特許第5713812号(P5713812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5713812
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】反射型液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   G02F1/1335
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-137535(P2011-137535)
(22)【出願日】2011年6月21日
(65)【公開番号】特開2013-3527(P2013-3527A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインテックミヨタ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズンホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】半田 正人
【審査官】 弓指 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−161915(JP,A)
【文献】 特開平11−212027(JP,A)
【文献】 特開2010−230802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明電極を有する第一電極基板と反射電極を有する第二電極基板とを所定の間隔で周辺接着剤を介して貼り合わせることで形成された空間に液晶を封入してなる液晶パネルと、
当該液晶パネルに光を供給する光源と、
当該光源から出射された光のうち一方の偏向光のみを透過させる偏光板と、
当該偏光板を通過した前記一方の偏向光を前記液晶パネルに向けて反射すると共に、前記一方の偏向光とは偏向方向が異なる他方の偏向光を透過させるように配置された偏光ビームスプリッターと、
当該偏ビームスプリッターと前記液晶パネルとの間に、前記液晶パネルの表示領域以外の部分を覆うように配置された見切りとを備え、
前記液晶パネルの画像を前記偏ビームスプリッターを透して観察するように構成された反射型液晶表示装置において、
前記見切りを偏光板で構成し、前記偏ビームスプリッターが反射する前記一方の偏向光を透過させると共に、前記一方の偏向光とは偏向方向が異なる前記他方の偏向光を遮断するように配置したことを特徴とする反射型液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反射型液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
反射型液晶表示装置は、電子ビューファインダー等に多く用いられ、近年では、民生用の小型デジタルカメラや業務用の大型高精細カメラなどに幅広く用いられている。
【0003】
図2は従来技術による反射型液晶表示装置の断面図である。液晶パネル1は、第一電極基板2と第二電極基板3とが枠状の周辺接着剤4を介して接着されることで形成された空間に液晶5が封入されてなる反射型液晶パネルで、第一電極基板2には透明電極(対向電極)と配向膜が形成され、第二電極基板3には反射電極(画素電極)と配向膜が形成されている。液晶パネル1は、回路基板6上に搭載され、第一電極基板2と回路基板6とが導電性接着剤を介して、また、第二電極基板3と回路基板6とがボンディングワイヤーを介して、電気的に接続されている。
【0004】
回路基板6上には、光源7と拡散板8と偏光板9と偏光ビームスプリッター(反射型偏光板)10とをドーム態様の筐体11に一体的に組み付けてなるイルミネーター12が、液晶パネル1を覆うように搭載されている。偏光ビームスプリッター10は、互いに直交する関係にある二種類の偏向光P1、P2のうち何れか一方(偏向光P2)のみを透過させ、他方(偏向光P1)を反射するもので、偏光方向が偏光板9とクロスニコルの関係(同じ偏向光を透過させない位置関係)となるように配置されている。
【0005】
以上の反射型液晶表示装置において、光源7より発せられた光は、拡散板8を通り面内の均一な光に分散された後、偏光板9を通ることで一方のみの偏向光P1となり、偏光ビームスプリッター10で反射されて液晶パネル1に入射する。液晶パネル1に入射した偏向光P1は、第一電極基板2と液晶5を透過し、第二電極基板3上の反射電極に垂直に入射して逆方向へと反射される。逆方向へ反射された偏向光P1は、液晶5と第一電極基板2を再度透過し、その過程で偏向光P1の一部が他方の偏向光P2へと変換され、偏光ビームスプリッター10を透過して観察者の目に画像として表示される。
【0006】
ここで、偏光ビームスプリッター10で反射されて液晶パネル1に入射した光は、照射範囲が広く、液晶パネル1の表示領域以外にも照射され、画像の見栄えを悪化させることから、一般的に液晶パネル1の上方には、表示領域以外の部分を覆うように、金属板等の表面に遮光処理(黒色塗装等)を施してなる枠状の見切り13が配置されている。見切り13を配置することで、表示領域以外の部分が黒色で表示され、画像の見栄えが向上する。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−161915
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図3は従来技術による課題を示す断面図である。従来技術では、液晶パネル1の表示領域以外の部分に見切り13を配置することで画像の見栄えを良くしているが、見切り13の表面には、黒色塗装の塗装ムラや母材自体の表面粗さにより微妙な凹凸がある為、見切り13に照射された光が表面の凹凸により乱反射し、イルミネーター12内に散乱して画像のコントラストが低下するという問題がある。見切り13に入射する光は、偏ビームスプリッター10を透過しない偏向光P1である為、そのまま反射されれば偏ビームスプリッター10に遮られて外部へ出射されることはないが、実際には見切り13の表面で乱反射され、その一部が偏ビームスプリッター10を透過する偏向光P2へと変わる為、それが偏ビームスプリッター10を透過して画像のコントラストを低下させる。また、そのようにイルミネーター12内で光の乱反射が発生すると、イルミネーター12内部の構造(見切り13の表面状態等)が観察者に見え易くなり、見栄えも悪くなってしまう。
【0009】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたもので、画像のコントラスト及び見栄えの良い反射型液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
透明電極を有する第一電極基板と反射電極を有する第二電極基板とを所定の間隔で周辺接着剤を介して貼り合わせることで形成された空間に液晶を封入してなる液晶パネルと、当該液晶パネルに光を供給する光源と、当該光源から出射された光のうち一方の偏向光のみを透過させる偏光板と、当該偏光板を通過した前記一方の偏向光を前記液晶パネルに向けて反射すると共に、前記一方の偏向光とは偏向方向が異なる他方の偏向光を透過させるように配置された偏光ビームスプリッターと、当該偏ビームスプリッターと前記液晶パネルとの間に、前記液晶パネルの表示領域以外の部分を覆うように配置された見切りとを備え、前記液晶パネルの画像を前記偏ビームスプリッターを透して観察するように構成された反射型液晶表示装置において、前記見切りを偏光板で構成し、前記偏ビームスプリッターが反射する前記一方の偏向光を透過させると共に、前記一方の偏向光とは偏向方向が異なる前記他方の偏向光を遮断するように配置した反射型液晶表示装置とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、見切り表面での光の乱反射が無くなる為、画像のコントラストと見栄えが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による反射型液晶表示装置の断面図
図2】従来技術による反射型液晶表示装置の断面図
図3】従来技術による課題を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明による反射型液晶表示装置の断面図である。液晶パネル1は、第一電極基板2と第二電極基板3とが枠状の周辺接着剤4を介して接着されることで形成された空間に液晶5が封入されてなる反射型液晶パネルで、第一電極基板2には透明電極(対向電極)と配向膜が形成され、第二電極基板3には反射電極(画素電極)と配向膜が形成されている。液晶パネル1は、回路基板6上に搭載され、第一電極基板2と回路基板6とが導電性接着剤を介して、また、第二電極基板3と回路基板6とがボンディングワイヤーを介して、電気的に接続されている。
【0014】
回路基板6上には、光源7と拡散板8と偏光板9と偏光ビームスプリッター(反射型偏光板)10とをドーム態様の筐体11に一体的に組み付けてなるイルミネーター12が、液晶パネル1を覆うように搭載されている。偏光ビームスプリッター10は、互いに直交する関係にある二種類の偏向光(P1、P2)のうち何れか一方(偏向光P2)のみを透過させ、他方(偏向光P1)を反射するもので、偏光方向が偏光板9とクロスニコルの関係(同じ偏向光を透過させない位置関係)となるように配置されている。尚、ここまでの構成は、従来技術と同様である。
【0015】
液晶パネル1の上方(液晶パネル1と偏ビームスプリッター10との間)には、液晶パネル1の表示領域以外の部分を覆うように、見切りとして機能する見切り用偏光板14が配置されている。見切り用偏光板14は、互いに偏向方向の異なる二種類の偏向光P1、P2のうち何れか一方(偏向光P1)のみを透過させ、他方(偏向光P2)を吸収する吸収型偏光板、又は、二種類の偏向光のうち何れか一方(偏向光P1)のみを透過させ、他方(偏向光P2)を反射する反射型偏光板、の何れかで構成されている。
【0016】
ここで、見切り用偏光版14は、偏向方向が偏光ビームスプリッター10とはクロスニコルの関係(同じ偏向光を透過させない位置関係)となり、偏光板9とはパラレルの関係(同じ偏向光を透過させる位置関係)となるように配置されている。但し、これらの配置は、偏向光P1、P2の偏向方向が互いに直交する場合の配置であり、偏向方向の関係がそれ以外の場合には、それに応じた位置関係で適宜配置されることとなる。
【0017】
以上の反射型液晶表示装置において、光源7から光を供給して液晶パネル1に実際に画像を表示させると、見切り用偏光板14に照射された偏向光P1は、一旦見切り用偏光板14を透過し、その先にある回路基板6や液晶パネル1の表面で乱反射され、再度見切り用偏光板14側に戻ってくる。この時、戻ってきた光が、偏ビームスプリッター10を透過する偏向光P2を含んでいたとしても、偏向光P2は見切り用偏光板14により遮断(吸収又は反射)される為、偏ビームスプリッター10に到達することはない。
【0018】
一方、戻ってきた光に含まれる偏向光P1は、見切り用偏光板14を再度透過し、その先の偏光ビームスプリッター10へと入射する。偏光ビームスプリッター10に入射した偏向光P1は、見切り用偏光版14とクロスニコルの位置関係で配置された偏ビームスプリッター10を透過できない為、偏光ビームスプリッター10で遮断(反射)され、イルミネーター12外部へ出射することはない。
【0019】
これらにより、液晶パネル1の表示領域以外の部分での光の乱反射が無くなり、画像のコントラストが高くなると共に、表示領域以外の部分が深い色合いの黒色となって見栄えが向上する。
【0020】
以上説明した本発明による反射型液晶表示装置は、あくまで一実施例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0021】
例えば、光源7、偏光板9、偏光ビームスプリッター10は、筐体11に一体的に組み付けられていなくともよく、各々別々の部材に組み付けられていてもよい。
【0022】
また、光源7から出射された光が、偏光板9→偏ビームスプリッター10→液晶パネル1→偏ビームスプリッター10→観察者、という経路でイルミネーター12外部へ出射されるように構成されているのであれば、各構成要素の配置角度や位置関係は適宜変更することが可能である。具体的な例として、例えば、光源7をその出光面が偏光板9の主面と直交するように配置すると共に、出光面と対向する位置に反射板や導光板を配置して、光路を偏光板9の主面と直交する方向に変換することも可能である。
【0023】
また、光源7と偏光板9との間に配置された拡散板8は、必須要素ではなく、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 液晶パネル
2 第一電極基板
3 第二電極基板
4 周辺接着剤
5 液晶
6 回路基板
7 光源
8 拡散板
9 偏光板
10 偏ビームスプリッター(反射型偏光板)
11 筐体
12 イルミネーター
13 見切り
14 見切り用偏光板
図1
図2
図3