K5Rからはみ出した第1コネクタC1の上流側端部を検出してから、基板搬送装置31によって第1所定距離L1から上流側はみ出し量A1を減算した距離L1Aだけはみ出し基板K5を搬送する。これにより、はみ出し基板K5をちょうど実装位置に停止させることができる。なお、距離L1Aだけはみ出し基板を搬送するとちょうど実装位置に停止させることができるのは、第3部品実装機4でも同様である。
【0048】
さらに、下流側はみ出し量A2を算出した第1部品実装機2および下流側の第2及び第3部品実装機3、4において、図4とは異なる待機位置への搬送制御を行う。例えば、図5の第3部品実装機4において、前記基板搬送装置41によって第2所定距離L2から下流側はみ出し量A2を減算した距離L2Aだけはみ出し基板K6を破線で示された実装位置から搬送する。これにより、はみ出し基板K6をちょうど待機位置に停止させることができる。換言すれば、はみ出し基板K6の下流側端部K6Fから下流側に突出する第2コネクタC2の下流側端部が下流基板センサ48の直前に位置し、オーバーランしない。なお、距離L2Aだけはみ出し基板を実装位置から搬送するとちょうど待機位置に停止させることができるのは、第1および第2部品実装機2、3でも同様である。
【0049】
これに対し、はみ出し量を考慮しない従来技術では、図6に示されるように問題が生じる。第2部品実装機30に例示されるように、上流基板センサ37がはみ出し基板K7の上流側端部K7Rから突出した第1コネクタC1の上流側端部を検出してから第1所定距離L1だけ搬送する。したがって、はみ出し基板K7本体は破線で示される実装位置を上流側はみ出し量A1だけ通過して停止する。この結果、実装位置にはみ出し基板K7を停止させることができなくなり、マークカメラによる基板上の基準マークの読み取りや部品移載装置35による部品の実装などを実施できなくなるおそれが生じる。
【0050】
また、第3部品実装機40に例示されるように、仮に破線で示される本来の実装位置にはみ出し基板K8を位置決めできたとしても、実装された第2コネクタC2がはみ出し基板K8の下流側端部K8Fからはみ出しているので、第2所定距離L2を搬送した時点で第2コネクタC2が下流基板センサ48の光ビームを遮光する。したがって、待機位置を越えて搬送されたオーバーランと判定され、搬送異常になってしまう。
【0051】
実施形態の基板搬送制御方法では、搬送経路に配置された上流基板センサ37が搬送途中の基板の上流側端部を検出してから第1所定距離L1だけ搬送して実装位置に停止させる部品実装機3を複数台直列に配置した構成において、第1所定距離L1から上流側はみ出し量A1を減算した距離L1Aだけはみ出し基板K5を搬送して実装位置に停止させる。このため、上流側はみ出し量A1だけみかけの基板全長が増加するはみ出し基板K5に対し、搬送距離L1Aを上流側はみ出し量A1だけ減少させてその影響をキャンセルできる。したがって、はみ出し基板K5を本来の実装位置に正確に停止させることができ、確実に部品実装を行うことができる。
【0052】
また、基板に部品の実装を終了すると当該基板を実装位置から第2所定距離L2だけ搬送して待機位置に停止させる部品実装機4の構成において、第2所定距離L2から下流側はみ出し量A2を減算した距離L2Aだけはみ出し基板K6を実装位置から搬送して待機位置に停止させる。このため、下流側はみ出し量A2だけみかけの基板全長が大きくなるはみ出し基板K6に対し、搬送距離L2Aを下流側はみ出し量A2だけ減少させてその影響をキャンセルできる。したがって、はみ出し基板K6を待機位置に正確に停止させることができ、オーバーランによる搬送異常は発生しない。
【0053】
さらに、実施形態の基板搬送制御方法を行う部品実装ライン1の各部品実装機では、従来構成に対してセンサや画像カメラなどのハードウェアの追加を必要とせず、はみ出し量を算出して順次伝達するとともにコンベアベルトの停止位置を変更するソフトウェアで実現できるので、装置構成や制御ロジックは簡易でコストは低廉である。
【0054】
また、第1部品実装機2で生じた上流側および下流側はみ出し量A1、A2よりもさらに大きいはみ出し量が仮に第2あるいは第3部品実装機3、4で生じる場合には、その都度下流側に伝達するはみ出し量を更新する。したがって、全ての部品実装機2〜4で搬送距離を適宜はみ出し量だけ減少させてその影響をキャンセルでき、本来の所定位置に正確に停止させることができる。
【0055】
また、実施形態において、はみ出し量算出工程、はみ出し量伝達工程、およびはみ出し基板搬送工程は、主に制御コンピュータにより実行制御されている。したがって、本発明は、前記各工程をそれぞれ機能手段に置き換えた基板搬送制御装置として実施することもできる。
【0056】
なお、本発明は、3台の部品実装機2、3、4を直列に配置した部品実装ライン1に限定されず、より多数の部品実装機を直列に配置したラインや、途中に基板検査機を含んだラインにも適用できる。さらに、部品実装ライン1の下流側に配置される基板検査機やその他の基板生産機にも応用できる。その他、本発明は、さまざまな応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1:基板生産ライン
2:第1部品実装機
21:基板搬送装置 211:ガイドレール
22、23:フィーダ式部品供給装置 221:カセット式フィーダ
24:トレイ式部品供給装置 241:トレイ
25:部品移載装置 251:実装ヘッド
27:上流基板センサ 28:下流基板センサ
3:第2部品実装機
31:基板搬送装置 32、33:フィーダ式部品供給装置
35:部品移載装置 37:上流基板センサ 38:下流基板センサ
4:第3部品実装機
41:基板搬送装置 42、43:フィーダ式部品供給装置
45:部品移載装置 47:上流基板センサ 48:下流基板センサ
K:基板 K1〜K3:通常の基板 K4〜K8:はみ出し基板
A1:上流側はみ出し量 A2:下流側はみ出し量
L1:第1所定距離 L2:第2所定距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6