(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遠心分離ステップの後で第3の画分を攪拌するために、フロートの内側隔離チャンバ内部に配置された磁気攪拌棒を作動するステップをさらに有してなる、請求項1記載の方法。
前記フロートが、前記フロートから少なくとも1つのターゲット成分を採取するために前記フロートの前記内側隔離チャンバと開放連通した開口手段を含む、請求項5記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
各図において、種々の図面における同様な参照番号は同様な部品を示しており、符号10は体液の成分を分離および隔離するための装置の実施例を表しており、また参照符号310は体液の成分を分離および隔離するための装置の他の実施例を表している。
【0024】
図1を参照して、1つの実施形態において、装置10は、主要な遠心分離チューブつまり容器12、複数ないし多くの成分を有する体液を受容し含有するための収納容器48を規定するために容器を選択的に閉じるためのチューブキャップ組立体46、収納容器をフロート組立体130より下の第1つまり下側の容量領域260とフロート組立体130より上の第2つまり上側の容量領域262とに分割するフロート組立体130、およびフロート組立体130と共に上下移動するためにグルグル巻き構造や伸縮構造によってフロート組立体130とチューブキャップ組立体46との間に機能的つまりその機能を果たすようにそれぞれ連結された可撓性チューブ124から構成される。
【0026】
より詳しくは、
図1及び2を参照して、主要な遠心分離チューブないし容器12は、閉じた底端14、開いた(開口した)上端18を規定する実質的に平らな環状の上端16、および閉じた底端14と環状の上端16との間に延在する円筒状の側壁20から構成される。円筒状の側壁20は、外側の円筒面22と、チューブ124の中央長手軸28に沿って延在する円筒形状の格納用チャンバ26を規定する内側の円周状ないし円筒状の面24とを含んでおり、このチューブも装置10の中央長手軸に存在する。
【0027】
1つの実施例において、閉じた底端14は、内面30と外面32を有する実質的にディスク形状つまり円板状の部材として形成される。内面30は、円筒状の側壁20の内側円筒面24内に移行する内側の丸みが付けられた端を含んでいる。同様に、外面32は、円筒状の側壁20の外側の円筒面22内に移行する外側の丸みが付けられた端を含んでいる。更に、閉じた底端14は、選択的に、円筒状の側壁20と一体形成する構成、または 側壁20に蓋をする構成としても良い。
【0028】
さらに、チューブは、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成される。1つの実施例において、チューブ12は、これに限定されないが、ポリカーボネートあるいはポリスチレンなどの材料から構成される。
【0030】
さらに
図1と2を参照して、チューブ12は、主要な遠心分離チューブ12内に同軸的に配置されると共に閉じた底端14に連絡または一体形成された円形の底端36から構成される端部が開いた(開口した)中空の円筒状の離隔部材34、開いた(開口した)上端40を規定する円形の上端38、および円形の底端36と円形の上端38との間に延在する円筒状の側壁42をさらに有している。円筒状の側壁42は、主要な遠心分離チューブ12の中央長手軸28に同軸状に配置された円筒形状の受容チャンバ45を規定する内面44を含んでいる。1つの実施例において、離隔部材34は、主要な遠心分離チューブ12の外径と高さより実質的に共に小さい外径と高さを有している。離隔部材34の機能ないし役目は、以下に詳しく説明する。さらに、1つの実施例において、離隔部材34は、これに限定されないが、主要な遠心分離チューブ12と同じ材料で構成される。
【0032】
図3を参照して、1つの実施例において、装置10は、チューブキャップ50、疎水性の空気フィルタ80、入口バルブ86、出口つまり抽出バルブ100、およびバーブ継手(barb fitting)114から構成されるチューブキャップ組立体46をさらに有している。
【0034】
図3から5を参照して、チューブキャップ50は、チューブキャップ50の上側面54から上側環状部52より小さい直径を有すると共にチューブキャップ50の下側面58で終端している下側環状部56まで延在する上側環状部52を有している。上側環状部52は円筒状の側壁20の環状上端16まで延在して隣接しており、一方、下側環状部56は、チューブキャップ50と主要な遠心分離チューブ12との間で連結を提供し、チューブキャップ50が開いた上端18に嵌合し、この上端内で定位置に維持されるように、円筒状側壁20の内側の円筒状面24まで延在し締まりばめを形成している。1つの実施例において、チューブキャップ50は主要な遠心分離チューブ12に医学的に接着ないし接合されている。
【0035】
チューブキャップ50はまた、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成される。1つの実施例において、チューブキャップ50は、これに限定されないが、ポリカーボネート材料から構成される。
【0036】
図3から
図5を続けて参照して、チューブキャップ50はさらに、チューブキャップ50の上側環状部52に取付ないし一体形成された通路ハウジング60を有している。通路ハウジング60は、チューブキャップ50の上側面54から上方に延在しており、また、通路分岐屈曲部66とチューブキャップ50の下側面58内に凹みが付けられ配置されたハウジング入口ポート68との間に延在する第1の通路分岐66を有する、L形状の通路62を含んでいる。同様に、L形状の抽出用通路62の第2の通路分岐70は、通路分岐屈曲部66と通路ハウジング60のハウジング側壁74内に配置されたハウジング出口ポート72との間に延在している。第2の通路分岐部70は、ハウジング出口ポート72から離れる方向に延在し、分岐屈曲部66に到達する前に終端している。
【0037】
チューブキャップ50は、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成される。1つの実施例において、チューブキャップ50は、これに限定されないが、ポリカーボネートあるいはポリスチレンなどの材料で構成される。
【0038】
さらに、チューブキャップ50は、通路ハウジング60の一方の側に隣接しチューブキャップ50を通って配置された入口バルブ開口部76と、通路ハウジング60の他方の側に隣接しチューブキャップ50を通って配置された空気フィルタ開口部78とをさらに含んでいる。
【0039】
空気フィルタ80、入口バルブ86、抽出バルブ100、バーブ継手114
【0040】
図3から
図5をさらに参照して、チューブキャップ組立体46は、空気フィルタ開口部78内に配置されると共に、空気フィルタ開口部78を囲繞する場所においてチューブキャップ50の上側環状部52内に配置された凹みが付けられた棚部84内に配置された疎水性の空気フィルタ80を有している。
【0041】
疎水性の空気フィルタ80は、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成される。1つの実施例において、疎水性の空気フィルタ80は、これに限定されないが、PETフィルタ材料を備えたポリプロピレン材料で構成される。疎水性の空気フィルタ80の一例として、Qosina製の部品番号X5009が市販されている。
【0042】
さらに、チューブキャップ組立体46は、雄ネジ90を有する従来の雄側ルアーロック頭部(male luer lock head)88を含む、入口バルブ86を有している。頭部88は筒状本体94の肩部92内に移行し、この本体は下側96で終端すると共に下側のテーパ付き端部98内に移行する。入口バルブ86の下側のテーパ付き端部98は、入口バルブ86の下側96がチューブキャップ50の上側面54に接するまで、入口バルブ開口部76を通って配置される。
【0043】
さらに、チューブキャップ組立体46は、出口ないし抽出バルブ100を有しており、このバルブは、1つの実施例において、雄ネジ104を有する従来の雄側ルアーロック頭部102を含んでいる。頭部102は円筒状本体108の肩部106内に移行し、この本体は下側110で終端すると共に下側のテーパ付き端部112内に移行する。抽出バルブ100の下側のテーパ付き端部112は、抽出バルブ100の下側110が通路ハウジング60のハウジング側壁74に接するまで、ハウジング出口ポート72を通って配置される。
【0044】
入口バルブ86および出口ないし抽出バルブ100は共に、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成される。1つの実施例において、入口バルブ86と出口ないし抽出バルブ100の両方は、これに限定されないが、シリコンゴム製のインサート材を備えたポリカーボネート材料で構成される。入口バルブ86と出口ないし抽出バルブ100の一例として、Halkey−Roberts製の部品番号245501024が市販されている。
【0045】
さらに、チューブキャップ組立体はバーブ継手114を有しており、この継手は、1つの実施例においてはハウジング入力ポート68内に配置された短い円筒状部分116、短い円筒状部分116から移行すると共にハウジング入力ポート68を囲繞する位置において下側の環状部56内に配置される凹みが付けられた棚部120に隣接するフランジ118、およびフランジ118から移行すると共に
図1に示したように巻かれたチューブ124の上端126に動作可能に連結された係止部を具えた端部122を含んでいる。一方、巻かれたチューブ124は、以下に詳細に説明するように、フロート組立体130に連結された下端部128を含んでいる。
【0046】
バーブ継手114はまた、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成される。1つの実施例において、バーブ継手114は、これに限定されないが、ABS材料から構成される。バーブ継手114の一例としては、Value Plastics,Inc.製の部品番号BDMR210−81として市販されている。
【0048】
図1および6を参照して、上述した通り、装置10はフロート組立体130を有しており、この組立体は二重密度面下での漏斗および分離(dual density subsurface funnel and isolation)用のフロート組立体130として規定され、容器12内にスライド自在に配置され、以下に詳細に説明するように、また容器12を、フロート組立体130より下側の第1ないし下側の容量領域260と、フロート組立体130より上側の第2ないし上側の容量領域262と、フロート組立体130内の隔離チャンバ208により規定される隔離ないし第3の容量領域に分割する。
【0049】
1つの実施例において、フロート組立体130は、フロート本体134とフロートキャップ194とから構成される漏斗および隔離フロート132、アンブレラバルブ234の形態の第1のチェックバルブ(逆止弁)手段、およびダックビルバルブ248の形態の第2のチェックバルブ(逆止弁)手段から構成される。漏斗フロート132は複数ないし多くの要素ないし構成部材として、あるいは単一の統合的な要素ないし構成部材として作製することができる。
【0051】
より詳しくは、
図6および7を参照して、フロート本体134は、円形底面136、錐台(円錐)形状の上部頂面138、および円形底面136と錐台形状の上部頂面138との間に延在するフロート側壁140とを有している。円形底面136は、実質的に平らであるか、あるいはフロート本体134の中央長手軸168に向かってテーパ状(先細り)とすることができる。
【0052】
フロート側壁140は、円形底面136の円形外縁144と錐台形状の上部頂面の円形の外縁146との間に延在する外側の円周ないし円筒状の面142を含んでいる。フロート側壁140の外側円周面142は、フロート側壁140の外側円周面142とチューブ12の内側の円周面24との間に円周ギャップ(間隙)148を規定するために、主要な遠心分離チューブ12の内側の円周面24により規定される直径よりも小さい直径を規定する。
【0053】
更に、フロート側壁140は逆ドーム形状ないし半球形の空洞152を規定する内側の半球面150を含んでおり、この空洞は、半球面150の丸みが付けられた底部セクション154から、逆ドーム形状の空洞152の環状の開口158を規定する上部環状棚156に延在する。上部環状棚156は、逆ドーム形状の空洞152を囲繞する開口端を有する円筒状の空洞162を規定する内側の円筒状面160内に移行し、これにより、環状開口158も同様に円筒状の空洞162の下側の開口を規定する。同じく、内側の円筒状面160は環状棚156から錐台形状の上部頂面138の円形の内側端部164まで延在している。円形の内側端部164は、円筒状の空洞162と錐台形状の上部頂面138との間に環状の開口166を規定ないし境界を定め、これにより、開口166は円筒状の空洞162の上部開口および錐台形状の上部頂面138の下側開口を規定する。
【0054】
さらに、フロート本体134は、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成される。1つの実施例において、フロート本体134は、これに限定されないが、ポリスチレンやポリカーボネートなどの種類の材料から構成される。
【0056】
図7から9を参照して、フロート本体134はさらに、逆ドーム形状の空洞152とフロート組立体130の下側の第1ないし下側の容量領域260との間で開放流体連通(開かれた流体連絡)を行うために、フロート本体134の内側の半球面150の丸みが付けられた底部セクション154内に配置された第1の円形出口ポート172と、フロート本体134の底面136内に配置された第2の円形出口ポート174との間に延在する、出口通路170を有している。さらに、1つの実施例において、第1および第2の円形出口ポートは、フロート本体134の中央長手軸168により規定される共通の軸を有している。また、第2の円形出口ポート174は環状の肩部176により囲繞されており、この肩部はフロート本体134の底面136を通って配置された環状の凹みが付けられた領域178内に落ち込んでいる。
【0057】
図7から9をさらに参照して、フロート本体134はさらに、第1の分岐部182、第2の分岐部184、および分岐屈曲部186の間に規定されるL形状の抽出通路180を有している。第1の分岐部182は、外側の円周面142とフロート側壁140の両方に漏斗フロート本体134の中央長手軸168に実質的に垂直な角度で孔を設けることで形成され、外側の円周面142はその後にプラグ145で栓がされる。第2の分岐部184は、錐台形状の上部頂面138とフロート側壁140の両方に孔を設けることで形成され、屈曲部186において第1の分岐部182で終端し、また漏斗フロート本体134の中央長手軸168と実質的に平行な角度である。L形状の抽出用通路180は、半球面150内に配置された涙形ポート188と錐台形状の上部頂面138内に配置された円形のポート190との間に延在し且つ開かれた流体連絡(流体連結)を行っている。第2の分岐部184の上側部192は、巻かれたチューブ124の下端128を受容するために円形ポート190の付近の直径が増大しており、逆ドーム形状の空洞152と抽出バルブ100との間の開放流体連通(開かれた流体連通)を得るために、このチューブはその上端126がバーブ継手114のバーブ端部122に連結されている。
【0059】
図10から13を参照して、漏斗および隔離フロート132は、フロートキャップ194をさらに有しており、このキャップは、円形底面196、錐台形状の下側頂面198、および円形底面196と錐台形状の下側頂面198との間に延在するフロートキャップ円周側壁200を有している。
【0060】
円周側壁200は、円周底面196と錐台形状の下側頂面198の円形外縁206との間に延在する外側の円周ないし円筒状面202を含んでいる。
【0061】
図6に例示したように逆ドーム形状の隔離チャンバ208を規定し、逆ドーム形状の空洞152の円形開口158を閉じるために、フロートキャップ194は、フロート本体134の円筒状の空洞162の内部に適合ないし嵌合する補足的な形状および大きさである。
【0062】
更に、
図6と10を参照して、フロートキャップ194の錐台形状の下側頂面198は、漏斗および隔離フロート132の円錐ないし漏斗形状の面210を規定するためにフロート本体134の錐台形状の上側頂面138の下側の連続性を提供しており、また円錐ないし漏斗形状の空洞212を規定している。1つの実施例において、錐台形状の上側頂面138と下側頂面198は互いに連続しており、これにより、漏斗形状の面210は、漏斗形状の上側頂面138の円形外縁146から錐台形状の下側頂面198の下側の円形縁214まで、均一にテーパ状(先細り)となっている。1つの実施例において、下側頂面198をより急なテーパ状としても良い。
【0063】
漏斗形状面210は、錐台形状の上側頂面138の円形外縁146から錐台形状の下側頂面198の下側円形縁214まで内方にテーパ状となっており、漏斗形状の面210はフロートキャップ194の漏斗チューブ部216内に移行している。漏斗チューブ部216は、フロートキャップ194の中央領域を通って延在する中央の端部が開いた(開口した)円筒状の開口218を規定している。また、少なくとも1つの漏斗流体通路220が、錐台形状の下側頂面198内に配置された漏斗ポート222(
図11)とフロートキャップの底面196内に配置された入口ポート224(
図12)との間で漏斗フロートキャップ194を通って、漏斗形状の空洞212に隣接した位置に配置されており、これにより、漏斗形状の空洞212と逆ドーム形状の隔離チャンバ208との間に開放連通(開かれた連通:連通路が開いた状態)が提供される。1つの実施例において、4つの漏斗流体通路220があり、これら通路はそれぞれのポート222、224の間に連結されると共に漏斗チューブ部216の回りに90°の間隔で等間隔で離間している。
【0064】
さらに、1つの実施例において、
図11に例示したように、漏斗流体通路220は、その形状が略三角形であり、凹んだ頂点は漏斗チューブ部216に隣接して配置された丸みが付けられた端を有しており、また凹んだ基部は漏斗チューブ部216から遠位に配置されて丸みが付けられた端を有している。さらに、1つの実施例において、漏斗形状の面210は、フロートキャップ194の中央軸226(
図13)に対して垂直な平面から約30°の下り傾斜を好ましくは有している。よって、これにより、漏斗面は約120°の開口を有している。
【0065】
さらに、
図12と13を参照して、フロートキャップ194の円形底面196の1つの実施例は、中央の端部が開いた(開口した)円筒状開口218と複数の漏斗流体通路220を囲繞する実質的に平らな面228から移行すると共に、漏斗キャップ134の中央軸226に垂直な平面から約5°の下り傾斜を有する環状部230、および環状部230から移行する実質的に平らな環状の底部端面232を有している。
【0066】
また、フロートキャップ194は、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成される。1つの実施例において、フロートキャップ194は、これに限定されないが、ポリスチレン類の材料から構成される。
【0068】
図6と14を参照して、この1つの実施例において、フロート組立体130は、弾性のアンブレラバルブ234の形態の第1の一方向弁ないし逆止弁をさらに有しており、この一方向弁は、アンブレラバルブ234にかかる体液の圧力差に基づいて漏斗流体通路220を選択的に開閉するために使用され、これにより、漏斗形状の空洞212から逆ドーム形状の隔離チャンバ208への流体の流れを制御する一方、逆ドーム形状の隔離チャンバ208から漏斗形状の空洞212へのアンブレラバルブ234を介しての流体(体液)の逆流を妨げる。よって、アンブレラバルブ234は、アンブレラバルブ234に加わる体液の圧力差に応じて、フロート上部の第2ないし上側の容量領域262から、逆ドーム形状の隔離チャンバ208により規定された第3の容量領域ないし隔離領域への、体液の一方向の流れを提供する。
【0069】
より詳しくは、1つの実施例において、アンブレラバルブ234は、略円形の天蓋ないしドーム236から構成され、このドームは、応力を受けていない位置では、中央に位置するステム(棒)238に略垂直に延在する。ステム238は球状部240を含んでおり、この球状部の上にはテーパ状のシャフト部242がある。1つの実施例において、アンブレラバルブ234は全体が単一で、一体的な構成のものである。
【0070】
図6,10,12,および14を参照して、アンブレラバルブ234は、フロートキャップ194を通って配置された中央の端が開いた(開口した)円筒状開口218を通ってステム238を固定することにより、フロートキャップ194に取り付けられている。これは、天蓋236と球状部240との間のステム238の長さを円筒状開口218の長さよりも大きい寸法とすると共に球状部の直径を円筒状開口218の直径よりも大きくすることで達成され、この結果、ステム238のテーパ状のシャフト部242がフロートキャップ194の底面196から円筒状開口218内に挿入され且つフロートキャップ194の錐台形状の下側頂面198から離れるように引っ張られ伸ばされた際に、弾性の球状部240は中央の端部が開いた円筒状開口218を通過し、フロートキャップ194の錐台形状の下側頂面198に隣接してその通常の形状に復帰し、これにより、アンブレラバルブ234を定位置に保持するためのアンカー(固定具)として機能する。アンブレラバルブ234を定位置に固定した後は、球状部240を保持したままテーパ状のシャフト部242は取り除いても良い。
【0071】
また、略円形の天蓋ないしドーム236は、応力を受けていない位置では、平らな下側の接触面244を含んでいる。よって、中央に位置するステム238が伸ばされた場合、軸方向の力が天蓋ないしドーム236に加わり、この結果、下側の接触面244は通常のタイト(密着状態)に伸ばされ、漏斗流体通路220を密封するためにフロートキャップ194の底面196の実質的に平らな面228に対して密封するように接触する。
【0072】
この構成において、弾性のアンブレラバルブ234は、逆ドーム形状の隔離チャンバ208に流入する流体(体液)を制御すると共にアンブレラバルブ234を経て逆ドーム形状の隔離チャンバ208から流出する流体(体液)を妨げる、一方向弁を提供する。特に、弾性のアンブレラバルブ234は、所定の圧力差つまりクラッキング圧下で開く、換言すれば、アンブレラバルブ234の所定ないし公知のクラッキング圧によって漏斗流体通路220内の圧力が、天蓋ないしドーム236の外面246上ないしこの下側よりも大きい場合に開く。従って、漏斗流体通路220における圧力により規定され、クラッキング圧よりも大きな量だけ天蓋ないしドーム236の外面246上の圧力よりも大きな正の圧力差がある場合、この圧力差により、柔軟性のある天蓋ないしドーム236は、フロートキャップ194の底面196から離れて下方に反転ないし曲がり、これにより、体液が逆ドーム形状の隔離チャンバ208内に通過するようになる。圧力差がクラッキング圧ないし開口圧より低いポイントないし時点になった後は、柔軟性のある天蓋ないしドーム236はその密封位置が漏斗流体通路220より下の位置に回復し、これにより、逆ドーム形状の隔離チャンバ208から体液がさらに入ることが妨げられる。
【0073】
1つの実施例において、アンブレラバルブ234は、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成される。1つの実施例において、アンブレラバルブ234は、これに限定されないが、シリコン類の材料から構成されるが、材料が処理される体液と適合性があり、また好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料であれば、どのような可撓性および柔軟性のある材料を使用しても良い。アンブレラバルブ234の一例としては、Vernay製の部品番号2510−102が市販されている。
【0075】
図6,7および15を更に参照して、1つの実施例において、フロート組立体130は、弾性のダックビルバルブ248の形態である第2の一方向弁ないし逆止弁をさらに有しており、このダックビルバルブは、ダックビルバルブ248に加わる体液の圧力差に基づいて、第1の円形出口ポート172と第2の円形出口ポート174との間に延在する出口通路170を選択的に開閉するために使用され、これにより、逆ドーム形状の隔離チャンバ208から第1ないし下側の容量領域260への流体(体液)の流れを制御する一方、ダックビルバルブ248を介しての第1ないし下側の容量領域260から逆ドーム形状の隔離チャンバ208内への流体(体液)の逆流を妨げる。よって、ダックビルバルブ248は、ダックビルバルブ248に加わる体液の圧力差に応じて、フロート内の隔離領域から第1ないし下側の容量領域260への体液の一方向の流れを提供する。
【0076】
1つの実施例において、ダックビルバルブ248は、出口通路170に連結されると共に、放射状に外方に突出する環状フランジ部252から、一対の弾性の密閉用唇部258により規定される細長い出口スリット256で終端する中空のV形状ないし収束部254に移行する、端部が開いた中空の円筒部250から構成される。これら弾性の密閉用唇部258は、ダックビルバルブ248を通って軸方向に延在する流体通路を通して、流体を一方向に流す目的でスリット256を開くために、離れるように形成してある。
【0077】
弾性の密閉用唇部258は、通常はスリットが閉じた位置に維持されている。そして、密閉用唇部258の上部に位置する中空のV形状ないし収束部の内部の圧力がダックビルバルブ248の所定のクラッキング圧によって弾性の密閉用唇部258の下側の流体圧よりも大きくなった場合、弾性の密閉用唇部258は広がり(開き)およびスリット256が開き、これにより、出口通路ないし開口170を通り、およびダックビルバルブ248の軸方向に延在する流体通路を通って、流体が下方向に流れることができるようになる。出口スリット256は、弾性の密閉用唇部258の下側または外面上の流体圧が弾性の密閉用唇部258の上部の流体圧よりも、ダックビルバルブ248のクラッキング圧以上、高い場合に閉じ、これにより、ダックビルバルブを通る流体の逆流が防止される。さらに、流体流れが停止あるいは逆方向である場合には、弾性の密閉用唇部258の外面上の流体により加わる背圧により、これら唇部が互いに密閉するように係合し、出口スリット256を閉じて、流体の逆流が防止される。
【0078】
組み合わされた状態では、ダックビルバルブの環状のフランジ部252はフロート本体134の底面136を通って配置された環状の凹みがつけられた領域178の内部に着座される一方、中空の円筒部250は環状の肩部176の上部に嵌合し、これにより、出口通路170はダックビルバルブ248の軸方向に延在する流体通路との連通が開いた状態となり、またダックビルバルブ248とフロート本体134との間の密封を維持するためにダックビルバルブ248とフロート本体134の環状の肩部176との間に加圧型の嵌合ないし連結がなされる。
【0079】
1つの実施例において、ダックビルバルブ248は、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成され、また、これに限定されないが、シリコン類の材料で構成される。しかしながら、処理される体液と適合性があり、また好ましくは、生分解性でガンマ線照射に対して安定性がある限り、十分に弾性および可撓性がある材料であるいずれかの材料を使用できる。この実施例のダックビルバルブの一例は、MiniValve International製の部品番号DU 054.001−154.01として市販されている。
【0081】
使用および操作の際には、各図を参照して、装置10は、最初に、多くの成分の体液サンプル(例えば、末梢血、骨髄穿刺液、血液成分、臍帯血、アフェレーシス血液製剤、吸引脂肪、精液、尿、母乳、腹水、浸出液、あるいは脳骨髄液)を受容するために、次のステップ、即ち、入口バルブ86の雄側ルアーロック頭部88からキャップ(蓋)85を取除くステップ、入口バルブ86の雄側ルアーロック頭部88に体液サンプルを含む従来の無針注射器270あるいは他の投入機器を連結するステップ、従来の無針注射器270あるいは他の投薬機器から装置10内に体液サンプルを注入ないし投入するステップ(
図16)、従来の無針注射器270あるいは他の投薬機器を入口バルブ86の雄側ルアーロック頭部88から分離するステップ、およびキャップ85を再び取付けるステップ、を行う。装置10に体液を供給する際には、空気フィルタにより収納容器48から空気を逃がす。
【0082】
受容した体液サンプルは、
図17に例示したように、漏斗形状の空洞212を含む逆ドーム形状の隔離チャンバ208の上部の第2ないし上側の容量領域262を満たし、またフロート側壁140の外側円周面142とチューブ12の内側円周面24との間に位置する円周状ギャップ148を介してフロート組立体130の下側の第1ないし下側の容量領域260に流れる。体液サンプルは、最初は、通常は閉じているアンブレラバルブ234および通常は閉じているダックビルバルブ248により、逆ドーム形状の隔離チャンバ208に流入ないし通過することが妨げられる。さらに、初期状態では離隔部材34の円筒形状の受容チャンバ45内の弾性のダックビルバルブ248を保護する一方で、チューブ12の閉じた底端14の内面30からフロート組立体130に最初の離昇を提供し、それらの間に形成される真空密閉を妨げるため、離隔部材34の円形の上端38はフロート組立体130のフロート本体134の円形底面136に隣接している。
【0083】
チューブ12とチューブキャップ50により規定される収納容器48の内部に体液サンプルが受容されたならば、装置10は、1以上の所定の時間ないし期間で且つ1以上の所定の速度で動作する、従来の遠心分離装置280内に配置される。1つの実施例で、体液サンプルとして血液を用いた場合において、従来の遠心分離装置280は約12から15分、約3200RPMで動作する。当然のことであるが、装置10により処理される特定の体液に対しては、1以上の時間間隔および1以上の速度が実験的ないし経験的に決定され、また体液によって適宜変更しても良い。
【0084】
装置10の最初の遠心分離に際しては、漏斗形状の空洞212内の体液はアンブレラバルブ234に次第に圧力を加え、これが原因でアンブレラバルブ234上の圧力差がアンブレラバルブ234のクラッキング圧よりも次第に大きくなり、これにより、1以上の漏斗流体通路220を通り逆ドーム形状の隔離チャンバ208の内部に流体(体液)が流れ、このためダックビルバルブ248に第2の圧力がかかるようになり、これによってダックビルバルブ248の圧力差がダックビルバルブ248のクラッキング圧よりも大きくなり、出口通路170を介して体液が逆ドーム形状の隔離チャンバ208から最初に流出するようになる。最初は、体液は逆ドーム形状の隔離チャンバ208を通って速く流れ、またサンプルが血液である場合はヘマトクリット値は最初は増すことはない。アンブレラバルブ234とダックビルバルブ248が共に開いた位置では、第1ないし下側の容量領域260内つまりフロート組立体130の下側の体液のカラム(column)の増大は続く。この体液のカラムが増大すると、装置10は特有の循環プロセスないし密度(濃度)フィードバックプロセスを提供し、このプロセスについて処理される体液の例として末梢血を使用して詳細に説明する。
【0085】
従って、末梢血のような体液は、カラムを作る各成分の密度(濃度)に基づいて層状になり、フロート本体134の底面136の直ぐ下側にある細胞は同様に層状化することを継続し、これにより、ダックビルバルブ248のレベルの上側の細胞密度はダックビルバルブ248のレベルの下側の細胞密度よりもダックビルバルブ248のクラッキング圧よりも小さい圧力差を提供する量だけ小さく、これによりダックビルバルブ248が閉じるようになる。この結果、赤血球が時間と共に逆ドーム形状の隔離チャンバ208の底部セクション154に蓄積するようになると共に塊になり、チャンバの底部セクション154に細胞が蓄積し、ダックビルバルブ248のレベルの直ぐ下側の細胞よりも大きな密度を持つようになる。これは、赤血球(赤色細胞)の密度が底部セクション154において増大するのと同時に、より大きな密度の細胞がチューブ12の底端14に向かって同様に移動するのでダックビルバルブ248の直ぐ下側の密度が減少するためである。よって、この密度が増大すると圧力差がダックビルバルブ248のクラッキング圧を超えるようになるのでこのバルブは次いで開き、これにより、赤血球が出口170を通って流れるようになり、第1ないし下側の領域260内の体液を置き換わり、これにより、フロート側壁140の外側の円周面142とチューブ12の内側の円周面24との間の円周ギャップ148を通って、流体が上方に押され、あるいは流体の急上昇が生じる。この上方への流体の流れは、白血球や血小板を含む体液のより軽量な成分をチューブ12の第1ないし下側の容量領域260からチューブ12の上側の容量領域262に戻す効果を有しておいる。これらのより軽量な成分はこれらが循環する第2ないし上側の容量領域262内の血漿よりも重く、よってこれらに含まれる白血球および血小板あるいは軟膜は、漏斗形状の空洞212を通って下に後退し、アンブレラバルブ234を通過し、逆ドーム形状の隔離チャンバ208内に収集される。このような細胞の循環プロセスつまり密度フィードバックプロセスは平衡になるまで続き、この平衡状態ではダックビルバルブ248の上部および下部の細胞の圧力差ないし密度差がダックビルバルブ248のクラッキング圧より小さくなってダックビルバルブ248が最終的に閉じるようになる。また、同様にアンブレラバルブ234の上部および下部の細胞の密度差がアンブレラバルブ234のクラッキング圧よりも小さくなってアンブレラバルブ234が最終的に閉じるようになり、これにより、装置10の特有の細胞循環プロセスないし密度フィードバックプロセスが終了する。
【0086】
従って、この細胞循環プロセスないし密度フィードバックプロセスにより、逆ドーム形状の隔離チャンバ208内に白血球あるいは興味のある他のターゲット成分を確保する多くの機会が得られ、これにより、公知の従来技術の装置と比べてより高い回収率が提供できる。
【0087】
遠心分離ステップに続いて、分離され隔離された体液成分を含む装置10は、遠心分離装置280(
図18)から取り外され、
図20に図式的に示したように従来の磁気攪拌機290に載置される。この攪拌機は次いで、次の採取ステップでの回収率を高める目的で隔離チャンバ208の内部の少なくとも1つの隔離されたターゲット成分を攪拌するために、作動つまり逆ドーム形状の隔離チャンバ208内部に配置された磁気攪拌棒292と協働するために、電力供給ないし電圧が加えられる。1つの実施例において、少なくとも1つの隔離されたターゲット成分ないし画分は約20秒の間だけ攪拌される。当然のことであるが、攪拌時間は体液毎に変化させても良く、また特定の体液に対する攪拌時間は実験的ないし経験的に決定される。
【0088】
攪拌ステップに続いて、少なくとも1つの隔離されたターゲット成分ないし画分の採取ステップが実行される。この採取ステップは、抽出バルブ100の雄側ルアーロック頭部102からキャップ99を取り外すステップ、抽出バルブ100の雄側ルアーロック頭部102に従来の注射器272あるいは他の抽出機器を連結するステップ、内側の半球面150の丸みが付けられた底部セクション154に配置された涙形ポート188に注射器103から真空を供給することによって逆ドーム形状の隔離チャンバ208から少なくとも1つの隔離されたターゲット成分ないし画分を採取するステップ、および、逆ドーム形状の隔離チャンバ208から、および涙形ポート188を介して、並びにフロート本体134内に配置された出口のL形状の抽出通路180、巻かれたチューブ124、バーブ継手114、L形状のハウジング通路62、抽出バルブ100の内部を通り、最終的に従来の注射器272の内部に、少なくとも1つの隔離されたターゲット成分ないし画分を採取するステップ(
図19)を有している。
【0089】
採取ステップが完了した後は、少なくとも1つのターゲット成分ないし画分の少なくとも1つの診断あるいは治療への応用ないし適用に備えて、従来の注射器103は抽出バルブ100の雄側ルアーロック頭部102から分離される。少なくとも1つのターゲット成分ないし画分を採取する際には、空気フィルタにより収納容器48の内部に空気が入る。さらに、採取ステップの間にアンブレラバルブのクラッキング圧に達した場合には、少なくとも1つのターゲット成分ないし画分の取り除かれた量ないし体積と置換するために、逆ドーム形状の隔離チャンバ208の内部に血漿が流入する。
【0090】
ここで、必要に応じて、体液を含む装置10の重さと相殺するために、釣り合い重り装置282を従来の遠心分離装置280に使用しても良い。
【0091】
さらに、流体経路内における粒子状物質のリスク(混入リスク)を最小限にするための環境で装置10を組立るべきであり、また臨床(臨床治療)用途で使用した場合は装置10は殺菌ないし消毒しなければならず、また流路は非発熱性(発熱性物質を含まない)であるべきである。
【0093】
図22と23を参照して、また1つの実施例において、装置310は、主要な遠心分離チューブないし容器312と、多くの成分を有する体液を受容および含有するための収納容器334を規定するために容器312を選択的に閉じるためのチューブキャップ組立体46(
図3から5にも詳細が示されている)と、容器312の内部でスライド自在に配置されると共に以下に詳細に説明するように収納容器334をフロート組立体340の下側の第1ないし下側の容量領域336、フロート組立体340の上側の第2ないし上側の容量領域338、およびフロート組立体340の内部の隔離チャンバ378により規定される隔離ないし第3の容量領域とに分割する二重密度面下での漏斗および分離(dual density subsurface funnel and isolation)用のフロート組立体340と、フロート組立体340と共に上下移動するためにグルグル巻き構造や伸縮構造によってフロート組立体340とチューブキャップ組立体46との間に機能的(動作可能なように)にそれぞれ連結された可撓性チューブ124(詳細は
図1を参照)とから構成される。
【0095】
より詳しくは、および
図24を参照して、装置310は、閉じた実質的に平らな環状の底端314、開いた上端318を規定する実質的に平らな環状の上端316、および閉じた底端314と環状の上端316との間に延在する円筒状側壁320から構成される、主要な遠心分離チューブないし容器312を有している。円筒状の側壁320は、外側の円筒状面322と、チューブ312の中央長手軸328に沿って延在する円筒形状の格納用チャンバ326を規定する内側の円周状ないし円筒状面324とを含んでおり、このチューブも装置310の中央長手軸に存在する。
【0096】
1つの実施例において、閉じた底端314は、内面330と外面332を有する実質的にディスク形状つまり円板状の部材として形成される。内面330は、円筒状の側壁320の内側円筒状面324内に移行する内側の丸みが付けられた端を含んでいる。同様に、外側面332は、円筒状の側壁320の外側の円筒状面322内に移行する外側の丸みが付けられた端を含んでいる。
【0097】
また、閉じた底端314は、選択的に、円筒状の側壁320と一体形成する構成、または側壁320に蓋をする構成としても良い。
【0098】
さらに、チューブは、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成される。1つの実施例において、チューブ312は、これに限定されないが、ポリカーボネートあるいはポリスチレンなどの材料から構成される。
【0100】
図22および23を参照して、および
図3から5に戻り、装置310はチューブキャップ組立体46をさらに有しており、この組立体は上記で詳細に説明したので便宜上説明を省略する。
【0102】
図25と26を参照して、また上述した通り、装置310はさらに、フロート本体344、漏斗フロートキャップ420、および底部フロートキャップ480ないし500からなる漏斗および隔離フロート42を有してなるフロート組立体340をさらに有している。漏斗および隔離フロート342が精密に作られるので、正確な射出成形を容易化するために漏斗および隔離フロート342は、フロート本体344、漏斗フロートキャップ420、および底部フロートキャップ480ないし500からなるサブコンポーネントとして作製することが好ましく、またこれらサブコンポーネントは音波溶接(超音波溶接)あるいは他の確実ないし信頼性のある手段を使用して組み合わせることが好ましい。
【0103】
フロート組立体340は、1つの実施例では
図14に詳述したアンブレラバルブ234の形態である第1のチェックバルブ手段と、1つの実施例では
図15に詳述したダックビルバルブ248の形態である第2のチェックバルブ手段とをさらに有している。
【0105】
より詳しくは、および
図25から27を参照して、フロート本体344、環状の底端346、錐台(円錐)形状の頂面348、および環状底端346と錐台形状の上部頂面348との間に延在するフロート本体側壁350とを有している。
【0106】
フロート本体側壁350は、環状の底端346と錐台形状の頂面348の円形の外縁354との間に延在する外側の円周ないし円筒状の面352を含んでいる。
フロート本体側壁350の外側円周面352は、フロート本体側壁350の外側円周面352とチューブ312の内側の円周324との間に円周状ギャップ(間隙)356を規定するために、主要な遠心分離チューブ312の内側の円周面324により規定される直径よりも小さい直径を規定する。
【0107】
更に、フロート本体側壁350は逆ドーム形状ないし半球形の空洞152を規定する内側の半球面358を含んでおり、この空洞は、半球面358の丸みが付けられた底部セクション362から、逆ドーム形状の空洞360の環状の開口366を規定する上部環状棚364に延在する。上部環状棚364は、逆ドーム形状の空洞360を囲繞する開口端を有する円筒状の空洞370を規定する内側の円筒状面368内に移行し、これにより、環状開口366も同様に円筒状の空洞370の下側の開口を規定する。同じく、内側の円筒状面368は環状棚364から錐台形状の上部頂面348の円形の内側端部372まで延在している。円形の内側端部372は、円筒状の空洞370と錐台形状の上部頂面348との間に環状の開口374を規定し、これにより、開口374は円筒状の空洞370の上部開口および錐台形状の上部頂面348の下側開口を規定する。
【0108】
フロート本体344は、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成される。1つの実施例において、フロート本体344は、これに限定されないが、ポリスチレンやポリカーボネートなどの種類の材料から構成される。
【0110】
図27および28を参照して、フロート本体344はさらに、逆ドーム形状の空洞360とフロート組立体340の下側の第1ないし下側の容量領域336との間で開放流体連通(開かれた流体連通)を行うために、フロート本体344の内側の半球面358の丸みが付けられた底部セクション362内に配置された第1の円形出口ポート382と、フロート本体344の底面386内に配置された第2の円形出口ポート384との間に延在する、出口開口ないし通路380を有している。
【0111】
さらに、第1および第2の円形出口ポート382、384は、フロート本体344の中央長手軸388により規定される共通の軸を有している。
【0112】
また、第2の円形出口ポート384は、フロート本体側壁350の環状底縁346内でフロート本体側壁350の環状底縁346から凹んだ位置に配置されており、またこの位置は、4つの離間した空洞394、396、398、および400を規定する2つの直径方向に延在し交差する横材(クロスメンバー)390、392の交差点を規定している。4つの離間した空洞394、396、398、および400は、ドーム形状の空洞360の下側の外面402を見せている。
【0114】
図27および29を参照して、フロート本体344は抽出開口404をさらに有しており、この開口は、1つの実施例では、第1の分岐部406、第2の分岐部408、およびこれらの間の分岐屈曲部410により規定されるL形状の抽出通路404である。第1の分岐部406は、フロート本体344の中央長手軸388に実質的に垂直な角度でフロート本体側壁350を通って孔を設けることで形成され、外側の円周面352に隣接するフロート本体側壁350の部分はその後で
図25に例示したようにプラグ412で栓がされる。第2の分岐部408は、錐台形状の上部頂面348とフロート側壁350の両方に孔を設けることで形成され、屈曲部410において第1の分岐部406で終端し、またフロート本体344の中央長手軸388と実質的に平行な角度である。抽出開口ないしL形状の抽出通路404は、内側の半球面358内に配置された楕円形ポート414と錐台形状の上部頂面348内に配置された円形のポート416との間に延在し且つ開かれた流体連絡(流体連結)を行っている。第2の分岐部408の上側部418は、巻かれたチューブ124の下端128を受容するために円形ポート416の付近の直径が増大しており、逆ドーム形状の空洞360と抽出バルブ100との間の開放流体連通を得るために、このチューブはその上端126がバーブ継手114のバーブ端部122に連結されている。
【0116】
図30から33を参照して、漏斗および隔離フロート342は、漏斗フロートキャップ420をさらに有しており、このキャップは、ディスク(円板)形状の基部470に移行し且つ据え付けられた円筒状の首部460に移行し且つ据え付けられた円錐台(錐台)ないし漏斗形状の壁422を有している。漏斗形状の壁422は、円錐台ないし漏斗形状の空洞426を規定する円錐ないし漏斗形状の上面424を含んでいる。漏斗形状の壁422は、円錐台ないし漏斗形状の下面428と、円錐台ないし漏斗形状の上側面424と下側面428の間に延在する外側の円周ないし円筒状の周縁430をさらに含んでいる。
【0117】
ディスク形状の基部470は、フロート本体344の円筒状の空洞370の内部に適合ないし嵌合する補足的な形状および大きさであり、また内部に適合した場合、それらの間に密閉を提供するため、および
図25に例示したように逆ドーム形状の隔離チャンバ378を規定する目的で逆ドーム形状の空洞360の環状開口366を閉じるために、ディスク形状の基部470の下側の周辺面取部474と環状棚364との間に弾性のOリング472が捕捉される。さらに、漏斗形状の壁422の漏斗形状の下側面428は、環状棚364を弾性Oリング472が密閉した際においてフロート本外344の錐台形状の頂面348に対して隣接するために補足的な形状および寸法である。
【0118】
ディスク形状の基部470が上述したようにフロート本体344の円筒状の空洞370の内部に正しく適合ないし嵌合したならば、漏斗フロートキャップ420とフロート本体344との間に位置合わせおよび連結用の手段が設けられる。つまり、
図25、27、および31を参照して、フロート本体344の錐台形状の頂面348から突出した円形セグメント432は、漏斗形状の下側面428を通って配置された円形セグメント刻み目434の内部に受容され、また漏斗状の壁422の内側に入り、これにより、突出した円形セグメント432は円形セグメント刻み目434とで隣接し連結する。また、フロート本体344の錐台形状の頂面348は環状突起436を含んでおり,この突起は、断面積が三角形状で補足的な形状の環状凹部438(
図25)の内部に受容される寸法であり、漏斗状の下側面428を通り、漏斗フロートキャップ420の漏斗形状の壁422内に配置される。さらに、位置合わせおよび連結用の手段は、抽出開口ないしL形状の抽出通路404の円形ポート416を備えた漏斗形状の壁422を通って延在する開口440に同様に位置合わせないし整列しており、これにより、下端128に隣接する巻かれたチューブ124の一部がこれを通って受容される。
【0119】
さらに、
図30から33を参照して、漏斗形状の壁422の円錐台ないし漏斗形状の上側面424は、環状の外縁442から下側の環状縁444まで内方にテーパ状となっており、ここで漏斗形状の上側面424は漏斗フロートキャップ420の漏斗チューブ部446内に移行している。漏斗チューブ部446は中央の端が開いた円筒状開口448を規定し、この開口は円筒状の首部460中央部および漏斗フロートキャップ420のディスク形状の基部470を通って延在している。一方、少なくとも1つの漏斗流体通路ないし開口450が漏斗チューブ部446に隣接した位置において漏斗フロートキャップ420を通って配置されており、これにより、漏斗形状の空洞(
図25)と逆ドーム形状の隔離チャンバ378との間に開放連通が提供される。1つの実施例において、漏斗チューブ部446の周りには90°の間隔で等しく離間した4つの漏斗流体通路450がある。
【0120】
さらに、1つの実施例において、漏斗流体通路ないし開口450は、略三角形状であり、
図30、32、および33に例示したように、漏斗チューブ部446に隣接した丸みの付いた端部を有する凹状の先端と漏斗チューブ部446から離れて位置する丸みの付いた端を有する凸状の基部とを有している。また、1つの実施例において、漏斗形状の上側面210は、フロートキャップ420の中央軸452(
図31)に垂直な平面から約30°の下り勾配を有している。これにより、漏斗面に約120°の開口を持たせている。
【0121】
さらに、および
図31と33を参照して、下側の周辺面取部474は環状の凹みが付けられた底部領域476内に移行し、一方この底部領域は、
図33に例示したように中央の端が開いた円筒状開口448と複数の漏斗流体通路ないし開口450を囲繞する実質的に平らな底面478内に移行している。
【0122】
また、漏斗フロートキャップ420は、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成される。
1つの実施例において、漏斗フロートキャップ420は、これに限定されないが、ポリスチレンあるいはポリカーボネートなどの材料から構成される。
【0124】
図34から36を参照して、漏斗および隔離フロートは、底部フロートキャップ480をさらに有しており、このキャップは、実質的に平らな頂面484、実質的に平らな底面486、およびこれらの間に延在する外周縁488からなる円形壁482を有している。さらに、底部フロートキャップ420は環状の唇ないし突出部490を有しており、この突出部は、円形壁482の外側円周縁488に隣接した位置において実質的に平らな頂面484から突出しており、およびフロート本体344内に配置された補足的な形状の環状凹部538(
図25)の内部に受容される寸法の三角形状の断面積を有している。また、底部フロートキャップ480は、円形壁482の実質的に平らな頂面484の下側で凹んでいる中央に位置する環状棚部492を有している。中央に配置された棚部492は、円形壁482を通って配置された中央に位置する開口492を囲繞している。さらに、底部フロートキャップ480は、円形壁482の実質的に平らな底面から下方に突出した複数の離間したフィン(翼部)496を有している。1つの実施例において、底部フロートキャップ480の中央に位置した開口494の周りに90°で等間隔で離間した4つの下方に突出したフィン496がある。使用および動作においては、これらフィン496は、それらの間に形成される真空密閉を妨げる一方で初期状態において弾性のダックビルバルブ248を保護するために、フロート組立体340をチューブ312の閉じた底端314の内面330からまず最初に離昇するように機能する。
【0125】
底部フロートキャップ480は、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成される。1つの実施例において、底部フロートキャップ480は、これに限定されないが、ポリスチレンあるいはポリカーボネートなどの材料から構成される。
【0127】
図37から39を参照して、また他の実施例において、漏斗および隔離フロート342は底部フロートキャップ500をさらに有しており、このキャップは、実質的に平らな頂面504、実質的に平らな底面506、およびこれらの間に延在する外側周縁508からなる円形壁502を有している。さらに、底部フロートキャップ500は環状の唇突出部510を有しており、この突出部は、円周壁502の外側周縁508に隣接する位置において実質的に平らな頂面504から突出しており、またフロート本体344内に配置された補足的な形状の環状凹部538(
図25)の内部に受容される寸法の三角形状の断面積を有している。さらに、底部フロートキャップ500は、円形壁502の実質的に平らな頂面504の下側で凹んだ中央に配置された環状棚部512を有している。中央に配置された環状棚部512は、円形壁502を通って配置された中央に位置する開口514を囲繞する。さらに、底部フロートキャップ500は、円形壁502の実質的に平らな底面506から下方に突出する複数の離間した円筒形状の脚部516を有している。1つの実施例において、底部フロートキャップ500の中央に配置された開口514の周りには90°で等間隔に離間した4つの下方に突出する円筒形状の脚部516がある。各円筒形状の脚部516は、円形壁502の実質的に平らな頂面504内に配置された開口端部から下方に延在している。使用および動作において、これら円筒形状の脚部516は、それらの間に形成される真空密閉を妨げる一方で初期状態において弾性のダックビルバルブ248を保護するために、フロート組立体340をチューブ312の閉じた底端314の内面330からまず最初に離昇するように機能する。底部フロートキャップ500は、これに限定されないが、好ましくは、生体適合性があり、またガンマ線照射に対して安定性のある材料から構成される。1つの実施例において、底部フロートキャップ500は、これに限定されないが、ポリスチレンあるいはポリカーボネートなどの材料から構成される。
【0128】
さらに、
図40および41を参照して、各めくら孔518は、フロート組立体340の全体の密度を調整ないし制御する目的でこれらの内部に挿入される円筒形状の重り(錘)のための担体ないし支持場所として機能することができる。このように、フロート組立体340の全体の密度を調整ないし制御するためのバラストを提供するために、1つ以上の重り530は底部フロートキャップ500に連結することができる。フロート組立体340の比重を調整するためのバラストないし重りのための好ましい材料はステンレススチールのような金属ロッド(金属棒)である。軟膜を採取するための血液および骨髄の処理への本願発明の適用ないし応用のためには、フロート組立体340に血漿と濃縮赤血球の密度の間に調整することが好ましく、より具体的には、好ましい組立体の密度は、1.02から1.08グラム/cm
3の範囲であり、最も好ましくは1.03から1.07グラム/cm
3の範囲である。使用される比重は、装置が生成する細胞組成に関して、所望の治療および診断用途に最適化すれば良い。比重が重いほど赤血球の含有用が大きく、また白血球(WBC)の回収効率が高い。
【0129】
図42および43を参照して、各円筒形状の重り530は各架台構造体532により支持しても良く、この構造体は、底部フロートキャップ480の平らな頂面484上に形成され、また底部フロートキャップ480がフロート本体344と嵌合した際にはフロート本体344(
図28)の底面386内の4つの離間した空洞394、396、398、および400の1つの内部に受容される。よって、上記で詳細に説明したようにフロート組立体340の全体の密度を調整ないし制御するためのバラストを提供するために1つ以上の重り530が底部フロートキャップ480に結合される。
【0130】
さらに、および
図44を参照して、円筒形状の重り300は、フロート組立体340の全体の密度を微調整ないし制御するためにめくら孔302の内部に受容することもできる。このように、フロート組立体130の全体の密度を調整ないし制御するためのバラストを提供するために、1つ以上の重り300はフロート本体134に連結することができる。この実施例において、フロート組立体130の比重を調整するためのバラストないし重りのための好ましい材料は同じくステンレススチールのような金属ロッド(金属棒)である。また、軟膜を採取するための血液および骨髄の処理への本願発明の適用ないし応用のためには、フロート組立体130に血漿と濃縮赤血球の密度の間に調整することが好ましく、より具体的には、好ましい組立体の密度は、1.02から1.08グラム/cm
3の範囲であり、最も好ましくは1.03から1.07グラム/cm
3の範囲である。使用される比重は、装置が生成する細胞組成に関して、所望の治療および診断用途に最適化すれば良い。比重が重いほど赤血球の含有用が大きく、また白血球(WBC)の回収効率が高い。
【0132】
図25、30から33、および再度
図14を参照して、この1つの実施例において、フロート組立体340は、弾性のアンブレラバルブ234の形態の第1の一方向弁ないし逆止弁をさらに有しており、この一方向弁は、アンブレラバルブ234にかかる体液の圧力差に基づいて漏斗流体通路450を選択的に開閉するために使用され、これにより、漏斗形状の空洞426から逆ドーム形状の隔離チャンバ378への流体の流れを制御する一方、逆ドーム形状の隔離チャンバ378から漏斗形状の空洞426へのアンブレラバルブ234を介しての流体(体液)の逆流を妨げる。よって、アンブレラバルブ234は、アンブレラバルブ234に加わる体液の圧力差に応じて、フロート上部の第2ないし上側の容量領域338から、逆ドーム形状の隔離チャンバ378により規定された第3の容量領域ないし隔離領域への、体液の一方向の流れを提供する。
【0133】
より詳しくは、および上記および
図14に例示したように、1つの実施例において、アンブレラバルブ234は、略円形の天蓋ないしドーム236から構成され、このドームは、応力を受けていない位置では、中央に位置するステム(棒)238に略垂直に延在する。ステム238は球状部240を含んでおり、この球状部の上にはテーパ状のシャフト部242がある。1つの実施例において、アンブレラバルブ234は全体が単一で、一体的な構成のものである。
【0134】
図25,30,33,および再度
図14を参照して、アンブレラバルブ234は、漏斗フロートキャップ420を通って配置された中央の端が開いた円筒状開口448を通ってステム238を固定することにより、漏斗フロートキャップ420に取り付けられている。これは、天蓋236と球状部240との間のステム238の長さを円筒状開口448の長さよりも大きい寸法とすると共に球状部の直径を円筒状開口448の直径よりも大きくすることで達成され、この結果、ステム238のテーパ状のシャフト部242が漏斗フロートキャップ420の実質的に平らな底面478から円筒状開口448内に挿入され且つ漏斗フロートキャップ420の漏斗形状の上側面424から離れるように引っ張られ伸ばされた際に、弾性の球状部240は中央の端部が開いた円筒状開口448を通過し、漏斗フロートキャップ420の漏斗形状の上側面424に隣接してその通常の形状に復帰し、これにより、アンブレラバルブ234を定位置に保持するためのアンカー(固定具)として機能する。アンブレラバルブ234を定位置に固定した後は、球状部240を保持したままテーパ状のシャフト部242は取り除いても良い。
【0135】
また、略円形の天蓋ないしドーム236は、応力を受けていない位置では、平らな下側の接触面244を含んでいる。よって、中央に位置するステム238が伸ばされた場合、軸方向の力が天蓋ないしドーム236に加わり、この結果、下側244は通常のタイト(密着状態)に伸ばされ、漏斗流体通路ないし開口450を密封するために、漏斗フロートキャップ420の実質的に平らな底面478に対して密封するように接触する。
【0136】
この構成において、弾性のアンブレラバルブ234は、逆ドーム形状の隔離チャンバ378に流入する流体(体液)を制御すると共にアンブレラバルブ234を経て逆ドーム形状の隔離チャンバ378から流出する流体(体液)を妨げる、一方向弁を提供する。特に、弾性のアンブレラバルブ234は、所定の圧力差つまりクラッキング圧下で開く、換言すれば、アンブレラバルブ234の所定ないし公知のクラッキング圧によって漏斗流体通路ないし開口450内の圧力が天蓋ないしドーム236の外面246上ないしこの下側よりも大きい場合に開く。従って、漏斗流体通路ないし開口450における圧力により規定され、クラッキング圧よりも大きな量だけ天蓋ないしドーム236の外面246上の圧力よりも大きな正の圧力差がある場合、この圧力差により、柔軟性のある天蓋ないしドーム236は、漏斗フロートキャップ420の実質的に平らな底面478から離れて下方に反転ないし曲がり、これにより、体液が逆ドーム形状の隔離チャンバ378内に通過するようになる。圧力差がクラッキング圧ないし開口圧より低いポイントないし時点になった後は、柔軟性のある天蓋ないしドーム236はその密封位置が漏斗流体通路ないし開口450より下の位置に回復し、これにより、逆ドーム形状の隔離チャンバ378から体液がさらに入ることが妨げられる。
【0138】
図25、27、34から39および再度
図15を参照して、フロート組立体340の1つの実施例は、弾性のダックビルバルブ248の形態の第2の一方向弁ないし逆止弁をさらに有しており、この一方向弁は、ダックビルバルブ248にかかる体液の圧力差に基づいて、第1の円形出口ポート382と第2の円形出口ポート384との間に延在する出口通路ないし開口380を選択的に開閉するために使用され、これにより、逆ドーム形状の隔離チャンバ378から第1ないし下側の容量領域336への流体の流れを制御する一方、第1ないし下側の容量領域336から逆ドーム形状の隔離チャンバ378の内部へのダックビルバルブ248を介しての流体(体液)の逆流を妨げる。よって、ダックビルバルブ248は、ダックビルバルブ248に加わる体液の圧力差に応じて、フロート組立体340内部の隔離チャンバ378から第1ないし下側の容量領域336への体液の一方向の流れを提供する。
【0139】
1つの実施例において、および上述および
図15に例示したように、ダックビルバルブ248は、出口通路170に連結されると共に、放射状に外方に突出する環状フランジ部252から、一対の弾性の密閉用唇部258により規定される細長い出口スリット256で終端する中空のV形状ないし収束部254に移行する、端部が開いた中空の円筒部250から構成される。これら弾性の密閉用唇部258は、ダックビルバルブ248を通って軸方向に延在する流体通路を通して流体を一方向に流す目的でスリット256を開くために、離れるように形成される。
【0140】
弾性の密閉用唇部258は、通常はスリットが閉じた位置に維持されている。そして、密閉用唇部258の上部に位置する中空のV形状ないし収束部の内部の圧力がダックビルバルブ248の所定のクラッキング圧によって弾性の密閉用唇部258の下側の流体圧よりも大きくなった場合、弾性の密閉用唇部258は広がり(開き)およびスリット256が開き、これにより、出口通路ないし開口170を通り、およびダックビルバルブ248の軸方向に延在する流体通路を通って、流体が下方向に流れることができるようになる。出口スリット256は、弾性の密閉用唇部258の下側または外面上の流体圧が弾性の密閉用唇部258の上部の流体圧よりも、ダックビルバルブ248のクラッキング圧以上、高い場合に閉じ、これにより、ダックビルバルブを通る流体の逆流が防止される。さらに、流体流れが停止あるいは逆方向である場合には、弾性の密閉用唇部258の外面上の流体により加わる背圧により、これら唇部が互いに密閉するように係合し、出口スリット256を閉じて、流体の逆流が防止される。
【0141】
組み合わされた状態では、ダックビルバルブの環状のフランジ部252はフロート本体344の底面386とフロートキャップ480の環状棚部492または底部フロートキャップ500の環状棚部512の間で着座し、ダックビルバルブ248の円筒状部分250は中央に配置された開口494または514をそれぞれ通過し、これにより、中空のV形状ないし収束部254は底部フロートキャップ480または500の下をそれぞれ延在する。この構成において、出口通路ないし開口380は、ダックビルバルブ248の軸方向に延在する流体通路と開放連通しており、またフロート本体344の底面386、ダックビルバルブ248、およびダックビルバルブ248とフロート本体344との間で密封を維持するために、底部フロートキャップ480の環状棚部492または底部フロートキャップ500の環状棚部512の間で加圧型の嵌合ないし連結がなされる。
【0143】
使用および操作の際には、各図を参照して、装置310は装置10について上述した使用および操作に準じる。装置310は、最初に、多くの成分の体液サンプル(例えば、末梢血、骨髄穿刺液、血液成分、臍帯血、アフェレーシス血液製剤、精液、尿、母乳、腹水、浸出液、あるいは脳骨髄液)を受容するために、次のステップ、即ち、入口バルブ86の雄側ルアーロック頭部88からキャップ(蓋)85を取除くステップ、入口バルブ86の雄側ルアーロック頭部88に体液サンプルを含む従来の無針注射器270あるいは他の投薬機器を連結するステップ、従来の無針注射器270あるいは他の投薬機器から装置310内に体液サンプルを注入ないし投薬するステップ、従来の無針注射器270あるいは他の投薬機器を入口バルブ86の雄側ルアーロック頭部88から分離するステップ、およびキャップ85を再び取付けるステップ、を行う。装置310に体液を供給する際には、空気フィルタにより収納容器334から空気を逃がす。
【0144】
受容した体液サンプルは、漏斗形状の空洞426を含む逆ドーム形状の隔離チャンバ378の上部の第2ないし上側の容量領域338を満たし、またフロート側壁350の外側円周面352とチューブ312の内側円周面324との間に配置された円周状ギャップ356を介してフロート組立体340の下側の第1ないし下側の容量領域336に流れる。体液サンプルは、最初は、通常閉じているアンブレラバルブ234および通常は閉じているダックビルバルブ248により、逆ドーム形状の隔離チャンバ378に流入ないし通過することが妨げられる。さらに、底部フロートキャップ480の離間したフィン496または底部フロートキャップ500の離間した円筒状脚部516は、初期状態では弾性のダックビルバルブ248を保護する一方で、チューブ312の閉じた底端314の内面330からフロート組立体340に最初の離昇を提供し、それらの間に形成される真空密閉を妨げる。
【0145】
チューブ312とチューブキャップ50により規定される収納容器334の内部に体液サンプルが受容されたならば、装置310は、1以上の所定の時間ないし期間で且つ1以上の所定の速度で動作する、従来の遠心分離装置280内に配置される。1つの実施例で、体液サンプルとして血液を用いた場合において、従来の遠心分離装置280は約12から15分、約3200RPMで動作する。当然のことであるが、装置310により処理される特定の体液に対しては、1以上の時間間隔および1以上の速度が実験的ないし経験的に決定され、また体液によって適宜変更しても良い。
【0146】
装置310の最初の遠心分離に際しては、漏斗形状の空洞426内の体液はアンブレラバルブ234に次第に圧力を加え、これが原因でアンブレラバルブ234上の圧力差がアンブレラバルブ234のクラッキング圧よりも次第に大きくなり、これにより、1以上の漏斗流体通路ないし開口450を通り逆ドーム形状の隔離チャンバ378の内部に流体(体液)が流れる。このためダックビルバルブ248に第2の圧力がかかるようになり、これによって、ダックビルバルブ248の圧力差がダックビルバルブ248のクラッキング圧よりも大きくなり、出口通路ないし開口380を介して体液が逆ドーム形状の隔離チャンバ378から最初に流出するようになる。最初は、体液は逆ドーム形状の隔離チャンバ378を通って速く流れ、またサンプルが血液である場合はヘマトクリット値は最初は増すことはない。アンブレラバルブ234とダックビルバルブ248が共に開いた位置では、第1ないし下側の容量領域336内つまりフロート組立体340の下側の体液のカラムの増大は続く。この体液のカラムが増大すると、装置310は特有の循環プロセスないし密度(濃度)フィードバックプロセスを提供し、このプロセスについて処理される体液の例として末梢血を使用して詳細に説明する。
【0147】
従って、末梢血のような体液は、カラムを作る各成分の密度(濃度)に基づいて層状になり、底部フロートキャップ480の底面484または底部フロートキャップ500の底面506の直ぐ下側にある細胞は同様に層状化することを継続し、これにより、ダックビルバルブ248のレベルの上側の細胞密度はダックビルバルブ248のレベルの下側の細胞密度よりもダックビルバルブ248のクラッキング圧よりも小さい圧力差を提供する量だけ小さく、これにより、ダックビルバルブ248が閉じるようになる。この結果、赤血球が時間と共に逆ドーム形状の隔離チャンバ378の底部セクション362に蓄積するようになると共に塊になり、チャンバの底部セクション362に細胞が蓄積し、ダックビルバルブ248のレベルの直ぐ下側の細胞よりも大きな密度を持つようになる。これは、赤血球(赤色細胞)の密度が底部セクション362において増大するのと同時に、より大きな密度の細胞がチューブ312の底端314に向かって同様に移動するのでダックビルバルブ248の直ぐ下側の密度が減少するためである。よって、この密度が増大すると圧力差がダックビルバルブ248のクラッキング圧を超えるようになるのでこのバルブは次いで開き、これにより、赤血球が出口通路ないし開口380を通って流れるようになり、第1ないし下側の領域336内の体液を置き換わり、これにより、フロート側壁350の外側の円周面352とチューブ312の内側の円周面324との間の円周ギャップ356を通って、流体が上方に押され、あるいは流体の急上昇が生じる。この上方への流体の流れは、白血球や血小板を含む体液のより軽量な成分をチューブ312の第1ないし下側の容量領域336からチューブ312の上側の容量領域338に戻す効果を有しており、これらのより軽量な成分はこれらが循環する第2ないし上側の容量領域338内の血漿よりも重く、よってこれらに含まれる白血球および血小板あるいは軟膜は、漏斗形状の空洞426を通って下に後退し、アンブレラバルブ234を通過し、逆ドーム形状の隔離チャンバ378内に収集される。このような細胞の循環プロセスつまり密度フィードバックプロセスは平衡になるまで続き、この平衡状態ではダックビルバルブ248の上部および下部の細胞の圧力差ないし密度差がダックビルバルブ248のクラッキング圧より小さくなってダックビルバルブ248が最終的に閉じるようになる。また同様に、アンブレラバルブ234の上部および下部の細胞の密度差がアンブレラバルブ234のクラッキング圧よりも小さくなってアンブレラバルブ234が最終的に閉じるようになり、これにより、装置310の特有の細胞循環プロセスないし密度フィードバックプロセスが終了する。
【0148】
従って、この細胞循環プロセスないし密度フィードバックプロセスにより、逆ドーム形状の隔離チャンバ378内に白血球あるいは興味のある他のターゲット成分を確保する多くの機会が得られ、これにより、公知の従来技術の装置と比べてより高い回収率が提供できる。
【0149】
遠心分離ステップに続いて、分離され隔離された体液成分を含む装置310は、遠心分離装置280から取り外され、
図20に図式的に示したように従来の磁気攪拌機290に載置される。この攪拌機は次いで、次の採取ステップでの回収率を高める目的で隔離チャンバ378の内部の少なくとも1つの隔離されたターゲット成分を攪拌するために、作動つまり逆ドーム形状の隔離チャンバ208内部に配置された磁気攪拌棒292と協働するために、電圧が加えられる。1つの実施例において、少なくとも1つの隔離されたターゲット成分ないし画分は約20秒の間だけ攪拌される。当然のことであるが、攪拌時間は体液毎に変化させても良く、また特定の体液に対する攪拌時間は実験的ないし経験的に決定される。
【0150】
攪拌ステップに続いて、少なくとも1つの隔離されたターゲット成分ないし画分の採取ステップが実行され、この採取ステップは、抽出バルブ100の雄側ルアーロック頭部102からキャップ99を取り外すステップ、抽出バルブ100の雄側ルアーロック頭部102に従来の注射器272あるいは他の抽出機器を連結するステップ、注射器103から抽出通路ないし開口404、および内側の半球面358の丸みが付けられた底部セクション362に配置されたポート414に真空を供給することによって逆ドーム形状の隔離チャンバ378から少なくとも1つの隔離されたターゲット成分ないし画分を採取するステップ、および、逆ドーム形状の隔離チャンバ378から、およびポート414を通り、およびフロート本体344内に配置された抽出通路ないし開口404、L形状のハウジング通路62、抽出バルブ100の内部を通り、最終的に従来の注射器272の内部に、少なくとも1つの隔離されたターゲット成分ないし画分を採取するステップを有している。
【0151】
採取ステップが完了した後は、少なくとも1つのターゲット成分ないし画分の少なくとも1つの診断あるいは治療への応用ないし適用に備えて、従来の注射器103は抽出バルブ100の雄側ルアーロック頭部102から分離される。少なくとも1つのターゲット成分ないし画分を採取する際には、空気フィルタにより収納容器48の内部に空気が入る。さらに、採取ステップの間にアンブレラバルブのクラッキング圧に達した場合には、少なくとも1つのターゲット成分ないし画分の取り除かれた量ないし体積と置換するために、逆ドーム形状の隔離チャンバ378の内部に血漿が流入する。
【0152】
ここで、必要に応じて、体液を含む装置310の重さと相殺するために、釣り合い重り装置282を従来の遠心分離装置280に使用しても良い。
【0153】
さらに、流体経路内における粒子状物質のリスク(混入リスク)を最小限にするための環境で装置310を組立てるべきであり、また臨床(臨床治療)用途で使用した場合、装置310は殺菌ないし消毒しなければならず、また流路は非発熱性(発熱性物質を含まない)であるべきである。
【0154】
さらに、体液の成分を分離および隔離するための装置の種々の実施例の構築に使用される材料は、プラスチック、ゴム、金属および磁石を含む、生体適合性があり、細胞毒性の浸出が実質的にないものである。チューブを構成するための好ましいプラスチックはポリスチレンあるいはポリカーボネートである。漏斗および隔離フロートの本体の構成用のプラスチックは、ポリスチレンあるいはポリカーボネートである。フロート内の一方向バルブ用の好ましい材料は、ガンマ照射に対して安定なシリコンゴムである。漏斗組立体の比重を調整するためのバラストあるいは重り用の好ましい材料はステンレススチールのような金属棒であり、これらは、生物学的構成要素との接触が許されない、および隔離フロートの内部の場所に配置される。漏斗および隔離フロートの隔離チャンバ内に配置される好ましい磁気攪拌棒は、ネオジム磁石のような磁性材料から作られる。磁気攪拌棒は種々の形状および寸法のものが使用できるが、フロートの所定の比重と適合性があり、またフロートの内側チャンバの出口開口内の流体の流れを妨害ないし遮る磁気攪拌の可能性を回避できるものとすべきである。隔離チャンバの内側の内径の約半分の寸法を有する単体の磁性ロッドが適切である。
【0155】
チューブの実例、チューブキャップ、漏斗および隔離フロートの各実例を準備するための好ましい方法は、射出成形である。あるいは、漏斗および隔離フロートは旋盤やドリルなどの機械工場にある道具ないし工具を用いて製造することもできる。蓋をフロートに連結するために使用される巻かれたチューブは好ましくは医療グレードのポリ塩化ビニルである。フロートは正確ないし精密に作る必要があるので、装置はサブコンポーネントとして作製して精密射出成形を容易化することが好ましく、またこれらサブコンポーネントは音波溶接(超音波溶接)あるいは他の確実ないし信頼性のある手段を使用して組み合わせることが好ましい。
【0156】
使用方法、動作を含む上述した装置の実施例10および310は、本願発明の工業的な適用を例示したものに過ぎない。
【0157】
従って、特許請求の範囲に記載された本願発明の範囲および技術思想を逸脱しない範囲において、更なる種々の構造変更および適用は自明である。