特許第5713985号(P5713985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5713985フレキシブルタッチスクリーンディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5713985
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】フレキシブルタッチスクリーンディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   G06F3/041 640
   G06F3/041 400
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-261592(P2012-261592)
(22)【出願日】2012年11月29日
(62)【分割の表示】特願2008-523463(P2008-523463)の分割
【原出願日】2006年7月24日
(65)【公開番号】特開2013-101626(P2013-101626A)
(43)【公開日】2013年5月23日
【審査請求日】2012年12月27日
(31)【優先権主張番号】0515175.8
(32)【優先日】2005年7月25日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】0523125.3
(32)【優先日】2005年11月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】503430658
【氏名又は名称】プラスティック ロジック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ、 シェーマス
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、 シモン
(72)【発明者】
【氏名】シディク、 シャージル
【審査官】 菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05623280(US,A)
【文献】 特開2002−259053(JP,A)
【文献】 特開2004−046115(JP,A)
【文献】 特開2004−279707(JP,A)
【文献】 特開2005−183616(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/010822(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0026971(US,A1)
【文献】 特開2005−18492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイスであって、
画面を有するディスプレイと、
前記画面の反対側の前記ディスプレイの一方側に配置される抵抗膜式タッチセンシティブセンサとを備え、
前記ディスプレイ及び前記タッチセンシティブセンサの少なくとも一つはフレキシブル基板上に作製され、
前記タッチセンシティブセンサは前記ディスプレイの前記画面に触れることで作動し、
前記タッチセンシティブセンサは、前記ディスプレイの下に一体化されており、前記タッチセンシティブセンサは、フレキシブル基板と、このフレキシブル基板の上に配置された下側導電層と、上側導電層と、を有し、
前記ディスプレイは、アクティブマトリックスを有するバックプレーンの上に配置された反射型電子ペーパーディスプレイ媒体を備え、前記アクティブマトリックスは、有機半導体を有する電界効果トランジスタのアレイを有し、前記トランジスタは前記ディスプレイを制御するように構成され、
前記ディスプレイデバイスは、5cm以下の曲率半径に繰り返し曲げ可能である
タッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記ディスプレイ及び前記タッチセンシティブセンサの両方が共有フレキシブル基板上に作製される請求項1に記載のタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイ
デバイス。
【請求項3】
前記トランジスタのアクティブマトリックスアレイは、前記共有フレキシブル基板上に形成される、請求項2に記載のタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記タッチセンサの導電層は、前記バックプレーン上に作製される請求項1に記載のタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記ディスプレイは、フレキシブル基板を備え、それによって前記デバイスは、前記ディスプレイのフレキシブル基板であるところの第1のフレキシブルを有し、且つ、前記デバイスは、前記タッチセンシティブセンサのフレキシブル基板であるところの第2のフレキシブル基板とを備える請求項1に記載のタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記第1のフレキシブル基板は、前記第2のフレキシブル基板に取り付けられる請求項5に記載のタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記第1のフレキシブル基板は、前記タッチセンシティブセンサの上側導体層上に直接配置されている請求項5に記載のタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記第1のフレキシブル基板は、前記タッチセンシティブセンサの上側導体層上に作製された前記バックプレーンを含む請求項5に記載のタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記タッチセンシティブセンサが実質的に不透明な導体を含んだ層を含んでいる請求項1〜8のいずれか一項に記載のタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイ
デバイス。
【請求項10】
前記バックプレーンが、前記デバイスの中立面上に実質的に設置されている請求項1〜9のいずれか一項に記載のタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項11】
タッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイスであって、
画面を有するディスプレイと、
前記画面の反対側の前記ディスプレイの一方側に配置される抵抗膜式タッチセンシティブセンサとを備え、
前記ディスプレイ及び前記タッチセンシティブセンサの少なくとも一つはフレキシブル基板上に作製され、
前記タッチセンシティブセンサは前記ディスプレイの前記画面に触れることで作動し、
前記タッチセンシティブセンサは、前記ディスプレイの下に一体化されており、前記タッチセンシティブセンサは、厚さd4の下側フレキシブル基板と、このフレキシブル基板の上に配置された下側導電層と、上側導電層と、厚さd3の上側フレキシブル基板とを有し、
前記ディスプレイは、反射型電子ペーパーディスプレイ媒体と、前記媒体と、表示面の間の第1フレキシブル基板と、厚さd2を有する第2フレキシブル基板の上に形成されたアクティブマトリックスを有するバックプレーンと、を有し、前記アクティブマトリックスは、有機半導体を有する電界効果トランジスタのアレイを有し、前記トランジスタは前記ディスプレイを制御するように構成され、
前記第1フレキシブル基板は厚さd1を有し、
前記バックプレーンが前記デバイスの中立面上に実質的に位置するように、d1は(d2+d3+d4)にほぼに等しく、且つ
組み合わせられた前記ディスプレイおよびタッチセンシティブセンサが、当該組み合わせられた前記ディスプレイとタッチセンシティブセンサが全体として屈曲可能なように、前記タッチセンシティブセンサの作動の機能性に必要とされるよりも高い柔軟性を有する
タッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項12】
前記ディスプレイの前記第2のフレキシブル基板は、前記タッチセンシティブセンサの前記上側フレキシブル基板に取り付けられる請求項11に記載のタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項13】
請求項10のデバイスであって、
前記タッチセンシティブセンサは、前記ディスプレイの下に一体化されており、前記タッチセンシティブセンサは、厚さd4の下側フレキシブル基板と、このフレキシブル基板の上に配置された下側導電層と、上側導電層と、厚さd3の上側フレキシブル基板とを有し、
前記ディスプレイは、反射型電子ペーパーディスプレイ媒体と、前記媒体と、表示面の間の第1フレキシブル基板と、厚さd2を有する第2フレキシブル基板の上に形成されたアクティブマトリックスを有するバックプレーンと、を有し、
前記第1フレキシブル基板は厚さd1を有し、
前記バックプレーンが前記デバイスの中立面上に実質的に位置するように、d1は(d2+d3+d4)にほぼに等しい、
ディスプレイデバイス。
【請求項14】
請求項1又は11に記載のディスプレイデバイスであって、電子ペーパーディスプレイは、電気泳動ディスプレイであるディスプレイデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、例えば抵抗膜式タッチスクリーン技術を用いて、フレキシブルタッチスクリーンコンポーネントをフレキシブルディスプレイと一体化して、フレキシブルな組み合わせデバイスを製作することに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパッドまたはタッチスクリーンにセンサを設けるための技術として、いくつかの先行技術が知られている。このような既知の技術には、静電容量技術、表面弾性波技術、量子トンネル複合(QTC:Quantum Tunneling Composite)材料などの感圧技術および抵抗技術がある。本願出願人らはフレキシブルディスプレイの作製技術についてすでに記載している(例えば、国際公開第2004/070466号パンフレット、同第2006/059162号パンフレット、同第2006/056808号パンフレット、同第2006/061658号パンフレットを参照されたい。同文献の内容全体は、本願明細書に援用されたものとする)。特に、本願明細書は、抵抗膜式タッチスクリーンコンポーネントを、ディスプレイ媒体およびフレキシブル基板を組み込んだバックプレーンと一体化して、新規なフレキシブル抵抗膜式タッチスクリーンディスプレイ構造を形成することに関するものである。
【0003】
図1は、米国特許出願公開第2004/121599号明細書から採用した図で、既知の抵抗膜式タッチスクリーンディスプレイ(10)の1つの例を示したものである。このディスプレイは、基板(12)と、第1の導電層(14)と、カバーシート(16)と、第2の導電層(18)と、裏材表面(15)とを有している。カバーシートは、一体型の圧縮スペーサドット(50)を含むことにより、タッチスクリーンを指(13)で押すと、第1と第2の導電層との間が抵抗接続する。タッチスクリーンは、OLED(有機発光ダイオード)フレキシブルフラットパネルディスプレイなどのディスプレイ上に設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構成の場合、タッチスクリーンコンポーネントをディスプレイ媒体上に設置することによって透明度の低下が生じる。つまり、ディスプレイを見るにはタッチスクリーンコンポーネントを通さなければならないので、ディスプレイの光学的な透明度が著しく低下してしまうという重大な欠点があった。
国際公開第2005/010735号パンフレットには、この問題に対する1つの解決策が記載されており、この方法ではハンドヘルド式の電子機器のハウジング前面にディスプレイモジュールを設け、タッチパッドが設置されたディスプレイ背面へアクセスする。ユーザの指と基板との間の結合容量を検出するために、ディスプレイの背部に露出したフレキシブル導電箔基板上にディスプレイは作製される。しかしながら、この配置では、タッチスクリーンコンポーネントが搭載されたディスプレイ背部にアクセスできるようにディスプレイを搭載しなければならないという大きな欠点がある。
【0005】
タッチセンシティブディスプレイを提供するために、LCDが下地基板を覆うタイプのタッチセンシティブデバイスについて記載する文献が多数ある。例えば、米国特許第5,623,280号明細書、米国特許出願公開第2001/0022632号明細書、米国特許5,907,375号明細書、および国際公開第2005/078566号パンフレット(有機発光ダイオードディスプレイについても明記)を参照されたい。しかしながら、これらの文献のディスプレイは、従来の意味でフレキシブルではなく、全体的なタッチセンサ機能に必要なわずかな変形が可能な程度に薄いだけである。他の参考文献として、米国特許出願公開第2003/0026971号明細書および国際公開第2004/066136号パンフレットがある。
【0006】
一般に、タッチスクリーンの適切な動作には、硬質基板が必須であると考えられてきたが、真にフレキシブルな組み合わせデバイスが必要とされている。このようなデバイスの実現方法については、これまで何ら記述されてこなかった。しかしながら、本願発明者らは、概して真にフレキシブルなディスプレイデバイスとタッチセンサとを組み合わせたものを作製するための技術を考案した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明によれば、タッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイスであって、第1のフレキシブル基板上に作製され、画面を有するディスプレイと、前記ディスプレイの下にあり、第2のフレキシブル基板を備えたタッチセンシティブセンサとを備え、前記タッチセンサは前記ディスプレイの前記画面に触れることで作動し、前記ディスプレイおよびタッチセンシティブセンサの組み合わせがフレキシブルであるタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイスが提供される。
【0008】
フレキシブル抵抗膜式センサを備えることが好ましいタッチセンシティブセンサは、フレキシブル基板の背部上、すなわち画面とは反対側のディスプレイ上に搭載される。しかしながら、さらに非感圧式の静電容量型および誘導型のセンサなど、さらなるタッチスクリーン技術を用いてもよい。
【0009】
本発明の実施形態において、デバイス構造の下方にタッチスクリーンコンポーネントが配置されるので、ディスプレイの光学的な透明度は実質的に低下しない。さらに、ユーザはフレキシブル抵抗膜式タッチスクリーンディスプレイデバイスを上側となる視野側から操作できるので、タッチパッドとしてディスプレイの背面を採用したものよりデバイスを使用しやすくなり、デバイスの応用範囲を広げることができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、タッチセンシティブセンサおよびディスプレイの両方が層状構造を有し、フレキシブル基板を共有する。このようにして、センサがディスプレイのフレキシブル基板バックプレーン上に作製されてもよく、または、典型的に薄膜トランジスタのアレイを備えたディスプレイバックプレーンはセンサのフレキシブル基板上に作製されてもよく、または、ディスプレイ用のフレキシブル基板バックプレーンはセンサの導電層上に作製されてもよい。後者の場合、導電層はディスプレイバックプレーンに物理的支持を与えるフレキシブル基板として作用する。
【0011】
典型的に、抵抗膜式タッチスクリーン構造は、スペーサ配列によって分離された第1および第2の導電層を備えている。このスペーサ配列は、例えば接着性の結合剤のビーズで構成されたスペーサドット、プリントまたはフォトリソグラフィによって形成されたドット、または米国特許出願公開第2004/212599号明細書に記載されたラインに沿ってセンサのフレキシブル層の一部として一体形成された圧縮スペーサドットである。しかしながら、センサがディスプレイ後方にあるため、センサの導電層の一方または両方が光学的に透過性のものである必要はなく、いくつかの実施形態において実質的に不透明の導体が採用されていてもよい。
【0012】
前述したように、典型的に、ディスプレイはトランジスタのアレイを備えたバックプレーンを含み、好ましい実施形態において、この構造はデバイスの中立軸または表面(平面)上(その内側または実質的にこれに隣接して)にバックプレーンが設置されるように構成される。言い換えれば、デバイスの中立軸は薄膜トランジスタ(TFT)のアレイを備えた層に隣接するか、またはこの層内にあるということである。これにより、タッチセンシティブディスプレイデバイスの使用中にトランジスタにかかる機械的なひずみが低減される。他の形態において、タッチセンサは中立軸または表面上(その内側または実質的にそれに隣接して)にあってもよい。
【0013】
いくつかの好ましい実施形態において、ディスプレイデバイスは反射ディスプレイ媒体を含む任意のフラットパネルディスプレイ媒体を備え、このディスプレイ媒体は、例えばタッチスクリーンコンポーネントに不透明導電性材料を使用しやすくするため、電子ペーパーのような電気泳動ディスプレイ媒体を含んでいる。しかしながら、他の実施形態において、例えばOLEDディスプレイ媒体などの放出型ディスプレイ媒体を採用してもよく、他の形態においては、液晶媒体などの透過型ディスプレイ媒体を使用してもよい。
【0014】
前述したように、タッチセンシティブセンサは、機械的な圧力に応答して電気的に接続される第1および第2の導体層を含んだ機械センサ、広義に言うと、抵抗膜式タッチスクリーンセンサを備えていることが好ましい。いくつかの好ましい実施形態において、ディスプレイは、フレキシブル基板への溶液堆積に適応した多層電子構造を含むアクティブマトリックスディスプレイを備えている。典型的に、ディスプレイは、行列電極によってアドレッシングされる二次元ピクセルアレイを備えている。タッチセンサの2つの抵抗導体層のそれぞれに2つの対向するエッジの長さにわたる電気的接続が設けられてもよく、2つの異なる導電層のエッジ対は互いに直角をなしている。このように、各エッジに流れる電流の相対的な大きさが、従来の方法で2つの層間の接触点のX軸およびY軸を決定するために使用されてもよい。例えば、従来の4線、5線、8線または9線式の技術が採用されてもよい。
【0015】
さらなる態様において、本発明は、タッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイスであって、フレキシブル基板上に作製され、画面を有するディスプレイと、前記ディスプレイの下にあるタッチセンシティブセンサとを備え、前記タッチセンサは前記ディスプレイの前記画面に触れることで作動し、前記アクティブマトリックスディスプレイが溶液堆積に適応した多層電子構造を含んでいるタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイスを提供する。
【0016】
いくつかの実施形態において、多層電子構造はディスプレイのアクティブマトリックスバックプレーンを備えている。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、フレキシブルタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイスは、有機電界効果トランジスタ(FET)のアクティブマトリックスを備えている。有機FETは、共役高分子または共役小分子のアクティブ半導電層を備えている。また、有機FETは有機ゲート誘電体層を備えていることが好ましく、この有機ゲート誘電体層は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)またはポリスチレン(PS)などであるが、これらに限定されない溶液処理された高分子誘電体か、またはパリレンなどであるが、これに限定されない化学気相成長によって堆積された有機ゲート誘電体のいずれかの形態である。有機誘電体層の厚みは200nm〜1μmの範囲内で選択することが好ましい。誘電体層が200nmより薄くなると、デバイスの歩留まりが落ちてしまうことが観察されており、デバイスはタッチセンサの操作時にアクティブマトリックスにかかる機械的圧力によって生じる機械的ダメージまたは短絡を受けやすくなる。誘電体層が1μmより厚くなれば、ゲートの静電容量が非常に小さいため、ディスプレイの動作に必要なオン・オフ電流比を達成できない。有機電界効果トランジスタ、特に共役高分子半導体および有機ゲート誘電体を備えている有機FETは、優れた機械的性質を有しているので、いくつかの実施形態においてフレキシブルタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイスの操作中に繰り返し屈曲されたとしても著しく劣化することはない。また、いくつかの実施形態において、タッチスクリーンを操作するためにスタイラスまたは別の鋭い物体を使って機械的圧力をかけても、有機FETは性能が劣化することはない。一方で、従来のアモルファスまたは多結晶FETなどの多くの無機FETは、フレキシブルタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイの操作および屈曲中に、層に機械的応力がかかると、機械的ダメージおよび微細な亀裂の形成を受けやすい。一方で、本願明細書に記載されているフレキシブルタッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイデバイスの実施形態は、5cm未満の曲率半径まで繰り返し屈曲できる。
【0018】
タッチセンシティブアクティブマトリックスディスプレイの所望のフレキシビリティを達成するために、タッチセンサとアクティブマトリックスディスプレイとに使用される任意の基板の厚みは、10μm〜250μmの範囲にあることが好ましく、20μm〜200μmの範囲にあることがより好ましい。任意の基板の厚みが、この範囲より厚ければ、デバイスのフレキシビリティが損なわれる。画面とタッチセンサの下部基板との間にある任意の基板が250μmより厚ければ、ディスプレイの画面から下方に搭載されたタッチセンサへ機械的圧力を伝えるには、さらに大きな機械力が要求されるので、タッチスクリーンの解像度が劣化してしまう。タッチセンサの下部基板の厚みは、原則的にタッチスクリーンの操作に著しく影響を与えない限り、デバイスの任意のもう一方の基板より厚くしてもよい。しかしながら、タッチセンサの下部基板の厚みはデバイスの全屈曲要求によって制限されてもよい。
【0019】
FETのアクティブマトリックスアレイは、デバイスの中立軸付近に設置されることが好ましく、これを達成するために下部基板の厚みはデバイスのもう一方の基板より著しく大きいものであってはならない。ディスプレイ媒体/アクティブマトリックスとデバイスの画面との間のフレキシブル基板の厚みをdとし、アクティブマトリックスが形成されたフレキシブル基板の厚みをdとし、タッチセンサの上側および下側フレキシブル基板の厚みをそれぞれdおよびdとする。本発明の1つの実施形態において、アクティブマトリックスの基板およびタッチセンサの上側フレキシブル基板は、感圧接着剤で貼り付けられている。アクティブマトリックス、ディスプレイ媒体およびタッチセンサのさまざまなアクティブ層の厚みが、任意の基板のものと比較して小さいと仮定すれば、いくつかの実施形態において、d+d+d≒dが成り立つ。
【0020】
他の形態において、デバイスの中立軸は、タッチセンサ要素の平面にあるように選択されてもよい。抵抗膜式タッチセンサの場合、大きな屈曲による応力はタッチセンサからの信号を間違ったものにする可能性がある。それは機械的入力がないときに屈曲によって2つのセンシング電極が触れてしまうからである。これは、中立軸にタッチセンサ要素を配置することで最小限に抑えることができる。したがって、いくつかの他の実施形態において、d≒d+d+dが成り立つ。
【0021】
別の態様において、本発明は、タッチセンシティブディスプレイデバイスであって、フレキシブル基板上に作製され、画面を有するディスプレイと、前記ディスプレイの下にあるタッチセンシティブセンサとを備え、前記タッチセンサは前記ディスプレイの前記画面に触れることで作動し、前記タッチセンシティブセンサが画素化されているタッチセンシティブディスプレイデバイスを提供する。
【0022】
当業者であれば、上述した態様に基づく特徴および本発明の上述した態様の実施形態は、任意の順序で組み合わされてもよいことを理解されたい。
【0023】
さらなる態様において、本発明は、上述したようなタッチセンシティブディスプレイデバイスの使用方法であって、ディスプレイデバイス上にイメージを表示するステップと、ディスプレイの画面への接触を検知し、タッチセンシング信号を出力するステップとを含む方法を提供する。
【0024】
したがって、本発明の1つの実施形態は抵抗膜式タッチスクリーン構造のデバイス構成を提供するものであり、この抵抗膜式タッチスクリーン構造はフレキシブルバックプレーンと接触したフレキシブルディスプレイ媒体を内蔵している。バックプレーンはトランジスタのアクティブマトリックスアレイを備え、フレキシブル基板上に形成される。フレキシブルディスプレイ媒体はフレキシブルバックプレーンに接触した状態でもたらされるが、これは有機発光ダイオードまたは液晶ディスプレイセルなどのディスプレイアクティブ層の直接堆積によってもたらされるか、またはフレキシブル対向基板上に電気泳動、エレクトロクロミックまたは電子ペーパーディスプレイ媒体などで、これらに限定されないディスプレイ媒体を貼り合わせることによってもたらされるかのいずれかである。フレキシブルバックプレーンおよびフレキシブルディスプレイ媒体を備えたディスプレイは、ディスプレイ媒体に圧力をかけることによって上部から操作可能な抵抗膜式タッチスクリーンセンサの上部に貼り合わせられる。フレキシブルディスプレイの後方にタッチスクリーンセンサを設置することによって、ディスプレイの光学的品質はタッチスクリーンの金属および誘電層による有限光の吸収および反射によって損なわれることはない。いくつかの実施形態において、光学デザインは妥協せず、またはタッチスクリーンの機能性とディスプレイとを一体化するために、ディスプレイまたはタッチスクリーンの光学エンジニアリングが必要である。
【0025】
いくつかの実施形態により、抵抗膜式タッチスクリーンコンポーネント内に不透明導体材料を組み込むことができる。このような材料は、導電層のITOなどのように従来の透明材料の代替材料である薄い金属層となりうる。ITOまたは他の同様な脆性材料の使用は、このような材料が屈曲すると亀裂が入りやすいため、フレキシブルディスプレイ内に取り込むには好ましくない。現在のタッチスクリーン技術においてITOを使用する主な利点は、ITOが高導電性であるが、高透明性でもあり、したがってユーザにとって高度な光学的な透明度を可能にする有益な材料であるということである。透明な材料の必要性については、特に重要であるため、先行技術において記載されている。しかしながら、ITOコーティングのコストは高く、これは原材料、特にインジウムなどの天然資源が希少であるため、将来的にコストが増大することが予想される。本発明の実施形態において、タッチスクリーンの機能性を実現するために透明な導体を使用する必要はなく、導電性高分子などのフレキシブル基板の一体化に適した任意の金属、または銅やアルミニウムなどの低コストの薄膜真空または溶液堆積された無機金属の採用が可能である。
【0026】
さらなる実施形態において、デバイス構成におけるタッチスクリーン構造の全体的な厚みは、上側高分子膜の必要性をなくすことによって低減してもよい。この構成において、タッチスクリーンの上側導電層はフレキシブルバックプレーンの底面に直接堆積される。
【0027】
別の実施形態において、バックプレーンは抵抗膜式タッチスクリーンコンポーネントの上側導電層に直接処理される。このようなデバイスデザインにより、バックプレーンに対して別々の基板を使用する必要はなくなり、トランジスタはタッチスクリーンコンポーネントの上側導電層に作製される。
【0028】
以下、本発明の理解を容易にするために、その一例として添付した図面を参照しながら本発明の特定の実施形態について記載する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】当業者に公知のタッチスクリーン構造の構成を示す。
図2】本発明の1つの実施形態によるフレキシブルディスプレイの下方にタッチスクリーンコンポーネントを組み込んだ抵抗膜式タッチスクリーン構造のデバイス構成を示す。
図3】抵抗膜式タッチスクリーンデバイス構造の下方に組み込まれた抵抗膜式タッチスクリーンコンポーネントの要素を示す。
図4】本発明によるフレキシブルディスプレイの基板の背部にタッチスクリーンセンサの上側電極が堆積されたフレキシブルディスプレイの下方に組み込まれた抵抗膜式タッチスクリーンコンポーネントの要素を示す。
図5】タッチスクリーンコンポーネントにフレキシブルディスプレイバックプレーンが直接処理されたフレキシブルディスプレイの下方に組み込まれた抵抗膜式タッチスクリーンコンポーネントの要素を示す。
図6】薄膜トランジスタおよびフレキシブル基板を示し、溶液堆積に適したアクティブマトリックスディスプレイデバイスの断面図および平面図をそれぞれ示す。
図7a国際公開第2004/070466号パンフレットに記載されたアクティブマトリックスピクセルの断面図である。
図7b国際公開第2004/070466号パンフレットに記載されたアクティブマトリックスピクセルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、広義に言えば、タッチセンサが一体化されたフレキシブルディスプレイデバイスについて記載し、ディスプレイの光学的な透明度を損なうことなく、フレキシブルディスプレイの下方に抵抗膜式タッチスクリーンコンポーネントを配置し、それによって100%の光学的な透明度を生じさせる。フレキシブルディスプレイは、フレキシブルバックプレーンと接触した状態でフレキシブル基板上にフレキシブルディスプレイ媒体を組み込んだものであり、フレキシブル基板はディスプレイ媒体に圧力をかけることによってデバイスを上部から作動可能にするものである。フレキシブルディスプレイ媒体およびディスプレイバックプレーンは、抵抗膜式タッチスクリーンコンポーネント上にわたって貼り合わせられている。
【0031】
図面を参照すると、図2は、フレキシブルバックプレーン102上にわたって貼り合わせられたディスプレイ媒体101を組み込んだ抵抗膜式タッチスクリーン構造のデバイス構成を示している。ディスプレイ媒体の寸法は、以下にさらに記載するように、超薄のものであることが好ましい。電気泳動ディスプレイ媒体がデバイス構造内に組み込まれ、バックプレーン上にわたって設置されることが好ましい。バックプレーンは、図2に示すように、フレキシブル基板102bを内蔵している。フレキシブル基板102bは、ガラス、ポリイミド(PI)またはフレキシブル金属箔の薄層のいずれかであればよいが、フレキシブル基板はポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレン(PEN)などの高分子膜から形成されることが好ましい。次いで、ディスプレイ媒体101およびディスプレイバックプレーン102は、感圧接着剤(PSA)を利用することにより、抵抗膜式タッチスクリーン103上にわたって貼り合わせられている。
【0032】
フレキシブルディスプレイの裏側にタッチスクリーンコンポーネントを組み込むことによって、光学的な透明度が達成される。図3は、デバイスの下側に設置された抵抗膜式タッチスクリーンコンポーネント103の要素を示す。下部基板108上にわたって、導電性の下側層107が堆積される。また、下部基板108は、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレン(PEN)などのフレキシブル基板であることが好ましい。一般に、下部基板108の選択は、以下に示す他の基板ほど、タッチスクリーンの操作にはあまり重要ではない(以下の記載を参照されたい)。
【0033】
下側の導体層上にわたって、絶縁性のスペーサドット層106が配置された後、導電性材料からなるさらなる上側層105が設けられ、この層は導体材料からなる下側層と同じ材料のものであってもよい。スペーサドットは、前記下側および上側の導体層105、107を分離するために、導電層間に配置されている。上側フレキシブル基板膜104はPETまたはPENなどのプラスチック基板、鋼などの薄い金属箔基板、または薄いガラス基板などであるが、これらに限定されるものではない。上側フレキシブル基板膜104が前記コンポーネントの上側基板を形成することによって、抵抗膜式タッチスクリーンコンポーネントを完成する。上側基板材料の好ましい厚みは、上部からかけられる局所的な圧力に対してタッチスクリーンの感度が最適なものとなるために、25μm〜50μmの範囲である。
【0034】
本発明の実施形態において、タッチスクリーンの導電層105、107は、ITOなどの透明導体、または薄い金属層などの非透明導体材料のいずれかで作製することが可能である。ディスプレイの上部、すなわち、ユーザとディスプレイ媒体との間に抵抗膜式タッチスクリーンが設置されるデバイス構造とは対称的に、本願明細書に記載する構成ではユーザから隠れた位置にあるディスプレイの後方にタッチスクリーンがあるので、タッチスクリーンを透明にする必要がない。したがって、銅やアルミニウムなどの安価で不透明な金属をタッチスクリーンの電極に使用できる。この新規なデバイス構成において、延性金属の薄膜はITOなどの脆性セラミックを使用した場合よりもフレキシブルであることが多いので、抵抗膜式タッチスクリーンデバイスのフレキシビリティを高めるために、不透明な導電材料を使用できるという能力は有用である。さらに、導電層に金属材料を使用することにより、金属材料の薄膜が一般にITOよりも安価であることから、コスト削減の効果が狙える。さらに、金属層の使用は、ITOより金属材料で達成される伝導率レベルが高くなることがあるので、タッチスクリーンコンポーネント内の一般的な性能改善に効果が見られることもある。
【0035】
上部からかけられた圧力に対するタッチスクリーンの感度を良好なものにするために、タッチスクリーンの上側基板104およびフレキシブルバックプレーンの基板102b、さらにディスプレイ媒体101は、製造中および操作中に十分な機械的完全性および剛性を維持しながら、可能な限り薄いものでなければならない。これらの基板の厚みは、10〜250μm程度であることが好ましく、20〜200μm程度であることがより好ましい。特に好ましい厚みは、およそ175μmである。
【0036】
本発明の抵抗膜式タッチスクリーンデバイスの構成により、デバイスの薄膜トランジスタのアレイを備えたディスプレイのバックプレーンがデバイスの中立軸に確実に設置されるようにするために、全デバイススタックのさまざまな層の厚み、特に、基板108、104、102bの厚みとディスプレイ媒体およびその支持体の厚みを変更できる。この中立軸内にトランジスタを設置することによって、抵抗膜式タッチスクリーンデバイスが屈曲する際にバックプレーンにかかる応力が確実に最小限に抑えられる。他の形態において、デバイスの中立軸は、屈曲中に機械的ダメージ、破損または層間剥離を最も受けやすい構造の別の層内にあるようにデザインされることができる。
【0037】
本発明の実施形態において、タッチスクリーンの上側基板104の必要性をなくすことによって、新規なデバイス構成におけるタッチスクリーン構造全体の厚みを削減してもよい。この構成において、抵抗膜式タッチスクリーンの上側導電層105はフレキシブルバックプレーン102b(図4を参照)の底面に堆積される。これは以下のようにして達成することができる。まず、フレキシブルバックプレーンの製造ステップの一環として、基板102bの底部に導電性電極および相互接続のセットをパターン化し、それに引き続いて、従来のタッチスクリーンの上側および下側基板108および104に接触させるために現在使用されているプロセスと同様の貼り合わせプロセスを用いて、フレキシブルバックプレーンをタッチスクリーンの下部基板108に貼り合わせることによって達成できる。他の形態において、アクティブマトリックストランジスタアレイの製造プロセスにおいて、基板として完成したタッチスクリーンラミネートを使用することによって、タッチスクリーンの上側基板104の上部に直接フレキシブルバックプレーンを作製することも可能である。
【0038】
デバイスの全体的な厚みをさらに薄くするために、図5に示すように、デバイスのトランジスタを備えたフレキシブルバックプレーン102は抵抗膜式タッチスクリーンコンポーネントの上側導電層に直接処理されてもよい。電気絶縁を与えるために、タッチスクリーンの上側導電層105とフレキシブルバックプレーンの電気活性層との間には、薄い誘電体分離層109を堆積させる。この分離層の厚みは、およそ1〜20μmであることが好ましい。また、タッチスクリーンの表面を平坦化するためにも使用することができる。このように、バックプレーンを支持するために、別の基板が必要なくなることで、ディスプレイ要素を通してかけられる圧力に対してタッチスクリーンの感度がさらに改善する。
【0039】
本発明の1つの好ましい実施形態において、抵抗膜式タッチスクリーンコンポーネント103の上側に、抵抗膜式タッチスクリーンディスプレイデバイスのバックプレーン102が形成される。完成ディスプレイは、アクティブマトリックス駆動装置を用いて作製される。
【0040】
前記バックプレーンは、トランジスタのアレイを備えている。図6に、1つの例示的なトランジスタを示している。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、バックプレーンに内蔵されるトランジスタのアレイを形成する各トランジスタは、以下の方法、すなわち、ソースおよびドレイン電極111、112を形成するために、基板110上に導電材料を堆積してパターン化する方法によって製造してもよい。好ましくは、ガラスまたは高分子膜のいずれかから形成されるフレキシブル基板を使用してもよいが、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレン(PEN)などのプラスチック基板102bを使用することが好ましい。パターン化された導電層111、112は、PEDOTなどの導電性高分子、または金または銀などの金属材料を備えている。層111、112は、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、バーコーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、インクジェット、グラビア、オフセットまたはスクリーン印刷などの溶液処理技術によって堆積され、パターン化されてもよい。他の形態では、蒸着およびスパッタリングなどの真空堆積技術とともに、フォトリソグラフィ技術を用いてもよい。
【0041】
次いで、ソースおよびドレイン電極を形成するために導電層がパターン化されると、半導電材料層113が、基板およびパターン化された電極上にわたって堆積されてもよい。半導電層は、ポリアリルアミン、ポリフルオレンまたはポリチオフェン誘導体などの半導電高分子、ペンタセンなどの小分子有機半導体またはCdSe、ZnOまたはシリコンベースのナノワイヤなどの溶液処理可能な無機材料などであるが、これらに限定されるものではない真空または溶液処理可能な有機または無機半導電材料を備えていてもよい。半導電材料を堆積するために、インクジェット印刷、ソフトリソグラフィ印刷(ジェイ・エー・ロジャーズら(J. A. Rogers et al.)、Appl.Phys.Lett.75,1010(1999)、エス・ブリテンら(S. Brittain et al.)、Physics World May 1998、p.31)、スクリーン印刷(ゼット.バオら(Z. Bao, et al.)、Chem.Mat.9、12999(1997))オフセット印刷、ブレードコーティングまたはディップコーティング、カーテンコーティング、メニスカスコーティング、スプレーコーティングまたは押し出しコーティングなどを含むが、これらに限定されるものではない広範囲の印刷技術が用いられてもよい。他の形態において、半導電層は、薄い連続膜として堆積されてもよく、フォトリソグラフィ(国際公開第99/10939号パンフレットを参照)またはレーザアブレーションなどの技術によって減じてパターン化してもよい。
【0042】
次いで、層状基板に、ゲート誘電材料層114が堆積される。ポリイソブチレンやポリビニルフェノールなどの材料は、誘電材料として使用されてもよいが、ポリメチルメタクリレート(PMMA)およびポリスチレンを使用することが好ましい。誘電材料は、スプレーコーティングまたはブレードコーティングなどの技術で堆積されるが、これらに限定されるものではない技術によって、連続層の形態で堆積されてもよい。しかしながら、スプレーコーティングの技術を用いることが好ましい。
【0043】
次いで、誘電体層を堆積させた後に、ゲート電極115および相互接続ラインの堆積が続く。ゲート電極の材料は、金などの無機金属または銅やアルミニウムなどの安価な金属の薄膜であってもよい。ゲート電極は、スパッタリングや蒸着技術などの技術、またはスピン、ディップ、ブレード、バー、スロットダイ、グラビア、オフセットまたはスクリーン印刷などの溶液処理技術を用いて堆積される。他の形態において、無電解堆積技術またはレーザアブレーションを用いてもよい。
【0044】
トランジスタは、データ電極、ゲートアドレッシング電極および共通電極を有するアクティブマトリックスアレイの形態で作製される。アレイの各ピクセルは、1つ以上のトランジスタを含んでいてもよい。ディスプレイ要素に電圧または電流のいずれかを印加することによってディスプレイ要素の状態を制御するために、トランジスタの電極の少なくとも1つが電気活性ディスプレイ要素に連結される。この電気活性ディスプレイ要素は電気泳動、エレクトロクロミックまたは電子ペーパーディスプレイピクセル、液晶ディスプレイピクセルまたは有機発光ダイオードなどであるが、これらに限定されるものではない。ディスプレイ媒体は、タッチスクリーンコンポーネントに不透明金属を使用しやすくするために、反射ディスプレイ媒体であることが好ましい。しかしながら、ITOなどの透明導体からタッチスクリーンが作製される場合に、ディスプレイ媒体は透過媒体でありうる。
【0045】
最後に、完成バックプレーンおよび下地抵抗膜式タッチスクリーン構造に、ディスプレイ媒体コンポーネント1が取り付けられる。ディスプレイ媒体は、フレキシブルバックプレーン基板に直接堆積される。例えば、上面発光型の高分子発光ディスプレイ媒体の場合、光学的にアクティブな高分子は、透明な上部陰極および透明なカプセル化層の堆積前に、アクティブマトリックスのピクセル位置内にインクジェット印刷されうる。電気泳動ディスプレイ媒体の場合、透明な導電性電極とともに上部基板に堆積された電気泳動インク膜はフレキシブルバックプレーンと貼り合わせられる。
【0046】
図7aおよび図7bは、本願出願人の国際公開第2004/070466号パンフレットからのものであり、液晶や電子ペーパーなど、ディスプレイ媒体が電圧制御された場合のアクティブマトリックスピクセルの断面図および平面図を示す。図7aは、ピクセルコンデンサを含むトランジスタ制御されたディスプレイデバイスの側面図を示す。このディスプレイデバイスは、基板701と、連続層であってもパターン化されたものであってもよい半導体702(同図において、半導体はトランジスタチャネルを覆うようにパターン化されている)と、データライン703と、ピクセル電極704と、トランジスタ誘電体705と、ゲート電極/ゲート相互接続706と、ディスプレイ媒体707(例えば、液晶または電子ペーパー)と、ディスプレイ媒体の対向電極708とを有する。この例において、ディスプレイ媒体の状態は、媒体にわたって電界によって決定され、デバイスの切り換え可能エリア709が、ピクセル704と上部電極708との間の電圧差によって切り換えられる。
【0047】
国際公開第2004/070466号パンフレットは、溶液堆積技術(インクジェット印刷、スクリーン印刷およびオフセット印刷など)を用いて、硬質基板上におけるディスプレイの作製について記載しているが、上述したように、溶液堆積技術を用いて、プラスチック基板などのフレキシブル基板上に、同様にディスプレイを作製することができる。本願出願人の同時係属中の英国特許出願第0570173.8号明細書、同第0506613.9号明細書、同第0511117.4号明細書において、フレキシブル基板に堆積するための溶液堆積技術のうちさらなる好ましい態様のいくつかを記載しており、特に、同出願の内容全体は、本願明細書に参照することにより援用されたものとする。 フレキシブルディスプレイが、タッチスクリーンと接触した状態になると、2つのコンポーネントは、ディスプレイデバイスの規定エリアにかかる圧力がタッチスクリーンの正確な領域を確実に活性化するために、互いに対して位置合わせされていなければならない。これは、2つのコンポーネントを貼り合わせる前に、光学的なアラインメントを行うことによって達成することができる。フレキシブルバックプレーンの層およびタッチスクリーンの層の少なくとも1つが同じ基板に堆積される作製プロセスの場合に、タッチスクリーンの層およびフレキシブルバックプレーンの層は、これらの層をパターン化する間、互いに対して整列される。
【0048】
本発明は、前述の例に限定されるものではない。例えば、抵抗膜式タッチセンサの使用について記載したが、導入部で述べたような他のタッチセンシティブ技術が採用されてもよい。
【0049】
本発明の態様は、本願明細書に記載される概念のすべての新規および/または進歩的な態様と、本願明細書に記載される特徴のすべての新規および/または進歩的な組み合わせを含んでいる。本願出願人は、本願明細書において、独立して、本願明細書に記載する各個々の特徴および2つ以上のこのような特徴の任意の組み合わせを開示し、このような特徴または特徴の組み合わせが、本願明細書に開示された任意の問題を解決するかどうかにかかわらず、特許請求の範囲に限定されることなく、当業者の一般知識を考慮すると、概して本願明細書に基づいて実行可能である。本発明の態様は、任意のこのような個々の特徴または特徴の組み合わせを含むものであってもよい。前述した記載を考慮して、本発明の範囲内でさまざまな修正がなされてもよいことは、当業者に明らかなことであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b