(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
背景の技術
セキュリティーカードは、身分証明目的(IDカード)又は資金転送(financial transfer)(クレジットカード)のような種々の用途に広く用いられている。そのようなカードは典型的に、種々のプラスチックラミネート及び層から成る積層構造から成り、ここで層の1つもしくはそれより多くは情報、例えば文字数字情報、ロゴ、カード所有者の写真などを保有している。セキュリティーカードの主な目的は、それが、改変又は再生を原型(original)と区別するのが困難なやり方で、容易に改変又は再生され得ないことである。
【0003】
使用者がデジタル情報を保存することができる書き込み可能カード、例えば磁気ストリップを含んでなるカード、光学的に記録可能なカード又は「スマートカード」と呼ばれることもある電子チップを含んでなるカードも既知である。
【0004】
複数の適用分野において、カードの毎日の平均の使用量は、実質的に週に1回未満から1日に4回に増加してきた。カード本体はこの増加する使用量のみでなく、それに伴う保存状態にも耐えなければならない。カードはもはや家の棚の中又はたまにしか開けられない札入れ中に安全にしまいこまれておらず、いまやいつでもすぐに使用できるように、ポケット、財布、スポーツバッグなどの中に無造作に置かれている(loosely put away)。
【0005】
カード本体が経験する比較的高い応力レベルと一緒に、埋め込まれるエレクトロニクスのコストが高いので、同時に発行人は彼らのカードの有効期間を延長することを望む。市場商人は、彼らの顧客の手の中で彼らのカードが光って真新しく見えるまま保たれることを望む。そして利口な発行人(smart issuers)は、現場からの早すぎる返却(premature return from the field)に関連するすべてのコストを引き受けることを、それらの供給者に要求するであろう。
【0006】
これらの因子−より高いカードの需要(demand)、より頻繁な使用、より不注意な保存、より長い有効期間の必要性(validity requirements)及びより高い全体的コストの組み合わせは、カード製造者及び発行団体(issuing bodies)に、カード本体のためのより高い性能の材料を求めることを強要する。
【0007】
PVC(ポリ塩化ビニル)は、その印刷及び積層の容易さならびにその低いコストの故に、プラスチックカードのために最も広く用いられる材料である。最も大きな欠点はカード本体の低い耐久性であり、多くの場合に高価なチップの寿命よりずっと短いわずか1〜3年の有効寿命を生ずる。Teslin及びABSのような他の材料は、非常に低い目的の(very low−end)又は使い捨ての(single−use)カードにしか適していない。PC(ポリカーボネート)は比較的長い寿命のより確実なIDカード用に用いられ得るが、高い製造コストならびに捩れ、引掻き及び化学品への低い抵抗性を有する。
【0008】
PET−G(ポリエチレンテレフタレートグリコール化(glycolised))は一種の非晶質ポリエステルであり、それは結晶性ポリエステルのように強化されておらず、むしろ標準的なPVCカード製造とより適合性になるように処理されている。PET−Gカードの耐久性はPVCカードの耐久性に匹敵する。
【0009】
PET−C(結晶性ポリエチレンテレフタレート)は非常に耐久性であり、機械的影響(屈曲、捩れ、引掻き)、化学物質、水分及び温度範囲に抵抗性である材料である。未処理のPET−Cをそれ自身又は他の材料に固着させる(sealed)か、又は積層することはできず、これを行うために追加のコーティング又は層を必要とする。
【0010】
クレジットカードの製造のためのPET−Cフィルムの積層は特許文献1(ICI)から既知であり、しかしながら特許文献1は、クレジットカード用の全ポリエステル複合フィルム構造のみを開示している。不透明の二軸延伸ポリエステル支持体コアフィルム及び透明の二軸延伸ポリエステル上部フィルム(top film)を、コアフィルムの上部表面と上部フィルムの1つの表面の間に挟まれるイソフタレート−テレフタレートコポリエステルに基づく染料受容性又は印刷可能受容体フィルムにより、一緒にヒートシールする。PVC又はPCのような他の型の材料への積層の開示はない。共−押出しされる染料受容性又は印刷可能受容体フィルムは、0.5μmから最高で50μmの大きな厚さも有する。
【0011】
特許文献2(AGFA GEVAERT)は、二軸延伸ポリエステルラメラ及びそれと関連する接着剤系をPVC及びPCのような他の型の材料上に含んでなるセキュリティーラミネートの積層を開示している。接着剤系は、ポリエステル、ポリエステル−ウレタン又は塩素化エチレンのコポリマーを含んでなる層系を含み、層系は少なくとも二軸延伸の一部分の間、ポリエステルラメラと連続しており、少なくとも1.0μmの厚さを有する。実施例において、層系はほとんど塩素化エチレンのコポリマーに基づいており、層系の厚さの増加と共に向上する剥離強さを示す。2.7μm〜25.5μmの層系の厚さの場合に最も良い接着の結果が得られる。しかしながらそのような大きな厚さはセキュリティーラミネートの製造速度及びかくして生産性を下げる。さらに、バンクカード、クレジットカード、運転免許証などは、ISO 7813に規定される通りの、すなわち85.60mmx53.98mmの寸法及び760μm±80μmの厚さを有するフォーマットを有することが必要である。接着剤系の大きな厚さは、ISO7813の760μmの厚さ以内でラミネート及び層を導入するための選択肢を減少させる。
【0012】
セキュリティー文書の変造及び偽造のための方法は、開発され続け且つ向上し続けているので、変造及び偽造に対してセキュリティー文書を保護することは、依然として絶えることのない戦いである。従って、より頻繁な使用及びより不注意な保存にもかかわらず、より長い寿命も有するセキュリティー文書のための簡単且つ原価効率の高い方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0014】
発明の概略
上記の問題を克服するために、本発明の好ましい態様は、請求項1により定義されるセキュリティーラミネートの製造方法を提供する。驚くべきことに、特別なコポリマーが薄いセキュリティーラミネートを可能にし、それは積層の後、長時間水中に沈められた後で
さえ、セキュリティー文書から離層され得ないことが見出された。
【0015】
本発明のさらなる利点及び態様は、以下の記述から明らかになるであろう。
【0016】
図面の簡単な記述
図1は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基質1ならびに第1コーティング組成物の層2及び第2コーティング組成物の層3を有するセキュリティーラミネートの断面図を示す。
図1bは、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基質1の両面上に層2及び3を有するセキュリティーラミネートを示す。
図2Aは、セキュリティー文書コア4及びセキュリティー文書コア4の片面上に(against)積層された
図1Aのセキュリティーラミネートを有するセキュリティー文書の断面図を示す。
図2Bは、セキュリティー文書コア4の両面上に
図1Aのセキュリティーラミネートが積層されたセキュリティー文書コア4を有するセキュリティー文書の断面図を示す。
図3は、1つもしくはそれより多いラメラ及び/又は層、例えばレーザー彫刻可能なPVC又はPCラメラから成る2つのセキュリティー文書系5及び5’のための支持体として
図1Bのセキュリティーラミネートを用いるセキュリティー文書又はセキュリティー文書前駆体の断面図を示す。
図4は、
図3のセキュリティー文書前駆体に、両面上において
図1Aに従うセキュリティーラミネートが積層されたセキュリティー文書の断面図を示す。
図5は、ポリエチレンテレフタレート基質の製造方法50を示し、ポリエチレンテレフタレート基質は次いで二軸的に、すなわち最初に縦方向59に、及び次いで横方向60に延伸される。
【0017】
詳細な記述
定義
セキュリティー機能(security features)の定義は、Consilium of the Council of the European Unionにより、2009年8月31日にそのウェブサイト:http://www.consilium.europa.eu/prado/EN/glossaryPopup.html上に公開された“Glossary of Security Documents−Security features and other related technical terms”(バージョン:v.09916.08.en)において忠実に守られている標準的な定義と一致する。
【0018】
本発明の開示において用いられる「ラメラ」という用語は、場合により1つもしくはそれより多い層が備えられていることができる自立性高分子シートを意味する。
【0019】
「層」という用語は、自立性ではないと考えられ、支持体としてラメラを必要とする。
【0020】
本発明の開示において用いられる「セキュリティー文書系」という用語は、1つもしくはそれより多いラメラ及び/又は層を意味する。
【0021】
「PET」は、ポリエチレンテレフタレートに関する略語である。
【0022】
「PETG」はポリエチレンテレフタレートグリコールに関する略語であり、グリコールは、脆性及びカードの製造において非改質非晶質ポリエチレンテレフタレート(APET)が用いられると起こる早期の老化を最小にするために導入されるグリコール改質剤を示す。
【0023】
「PET−C」は結晶性PET、すなわち二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートに関する略語である。そのようなポリエチレンテレフタレート支持体は、寸法安定性の優れた性質を有する。
【0024】
セキュリティーラミネートの製造方法
本発明に従うセキュリティーラミネートの製造方法は:
a)ポリエチレンテレフタレート基質を準備し;
b)ポリエチレンテレフタレート基質を縦又は横方向のいずれかにおいて延伸し;
c)延伸されたポリエチレンテレフタレート基質上に第1コーティング組成物をコーティングして乾燥し;
d)コーティングされたポリエチレンテレフタレート基質を段階b)で選ばれなかった縦又は横方向において延伸し、50nm〜400nmの乾燥厚さを有する第1コーティング組成物の層を持つコーティングされた二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基質を得;
e)二軸延伸された基質上の乾燥層の上に第2コーティング組成物をコーティングして乾燥する
段階を含み、ここで第1コーティング組成物は、ヒドロキシル−官能基性の部分的に加水分解された塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー及びポリエステル−ウレタンコポリマーより成る群から選ばれるコポリマーを含有し;且つここで第2コーティング組成物は、ヒドロキシル−官能基性の部分的に加水分解された塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマーを含有する。
【0025】
好ましい態様において、ポリエチレンテレフタレート基質は、段階b)において縦方向に延伸され、段階d)において横方向に延伸される。
【0026】
第1コーティング組成物は、好ましくはヒドロキシル−官能基性の部分的に加水分解された塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマーを含有する。適したヒドロキシル−官能基性の部分的に加水分解された塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマーは、UNION CARBIDEからのUCAR
TM VAGD Solutionビニル樹脂である。好ましい態様において、ヒドロキシル−官能基性の部分的に加水分解された塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマーは、実質的に塩化ビニルから作られ、少なくとも5重量%の部分的に加水分解された酢酸ビニルを含有する組成を有する。ヒドロキシル−官能基性の部分的に加水分解された塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマーは、好ましくは少なくとも70重量%の塩化ビニル、そしてより好ましくは少なくとも85重量%の塩化ビニルを用いて作られる。ヒドロキシル−官能基性の部分的に加水分解された塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー中の酢酸ビニルは、好ましくは少なくとも3重量%、そしてより好ましくは少なくとも5重量%に関して加水分解されており、すべての重量%はコポリマーの合計重量に基づく。
【0027】
第1コーティング組成物は、好ましくは水性コーティング組成物を用いるコーティングを可能にするポリエステルウレタンを含有し、それはMEKのような有機溶媒から作られるコーティング組成物より生態学的に有利である。好ましいポリエステルウレタンは、イソホロンジイソシアナート、ヘキサンジオール及びアジピン酸を用いて作られる。適した例は、BAYERから入手可能なBayhydrol
TMUH2558である。ポリエステルウレタンは、好ましくは60°より低いガラス転移温度を有し、40℃より低いガラス転移温度が好ましく、20℃より低いガラス転移温度が特に好ましい。
【0028】
第1コーティング組成物の層の乾燥厚さは、50nm〜400nmの厚さ、好ましくは100nm〜25nmそして最も好ましくは約200nmの厚さを有していなければならない。50nmより小さい厚さを用いると、セキュリティーラミネートは不十分な接着を有し、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基質と第1コーティング組成物の層の間の離層が観察され得る。400nmより小さい厚さは、高い製造速度及び生産性を可能にする
のみでなく、ISO 7813の厚さの制限内に留まりながら種々のラメラ及び層の導入に関する選択肢を増加させもする。さらに、ISO 7813の厚さの制限内に留まりながら種々のラメラ及び層の導入のための最大の選択肢を利用できるようにするために、第2コーティング組成物の乾燥層の厚さは、好ましくは1μm〜5μm、より好ましくは2μm〜4μmそして最も好ましくは約3μmである。
【0029】
好ましい態様において、段階d)のコーティングされた二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基質は、100μmより大きくない、好ましくは90μmより小さい、最も好ましくは70μmより小さい厚さを有する。
【0030】
第1及び/又は第2コーティング組成物を、浸漬コーティング、ナイフコーティング、押出しコーティング、スピンコーティング、スライドホッパーコーティング及びカーテンコーティングのようないずれの通常のコーティング法を用いてコーティングすることもできる。
【0031】
スプレー噴霧装置又は噴射装置、例えばインキジェット印刷ヘッドを用いて第1及び/又は第2コーティング組成物をコーティングすることもできる。インキジェット印刷ヘッドの使用は、パターン又は画像に従って組成物をコーティングすることを可能にする。
【0032】
スクリーン印刷装置を用いて第2コーティング組成物をコーティングすることもできる。
【0033】
ポリエステル支持体の製造は、ハロゲン化銀写真フィルムのための適した支持体の製造の技術分野において周知である。例えば英国特許第811066号明細書(ICI)は、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートのフィルムの製造方法を記載している。
図5に略図も示され、それはポリエチレンテレフタレート基質の製造及び続くその二軸延伸を示す。PETチップはチップバンカー51により受け取られ、次いで押出し機52により溶融形態でフィルター53を経てダイ54に与えられ、それは濾過された溶融PETを流延用ドラム55上にコーティングし、そこでそれはポリエチレンテレフタレート基質に固化する。ポリエチレンテレフタレート基質は、最初に縦軸59に従って延伸され56、その後横軸60に従って延伸されてから57、ロール巻き取り機(roll wind up)58により巻き取られる。本発明に従うセキュリティーラミネートの製造方法において、縦延伸56と横延伸57の間に、第1コーティング組成物が縦に延伸されたポリエチレンテレフタレート基質上にコーティングされる(
図5には示されていない)。
【0034】
ポリエチレンテレフタレート基質は、好ましくは少なくとも2.0、より好ましくは少なくとも3.0の延伸係数(stretching factor)、そして最も好ましくは約3.5の延伸係数で二軸延伸される。延伸の間に用いられる温度は、好ましくは約160℃である。
【0035】
好ましい態様において、
図1Aに従うセキュリティーラミネートのポリエチレンテレフタレートは透明であり、例えば
図1B又は
図4に従うセキュリティー文書(前駆体)の情報を裸眼で見得ることを可能にする。あるいはまた、ポリエチレンテレフタレートは不透明であることができ、それは、例えばセキュリティー文書系5及び/又は5’中に含有される情報の読み易さ(readability)を増強するために、
図3及び
図4に従うセキュリティー文書(前駆体)中で用いられる
図1Bに従うセキュリティーラミネートにおいて特に有用である。
【0036】
不透明ポリエチレンテレフタレート基質及び二軸延伸されたそのフィルムを得る方法は、例えば米国特許第2008238086号明細書(AGFA)において開示されている
。
【0037】
セキュリティーラミネート
本発明に従うセキュリティーラミネートは、上記の方法により得られる。
【0038】
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基質2の片面上(
図1Aを参照されたい)又は両面上(
図1Bを参照されたい)に第1コーティング組成物の層1及びその上に第2コーティング組成物の層2を有するセキュリティーラミネートを予知する(foreseen)ことができる。
図1Bの両面コーティングされたセキュリティーラミネートの場合、第1及び/又は第2コーティング組成物の組成及び/又は厚さは、同じである必要はない。しかしながら、好ましい態様において、第1コーティング組成物の層及び/又は第2コーティング組成物の層は同じ組成を有する。
【0039】
好ましい態様において、セキュリティーラミネートは、好ましくは約110μmより大きくない厚さ、好ましくは12μm〜約95μmの厚さ、そして最も好ましくは30μm〜70μmの厚さを有する。
【0040】
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基質は、自立性であるために十分に厚く、しかし亀裂なしで屈曲する、折りたたまれる又は折られる(crease)ために十分に薄くなければならない。好ましくは、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基質は、約7μm〜約100μm、より好ましくは約10μm〜約90μm、最も好ましくは約25μm〜約80μmの厚さを有する。
【0041】
セキュリティー文書及び前駆体
セキュリティー文書前駆体は、セキュリティーラミネートを積層するとセキュリティー文書になることができる。しかしながら、セキュリティー文書前駆体は、最終的なセキュリティー機能、画像及び情報がセキュリティー文書前駆体に加えられた時に初めてセキュリティー文書になり、文書を末端使用者に引き渡すことができる。例えば前面上にセキュリティーラミネートを有する文書の裏面上にホログラムを含有する追加の層をさらに加えねばならない場合、文書はセキュリティー文書前駆体と考えられる。下記の本文において、我々はセキュリティー文書に言及するが、それは上記の条件が満たされれば、セキュリティー文書前駆体も含み、それにも向き合う(addresses)。前面にも裏面にも画像を有していない文書は、セキュリティー文書と考えられ得ない。セキュリティー文書前駆体はそれ自身が1つもしくはそれより多いセキュリティー文書前駆体から構成されていることができる。
【0042】
本発明に従うセキュリティーラミネートをセキュリティー文書の製造のために有利に用いることができ、それは、セキュリティーラミネートがセキュリティー文書を引き裂かずに離層され得ないので、変造に対してより良く保護され、ならびに/あるいはそれは原価効率の高いやり方で製造され、セキュリティー文書のより頻繁な使用及びより不注意な保存にかかわらず、より長い寿命を示す。
【0043】
1つの態様において、第2コーティング組成物の層3を用いて、
図1Aに従うセキュリティーラミネートをセキュリティー文書コア4の片面上(
図2Aを参照されたい)又は両面上(
図2Bを参照されたい)に積層する。
図2Bにおけるセキュリティーラミネートは、第1コーティング組成物の層2及び/又は第2コーティング組成物の層3に関して同じ組成又は厚さを有することができる。好ましくは、
図2Bにおいて用いられるセキュリティーラミネートは同じであり、それは、これがセキュリティー文書集成者(security document integrator)のための前駆体の在庫を減少させるからである。
【0044】
図2A及び
図2Bに示されるセキュリティー文書の好ましい態様において、セキュリティー文書の最外表面の少なくとも1つはポリエチレンテレフタレートである。あるいはまた、セキュリティーラミネートの1つは、本発明に従うセキュリティーラミネートと異なる組成又は厚さのものであることができる。例えばレーザー彫刻可能な表面、例えばPCを有するラミネートを用いることができる。
【0045】
より好ましい態様において、
図2Bに示される通り、セキュリティー文書の両方の最外表面上のセキュリティーラミネートがポリエチレンテレフタレートであり、それはセキュリティー文書に磨滅及び化学薬剤に対する最適の保護を与える。そのような化学薬剤は、セキュリティー文書を変造する試みの一部であり得る。
【0046】
上記のセキュリティー文書において、セキュリティー文書コア4は、好ましくは少なくとも部分的に、非晶質ポリエステルラメラ、結晶性ポリエステルラメラ、ポリカーボネートラメラ、ポリオレフィンラメラ及びポリ塩化ビニルラメラより成る群から選ばれるラメラで作られる。
【0047】
例えばサーマルダイトランスファー又はインキジェット印刷により、セキュリティー文書コア4に画像又は字句(text)を設けることができる。場合により、線、線分、点、文字、記号、ロゴ、縄編み模様(guilloches)などのような不変情報(non−varying information)を、例えばフレキソ又はオフセット印刷によりセキュリティー文書コア上に印刷してから、セキュリティー文書コアをセキュリティーラミネートに取り付けることができる。
【0048】
セキュリティー文書の1つの態様において、セキュリティー文書コアは上記のセキュリティーラミネートを含有する。そのようなセキュリティー文書構築物の例は
図3に示され、そこでは1つもしくはそれより多いラメラ及び/又は層、例えばレーザー彫刻可能なPVC又はPCラメラから成る2つのセキュリティー文書系5及び5’の優れた接着のために、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基質の両面上に第1及び第2コーティング組成物の層を与えるために
図1Bのセキュリティーラミネートが用いられる。
【0049】
図4は、変造に関する難問をさらに増強するためならびに/あるいはセキュリティー文書のより頻繁な使用及びより不注意な保存にかかわらずに寿命を増すために、
図3のセキュリティー文書前駆体に両面上において、
図1Aに従うセキュリティーラミネートを積層したセキュリティー文書の断面図を示す。
【0050】
本発明に従うセキュリティー文書は、好ましくは身分証明カード、セキュリティーカード、運転免許証カード、社会保障カード、メンバーシップカード、タイムカード(time registraion card)、バンクカード、支払カード及びクレジットカードより成る群から選ばれる身分証明文書である。好ましい態様において、本発明に従うセキュリティー文書は、個人の身分証明文書である。
【0051】
セキュリティー文書は、いわゆる電子チップとして集積回路が導入された身分証明カードを意味する「スマートカード」であることもできる。好ましい態様において、セキュリティー文書はいわゆる高周波身分証明カード又はRFID−カードである。RFID−カードはチップ及びアンテナを含み、そのようなチップは通常コンタクトレスチップ(contactless chip)である。
【0052】
セキュリティー文書がコンタクトチップ(contact chip)を含む場合、好ましくは最外ポリエチレンテレフタレート表面の一部は断たれており、チップとの電気的
接触を可能にする。
【0053】
ラメラ、層及びセキュリティー文書系
セキュリティー文書に適したいずれのラメラ、層又はセキュリティー文書系を用いることもできる。それらには、例えばメモリーチップを含むのに十分な厚さのラメラをセキュリティー文書に与えるための例えばPVC、PC、PET−G、ABS、Teslinなどの普通の(plain)高分子フィルムが含まれる。
【0054】
ラメラ、層又はセキュリティー文書系には特別な目的、例えば:
・情報及び画像を加えること(例えばインキジェット受容層、レーザー標識可能層又はラメラ、拡散転写層...)
・セキュリティー機能を加えること(着色繊維、蛍光繊維及びプランセット、蛍光顔料、OVD及びDOVID、金属顔料、磁気材料、燐光顔料及び染料を含有するラメラ、層又はセキュリティー文書系...)
・機能的特色を加えること(接着性、帯電防止性を与えるためのラメラ、層又はセキュリティー文書系)
を有するものが含まれる。
【0055】
セキュリティー機能
身分証明文書の偽造を防ぐために、種々の保証の手段が用いられる。1つの解決策は、写真のような身分証明画上に重ねられる線又は縄編み模様にある。その方法においては、もしいずれかの材料がその後に印刷されると、加えられる黒の背景上に縄編み模様が白く現れる。他の解決策は、紫外線に反応するインキを用いて印刷された情報、画像又は字句などの中に隠された微小文字のようなセキュリティー要素を加えることにある。
【0056】
本発明に従うセキュリティー文書は、アンチーコピーパターン(anti−copy patterns)、縄編み模様、エンドレステキスト(endless text)、ミニプリント、マイクロプリント、ナノプリント、レインボウ着色(rainbow colouring)、1D−バーコード、2D−バーコード、着色繊維、蛍光繊維及びプランセット、蛍光顔料、OVD及びDOVID(例えばホログラム、2D及び3Dホログラム、kinegrams
TM)、オーバープリント、レリーフ型押し、穿孔、金属顔料、磁気材料、メタモラカラー(Metamora colours)、マイクロチップ、RFIDチップ、OVI(光学的に可変のインキ(Optically Variable Ink))、例えば真珠光沢インキ及びフォトクロミックインキ(photochromic ink)を用いて作られる画像、サーモクロミックインキ(thermochromic ink)を用いて作られる画像、燐光顔料及び染料、デュオトーン(duotone)及びマルチトーン(multitone)すかしを含むすかし、ゴースト画像(ghost images)及びセキュリティースレッド(security threads)のような当該技術分野で既知のいずれの適したセキュリティー機能を含有していることもできる。
【0057】
本発明に従うセキュリティー文書と上記のセキュリティー機能の1つの組み合わせは、文書の変造に関する困難さを増加させる。
【0058】
他の成分
本発明に従うセキュリティーラミネートの製造方法において用いられる第1及び/又は第2コーティング組成物は、他の成分が第1及び/又は第2コーティング組成物の層の他のラメラ又はPETCへの接着強さを、容易な離層が達成され得るようなやり方で悪化させない限り、他の成分を含むことができる。
【0059】
そのような成分には、例えば第1及び第2コーティング組成物のコーティングの質を強化するための界面活性剤あるいは美的目的又は文書を保証するか又はカード所有者の情報を文書に与えるような機能的目的を与えるための着色剤が含まれる。界面活性剤は、好ましくはアニオン性又は非−イオン性界面活性剤である。
【0060】
第1及び/又は第2コーティング組成物は、好ましくは無機コロイド粒子である、そして特に好ましくはコロイドシリカ粒子であるコロイド粒子を含有することもできる。適した有機粒子には架橋ポリスチレン粒子が含まれる。
【0061】
好ましい態様において、本発明に従うセキュリティーラミネートの製造方法において用いられる第1及び/又は第2コーティング組成物は、1種もしくはそれより多いUV遮断剤を含む。適したUV遮断剤には、ヒンダードアミン光安定剤及びベンゾトリアゾール誘導体、例えば2−(3’−tert−ブチル−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール及び2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール]が含まれる。市販の例にはCIBAから入手可能なTinuvin
TM 109、Tinuvin
TM 213、Tinuvin
TM 234、Tinuvin
TM 326、Tinuvin
TM 327及びTinuvin
TM 360が含まれる。UV遮断剤は追加の保護、例えばセキュリティー文書コア上の染料画像の薄れの予防を与える。
【0062】
他の成分には、増粘剤、帯電防止剤、殺生物剤(biocides)、光安定剤などが含まれる。
【0063】
工業的用途
本発明に従うセキュリティーラミネートを、運転免許証、ID−カード及びパスポートのような身分証明文書において、ならびに他の重要な文書、例えば権利の証明書(certificates of title)上で用いることができる。セキュリティーラミネートは、薬物、ビデオカセット及びコンパクトディスク上の不正変更防止シール(tamper proof seals)としても有用である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
実施例
材料
以下の実施例中で用いられるすべての材料は、他にことわらなければ、ALDRICH
CHEMICAL Co.(ベルギー)及びACROS(ベルギー)のような標準的な供給源から容易に入手可能であった。用いられる水は脱イオン水であった。
【0066】
MEKは、メチルエチルケトンに関して用いられる略語である。
【0067】
UCAR
TM VAGD Solutionビニル樹脂は、UNION CARBIDEからのヒドロキシル−官能基性の部分的に加水分解された塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂である。コポリマーは、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコールに関する90/4/6重量%の組成を有する。
【0068】
CCEは、SOLVAYからのDIOFAN
TM A658、ポリ塩化ビニリデン−メタクリレート−イタコン酸コポリマーである。
【0069】
CCE−02は、CCEの30重量%水性分散系である。
KIESELSOL
TM 100Fは、BAYERから入手可能なコロイドシリカの36%水性分散系である。
【0070】
MERSOLAT
TM Hは、BAYERからのペンタデシルスルホン酸ナトリウムの76%水性ペーストである。
【0071】
MERSOLは、水中のMERSOLAT
TM Hの3.7重量%溶液である。
【0072】
Resorcineは、SUMITUMO CHEMICAL EUROPEから入手可能なレゾルシノールである。
【0073】
Bayhydrol
TM UH2558は、BAYERからのイソホロンジイソシアナート、ヘキサンジオール及びアジピン酸のポリエステルウレタンに基づく補助溶剤非含有脂肪族アニオン性ポリウレタン分散系(約37.2%の固体を含有する)である。
【0074】
Paresinは、American Cyanamid CompanyからPAREZ
TM RESIN 613の商品名の下に入手可能なジメチルトリメチロールメラミンホルムアルデヒド樹脂である。
【0075】
DR274は、GENERAL ELELCTRICからSR342(以前はTOSPEARL
TM 120)として入手可能な、しかしTOSHIBAにより製造される60%ポリ(メチルシリルセスキキサン)シリルエポキシ 60/40のコポリマーの10%水溶液である。平均粒度は2μmである。
【0076】
SR344は、GENERAL ELELCTRICからSR344(以前はTOSPEARL
TM 145)として入手可能な、しかしTOSHIBAにより製造されるポリ(メチルシリルセスキキサン)シリルエポキシ 60/40である。平均粒度は4.5μmである。
【0077】
DR270は、2.5重量%のDOWFAX
TM 2A1及び2.5重量%のSurfynol
TM 420を含有する水溶液である。
【0078】
DOWFAX
TM 2A1は、DOW CHEMICALからの界面活性剤(CASRN 12626−49−2)である。
【0079】
Surfynol
TM 420は、AIR PRODUCTS & CHEMICALSからの2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール−ビスポリオキシエチレンエーテル界面活性剤である。
【0080】
測定法
1.剥離強さ
Instron試験機及び角衝撃を用い(with Instron and corner impact)、ISO/IEC 7810:1995に記載されている乾燥及び湿潤剥離強さに関する試験法を用いて、ラミネートの離層抵抗性を評価した。水中に24時間沈めた後に、湿潤剥離強さを実施した。
【0081】
実施例において用いられる評価成績を
表1により示す。
【0083】
コーティング組成物の調製
溶解機を用い、
表2に従う成分を混合することにより、コーティング組成物COAT−1を調製した。
【0085】
溶解機を用い、
表3に従う成分を混合することにより、コーティング組成物COAT−2を調製した。
【0087】
溶解機を用い、
表4に従う成分を混合することにより、コーティング組成物COAT−3を調製した。
【0089】
セキュリティーラミネートの製造
表5により記載される通りに、比較セキュリティーラミネートCOMP−SL1〜COMP−SL9ならびに本発明のセキュリティーラミネートINV−SL1及びINV−SL2を製造した。
【0090】
ここで、本発明のセキュリティーラミネートINV−SL2に関し、製造方法を例示する。1,100μmの厚さのポリエチレンテセフタレート基質を縦に延伸した後、縦に延伸されたPET上に第1コーティング組成物COAT−2をコーティングし、乾燥した。コーティングされた縦延伸PETを、次いで横に延伸し、219nmの乾燥厚さDTを有する第1コーティング組成物の層を持つ63μmの厚さのコーティングされた二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基質を製造した。二軸延伸基質上の第1コーティング組成物COAT−2の乾燥層の上に、第2コーティング組成物COAT−1をコーティングし、乾燥した。第2層の乾燥厚さDTは3.0μmであった。
【0091】
表5に示される通りのコーティング組成物及びそれらの層の乾燥厚さを用いる以外は全く同じ方法で、比較セキュリティーラミネートCOMP−SL3〜COMP−SL6及び本発明のセキュリティーラミネートINV−SL1を製造した。
【0092】
比較セキュリティーラミネートCOMP−SL1及びCOMP−SL2は、縦延伸ではなくて横延伸の後に第1コーティング組成物を適用したことによってのみ、それぞれ本発明のセキュリティーラミネートINV−SL1及びINV−SL2と異なる。
【0093】
比較セキュリティーラミネートCOMP−SL7〜COMP−SL9は、横延伸の後だが第2コーティング組成物COAT−1のコーティングの前に、
表5に示される乾燥厚さDTを得るために余分のコーティング組成物COAT−3の層をコーティングして乾燥し、続いて80℃で10分間追加の熱処理をしたことによってのみ、比較セキュリティーラミネートCOMP−SL6と異なる。
【0095】
表6により示される通り、比較セキュリティーラミネートCOMP−SL3〜COMP−SL9は、PVC上に積層される国際公開第2009/063058号パンフレット(AGFA)中に示されている例に対応する。
【0097】
セキュリティーラミネートの評価
比較セキュリティーラミネートCOMP−SL1〜COMP−SL9ならびに本発明のセキュリティーラミネートINV−SL1及びINV−SL2を用い、PVC又はPETGのセキュリティー文書コアを有する比較試料COMP−SD1〜COMP−SD9ならびに
図2Bに従う本発明の試料を製造した。
【0098】
160℃の積層温度において:LPT=160℃,LP=40,保持(Hold)=150秒,HPT=130℃,HP=40及びECT=50℃の設定を有するOasys OLA6/7プレートラミネーターを用い、
表7に従う500μmの不透明セキュリティー文書コアの両面上にセキュリティーラミネートを積層することにより、すべての試料を同じ方法で調製した。
【0100】
試料を、乾燥及び湿潤剥離強さに関して調べた。結果を
表8に示す。
【0102】
表8から、ヒドロキシル−官能基性の部分的に加水分解された塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー及びポリエステル−ウレタンコポリマーに基づくセキュリティーラミネートを用いた試料INV−SD1〜INV−SD4のみが、高い剥離強さを示す薄いセキュリティーラミネートを与える(deliver)ことができることが明らかなはずである。
【0103】
ポリ塩化ビニリデンコポリマーに基づいて製造される薄いセキュリティーラミネートを用いる比較試料COMP−SD3〜COMP−SD6は、優れた剥離強さを与えることができない。セキュリティーラミネートCOMP−SL7〜COMP−SL9の場合に示される通り、比較セキュリティーラミネートCOMP−SL6にポリ塩化ビニリデンコポリマーの余分の層を適用することにより、優れた剥離強さを示すより厚いセキュリティーラミネートが得られた。しかしながら、必要な80℃における10分間の余分の熱処理のために、これらのセキュリティーラミネートCOMP−SL7〜COMP−SL9を経済的に実行できる(viable)やり方で製造することはできない。セキュリティーラミネートCOMP−SL7〜COMP−SL9のより大きい厚さは、セキュリティー文書コア中又はその上に追加の層又はラメラを導入するのに利用可能な厚さを減少させもする。