特許第5713900号(P5713900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5713900
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】自己拡張型医療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/88 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   A61F2/88
【請求項の数】21
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-523967(P2011-523967)
(86)(22)【出願日】2009年8月19日
(65)【公表番号】特表2012-500101(P2012-500101A)
(43)【公表日】2012年1月5日
(86)【国際出願番号】US2009054345
(87)【国際公開番号】WO2010022173
(87)【国際公開日】20100225
【審査請求日】2012年8月8日
(31)【優先権主張番号】61/090,162
(32)【優先日】2008年8月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511045420
【氏名又は名称】ティシュージェン, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン, ケヴィン, ディー.
(72)【発明者】
【氏名】テイラー, ポウラ, ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】クロウ, ブレント, ビー.
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−526392(JP,A)
【文献】 特表2002−525164(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0062147(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0186556(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/88
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔内に配置するためのデバイスであって、
複数のセグメントを備え、各セグメントが第1の螺旋コイルと第2の螺旋コイルを備え、各セグメントの前記第1の螺旋コイルと前記第2の螺旋コイルは互いに反対の巻き方向であり、各セグメントが第1の構造によって他のセグメントに接続され、
前記第1の構造は、前記第1の螺旋コイルが前記第1の構造に接続されるとともに前記第2の螺旋コイルが前記第1の構造に接続されるように前記螺旋コイルの巻き方向を変え、
前記第1の構造は、前記第1の螺旋コイルの端部近傍と前記第2の螺旋コイルの端部近傍との交差点を含み、当該交差点において前記第1の螺旋コイルと前記第2の螺旋コイルは結合し、
前記第1の構造は、前記第1の構造に接続される前記螺旋コイルの分化によって形成される隙間へと延びかつ前記隙間を部分的に満たす、デバイス。
【請求項2】
前記第1の構造は、デバイスを送出手段に対して取り外し可能に接続する接続手段を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記螺旋コイルおよび前記第1の構造は、デバイスが配置される管腔の壁に対して力を及ぼし、前記力の効果がデバイスを前記管腔内の所定位置に保持する、請求項1〜2のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1および第2の螺旋コイルが第2の構造によって接続される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第2の構造は、デバイスを送出手段に対して取り外し可能に接続する接続手段を備える、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
デバイスは、デバイスの周囲を部分的に取り囲む被覆体を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記被覆体は、メッシュ、シート、布、発泡体、または、フィルムから成る、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
デバイスの長さを一端から他端へとわたって集合的に広がるとともに、デバイスの端部またはその近傍、デバイスの前記第1の構造またはその近傍、任意の他の位置を含むがこれらに限定されないデバイスの様々な場所に取り付けられる被覆体を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記被覆体は、前記被覆体の縁部に沿ってデバイスに取り付けられる、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記被覆体は、前記被覆体の両縁に沿ってデバイスに取り付けられる、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記複数のセグメントは、管腔内へまたは前記管腔の壁中へ放出される1つ以上の薬物を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記被覆体が薬物を備える、請求項8〜10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
デバイスの直径がその長さに沿って一定である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
デバイスの直径がその長さに沿って変化する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
少なくとも1つの送出手段を備え、前記送出手段が、請求項1〜14のいずれか一項に記載の1つ以上のデバイスに対して取り外し可能に接続されるシステム。
【請求項16】
前記送出手段は、管腔内の特定の位置で1つ以上のデバイスを解放する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記送出手段が1つ以上のカテーテルを備える、請求項15〜16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記送出手段が機械的な送出機構を備える、請求項15〜16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
管腔内に配置するためのデバイスであって、
複数のセグメントを備え、各セグメントが第1の螺旋コイルと第2の螺旋コイルを備え、各セグメントの前記第1の螺旋コイルと前記第2の螺旋コイルは互いに反対の巻き方向であり、各セグメントが第1の構造によって他のセグメントに接続され、
前記第1の構造は、前記第1の螺旋コイルが前記第1の構造に接続されるとともに前記第2の螺旋コイルが前記第1の構造に接続されるように前記螺旋コイルの巻き方向を変え、
前記第1の構造は、前記第1の螺旋コイルの端部近傍と前記第2の螺旋コイルの端部近傍との交差点を含み、当該交差点において前記第1の螺旋コイルと前記第2の螺旋コイルは結合し、
前記第1の構造は、前記第1の構造に接続される前記螺旋コイルの分化によって形成される隙間へと延びかつ前記隙間を部分的に満たし、
前記第1の構造は、デバイスを送出手段に対して取り外し可能に接続する接続手段を備え、
前記螺旋コイルおよび前記第1の構造は、デバイスが配置される管腔の壁に対して力を及ぼし、前記力の効果がデバイスを前記管腔内の所定位置に保持する、デバイス。
【請求項20】
少なくとも1つの送出手段を備え、前記送出手段が請求項19に記載の1つ以上のデバイスに対して取り外し可能に接続される、システム。
【請求項21】
前記第1の螺旋コイルと前記第2の螺旋コイルは、前記第1の構造に接続される前記螺旋コイルの分化によって形成される前記隙間において一定のピッチで連続し、それにより前記隙間を満たす、請求項1〜14及び19のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、あたかもそれが本明細書中に十分に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる2008年8月19日に出願された米国仮特許出願第61/090,162号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、基礎を成す螺旋コイルに起因して高い柔軟性、高い径方向力、および、圧搾耐性を維持しつつ、薬物溶出が可能で、長いび慢性病変に長さが適し、段階的な先細り直径を有することができる能力を有し、小さいクローズドセルステント形態の利点の全てを与える、複数の逆方向の螺旋コイルユニットを備える、螺旋コイルを含むデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
人または哺乳類の身体の管状臓器内に配置され得る医療デバイスであって、自己拡張して所定位置に留まることができる医療デバイスの必要性がある。これらの医療デバイスは多くの目的を果たすことができる。例えば、医療デバイスは、身体管腔を維持するためのステントとしての役目を果たすことができ、または、フィルタもしくは留置カテーテルなどの他のデバイスを保持しもしくは固定する役目を果たすことができる。身体管腔の開通性を維持するためのステントの使用はよく知られている。ステントは、一般に、非拡張形態でカテーテルを介して所望の身体部位へ送出される。所望の身体部位に達すると、ステントは拡張されて身体管腔内に埋め込まれる。ステントは、自己拡張されてもよく、または、機械的に拡張されてもよい。
【0004】
自己拡張型ステントまたは医療デバイスは管腔のサイズよりも若干大きく形成され、それにより、ステントは、管腔内に埋め込まれると、それがその製造したままの形態へ戻ろうとするにつれて何らかの大きさの径方向外側の力を管腔に及ぼす。自己拡張型デバイスは、身体内への挿入のために直径がカテーテルに至るまで減少されるときに高い応力に晒され、これらの応力はステントが身体管腔内で開放されるとき大きく軽減される。自己拡張型デバイスのための送出カテーテルなどの送出手段は、それがデバイスを身体管腔内で解放するまで、この高応力形態のステントを保持できなければならない。これは、通常、引き込み可能なシース、保持ワイヤ、クリップ、または、デバイスの内部応力に起因する力に耐えることができる他の機械的手段などの送出手段上の保持デバイスによって達成される。送出手段は、身体管腔内のステントの所望の最終位置が正確に維持されるように制御された態様でデバイスを解放できなければならない。
【0005】
機械的に拡張されるデバイスは、送出手段よりも僅かに大きく形成されており、体腔内への挿入後、身体管腔内でデバイスを新たなサイズまで塑性変形させる大きな力に晒される。この力は、バルーンなどの拡張可能な部材を介してまたは任意の他の機械的なデバイスを介して加えられてもよい。
【0006】
デバイスは、冠状動脈、末梢動脈、首の動脈、および、大脳動脈などの動脈および静脈を含む数々の中空体腔で使用される。また、デバイスは、胆管、尿道、尿管、卵管、気管支、気管、食道、および、消化管や前立腺内などの非血液接触空間で使用されてもよい。
【0007】
末梢血管系で使用されるデバイスの場合、身体によってデバイスに及ぼされる生理学的変形は、冠状動脈系内のステントによって受けられる変形とはかなり異なる。例えば、脚の動脈、特に表在大腿動脈では、冠状動脈系で相手側をもたないかなりの軸方向のねじり変形および屈曲変形がある。このことは、冠状動脈内で機能する同じデバイス形態が必ずしも脚の動脈内で最適に機能するとは限らないことを意味する。
【0008】
以前のグループは、限られた臨床的成功を伴ってコイルベースのステントまたはデバイスを使用してきた。請求項に記載される発明の目的は、旧世代のコイルベースのデバイスに伴う問題を扱って是正することである。前世代のコイルステントは3つのグループに分類される。第1のグループは、均一な直径および均等な間隔(すなわち、コイルの1cm当たりの巻き数が一定値である)の連続した螺旋コイルの状態に巻回される単一ファイバによって構成されるステントから成る。第2のグループは、この場合も先と同様にコイルベースの形態に巻回される単一ファイバから成るがコイルの巻回方向が一定の間隔で変化する(右巻きおよび左巻き)かなり独特の形態である。最後に、第3のグループ(臨床的には今までで最も成功している)は複数のファイバから成り、各ファイバが個々に螺旋コイルであるが、それらのファイバは、非常に柔軟なクローズドセル形態を成すように互いに織られまたは編み込まれる。
【発明の概要】
【0009】
以下の議論は、前述した最初の2つのグループに関するものである。コイルベースのデバイスのこれらの2つのグループ内の様々なデバイスが今まで直面した特定の臨床問題が以下に挙げられる。
a.コイル間の組織脱出、すなわち、血管壁の不十分な被覆
b.高い再狭窄率
c.送出の困難性、すなわち、長い送出時間および一般に扱いにくい送出カテーテル
d.送出時のステントの急激な跳びに起因する不正確な配置、および/または、カテーテルに対する装着時および解放時のステントの異なる長さ
e.留置後のステント移動
f.短いステント長さに限られる
g.せん断荷重下でのステントの潰れ
h.一定直径のステントに限られる
【0010】
全てのコイルベースのデバイスは、再狭窄を減らし、高い生体適合性を有し、目立たないように形成されるべきである。また、そのような全てのデバイスは、正確に配置されて容易に送出されなければならない。これらの一般的な要件に加えて、脚の動脈で使用されるデバイスは、径方向の剛性を維持しつつ、軸方向の伸縮、屈曲、および、ねじれにおいて機械的な伸展性も必要とする。
【0011】
抹消血管循環および到達される溶液に適したデバイスのための設計基準は、請求項に記載の発明のための基準を形成する。本発明は、基礎を成す螺旋コイルに起因して高い柔軟性、高い径方向力、および、圧搾耐性を維持しつつ、薬物溶出が可能で、長いび慢性病変に長さが適し、段階的な先細り直径を有することができる能力を有し、小さいクローズドセルステント形態の利点の全てを与える、複数の逆方向螺旋コイルユニットをから成る螺旋コイル構造である。
【0012】
請求項に記載の発明は抹消血管系に適するが、本発明自体は、範囲が非常に広く、多数の医療デバイスに適用できる。任意の管状の解剖学的構造内で位置を維持することが求められる任意の医療デバイスはこの発明の利益を享受できる。
【0013】
本発明の一実施形態は、管腔内に配置するためのデバイスであって、複数のセグメントを備え、各セグメントが第1の螺旋コイルと第2の螺旋コイルを備え、各セグメントの第1の螺旋コイルと第2の螺旋コイルは互いに反対の巻き方向であり、各セグメントが第1の構造によって他のセグメントに接続され、第1の構造は、第1の螺旋コイルが前記第1の構造に接続されるとともに第2の螺旋コイルが第1の構造に接続されるように螺旋コイルの巻き方向を変え、第1の構造は、第1の螺旋コイルの端部近傍と第2の螺旋コイルの端部近傍との交差点を含み、当該交差点において第1の螺旋コイルと第2の螺旋コイルは結合し、第1の構造は、第1の構造に接続される螺旋コイルの分化によって形成される隙間へと延びかつ前記隙間を部分的に満たす、デバイスに関する。
本発明の更なる実施形態は、管腔内に配置するためのデバイスであって、複数のセグメントを備え、各セグメントが第1の螺旋コイルと第2の螺旋コイルを備え、各セグメントの第1の螺旋コイルと第2の螺旋コイルは互いに反対の巻き方向であり、各セグメントが第1の構造によって他のセグメントに接続され、第1の構造は、第1の螺旋コイルが前記第1の構造に接続されるとともに第2の螺旋コイルが第1の構造に接続されるように螺旋コイルの巻き方向を変え、第1の構造は、第1の螺旋コイルの端部近傍と第2の螺旋コイルの端部近傍との交差点を含み、当該交差点において第1の螺旋コイルと第2の螺旋コイルは結合し、第1の構造は、第1の構造に接続される螺旋コイルの分化によって形成される隙間へと延びかつ隙間を部分的に満たし、第1の構造は、デバイスを送出手段に対して取り外し可能に接続する接続手段を備え、螺旋コイルおよび第1の構造は、デバイスが配置される管腔の壁に対して力を及ぼし、力の効果がデバイスを管腔内の所定位置に保持する、デバイスに関する。

【0014】
本発明の更なる実施形態は、送出手段を備えるシステムであって、送出手段が請求項に記載される発明に係る1つ以上のデバイスに取り外し可能に接続されるシステムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、四辺形形状、例えば、内角abcdを有する略四辺形ABCD、および、対応する内角pqrsを有する平行四辺形PQRS、および、山形UVWXYZを有するメッシュを表わしている。
図2図2は、右巻きおよび左巻き螺旋コイルの互いの結合を視覚化するためにリンク構造が除去された本発明の医療デバイスの単一のセグメントを示している。
図3図3は、本発明のデバイスのメッシュ被覆部分を示している。
図4図4は、非囲繞的なメッシュがその完全拡張形態でデバイスを覆わない本発明のデバイスの開放側を示している。
図5図5は、デバイスの軸に沿って見たデバイスを示している。
図6図6は、本発明の一実施形態にしたがって形成された本発明の単一デバイスの回転を示している。
図7図7は、図6からの本発明のデバイスの45度回転を示している。
図8図8は、図7に示される同じデバイスの90°回転を示している。
図9図9は、図8の約90°回転を示しており、左巻きファイバと右巻きファイバとの間の広がる隙間を満たすデバイスの後側付近のリンクの連続部を示している。
図10図10は、この実施形態におけるリンク構造の末端を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、四辺形形状、例えば、内角abcdを有する略四辺形ABCD、および、対応する内角pqrsを有する平行四辺形PQRS、および、山形UVWXYZを有するメッシュを表わしている。先細りデバイスの場合、端部Aでの四辺形の高さは、h1であり、端部Aでの管腔の全周に対応し、また、端部Cでの高さh2は端部Cでの管腔の全周に対応する。内角「a」は、端部Cでのピッチ角「d」と同じてあってもよくまたは同じでなくてもよい端部Aでの螺旋コイルまたはリンク構造のピッチ角の補角である。一定直径のデバイスの特別なケースでは、略四辺形が平行四辺形に帰着する。この場合、角度「p」の補角である角度「s」が螺旋コイルのピッチ角であり、また、高さhが管腔の全周と同じである。四辺形メッシュ部分の長さは、Aの中点をCの中点に接続するラインの長さと見なされ、平行四辺形ではそれが単にSまたはQの長さである。山形UVWXYZが折り目に沿って折り曲げられる場合には、それは平行四辺形になる。この場合、辺U、Xが一致するようになり、同様に、V、Wが一致し、Y、Zが一致する。
【0017】
図2は、右巻きおよび左巻き螺旋コイルの互いの結合を視覚化するためにリンク構造が除去された本発明の医療デバイスの単一のセグメントを示している。
【0018】
図3は、本発明のデバイスのメッシュ被覆部分を示している。
【0019】
図4は、非囲繞的なメッシュがその完全拡張形態でデバイスを覆わない本発明のデバイスの開放側を示している。
【0020】
図5は、デバイスの軸に沿って見たデバイスを示している。メッシュはその完全拡張形態でデバイスをその半分よりも僅かに多く覆っているように見える。これは図4から90°回転させたものである。
【0021】
図6〜10は、本発明の一実施形態にしたがって形成された本発明の単一デバイスの回転を示している。図6の図の突き出した部分(図の中心)は、このセグメントの2つの左巻きおよび右巻き螺旋コイルが互いに結合する交差ポイントである。この実施形態では、コイルが互いに溶着され、また、この溶着点よりも上側でリンク構造が延びる。デバイスは、この実施形態のリンク構造を示すために図7〜10ではその長手方向軸を中心に回転するように示されている。
【0022】
図7は、図6からの本発明のデバイスの45度回転を示している。図7は、この実施形態においてデバイスの螺旋コイルを形成するために使用されるファイバからどのようにしてリンク構造が形成されてファイバと連続するのかを例示するために示されている。これは、2つの螺旋コイルの結合部が交差点で互いに溶着されるように理解されるが、ファイバは、それらが左巻きおよび右巻きコイルが分化するにつれて形成される空間を満たし始めるように同様のピッチで連続する。
【0023】
図8は、図7に示される同じデバイスの90°回転を示している。これは、2つの黒ずんだ長方形を含む中心のリンク構造の図である。これらの長方形は、放射線不透過性の補助として使用され、本発明の一部ではない。中央に見られる構造の全てがデバイスの回転リンクである。
【0024】
図9は、図8の約90°回転を示しており、左巻きファイバと右巻きファイバとの間の広がる隙間を満たすデバイスの後側付近のリンクの連続部を示している。
【0025】
図10は、この実施形態におけるリンク構造の末端を示している。リンク構造を始めるために左巻きおよび右巻きファイバが互いに溶着される溶着部がここに示されるリンク構造の末端から約180°であるのが分かる。リンク構造のこの末端部は「ハトの尾」形状を示す。この実施形態におけるハトの尾のような形状は、デバイスを送出カテーテルに取り付けるために使用されるが、多くの他の取り付け手段が可能であり、その全てがこの発明の範囲内に入ると見なされるべきである。
【0026】
なお、図6〜10は、これらの図に顕著に示される回転リンクの中心点にわたる小さい金属スリーブを示している。図示の実施形態において、スリーブは、プラチナイリジウムから形成されており、放射線不透過性のためにステント上に配置される。高分子中に放射線不透過性物質を加えることも含む他のタイプのマーカなど、当業者によく知られている放射線不透過性をもたらす他の手段がある。
【0027】
本明細書中で使用される用語「デバイス」または「医療デバイス」または「ステント」とは、人または動物の管腔内または臓器内に配置されてもよいコイル状構造体のことである。本発明のデバイスは、構造支持、薬物送出、および、体腔または管腔の開通性の維持を含むがこれらに限定されない任意の数の機能を果たすことができる。管腔内のコイル状構造体は、フィルタおよび留置カテーテルなどの他の医療器具を管腔内に固定する役目を果たすこともできる。
【0028】
本明細書中で使用される用語「コイル」とは、完全な回転の実数倍を包含する螺旋ループのことである。
【0029】
本発明の医療デバイスは、2つの一般的なタイプの構造、すなわち、螺旋コイルを成して巻回される1つ以上のファイバと、反対の巻き方向の2つの螺旋コイルを接続するリンク構造とから成る。本明細書中で使用される用語「ファイバ」は、螺旋コイルを形成するために使用される長尺部材を特定するために全体にわたって使用され、その長さ(コイル形状から巻回が解かれる場合の長さ)は一般に任意の他の物理的寸法よりも大きい。用語「ファイバ」を使用するにあたり、使用され得る材料のタイプについてあれこれ推測しない。例えば、任意のタイプの金属、任意の金属合金、または、任意の形状記憶合金、任意の高分子、混合物、もしくは、共重合体、または、任意のセラミックを使用して本発明のファイバを形成してもよい。また、本発明のファイバは、円形、楕円形、矩形、または、任意の他の断面形状を成すことができる。実際には、好ましい実施形態は円形の断面を使用しない。本発明のファイバは押し出し部材を含むが、勿論、切り取られる部分が螺旋コイルの残存形状を残す中空のチューブを想起することができ、例えば、これも本明細書中で使用される用語「ファイバ」の概念に含まれる。
【0030】
リンク構造は、以下で規定されるが、既に規定されたファイバから成ることができ、または、任意の他の材料もしくは形態を成すことができる。リンク構造の目的は、反対の巻き方向(左巻きおよび右巻き)の螺旋コイルを接続することである。したがって、リンク構造は、螺旋コイルのファイバから成りもしくは螺旋コイルのファイバと連続してもよく、または、螺旋コイルのファイバと結合してもよい。本発明のデバイスのリンク構造の全ては、以下で説明するように同じ形態を有している必要がない。
【0031】
断面が好ましくは非円形である本発明のファイバは、幾つかの巻回数に関して螺旋コイル状(左方向または右方向)に形成され、したがって、開放ルーメンを形成する。螺旋コイルを備える巻回部の数に制限はない。数学的に、螺旋コイルは、そのx、y、z座標を以下のパラメータ方程式、すなわち、x=rcos(θ);y=rsin(θ);z=cθを使用して半径rおよび角度θによりパラメータ的に表わすことができる任意の構造部材として規定される。ここで、c=L/(2πn)であり、Lは螺旋コイルの長さであり、nはコイルの巻回数である。本発明は、用語「コイル」の使用をθ>2πの場合に限定しない。したがって、部分的なループが許容される。すなわち、nは、1より大きい数または1より小さい数のいずれもとり得る。この発明のコイルは、前述した数学的に規定される基準に厳密に従うコイルを含むが、そのようなコイルの変形、例えばこれに限定されないが、「c」を定数ではなく関数として表わすことができることもこの発明の範囲内に入ることは理解されるべきである。特定の曲線形状を有するその巻きが解かれた状態のファイバを含むがこれに限定されない他の変形も本発明の範囲内に入る。1つのそのような可能性は、コイルを形成する前のその形状が何らかの態様で、例えば正弦曲線、鋸歯状、方形波、または、任意の他のそのような曲線の態様で周期的であるファイバを形成することである。周期性は一定であってもまたは可変であってもよく、そのため、振幅、周期、または、位相がファイバの長さにわたって変化してもよい。一定のまたは可変の周期性を伴うそのようなファイバがその後にマンドレルの周囲に巻き付けられてこの発明の螺旋コイルを形成すると、任意の所定のポイントでのファイバの実質的位置が螺旋コイルの前述したパラメータ定義によって見出されない。しかしながら、そのような特定のケースは、この発明の範囲および意図に含まれると考えられる。
【0032】
デバイスの巻回方向を逆にするために、第1の螺旋コイルのファイバはリンク構造を形成しまたはリンク構造に取り付けられる。第1の螺旋コイルに対して反対の巻回方向の第2の螺旋コイルは、リンク構造に取り付けられまたはリンク構造から生じるとともに、第1の螺旋コイルと同じまたは異なる巻回数にわたって開放ルーメンを延ばし続ける。リンク構造によって結合される反対の巻回方向の2つの螺旋コイルのこの基本単位は、本発明のデバイスの基本要素であり、セグメントと呼ばれる。セグメントは、同軸(一直線)でかつ反対の巻回方向を有する2つの螺旋コイル(一方が左巻きコイルで、他方が右巻きコイル)から成る。コイルは、ここでは回転リンクと呼ばれるリンク構造によって端部同士が結合される。2つの結合されたコイルは、デバイスの1つのセグメントに相当する。複数のセグメントの端部同士を接続配置して1つの完全なデバイスを形成することができる。個々のセグメントのサイズにも、結合され得るセグメントの数にも、理論的な制限はない。セグメントは、常に、ここでは固定リンクと称されるリンク構造によって互いに結合される。
【0033】
セグメントは、巻き方向の順序を交互に保つような態様で結合されなければならない。例えば、デバイスを送出カテーテルに取り付けて離間移動した後にデバイスをユーザに最も近い端部から見てデバイスの第1のセグメントが左巻きコイル(L)の次に右巻きコイル(R)がくる順序を成す場合には、順序LRがその後の全てのセグメントにおいて保たれなければならず、それにより、デバイスの最終的な配置がLRLRLR...等となり、2つのセグメントは2つの左巻きコイル同士も2つの右巻きコイル同士も隣接させることができない。
【0034】
複数のセグメントがリンク構造を使用して互いに結合されてもよい。セグメント同士を結合するリンク構造(または、第1の構造)は「固定リンク」と称される。1つのセグメント内に含まれる2つの螺旋コイルは、略同軸であるが、同軸である必要はない。1つのセグメント内の2つの反対方向の螺旋コイルを結合するリンク構造(または、第2の構造)は「回転リンク」と称される。回転リンクおよび固定リンクは、同じ形態または異なる形態を成してもよいが、いずれの場合にも、常に反対の巻回方向の螺旋コイルを接続する。送出手段に装着されるときにデバイスを埋め込む人に最も近い医療デバイスの端部から始めて、最初のリンクに1の番号が付され、この最初のリンクは常に回転リンクである。医療デバイスが複数のセグメントから成る場合には、奇数の番号が付されるリンク1、3、5等が回転リンクであり、一方、偶数の番号が付されるリンクが固定リンクである。なお、リンクの総数は常に奇数である。
【0035】
全ての固定リンクは、少なくとも以下の要件、すなわち、(1)リンク構造がコイルの方向を逆にしなければならない(右巻きコイルから左巻きコイルへまたはその逆へと変える);(2)左巻きファイバまたは右巻きファイバが離れて分化するにつれて形成される隙間をリンク構造が概ね満たさなければならない、という要件を有する。これは、デバイスをその長手方向軸周りに回転した場合に2つのコイルが分化しているのが見られるからである。分化するコイル間の隙間がこのように広がると、リンク構造により満たされないままであれば、受け入れ難い臨床的転帰をもたらす可能性がある。(3)リンク構造は、そのリンクによって結合されるコイル端を管腔壁に押し付ける力を身体管腔に対して及ぼさなければならず、また、(4)リンク構造は、送出カテーテルに対する取り付け手段を与えなければならない。回転リンクは、結合された螺旋コイルの方向を逆にすることが求められるとともに、医療デバイスを送出機構に取り付ける手段も与えなければならない。回転リンクは、固定リンクの他の要件を満たしてもよいが、満たす必要はない。
【0036】
本発明の任意の所定のデバイスにおいて、回転リンクおよび固定リンクは、同じ形態を有することができるが、必ずしもそうである必要はない。リンクに適用される回転および固定という用語は、送出カテーテルに対するそれらの取り付けに由来するものである。回転リンクおよび固定リンクは同じ形状または形態を有する必要がない。隣り合うセグメントは、直径または長さにおいて同じサイズを有する必要がない。1つのセグメント内では、2つのコイルが直径および長さの両方に関して異なるサイズを有することもできる。コイルは、任意のセグメントのそれぞれのコイルにおいて巻き数に制限はなくまたは制限すべきでない。実際には、テーパ状のデバイスに関して、巻き数および直径は、場合により、単一のセグメント内および複数のセグメントにわたっていずれも異なる。
【0037】
それぞれの螺旋コイルおよびリンクが異なる材料から成ることも本発明の範囲内に入る。螺旋コイルおよびリンクは、随意的に、形状記憶材料、例えばニチノールから形成されてもよい。コバルト・クロム合金、ステンレススチール、他の金属、および、合金などの他のタイプの金属、高分子、セラミックなどが螺旋コイルおよびリンクの構成において使用されてもよい。
【0038】
本発明の末端は、コイルに続いていてもよく、または、螺旋コイルの方向に関して明確な方向変化を伴って構成されてもよい。この方向変化は、適切な取り込みおよび解放を可能にするべく医療デバイスを把持するために送出カテーテルシステムにとって必要な場合がある。明確な角度変化は、真直ぐなセグメントから成ってもよく、または、特定の実施形態では終端曲線、ループ、もしくは、U字型カーブを含んでもよい。1つの好ましい実施形態において、任意の形状のこれらの端部セグメントは、医療デバイスを送出手段に取り付けるためのものである。
【0039】
螺旋コイルを構成するために使用されるファイバの断面形状は、円形、楕円形、または、任意の他の形状であってもよい。ファイバ自体は、治療薬を含んでいてもよく、薬物を含むコーティングを有していてもよく、または、薬物を全く有していなくてもよい。本明細書中で使用される薬物という用語は、内部に取り込まれてもよい薬物の有効であるが非限定的な例として基準および例を米国薬局方に照会するべく使用される。ファイバは、生物活性種、例えばタンパク質、成長因子、サイトカイン、酵素、ケモキン、抗体、核タンパク質、例えば転写因子、または、ペプチド、オリゴペプチド、もしくは、二本鎖もしくは一本鎖RNAもしくはDNAなどの核酸を含む部分から成る任意の他の分子を含んでもよい。また、ファイバは、タンパク質群または他のアミノ酸群または核酸群の付着を伴うまたは伴わない多糖類を含んでもよい。また、この群の中には、バイオ医薬後発品(biosimilars)や生物医学的なマイクロ電気機械系(bioMems)などの先に挙げた分子の機能を模倣するように形成される分子または分子会合体も入る。
【0040】
本発明の好ましい実施形態では、1つ以上の拡張できない非環状メッシュがデバイスのコイルまたはリンク構造に取り付けられる。各メッシュの形状は、最も一般的なケースでは2つの脚部が同じ長さである必要がなく任意の2つの辺が平行である必要もないという点において四辺形である。しかしながら、一定の直径のデバイスの場合には、四辺形が図1に示される平行四辺形に帰着する。
【0041】
一定直径のデバイスの場合、平行四辺形の高さは、標的身体管腔の外周と同じ寸法を有する。メッシュの長さは、取り付けられる全てのメッシュの全ての長さの合計がデバイスの端部間の全体の長さ以上となるように設定される。例えば、好ましい実施形態では、4つのメッシュが一定直径のデバイスに取り付けられてもよい。4つの全てのメッシュ平行四辺形の高さは、同じであり、標的管腔の外周に等しく、また、メッシュ平行四辺形の長さは全てがデバイスの(端部間)全長の約1/4である。メッシュの構成要素が軸方向に若干重なってもよく、そのため、殆どの実施形態では、メッシュ部分の長さの合計が、デバイスの設計長さ全体を超えてもよい。メッシュ部分は、デバイスが身体管腔内にあるときにメッシュセグメントが若干の軸方向および径方向の重なりを許容した状態で管腔を覆うように取り付けられる。医療デバイスは、これらの取り付け点を除いてメッシュ部分に対して自由に回転または移動できる。
【0042】
この発明の他の態様は、薬物送出リザーバとしてのメッシュの利用可能性である。これは2つの方法で達成され得る。第1に、治療薬(螺旋コイルのファイバに関して使用される)は、メッシュの鎖内に存在することができ、または、鎖の外面上にコーティングとして存在することができ、または、好ましい実施形態では、メッシュの鎖間の所定位置に保持されるヒドロゲルもしくは他の材料中に取り込まれることができ、または、メッシュに薬剤を取り込むこれらの方法の任意の組み合わせをとることができる。メッシュに薬物を取り込むこれらの方法のそれぞれは、収容される薬物の様々な放出動力学を与える。
【0043】
本発明のデバイスの製造方法は、それを構成する材料のタイプに大きく依存する。一実施形態において、医療デバイスを構成するファイバは、形状記憶能力を有する高分子から形成される。この場合、高分子がマンドレルの周囲に巻き付けられてもよく、マンドレルは、高分子ファイバが方向を逆にして適切なリンク構造を形成できるようにする特徴を有する。一般に、メッシュは、製造を容易にするために、依然としてマンドレル上にある状態でデバイスに取り付けられる。高分子ファイバおよびメッシュを伴うマンドレルは、その後、必要に応じて高分子がマンドレルの形状を永久的にとるように処理される。しばしば、これは、マンドレルおよび高分子ファイバを加熱および冷却することによって達成される。形状記憶プロセス後、医療デバイスは、適切な長さにカットされて、マンドレルから除去される。この時点で、デバイスは、一般にパッケージング、滅菌、および、輸送であってもよい次の処理段階のために送出カテーテルにいつでも装填できる状態となる。
【0044】
上記の実施形態では、高分子ファイバの形状を設定する手段として熱処理が含まれるが、この例は限定を意図しておらず、高分子ファイバにおいて形状を設定する他の方法が適用されてもよい。例えば、ファイバを形成する際に使用される材料に応じて、化学的、電気的、放射線、または、機械的な手段が可能である。明らかに、金属およびセラミックは、高分子とは異なる形状設定プロセスを必要とする。
【0045】
他の好ましい実施形態において、開口がない中空チューブを原材料にすることができ、また、開口がないチューブからコイルおよび接続リンクがレーザまたは他の手段によってカットされる。例えばニチノールなどの特定の材料に関しては、この製造方法が好ましい場合がある。
【0046】
また、本発明は、本明細書中に開示される本発明の医療デバイスのいずれかを所望の身体部位に留置する方法をも対象とする。本発明の一実施形態によれば、本明細書中に開示される本発明の医療デバイスのいずれかを備える医療デバイス送出カテーテルが提供される。一実施形態において、医療デバイスは、先端および基端ならびに回転および固定の両方の全てのリンク構造が送出カテーテルに取り付けられる。送出カテーテルは、隣り合う取り付け点のそれぞれの間で相対的な回転を与える。医療デバイスの螺旋コイルにわたるこの巻回動作により、コイルの直径が減少し、それにより、当業者によく知られているように、導入器を通じた身体内への挿入に備えて医療デバイスが更に小さい直径に至るまで巻回される。各リンク構造および医療デバイスの末端は、送出カテーテルが医療デバイスに対するその把持状態をこれらの高い捩れ負荷の下で維持できるように形成される。この場合、更に、デバイスの巻きが解かれて捩じり応力が減少されるにつれてカテーテルがデバイスに対するその把持状態を解放が望まれるときまで維持できかつ医療デバイスを完全に解放できなければならないという要件を伴う。末端部分およびリンクの形態は、それらがカテーテル送出デバイスとの作用インタフェースを形成するようになっている。
【0047】
医療デバイスが送出カテーテル上に縮径巻回されると、医療デバイスが身体内に導入される。カテーテルが身体内の所望の位置まで身体管腔内で押し進められ、送出カテーテルをそれが最初にデバイスを巻き付けた方向と反対の方向で再び回転させることにより本発明の医療デバイスが拡張させられる。この拡張は、医療デバイスの直径を増大させて、医療デバイスを身体管腔の壁に並置して近接させる。その後、デバイスが送出カテーテルから解放される。送出カテーテルからの医療デバイスの留置は、2つの別個のステップにより、また、別個の動作によって達成されるのが好ましい。これは、それにより、医師が医療デバイスを送出カテーテルから解放する前に医療デバイスを正確に配置できるからである。送出カテーテルからのデバイスの留置の補助として、または、医療デバイスを送出カテーテルから解放されるときに更に拡張させるための手段として、バルーンが膨張され、それにより、医療デバイスが管腔にうまく並置されるようにするのを助けてもよい。
【0048】
本発明の一実施形態において、本発明のデバイスを所望の場所へ送出するために使用される送出手段は、機械的な送出機構を備える。
【0049】
デバイスに沿って軸方向に進むにつれて異なる直径の螺旋コイルを形成するだけで、次第に先細る直径を得ることができる。しかしながら、医療デバイスを身体内へ留置する手段が、医療デバイスのコイルにわたる相対的な回転を送出カテーテルが与えることに基づく場合、異なる直径の螺旋コイルの状態は、送出カテーテルが各コイル部分を個別に回転できることを要する。これが現実的でない場合には、この発明にしたがって他の調整を行なうことができ、この調整により、送出カテーテルの正確に同じ数の回転で、様々な直径のコイルが全て同じ最終直径に達することができる。デバイスが導入器または当業者に知られている他のデバイスを介して身体内へ挿入するのに必要な特定の最終直径に達するために送出カテーテルが受けなければならない回転数を予測する、3つのパラメータ、すなわち、(a)螺旋コイルの当初の直径、(b)そのコイルにおける初期の巻き数、(c)取り付け点(リンク)間の全長を使用する数学的関係がある。一例として、所定のデバイスにおいて、1つの螺旋コイルは、直径A1、巻き数N1、および、リンク間距離D1を初期に有していてもよく、また、直径を最終値Bに至らせるためにちょうどR回転を要する。
【数1】

ここで、θは螺旋コイルのピッチ角度である。
【0050】
このとき、デバイスにおける次の螺旋コイルは、先細りデバイスを形成するために必要に応じて異なる直径A2を有してもよい。この第2のコイルに関しては、巻き数および/またはリンク間距離を、このコイルもちょうどR回転で同様の最終直径Bを得るように適切に変えることができる。このようにして、医療デバイス全体は、該デバイス中の任意の所定のコイルの開始直径とは無関係に、送出カテーテルの同じ回転数により同じ直径へ至るまで巻き付く。この関係は、医療デバイスにおいて不均一なリンク間距離(したがって、送出カテーテルに対する不均一な取り付け点)をもたらすが、医療デバイスで使用されるコイルの数とは無関係に、カテーテルの必要とされる移動部の数を1つの移動シャフトおよび1つの固定シャフトへと減らす。
【0051】
組織脱出または不十分な足場は、螺旋コイルベースのデバイスが直面する最も大きな問題と考えられる。本発明は、デバイスに対して特定の場所で取り付けられる拡張できないメッシュ部分を組み込むことにより、この満たされていないニーズを扱う。このメッシュは、小さいクローズドセル形態のデバイスの利点の全てを伴うコイルベースのデバイスを与えるとともに、螺旋コイルの固有の利点を維持する。
【0052】
この発明は、再狭窄の問題を2つの方法で扱う。第1に、メッシュは、再狭窄の主な原因となり得る組織脱出を減らすように形成され、したがって、脱出を減らすことにより再狭窄が減らされてもよい。また、メッシュは、機械的な応力を管腔壁にわたって非常に均一に分布させる。これにより、再狭窄と関連することが分かってきた周囲組織よりもかなり高い応力を伴う部位が動脈壁で回避される。この発明のデバイスが再狭窄を制限する第2の方法は、抗再狭窄、抗炎症性、または、他の抗増殖性となるように形成される薬物を含む多種多様な医薬品を送出できる能力による。
【0053】
この発明のコイルを形成するために使用されるファイバは、これらに限定されないが、ペプチド、タンパク質、成長因子、酵素、サイトカイン、ケモキン、転写因子、核タンパク質、ポルフィリン、尿細管性タンパク、および、全体または一部がペプチドから成る任意の他の分子などの生物学的に得られる実体およびバイオ医薬後発品(biosimilars)を送出できる能力も有する。また、一群の多糖類、オリゴ糖、糖タンパク質、および、炭水化物がファイバ中に含まれてもよい。オリゴヌクレオチド、一本鎖もしくは二本鎖RNAもしくはDNA、または、これらのいずれかの他の組み合わせがファイバ中に含まれてもよい。また、本発明の範囲を限定することなく、当業者によく知られているような非生物学的プロセスで製造される同様の分子が含まれてもよい。
【0054】
また、コイルおよび場合によりリンク構造を構成するファイバであって、その各層または成分が1つ以上の先に挙げた薬物タイプを組み入れてもよいファイバを多成分、多層ファイバ押し出しから形成できる能力も本発明によって包含される。この多成分能は、指向性を有する薬物放出を行なうことができる能力を与える。例えば、ファイバの外側半分が薬物Aを含みかつ内側半分が薬物Bを含むようにコイルを備えるファイバが押し出される場合には、薬物Aの大部分が壁中に入り込み、薬物Bの大部分が管腔に入り込むことを予期するのが妥当である。
【0055】
本発明のデバイスは、送出問題を以下の方法で扱う。本発明のデバイスはコイルの方向を変える。すなわち、リンクとして知られている構造体でステントの長さに沿って間隔を置いて右巻きから左巻きへと変える。リンクは、コイルの方向が変化するポイントである。コイルの方向を逆にする概念は当該技術分野において知られており、従来技術の発明は、螺旋コイルの分化によって形成される隙間をリンク構造が埋めるという概念を欠いており、そのため、管腔壁の支持されない大きな領域が残存する。多くの臨床用途において、これらの大きな支持されない領域は、本発明の請求項に記載されるリンク構造の概念によって解決される受け入れ難い状況を成す。
【0056】
本発明のデバイスは、デバイスの先端および基端ならびに各リンクが送出手段に対して取り付けられる。送出手段に対するデバイスの取り付けは、保持ワイヤ、クリップ、ピン、ペグおよびその穴、または、当業者に知られている任意の機械的手段を使用して行なうことができる。デバイスは、1つおきの取り付け点が隣り合う取り付け点に対して回転されるべく回転されるようになっている。コイルがリンクで方向(向き)を変えるという事実により、1つおきの取り付け点を一方向に回転させることでこのようにステント全体を縮径巻回できる。したがって、この発明のデバイスは、コイル部分の数にかかわらず、非常に僅かな回転でカテーテル上に縮径巻回する。これは、扱いにくい送出システムに対処するという問題を解決する。また、ステントを縮径巻回して巻回を解くために必要とされる回転数を減らすため、この発明のデバイスの送出を劇的にスピードアップさせる。
【0057】
既に知られている螺旋コイルステントによって明らかにされる移動・跳び問題およびステントの不正確な配置の他の原因とは異なり、ここで使用される送出手段は、ステントと送出カテーテルとの間の機械的連結を解放する前に管腔の内壁に十分に近接して並置されるようにデバイスの巻回状態を解くことができる。このシナリオの下では、ステントは、解放される前に位置決めされ、それにより、非常に正確なステントの配置が可能になる。
【0058】
ステントの埋め込み後の移動に伴う問題は2つの方法で解決される。本発明に特有でかつ本発明の一部である第1の方法は、ステントが管腔壁に対して有する把持力を増大させるメッシュ被覆である。第2の方法はコイルの方向反転である。リンク構造の概念は、ここでも、違いをつけるポイントである。なぜなら、リンク構造がそのリンクによって結合されるコイルに対して力を及ぼすとともに、この増大された力がステントを動脈壁に対して保持する摩擦力を高め、それにより、埋め込み後に移動するステントの能力を低下させるということがリンク構造の要件のうちの1つだからである。
【0059】
また、ステントの短い長さに伴う問題も、ステントのコイルの方向反転によって解決される。
【0060】
せん断負荷下での潰れに対する耐性が低いという問題は、円形ではないがそれらの厳密な断面形状とは無関係に大きい幅/厚さ比率を有するファイバを使用することにより解決される。
【0061】
螺旋コイルにおける先細りステントを埋め込む手段は、1コイル当たりの巻き数および/または取り付け点間の間隔を変えることにより前述した本発明の固有の特徴である。
【0062】
前述した態様のどれがこの発明に特有のものであると主張されるのかを明確に理解するため、表1は、この発明によって独自に満たされる設計要件の要素を挙げている。
【0063】
一実施形態において、メッシュの部分は、以下の方法で医療デバイスに取り付けられる。メッシュの部分は、1つの縁部全体に沿って、例えば図1のラインAまたはPに沿って、医療デバイスの端部またはその近傍でコイルに溶着され、接着され、または、取り付けられる。他のメッシュ部分も同様にリンク構造に取り付けられてもよくまたはデバイスにわたる他の場所でファイバに沿って取り付けられてもよい。(図1に示される)メッシュの高さは、その所望の身体部位で医療デバイスのほぼ全周となるように計算される。例えば、医療デバイスが4.0mmの均一な直径で製造され、この医療デバイスの埋め込み後における理想的な管腔直径が3.0mmであった場合、各メッシュ部分の高さは、3.0mm直径の管腔の全周、すなわち3πとなり、また、メッシュ部分は、(組み付けられた)その完全拡張形態でデバイスの全周の75%を覆う。
【0064】
他の実施形態では、メッシュ部分が2つの縁部(図1の両方のラインAおよびC、または、PおよびR)に沿ってデバイスに取り付けられてもよい。この実施形態では、メッシュを先端および基端(デバイスが送出カテーテルに取り付けられるときにユーザから遠い端部およびユーザに近い端部を意味する)ならびに固定リンク構造でのみ取り付けることができる。この実施形態では、メッシュをコイルまたは回転リンクに取り付けることができない。この実施形態は、メッシュが留置されるときに正確に所定位置に置かれない場合があるという危険を排除するが、コンプライアンスの損失を伴う。
【0065】
更なる他の好ましい実施形態では、メッシュが図1に示されるように山形UVWXYZとして形成される。このとき、ラインUは、デバイスのコイルまたはリンク構造の内側の場所に取り付けられる。ステントコイルの1つ以上のループがメッシュセグメントを越えて通され、それにより、図1に示されるようにメッシュセグメントが折り目に沿って半分に折り曲げられ、その結果、コイルの数本のループが捕捉されて、ラインXが上端ラインU上に直接に重ねられる。その後、ラインXがラインUと同じコイルまたはリンクの外面に取り付けられ、それにより、ラインUから折り目を周回してラインXへと延びるメッシュの閉ループが形成される。このとき、形成されるメッシュのループは、デバイスに内面および外面を与える。
【0066】
他の実施形態でも、台形メッシュから始めることによって同様の結果がもたらされてもよい。この場合、メッシュは、先の山形に関して説明したように折り曲げることもでき、それにより、デバイスの1つ以上のコイルを取り込むメッシュのループが形成される。しかしながら、この実施形態では、折り曲げ後に平行四辺形形状で終わるのではなく、それが、殆どの用途においてデバイスの十分な被覆率を与える菱形形状をもたらすとともに、コイルの内側および外側の両方でメッシュを依然としてもたらす。
【0067】
更なる他の実施形態では、四辺形または平行四辺形形状のメッシュを、外面への取り付けに関して前述したようにデバイスの内面だけに取り付けることができる。したがって、この発明の様々な実施形態では、メッシュがデバイスの外面にのみ存在し、内面にのみ存在し、または、内面および外面の両方を取り囲むことができる。
【0068】
この発明は多くの異なる形態で具現化されてもよいが、本明細書中では、本発明の特定の好ましい実施形態について詳しく説明する。この説明は、本発明の原理の例示であり、本発明を図示の特定の実施形態に限定しようとするものではない。
【0069】
一実施形態において、全てのメッシュセグメントを合わせた総全長は、デバイスの端部間の全長よりもかなり小さくてもよい。この場合、メッシュによって覆われないデバイスの部分が1つ以上存在する。これは、メッシュが場合により危険をもたらし得る分岐点または主要枝部などの解剖学的原因に気付く場合に役立ち得る。このとき、メッシュが無いセグメントが分岐点を含むようにデバイスを管腔内に配置することができる。別個の手続きで、分岐点または枝部が完全に遮られないようにコイルをスライドさせることができてもよい。
【0070】
他の実施形態では、メッシュが、開口がないもしくは穴あきのシート、フィルム、または、発泡体と置き換えられてもよい。開口がないシート、フィルム、または、発泡体の取り付けはメッシュと同様である。
【0071】
1つの実施形態では、コイルの長手方向軸が互いに対して同一直線上にない。この実施形態において、デバイスは、主要管腔および側枝の両方で機能するという目的を果たす。この実施形態では、コイルの2つの組の直径が同様であるという制限がない。
【0072】
一実施形態では、メッシュ、フィルム、シート、発泡体などが外面(組織に面する側)ではなくファイバの内腔側に取り付けられる。この逆の取り付けにより、シート、フィルム、メッシュ、または、発泡体はデバイスの内側ライニングを形成できる。
【0073】
他の実施形態では、それぞれが1セグメント長である複数のデバイスが送出カテーテルに取り込まれる。送出カテーテルは、全てのデバイスを身体内への挿入のために同時に縮径巻回できるが、それぞれのデバイスを個別に解放する。手術する医師は、幾つのデバイスセグメントがその解剖学的な部位に埋め込まれるのかを決定するための権限を持っている。
【0074】
他の実施形態において、メッシュ、発泡体、シート、または、フィルム(膜)は、取り付けられるループを形成して、螺旋構造を形成するファイバが内側膜と外側膜との間に挟まれるように医療デバイスを包み込む。
【0075】
本発明の1つの実施形態において、医療デバイスは、末梢動脈系を対象として形成されるステントである。この実施形態についてはこの発明で詳細に説明してきた。
【0076】
この発明の他の実施形態において、医療デバイスは静脈グラフト用のアンカーとして使用される。実際に、冠状動脈バイパス移植術(CABG)では、伏在静脈が日常的に使用される。これらの血管グラフトに伴う問題は、一般に、吻合の部位で起こる。この発明の医療デバイスは、吻合の治癒を助けて手術時間を減らすためのアンカーポイントとしての役目を果たすことができ、それにより、場合によっては、グラフトの寿命を延ばして、現在の医療行為に関連する危険を低減する。
【0077】
この発明の他の実施形態において、医療デバイスは、大動脈などの多くの解剖学的部位における動脈瘤および脳動脈瘤を治療するために使用できるステントグラフトである。
【0078】
この発明の他の実施形態において、医療デバイスは、冠状動脈用途に適したステントであり、具体的には、不安定プラークの病理学的問題を扱うのに適している。
【0079】
この発明の他の実施形態では、医療デバイスが大静脈フィルタ用のアンカーである。この実施形態では、おそらく、必要とされるセグメントが1つであり、そのポイントで大静脈フィルタが取り付けられるようにリンクの形態がなっており、または、リンク構造がフィルタから成る。これは、流れの中に配置できて移動しないアンカーをもたらし、低い再狭窄応答を有し、薬物を血管壁の組織へ局部的に送出できる能力を有し、また、場合により、身体管腔内に埋め込む簡単な手段を与え得る。
【0080】
この発明の他の実施形態において、医療デバイスは、血管内モニタリング、供給、薬剤調合などの目的のために使用され得る留置カテーテルのためのアンカーである。そのような留置カテーテルは、消化管において供給チューブとして、ハイリスク妊娠中に胎児モニタリングとして、または、当業者に知られている任意の他の目的で使用されてもよい。これらの実施形態において、リンク構造は、留置カテーテルを取り付けるための方法を単に含むことができる。このようにすることにより、カテーテルが良好に固定されたままにされ、カテーテルは、管腔内で取り付け点の壁に対して所定の位置を有することができる。
【0081】
この発明の他の実施形態では、医療デバイスが動静脈(A−V)シャントアンカーである。
【0082】
この発明の他の実施形態では、医療デバイスが脈管閉塞デバイスである。
【0083】
この発明の他の実施形態では、医療デバイスが気管ステントである。この実施形態において、気管軟化症などの疾患状態は、気道の開通性を維持することにより治療されてもよい。この特定の状態の治療に伴う現在の最も重大な障害は、それが出生時に存在するということであるが、患者は長期間にわたって治療を必要とする。したがって、現在の最良の実務はチューブの挿入であるが、そのチューブは患者が成長するにつれて交換されなければならず、また、他のチューブが挿入されなければならない。特に困難で危険なのがチューブの除去である。したがって、生体分解性材料から形成される気管ステントが理想的な場合がある。これは、古いデバイスを除去する必要がなく、また、非常に簡単で安全な挿入動作を複数回繰り返すだけで済むからである。この発明の自己拡張性は、デバイス劣化前に患者のある程度の成長を許容する。
【0084】
この発明の他の好ましい実施形態では、医療デバイスが気管支ステントである。
【0085】
この発明の他の好ましい実施形態では、デバイスが尿路用途で使用される。デバイスは、腎臓結石の除去の補助的治療として使用できる。この場合、デバイスは尿管の開通性を維持する。
【0086】
この発明の一実施形態において、デバイスは、卵管結紮の外科的反転が周囲組織の成長に起因して閉塞状態になるケースであって、例えば腫瘍などの場合に起こり得るケースにおいて使用されるべき卵管用のステントである。卵管ステントは、卵管結紮の外科的反転でも使用される。
【0087】
この発明の他の実施形態では、医療デバイスが胆管系用のステントである。
【0088】
この発明の他の実施形態では、医療デバイスが勃起障害で用いるステントである。勃起障害のためにバイアグラなどの薬を飲む患者の約20〜30%が薬物治療に反応しない。血流を開放するための非常に小さいステントがこれらの患者を劇的に改善できる。
【0089】
この発明の他の好ましい実施形態において、医療デバイスは、バレット食道またはステントを必要とし得る他の状態などの様々な症候群を治療するために食道で使用される。
【0090】
この発明の他の好ましい実施形態において、医療デバイスは、開放する管腔を維持して適切な薬物を消化管の壁へ送出することによりクローン病患者を治療するために使用される。
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9
図10