(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
循環ポンプから吐出された作動媒体を気化させて前記作動媒体の蒸気を生成する蒸発器と、前記蒸発器で生成された蒸気の膨張を利用して発電する発電機と、前記発電機で利用された蒸気を液状の作動媒体に凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器で得られた液状の作動媒体を蒸発器へ圧送すると共に当該作動流体を循環させる循環ポンプと、を有する発電システムにおいて、
前記循環ポンプは、当該循環ポンプを駆動する電動機を備え、供給された液状の作動媒体の一部を前記電動機の冷却に用いた上で熱媒体として外部に排出すると共に、前記熱媒体以外の作動媒体を蒸発器へ圧送するように構成されており、
前記循環ポンプから排出された熱媒体を用いた熱交換が可能とされ且つ熱交換後の熱媒体を凝縮器へと導く熱媒体ラインが設けられており、
前記蒸発器の入側には、2次側に作動媒体が流通する予熱用熱交換器が設けられ、前記熱媒体ラインは、予熱用熱交換器の1次側に接続されていて、
前記循環ポンプから排出された熱媒体が予熱用熱交換器の1次側を通過して凝縮器へと戻ることで、2次側の作動媒体が1次側の熱媒体との熱交換によって予熱されるように構成されていることを特徴とする発電システム。
循環ポンプから吐出された作動媒体を気化させて前記作動媒体の蒸気を生成する蒸発器と、前記蒸発器で生成された蒸気の膨張を利用して発電する発電機と、前記発電機で利用された蒸気を液状の作動媒体に凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器で得られた液状の作動媒体を蒸発器へ圧送すると共に当該作動流体を循環させる循環ポンプと、を有する発電システムにおいて、
前記循環ポンプは、当該循環ポンプを駆動する電動機を備え、供給された液状の作動媒体の一部を前記電動機の冷却に用いた上で熱媒体として外部に排出すると共に、前記熱媒体以外の作動媒体を蒸発器へ圧送するように構成されており、
前記循環ポンプから排出された熱媒体を用いた熱交換が可能とされ且つ熱交換後の熱媒体を凝縮器へと導く熱媒体ラインが設けられており、
前記発電機は、当該発電機を冷却するための発電機冷却ラインを有し、前記熱媒体ラインは、発電機冷却ラインに接続されていて、
前記循環ポンプから排出された熱媒体が発電機冷却ラインを通過して前記凝縮器へと戻ることで、前記発電機が当該熱媒体との熱交換によって冷却されるように構成されている
ことを特徴とする発電システム。
循環ポンプから吐出された作動媒体を気化させて前記作動媒体の蒸気を生成する蒸発器と、前記蒸発器で生成された蒸気の膨張を利用して発電する発電機と、前記発電機で利用された蒸気を液状の作動媒体に凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器で得られた液状の作動媒体を蒸発器へ圧送すると共に当該作動流体を循環させる循環ポンプと、を有する発電システムにおいて、
前記循環ポンプは、当該循環ポンプを駆動する電動機を備え、供給された液状の作動媒体の一部を前記電動機の冷却に用いた上で熱媒体として外部に排出すると共に、前記熱媒体以外の作動媒体を蒸発器へ圧送するように構成されており、
前記循環ポンプから排出された熱媒体を用いた熱交換が可能とされ且つ熱交換後の熱媒体を凝縮器へと導く熱媒体ラインが設けられており、
前記発電機は、当該発電機を冷却するための発電機冷却ラインを有し、
前記蒸発器の入側には、2次側に作動媒体が流通する予熱用熱交換器が設けられ、
前記熱媒体ラインは、
前記循環ポンプから発電機冷却ラインの入側に接続されており、前記循環ポンプから排出された熱媒体が発電機冷却ラインを通過することによって、前記発電機が当該熱媒体との熱交換によって冷却されると共に、
前記発電機冷却ラインの出側から前記予熱用熱交換器の1次側に接続されており、前記発電機冷却ラインを通過した熱媒体が、予熱用熱交換器の1次側を通過することで2次側を流通する作動媒体を予熱した後に、凝縮器へと戻るように構成されていることを特徴とする発電システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、特許文献1に開示されるようなバイナリ発電システムでは、作動媒体を循環させる循環ポンプは電動機で駆動されることが多い。したがって、バイナリ発電システム全体としての効率を高めるためには、上記した電動機の効率を高く維持する必要がある。つまり、電動機はその電力損失により発熱するが、温度が過度に上昇すると効率が低下するため、電動機を冷却する必要がある。
【0006】
電動機の冷却として通常採用される手法は、別途用意した冷却媒体を電動機に供給して冷却することが考えられる。しかしながら、その場合、冷却媒体を電動機へ供給する供給手段として更に小型のポンプおよび電動機を用いるため、バイナリ発電装置における消費電力が大きくなるという問題が生じる。加えて、冷却媒体が電動機から受け取った熱は有効利用されてれおらず、バイナリ発電装置の外部に廃熱されている。
【0007】
このように、特許文献1に開示されるような従来のバイナリ発電装置は、発電装置の熱効率を向上させるような構成を有していなかった。
そこで本願発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、循環ポンプの冷却に要する消費電力を抑制するとともに、当該冷却に利用した媒体を更に熱利用することによって、発電装置の熱効率を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は次の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明の発電システムは、循環ポンプから吐出された作動媒体を気化させて前記作動媒体の蒸気を生成する蒸発器と、前記蒸発器で生成された蒸気の膨張を利用して発電する発電機と、前記発電機で利用された蒸気を液状の作動媒体に凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器で得られた液状の作動媒体を蒸発器へ圧送すると共に当該作動流体を循環させる循環ポンプと、を有する発電システムにおいて、前記循環ポンプは、当該循環ポンプを駆動する電動機を備え、供給された液状の作動媒体の一部を前記電動機の冷却に用いた上で熱媒体として外部に排出すると共に、前記熱媒体以外の作動媒体を蒸発器へ圧送するように構成されており、前記循環ポンプから排出された熱媒体を
用いた熱交換が可能とされ且つ熱交換後の熱媒体を凝縮器へと導く熱媒体ラインが設けられたことを特徴とする。
【0009】
なお、好ましくは、前記蒸発器の入側には、2次側に作動媒体が流通する予熱用熱交換器が設けられ、前記熱媒体ラインは、予熱用熱交換器の1次側に接続されていて、前記循環ポンプから排出された熱媒体が予熱用熱交換器の1次側を通過して凝縮器へと戻ることで、2次側の作動媒体が1次側の熱媒体との熱交換によって予熱されるように構成されているとよい。
【0010】
また、好ましくは、前記発電機は、当該発電機を冷却するための発電機冷却ラインを有し、前記熱媒体ラインは、発電機冷却ラインに接続されていて、前記循環ポンプから排出された熱媒体が発電機冷却ラインを通過して前記凝縮器へと戻ることで、前記発電機が当該熱媒体との熱交換によって冷却されるように構成されているとよい。
さらに、好ましくは、前記発電機は、当該発電機を冷却するための発電機冷却ラインを有し、前記蒸発器の入側には、2次側に作動媒体が流通する予熱用熱交換器が設けられ、前記熱媒体ラインは、前記循環ポンプから発電機冷却ラインの入側に接続されており、前記循環ポンプから排出された熱媒体が発電機冷却ラインを通過することによって、前記発電機が当該熱媒体との熱交換によって冷却されると共に、前記発電機冷却ラインの出側から前記予熱用熱交換器の1次側に接続されており、前記発電機冷却ラインを通過した熱媒体が、予熱用熱交換器の1次側を通過することで2次側を流通する作動媒体を予熱した後に、凝縮器へと戻るように構成されているとよい。
また、本発明に係る発電システムの最も好ましい形態は、循環ポンプから吐出された作動媒体を気化させて前記作動媒体の蒸気を生成する蒸発器と、前記蒸発器で生成された蒸気の膨張を利用して発電する発電機と、前記発電機で利用された蒸気を液状の作動媒体に凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器で得られた液状の作動媒体を蒸発器へ圧送すると共に当該作動流体を循環させる循環ポンプと、を有する発電システムにおいて、前記循環ポンプは、当該循環ポンプを駆動する電動機を備え、供給された液状の作動媒体の一部を前記電動機の冷却に用いた上で熱媒体として外部に排出すると共に、前記熱媒体以外の作動媒体を蒸発器へ圧送するように構成されており、前記循環ポンプから排出された熱媒体を用いた熱交換が可能とされ且つ熱交換後の熱媒体を凝縮器へと導く熱媒体ラインが設けられており、前記蒸発器の入側には、2次側に作動媒体が流通する予熱用熱交換器が設けられ、
前記熱媒体ラインは、予熱用熱交換器の1次側に接続されていて、前記循環ポンプから排出された熱媒体が予熱用熱交換器の1次側を通過して凝縮器へと戻ることで、2次側の作動媒体が1次側の熱媒体との熱交換によって予熱されるように構成されていることを特徴とする。
さらに、本発明に係る発電システムの最も好ましい形態は、循環ポンプから吐出された作動媒体を気化させて前記作動媒体の蒸気を生成する蒸発器と、前記蒸発器で生成された蒸気の膨張を利用して発電する発電機と、前記発電機で利用された蒸気を液状の作動媒体に凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器で得られた液状の作動媒体を蒸発器へ圧送すると共に当該作動流体を循環させる循環ポンプと、を有する発電システムにおいて、前記循環ポンプは、当該循環ポンプを駆動する電動機を備え、供給された液状の作動媒体の一部を前記電動機の冷却に用いた上で熱媒体として外部に排出すると共に、前記熱媒体以外の作動媒体を蒸発器へ圧送するように構成されており、前記循環ポンプから排出された熱媒体を用いた熱交換が可能とされ且つ熱交換後の熱媒体を凝縮器へと導く熱媒体ラインが設けられており、前記発電機は、当該発電機を冷却するための発電機冷却ラインを有し、前記熱媒体ラインは、発電機冷却ラインに接続されていて、前記循環ポンプから排出された熱媒体が発電機冷却ラインを通過して前記凝縮器へと戻ることで、前記発電機が当該熱媒体との熱交換によって冷却されるように構成されていることを特徴とする。
さらにまた、本発明に係る発電システムの最も好ましい形態は、循環ポンプから吐出された作動媒体を気化させて前記作動媒体の蒸気を生成する蒸発器と、前記蒸発器で生成された蒸気の膨張を利用して発電する発電機と、前記発電機で利用された蒸気を液状の作動媒体に凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器で得られた液状の作動媒体を蒸発器へ圧送すると共に当該作動流体を循環させる循環ポンプと、を有する発電システムにおいて、前記循環ポンプは、当該循環ポンプを駆動する電動機を備え、供給された液状の作動媒体の一部を前記電動機の冷却に用いた上で熱媒体として外部に排出すると共に、前記熱媒体以外の作動媒体を蒸発器へ圧送するように構成されており、前記循環ポンプから排出された熱媒体を用いた熱交換が可能とされ且つ熱交換後の熱媒体を凝縮器へと導く熱媒体ラインが設けられており、前記発電機は、当該発電機を冷却するための発電機冷却ラインを有し、前記蒸発器の入側には、2次側に作動媒体が流通する予熱用熱交換器が設けられ、前記熱媒体ラインは、前記循環ポンプから発電機冷却ラインの入側に接続されており、前記循環ポンプから排出された熱媒体が発電機冷却ラインを通過することによって、前記発電機が当該熱媒体との熱交換によって冷却されると共に、前記発電機冷却ラインの出側から前記予熱用熱交換器の1次側に接続されており、前記発電機冷却ラインを通過した熱媒体が、予熱用熱交換器の1次側を通過することで2次側を流通する作動媒体を予熱した後に、凝縮器へと戻るように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の発電システムによれば、循環ポンプの冷却に要する消費電力を抑制するとともに、当該冷却に利用した媒体を更に熱利用することによって、発電装置の熱効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態によるバイナリ発電システム(以下、単に発電システムという)を、図面に基づき詳しく説明する。
図1に示す本実施形態による発電システム1Aは、工場の廃熱や地熱のように低温(例えば、150℃以下)の熱源から熱を回収して発電を行うものである。
【0014】
このような低温の熱源では、水の熱サイクルで発電できるほどの熱量を確保できないので、水より低沸点の有機媒体(代替フロン等)などを作動媒体Tに用いて、この作動媒体Tの熱サイクルを利用し発電を行う必要がある。それゆえ、本発明の発電システム1Aのように、作動媒体Tの蒸発サイクルと凝縮サイクルといった2つの熱サイクルを併用し発電するシステムを、バイナリーサイクル(Binary-Cycle)発電と呼ぶ。
【0015】
図1に示すように、第1実施形態の発電システム1Aは、作動媒体Tを気化させて作動媒体Tの蒸気を生成する蒸発器2と、蒸発器2で生成された蒸気の膨張を利用して発電する発電機3と、発電機3で利用された蒸気を液状の作動媒体Tに凝縮させる凝縮器4と、凝縮器4で得られた液状の作動媒体Tを再び蒸発器2へ圧送して作動媒体Tを循環させる循環ポンプ6と、を有している。
【0016】
発電システム1Aに備えられた蒸発器2は、循環配管5内を流れる作動媒体Tを気化させる役割を有している。蒸発器2の1次側には、工場からの温排水や地下から湧出する温水などの加熱媒体(熱源)が供給され、2次側には、予熱用熱交換器11を通過して予熱された作動媒体Tが供給される。蒸発器2内では、1次側に供給された加熱媒体と2次側に供給された作動媒体Tとの間で熱交換が行われて、作動媒体Tが気化してガス状の作動媒体T(蒸気)となる。
【0017】
発電機3は、蒸発器2で生成された蒸気を利用して発電を行うものである。この発電機3は、蒸発器2から供給された蒸気の膨張力により回転駆動されるスクリュロータ7(膨張機駆動部)を有する膨張機8と、このスクリュロータ7の回転力を利用して発電を行う回転子9を有する発電機本体10と、を備えている。
凝縮器4は、発電機3から循環配管5を通って流れてきた気体又は気液混合の作動媒体Tを液化させる熱交換器であって、蒸発器2と同様の構成を有している。凝縮器4の1次側には、発電機3から循環配管5を通って流れてきた作動媒体Tが供給され、2次側には、例えば比較的低温の冷却水が供給される。凝縮器4内では、1次側の作動媒体Tと2次側の冷却水との間で熱交換が行われ、作動媒体Tの温度が沸点以下に下がると、作動媒体Tが凝縮されて再び液状となる。
【0018】
上述の蒸発器2、発電機3、及び凝縮器4は、作動媒体Tを循環させる循環配管5(循環ライン)により接続されており、この循環配管5の経路上には、作動媒体Tを循環させる循環ポンプ6が配置されている。
図1において循環ポンプ6は、凝縮器4と蒸発器2との間に配置されている。循環配管5は、この循環ポンプ6により作動媒体Tを一方向に向かって送りつつ、作動媒体Tを蒸発器2、発電機3、凝縮器4の順番に循環させる閉ループ状の構成となっている。
【0019】
本実施形態に係るバイナリ発電システム1Aにおいては、上記した循環ポンプ6及び循環ポンプ6から排出される熱媒体の利用方法に特徴がある。以下、循環ポンプ6の構成の詳細な説明を行う。
第1実施形態の発電システム1Aに備えられた循環ポンプ6は、一般的なリバースサーキュレーション形(型)と呼ばれるポンプであって、循環ポンプ6を駆動する駆動機構として電動機(図示せず)を備えている。
【0020】
リバースサーキュレーション形のポンプでは、供給された液状媒体の一部が電動機の冷却及び摺動部分(軸受)の潤滑を担うサーキュレーション液(以下、熱媒体という)として用いられ、その後、外部に排出されるものであって、この熱媒体の経路がポンプ内において一つの閉回路となっていないことを特徴としている。
リバースサーキュレーション形の循環ポンプ6の一般的な使用法において、ポンプ入側から吸い上げられた液体の一部は、電動機冷却用の熱媒体として電動機の内部を流通し、外部に排出された後は、再びポンプ入側の液体に合流される。
ところが、本実施形態の場合、循環ポンプ6は、供給された液状の作動媒体Tの一部を電動機の冷却及び摺動部分の潤滑に用いた上で熱媒体として外部に排出すると共に、排出する熱媒体以外の作動媒体Tを加圧して蒸発器2に送り出す(圧送する)。
【0021】
つまり、本実施形態による発電システム1Aは、循環ポンプ6から排出された熱媒体を凝縮器4へと導く熱媒体ライン12を設けており、熱媒体ライン12は、発電システム1A内の所定の位置で、循環ポンプ6から排出された熱媒体と循環する作動媒体Tとの間で熱交換を行う。これは、循環ポンプ6から排出された熱媒体の温度は電動機を冷却した分だけ高くなっており、循環ポンプ6から圧送される作動媒体Tの温度よりも高いからである。
【0022】
この熱交換を実現するための構成及び動作を次に述べる。
この閉ループ状の循環配管5において、蒸発器2の入側に予熱用熱交換器11が設けられている。予熱用熱交換器11の2次側は、循環ポンプ6の出側(加圧された作動媒体Tの排出側)と蒸発器2の入側に接続されており循環配管5の一部を構成している。また、予熱用熱交換器11の1次側は、循環ポンプ6における熱媒体の出側(電動機を冷却したサーキュレーション液、すなわち熱媒体の排出側)と凝縮器4の入側に接続されており熱媒体ライン12の一部を構成している。
【0023】
予熱用熱交換器11は、液−液間の熱交換を行う一般的な熱交換器であって、スパイラル式熱交換器、プレート式熱交換器、二重管式熱交換器などである。予熱用熱交換器11内では、作動媒体Tが流れる2次側の流路(2次流路)と熱媒体が流れる1次側の流路(1次流路)とが伝熱面を挟んで隣接しており、高温側の1次流路の熱媒体から低温側の2次流路の作動媒体Tへ伝熱面を介して熱が移動する。これによって、蒸発器2に入る前の作動媒体Tの温度を予め上昇させる(予熱する)ことができる。
【0024】
次に、上述の構成による発電システム1Aを用いて発電を行う方法、言い換えれば本発明の発電システム1Aを用いた発電方法について、説明する。
図1に示すように、第1実施形態の発電システム1Aにおいて、循環ポンプ6は、凝縮器4から循環配管5を通って流れてきた液状の作動媒体Tを吸い込み、電動機の冷却に用いた作動媒体Tの一部を熱媒体として熱媒体ライン12に排出すると共に、残りの作動媒体Tを循環配管5に圧送する。
【0025】
循環ポンプ6から熱媒体ライン12に排出された熱媒体(サーキュレーション液)は、予熱用熱交換器11の1次側に供給され、循環ポンプ6から循環配管5に圧送された作動媒体Tは、予熱用熱交換器11の2次側に供給される。
予熱用熱交換器11では、熱交換によって、高温側の1次側の熱媒体から低温側の2次側の作動媒体Tへ熱が移動して、作動媒体Tが予熱される。予熱されて温度が上昇した液状の作動媒体Tは、予熱用熱交換器11を出て蒸発器2の2次側へ供給される。このとき、熱交換によって温度が低下した熱媒体は、予熱用熱交換器11を出て凝縮器4の入側へ供給される。
【0026】
蒸発器2では、熱交換によって、1次側へ供給された温水(加熱媒体)から2次側へ供給された作動媒体Tへ熱が移動して、作動媒体Tは蒸発し気化する。気化した作動媒体Tは、循環配管5を通って発電機3の膨張機8へ導入される。
このとき、2次側へ供給された作動媒体Tは、予熱用熱交換器11で予熱されているため、1次側の加熱媒体から受け取る熱量が少なくても気化することができる。このように、予熱用熱交換器11を設けて作動媒体Tを予熱することで蒸発器2における熱効率が向上するといえる。蒸発器2の熱効率の向上によってより多くの作動媒体Tを気化させることができるので、作動媒体Tを予熱しない場合と比較して、より多くの気体状の作動媒体Tを膨張機8に導入することができる。
【0027】
膨張機8に導入された気体状の作動媒体Tは、膨張によってスクリュロータ7を回転させ、発電が行われる。
スクリュロータ7を回転させた気体状の作動媒体Tは、温度を下げつつ膨張機8から循環配管5へ排出される。膨張機8から排出された作動媒体Tは、さらに温度を下げつつ循環配管5を通り、途中で予熱用熱交換器11の1次側から出て熱媒体ライン12を通った熱媒体と合流して凝縮器4の1次側へ送られる。
【0028】
凝縮器4の1次側へ送られ混ざり合った作動媒体T及び熱媒体は、熱交換によって、2次側の冷却水へ熱を放出し温度をさげる。混ざり合った作動媒体T及び熱媒体は、沸点未満の温度にまで冷却されるので、共に凝縮されて液状の作動媒体Tとなり、再び循環ポンプ6へ供給される。
この後は、既に述べた動作を繰り返すことで発電機3が継続的に発電することができる。
【0029】
このように、本実施形態による発電システム1Aでは、循環ポンプ6の電動機を冷却した際に得られた熱を作動媒体Tの予熱に用いることで、本来は捨てられていた電動機の冷却で得られた熱を回収し、発電システム1A全体としての熱効率を向上させている。これによって、より多くの作動媒体Tを気化させて膨張機8に導入することができるので、ひいては発電機3の発電量及び発電効率を向上させることにつながる。
【0030】
[第2実施形態]
次に、
図2を用いて、本発明の第2実施形態による発電システム1Bを説明する。
本実施形態による発電システム1Bは、第1実施形態で説明した予熱用熱交換器11を備えていない点と、熱媒体ライン12が、発電機本体10に設けられた発電機冷却ライン13(詳細は後述する)を経由して凝縮器4の入側に接続されている点と、が第1実施形態による発電システム1Aと異なる。
作動媒体Tが循環する循環配管5の構成は、第1実施形態の発電システム1Aにおける構成と同様であるので、説明を省略する。
【0031】
以下に
図2を参照しながら、発電機3の発電機本体10に設けられた発電機冷却ライン13と、その発電機冷却ライン13を経由する熱媒体ライン12について説明する。
発電機冷却ライン13は、発電機本体10に設けられて当該発電機本体10を冷却するためのラインである。発電機冷却ライン13の入側は、循環ポンプ6における熱媒体の出側と熱媒体ライン12で接続されており、発電機冷却ライン13の出側は、凝縮器4と熱媒体ライン12で接続されている。これにより、循環ポンプ6における熱媒体の出側から排出された熱媒体(電動機の冷却に利用されたサーキュレーション液)が発電機冷却ライン13を通過して凝縮器4へと戻ることで、電動機のみならず発電機3が当該熱媒体との熱交換によって冷却されるように構成されている。
【0032】
発電機冷却ライン13の構成について、詳しく説明する。
発電機冷却ライン13は、発電機本体10の筐体に設けられた熱交換手段である。発電によって高温となる発電機本体10の筐体内には気体が充満しているので、発電機冷却ライン13は、筐体内の気体と熱媒体との間で熱交換を行う気−液間の熱交換を行う熱交換手段である。
【0033】
発電機本体10の筐体には、筐体内の気体が流れる(充満する)1次側の流路(チャンバ)と熱媒体が流れる2次側の流路(発電機冷却ライン13、すなわち冷却ジャケット)とが伝熱面を挟んで隣接しており、高温側の1次側(チャンバ)の気体から低温側の2次側の熱媒体へ伝熱面を介して熱が移動する。これによって、1次側(チャンバ)の気体の温度を下げることができる。ここで、2次側の熱媒体は、1次側(チャンバ)の気体から熱を受けて温度を上昇させて、発電機冷却ライン13の出側から熱媒体ライン12に排出される。
【0034】
以下に、発電機冷却ライン13を経由する熱媒体ライン12における熱媒体の循環方法について説明する。
循環ポンプ6における熱媒体の出側から熱媒体ライン12に排出された熱媒体は、発電機本体10に設けられた発電機冷却ライン13の入側に供給される。
供給された熱媒体は、熱交換によって発電機3を冷却しながら、発電機冷却ライン13を出側に向かって移動する。
【0035】
熱交換によって温度が上昇した熱媒体は、発電機冷却ライン13の出側から熱媒体ライン12に排出される。排出された熱媒体は、途中で発電機3の膨張機8から出て循環ライン5を通った作業媒体Tと合流して凝縮器4の1次側へ送られる。
この後は、第1実施形態と同様に、凝縮器4の1次側へ送られ混ざり合った作動媒体T及び熱媒体は、共に凝縮されて液状の作動媒体Tとなり、再び循環ポンプ6へ供給される。
【0036】
このように、本実施形態による発電システム1Bでは、循環ポンプ6の電動機を冷却した熱媒体でさらに発電機3(発電機本体10)を冷却することによって、発電機3の温度上昇を抑制することができる。これによって、発電機3の冷却に外部の冷却装置を用いる必要が無くなる。循環ポンプ6の電動機及び発電機3を確実に冷却することで、両機器3,6の動作効率が上がり、発電システム1B全体での効率を向上させることが可能となる。
【0037】
[第3実施形態]
次に、
図3を用いて、本発明の第3実施形態による発電システム1Cを説明する。
本実施形態による発電システム1Cは、第1実施形態で説明した予熱用熱交換器11と第2実施形態で説明した発電機冷却ライン13の両方を、第1実施形態及び第2実施形態で説明した循環配管5に備えている。
これら、上述の実施形態と同様の構成要素については、説明を省略する。
以下に
図3を参照しながら、発電システム1Cにおいて予熱用熱交換器11と発電機冷却ライン13を経由する熱媒体ライン12について説明する。
【0038】
本実施形態による発電システム1Cの熱媒体ライン12は、まず、第2実施形態と同様に、循環ポンプ6における熱媒体の出側から発電機3の発電機冷却ライン13の入側へ接続されている。発電機冷却ライン13を経由した熱媒体ライン12は、発電機冷却ライン13の出側から予熱用熱交換器11の1次側の入側に接続され、予熱用熱交換器11の1次側の出側から凝縮器4の入側に接続されている。
【0039】
このように構成された熱媒体ライン12を通じて、熱媒体を、発電機冷却ライン13から予熱用熱交換器11の順に経由させれば、発電システム1C全体での効率を大きく高めることができる。
つまり、循環ポンプ6の電動機を冷却した熱媒体をさらに発電機冷却ライン13に供給して発電機本体10を冷却すると、熱媒体の温度は大きく上昇する。その上で、この高温となった熱媒体を予熱用熱交換器11の1次側に供給すると、高温の1次側と低温の2次側との温度差が大きくなるため、2次側の作動媒体Tをより効果的に予熱することができる。この効果的な予熱によって、多くの作動媒体Tを気化させて膨張機8に導入することができるので、ひいては発電機3の発電量及び発電効率を向上させることにつながる。
【0040】
別の視点から述べると、循環ポンプ6から排出された熱媒体を発電機3へ供給することによって、高温となった発電機3(発電機本体10)を冷却し温度上昇を抑制することができる。これによって、発電機3の冷却に外部の冷却装置を用いる必要が無くなると共に、発電機3の発電効率を良好な範囲に維持することができるので、ひいては発電システム1C全体での効率を向上させることにつながる。さらに、本実施形態のように、熱媒体を発電機3から予熱用熱交換器11を経由して循環させるように熱媒体ライン12を構成すると、発電システム1Cの系内で発電に伴って発生する熱を有効に利用して(回収して)作動媒体Tの温度を上昇させることができるので、発電システム1Cの発電効率を向上させることができる。
【0041】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。