(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ビットストリームからの前および後のデータビットとともに前記ビットストリームのDC制御ビットから形成されるDC制御ビットパターンを備える、ECC符号化されたビットストリームをイレージャー復号化するための方法であって、どの値がネガティブクルーを構成するか及びどの値がポジティブクルーを構成するかを示す表においてクルーの値を調べることにより、前記クルーが破損したかまたは破損していないかを導出するために前記クルー自体以外の情報を必要としない、セルフチェック可能なイレージャークルーとして前記DC制御ビットパターンを使用するステップを備え、前記イレージャークルーは、ネガティブイレージャークルーがエラーではないことを示し、ポジティブイレージャークルーがエラーの発生を示すイレージャー情報を構成する、前記方法。
【背景技術】
【0002】
デジタルデータの記憶において、エラーからペイロードデータを保護するために、誤り訂正の符号化は、記録側でチャネルコーディングの前に適用される。それに対応して、誤り訂正の復号化は、読み出し側でチャネルコーディングの後に行われる。いわゆるブロック符号は、誤り訂正符号のうちの広く用いられるクラスの1つである。リード・ソロモン符号は、ブロック符号の一例である。
【0003】
ランダムエラーに加えて、光学記憶チャネルは、引っかき傷、塵、指紋、気泡、および他の欠陥によって引き起こされる長いバーストエラーに通常悩まされる。バーストエラーに対抗するために、インターリーブされたリード・ソロモン符号が広く用いられている。インターリーブのステップによって、長い列の連続するシンボルを壊すバーストエラーは、後に続くリード・ソロモン符号により十分訂正できるように広い間隔の単一のシンボルエラーへ変換される。
【0004】
エラーであるシンボルの位置が分かっているならば、ブロック符号の誤り訂正の能力は2倍になることがよく知られている。したがって、実際の誤り訂正のスキームで重要なサブタスクは、「イレージャー」としても知られるそれらのエラーの位置を、予測または検出することである。
【0005】
バーストエラーの環境におけるイレージャーの検出のため、いわゆる「ピケット・コード」のスキームが、「特許文献1」にて提供されている。そこでは、ユーザデータには、いわゆる「バースト・インジケータ・サブコード(burst indicating subcode)」、つまりBISフィールドが一定間隔で挿入されている。このアプローチは、バーストエラーを含むデータシーケンスを仮定および意図している。したがって、いずれかの2つの連続的なBISフィールドがエラーであると判断されるときはいつでも、それらの間のユーザデータはイレージャーであると仮定される。BISフィールドおよびユーザデータの配列は
図1に示されている。各セクタ内のBISフィールドは、いわゆるBISコードワードにグループ化される。BISコードワードは、それ自体の非常に強力な誤り訂正符号が提供される。
【0006】
この知られたイレージャーの検出のスキームは、次の欠点を有すると思われる。
−BISフィールドのエラーを各々検出することができず、それは、読み取りおよび復号化されなければならない常に全部のBISコードワードである。その結果、BISフィールドに基づいたイレージャー検出のスキームは、1つのセクタのレイテンシまたは遅延を有している。
−BISフィールドを挿入してそれらのエラー保護を加えることは、かなりの冗長オーバヘッドをもたらす。
【0007】
エラー情報を生成する別のアプローチは、「高密度光学記憶システムの新たな誤り訂正アルゴリズム(A New Error Correction Algorithm for High-Density Optical Storage Systems)」,JJAP−43−4867に開示されている。ここで、列はブロックに分けられる。誤りを検出することができるだけで誤りを訂正しない、内部(i+1,i,2)RS符号は、各ブロックのi等分に分配された情報バイトに適用される。結果として生じるRS符号パリティバイトは、各ブロックに付加される。シンドロームチェックは、内部RSコードワードの整合性を調べるために用いられる。内部RSコードワード異常を伴うブロックは、イレージャーであると表わされる。このアプローチは、異なる列の間のワードワイズ(wordwise)インターリーブを中止する。代わりに、各内部RSコードワードのシンボルが、列内で対応するブロックに沿って等しく分配される。内部RSコードワードの物理的拡張が小さいので、エラーロケーティング(error locating)RS符号は必要ない。インターリーブの不在は、レイテンシを減少させる。しかしながら、この「JJAP−43−4867」のアプローチは、追加の冗長性がイレージャー生成のために必要とされるという欠点を有すると考えられる。
【0008】
よって、改善したイレージャー検出スキームが望まれている。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、イレージャー検出の基本として、チャネル符号化データストリームに存在する冗長性を用いることを目的としている。本発明の方法においては、イレージャー情報はビットストリームに含まれる冗長性から導出される。冗長性は、例えば他からのいくつかのデータの依存という意味では、一般にデータの制約(constrainedness)に対応する。この種の依存は、破られたとき、データエラーが存在するに違いないリードバック側で、終わることができる。それらからイレージャー情報は、推定または予測することができ、イレージャー検出が可能となる。
【0012】
本発明において、未公開の「ヨーロッパ特許出願第07107630号」のDC制御方法が用いられる場合に特定の冗長性がチャネル符号化データストリーム内に存在すること、およびこの特定の冗長性をイレージャー検出目的のために利用できることが認識される。「ヨーロッパ特許出願第07107630号」の方法は、低いけれども良く知られた冗長性を有する、いわゆるDC制御ビットを採用している。したがって、いくつかの前および後のデータビットと共に取得した、各DC制御ビットパターンをイレージャークルー(clue)として用いることができる。この「ヨーロッパ特許出願第07107630号」に応じたDC制御ビットは、DC制御ビットパターンの1つの実施形態を構成する。本発明の方法においては、ECC符号化されたビットストリームがいくつかのそのようなDC制御ビットパターンを含むとき、イレージャー情報はECC符号化されたビットストリーム内に含まれたDC制御ビットパターンから導出される。
【0013】
本発明において利用される冗長性は、全ての可能なビット組み合わせまたはバイナリワード値が「ヨーロッパ特許出願第07107630号」に応じた有効なDC制御ビットとは限らないという事実に基づいている。言い換えると、データブロック間に複数のn制御ビットが挿入されていると仮定すると、2**nの別個(distinct)のワード値の全部のセットは、概念的に細かく分けることができる。
−有効なDC制御ビットパターンを構成するそれらのワード値を含む第1のサブセット、および
−有効なDC制御ビットパターンを構成しないそれらのワード値を含む第2の相補的サブセット。
【0014】
値が有効なDC制御ビットパターンを構成するバイナリワードを受信することは、チャネルエラーが起きていないことを意味するように合理的に解釈することができる。したがって、それらの値は、「ネガティブクルー(negative clues)」として以下に示される。
【0015】
それに対応して、値が有効なDC制御ビットパターンを構成しないバイナリワードを受信することは、チャネルエラーが起きたことを意味するように合理的に解釈することができる。したがって、後者の値は「ポジティブクルー(positive clues)」として以下に示される。
【0016】
全ての別個のワード値の真のサブセットだけが有効なDC制御ビットパターンを構成し、言い換えると、第2のサブセットは空でない。この事実は、DC制御に向けられたビットストリーム部分が制約されることを示し、言い換えると、それらのビットストリーム部分にいくつかの冗長性が含まれていることを示している。「ヨーロッパ特許出願第07107630号」に応じたDC制御の方法においては、全ての別個のワード値の半分以上が低い冗長性に対応する有効なDC制御ビットパターンを構成する。別個のワード値の少数のみが有効なDC制御ビットパターンを構成しない。よって、記憶チャネルにおけるエラーは、度々ネガティブクルーを他のネガティブクルーへ修正する。言い換えると、全てのチャネルエラーは、それらがビットストリームのDC制御ビット部分に影響を与えるとしても、ポジティブクルーを出現させるわけではない。ゆえに、ポジティブクルーを受信することからイレージャーを検出する確率は低く、誤判別が考慮されなければならない。よって、本発明は好ましい拡張として「ブリッジング・ストラテジー(bridging strategy)」を説明する。それは、ビットシーケンスと見なされるポジティブクルー/ネガティブクルーのシーケンスにおける非線形のメジアンフィルタのような後処理として解釈され得る。
【0017】
本発明は、エラー検出のためにいくつかの追加の冗長性を費やすことなくイレージャー情報を生成することを可能にする。それは、「ヨーロッパ特許出願第07107630号」において提案された方法によってRLL変調のビットストリームに周期的に挿入されたDC制御ビットの本来的な冗長性を利用することによりなされる。本発明によって生成されるイレージャー情報は、使用される唯一のイレージャー情報を構成するシステムにて用いられうる。以下に説明される実施形態の例はそのようなシステムである。
【0018】
代替として、本発明によって生成されるイレージャー情報を他のソースから導出された他の種類のイレージャー情報の補足として用いることができる。異なるソースから取り込まれている、または異なる方法で生成されている2種類のイレージャー情報を有することは、その2種類のイレージャー情報を統合することによって、例えば、いくつかの種類の多数決でそれらを結合することによって、誤判別を潜在的に検出または除去することができるという利点を提供する。本発明によって生成されるイレージャー情報は、追加のイレージャー情報または補足するイレージャー情報として用いるのに特に適している。なぜならば、その生成は、冗長性挿入を必要としないからである。言い換えると、レートの損失を招くことがないからである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
デジタルデータの記憶において、チャネル符号化は、チャネル変調としても示されるが、デジタルデータを記憶チャネルの要求に適した信号へ変換するために用いられる。チャネル符号化に用いられる1つのコンセプトは「DC制御」として示され、信号のスペクトルの低周波数エンドに影響を与える信号処理ステップを含む。記憶媒体に書き込まれている信号が「DCフリー」であるならば、言い換えると、少なくとも平均で、この信号が光学データ記憶の場合に「スペース」と同じほど多くの「ピット」を含む、または磁気データ記憶の場合に「マイナス」と同じほど多くの「プラス」を含むならば、記憶読み出し側での信号の再生成は容易である。信号の低周波数コンテンツはいわゆるRDS(running digital sum)によってそのコンテキストにおいて測定される。
【0021】
未公開の「ヨーロッパ特許出願第07107630号」は、DCコンテンツ、更にデジタルデータブロックのシーケンスを符号化するチャネルを制御する方法および装置を説明している。データブロックは各々が変化する長さのヘッダ部、本体部、およびテール部に各々再分割される。挿入された制御ビットと共にデータブロックのうちの特定の1つの各テール部、およびデータブロックのうちのそれに続く1つのヘッダ部は、いわゆる制御ブロックにグループ化される。「ヨーロッパ特許出願第07107630号」によれば、ヘッダ部およびテール部のサイズは、データブロックの本体部および制御ブロックの独立したRLL(runlength limited)符号化を可能にするように動的に選択される。「ヨーロッパ特許出願第07107630号」に応じた制御ビット挿入は、いわゆる「反転」制御ビットパターンと「保存」制御ビットパターンとの間での選択を含み、その選択によって本体部のRDS影響力を反転することができる。「ヨーロッパ特許出願第07107630号」は、DCコンテンツを最小化するようにその選択を用いることを説明している。
【0022】
エラーシンボルの位置が知られているならば、RS符号の誤り訂正の能力を実質的に2倍にできることが良く知られている。したがって、実際の誤り訂正スキームの重要なサブタスクは、「イレージャー」としても知られたそれらのエラー位置を、推定することである。周知のブルーレイディスクフォーマットにおいて、「特許文献1」に基づいたピケット・コードのスキームは、このために用いられる。そこでは、ユーザデータには、いわゆる「バースト・インジケータ・サブコード」、つまりBISが一定間隔で挿入され、いずれかの2つの連続するエラーBISフィールド間のユーザデータは、イレージャーと仮定される。
【0023】
ブルーレイディスクは、ピケット内でエラーシンボルの位置を探すピケット・コードのスキームを用いる。エラーピケット間のイレージャーを表わすためにこの情報を所定の方法で利用することができる。よって、ピケットは、バースト・インジケータ・サブコード、つまりBISとも呼ばれる。ブルーレイフォーマットにおいて、各ECCフレームは、第1のピケットが同期ワードによって与えられる4ピケットからなる。
【0024】
ユーザデータを保護するRS[248,216,33]符号の全イレージャー訂正の能力を利用するために、24のインターリーブされたRS[62,30,33]コードワードは、高い確率でピケット内にてエラーの位置を探すために用いられる。
【0025】
このスキームの基本的考えは、「特許文献1」から生じている。また、それらは、「デジタルビデオレコーディングのための光ディスクシステム(Optical Disc System for Digital Video Recording)」,JJAP−39−912に公開されている。「特許文献1」は、ピケットコードワードを「クルーワード」と呼び、それは「データを第1のマルチシンボル誤り訂正符号のコードワードに符号化することによって形成される」。ユーザデータRSコードワードは「ターゲットワード」と称され、それは「第2のマルチシンボル誤り訂正符号のコードワードに符号化することによって形成される」。共にそれらは、「クルーワードおよびターゲットワードに」および「ワードワイズインターリーブ化およびエラー保護符号化で」分割された「マルチワード情報」と呼ばれる。
【0026】
このピケット・コードのスキームは、次の欠点を有すると考えられる。
−1つのセクタを表す所定数の列または同期ブロックが受信または復号されない限りイレージャー情報を生成することができない。これは1つのセクタの最小レイテンシという結果となる。
−追加の冗長性がクルーワードの高レベルのエラー保護のために必要とされる。
【0027】
本発明によれば、読み出したチャネルデータビットのストリーム内のイレージャー情報は、チャネルデータビットのブロック間の周期的に挿入されたエラーの位置を探すクルーの整合性を調べることによって生成される。次に、所定の距離内のエラー指示(ポジティブ)クルー間のブロックはイレージャーされるために宣言される。
【0028】
クルーは、複数のチャネルデータビットまたは追加の冗長性が与えられた他のサブチャネルデータビットからなる。冗長性は、パリティチェック、CRC、またはいずれかの他のエラー検出符号または方法によって、引き起こされうる。また、本来エラー検出を目的とせず、いずれかの他の方法によって引き起こされた、DC制御ビット挿入のような本来の冗長性は、整合性チェックのために用いられても良い。
【0029】
注意すべき重要な点は、本発明によれば、エラー検出をすることになる整合性テストは、他のクルーと無関係に各個別のクルーについて行うことができることである。すなわち、多重シンボルクルーワードは存在しない。この特性は、以下で「セルフチェック可能なクルー」として示される。
【0030】
クルーがセルフチェック可能であり、引き起こされた冗長性が通常低いので、エラー検出の確率も低い。しかし、チャネル異常の長いバースト、すなわち、長いバーストエラーは、おそらく多くのクルーを破損する。よって、バーストの長さが増加すると、それらの少なくともいくつかを検出する確率が増す。2つの互いにすぐ近いポジティブクルーの間に位置されるネガティブクルーは、未検出のエラーによって起こされたと仮定される。ここで、「互いにすぐ近い(close together)」として2つのクルーを考慮するための制限距離は、エラー検出確率およびランダムエラー確率に依存する。この仮定に基づいて、互いにすぐ近いポジティブクルーの間のネガティブクルーが反転され、それにより長いイレージャーを表すポジティブクルーの連続的なシーケンスが生成される。そのバーストが長いほどイレージャー情報の信頼性が高くなる。
【0031】
実施形態において、チャネルデータビットのストリームは周期的に挿入された同期パターンを介してブロックに分けられると仮定される。更に、エラーバーストによってその同期パターンの破損がおそらく検出されると仮定される。上記の仮定は、イレージャー間隔が各同期ブロック内で独立して宣言されること可能にするが、本発明の原理は仮定のいずれもが有効でなくても適用可能である。
【0032】
図2に示されるように、実施形態において、同期ブロックは、(n−1)イレージャークルーまたはクルーを介して、nのチャネルデータブロックに分けられる。通常、ブロック当たりのチャネルデータビットの数は、クルービットの数よりかなり多くなる。これは、破線によって
図2に記号的に示されている。言い換えると、クルービットの数は、いずれかの2つの連続したクルーの間のチャネルデータビットの数よりかなり小さい。
【0033】
本発明は、クルーの整合性を調べることを通してエラーのバーストを識別することを目的としている。整合性チェック異常を示すポジティブクルーは、イレージャーの間隔を宣言するために用いられる。クルーがセルフチェック可能であることが要求され、すなわち、クルーが破損していてもまたは破損していなくても、クルー自体以外の情報は伝えるために必要とされない。これは、「特許文献1」に説明された方法とは対照的であり、それにおいては、クルーはマルチシンボルコードワードから抽出される。「特許文献1」は、符号化クルーワードからエラーの位置を探すクルーを導出し、したがっていくつかのエラーの位置を探す処理が含まれなければならない。本発明では、クルー位置が知られているので、エラーの位置を探す処理は必要とされない。
【0034】
追加のエラー検出冗長を保持する長さyのセルフチェッククルーを、
・yの所定のデータビットを用いることにより、
・y−z(サブ)チャネルデータビットをいずれか(y,y−z)エラー検出符号、例えば、単一のパリティチェック、CRC等で符号化することにより、構成することができる。システマテック符号の場合には、パリティは先頭に付け加えられているか、または末尾に付け加える。
【0035】
本発明は、異なるアプローチを用い、そのアプローチではセルフチェッククルーは追加の冗長性を用いないで、代わりにクルーとして、周期的に挿入されたサブチャネルまたは制御構造の本来の冗長性を用いて構成される。本発明の1つの態様によれば、「ヨーロッパ特許出願第07107630号」において提供されたようにDC制御ビット挿入の方法によって引き起こされた冗長性は、セルフチェッククルーとして利用される。表1は、「ヨーロッパ特許出願第07107630号」に応じた(1,7)RLL符号へのDC制御ビットの挿入を示している。DC制御ブロックのディファレンシャルRDSの反転または保存を生成するために2DC制御ビットを費やすことの必要性は、データビットの少数の特定の組み合わせのみから生じた。したがって、「ヨーロッパ特許出願第07107630号」に応じて選択された、すべての2つのDC制御ビットは、1ビットよりわずかに少ない冗長性を含む。
【0037】
表1 (1,7)RLL符号へ挿入されたときにおける周囲のビット値に対してのDC制御ビット値の依存関係を示す図である。
【0038】
表1にc
iとして示された、その2つのDC制御ビットは、少なくともいくつかの場合、それらの前の2つのテールビット
【0042】
に依存している。表1のそれらのラインは、簡単な表記法であり、空の表セルは「いずれでもよい(don’t care)」ことを示すと仮定して解釈されるべきである。ここにおいて、
【0046】
の値のいずれか、または両方は示されていない。
【0047】
説明した依存関係を評価することを可能にするために、2つのテールビット、2つのDC制御ビットおよび2つのヘッドビットが6ビットのクルーを生じさせるためにこの順に連結される。「ヨーロッパ特許出願第07107630号」によって規定されたように、また表1に示されたように、DC制御ビットの特定の依存関係を用いて、また「いずれでもよい」セル内に集約された場合を個別にリストにあげて、6ビットワードに対して存在する64の区別できる値のうちで、37は有効を示すネガティブクルーであり、27は無効を示すポジティブクルーであるという結果となる。これは、いずれかのエラーを見つけ出す確率が低いことを意味する。言い換えると、冗長性はクルーに散在する。
【0048】
表2は6ビットイレージャークルーに対して存在する64の区別できる値が有効なクルーおよび無効なクルーを構成することを示している。
【0050】
表2 6ビットのイレージャークルーに対して存在する64の区別できる値が有効なクルーおよび無効なクルーを構成することを示す図である。
【0051】
イレージャークルーとしてDC制御ビットを用いることの利点は、追加の冗長性の挿入を要求しないことであり、したがって、この方法は何らかのレートの損失を受けない。また、表2でその値を調べることまたは同等の動作によって簡単に受け付けた後、直ちにどのクルーもチェックすることができる。
【0052】
また、DC制御ビット、およびクルーが、それらの弱いエラー検出能力のために部分的に補償するチャネルデータストリーム内に頻繁に現れることが考慮されなければならない。
【0053】
2つの前のデータビットに代わって、4つの前のデータビットが考慮されるならば、エラー検出確率をさらに増加させることができる。
図4は、イレージャークルー構造の変形を示している。256の区別できる8ビットクルー値のうちで、133はネガティブクルーを構成し、123はポジティブクルーを構成する。表3は結果としてのルックアップテーブルを示しており、すなわちそれは、8ビットイレージャークルーに対して存在する256の区別できる値が有効なクルーおよび無効なクルーを構成することを示している。有効、すなわちネガティブクルーは「1」によって示され、無効、すなわちポジティブクルーは「0」によって示されている。
【0055】
表3 8ビットイレージャークルーに対して存在する256の区別できる値が有効なクルーおよび無効なクルーを構成することを示す図である。
【0056】
追加または本来の冗長性に基づいたクルーエラー検出能力が低いときはいつも、多くの未検出のクルーが原因であるイレージャーの間隔を識別するためにブリッジング・ストラテジー(bridging strategy)を適用することができる。
【0057】
以下のブリッジング・ストラテジーは、ポジティブクルーを利用して、イレージャーの間隔を識別する。同期パターンは、高いバーストエラーの検出潜在性および高い信頼性を有する境界クルーとして役に立たせても良い。これは隣接の同期ブロックのクルーと関係なく同期ブロック内のイレージャーを宣言することを可能にする。そうでなければ、スライドウィンドウのアプローチは継続されなければならない。
【0058】
両方の場合に、以下のストラテジーはステップ毎に適用されても良い。
ステップ1:単一の、すなわち、独立したポジティブクルーを無視する。これにおいては、最も近い他のポジティブクルーへの距離が所定の閾値を越えたならば、ポジティブクルーは独立しているとして考慮されるべきである。それらの独立したポジティブクルーは、ランダムエラーからおそらく生じ、よってネガティブクルーに切り替えられる。ランダムエラー環境においては、仮想的エラーフリー環境においてより小さな閾値距離を適用することが適切であるかもしれない。
【0059】
ステップ2:独立していないポジティブクルーを接続する。閾値距離より更に互いに離れていない2つのポジティブクルー間の連続的なネガティブクルーのシーケンスは、未検出のバーストエラーのためであると仮定され、よってポジティブクルーに切り替えられる。
【0060】
ステップ3:マージンによってポジティブクルーのシーケンスを拡張する。連続的なポジティブクルーのシーケンスに隣接する所定の数のネガティブクルーは、ポジティブクルーに切り替えられる。このマージンの大きさは、間違って検出されたクルーと未検出のクルーとの間の所望の比率によって支配される。
【0061】
ステップ4:ポジティブクルー、およびポジティブクルーの少なくとも一方の側に位置する任意のチャネルデータブロックにイレージャーとしてフラグを立てる。
【0062】
図5〜
図9は、どのようにブリッジング・ストラテジーが適用されるかの例を示している。その例においては、単一のランダムエラーおよびバーストエラーが示されていると仮定される。それらのエラーのため、3つのポジティブ−すなわちエラーを示す−クルーは、
図5で左から2番目クルー、6番目クルーおよび9番目クルーにおいて「+」として示されるように、チャネルビットストリームで識別されていると仮定される。上記のステップ1の閾値距離は、間に2つのクルーを含む3チャネルデータブロックであると仮定される。上記のステップ3のマージンは、1チャネルデータブロックであると仮定される。
【0063】
ステップ1:独立したポジティブクルーを無視する。
図5に「ランダムエラー」として示されたポジティブクルーは、次のポジティブクルーが4チャネルブロック離れているのでネガティブであると宣言され、その距離は3の閾値距離を越える。
図5に「バーストエラー」として示された2つのポジティブクルーは、不変のままである。なぜならば、それらの距離はその閾値距離内であるからである。
図6は、ステップ1を適用した結果を示している。ランダムエラーに起因したと仮定された独立したクルーが除去されている。
【0064】
ステップ2:独立していないポジティブクルーを接続する。その2つの残りのポジティブクルー間の間隔における2つのネガティブクルーは、ポジティブクルーに切り替えられる。
図7は、ステップ2を適用した結果を示している。6番目のクルーを含むクルーから9番目のクルーを含むクルーまでのポジティブクルーの単一の連続する「ラン(run)」が存在する。
【0065】
ステップ3:マージンによってポジティブクルーのシーケンスを拡張する。1つのマージンサイズを適用して、そのポジティブランの左右に隣接するクルーがポジティブクルーに切り替えられる。
図8は、ステップ3を適用した結果を示している。ポジティブクルーのランは、5番目のクルーを含むクルーから10番目のクルーを含むクルーまで拡張している。
【0066】
ステップ4:
図9に示されたように、間欠的な6つのポジティブクルーを含む7つのデータブロックは消去されるべきと宣言される。マージンの1拡張の過程でポジティブクルーに切り替えられた最も右のポジティブクルー、すなわち10番目のクルーが間違った検出すなわち間違ったポジティブクルーを実際に構成することに注意されたい。未検出のクルーはなかった、すなわち間違ったネガティブクルーはなかった。
【0067】
本発明の一般的な考えは、いずれかの伝送または記憶システムに適用されても良い。ここでエラーはおそらく長いバーストにおいて起こり、および/またはここで受信機またはリードパスは低レイテンシイレージャー情報を活用することができる。
【0068】
本発明の利点:
−DC制御ビットからの提案したクルーはセルフチェック可能であり、すなわち他の情報はクルーが起きたかどうかを検出するために必要とされない。
−よって、本来的なレイテンシはない。
−DC制御ビット、およびそれに基づいたクルーは、より弱いエラー検出能力を部分的に補償する「特許文献1」のBISよりも度々ユーザデータストリームに散在される。
−発明の方法は、DC制御に対して何としても必要とされること以上に冗長オーバヘッドなしでイレージャー検出を提供する。
【0069】
本発明は、バーストエラー環境内において誤り訂正復号化前に、低レイテンシイレージャー情報を有益に生成することを可能にする。低レイテンシイレージャー情報は、以下の理由または目的のために有益であり得る。
・リード・ソロモンのような外部バーストエラー訂正符号が、セクタより小さい長さの列配置のランダムエラー訂正内部RS符号またはLDPC符号等と関連して用いられるならば、長いバーストエラーが内部符号の誤り訂正能力をおそらく越えて、符号化が役に立たないので、内部符号復号化前に利用可能なイレージャー情報を有することは有益である。一方、短いエラーバーストは、イレージャーとして正しくフラグ立てが行われるならば内部符号によってまだ復号化可能であっても良い。
・同期ブロックで補間タイミング回復動作が用いられるならば、イレージャー情報を評価することによって粗い整合性チェックを行うことができる。
・光学的ドライブリードパス内のいずれかの他のタスクが低レイテンシイレージャー情報を利用することができる。
【0070】
本発明は、クルーを示すエラーからイレージャー間隔を生成するストラテジーを提供する。どんな長さのエラーバーストでも検出することができる。
【0071】
言い換えると、エラー位置が分かるならば、ブロックの符号の誤り訂正能力を2倍にすることができる。エラー位置検出の従来のアプローチは、エラー位置情報を生成するために評価される追加する専用の冗長データを常に含んでいる。本発明はデータストリームにともかく存在する特定のDC制御ビット32がどのように用いられ、クルー31の形でエラー位置情報がそこから導出されるかを目的とし説明している。
[付記1]
DC制御ビットパターンを含むECC符号化されたビットストリームをイレージャー復号化する方法であって、イレージャー情報は前記DC制御ビットパターンから導出されることを特徴とする方法。
[付記2]
特定の確率で出現する前記ビットストリーム内の特定のシンボルの出現からイレージャーの確率が導出されることを特徴とする付記1に記載の方法。
[付記3]
前記DC制御ビットパターンは前記ビットストリームから前のデータビットおよび後のデータビットと共に前記ビットストリームのDC制御ビットから形成されることを特徴とする付記1に記載の方法。
[付記4]
非線形フィルタが前記ビットストリームから抽出された前記イレージャー情報に適用されることを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の方法。
[付記5]
前記イレージャー情報は、前記イレージャー復号化に用いられる前に第2のイレージャー情報と統合されることを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の方法。
[付記6]
前記統合は、前記イレージャー情報の対応ビットおよび前記第2のイレージャー情報の対応ビットのうちの多数決によって行われることを特徴とする付記5に記載の方法。
[付記7]
付記1〜6のいずれかに記載の方法を行うために備えられおよび構成されたことを特徴とする装置。