特許第5714092号(P5714092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5714092
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】防水コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   H01R13/52 301H
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-266959(P2013-266959)
(22)【出願日】2013年12月25日
【審査請求日】2013年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】511049509
【氏名又は名称】日本デルファイ・オートモーティブ・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】特許業務法人タス・マイスター国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 修一
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 政弘
【審査官】 山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−288151(JP,A)
【文献】 実開昭63−065972(JP,U)
【文献】 特開2012−199051(JP,A)
【文献】 特開平08−138795(JP,A)
【文献】 実開平03−002570(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルが接続される端子金具が収容されるキャビティが設けられたコネクタハウジングを有する防水コネクタであって、
前記キャビティと連通しケーブルが挿通されるケーブル挿通孔が形成された挿入面と、
前記挿入面に向い合って設けられた保護壁と、
ケーブルが挿通される防水貫通孔を有し、前記ケーブル挿通孔に設けられる防水栓と、を備え、
前記防水栓は、前記ケーブル挿通孔から突出し、前記防水栓の端部を形成し鍔状の形状を有する鍔部を有し、
前記鍔部は、前記保護壁と前記挿入面との間に位置する防水コネクタ。
【請求項2】
記保護壁は、ケーブルが挿通される保護貫通孔を有し、
前記鍔部は、前記保護貫通孔において露出している請求項1に記載の防水コネクタ。
【請求項3】
保護壁が、支持部を介してコネクタハウジングに一体的に連結されて形成される請求項1又は2に記載の防水コネクタ。
【請求項4】
前記鍔部が前記挿入面に保持可能に、前記鍔部の直径は前記ケーブル挿通孔の直径より大きく形成され、
前記防水貫通孔は、前記防水貫通孔の長手方向に沿って互いに異なる位置に形成された第1の止水リップと第2の止水リップと有し、
前記第1の止水リップ及び前記第2の止水リップは、前記防水貫通孔の内側に向って突出する少なくとも1つの突出部を有し、
前記防水栓は、前記鍔部と前記第1の止水リップとの間に前記防水栓に沿って形成された同径部を有し、
前記第2の止水リップの突出部は、前記同径部と重なる位置に形成される請求項1ないし3のいずれかに記載の防水コネクタ。
【請求項5】
前記第1の止水リップは、前記防水貫通孔の長手方向に沿って第1の間隔をおいて形成された複数の突出部を有し、
前記第2の止水リップは、前記防水貫通孔の長手方向に沿って前記第1の間隔をおいて形成された複数の突出部を有し、
前記第1の止水リップの前記複数の突出部と、前記第2の止水リップの前記複数の突出部とのうちの最も近くに形成された突出部の間隔が、前記第1の間隔よりも長い請求項1ないし4のいずれかに記載の防水コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
防水機能を向上させた防水コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
車などの車両に搭載させる電装部品などには、電力を供給したり各種の信号を送受信するためのワイヤーハーネスが用いられる。ワイヤーハーネスは、電装部品などとの電気的接続するためにコネクタに接続されている。
【0003】
車両は、ボンネットやドアなどのほか、車両の下部には、間隙が形成されている。間隙から雨などの液体が侵入してもワイヤーハーネスやコネクタには、液体が進入しないようにゴムなどを用いて予め防水されている(たとえば、特許文献1及び2など)。
【0004】
また、車などの車両は、定期的に洗車する必要がある。洗車は、一般に水によって車体の汚れを除去する作業である。洗車では、汚れを除去すべく、車両に対して様々な角度から水をかける。このため、洗車においては、一定の角度方向から水が車両にかけられることは少ない。また、洗車に用いられる水として、短時間かつ的確に洗車できるようにすべく、近年では高圧の水が用いられる場合が多くなってきた。このため、車両に形成されている間隙に水が進入することも想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3909417号
【特許文献2】特開2010−272405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、洗車などに用いる水などの液体に対して的確に封止できるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施態様は、
ケーブルが接続される端子金具が収容されるキャビティが設けられたコネクタハウジングを有する防水コネクタであって、
前記キャビティと連通しケーブルが挿通されるケーブル挿通孔が形成された挿入面と、
前記挿入面に向い合って設けられた保護壁と、を備える防水コネクタである。
【0008】
保護壁が、挿入面に向い合って設けられているので、保護壁によって水流を遮ることができる。
【発明の効果】
【0009】
洗車などに用いる水などの液体に対して的確に封止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態による防水コネクタの概観を示す斜視図である。
図2】本実施の形態による防水コネクタと防水栓との断面を示す断面図である。
図3】本実施の形態による防水コネクタと防水栓と端子金具との断面を示す断面図である。
図4】本実施の形態による防水栓の側面を示す側面図である。
図5】本実施の形態による防水栓の断面を示す断面図である。
図6】水流が止水壁によって分散される様子を示す断面図である。
図7】防水栓と端子金具との側面を示す側面図(a)と、防水栓と端子金具との断面を示す断面図(b)とである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施態様は、
ケーブル(たとえば、ケーブル400)が接続される端子金具(たとえば、端子金具300)が収容されるキャビティ(たとえば、キャビティ110)が設けられたコネクタハウジング(たとえば、コネクタハウジング100)を有する防水コネクタ(たとえば、防水コネクタ10)であって、
前記キャビティと連通しケーブルが挿通されるケーブル挿通孔(たとえば、挿通孔102)が形成された挿入面(たとえば、端子金具挿入面108)と、
前記挿入面に向い合って設けられた保護壁(たとえば、止水壁104)と、
ケーブルが挿通される防水貫通孔(たとえば、貫通孔202)を有し、前記ケーブル挿通孔に設けられる防水栓(たとえば、防水栓200)と、を備え、
前記防水栓は、前記ケーブル挿通孔から突出し、前記防水栓の端部を形成し鍔状の形状を有する鍔部(たとえば、防水板210)を有し、
前記鍔部は、前記保護壁と前記挿入面との間に位置する
【0013】
本発明の実施態様は、さらに
記保護壁は、ケーブルが挿通される保護貫通孔(たとえば、挿通孔106)を有し、
前記鍔部は、前記保護貫通孔において露出している。
【0015】
本発明の実施態様は、さらに
保護壁が、支持部(たとえば、支持部112)を介してコネクタハウジングに一体的に連結されて形成される。
【0017】
本発明の実施態様は、さらに
前記鍔部が前記挿入面に保持可能に、前記鍔部の直径は前記ケーブル挿通孔の直径より大きく形成され、
前記防水貫通孔は、前記防水貫通孔の長手方向に沿って互いに異なる位置に形成された第1の止水リップ(たとえば、内側止水リップ270)と第2の止水リップ(たとえば、内側止水リップ280)とを有し、
前記第1の止水リップ及び前記第2の止水リップは、前記防水貫通孔の内側に向って突出する少なくとも1つの突出部(たとえば、第1の突出部270aや第2の突出部270bや、第1の突出部280aや第2の突出部280b)を有し、
前記防水栓は、前記鍔部と前記第1の止水リップとの間に前記防水栓に沿って形成された同径部(たとえば、同径部220)を有し、
前記第2の止水リップの突出部は、前記同径部と重なる位置に形成される。
【0019】
本発明の実施態様は、さらに
前記第1の止水リップは、前記防水貫通孔の長手方向に沿って第1の間隔をおいて形成された複数の突出部(たとえば、第1の突出部270aや第2の突出部270b)を有し、
前記第2の止水リップは、前記防水貫通孔の長手方向に沿って前記第1の間隔をおいて形成された複数の突出部(たとえば、第1の突出部280aや第2の突出部280b)を有し、
前記第1の止水リップの前記複数の突出部と、前記第2の止水リップの前記複数の突出部とのうちの最も近くに形成された突出部の間隔(たとえば、第2の突出部270bと第1の突出部280aとの間隔)が、前記第1の間隔よりも長い。
【0020】
保護貫通孔と突出端部との間に間隙が形成されず、水流が防水栓に伝わることを防止できる。
【0021】
また、本発明の実施態様は、
ケーブル(たとえば、ケーブル400)が接続される端子金具(たとえば、端子金具300)が収容されるキャビティ(たとえば、キャビティ110)が設けられたコネクタハウジング(たとえば、コネクタハウジング100)を有する防水コネクタ(たとえば、防水コネクタ10)であって、
前記キャビティと連通しケーブルが挿通されるケーブル挿通孔(たとえば、挿通孔102)が形成された挿入面(たとえば、端子金具挿入面108)と、
ケーブルが挿通される防水貫通孔(たとえば、貫通孔202)を有し、前記ケーブル挿通孔に設けられる防水栓(たとえば、防水栓200)と、を備え、
前記防水貫通孔は、前記防水貫通孔の長手方向に沿って互いに異なる位置に形成された第1の止水リップ(たとえば、内側止水リップ270)と第2の止水リップ(たとえば、内側止水リップ280)と有し、
前記第1の止水リップ及び前記第2の止水リップは、前記防水貫通孔の内側に向って突出する少なくとも1つの突出部(たとえば、第1の突出部270aや第2の突出部270bや、第1の突出部280aや第2の突出部280b)を有する防水コネクタである。
【0022】
第1の止水リップ及び第2の止水リップを有するので、防水貫通孔に水などの液体が流入した場合でも遮ることができる。
【0023】
本発明の実施態様は、さらに、
前記端子金具は、ケーブルを押圧する押圧部(たとえば、かしめ片312)を有し、
前記第1の止水リップ又は前記第2の止水リップの少なくとも一方は、前記押圧部に位置し、ケーブルとともに押圧される防水コネクタである。
【0024】
第1の止水リップ又は第2の止水リップの少なくとも一方は、押圧部によって押圧されるので、封止機能を向上させることができる。
【0025】
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0026】
<<<防水コネクタ10>>>
図1は、本実施の形態の防水コネクタ10の概観を示す斜視図である。図2は、防水コネクタ10のコネクタハウジング100の断面を示す断面図である。
【0027】
防水コネクタ10は、主に、コネクタハウジング100と、防水栓200と、端子金具300とを有する。
【0028】
<<コネクタハウジング100>>
コネクタハウジング100の内部には、端子金具300及びケーブル400(図3及び図7参照)を収容するためのキャビティ110が形成されている。端子金具300は、金属によって成形され、導電性を有し、長尺な形状を有する。キャビティ110の各々は、収容される端子金具300の形状や大きさに応じて形成されており、長尺な形状を有する。
【0029】
<<止水壁104>>
コネクタハウジング100には、端子金具挿入面108が形成されている。また、コネクタハウジング100は、端子金具300及びケーブル400を挿通するための挿通孔102を有する。挿通孔102は略円形の貫通孔の形状を有する。挿通孔102は、コネクタハウジング100の内部において、キャビティ110と連通する。端子金具300及びケーブル400は、端子金具挿入面108から挿通孔102を介してキャビティ110に向かって挿通される。
【0030】
コネクタハウジング100の端子金具挿入面108の前方には、止水壁104が形成されている。止水壁104は、支持部112によってコネクタハウジング100に連結されている。止水壁104は、支持部112によって端子金具挿入面108から離隔した位置に配置される。止水壁104には、挿通孔106が形成されている。挿通孔106は略円形の貫通孔の形状を有する。挿通孔106は、挿通孔102の開口部120と向かい合うように形成されている。挿通孔102の前方に、所定の距離だけ離隔して挿通孔102と略同心状に挿通孔106が位置する。
【0031】
上述したように、止水壁104は、支持部112によって端子金具挿入面108から離隔した位置に配置される。すなわち、止水壁104とコネクタハウジング100(端子金具挿入面108)との間には、間隙が形成される。間隙を形成したことによって、止水壁104の裏側(コネクタハウジング100と対向する側)に水が付着した場合であっても、間隙によって水を案内してコネクタハウジング100から排出することができ、コネクタハウジング100の内部に水が進入することを未然に防止できる。
【0032】
上述した例では、止水壁104は、支持部112によってコネクタハウジング100に一体的に連結されて形成されている。なお、止水壁104は、コネクタハウジング100に着脱可能に設けることもできる。たとえば、コネクタハウジング100に挿入孔を設け、止水壁104に突出片を設けて、止水壁104の突出片をコネクタハウジング100の挿入孔に掛止させて、止水壁104をコネクタハウジング100に着脱可能に設けることができる。このようにすることで、各種の太さのケーブルに応じて挿通孔106を形成した各種の止水壁104を予め準備しておき、ケーブルに応じて止水壁104を適宜選択してコネクタハウジング100に取り付けることができる。
【0033】
止水壁104の正面の大きさや形状は、適宜定めることができる。止水壁104は、端子金具挿入面108と略同一にするのが好ましい。端子金具挿入面108の前面を止水壁104によって覆うことができ、水流を弱めることができる。なお、止水壁104の正面の大きさや形状は、コネクタハウジング100が取り付けられる場所や用途に応じて適宜定めればよい。
【0034】
<<防水栓200>>
防水栓200は、可撓性かつ防水性を有する材料、たとえば、ゴムなどによって形成されている。防水栓200は、好ましくは、弾性変形可能であるものが好ましい。
【0035】
防水栓200は、長尺で略円筒形の形状を有する。防水栓200の長手方向に沿って、略中心部には貫通孔202が形成されている。防水栓200は、防水板210と同径部220と、外側止水リップ230、240、250と、細径部260とを有する。これらは、略同心状に形成されている。さらに、防水栓200の貫通孔202(後述)には、内側止水リップ270及び280が形成されている。
【0036】
<貫通孔202>
防水栓200の略中心部には、長手方向に沿って貫通孔202が形成されている。貫通孔202には、端子金具300とケーブル400との双方が挿通される。貫通孔202の直径は、端子金具300やケーブル400などの直径よりも小さく形成されている。端子金具300やケーブル400が貫通孔202に挿通されたときには、貫通孔202は、端子金具300やケーブル400に若干広がり、貫通孔202の内壁は、端子金具300やケーブル400と密着する。これにより、端子金具300やケーブル400を伝って、コネクタハウジング100の内部に水が進入することを防止することができる。
【0037】
<防水板210>
防水栓200の長手方向の最端部には、防水板210が形成されている。防水板210は、厚さの薄い略円筒状の形状を有する。すなわち、防水板210は、いわゆる鍔状の形状を有する。防水板210の略中心部には、上述した貫通孔202が形成されている。したがって、防水板210の内径は、貫通孔202の直径と同じである。
【0038】
防水板210の外径は、挿通孔102の内径よりも大きい。したがって、防水栓200がコネクタハウジング100の内側に牽引されたような場合であっても、防水板210は、コネクタハウジング100の挿通孔102の開口部120によって係止されることができ、防水栓200の全体が、挿通孔102に挿入されてしまうことを防止することができ、防水栓200を一定の位置に保持させることができる。
【0039】
また、防水板210の外径は、挿通孔102の内径よりも大きいので、防水板210によってコネクタハウジング100の挿通孔102の開口部120を覆うことができる。したがって、高圧の水流が防水栓200に当たるようなことがあっても、挿通孔102からコネクタハウジング100の内部に水が進入することを防止することができる。
【0040】
<同径部220>
同径部220は、防水栓200の長手方向に沿って略同じ直径で形成されている。同径部220の略中心部には、上述した貫通孔202が形成されている。したがって、同径部220の内径は、貫通孔202の直径と同じである。同径部220の外径は、挿通孔102の内径よりも若干小さい。このようにすることで、防水栓200を円滑に挿通孔102に挿入することができる。
【0041】
<外側止水リップ230、240、250>
防水栓200の長手方向に沿って互いに異なる3つの位置に、外側止水リップ230、240及び250が形成されている。外側止水リップ230、240及び250の略中心部には、上述した貫通孔202が形成されている。したがって、外側止水リップ230、240及び250の内径は、貫通孔202の直径と同じである。
【0042】
外側止水リップ230、240及び250は、厚さの薄い略円筒状の形状を有する。なお、外側止水リップ230及び240は同じ形状を有する。
【0043】
外側止水リップ230は、外側に向かって徐々に細くなるように傾斜する第1の傾斜部232と、同径に形成された同径部234と、内側に向かって徐々に細くなるように傾斜する第2の傾斜部236とを有する。なお、本明細書において、外側及び内側とは、防水栓200がコネクタハウジング100に取り付けられたときの向きをいう。外側とはコネクタハウジング100の外側に向かう向きをいい、内側とはコネクタハウジング100の内側に向かう向きをいう。
【0044】
第1の傾斜部232の傾きは、第2の傾斜部236の傾きよりも大きい。このようにすることで、防水栓200をコネクタハウジング100に挿入させやすく、かつ、抜けにくくすることができる。また、同径部234の直径は、挿通孔102の内径よりも大きい。したがって、防水栓200をコネクタハウジング100に挿入させたときには、外側止水リップ230は、変形することによって挿通孔102の内側に密着することができる。これにより、防水栓200を一定の位置に保持させることができるとともに、挿通孔102からコネクタハウジング100の内部に水が進入することを防止することができる。
【0045】
外側止水リップ240も、外側に向かって徐々に細くなるように傾斜する第1の傾斜部242と、同径に形成された同径部244と、内側に向かって徐々に細くなるように傾斜する第2の傾斜部246とを有する。
【0046】
第1の傾斜部242の傾きは、第2の傾斜部246の傾きよりも大きい。このようにすることで、防水栓200をコネクタハウジング100に挿入させやすく、かつ、抜けにくくすることができる。また、同径部244の直径は、挿通孔102の内径よりも大きい。したがって、防水栓200をコネクタハウジング100に挿入させたときには、外側止水リップ230は、若干変形して挿通孔102の内側に密着することができる。これにより、防水栓200を一定の位置に保持させることができるとともに、挿通孔102からコネクタハウジング100の内部に水が進入することを防止することができる。
【0047】
外側止水リップ250は、同径に形成された同径部254のみで形成されている。このようにすることで、防水栓200を一定の位置に保持させることができる。
【0048】
さらに、同径部254の直径は、挿通孔102の内径よりも大きい。したがって、防水栓200をコネクタハウジング100に挿入させたときには、外側止水リップ230は、変形することによって挿通孔102の内側に密着することができる。これにより、防水栓200を一定の位置により保持させることができるとともに、挿通孔102からコネクタハウジング100の内部に水が進入することを防止することができる。
【0049】
このように、本実施の形態の防水栓200は、外側止水リップ230、240、250を有することで、防水栓200をコネクタハウジング100に的確に保持させるとともに、防水栓200の外面を伝ってコネクタハウジング100の内部に水が進入することを的確に防止することができる。
【0050】
また、同径部220と外側止水リップ230との間(谷部)、外側止水リップ230と外側止水リップ240との間(谷部)、外側止水リップ240と外側止水リップ250との間(谷部)の外径は、同径部220、外側止水リップ230、240、250の外径よりも小さい。このようにすることで、外側止水リップ230、240、250が変形できる領域を大きくすることができ、外側止水リップ230、240、250を挿通孔102により密着させやすくできる。
【0051】
<細径部260>
細径部260は、防水栓200の内側で細く形成されている。具体的には、上述した同径部220や、外側止水リップ230、240及び250よりも細く形成されている。図7に示すように、細径部260には、端子金具300のかしめ片312が、かしめて取り付けられる。すなわち、細径部260は、かしめ片312を取り付けるために、同径部220や、外側止水リップ230、240及び250よりも細く形成されている。
【0052】
<内側止水リップ270及び280>
防水栓200の貫通孔202には、長手方向に沿って互いに異なる位置に内側止水リップ270及び280が形成されている。
【0053】
内側止水リップ270は、内側止水リップ280よりも内側に形成されている。内側止水リップ270は、細径部260に対応する防水栓200の内側に形成されている。上述したように、細径部260には、端子金具300のかしめ片312が取り付けられる。すなわち、内側止水リップ270は、端子金具300のかしめ片312(図7参照)と重なる位置に形成されている。かしめ片312をかしめることによって、端子金具300にケーブル400との電気的接続を良好にすることができるとともに、内側止水リップ280よりも内側止水リップ270をケーブル400にさらに密着させることができる。内側止水リップ270とケーブル400との接触面積を大きくしたり、内側止水リップ270がケーブル400を押圧する力を大きくしたりすることができる。この密着により、防水栓200の内面を伝ってコネクタハウジング100の内部に水が進入することをさらに防止することができる。
【0054】
内側止水リップ270は、第1の突出部270aと第2の突出部270bとを有する。第1の突出部270aと第2の突出部270bとは、貫通孔202の長手方向に沿って互いに離隔した位置に形成されている。第1の突出部270a及び第2の突出部270bは、同じ形状を有する。
【0055】
図7に示すように、内側止水リップ270は、端子金具300のかしめ片312に位置付けられる。かしめ片312の幅は、内側止水リップ270の全体(第1の突出部270a及び第2の突出部270b)よりも長い。すなわち、かしめ片312は、内側止水リップ270の全体を覆うように形成されている。このため、かしめ片312によって、第1の突出部270a及び第2の突出部270bの2つの双方を押圧することができる。このように、単一のかしめ片312をかしめることによって、第1の突出部270a及び第2の突出部270bの2つの双方をケーブル400に押圧することができる。このように、かしめ片312によって第1の突出部270a及び第2の突出部270bを押圧するので、かしめ片312のかしめ力によって、ケーブル400への密着の程度を適宜調整することができる。
【0056】
図7に示すように、第1の突出部270a及び第2の突出部270bの双方は、3つの外側止水リップ230、240、250よりも内側に形成されている。3つの外側止水リップ230、240、250は、かしめ片312と干渉しない位置に形成されている。これに対して、内側止水リップ270(第1の突出部270a及び第2の突出部270b)は、かしめ片312と重なる位置に形成され、かしめ片312の押圧力を積極的に利用して、ケーブル400を伝う液体をせき止めることができる。
【0057】
第1の突出部270aは、外側に向かって徐々に細くなるように傾斜する第1の傾斜部272と、同径に形成された同径部274と、内側に向かって徐々に細くなるように傾斜する第2の傾斜部276とを有する。第1の傾斜部272の傾きは、第2の傾斜部276の傾きと同じである。貫通孔202の長手方向について、同径部274の長さは、第1の傾斜部272及び第2の傾斜部276の貫通孔202の長さよりも長い。したがって、第1の突出部270aは、同径部274の全体が貫通孔202の長手方向に延びるように変形する。このように変形するために、第1の突出部270aとケーブル400との接触面積を大きすることができ、ケーブル400との密着性を高めることができる。また、貫通孔202におけるケーブル400の保持力も高めることができる。
【0058】
また、同径部274の内径は、ケーブル400の外形よりも細いのが好ましい。内側止水リップ270をケーブル400に押圧させることで、内側止水リップ270を変形させてケーブル400との接触面積を増やすことによって、内側止水リップ270をケーブル400により密着させることができる。
【0059】
ケーブル400は、一般に、ビニールなどの被覆体と、銅などの金属からなる導電線410とを有する。導電線410は、被覆体によって被覆されて、絶縁状態が保たれている。図7に示すように、端子金具300の電線接続部304においては、導電線410は、露出しており、電線接続部304との電気的接続が形成される。一方、かしめ片312の箇所においては、導電線410は、被覆体によって被覆されている。したがって、かしめ片312をかしめることによって、第1の突出部270a及び第2の突出部270bは、ケーブル400のビニールなどの被覆体と押圧される。このため、第1の突出部270a及び第2の突出部270bと被覆体との双方が、押圧によって互いに変形し、接触面積を増やすことができ、密着性を高めることができる。
【0060】
第2の突出部270bも、外側に向かって徐々に細くなるように傾斜する第1の傾斜部272と、同径に形成された同径部274と、内側に向かって徐々に細くなるように傾斜する第2の傾斜部276とを有する。
【0061】
上述したように、内側止水リップ270は、同じ形状を有する第1の突出部270aと第2の突出部270bとを有する。貫通孔202には、ケーブル400を挿通させる。このため、同径部274の内径を小さくできない場合もある。また、貫通孔202に対して細いケーブル400を挿通させる必要がある場合もある。このため、第1の突出部270aと第2の突出部270bとの2つを内側止水リップ270として設けたことにより、内側止水リップ270のケーブル400への密着の度合い、たとえば接触面積や内側止水リップ270がケーブル400を押圧する力などを向上させたり維持したりすることができる。
【0062】
内側止水リップ280は、内側止水リップ270よりも外側に形成されている。内側止水リップ280は、内側止水リップ270と同様の形状を有する。したがって、内側止水リップ280も、第1の突出部280aと第2の突出部280bとを有する。第1の突出部280aと第2の突出部280bとは、貫通孔202の長手方向に沿って互いに離隔した位置に形成されている。
【0063】
第1の突出部280a及び第2の突出部280bは、外側に向かって徐々に細くなるように傾斜する第1の傾斜部282と、同径に形成された同径部284と、内側に向かって徐々に細くなるように傾斜する第2の傾斜部286とを有する。第1の傾斜部282は、第1の傾斜部272と同じ形状であり、同径部284は、同径部274と同じ形状であり、第2の傾斜部286は、第2の傾斜部276と同じ形状である。
【0064】
図7に示すように、内側止水リップ280の少なくとも一部は、3つの外側止水リップ230、240、250の一部と干渉する位置に形成されている。具体的には、第1の突出部280aは、1つの外側止水リップ230と重なる位置に形成されている。このため、防水栓200を挿通孔102に挿入することで、外側止水リップ230が挿通孔102によって押圧されると、外側止水リップ230は、第1の突出部280aを押圧する。これにより、第1の突出部280aは、ケーブル400に押圧する。このようにして、第1の突出部280aを変形させてケーブル400との接触面積を増やすことによって、第1の突出部280aをケーブル400により密着させることができる。外側止水リップ230は、上述したかしめ片312と同様に機能する。
【0065】
なお、上述した例では、第1の突出部280aのみが、1つの外側止水リップ230と重なる位置に形成されている場合を示したが、第1の突出部280a及び第2の突出部280bの双方が、外側止水リップ230、240、250のいずれかと干渉するようにしてもよい。
【0066】
また、図7に示すように、内側止水リップ280の少なくとも一部は、防水栓200の同径部220と干渉する位置に形成されている。具体的には、第2の突出部280bは、同径部220と重なる位置に形成されている。このため、ケーブル400が貫通孔202に挿入され、防水栓200が挿通孔102に挿入されることで、第2の突出部280bは、ケーブル400に押圧され、押圧された第2の突出部280bは、同径部220を広げる。広げられた同径部220は、挿通孔102に押圧される。このため、第2の突出部280bは、変形してケーブル400との接触面積を増やすことによって、第1の突出部280aをケーブル400により密着させることができる。さらに、同径部220が広がることによって、防水栓200は挿通孔102に密着し、防水栓200を挿通孔102に的確に保持することができる。
【0067】
なお、上述した例では、第2の突出部280bのみが、同径部220と重なる位置に形成されている場合を示したが、第1の突出部280a及び第2の突出部280bの双方が、同径部220と干渉するようにしてもよい。
【0068】
このように、本実施の形態では、第1の突出部280aは、1つの外側止水リップ230と重なる位置に形成され、第2の突出部280bは、同径部220と重なる位置に形成されている。このように、第1の突出部280aと第2の突出部280bは、防水栓200の互いに異なる部位と重なるように形成されている。このようにすることで、第1の突出部280aと第2の突出部280bによる密着性を調整することができ、所望する封止性を達成することができる。
【0069】
内側止水リップ270の第1の突出部270a及び第2の突出部270bと、内側止水リップ280の第1の突出部280a及び第2の突出部280bとによって、4重にケーブル400を封止することができる。これらの4重の封止によって、防水栓200の内面を伝ってコネクタハウジング100の内部に水が進入することを的確に防止することができる。
【0070】
内側止水リップ270は、2つの第1の突出部270a及び第2の突出部270bからなり、内側止水リップ280は、2つの第1の突出部280a及び第2の突出部280bからなる場合を示したが、この数に限定されることはない。たとえば、外側止水リップ230、240、250の各々と干渉するように、内側止水リップ280を3つの突出部からなるようにすることができる。また、内側止水リップ270を単一の突出部からなるようにすることができる。内側止水リップ270(1つ以上の突出部)の長さや数は、かしめ片312の形状や大きさや数に合わせて定めることができる。
【0071】
また、2つの第1の突出部270a及び第2の突出部270bと、第1の突出部280a及び第2の突出部280bとは同じ形状を有する場合を示したが、これに限定されることはない。たとえば、第1の突出部270a、第2の突出部270b、第1の突出部280a及び第2の突出部280bの内径が互いに異なるように形成することができる。たとえば、少なくとも1つの突出部の内径が他よりも小さくすることができる。このようにすることで、ケーブル400に対する密着性をより高めることができ、より的確に封止することができる。
【0072】
また、外側止水リップ230、240、250と同様に、一部の傾斜部の傾斜が異なるように形成することができる。ケーブル400に対する密着性をより高めることができるとともに、防水栓200に対してケーブル400が長手方向に沿って変位しにくくでき、ケーブル400の保持力を高めることができる。
【0073】
さらに、2つの第1の突出部270a及び第2の突出部270bの間の距離と、2つの第1の突出部280a及び第2の突出部280bの間の距離は略等しく、その距離が、第2の突出部270bと第1の突出部280aとの間の距離よりも短い場合を示したが、これに限定されることはない。
【0074】
上述した内側止水リップ270及び内側止水リップ280は、変形することによって、ケーブル400との接触面積を広げて密着性を高めることで、ケーブル400や貫通孔202を伝う液体が流入することを防止できればよい。外側止水リップ230、240、250は、変形することによって、挿通孔102との接触面積を広げて密着性を高めることで、防水栓200や挿通孔102を伝う液体が流入することを防止できればよい。
【0075】
<<止水壁104と防水栓200との関係>>
上述したように、止水壁104には、略円形の貫通孔の形状を有する挿通孔106が形成されている。防水栓200は、厚さの薄い略円筒状の形状の防水板210を有する。止水壁104の挿通孔106の内径と防水板210の外径とは、略同じである。なお、止水壁104の挿通孔106を介して、防水栓200、端子金具300及びケーブル400を挿通して、キャビティ110に挿入できればよい。したがって、止水壁104の挿通孔106の内径が防水板210の外径よりも小さいのが好ましい。
【0076】
止水壁104の挿通孔106の内径と防水板210の外径との関係が、いずれの場合であっても、止水壁104が防水板210の前方に近接して略同心状に位置すればよい。より好ましくは、止水壁104が防水板210に当接して略同心状に位置すればよい。より好ましくは、防水板210の外周の全体を、止水壁104の挿通孔106によって覆って、止水壁104が防水板210と略同心状に位置すればよい。
【0077】
このようにすることで、図6に示すように、端子金具挿入面108に向かう高圧の水流を弱めることができ、コネクタハウジング100の内部に洗浄用の水などが進入することを防止することができる。上述したように、防水栓200には、外側止水リップ230、240、250や、内側止水リップ270及び280などが形成されている。このため、止水壁104によって洗浄用の水などを完全に遮断できずに、端子金具挿入面108に水などが付着しても、外側止水リップ230、240、250や、内側止水リップ270及び280などによって十分に進入を防止することができる。
【0078】
このように、止水壁104は、端子金具挿入面108に向かう水流の量を少なくしたり、水流の勢いを弱めることができればよい。具体的には、止水壁104によって水流を反射させたり周囲に分散させたりすることができればよい。
【0079】
防水栓200の防水板210は、コネクタハウジング100の端子金具挿入面108と、止水壁104との間に位置する。止水壁104は、支持部112によって連結されている。支持部112は、防水板210を配置するためのスペーサとして機能する。言い換えれば、コネクタハウジング100の端子金具挿入面108と、止水壁104との間に形成される間隙に防水板210が配置される。したがって、支持部112の厚さが防水板210よりも若干大きくなるようにして、端子金具挿入面108と防水板210とを接触させ、防水板210と止水壁104とを接触させることで水が浸入しにくくするのが好ましい。
【0080】
上述したように、防水板210は挿通孔102の開口部120を覆う。このように、防水板210によって、挿通孔102の開口部120がコネクタハウジング100の外部に直接開放されることを防止することができる。この防水板210によって、洗浄用の水などが挿通孔102の開口部120に直接進入することを防止することができる。
【0081】
<<端子金具300>>
端子金具300は、正面(前方)から見て全体が縦長な略四角形(略矩形状、略角形)を有し、導電性を有する金属によって構成される。端子金具300は、図7に示すように、長尺な形状を有し、長手方向に沿って細長い略角筒状をなす本体部302と、本体部302に接続される電線接続部304とからなる。
【0082】
本体部302の上側には、スタビライザ306が設けられている。スタビライザ306は、上方へ突出する板片状を有する。スタビライザ306が設置された外壁における前端部には、ランス114(図3参照)によって係止されるランス係止部308が設けられている。本体部302の後端部には、リテーナ116(図3参照)によってリテーナ係止部310が設けられている。電線接続部304には、かしめ片312が設けられている。
【符号の説明】
【0083】
10 防水コネクタ
100 コネクタハウジング
104 止水壁
200 防水栓
210 防水板
270、280 内側止水リップ
300 端子金具
400 ケーブル
【要約】
【課題】 洗車などに用いる水などの液体に対して的確に封止できる防水コネクタを提供する。
【解決手段】 ケーブルが接続される端子金具が収容されるキャビティが設けられたコネクタハウジングを有する防水コネクタであって、キャビティと連通しケーブルが挿通されるケーブル挿通孔が形成された挿入面と、挿入面に向い合って設けられた保護壁と、を備える。
【選択図】 図2
図2
図3
図4
図6
図1
図5
図7