特許第5713866号(P5713866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5713866適応型の枢動位置を有するロールニップ構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5713866
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】適応型の枢動位置を有するロールニップ構造
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   B65H5/06 D
   B65H5/06 F
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-220113(P2011-220113)
(22)【出願日】2011年10月4日
(65)【公開番号】特開2012-86985(P2012-86985A)
(43)【公開日】2012年5月10日
【審査請求日】2014年10月1日
(31)【優先権主張番号】12/907,133
(32)【優先日】2010年10月19日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ヘイゴス
(72)【発明者】
【氏名】ベン・チャップリン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・エフ・ディ・ワッツ
(72)【発明者】
【氏名】イアン・エイ・パークス
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−91619(JP,A)
【文献】 特開平9−118451(JP,A)
【文献】 特開2001−328744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニップを構成し、媒体の複数のシートを媒体経路に沿って移動させるために反対方向に回転している一対のローラと、
前記一対のローラの第1ローラを支持する、第1フレーム構造と、
前記一対のローラの第2ローラを支持し、前記第1ローラの方である第1方向に調整可能であり、前記第2ローラを前記第1ローラの方へ移動させることができる、第2フレーム構造と、を含み、
前記第2フレーム構造は、前記第2フレーム構造が前記第1方向と垂直な第2方向に可変的に移動して前記第2ローラを前記第2方向に移動させるように可変の枢動位置を有しており、
前記第1フレーム構造は、前記第2ローラの方に前記第1ローラを移動させるように前記第1方向とは反対方向に自動的に調節可能であり、
前記第1ローラは前記第1ローラが回転する中心となる第1軸を有し、
前記第2ローラは前記第2ローラが回転する中心となる第2軸を有し、
前記第1ローラおよび前記第2ローラの大きさが摩耗により低減していないときに前記第1軸と前記第2軸とを通る直線状の基準線を含み、
前記第1フレーム構造は前記第1軸を前記直線状の基準線上に保ち、
前記第1ローラおよび前記第2ローラの大きさが磨耗により低減した場合にも、前記第2フレーム構造の前記第1方向および前記第2方向への移によって前記第2軸を前記直線状の基準線上に保ち、
前記第2フレーム構造の移動が前記磨耗によって生じる前記第2ローラの弧状の動きを補償する、ローラニップ構造。
【請求項2】
マーキング装置と、
媒体の複数のシートを前記マーキング装置に供給するために配置された媒体経路と、
前記媒体の複数のシートを前記媒体経路に供給するために配置された媒体供給トレイであって、前記媒体経路は、ニップを構成する一対のローラを含み、前記ローラは、前記媒体の複数のシートを前記媒体経路に沿って移動させるために、反対方向に回転している、前記媒体供給トレイと、
前記一対のローラの第1ローラを支持している、第1フレーム構造と、
前記一対のローラの第2ローラを支持する第2フレーム構造であって、前記第1ローラの方である第1方向に調整可能であり、前記第2ローラを前記第1ローラの方へ移動させることができる、第2フレーム構造と、を含み、
前記第2フレーム構造は、前記第2フレーム構造が前記第1方向と垂直な第2方向に可変的に移動して前記第2ローラを前記第2方向に移動させるように可変の枢動位置を有しており、
前記第1フレーム構造は、前記第2ローラの方に前記第1ローラを移動させるように前記第1方向とは反対の方向に自動的に調節可能であり、
前記第1ローラは前記第1ローラが回転する中心となる第1軸を有し、
前記第2ローラは前記第2ローラが回転する中心となる第2軸を有し、
前記第1ローラおよび前記第2ローラの大きさが摩耗により低減していないときに前記第1軸と前記第2軸とを通る直線状の基準線を含み、
前記第1フレーム構造は前記第1軸を前記直線状の基準線上に保ち、
前記第1ローラおよび前記第2ローラの大きさが磨耗により低減した場合にも、前記第2フレーム構造の前記第1方向および前記第2方向への移によって前記第2軸を前記直線状の基準線上に保ち、
前記第2フレーム構造の移動が前記磨耗によって生じる前記第2ローラの弧状の動きを補償する、印刷機器。
【請求項3】
マーキング装置と、
媒体の複数のシートを前記マーキング装置に供給するために配置された媒体経路と、
前記媒体の複数のシートを前記媒体経路に供給するために配置された媒体供給トレイと、
前記媒体供給トレイに隣接しているニップを構成する一対のローラであって、前記媒体の複数のシートを前記媒体経路に沿って移動させるために、反対方向に回転している、前記ローラと、
前記一対のローラの第1ローラを支持している、第1フレーム構造と、
前記一対のローラの第2ローラを支持する第2フレーム構造であって、前記第1ローラの方である第1方向に調整可能であり、前記第2ローラを前記第1ローラの方へ移動させることができる、第2フレーム構造と、を含み、
前記第2フレーム構造は、前記第2フレーム構造が前記第1方向と垂直な第2方向に可変的に移動して前記第2ローラを前記第2方向に移動させるように可変の枢動位置を有しており、
前記第1フレーム構造は、前記第2ローラの方に前記第1ローラを移動させるように前記第1方向とは反対の方向に自動的に調節可能であり、
前記第1ローラは前記第1ローラが回転する中心となる第1軸を有し、
前記第2ローラは前記第2ローラが回転する中心となる第2軸を有し、
前記第1ローラおよび前記第2ローラの大きさが摩耗により低減していないときに前記第1軸と前記第2軸とを通る直線状の基準線を含み、
前記第1フレーム構造は前記第1軸を前記直線状の基準線上に保ち、
前記第1ローラおよび前記第2ローラの大きさが磨耗により低減した場合にも、前記第2フレーム構造の前記第1方向および前記第2方向への移によって前記第2軸を前記直線状の基準線上に保ち、
前記第2フレーム構造の移動が前記磨耗によって生じる前記第2ローラの弧状の動きを補償する、印刷機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、一般的に媒体の複数のシートに印刷する印刷エンジンに、媒体経路にある媒体の複数のシートを給紙する印刷装置に関し、詳細には、ニップを構成する2つのロール間の適切な位置関係を維持するために、フレーム部材の軸位置を盛んに調整するニップロール構造を含む、改善された印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置内の媒体経路に沿って媒体の複数のシートを移動させる場合、ベルト、ロール(ここではローラと呼ぶ場合がある)などといった多くの様々な装置を用いることができる。このような1つの媒体移動機構として、対向ローラが互いに接しあう位置に形成される「ニップ」が挙げられる。最も多くのニップ構造内では、ローラのうちの1つが、モータまたは他の作動装置によって(直接または間接的に)駆動され、もう1つのローラは、具体的に設計された転がり自由度(転がり抵抗)と、各個別のニップ用の様々な設計目標の達成を支援する駆動ローラに対するばね負荷とを有している。ニップを作り出すローラには、ばね、ピストン、または、1つまたは両方のローラに接続された他の類似のバイアス部材を用いて互いにバイアスをかけることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
印刷機器は、マーキング装置と、媒体の複数のシートを上記マーキング装置に供給するために配置された媒体経路と、上記媒体の複数のシートを上記媒体経路に供給するために配置された媒体供給トレイとを含んでいるのが望ましい。さらに、一対のローラが、上記媒体供給トレイに隣接しているニップを構成し、上記媒体の複数のシートを上記媒体供給トレイから上記媒体経路に移動させるため、反対方向に回転するのが望ましい。さらに、第1フレーム構造は、上記一対のローラの第1ローラを支持しているのが利点であり、第2フレーム構造は、上記一対のローラの第2ローラを支持しているのが利点である。上記第2フレーム構造は、上記第1ローラを介して第1方向に調整可能であり、上記第2フレーム構造を上記第1方向に対して垂直な第2方向に移動させることができる可変の枢動位置を有しているならば有用である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書の1つの模式的な印刷機器は、マーキング装置と、媒体の複数のシートをマーキング装置に供給するために配置された媒体経路と、媒体の複数のシートを媒体経路に供給するために配置された媒体供給トレイとを含んでいる。さらに、一対のローラが、媒体供給トレイに隣接しているニップを形成している。ローラは、媒体の複数のシートを媒体供給トレイから媒体経路に移動させるために、反対方向に回転する。さらに、第1フレーム構造が、一対のローラの第1ローラを支持している。第1フレーム構造は、定位置にあってもよく、第1ローラを一定の場所に保持する。第2フレーム構造が、一対のローラの第2ローラを支持している。
【0005】
第2フレーム構造は、第1ローラを介して第1方向に調整可能であり、第2フレーム構造を第1方向に対して垂直な第2方向に移動させることができる可変の枢動位置を有している。第2フレーム構造はまた、フレームを第1方向に移動させることができる枢動接続部を含んでいる。ばねまたは作動装置といったバイアス部材が、第1方向に向かって第2フレーム構造にバイアスをかけるために第2フレーム構造に接続されている。
【0006】
一実施形態では、枢動接続部が接続している一連の開口部によって、枢動接続部は、第2方向に移動することができるようになる。もう1つの実施形態では、第2フレーム構造は、枢動接続部が第2方向に移動することができるように接続した溝穴を有している。さらなる実施形態では、第2フレーム構造は、枢動接続部が接続しているねじ機構を含んでいる。ここでは、ねじ機構を調整することによって、枢動接続部は第2方向に移動することができる。
【0007】
第1ローラは、第1ローラが回転する第1軸を有しており、第2ローラは、第2ローラが回転する第2軸を有している。第1ローラおよび第2ローラが使い古されておらず、完全な大きさであるとき、基準線が第1軸および第2軸に関連される。第2方向はまた、基準線に対して垂直である。さらに、第1ローラおよび第2ローラの大きさが、磨耗のゆえに小さくなるが、第2フレームの第1方向および第2方向へのよく整合された動きにより、第2軸はこの基準線に保たれる。
【0008】
もう1つの模式的な印刷機器が、ここでは、マーキング装置と、媒体の複数のシートをマーキング装置に供給するために配置された媒体経路と、上記媒体の複数のシートを媒体経路に供給するために配置された媒体供給トレイとを含んでいる。さらに、媒体経路は、ニップを構成する一対のローラを含んでいる。ローラは、媒体の複数のシートを媒体経路に沿って移動させるために、反対方向に回転する。さらに、第1フレーム構造が、一対のローラの第1ローラを支持している。第1フレーム構造は、定位置にあってもよく、第1ローラを一定の場所に保持する。第2フレーム構造が、一対のローラの第2ローラを支持している。
【0009】
第2フレーム構造は、第1ローラを介して第1方向に調整可能であり、第2フレーム構造を第1方向に対して垂直な第2方向に移動させることができる可変の枢動位置を有している。第2フレーム構造はまた、フレームを第1方向に移動させることができる枢動接続部を含んでいる。ばねまたは作動装置といったバイアス部材が、第1方向に向かって第2フレーム構造にバイアスをかけるために第2フレーム構造に接続されている。
【0010】
一実施形態では、枢動接続部が接続している一連の開口部によって、枢動接続部は、第2方向に移動することができるようになる。もう1つの実施形態では、第2フレーム構造は、枢動接続部が第2方向に移動することができるように接続した溝穴を有している。さらなる実施形態では、第2フレーム構造は、枢動接続部が接続しているねじ機構を含んでいる。ここでは、ねじ機構を調整することによって、枢動接続部は第2方向に移動することができる。
【0011】
第1ローラは、第1ローラが回転する第1軸を有しており、第2ローラは、第2ローラが回転する第2軸を有している。第1ローラおよび第2ローラが使い古されておらず、完全な大きさであるとき、基準線が第1軸および第2軸に関連される。第2方向はまた、基準線に対して垂直である。さらに、第1ローラおよび第2ローラの大きさが、磨耗のために小さくなるが、第2フレームの第1方向および第2方向へのよく整合された動きにより、第2軸はこの基準線に保たれる。
【0012】
本明細書の付加的な模式的な装置が、ニップを構成する一対のローラを含むニップ構造を含んでいる。ローラは、媒体の複数のシートを媒体経路に沿って移動させるために、反対方向に回転する。さらに、第1フレーム構造が、一対のローラの第1ローラを支持している。第1フレーム構造は、定位置にあってもよく、第1ローラを一定の場所に保持する。第2フレーム構造が、一対のローラの第2ローラを支持している。
【0013】
第2フレーム構造は、第1ローラを介して第1方向に調整可能であり、第2フレーム構造を第1方向に対して垂直な第2方向に移動させることができる可変の枢動位置を有している。第2フレーム構造はまた、フレームを第1方向に移動させることができる枢動接続部を含んでいる。ばねまたは作動装置といったバイアス部材が、第1方向に向かって第2フレーム構造にバイアスをかけるために第2フレーム構造に接続されている。
【0014】
一実施形態では、枢動接続部が接続している一連の開口部によって、枢動接続部は、第2方向に移動することができるようになる。もう1つの実施形態では、第2フレーム構造は、枢動接続部が第2方向に移動することができるように接続した溝穴を有している。さらなる実施形態では、第2フレーム構造は、枢動接続部が接続しているねじ機構を含んでいる。ここでは、ねじ機構を調整することによって、枢動接続部は第2方向に移動することができる。
【0015】
第1ローラは、第1ローラが回転する第1軸を有しており、第2ローラは、第2ローラが回転する第2軸を有している。第1ローラおよび第2ローラが使い古されておらず、完全な大きさであるとき、基準線が第1軸および第2軸に関連される。第2方向はまた、基準線に対して垂直である。さらに、第1ローラおよび第2ローラの大きさが、磨耗のゆえに小さくなるが、第2フレームの第1方向および第2方向へのよく整合された動きにより、第2軸はこの基準線に保たれる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態による装置の側面概略図である。
図2】本実施形態によるニップ装置の側面概略図である。
図3】本実施形態によるニップ装置の側面概略図である。
図4】本実施形態によるニップ装置の側面概略図である。
図5】本実施形態によるニップ装置の側面概略図である。
図6】本実施形態によるニップ装置の側面概略図である。
図7】本実施形態によるニップ装置の側面概略図である。
図8】本実施形態によるニップ装置の側面概略図である。
図9】本実施形態によるニップ装置の側面概略図である。
図10】本実施形態によるニップ装置の側面概略図である。
図11】本実施形態による印刷装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
印刷装置内で用いられる1つの模式的なニップ構造を、図1および図2に示す。この構造は、多量のシート106を格納する用紙トレイといった、シート格納領域120を含んでいる。1つのローラ108(ここでは引き込みローラと呼ばれる場合がある)が、多量のシートから、2つの対向ローラ102、118間に形成されたニップの方へ、一番上のシート106を移動させる。この例では、上部ローラ102は、給紙ローラ、または、(モータまたは他の作動装置によって直接または間接的に駆動される)第1ローラと呼ばれることもあり、下部ローラ118は、ここでは、ばね110およびフレーム部材112の動作によって給紙ローラ102に対してバイアスをかけられる、遅延ローラまたは第2ローラと呼ばれることもある。
【0018】
フレーム部材112は、バイアス部材110によって給紙ローラ102の方へローラ118にバイアスがかけられるように、心棒、ピン、または枢動点114の周りを旋回する。軸114は、概して、フレーム部材112によって加えられた力を支持する十分な強度を有する低摩擦の円筒型の部品であり、金属、合金、プラスチックなどの部品(いずれも、ローラまたは玉軸受けなどといった転がり面を含んでいてもよい)を含むことができる。ニップ領域を介したローラ102、118の回転により、それぞれ媒体のシート106を、シート格納領域120から制御された速度でシート搬送路100に沿って、媒体のシート106に関する動作を実行する印刷装置内の次の部品の方へ促す。
【0019】
図2は、ローラ102、118に、それらの直径を低減したある量の磨耗が生じた後の、図1に示したものと同じ構造を示している。ローラが磨り減った(および、ローラの直径が低減した)場合のローラの位置の移し方を示すために、図1および図2には破線の基準線A‐Aが含まれている。より詳細には、図1の基準線A‐Aは、各ローラ102、118の軸を通っている。図2では、基準線A‐Aは、同じ位置にあり、ここでもローラ102の軸を通っている。しかし、フレーム112が枢動点114の周りで弧を描いて旋回するので、ローラ118の軸は、給紙ローラ102の方へ上方移動するだけではなく、基準線A‐Aから離れる。
【0020】
図2に示したように、基準線A‐Aから離れたローラ118の弧の動きのために、媒体経路100の線位置に対するニップの角度(分離ニップ角度と呼ばれる場合もある)は、変化する。それゆえに、媒体のシート106が非平行な角度で媒体経路100に入ってしまい、場合によっては、媒体のシートに損傷を与える。さらに、この分離ニップ角度の変化により、重送率がより高くなってしまい(意図せずに複数のシートがニップへと同時に引き込まれる状態)、これにより、(1枚のシートが、媒体経路に入ることが必要とされる場合に、入らない、あるいは、誤った角度で入る)給紙失敗と同様に、紙詰まりなどが生じてしまう。さらに、分離ニップ角度の変化は、分離ニップ角度が動的なニップ負荷(静的な負荷+詰め込み負荷)の一因となる危険度の高いパラメータであるので、ニップに対する過度の負荷(ニップ詰め込み力と呼ばれる場合がある)を与えてしまう。
【0021】
従って、ニップ角度は、した問題を引き起こしてしまう対向ローラの磨耗およびローラの直径の低減により、ニップの寿命と共に変化する。これらの問題に対処するために、図3および図4に示したように、実施形態は、ここでは、遅延ローラ118を支持するフレーム部材112の動的に可変の枢動位置を含んだニップ構造を示す。
【0022】
より詳細には、図3および図4に示したように、図1に示した一対のローラ102、118は、再び、ニップを構成している。任意に名づけられた上端フレーム構造または「第1」フレーム構造104が、一対のローラ102、118の第1ローラ102を支持している。第1フレーム構造104は、定位置にあってもよく、第1ローラ102を一定の場所に保持することができるか、あるいは、以下で検討するさらなる実施形態において検討するように、上方および下方に移動することができる。下方フレーム構造または「第2」フレーム構造112が、一対のローラ102、118の第2ローラ118を支持している。
【0023】
第2フレーム構造112は、第1ローラ102の方へ第1方向に調整可能であり、第2ローラ118が単一の枢動位置によって加わる(図2)弧の動きを補償するために、可変の枢動位置を有している。より詳細には、フレーム構造112は、心棒114が配置されている一連の枢動位置開口部130を含んでいる。したがって、図4に示したように、第2フレーム構造112を、基準線A‐Aの方へ(基準線に対して垂直な方向へ)後方移動するように再配置することができる。したがって、第2フレーム構造112は、枢動点114の周りを旋回することによって給紙ローラ102の方へ第1方向に移動するだけではなく、第1方向に対して垂直(例えば、孤の動きに対して垂直、および/または、基準線A‐Aに対して垂直)である第2方向に移動することができる。
【0024】
図3および図4に示した構造によって、ローラ102、118の直径が(磨耗のために)低減しても、印刷装置に対する個別に実行するメンテナンスが、第2フレーム構造112の位置を周期的に調整することができ、遅延ローラ118の軸が、基準線A‐Aに近接して、あるいは、基準線上にあることができるようになる。これにより、分離ニップ角度の変化を低減し、したがって、(すでに検討した)分離ニップ角度に関連のある多くの問題を低減する。4つの枢動位置開口部130を図3および図4に示したが、当業者は、開口部の数が、おおよそ、構造の特定の設計目標によって決まる(および、ローラ102、118の直径の総計が磨耗のために減少する)ということを、理解するだろう。
【0025】
さらなる実施形態では、第1フレーム構造104の位置はまた、(ばねによってバイアスがかけられたように、または、様々な取り付け位置を通じて調整されるように)図4に下向きの矢印で示したように調整できる。図4の第1フレーム構造104の点線は、給紙ローラ102が磨耗する前の、図3で用いられる第1フレーム構造104の位置を意味している。基準線A‐A上、または、近接した両方のローラ102、118の軸を維持することによって、および、媒体経路100に集中されたニップの位置を維持することによって、分離ニップ角度は変わらないし、した問題は避けられる。
【0026】
図5および図6に示したもう1つの実施形態では、(図3および図4でなされたような)複数の開口部130を用いる代わりに、第2フレーム構造112は、枢動接続部114が接続している溝穴150を有している。ローラ118の軸を望ましい位置に維持するために、図5および図6に示した溝穴により、枢動接続部114は、可変的に第2方向へ、基準線A‐Aの方へ移動したり、基準線から離れたりすることができる。例えば、枢動接続部114は、ねじ、ボルト、または、溝穴150内の定位置で枢動接続部114を保持するために用いられる他の締め具、を含むことができる。このような枢動接続部114によって、修理工が、第2フレーム構造112の枢動点を可変的に調整するために、枢動接続部114の締め具を緩め、溝穴150内の枢動接続部114の位置を調整し、枢動接続部114を締め直すことができる。
【0027】
図7および図8に示したさらなる実施形態では、第2フレーム構造112は、ねじ機構または直線作動装置170を含んでいる。ねじ機構/作動装置170は、枢動接続部114に接続されており、ねじ機構/作動装置170を調整することにより、枢動接続部の位置は移動する。これにより、第2フレーム構造112を基準線A‐Aの方へ第2方向に移動させることができる。ねじ機構/作動装置170により、ユーザまたは修理工は、枢動接続部114の場所を正確に制御することができる。これにより、基準線A‐A上、または、基準線に近接して、ローラ118の軸を維持することができる。さらに、電源が投入された作動装置170を用いる場合、それを制御することができる。プリンタの処理装置および印刷装置は、ローラ102、118の直径が磨耗のゆえに低減するが、第2フレーム部材112の枢動接続部114の場所を周期的におよび自動的に変えることができる。
【0028】
したがって、本明細書の複数の実施形態によって示したように、第1方向および第2方向への第2フレーム構造のよく整合された動きを提供するために、遅延ローラ118に接続されている第2フレーム部材112の枢動点114を、自動的にまたは手動で変えることができる。これにより、第1ローラ102および第2ローラ118の大きさが磨耗のゆえに低減するが、基準線A‐A上または基準線の近くに(あらかじめ定められた距離内で)第2軸を保つことができる。さらに、第1フレーム部材104を、手動でまたは自動的に調整することができる。
【0029】
上述の例がシート格納領域120に直接隣接して配置されているニップを提示する一方で、当業者は、ニップの直径が磨耗によって低減した場合に生じる分離ニップ角度の増加に起因する問題を回避するために、印刷機器内のニップのいずれもが動的に配置された枢動点フレームを用いることができるということを、理解されたい。
【0030】
さらに、バイアス部材110といった様々な構造を、様々な位置に設置することができる。例えば、図9および図10に示したように、バイアス部材110を、媒体供給トレイ120に隣接して配置し、フレーム部材によって支持することができる。しかし、第2フレーム部材112の枢動場所の可変の位置は、上述したように、ローラの大きさの変化に対してなおも適合する。
【0031】
図11は、図1から図8に示した構造(ニップ102、118)を含有可能な、例えば、プリンタ、複写機、多機能機械など、を含むことができる、印刷装置900を示している。印刷装置900は、制御装置/処理装置924と、処理装置924に効果的に接続された少なくとも1つのマーキング装置(印刷エンジン)910、912、914と、シート供給部120からマーキング装置910、912、914に媒体の複数のシートを供給するために配置された媒体経路100と、処理装置924と印刷装置外のコンピュータ制御されたネットワークとに効果的に接続されている通信ポート(入力/出力)926とを含んでいる。印刷エンジンからの様々なマーキングを受信した後、媒体の複数のシート(様々な印刷されたシート)は、折り返す、綴じる、分類するなどが可能なフィニッシャ908に移動する。
【0032】
さらに、印刷装置900は、少なくとも1つの付属品機能部品(例えば、スキャナ/文書ハンドラ904、シート供給部120、フィニッシャ908、など)、および、外部電源928から(電源922を介して)供給された出力にも影響するグラフィックユーザーインターフェースアセンブリ906を含んでいる。
【0033】
入力/出力装置926は、多機能印刷装置900への、および、装置からの、通信に用いられる。処理装置924は、印刷装置の様々な動作を制御する。(光および磁気の、キャパシタベースの)コンピュータ記憶媒体920は、処理装置924によって読取ることができ、多機能印刷装置がここに記載したような様々な機能を行うことができるように処理装置924が実行する命令を記憶する。
【0034】
従って、プリンタ本体のハウジング900が、電源922によって交流(AC)928から供給された出力に影響する1つまたは複数の機能部品を備えている。電源922は、外部交流電源928に接続し、外部出力を、様々な部品に必要な出力型に変換する。
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