特許第5714071号(P5714071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714071
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】角速度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/5705 20120101AFI20150416BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   G01C19/56 205
   H01L29/84 Z
【請求項の数】32
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2013-185479(P2013-185479)
(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公開番号】特開2014-55946(P2014-55946A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2013年9月6日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0100613
(32)【優先日】2012年9月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100089347
【弁理士】
【氏名又は名称】木川 幸治
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ウン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ユ ホン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジェ サン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ウォン ギュ
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−021360(JP,A)
【文献】 特開2001−174265(JP,A)
【文献】 特開平10−089968(JP,A)
【文献】 特開2009−075135(JP,A)
【文献】 特開2012−083112(JP,A)
【文献】 特開2010−145315(JP,A)
【文献】 特開2004−004121(JP,A)
【文献】 特開2010−223622(JP,A)
【文献】 特開2010−117293(JP,A)
【文献】 特開2006−153514(JP,A)
【文献】 特表2009−520950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/56 − 19/5783
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1質量体及び第2質量体と、
前記第1質量体及び前記第2質量体の外側に備えられる第1フレームと、
前記第1質量体及び前記第2質量体と前記第1フレームとをそれぞれ連結する第1可撓部と、
前記第1質量体及び前記第2質量体と前記第1フレームとをそれぞれ連結する第2可撓部と、
前記第1フレームの外側に備えられる第2フレームと、
前記第1フレームと前記第2フレームとを連結する第3可撓部と、
前記第1フレームと前記第2フレームとを連結する第4可撓部と、を含み、
前記第2可撓部は前記第1質量体と前記第2質量体を回転変位可能にするように前記第1フレームに固定され、前記第1可撓部は前記第1質量体と前記第2質量体の移動によって変位発生されるように連結され、
前記第4可撓部は前記第1フレームを回転変位可能にするように第2フレームに固定され、
前記第1フレームに内在された前記第1質量体と前記第2質量体は、前記第フレームに連結された前記第4可撓部を中心に両側に配置され、
前記第1可撓部には前記第1質量体と前記第2質量体の変位を検知する第1検知手段が備えられ、
前記第3可撓部には前記第1フレームを駆動させる第1駆動手段が備えられ、
前記第2可撓部及び前記第4可撓部は互いに直交方向に配置され、
前記第1駆動手段が前記第1フレームを駆動させ、前記第1フレームが回転される場合、前記第1フレームの回転方向と直交方向に、前記第1質量体及び前記第2質量体は前記第2可撓部を中心に回転され、前記第1検知手段は前記第1質量体及び前記第2質量体の変位を検知することを特徴とする角速度センサ。
【請求項2】
第2可撓部は、X軸方向に前記第1質量体及び第2質量体と前記第1フレームとを連結し、
第4可撓部は、Y軸方向に前記第1フレームと前記第2フレームとを連結したことを特徴とする請求項1に記載の角速度センサ。
【請求項3】
第1可撓部は、Y軸方向に前記第1質量体及び第2質量体と前記第1フレームとをそれぞれ連結し、
第3可撓部は、X軸方向に前記第1フレームと前記第2フレームとを連結したことを特徴とする請求項1に記載の角速度センサ。
【請求項4】
第1可撓部は、Y軸方向に前記第1質量体及び第2質量体と前記第1フレームとをそれぞれ連結し、
第2可撓部は、X軸方向に前記第1質量体及び前記第2質量体と前記第1フレームとを連結し、
第3可撓部は、X軸方向に前記第1フレームと前記第2フレームを連結し、
第4可撓部は、Y軸方向に前記第1フレームと前記第2フレームを連結したことを特徴とする請求項1に記載の角速度センサ。
【請求項5】
前記第1可撓部のZ軸方向の厚さよりX軸方向の幅が広く、
前記第2可撓部のY軸方向の幅よりZ軸方向の厚さが厚く、
前記第3可撓部のZ軸方向の厚さよりY軸方向の幅が広く、
前記第4可撓部のX軸方向の幅よりZ軸方向の厚さが厚いことを特徴とする請求項4に記載の角速度センサ。
【請求項6】
前記第1質量体及び前記第2質量体は、前記第1フレームに対してX軸を基準として回転することを特徴とする請求項4に記載の角速度センサ。
【請求項7】
前記第1フレームは、前記第2フレームに対してY軸を基準として回転することを特徴とする請求項4に記載の角速度センサ。
【請求項8】
前記第1可撓部には曲げ応力が生じ、前記第2可撓部には捩り応力が生じることを特徴とする請求項4に記載の角速度センサ。
【請求項9】
前記第3可撓部には曲げ応力が生じ、前記第4可撓部には捩り応力が生じることを特徴とする請求項4に記載の角速度センサ。
【請求項10】
前記第2可撓部は、Z軸方向を基準として、前記第1質量体及び前記第2質量体の重量中心より上側に備えられることを特徴とする請求項1に記載の角速度センサ。
【請求項11】
前記第2可撓部は、X軸方向を基準として、前記第1質量体及び前記第2質量体の重量中心に対応する位置に備えられることを特徴とする請求項1に記載の角速度センサ。
【請求項12】
記第1質量体及び前記第2質量体がX軸を基準として回転する際に生じる変位を前記第1検知手段が検知することを特徴とする請求項4に記載の角速度センサ。
【請求項13】
記第1フレームをY軸を基準として回転するように前記第1駆動手段を駆動させることを特徴とする請求項4に記載の角速度センサ。
【請求項14】
Y軸方向に前記第1フレームを横切るように、前記第1質量体と前記第2質量体との間に備えられる第1支持部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の角速度センサ。
【請求項15】
前記第2可撓部はトーションバー(Torsion Bar)状に形成され、
前記第4可撓部はトーションバー(Torsion Bar)状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の角速度センサ。
【請求項16】
前記第1質量体及び前記第2質量体は、互いに平行に配置されることを特徴とする請求項1に記載の角速度センサ。
【請求項17】
第3質量体及び第4質量体と、
前記第3質量体及び前記第4質量体の外側に備えられる第3フレームと、
前記第3質量体及び前記第4質量体と前記第3フレームとをそれぞれ連結する第5可撓部と、
前記第3質量体及び前記第4質量体と前記第3フレームとを連結する第6可撓部と、
前記第3フレームの外側に備えられる第4フレームと、
前記第3フレームと前記第4フレームとを連結する第7可撓部と、
前記第3フレームと前記第4フレームとを連結する第8可撓部と、をさらに含み、
前記第6可撓部は前記第3質量体と前記第4質量体を回転変位可能にするように前記第3フレームに固定され、前記第5可撓部は前記第3質量体と前記第4質量体の移動によって変位発生されるように連結され、
前記第8可撓部は前記第3フレームを回転変位可能にするように前記第4フレームに固定され、
前記第3フレームに内在された前記第3質量体と前記第4質量体は前記第フレームに連結された前記第8可撓部を中心に両側に配置され、
前記第5可撓部には前記第3質量体と前記第4質量体の変位を検知する第2検知手段が備えられ、
前記第7可撓部には前記第3フレームを駆動させる第2駆動手段が備えられ、
前記第6可撓部及び前記第8可撓部は互いに直交方向に配置され、
前記第2駆動手段が前記第3フレームを駆動させ、前記第3フレームが回転される場合、前記第3フレームの回転方向と直交方向に、前記第3質量体及び前記第4質量体は前記第6可撓部を中心に回転され、前記第2検知手段は前記第3質量体及び前記第4質量体の変位を検知することを特徴とする請求項1に記載の角速度センサ。
【請求項18】
第6可撓部は、Y軸方向に前記第3質量体及び第4質量体と前記第3フレームとを連結し、
第8可撓部は、X軸方向に前記第3フレームと前記第4フレームを連結したことを特徴とする請求項17に記載の角速度センサ。
【請求項19】
第5可撓部は、X軸方向に前記第3質量体及び第4質量体と前記第3フレームとをそれぞれ連結し、
第7可撓部は、Y軸方向に前記第3フレームと前記第4フレームを連結したことを特徴とする請求項17に記載の角速度センサ。
【請求項20】
第5可撓部は、X軸方向に前記第3質量体及び第4質量体と前記第3フレームとをそれぞれ連結し、
第6可撓部は、Y軸方向に前記第3質量体及び前記第4質量体と前記第3フレームとを連結し、
第7可撓部は、Y軸方向に前記第3フレームと前記第4フレームを連結し、
第8可撓部は、X軸方向に前記第3フレームと前記第4フレームを連結したことを特徴とする請求項17に記載の角速度センサ。
【請求項21】
前記第5可撓部のZ軸方向の厚さよりY軸方向の幅が広く、
前記第6可撓部のX軸方向の幅よりZ軸方向の厚さが厚く、
前記第7可撓部のZ軸方向の厚さよりX軸方向の幅が広く、
前記第8可撓部のY軸方向の幅よりZ軸方向の厚さが厚いことを特徴とする請求項20に記載の角速度センサ。
【請求項22】
前記第3質量体及び前記第4質量体は、前記第3フレームに対してY軸を基準として回転することを特徴とする請求項20に記載の角速度センサ。
【請求項23】
前記第3フレームは、前記第4フレームに対してX軸を基準として回転することを特徴とする請求項21に記載の角速度センサ。
【請求項24】
前記第5可撓部には曲げ応力が生じ、前記第6可撓部には捩り応力が生じることを特徴とする請求項21に記載の角速度センサ。
【請求項25】
前記第7可撓部には曲げ応力が生じ、前記第8可撓部には捩り応力が生じることを特徴とする請求項21に記載の角速度センサ。
【請求項26】
前記第6可撓部は、Z軸方向を基準として、前記第3質量体及び前記第4質量体の重量中心より上側に備えられることを特徴とする請求項21に記載の角速度センサ。
【請求項27】
前記第6可撓部は、Y軸方向を基準として、前記第3質量体及び前記第4質量体の重量中心に対応する位置に備えられることを特徴とする請求項21に記載の角速度センサ。
【請求項28】
記第3質量体及び前記第4質量体がY軸を基準として回転する際に生じる変位を前記第2検知手段が検知することを特徴とする請求項17に記載の角速度センサ。
【請求項29】
記第3フレームをX軸を基準として回転するように前記第2駆動手段を駆動させることを特徴とする請求項21に記載の角速度センサ。
【請求項30】
X軸方向に前記第3フレームを横切るように前記第3質量体と前記第4質量体の間に備えられる第2支持部をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の角速度センサ。
【請求項31】
前記第6可撓部はトーションバー(Torsion Bar)状に形成され、
前記第8可撓部はトーションバー(Torsion Bar)状に形成されることを特徴とする請求項17に記載の角速度センサ。
【請求項32】
前記第3質量体及び前記第4質量体は、互いに平行に配置されることを特徴とする請求項17に記載の角速度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角速度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、角速度センサは、人工衛星、ミサイル、無人航空機などの軍需用からエアバッグ(Air Bag)、ESC(electronic Stability Control)、車両用ブラックボックス(Black Box)など車両用、カムコーダの手ぶれ防止用、携帯電話やゲーム機のモーションセンシング用、ナビゲーション用などの様々な用途に用いられている。
【0003】
このような角速度センサは、角速度を測定するために、通常、メンブレン(Membrane)などの弾性基板に質量体を接着した構成を採用している。前記構成により、角速度センサは、質量体に印加されるコリオリ力を測定して角速度を算出する。
【0004】
具体的に、角速度センサを用いて角速度を測定する方式について説明すると、次のとおりである。
【0005】
先ず、角速度はコリオリ力(Coriolis Force)「F=2mΩ×v」式によって求めることができ、ここで「F」は質量体に作用するコリオリ力、「m」は質量体の質量、「Ω」は測定しようとする角速度、「v」は質量体の運動速度である。
【0006】
このうち、質量体の運動速度(v)と質量体の質量(m)は、既に認知している値であるため、質量体に作用するコリオリ力(F)を検知すると角速度(Ω)を求めることができる。
【0007】
一方、従来技術による角速度センサは、特許文献1に開示されたように、質量体を駆動させたり、質量体の変位を検知するため、メンブレン(ダイヤフラム)の上部に圧電体を備えている。
【0008】
このような角速度センサで角速度を測定するためには、駆動モードの共振周波数と検知モードの共振周波数とをほぼ一致させることが好ましい。しかし、形状/応力/物性などによる微細な製作誤差によって駆動モードと検知モードとの間に干渉が非常に大きく発生する。従って、角速度信号よりはるかに大きいノイズ(Noise)信号が出力されるため、角速度信号の回路増幅が制限され、角速度センサの感度が低下するという問題点が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0146404号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、複数のフレームを備え、質量体の駆動変位と検知変位を個別に発生させ、特定方向に対してのみ質量体を運動させるように可撓部を形成することで、駆動モードと検知モードとの間の干渉を除去し、製作誤差による影響を低減させることができる角速度センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施例による角速度センサは、第1質量体及び第2質量体と、前記第1質量体及び前記第2質量体の外側に備えられる第1フレームと、前記第1質量体及び前記第2質量体と前記第1フレームとをそれぞれ連結する第1可撓部と、前記第1質量体及び前記第2質量体と前記第1フレームとをそれぞれ連結する第2可撓部と、前記第1フレームの外側に備えられる第2フレームと、前記第1フレームと前記第2フレームとを連結する第3可撓部と、前記第1フレームと前記第2フレームとを連結する第4可撓部と、を含み、前記第2可撓部は前記第1質量体と前記第2質量体を回転変位可能にするように前記第1フレームに固定され、前記第1可撓部は前記第1質量体と前記第2質量体の移動によって変位発生されるように連結され、前記第4可撓部は前記第1フレームを回転変位可能にするように第2フレームに固定され、前記第1フレームに内在された前記第1質量体と前記第2質量体は、前記第フレームに連結された前記第4可撓部を中心に両側に配置され、前記第1可撓部には前記第1質量体と前記第2質量体の変位を検知する第1検知手段が備えられ、前記第3可撓部には前記第1フレームを駆動させる第1駆動手段が備えられ、前記第2可撓部及び前記第4可撓部は互いに直交方向に配置され、前記第1駆動手段が前記第1フレームを駆動させ、前記第1フレームが回転される場合、前記第1フレームの回転方向と直交方向に、前記第1質量体及び前記第2質量体は前記第2可撓部を中心に回転され、前記第1検知手段は前記第1質量体及び前記第2質量体の変位を検知することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、第2可撓部は、X軸方向に前記第1質量体及び第2質量体と前記第1フレームとを連結し、第4可撓部は、Y軸方向に前記第1フレームと前記第2フレームとを連結したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、第1可撓部は、Y軸方向に前記第1質量体及び第2質量体と前記第1フレームとをそれぞれ連結し、第3可撓部は、X軸方向に前記第1フレームと前記第2フレームとを連結したことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、第1可撓部は、Y軸方向に前記第1質量体及び第2質量体と前記第1フレームとをそれぞれ連結し、第2可撓部は、X軸方向に前記第1質量体及び前記第2質量体と前記第1フレームとを連結し、第3可撓部は、X軸方向に前記第1フレームと前記第2フレームを連結し、第4可撓部は、Y軸方向に前記第1フレームと前記第2フレームを連結したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第1可撓部のZ軸方向の厚さよりX軸方向の幅が広く、前記第2可撓部のY軸方向の幅よりZ軸方向の厚さが厚く、前記第3可撓部のZ軸方向の厚さよりY軸方向の幅が広く、前記第4可撓部のX軸方向の幅よりZ軸方向の厚さが厚いことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第1質量体及び前記第2質量体は、前記第1フレームに対してX軸を基準として回転することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第1フレームは、前記第2フレームに対してY軸を基準として回転することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第1可撓部には曲げ応力が生じ、前記第2可撓部には捩り応力が生じることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第3可撓部には曲げ応力が生じ、前記第4可撓部には捩り応力が生じることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第2可撓部は、Z軸方向を基準として、前記第1質量体及び前記第2質量体の重量中心より上側に備えられることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第2可撓部は、X軸方向を基準として、前記第1質量体及び前記第2質量体の重量中心に対応する位置に備えられることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、記第1質量体及び前記第2質量体がX軸を基準として回転する際に生じる変位を前記第1検知手段が検知することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、記第1フレームをY軸を基準として回転するように前記第1駆動手段を駆動させることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、Y軸方向に前記第1フレームを横切るように、前記第1質量体と前記第2質量体との間に備えられる第1支持部をさらに含むことを特徴とする。
【0026】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第2可撓部はトーションバー(Torsion Bar)状に形成され、前記第4可撓部はトーションバー(Torsion Bar)状に形成されることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第1質量体及び前記第2質量体は、互いに平行に配置されることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、第3質量体及び第4質量体と、前記第3質量体及び前記第4質量体の外側に備えられる第3フレームと、前記第3質量体及び前記第4質量体と前記第3フレームとをそれぞれ連結する第5可撓部と、前記第3質量体及び前記第4質量体と前記第3フレームとを連結する第6可撓部と、前記第3フレームの外側に備えられる第4フレームと、前記第3フレームと前記第4フレームとを連結する第7可撓部と、前記第3フレームと前記第4フレームとを連結する第8可撓部と、をさらに含み、前記第6可撓部は前記第3質量体と前記第4質量体を回転変位可能にするように前記第3フレームに固定され、前記第5可撓部は前記第3質量体と前記第4質量体の移動によって変位発生されるように連結され、前記第8可撓部は前記第3フレームを回転変位可能にするように前記第4フレームに固定され、前記第3フレームに内在された前記第3質量体と前記第4質量体は前記第フレームに連結された前記第8可撓部を中心に両側に配置され、前記第5可撓部には前記第3質量体と前記第4質量体の変位を検知する第2検知手段が備えられ、前記第7可撓部には前記第3フレームを駆動させる第2駆動手段が備えられ、前記第6可撓部及び前記第8可撓部は互いに直交方向に配置され、前記第2駆動手段が前記第3フレームを駆動させ、前記第3フレームが回転される場合、前記第3フレームの回転方向と直交方向に、前記第3質量体及び前記第4質量体は前記第6可撓部を中心に回転され、前記第2検知手段は前記第3質量体及び前記第4質量体の変位を検知することを特徴とする。
【0030】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、第6可撓部は、Y軸方向に前記第3質量体及び第4質量体と前記第3フレームとを連結し、第8可撓部は、X軸方向に前記第3フレームと前記第4フレームを連結したことを特徴とする。
【0031】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、第5可撓部は、X軸方向に前記第3質量体及び第4質量体と前記第3フレームとをそれぞれ連結し、第7可撓部は、Y軸方向に前記第3フレームと前記第4フレームを連結したことを特徴とする。
【0032】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、第5可撓部は、X軸方向に前記第3質量体及び第4質量体と前記第3フレームとをそれぞれ連結し、第6可撓部は、Y軸方向に前記第3質量体及び前記第4質量体と前記第3フレームとを連結し、第7可撓部は、Y軸方向に前記第3フレームと前記第4フレームを連結し、第8可撓部は、X軸方向に前記第3フレームと前記第4フレームを連結したことを特徴とする。
【0033】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第5可撓部のZ軸方向の厚さよりY軸方向の幅が広く、前記第6可撓部のX軸方向の幅よりZ軸方向の厚さが厚く、前記第7可撓部のZ軸方向の厚さよりX軸方向の幅が広く、前記第8可撓部のY軸方向の幅よりZ軸方向の厚さが厚いことを特徴とする。
【0034】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第3質量体及び前記第4質量体は、前記第3フレームに対してY軸を基準として回転することを特徴とする。
【0035】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第3フレームは、前記第4フレームに対してX軸を基準として回転することを特徴とする。
【0036】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第5可撓部には曲げ応力が生じ、前記第6可撓部には捩り応力が生じることを特徴とする。
【0037】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第7可撓部には曲げ応力が生じ、前記第8可撓部には捩り応力が生じることを特徴とする。
【0038】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第6可撓部はZ軸方向を基準として、前記第3質量体及び前記第4質量体の重量中心より上側に備えられることを特徴とする。
【0039】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第6可撓部は、Y軸方向を基準として、前記第3質量体及び前記第4質量体の重量中心に対応する位置に備えられることを特徴とする。
【0040】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、記第3質量体及び前記第4質量体がY軸を基準として回転する際に生じる変位を前記第2検知手段を検知することを特徴とする。
【0041】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、記第3フレームをX軸を基準として回転するように前記第2駆動手段を駆動させることを特徴とする。
【0042】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、X軸方向に前記第3フレームを横切るように前記第3質量体と前記第4質量体の間に備えられる第2支持部をさらに含むことを特徴とする。
【0043】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第6可撓部はトーションバー(Torsion Bar)状に形成され、前記第8可撓部はトーションバー(Torsion Bar)状に形成されることを特徴とする。
【0044】
また、本発明の実施例による角速度センサにおいて、前記第3質量体及び前記第4質量体は、互いに平行に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0045】
本発明によると、多数のフレームを備え、質量体の駆動変位と検知変位を個別に発生させ、特定方向に対してのみ質量体を運動させるように可撓部が形成される。従って、駆動モードと検知モードとの間の干渉を除去して、回路増幅比の上昇による感度向上を具現することができ、製作誤差による影響を低減させ、収率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の実施例による角速度センサの斜視図である。
図2図1に図示された角速度センサの平面図である。
図3図2に図示されたA−A´線による角速度センサの断面図である。
図4図2に図示されたB−B´線による角速度センサの断面図である。
図5図2に図示された第1、2質量体の運動可能な方向を図示した平面図である。
図6図4に図示された第1、2質量体の運動可能な方向を図示した断面図である。
図7A図4に図示された第2質量体が第1フレームに対してX軸を基準として回転する過程を図示した断面図である。
図7B図4に図示された第2質量体が第1フレームに対してX軸を基準として回転する過程を図示した断面図である。
図8図2に図示された第1フレームの運動可能な方向を図示した平面図である。
図9図3に図示された第1フレームの運動可能な方向を図示した断面図である。
図10A図3に図示された第1フレームが第2フレームに対してY軸を基準として回転する過程を図示した断面図である。
図10B図3に図示された第1フレームが第2フレームに対してY軸を基準として回転する過程を図示した断面図である。
図11A】本発明の実施例による角速度センサが角速度を測定する過程を図示した断面図である。
図11B】本発明の実施例による角速度センサが角速度を測定する過程を図示した断面図である。
図12A】本発明の実施例による角速度センサが角速度を測定する過程を図示した断面図である。
図12B】本発明の実施例による角速度センサが角速度を測定する過程を図示した断面図である。
図12C】本発明の実施例による角速度センサが角速度を測定する過程を図示した断面図である。
図12D】本発明の実施例による角速度センサが角速度を測定する過程を図示した断面図である。
図13】本発明の他の実施例による角速度センサの斜視図である。
図14図13に図示された角速度センサの平面図である。
図15図14に図示されたC−C´線による角速度センサの断面図である。
図16図14に図示されたD−D´線による角速度センサの断面図である。
図17図14に図示された第3、4質量体の運動可能な方向を図示した平面図である。
図18図16に図示された第3、4質量体の運動可能な方向を図示した断面図である。
図19A図16に図示された第4質量体が第3フレームに対してY軸を基準として回転する過程を図示した断面図である。
図19B図16に図示された第4質量体が第3フレームに対してY軸を基準として回転する過程を図示した断面図である。
図20図14に図示された第3フレームの運動可能な方向を図示した平面図である。
図21図15に図示された第3フレームの運動可能な方向を図示した断面図である。
図22A図15に図示された第3フレームが第4フレームに対してX軸を基準として回転する過程を図示した断面図である。
図22B図15に図示された第3フレームが第4フレームに対してX軸を基準として回転する過程を図示した断面図である。
図23A】本発明の他の実施例による角速度センサが角速度を測定する過程を図示した断面図である。
図23B】本発明の他の実施例による角速度センサが角速度を測定する過程を図示した断面図である。
図24A】本発明の他の実施例による角速度センサが角速度を測定する過程を図示した断面図である。
図24B】本発明の他の実施例による角速度センサが角速度を測定する過程を図示した断面図である。
図24C】本発明の他の実施例による角速度センサが角速度を測定する過程を図示した断面図である。
図24D】本発明の他の実施例による角速度センサが角速度を測定する過程を図示した断面図である。
図25】本発明の他の実施例による角速度センサの変形例を図示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の目的、特定の利点及び新規の特徴は、添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ相違する図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、「一面」、「他面」、「第1」、「第2」などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素が前記用語によって限定されるものではない。以下、本発明を説明するにあたり、本発明の要旨を不明瞭にする可能性がある係る公知技術についての詳細な説明は省略する。
【0048】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0049】
図1は、本発明の実施例による角速度センサの斜視図であり、図2は、図1に図示された角速度センサの平面図であり、図3は、図2に図示されたA−A´線による角速度センサの断面図であり、図4は、図2に図示されたB−B´線による角速度センサの断面図である。
【0050】
図1から図4に図示されたように、本実施例による角速度センサ100は、第1質量体110a及び第2質量体110bと、第1質量体110a及び第2質量体110bと離隔するように、第1質量体110a及び第2質量体110bの外側に備えられる第1フレーム120と、Y軸方向に第1質量体110a及び第2質量体110bと第1フレーム120とをそれぞれ連結する第1可撓部130と、X軸方向に第1質量体110a及び第2質量体110bと第1フレーム120とを連結する第2可撓部140と、第1フレーム120と離隔するように第1フレーム120の外側に備えられる第2フレーム150と、X軸方向に第1フレーム120と第2フレーム150とを連結する第3可撓部160と、Y軸方向に第1フレーム120と第2フレーム150とを連結する第4可撓部170と、を含み、第1質量体110a及び第2質量体110bは、X軸方向を基準として第4可撓部170の両側に配置されることを特徴とする。
【0051】
前記第1、2質量体110a、110bは、コリオリ力によって変位が生じるものであり、第1可撓部130及び第2可撓部140を介して第1フレーム120に連結され、互いに平行に配置させることができる。ここで、第1、2質量体110a、110bは、コリオリ力が作用する際に、第1可撓部130の曲げと第2可撓部140の捩りによって第1フレーム120を基準として変位が生じる。この際、第1、2質量体110a、110bは、第1フレーム120に対してX軸を基準として回転するが、これに関する具体的な内容は後述する。一方、第1、2質量体110a、110bは、全体的に四角柱状に図示されているが、これに限定されず、当業界に公知された全ての形状に形成させることができる。
【0052】
前記第1フレーム120は、第1可撓部130及び第2可撓部140を支持して、第1、2質量体110a、110bに変位が生じる空間を確保し、第1、2質量体110a、110bに変位が生じる時に基準となる。ここで、第1フレーム120は、第1、2質量体110a、110bと離隔するように、第1、2質量体110a、110bの外側に備える。この際、第1フレーム120は、中心に四角柱状の空洞が形成された四角柱状であってもよく、これに限定されない。一方、第1フレーム120は、第3可撓部160及び第4可撓部170を介して、第2フレーム150に連結される。
【0053】
ここで、第1フレーム120は、第1駆動手段190によって駆動される場合、第3可撓部160の曲げと第4可撓部170の捩りによって、第2フレーム150を基準として変位が生じる。この際、第1フレーム120は、第2フレーム150に対してY軸を基準として回転するが、これに関する具体的な内容を後述する。一方、第1フレーム120の構造的安定性を確保するために、Y軸方向に第1フレーム120を横切るように、第1質量体110aと第2質量体110bとの間に第1支持部125を備えることができる。
【0054】
前記第1、2可撓部130、140は、第1フレーム120を基準として第1、2質量体110a、110bに変位が生じるように、第1フレーム120と第1、2質量体110a、110bとを連結する機能を果たすものであり、第1可撓部130と第2可撓部140は、互いに垂直に形成される。即ち、第1可撓部130は、Y軸方向に第1、2質量体110a、110bと第1フレーム120とをそれぞれ連結し、第2可撓部140は、X軸方向に第1、2質量体110a、110bと第1フレーム120とを連結する。
【0055】
一方、図2から図4に図示されたように、第1可撓部130のZ軸方向の厚さtよりX軸方向の幅wが広く、第2可撓部140のY軸方向の幅wよりZ軸方向の厚さtが厚いことが好ましい。このような第1可撓部130及び第2可撓部140の特性により、第1、2質量体110a、110bは、第1フレーム120を基準として特定の方向にのみ運動することができる。
【0056】
図5は、図2に図示された第1、2質量体の運動可能な方向を図示した平面図であり、図6は、図4に図示された第1、2質量体の運動可能な方向を図示した断面図であり、これを参照して、第1、2質量体110a、110bの運動可能な方向について説明する。
【0057】
先ず、第2可撓部140のZ軸方向の厚さtがY軸方向の幅wより厚いため、第1、2質量体110a、110bは、第1フレーム120に対してY軸を基準として回転したりZ軸方向に並進することが制限される反面、X軸を基準として相対的に自由に回転することができる(図6参照)。
【0058】
具体的に、第2可撓部140がX軸を基準として回転する際の剛性よりY軸を基準として回転する際の剛性が大きいほど、第1、2質量体110a、110bは、X軸を基準として自由に回転することができる反面、Y軸を基準として回転することが制限される。これと同様に、第2可撓部140がX軸を基準として回転する際の剛性よりZ軸方向に並進する際の剛性が大きいほど、第1、2質量体110a、110bは、X軸を基準として自由に回転することができる反面、Z軸方向に並進することが制限される。
【0059】
従って、第2可撓部140の(Y軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性)/(X軸を基準として回転する際の剛性)値が増加するほど、第1、2質量体110a、110bは、第1フレーム120に対してX軸を基準として自由に回転する反面、Y軸を基準として回転したりZ軸方向に並進することが制限される。
【0060】
図2から図3を参照して、第2可撓部140のZ軸方向の厚さt、X軸方向の長さL及びY軸方向の幅wと方向別の剛性との関係を整理すると、次のとおりである。
【0061】
(1)第2可撓部140のY軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性∝w×t/L
【0062】
(2)第2可撓部140のX軸を基準として回転する際の剛性∝w×t/L
【0063】
前記二つの式によると、第2可撓部140の(Y軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性)/(X軸を基準として回転する際の剛性)値は(t/(w))に比例する。しかし、本実施例による第2可撓部140のY軸方向の幅wよりZ軸方向の厚さtが厚いため、(t/(w))が大きく、これにより、第2可撓部140の(Y軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性)/(X軸を基準として回転する際の剛性)値は増加する。このような第2可撓部140の特性により、第1、2質量体110a、110bは、第1フレーム120に対してX軸を基準として自由に回転する反面、Y軸を基準として回転したりZ軸方向に並進することが制限される。
【0064】
一方、第1可撓部130は、長さ方向(Y軸方向)の剛性が相対的に非常に高いため、第1、2質量体110a、110bが第1フレーム120に対してZ軸を基準として回転したりY軸方向に並進することを制限することができる(図5参照)。また、第2可撓部140は、長さ方向(X軸方向)の剛性が相対的に非常に高いため、第1、2質量体110a、110bが第1フレーム120に対してX軸方向に並進することを制限することができる(図5参照)。
【0065】
その結果、上述した第1可撓部130及び第2可撓部140の特性により、第1、2質量体110a、110bは、第1フレーム120に対してX軸を基準として回転することができるが、Y軸またはZ軸を基準として回転したりZ軸、Y軸またはX軸方向に並進することが制限される。即ち、第1、2質量体110a、110bの運動可能な方向を整理すると、以下の表1のとおりである。
【0066】
【表1】
【0067】
このように、第1、2質量体110a、110bは、第1フレーム120に対してX軸を基準として回転することが可能である反面、他の方向に運動することが制限されるため、第1、2質量体110a、110bの変位を所望の方向(X軸を基準として回転)の力に対してのみ発生させることができる。
【0068】
一方、図7Aから図7Bは、図4に図示された第2質量体が第1フレームに対してX軸を基準として回転する過程を図示した断面図である。
【0069】
図7Aから図7Bに図示されたように、第2質量体110bが第1フレーム120に対してX軸を回転軸Rとして回転するため、第1可撓部130には圧縮応力と引張応力を組み合せた曲げ応力が生じ、第2可撓部140にはX軸を基準として捩り応力が生じる。
【0070】
この際、第2質量体110bにトルク(torque)を発生させるために、第2可撓部140は、Z軸方向を基準として第2質量体110bの重量中心Cより上側に備えることができる。また、第2質量体110bと同様に、第1質量体110aにトルクを発生させるために、第2可撓部140は、Z軸方向を基準として第1質量体110aの重量中心Cより上側に備えることができる。
【0071】
一方、図2に図示されたように、第1、2質量体110a、110bがX軸を基準として正確に回転するように、第2可撓部140はX軸方向を基準として第1質量体110aの重量中心C及び第2質量体110bの重量中心Cに対応する位置に備えることができる。
【0072】
前記第2フレーム150は、第3可撓部160及び第4可撓部170を支持して、第1フレーム120に変位が生じる空間を確保し、第1フレーム120に変位が生じる時に基準となる。ここで、第2フレーム150は、第1フレーム120と離隔するように第1フレーム120の外側に備える。この際、第2フレーム150は、中心に四角柱状の空洞が形成された四角柱状であってもよく、これに限定されない。
【0073】
前記第3、4可撓部160、170は、第2フレーム150を基準として第1フレーム120に変位が生じるように、第2フレーム150と第1フレーム120とを連結する機能を果たすものであり、第3可撓部160と第4可撓部170は、互いに垂直に形成される。即ち、第3可撓部160は、X軸方向に第1フレーム120と第2フレーム150とを連結し、第4可撓部170は、Y軸方向に第1フレーム120と第2フレーム150とを連結する。
【0074】
一方、図2から図4に図示されたように、第3可撓部160のZ軸方向の厚さtよりY軸方向の幅wが広く、第4可撓部170のX軸方向の幅wよりZ軸方向の厚さtが厚いことが好ましい。このような第3可撓部160及び第4可撓部170の特性により、第1フレーム120は第2フレーム150を基準として特定の方向にのみ運動することができる。
【0075】
図8は、図2に図示された第1フレームの運動可能な方向を図示した平面図であり、図9は、図3に図示された第1フレームの運動可能な方向を図示した断面図であり、これを参照して、第1フレーム120の運動可能な方向について説明する。
【0076】
先ず、第4可撓部170のZ軸方向の厚さtがX軸方向の幅wより厚いため、第1フレーム120は、第2フレーム150に対してX軸を基準として回転したりZ軸方向に並進することが制限される反面、Y軸を基準として相対的に自由に回転することができる(図9参照)。
【0077】
具体的に、第4可撓部170がY軸を基準として回転する際の剛性よりX軸を基準として回転する際の剛性が大きいほど、第1フレーム120は、Y軸を基準として自由に回転することができる反面、X軸を基準として回転することが制限される。これと同様に、第4可撓部170がY軸を基準として回転する際の剛性よりZ軸方向に並進する際の剛性が大きいほど、第1フレーム120は、Y軸を基準として自由に回転することができる反面、Z軸方向に並進することが制限される。
【0078】
従って、第4可撓部170の(X軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性)/(Y軸を基準として回転する際の剛性)値が増加するほど、第1フレーム120は、第2フレーム150に対してY軸を基準として自由に回転する反面、X軸を基準として回転したりZ軸方向に並進することが制限される。
【0079】
図2から図4を参照して、第4可撓部170のZ軸方向の厚さt、Y軸方向の長さL及びX軸方向の幅wと方向別の剛性との関係を整理すると、次のとおりである。
【0080】
(1)第4可撓部170のX軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性∝w×t/L
【0081】
(2)第4可撓部170のY軸を基準として回転する際の剛性∝w×t/L
【0082】
前記二つの式によると、第4可撓部170の(X軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性)/(Y軸を基準として回転する際の剛性)値は(t/(w))に比例する。しかし、本実施例による第4可撓部170のX軸方向の幅wよりZ軸方向の厚さtが厚いため、(t/(w))が大きく、これにより、第4可撓部170の(X軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性)/(Y軸を基準として回転する際の剛性)値は増加する。このような第4可撓部170の特性により、第1フレーム120は、第2フレーム150に対してY軸を基準として回転する反面、X軸を基準として回転したりZ軸方向に並進することが制限される。
【0083】
一方、第3可撓部160は、長さ方向(X軸方向)の剛性が相対的に非常に高いため、第1フレーム120が第2フレーム150に対してZ軸を基準として回転したりX軸方向に並進することを制限することができる(図8参照)。また、第4可撓部170は、長さ方向(Y軸方向)の剛性が相対的に非常に高いため、第1フレーム120が第2フレーム150に対してY軸方向に並進することを制限することができる(図8参照)。
【0084】
その結果、上述した第3可撓部160及び第4可撓部170の特性により、第1フレーム120は、第2フレーム150に対してY軸を基準として回転することができるが、X軸またはZ軸を基準として回転したりZ軸、Y軸またはX軸方向に並進することが制限される。即ち、第1フレーム120の運動可能な方向を整理すると、以下の表2のとおりである。
【0085】
【表2】
【0086】
このように、第1フレーム120は、第2フレーム150に対してY軸を基準として回転することが可能である反面、他の方向に運動することが制限されるため、第1フレーム120の変位を所望の方向(Y軸を基準として回転)の力に対してのみ発生させることができる。
【0087】
一方、図10Aから図10Bは、図3に図示された第1フレームが第2フレームに対してY軸を基準として回転する過程を図示した断面図である。
【0088】
図10Aから図10Bに図示されたように、第1フレーム120が第2フレーム150に対してY軸を基準として回転するため、第3可撓部160には、圧縮応力と引張応力を組み合せた曲げ応力が生じ、第4可撓部170には、Y軸を基準として捩り応力が生じる。
【0089】
さらに、図2に図示されたように、XY平面を基準として見ると、第1可撓部130は相対的に広い反面、第2可撓部140は相対的に狭いため、第1可撓部130には、第1、2質量体110a、110bの変位を検知する第1検知手段180を備えることができる。
【0090】
ここで、第1検知手段180は、X軸を基準として回転する第1、2質量体110a、110bの変位を検知することができる。この際、第1検知手段180は、特に限定されないが、圧電方式、圧抵抗方式、静電容量方式、光学方式などを用いて形成することができる。
【0091】
また、XY平面を基準として見ると、第3可撓部160は相対的に広い反面、第4可撓部170は相対的に狭いため、第3可撓部160には、第1フレーム120を駆動させる第1駆動手段190を備えることができる。ここで、第1駆動手段190は、第1フレーム120を、Y軸を基準として回転するように駆動させることができる。この際、第1駆動手段190は、特に限定されないが、圧電方式、静電容量方式などを用いて形成することができる。
【0092】
さらに、第4可撓部170の上部には、第1フレーム120と第2フレーム150とを連結するために、第1メンブレン175を備えることができる。ここで、第1メンブレン175の幅は、第4可撓部170の幅wより広い。即ち、第1メンブレン175は、板状に形成させることができ、図3のように断面から見て、第4可撓部170と垂直に接して「T」状を成すことができる。この際、第1メンブレン175は、第1検知手段180から延長された配線(不図示)が通過する領域を提供することができる。
【0093】
一方、上述した構造的特性を用いて、本実施例による角速度センサ100は、角速度を測定することができる。
【0094】
図11Aから図12Dは、本発明の実施例による角速度センサが角速度を測定する過程を図示した断面図であり、これを参照して角速度を測定する過程について説明する。
【0095】
先ず、図11Aから図11Bに図示されたように、第1駆動手段190を用いて第1フレーム120を第2フレーム150に対してY軸を基準として回転させる(駆動モード)。
【0096】
ここで、第1、2質量体110a、110bは、第1フレーム120と共にY軸を基準として回転しながら振動し、振動によって第1、2質量体110a、110bに変位が生じる。
【0097】
具体的に、第1質量体110aに+X軸方向及び−Z軸方向に変位(+X、−Z)が生じると共に、第2質量体110bに+X軸方向及び+Z軸方向に変位(+X、+Z)が生じてから(図11A参照)、その後第1質量体110aに−X軸方向及び+Z軸方向に変位(−X、+Z)が生じると共に、第2質量体110bに−X軸方向及び−Z軸方向に変位(−X、−Z)が生じる(図11B参照)。この際、X軸またはZ軸を基準として回転する角速度が第1、2質量体110a、110bに印加されると、コリオリ力が生じる。
【0098】
このようなコリオリ力により、図12A〜Dに図示されたように、第1、2質量体110a、110bは、第1フレーム120に対してX軸を基準として回転することで変位が生じ、第1検知手段180が第1、2質量体110a、110bの変位を検知する(検知モード)。
【0099】
具体的に、図12Aから図12Bに図示されたように、X軸を基準として回転する角速度が第1、2質量体110a、110bに印加されると、第1質量体110aに−Y軸方向に発生したコリオリ力が+Y軸方向に発生し、第2質量体110bに+Y軸方向に発生したコリオリ力が−Y軸方向に発生する。
【0100】
従って、第1質量体110a及び第2質量体110bは、互いに反対方向にX軸を基準として回転し、第1検知手段180が第1質量体110a及び第2質量体110bの変位を検知することで、コリオリ力を算出することができ、このようなコリオリ力によりX軸を基準として回転する角速度を測定することができる。
【0101】
この際、第1質量体110aに連結された二つの第1可撓部130、第1検知手段180でそれぞれ発生する信号をSY1及びSY2と定義し、第2質量体110bに連結された二つの第1可撓部130、第1検知手段180でそれぞれ発生する信号をSY3及びSY4と定義すると、X軸を基準として回転する角速度は、(SY1−SY2)−(SY3−SY4)で算出することができる。このように、反対方向に回転する第1質量体110aと第2質量体110bとの間の信号を差動出力するため、加速度ノイズを相殺することができる利点がある。
【0102】
また、図12Cから図12Dに図示されたように、Z軸を基準として回転する角速度が第1、2質量体110a、110bに印加されると、第1質量体110aに−Y軸方向に発生したコリオリ力が+Y軸方向に発生し、第2質量体110bに−Y軸方向に発生したコリオリ力が+Y軸方向に発生する。
【0103】
従って、第1質量体110a及び第2質量体110bは、同一方向にX軸を基準として回転し、第1検知手段180が第1質量体110a及び第2質量体110bの変位を検知することで、コリオリ力を算出することができ、このようなコリオリ力によりZ軸を基準として回転する角速度を測定することができる。
【0104】
この際、第1質量体110aに連結された二つの第1可撓部130、第1検知手段180でそれぞれ発生する信号をSY1及びSY2と定義し、第2質量体110bに連結された二つの第1可撓部130、第1検知手段180でそれぞれ発生する信号をSY3及びSY4と定義すると、Z軸を基準として回転する角速度は、(SY1−SY2)+(SY3−SY4)で算出することができる。
【0105】
その結果、本実施例による角速度センサ100は、第1検知手段180により、X軸またはZ軸を基準として回転する角速度を測定することができる。即ち、本実施例による角速度センサ100は、X軸及びZ軸を含む二軸角速度を測定することができる。
【0106】
一方、上述した第1可撓部130及び第2可撓部140の特性により、第1、2質量体110a、110bは、第1フレーム120に対してX軸のみを基準として回転することができる。従って、図11Aから図11Bに図示されたように、第1駆動手段190を用いて、第1フレーム120を第2フレーム150に対してY軸を基準として回転しても、第1、2質量体110a、110bは、第1フレーム120に対してY軸を基準として回転しない。また、上述した第3可撓部160及び第4可撓部170の特性により、第1フレーム120は、第2フレーム150に対してY軸のみを基準として回転することができる。
【0107】
従って、図12A〜Dに図示されたように、第1検知手段180を用いて、第1、2質量体110a、110bの変位を検知する際、Y軸方向のコリオリ力が作用しても、第1フレーム120は、第2フレーム150に対してX軸を基準として回転せず、第1、2質量体110a、110bのみが第1フレーム120に対してX軸を基準として回転する。
【0108】
このように、本実施例による角速度センサ100は、第1フレーム120及び第2フレーム150を備え、第1、2質量体110a、110bの駆動変位及び検知変位を個別に発生させ、特定方向に対してのみ第1、2質量体110a、110b及び第1フレーム120が運動されるように形成された第1、2、3、4可撓部130、140、160、170を含む。
【0109】
従って、本実施例による角速度センサは、駆動モードと検知モードとの間の干渉を除去して、回路増幅比の上昇による感度向上を具現することができ、製作誤差による影響を低減させ、収率を向上させることができる。
【0110】
一方、図13は、本発明の他の実施例による角速度センサの斜視図であり、図14は、図13に図示された角速度センサの平面図であり、図15は、図14に図示されたC−C´線による角速度センサの断面図であり、図16は、図14に図示されたD−D´線による角速度センサの断面図である。
【0111】
図13から図16に図示されたように、本実施例による角速度センサ200は、第1、2質量体110a、110b、第1、2フレーム120、150及び第1、2、3、4可撓部130、140、160、170の他に、第3質量体210a、第4質量体210b、第3質量体210a及び第4質量体210bと離隔するように、第3質量体210a及び第4質量体210bの外側に備えられる第3フレーム220と、X軸方向に第3質量体210a及び第4質量体210bと第3フレーム220とをそれぞれ連結する第5可撓部230と、Y軸方向に第3質量体210a及び第4質量体210bと第3フレーム220とを連結する第6可撓部240と、第3フレーム220と離隔するように第3フレーム220の外側に備えられる第4フレーム250と、Y軸方向に第3フレーム220と第4フレーム250とを連結する第7可撓部260と、X軸方向に第3フレーム220と第4フレーム250とを連結する第8可撓部270と、をさらに含み、第3質量体210a及び第4質量体210bはY軸方向を基準として第8可撓部270の両側に配置され、第2フレーム150の側面に第4フレーム250が配置されることを特徴とする。
【0112】
即ち、本実施例による角速度センサ200は、前記実施例による角速度センサ100と比較して、第3、4質量体210a、210b、第3、4フレーム220、250及び第5、6、7、8可撓部230、240、260、270をさらに備えるものである。従って、以下の本実施例による角速度センサ200については、前記実施例による角速度センサ100と重複する内容は省略し、第3、4質量体210a、210b、第3、4フレーム220、250及び第5、6、7、8可撓部230、240、260、270を中心に記述する。
【0113】
前記第3、4質量体210a、210bは、コリオリ力によって変位が生じるものであり、第5可撓部230及び第6可撓部240を介して第3フレーム220に連結され、互いに平行に配置させることができる。ここで、第3、4質量体210a、210bは、コリオリ力が作用する際に、第5可撓部230の曲げと第6可撓部240の捩りによって、第3フレーム220を基準として変位が生じる。この際、第3、4質量体210a、210bは、第3フレーム220に対してY軸を基準として回転するが、これに関する具体的な内容は後述する。一方、第3、4質量体210a、210bは、全体的に四角柱状に図示されているが、これに限定されず、当業界に公知された全ての形状に形成することができる。
【0114】
前記第3フレーム220は、第5可撓部230及び第6可撓部240を支持して、第3、4質量体210a、210bに変位が生じる空間を確保し、第3、4質量体210a、210bに変位が生じる時に基準となる。ここで、第3フレーム220は、第3、4質量体210a、210bと離隔するように、第3、4質量体210a、210bの外側に備える。この際、第3フレーム220は、中心に四角柱状の空洞が形成された四角柱状であってもよく、これに限定されない。
【0115】
一方、第3フレーム220は、第7可撓部260及び第8可撓部270を介して第4フレーム250に連結される。ここで、第3フレーム220は、第2駆動手段290によって駆動される際、第7可撓部260の曲げと第8可撓部270の捩りによって、第4フレーム250を基準として変位が生じる。この際、第3フレーム220は、第4フレーム250に対してX軸を基準として回転するが、これに関する具体的な内容は後述する。一方、第3フレーム220の構造的安定性を確保するために、X軸方向に第3フレーム220を横切るように第3質量体210aと第4質量体210bとの間に第2支持部225を備えることができる。
【0116】
前記第5、6可撓部230、240は、第3フレーム220を基準として第3、4質量体210a、210bに変位が生じるように第3フレーム220と第3、4質量体210a、210bとを連結する機能を果たすものであり、第5可撓部230及び第6可撓部240は互いに垂直に形成される。即ち、第5可撓部230はX軸方向に第3、4質量体210a、210bと第3フレーム220とをそれぞれ連結し、第6可撓部240はY軸方向に第3、4質量体210a、210bと第3フレーム220とを連結する。
【0117】
一方、図14から図16に図示されたように、第5可撓部230のZ軸方向の厚さtよりY軸方向の幅wが広く、第6可撓部240のX軸方向の幅wよりZ軸方向の厚さtが厚いことが好ましい。このような第5可撓部230及び第6可撓部240の特性により、第3、4質量体210a、210bは、第3フレーム220を基準として特定の方向にのみ運動することができる。
【0118】
図17は、図14に図示された第3、4質量体の運動可能な方向を図示した平面図であり、図18は、図16に図示された第3、4質量体の運動可能な方向を図示した断面図であり、これを参照して、第3、4質量体210a、210bの運動可能な方向について説明する。
【0119】
先ず、第6可撓部240のZ軸方向の厚さtがX軸方向の幅wより厚いため、第3、4質量体210a、210bは第3フレーム220に対してX軸を基準として回転したりZ軸方向に並進することが制限される反面、Y軸を基準として相対的に自由に回転することができる(図18参照)。
【0120】
具体的に、第6可撓部240がY軸を基準として回転する際の剛性よりX軸を基準として回転する際の剛性が大きいほど、第3、4質量体210a、210bは、Y軸を基準として自由に回転することができる反面、X軸を基準として回転することが制限される。これと同様に、第6可撓部240がY軸を基準として回転する際の剛性よりZ軸方向に並進する際の剛性が大きいほど、第3、4質量体210a、210bはY軸を基準として自由に回転することができる反面、Z軸方向に並進することが制限される。
【0121】
従って、第6可撓部240の(X軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性)/(Y軸を基準として回転する際の剛性)値が増加するほど、第3、4質量体210a、210bは第3フレーム220に対してY軸を基準として自由に回転する反面、X軸を基準として回転したりZ軸方向に並進することが制限される。
【0122】
図14から図15を参照して、第6可撓部240のZ軸方向の厚さt、Y軸方向の長さL及びX軸方向の幅wと方向別の剛性との関係を整理すると、次のとおりである。
【0123】
(1)第6可撓部240のX軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性∝w×t/L
【0124】
(2)第6可撓部240のY軸を基準として回転する際の剛性∝w×t/L
【0125】
前記二つの式によると、第6可撓部240の(X軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性)/(Y軸を基準として回転する際の剛性)値は(t/(w))に比例する。しかし、本実施例による第6可撓部240のX軸方向の幅wよりZ軸方向の厚さtが厚いため、(t/(w))が大きく、これにより、第6可撓部240の(X軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性)/(Y軸を基準として回転する際の剛性)値は増加する。このような第6可撓部240の特性により、第3、4質量体210a、210bは第3フレーム220に対してY軸を基準として自由に回転する反面、X軸を基準として回転したりZ軸方向に並進することが制限される。
【0126】
一方、第5可撓部230は、長さ方向(X軸方向)の剛性が相対的に非常に高いため、第3、4質量体210a、210bが第3フレーム220に対してZ軸を基準として回転したりX軸方向に並進することを制限することができる(図17参照)。また、第6可撓部240は、長さ方向(Y軸方向)の剛性が相対的に非常に高いため、第3、4質量体210a、210bが第3フレーム220に対してY軸方向に並進することを制限することができる(図17参照)。
【0127】
その結果、上述した第5可撓部230及び第6可撓部240の特性により、第3、4質量体210a、210bは、第3フレーム220に対してY軸を基準として回転することができるが、X軸またはZ軸を基準として回転したりZ軸、Y軸またはX軸方向に並進することが制限される。即ち、第3、4質量体210a、210bの運動可能な方向を整理すると、以下の表3のとおりである。
【0128】
【表3】
【0129】
このように、第3、4質量体210a、210bは、第3フレーム220に対してY軸を基準として回転することが可能である反面、他の方向に運動することが制限されるため、第3、4質量体210a、210bの変位を所望の方向(Y軸を基準として回転)の力に対してのみ発生させることができる。
【0130】
一方、図19Aから図19Bは、図16に図示された第4質量体が第3フレームに対してY軸を基準として回転する過程を図示した断面図である。
【0131】
図19Aから図19Bに図示されたように、第4質量体210bが第3フレーム220に対してY軸を回転軸Rとして回転するため、第5可撓部230には、圧縮応力と引張応力を組み合せた曲げ応力が生じ、第6可撓部240には、Y軸を基準として捩り応力が生じる。この際、第4質量体210bにトルク(torque)を発生させるために、第6可撓部240は、Z軸方向を基準として第4質量体210bの重量中心Cより上側に備えることができる。また、第4質量体210bと同様に、第3質量体210aにトルクを発生させるために、第6可撓部240は、Z軸方向を基準として第3質量体210aの重量中心Cより上側に備えることができる。
【0132】
一方、図14に図示されたように、第3、4質量体210a、210bがY軸を基準として正確に回転するように、第6可撓部240は、Y軸方向を基準として第3質量体210aの重量中心C及び第4質量体210bの重量中心Cに対応する位置に備えることができる。
【0133】
前記第4フレーム250は、第7可撓部260及び第8可撓部270を支持して、第3フレーム220に変位が生じる空間を確保し、第3フレーム220に変位が生じる時の基準となる。ここで、第4フレーム250は、第3フレーム220と離隔するように、第3フレーム220の外側に備える。この際、第4フレーム250は、中心に四角柱状の空洞が形成された四角柱状であってもよく、これに限定されない。一方、第4フレーム250は、第2フレーム150の側面に配置させることができる。この際、第4フレーム250は、第2フレーム150と必ずしも別に備えなければならないものではなく、第2フレーム150と一体に形成させることもできる。また、第4フレーム250と第2フレーム150の互いに対応する内部構成は、互いに垂直に配置される。
【0134】
前記第7、8可撓部260、270は、第4フレーム250を基準として第3フレーム220に変位が生じるように、第3フレーム220と第4フレーム250とを連結する機能を果たすものであり、第7可撓部260及び第8可撓部270は、互いに垂直に形成される。即ち、第7可撓部260は、Y軸方向に第3フレーム220と第4フレーム250とを連結し、第8可撓部270は、X軸方向に第3フレーム220と第4フレーム250とを連結する。
【0135】
一方、図14から図16に図示されたように、第7可撓部260のZ軸方向の厚さtよりX軸方向の幅wが広く、第8可撓部270のY軸方向の幅wよりZ軸方向の厚さtが厚いことが好ましい。このような第7可撓部260及び第8可撓部270の特性により、第3フレーム220は、第4フレーム250を基準として特定の方向のみに運動することができる。
【0136】
図20は、図14に図示された第3フレームの運動可能な方向を図示した平面図であり、図21は、図15に図示された第3フレームの運動可能な方向を図示した断面図であり、これを参照して、第3フレーム220の運動可能な方向について説明する。
【0137】
先ず、第8可撓部270のZ軸方向の厚さtがY軸方向の幅wより厚いため、第3フレーム220は、第4フレーム250に対してY軸を基準として回転したりZ軸方向に並進することが制限される反面、X軸を基準として相対的に自由に回転することができる(図21参照)。
【0138】
具体的に、第8可撓部270がX軸を基準として回転する際の剛性よりY軸を基準として回転する際の剛性が大きいほど、第3フレーム220は、X軸を基準として自由に回転することができる反面、Y軸を基準として回転することが制限される。これと同様に、第8可撓部270がX軸を基準として回転する際の剛性よりZ軸方向に並進する際の剛性が大きいほど、第3フレーム220は、X軸を基準として自由に回転することができる反面、Z軸方向に並進することが制限される。
【0139】
従って、第8可撓部270の(Y軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性)/(X軸を基準として回転する際の剛性)値が増加するほど、第3フレーム220は、第4フレーム250に対してX軸を基準として自由に回転する反面、Y軸を基準として回転したりZ軸方向に並進することが制限される。
【0140】
図14から図16を参照して、第8可撓部270のZ軸方向の厚さt、X軸方向の長さ(L)及びY軸方向の幅wと方向別の剛性との関係を整理すると、次のとおりである。
【0141】
(1)第8可撓部270のY軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性∝w×t/L
【0142】
(2)第8可撓部270のX軸を基準として回転する際の剛性∝w×t/L
【0143】
前記二つの式によると、第8可撓部270の(Y軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性)/(X軸を基準として回転する際の剛性)値は、(t/(w))に比例する。しかし、本実施例による第8可撓部270は、Z軸方向の厚さtがY軸方向の幅wより厚いため、(t/(w))が大きく、これにより、第8可撓部270の(Y軸を基準として回転する際の剛性またはZ軸方向に並進する際の剛性)/(X軸を基準として回転する際の剛性)値は増加する。このような第8可撓部270の特性により、第3フレーム220は、第4フレーム250に対してX軸を基準として回転する反面、Y軸を基準として回転したりZ軸方向に並進することが制限される。
【0144】
一方、第7可撓部260は、長さ方向(Y軸方向)の剛性が相対的に非常に高いため、第3フレーム220が第4フレーム250に対してZ軸を基準として回転したりY軸方向に並進することを制限することができる(図20参照)。また、第8可撓部270は、長さ方向(X軸方向)の剛性が相対的に非常に高いため、第3フレーム220が第4フレーム250に対してX軸方向に並進することを制限することができる(図20参照)。
【0145】
その結果、上述した第7可撓部260及び第8可撓部270の特性により、第3フレーム220は、第4フレーム250に対してX軸を基準として回転することができるが、Y軸またはZ軸を基準として回転したりZ軸、Y軸またはX軸方向に並進することが制限される。即ち、第3フレーム220の運動可能な方向を整理すると、以下の表4のとおりである。
【0146】
【表4】
【0147】
このように、第3フレーム220は、第4フレーム250に対してX軸を基準として回転することが可能である反面、他の方向に運動することが制限されるため、第3フレーム220の変位を所望の方向(X軸を基準として回転)の力に対してのみ発生させることができる。
【0148】
一方、図22Aから図22Bは、図15に図示された第3フレームが第4フレームに対してX軸を基準として回転する過程を図示した断面図である。
【0149】
図22Aから図22Bに図示されたように、第3フレーム220が第4フレーム250に対してX軸を基準として回転するため、第7可撓部260には圧縮応力と引張応力を組み合せた曲げ応力が生じ、第8可撓部270にはX軸を基準として捩り応力が生じる。
【0150】
さらに、図14に図示されたように、XY平面を基準として見ると、第5可撓部230は相対的に広い反面、第6可撓部240は相対的に狭いため、第5可撓部230には、第3、4質量体210a、210bの変位を検知する第2検知手段280を備えることができる。ここで、第2検知手段280は、Y軸を基準として回転する第3、4質量体210a、210bの変位を検知することができる。この際、第2検知手段280は、特に限定されないが、圧電方式、圧抵抗方式、静電容量方式、光学方式などを用いて形成することができる。
【0151】
また、XY平面を基準として見ると、第7可撓部260は相対的に広い反面、第8可撓部270は相対的に狭いため、第7可撓部260には、第3フレーム220を駆動させる第2駆動手段290を備えることができる。ここで、第2駆動手段290は、第3フレーム220を、X軸を基準として回転するように駆動させることができる。この際、第2駆動手段290は、特に限定されないが、圧電方式、静電容量方式などを用いて形成することができる。
【0152】
さらに、第8可撓部270の上部には、第3フレーム220と第4フレーム250とを連結するように、第2メンブレン275を備えることができる。ここで、第2メンブレン275の幅は、第8可撓部270の幅wより広い。即ち、第2メンブレン275は、板状に形成させることができ、図15のように断面から見て、第8可撓部270と垂直に接して「T」状を成すことができる。この際、第2メンブレン275は、第2検知手段280から延長された配線(不図示)が通過する領域を提供することができる。
【0153】
一方、上述した構造的特性を用いて、本実施例による角速度センサ200は、角速度を測定することができる。
【0154】
図23Aから図24Dは、本発明の他の実施例による角速度センサが角速度を測定する過程を図示した断面図であり、これを参照して角速度を測定する過程について説明する。
【0155】
先ず、図23Aから図23Bに図示されたように、第2駆動手段290を用いて第3フレーム220を第4フレーム250に対してX軸を基準として回転させる(駆動モード)。
【0156】
ここで、第3、4質量体210a、210bは第3フレーム220と共にX軸を基準として回転しながら振動し、振動によって第3、4質量体210a、210bには変位が生じる。
【0157】
具体的に、第3質量体210aに+Y軸方向及び+Z軸方向に変位(+Y、+Z)が生じると共に、第4質量体210bに+Y軸方向及び−Z軸方向に変位(+Y、−Z)が生じてから(図23A参照)、その後第3質量体210aに−Y軸方向及び−Z軸方向に変位(−Y、−Z)が生じると共に、第4質量体210bに−Y軸方向及び+Z軸方向に変位(−Y、+Z)が生じる(図23B参照)。この際、Y軸またはZ軸を基準として回転する角速度が第3、4質量体210a、210bに印加すると、コリオリ力が生じる。
【0158】
このようなコリオリ力によって、図24A〜Dに図示されたように、第3、4質量体210a、210bは、第3フレーム220に対してY軸を基準として回転することで変位が生じ、第2検知手段280が第3、4質量体210a、210bの変位を検知する(検知モード)。
【0159】
具体的に、図24Aから図24Bに図示されたように、Y軸を基準として回転する角速度が第3、4質量体210a、210bに印加すると、第3質量体210aに−X軸方向に発生したコリオリ力が+X軸方向に発生し、第4質量体210bに+X軸方向に発生したコリオリ力が−X軸方向に発生する。
【0160】
従って、第3質量体210aと第4質量体210bは、互いに反対方向にY軸を基準として回転するようになり、第2検知手段280が第3質量体210a及び第4質量体210bの変位を検知することで、コリオリ力を算出することができ、このようなコリオリ力によりY軸を基準として回転する角速度を測定することができる。
【0161】
この際、第3質量体210aに連結された二つの第5可撓部230、第2検知手段280でそれぞれ発生する信号をSX1及びSX2と定義し、第4質量体210bに連結された二つの第5可撓部230、第2検知手段280でそれぞれ発生する信号をSX3及びSX4と定義すると、Y軸を基準として回転する角速度は、(SX1−SX2)−(SX3−SX4)で算出することができる。このように、反対方向に回転する第3質量体210aと第4質量体210bとの間の信号を差動出力するため、加速度ノイズを相殺することができる利点がある。
【0162】
また、図24Cから図24Dに図示されたように、Z軸を基準として回転する角速度が第3、4質量体210a、210bに印加すると、第3質量体210aに−X軸方向に発生したコリオリ力が+X軸方向に発生し、第4質量体210bに−X軸方向に発生したコリオリ力が+X軸方向に発生する。従って、第3質量体210a及び第4質量体210bは、同一方向にY軸を基準として回転するようになり、第2検知手段280が第3質量体210a及び第4質量体210bの変位を検知することで、コリオリ力を算出することができ、このようなコリオリ力によりY軸を基準として回転する角速度を測定することができる。
【0163】
この際、第3質量体210aに連結された二つの第5可撓部230、第2検知手段280でそれぞれ発生する信号をSX1及びSX2と定義し、第4質量体210bに連結された二つの第5可撓部230、第2検知手段280でそれぞれ発生する信号をSX3及びSX4と定義すると、Z軸を基準として回転する角速度は、(SX1−SX2)+(SX3−SX4)で算出することができる。
【0164】
その結果、本実施例による角速度センサ200は、第1検知手段180を介してX軸またはZ軸を基準として回転する角速度を測定することができ、第2検知手段280を介してY軸またはZ軸を基準として回転する角速度を測定することができる。即ち、本実施例による角速度センサ200は、X軸、Y軸及びZ軸を含む3軸角速度を全て測定することができる。また、第1検知手段180及び第2検知手段280両方の信号を合算して、Z軸を基準として回転する角速度を測定することができるため、感度が2倍になるという利点がある。
【0165】
一方、上述した第5可撓部230及び第6可撓部240の特性により、第3、4質量体210a、210bは、第3フレーム220に対してY軸のみを基準として回転することができる。従って、図23Aから図23Bに図示されたように、第2駆動手段290を用いて第3フレーム220を第4フレーム250に対してX軸を基準として回転しても、第3、4質量体210a、210bは、第3フレーム220に対してX軸を基準として回転しない。また、上述した第7可撓部260及び第8可撓部270の特性により、第3フレーム220は、第4フレーム250に対してX軸のみを基準として回転することができる。
【0166】
従って、図24A〜Dに図示されたように、第2検知手段280を用いて第3、4質量体210a、210bの変位を検知する際、X軸方向のコリオリ力が作用しても、第3フレーム220は、第4フレーム250に対してY軸を基準として回転せず、第3、4質量体210a、210bのみが第3フレーム220に対してY軸を基準として回転する。
【0167】
このように、本実施例による角速度センサ200は、第3フレーム220及び第4フレーム250を備え、第3、4質量体210a、210bの駆動変位及び検知変位を個別に発生させ、特定方向に対してのみ第3、4質量体210a、210b及び第3フレーム220が運動されるように形成された第5、6、7、8可撓部230、240、260、270を含む。従って、駆動モードと検知モードとの間の干渉を除去し、回路増幅比の上昇による感度向上を具現することができ、製作誤差による影響を低減させ、収率を向上させることができる。
【0168】
但し、本発明による角速度センサの第2、4、6、8可撓部140、170、240、270は、必ずしも上述したように断面上の四角形であるヒンジ(Hinge)状に形成する必要はない。例えば、図25に図示されたように、第2、4、6、8可撓部140、170、240、270は、断面上の円形であるトーションバー(Torsion Bar)状など可能な全ての形状に形成することができる。
【0169】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0170】
本発明の単純な変形乃至変更はいずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明は、角速度センサに適用可能である。
【符号の説明】
【0172】
100、200 角速度センサ
110a 第1質量体
110b 第2質量体
120 第1フレーム
125 第1支持部
130 第1可撓部
140 第2可撓部
150 第2フレーム
160 第3可撓部
170 第4可撓部
175 第1メンブレン
180 第1検知手段
190 第1駆動手段
210a 第3質量体
210b 第4質量体
220 第3フレーム
225 第2支持部
230 第5可撓部
240 第6可撓部
250 第4フレーム
260 第7可撓部
270 第8可撓部
275 第2メンブレン
280 第2検知手段
290 第2駆動手段
第1質量体の重量中心
第2質量体の重量中心
第1可撓部の厚さ
第1可撓部の幅
第2可撓部の厚さ
第2可撓部の幅
第2可撓部の長さ
第1、2質量体の回転軸
第3可撓部の厚さ
第3可撓部の幅
第4可撓部の厚さ
第4可撓部の幅
第4可撓部の長さ
第3質量体の重量中心
第4質量体の重量中心
第5可撓部の厚さ
第5可撓部の幅
第6可撓部の厚さ
第6可撓部の幅
第6可撓部の長さ
第3、4質量体の回転軸
第7可撓部の厚さ
第7可撓部の幅
第8可撓部の厚さ
第8可撓部の幅
第8可撓部の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図24C
図24D
図25