【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の避難シェルタは、箱状の居室部を備え、前記居室部の床面近傍には、前記居室部の下方の空間に連通する出入口が形成され、前記居室部は、当該出入口のみを介して前記下方の空間に連通することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、避難時には、避難者は出入口を通って居室部の内部に入る。その後、津波や洪水により水位が上昇しても、居室部の内部は空気溜まりとなるため、水が居室部に浸入しないから、安全に避難できる。
また、避難シェルタとして箱状の居室部を構築すればよいので、従来のように中層建築物を構築する場合に比べて、建設コストを低減できる。よって、避難シェルタを多数建設して、避難者の避難距離を短くできる。
また、従来のように避難シェルタを水に浮かせる必要がないため、避難シェルタを鉄骨造や鉄筋コンクリート造として地盤面に構築できるから、避難シェルタ自体の剛性を向上でき、津波や洪水の激しい水流に耐えることができる。
また、出入口を開放状態としておけるので、緊急時に避難者が円滑に居室部に入ることができる。
【0010】
請求項2に記載の避難シェルタは、ピロティ構造であることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、ピロティ構造とした。よって、ピロティ部を通って出入口にアクセスしやすくなるので、避難者は出入口から容易に居室部に入ることができる。
【0012】
また、請求項
1に記載の避難シェルタは、前記居室部の床面近傍から当該床面の高さ位置よりも下方を経由して当該居室部の屋上に至
りかつ前記下方の空間には連通しない筒状の通路部をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
津波や洪水の発生後、しばらくは水位が低下せず、出入口が水没している場合がある。この場合、避難者は居室部内から出入口を通って外部に出ることができない。
そこで、この発明によれば、通路部を設けたので、居室部内の避難者は、通路部を通って屋上に出ることができる。よって、屋上から救助を呼んだり、あるいは、通路部を通して新鮮な空気を確保したりできる。
また、屋上まで水没しそうな場合、屋上にいる避難者は、通路部を通って居室部に入ることができる。
【0014】
また、通路部を居室部の床面から延ばしたので、居室部内の空気が通路部から抜けてしまうのを防いで、居室部の内部に確実に空気を溜めることができる。
【0015】
請求項
3に記載の避難シェルタは、前記居室部の屋上から地盤面まで延びる傾斜部をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
ここで、傾斜部としては、スロープや階段が挙げられる。
この発明によれば、傾斜部を設けた。避難者が避難シェルタに到着した際に、出入口が既に閉まっている場合や、水位がそれほど上昇しないと予想される場合、この避難者は、傾斜部を上って屋上に避難することもできる。
また、津波や洪水の発生後で水位がなかなか低下しない場合、救助ボートを傾斜部の下端側に着けておき、避難者は居室部の屋上から傾斜部を通って救助ボートに乗り込むことができる。
【0017】
また、前記居室部の内部には、箱状の小部屋が設けられ、当該小部屋の床面には、前記居室部の内部に連通する出入口が設けられることが好ましい。
【0018】
この発明によれば、居室部の内部にさらに小部屋を設けたので、仮に居室部内に水が侵入しても、この小部屋の内部が空気溜まりとなるので、避難シェルタの安全性がさらに高まる。
【0019】
また、前記ピロティ部は、前記複数本の柱のみで構成されることが好ましい。
【0020】
この発明によれば、ピロティ部を柱のみで構成したので、津波や洪水が避難シェルタを襲っても、ピロティ部を水の流れが通り抜けることになる。よって、津波や洪水のエネルギを極力受け止めないので、避難シェルタが損壊するのを防止できる。
【0021】
また、前記居室部の下面には、前記出入口を開閉可能な蓋部が設けられ、当該蓋部は、開いた状態では、前記居室部の床面から前記ピロティ部の床レベルまで延びていることが好ましい。
【0022】
この発明によれば、蓋部が開いた状態では、この蓋部は居室部の床面からピロティ部の床レベルまで延びている。よって、避難者がこの蓋部を渡ってピロティ部から居室部に円滑に移動できる。
また、蓋部を閉じることにより、居室部内に水が浸入するのを確実に防止できる。
【0023】
また、前記蓋部には、当該蓋部を水に浮かせるためのフロートが設けられることが好ましい。
【0024】
この発明によれば、蓋部にフロートを設けたので、水位が上昇するに従って蓋部も上昇し、自動的に出入口を閉鎖できる。