(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714099
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】直流駆動の吊り下げ天井システム内で照明装置の自動極性保護と緊急バックアップとを行える高効率な直流安定器の配置構造
(51)【国際特許分類】
H05B 37/02 20060101AFI20150416BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
H05B37/02 Z
H02M3/155 C
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-509072(P2013-509072)
(86)(22)【出願日】2011年3月22日
(65)【公表番号】特表2013-535071(P2013-535071A)
(43)【公表日】2013年9月9日
(86)【国際出願番号】US2011029309
(87)【国際公開番号】WO2011139421
(87)【国際公開日】20111110
【審査請求日】2013年11月19日
(31)【優先権主張番号】12/774,928
(32)【優先日】2010年5月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511185405
【氏名又は名称】ネクステック パワー システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンギアラシーナ、アンソニー
【審査官】
杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/042216(WO,A1)
【文献】
米国特許第5661420(US,A)
【文献】
特開平4−265622(JP,A)
【文献】
特開平8−163777(JP,A)
【文献】
特開2009−163962(JP,A)
【文献】
特開2002−299082(JP,A)
【文献】
米国特許第6815845(US,B1)
【文献】
特開2010−040389(JP,A)
【文献】
特開2009−158113(JP,A)
【文献】
特開平9−289092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源を有する吊り下げ天井システム内で異なる向きに取り付け可能な照明装置のための安定器の配置構造であって、前記配置構造は、通常動作の期間に前記装置のランプを点灯可能とするメイン直流安定器回路と、前記直流電源の停止に伴う緊急動作の期間に前記装置の前記ランプを点灯可能とする緊急バックアップ直流安定器回路と、前記装置のある向きにおいては所定の極性で、前記装置の別の向きにおいては逆の極性で、前記直流電源に接続される一対の直流入力端子とを有し、
前記天井システムが、複数の四角形状の開口を有し、
前記装置が、前記複数の開口から選択した開口に前記ある向きに、または前記ある向きに対して90度異なる前記別の向きに取り付けられ、
自動極性保護回路が、前記直流入力端子に接続され、前記装置が取り付けられる前記向きにかかわらず一定の極性の出力直流電圧を供給し、
前記メイン直流安定器回路が、前記通常動作の期間に前記装置の前記ランプを点灯可能とするために前記保護回路からもたらされる前記出力直流電圧によって駆動されるメイン直流安定器を含み、
前記緊急バックアップ直流安定器回路が、前記通常動作の期間に前記出力直流電圧によって充電直流電圧となるまで充電されるバッテリーと、前記緊急動作の期間に前記装置の前記ランプを点灯可能とするために前記バッテリーからもたらされる前記充電直流電圧によって駆動される緊急直流安定器とを含み、
前記保護回路が、高効率のDC−DCブリッジであり、逆の型の第1の一対の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタであるMOSFETを有する第1分岐回路と、逆の型の第2の一対のMOSFETを有する第2分岐回路とを含み、前記第1分岐回路および前記第2分岐回路が、前記第1の一対のMOSFETと前記第2の一対のMOSFETとの間でブリッジされている
ことを特徴とする安定器の配置構造。
【請求項2】
前記保護回路は、前記MOSFETのゲートにおいてバイアス電圧を安定した値に保持するための複数のツェナーダイオードを含むことを特徴とする請求項1に記載の安定器の配置構造。
【請求項3】
前記保護回路からもたらされる前記出力直流電圧と前記直流電源からもたらされる供給直流電圧との差は、前記高効率のDC−DCブリッジの前記MOSFETの低い挿入損失のおかげで0.1V以下となっていることを特徴とする請求項1に記載の安定器の配置構造。
【請求項4】
前記保護回路と前記緊急バックアップ直流安定器回路との間に設けられた、前記出力直流電圧を、前記安定器回路を駆動するための減少直流電圧に減圧変換するための高効率のDC−DCコンバータを有していることを特徴とする請求項1に記載の安定器の配置構造。
【請求項5】
前記DC−DCコンバータは、アクティブな集積回路制御チップを有し、挿入損失が低いものであることを特徴とする請求項4に記載の安定器の配置構造。
【請求項6】
前記直流電源の停止を検出し、かつ、該停止の検出時に前記緊急バックアップ直流安定器回路を駆動可能とするための検出回路を有していることを特徴とする請求項1に記載の安定器の配置構造。
【請求項7】
前記吊り下げ天井システムのフレームワークにおける前記開口において前記向きのいずれかで前記安定器の配置構造を支持するためのハウジングを有していることを特徴とする請求項1に記載の安定器の配置構造。
【請求項8】
前記ランプは、蛍光のランプであり、
前記蛍光の装置は、前記吊り下げ天井システムのグリッドフレームワークのフレーム要素によって形成された前記開口において異なる向きで取り付け可能となっていること特徴とする請求項1に記載の安定器の配置構造。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
建造物内の従来の吊り下げ(suspended)または下がり(drop)天井システムは、互いに直交して縦および横にのびるフレーム要素からなるグリッドフレームワーク(grid framework)を含む。フレーム要素は、天井面内にあって交差しており、複数の多角形の開口、特に、四角形の開口を形成している。この開口に、照明装置(lighting fixtures)、天井タイル、エアダクト、拡声器、および天井部材がはめ込まれて支持される。天井システムは、スプリンクラー管、水管、空調用ダクト付属品(air conditioning duct work)、電線用導管、電気ケーブル、電話ケーブル、コンピュータのネットワークケーブル、ケーブルトレイ、配電盤等のインフラ構築設備の他に、建造物の実際の天井と吊り下げられたフレームワークとの間にある天井プレナム(overhead plenum)またはスペース内に通常取り付けられる機械的および電気的な設備に対して、特に、視覚的なバリア、そしてしばしば音響的なバリアの役割を果たす。
【0002】
オフィスまたは家庭環境における様々な電気機器に直流(DC)電圧を供給することが望まれており、それ故、例えば米国特許第7,661,229では、導電体または電線をフレーム要素の中および該フレーム要素に沿って組み込んで支持することによって、直流電源を天井システムに組み入れた技術が提案されている。電線は、直流電源の正端子および負端子に接続されている。電気タップは、電気機器の入力端子に対して正および負の電源端子を接続するために使用されている。
【0003】
照明装置、例えば、直流安定器(a DC ballast)を有する蛍光照明装置に対して、上述した直流駆動の天井システムから電力を供給することがさらに望ましい。照明装置は、複数の開口のうちのいくつか選ばれた開口に取り付けられ、例えば、新規の設備または既存の設備における選ばれた開口に直接的に取り付けられる。新規の照明装置は、同一の開口において別の照明装置に交換され、または、既存の照明装置は、異なる照明条件に適合するように、ある開口から別の開口に移動されることもある。照明装置は、意図的にまたは不注意に(inadvertently)、選ばれた開口において異なる向きで取り付けられることもある。すなわち、照明装置は、縦にのびるフレーム要素に沿った縦方向に取り付けられることも、90度向きを変えて横にのびるフレーム要素に沿った横方向に取り付けられることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの異なる向きは、直流安定器に対する直流の極性の問題(a DC polarity problem)を生じさせる。なぜなら、照明装置は、ある向きで直流電源によって正常に駆動されるだけであり、他の向きでは直流電源によって正常に駆動されないからである。より詳細には、安定器は、直流電源の正端子に接続される1つの直流入力正端子と、直流電源の負端子に接続されるもう1つの直流入力負端子とを有する。これらの適切な電気的な接続は、照明装置のある向きにおいては行われるが、照明装置の別の向きにおいては行われない。照明装置は、当然のことながら、不適切な電気的な接続では正常に動作しないし、実際には、ダメージを受けて、その結果、修理および/または交換が必要になる可能性もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの特徴は、要約すれば、好ましくは1つまたは複数の蛍光ランプと安定器とを有し、天井面内にあって複数の開口を形成するように交差して縦および横にのびるフレーム要素からなるグリッドフレームワークを有する吊り下げ天井システム内に取り付けられる、照明装置のための安定器の配置構造(arrangement)に属する。天井システムは、直流駆動されるものであり、オフィスまたは家庭環境における照明装置のような電気機器を駆動する直流(DC)電源を有する。照明装置は、複数の開口のうちのいくつかの選ばれた開口に取り付けられ、意図的にまたは不注意に、選ばれた開口の異なる向きに配置することが可能(positionable)となる。すなわち、この装置は、縦のフレーム要素に沿った縦方向に取り付けられることも、または、90度向きを変えて横のフレーム要素に沿った横方向に取り付けられることもできる。
【0006】
上述したように、これらの異なる向きは、直流の極性の問題を生じさせる。なぜなら、従来技術の照明装置の安定器は、ある向きで直流電源によって正常に駆動されるだけであり、別の向きでは直流電源によって正常に駆動されないからである。より詳細には、従来技術の安定器は、直流電源の正端子に接続される1つの直流入力正端子と、直流電源の負端子に接続されるもう1つの直流入力負端子とを有している。
【0007】
本発明の一側面によれば、本発明の安定器の配置構造は、自動極性保護回路(an automatic polarity protection circuit)を有する。自動極性保護回路は、一対の直流入力端子に接続されており、装置が取り付けられる向きにかかわらず一定の極性の出力直流電圧を供給する。したがって、直流電源の正端子または負端子が安定器の配置構造の入力端子のいずれに接続されていても何の問題もなく、出力直流電圧は、常に、同一極性に、例えば、正極性に生成される。それ故、選ばれた開口における照明装置の位置決め(positioning)は、従来技術ほど深刻な問題ではなくなる。
【0008】
好ましい実施形態では、保護回路は、高効率のDC−DCブリッジからなり、第1分岐回路と第2分岐回路とを含む。第1分岐回路は、逆の型(opposite type)の第1の一対の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を有する。第2分岐回路は、逆の型の第2の一対のMOSFETを有する。これらの分岐回路は、第1の一対のMOSFETと第2の一対のMOSFETとの間でブリッジされ(bridged)ている。保護回路は、また、複数のツェナーダイオードを含む。ツェナーダイオードは、MOSFETのゲートにおいてバイアス電圧を安定した値に保持する。保護回路からもたらされる出力直流電圧と直流電源からもたらされる供給直流電圧との差は、MOSFETの低い挿入損失(insertion loss)のおかげで0.1V以下となっている。これは、非常に高い挿入損失を有するが故に低効率な従来のダイオードブリッジ(diode-based bridges)と対比して、利点がある。
【0009】
安定器の配置構造は、メイン直流安定器回路(a main DC ballast circuit)と、緊急バックアップ直流安定器回路(an emergency back-up DC ballast circuit)とを含む。メイン直流安定器回路は、通常動作(normal operation)の期間に、装置のランプを点灯可能とするために、保護回路からもたらされる出力直流電圧によって駆動されるメイン直流安定器を含む。緊急バックアップ直流安定器回路は、直流電源の停止(failure)による緊急動作(emergency operation)の期間に、装置のランプを点灯可能とする。検出回路は、直流電源の停止を効果的に(advantageously)検出して、このような停止が検出された時に緊急バックアップ直流安定器回路を動作可能とする。緊急バックアップ直流安定器回路は、バッテリーと、緊急直流安定器とを含む。バッテリーは、通常動作の期間に、出力直流電圧によって充電直流電圧(a charged DC voltage)となるまで充電される。緊急直流安定器は、バッテリーからもたらされる充電直流電圧によって駆動され、緊急動作の期間に、装置のランプを点灯可能とする。
【0010】
安定器の配置構造は、さらに、高効率のDC−DCコンバータを含む。高効率のDC−DCコンバータは、保護回路と緊急バックアップ直流安定器回路との間に設けられ、出力直流電圧を減少直流電圧(a reduced DC voltage)に減圧変換して安定器回路を駆動する。DC−DCコンバータは、アクティブな集積回路制御チップを有し、挿入損失が低い。これは、非常に高い挿入損失を有するが故に低効率な例えば抵抗等の受動素子を有する従来のコンバータと対比して、利点がある。
【0011】
本発明の別の側面によれば、直流電源を有する直流駆動の吊り下げ天井システム内のグリッドフレームワークのフレーム要素によって形成された選ばれた開口において、異なる向きで照明装置を取り付け可能にして動作させる方法は、装置のある向きにおいては所定の極性で、装置の別の向きにおいては逆の極性で、一対の直流入力端子を直流電源に接続し、装置が取り付けられる向きにかかわらず一定の極性の出力直流電圧を供給するために、自動極性保護回路を直流入力端子に接続し、通常動作の期間に、装置のランプを点灯可能とするために、保護回路からもたらされる出力直流電圧によって、メイン直流安定器を含むメイン直流安定器回路を駆動し、通常動作の期間にバッテリーを出力直流電圧によって充電直流電圧となるまで充電して、緊急動作の期間に装置のランプを点灯可能とするためにバッテリーの充電直流電圧によって緊急直流安定器を駆動することで、直流電源の停止に伴う緊急動作の期間に、緊急バックアップ直流安定器回路によって装置のランプを点灯可能とすること、からなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る安定器の配置構造を示す電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、照明装置のための安定器の配置構造を示す電気回路図である。照明装置は、好ましくは1つあるいはそれ以上の蛍光ランプを有する。照明装置は、互いに直交して縦および横にのびるフレーム要素によって形成されて選ばれた開口に、取り付けおよび支持されている。フレーム要素は、天井面内にあって交差しており、米国特許第7,661,229に開示されたタイプの直流駆動される吊り下げまたは下がり天井システムのグリッドフレームワーク内で複数の多角形の開口、特に、四角形の開口を形成する。この米国特許第7,661,229の開示全体が本明細書に参照として組み込まれる。直流電源は、導電体または電線をフレーム要素の中および該フレーム要素に沿って組み込んで支持することによって、天井システムに組み入れられている。電線は、直流電源の正端子および負端子に接続されている。
【0014】
この装置は、その支持開口(supporting opening)に対して相補的な外形を有する。この開口は、好ましくは、四角形状であり、一般的には、2フィート×2フィート、または4フィート×4フィートの大きさである。照明装置は、意図的にまたは不注意に、選ばれた開口において異なる向きで取り付けられることができる。すなわち、照明装置は、縦にのびるフレーム要素に沿った縦方向に取り付けられることも、90度向きを変えて横にのびるフレーム要素に沿った横方向に取り付けられることもできる。フレーム要素は、好ましくは、シート状の金属の単片を例えば折り曲げ(folding)および打ち抜き加工すること(stamping)によって形成される。各フレーム要素は、一般的に、水平なフランジ部と、垂直なウェブ部とを有する。フランジ部の上には、装置がその周囲を取り巻くように支持されている。照明装置以外の、例えばエアダクト、拡声器等の天井部材も、それぞれの開口に支持されている。天井システムは、ねじられたロッド(threaded rods)または天井ワイヤー(ceiling wire)によって、建造物の実際の天井から吊り下げられている。
【0015】
上述したように、装置のこれらの異なる向きは、直流の極性の問題を生じさせる。なぜなら、従来技術の照明装置の安定器は、ある向きで直流電源によって正常に駆動されるだけであり、別の向きでは直流電源によって正常に駆動されないからである。さらに詳細には、従来技術である安定器は、直流電源の正端子に接続される1つの直流入力正端子と、直流電源の負端子に接続されるもう1つの直流入力負端子とを有している。この照明装置は、勿論、不適切な電気的な接続では、正常に動作しない。
【0016】
本発明の一側面によれば、安定器の配置構造は、一対の直流入力端子12、14(
図1参照)を有している。一対の直流入力端子12、14は、装置のある向きにおいては所定の極性で、装置の別の向きにおいては逆の極性で、例えば24VDCの直流電源の正端子および負端子に接続される。自動極性保護回路20は、直流入力端子12、14に接続され、装置が取り付けられる向きにかかわらず出力16に一定の極性の出力直流電圧を供給する。それ故、直流電源の正端子または負端子が安定器の配置構造の入力端子12または入力端子14のいずれに接続されても何の問題もなく、出力16における出力直流電圧は常に同じ極性に生成される。例えば、負または正の電圧が入力端子12または入力端子14に入力されたとしても、出力直流電圧は常に正電圧となる。したがって、選ばれた開口における照明装置の位置決めは、従来技術ほど深刻な問題ではなくなる。
【0017】
好ましい実施形態では、保護回路20は、高効率のDC−DCブリッジからなり、第1分岐回路と、第2分岐回路とを含む。第1分岐回路は、それぞれ逆の関係にあるp型およびn型の第1の一対の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)Q1、Q3を有する。第2分岐回路は、それぞれ逆の関係にあるn型およびp型の第2の一対のMOSFETQ2、Q4を有する。これらの分岐回路は、第1の一対のMOSFETQ1、Q3と第2の一対のMOSFETQ2、Q4との間でブリッジされている。保護回路は、また、複数のツェナーダイオードZ1、Z2、Z3、Z4を含んでいる。ツェナーダイオードZ1、Z2、Z3、Z4は、MOSFETQ1、Q2、Q3、Q4のゲートのバイアス電圧を安定した値に保持するためのものである。保護回路20からもたらされる出力16における出力直流電圧と直流電源からもたらされる例えば24VDCの供給直流電圧との差は、MOSFETQ1、Q2、Q3、Q4の低い挿入損失のおかげで0.1V以下となっている。これは、非常に高い挿入損失を有しているが故に低効率な従来のダイオードブリッジと対比して、利点がある。
【0018】
動作中、正の直流電圧が入力端子12に入力されると、Q1がターンオフし、Q2がターンオンし、Q3がターンオンし、Q4がターンオフし、出力16における出力直流電圧は正となる。負の直流電圧が入力端子12に入力されても、Q1がターンオンし、Q2がターンオフし、Q3がターンオフし、Q4がターンオンし、出力16における出力直流電圧は依然として正のままである。
【0019】
安定器の配置構造は、さらに、高効率のDC−DCコンバータ30を含む。DC−DCコンバータ30は、保護回路20に接続され、出力16における出力直流電圧を、出力18で例えば約5VDCの減少直流電圧となるまで減圧変換する。DC−DCコンバータ30は、アクティブな集積回路制御チップ22を有し、挿入損失が低い。これは、非常に高い挿入損失を有しているが故に低効率な抵抗等の受動素子を有する従来のコンバータと対比して、利点がある。
【0020】
安定器の配置構造は、さらに、メイン直流安定器回路を含む。メイン直流安定器回路は、メイン直流安定器24を含む。メイン直流安定器24は、DC−DCコンバータ30からもたらされた減少直流電圧でリレー(RE1)26を介して駆動され、通常動作の期間に、装置のランプを点灯可能とする。出力18における減少直流電圧は、リレー26のコイル28に印加され、リレー26が通常クローズ(NC)状態から通常オープン(NO)状態に切り替わる。端子12、14における直流供給電圧は、メイン直流安定器24の入力リード線(input leads)に入力され、それによって、通常動作の期間にランプを点灯可能とする。
【0021】
安定器の配置構造は、さらに、以下に詳細に説明するように、検出回路32と、緊急バックアップ直流安定器回路とを含んでいる。検出回路32は、直流電源の停止を検出するためのものである。緊急バックアップ直流安定器回路は、検出回路32によって直流電源の停止が検出された緊急動作の期間に、ランプを点灯可能とする。緊急バックアップ直流安定器回路は、充電式のバッテリー40と緊急直流安定器とを含む。充電式のバッテリー40は、通常動作の期間に、出力18における減少直流電圧によって、コイル28を通じてバッテリー40の端子34で充電直流電圧となるまで充電される。緊急直流安定器は、バッテリーの端子34での充電直流電圧によって駆動され、緊急動作の期間に装置のランプを点灯可能とする。
【0022】
緊急直流安定器は、プッシュプル発振器(a push-pull oscillator)を含む。プッシュプル発振器は、20kHzから60kHzの間の共振周波数で共振するように設けられた一対のトランジスタQ5、Q6を有している。発振器は、トランスT1の第1の1次コイル(a first primary coil)42に接続されている。トランスT1の2次コイル44はランプ50に接続されている。バッテリーの端子34における充電直流電圧は、1次コイル42の中間タップに入力され、それによってトランスT1に電圧を印加し、緊急動作の期間に、ランプ50を点灯させる。
【0023】
出荷時に、2つのエネイブルコネクタ(enable connectors)36、38は互いに独立しているが、安定器の配置構造の取り付けの時には、エネイブルコネクタ36、38は相互接続され、その結果、通常動作の期間に、出力18における減少直流電圧が、コイル28および相互接続されたコネクタ36、38を通ってトランジスタQ7のエミッタに入力される。トランジスタQ7のベースには、検出回路32を経由して、出力16における出力直流正電圧が入力されている。トランジスタQ7のコレクタは、トランスT1の第2の1次コイル(a second primary coil)43の中間タップに接続されている。第2の1次コイル43およびその端子45、47は、図中の電気的な接続を簡略化するために、
図1に2つ描かれている。通常動作の期間に、Q7はバイアスオフ(biased off)され、その結果、プッシュプル発振器の発振が防止される。しかしながら、緊急の期間には、直流電源が停止し、出力直流電圧がもはや出力16において存在しなくなる。この緊急状態(emergency)は、検出回路32によって検出され、Q7は、その時バイアスオン(biased on)され、プッシュプル発振器は、発振を開始してトランスの第2の1次コイル43を動作させ、2次コイル44を順に動作させる。
【0024】
リレー(RE2)46およびリレー(RE3)48は、“瞬時起動(instant start)”モードまたは“急速起動(rapid start)”モードの動作の場合に、安定器の配置構造に対するダメージを防止するように設けられている。各リレー46、48は通常クローズ(NC)状態から通常オープン(NO)状態に切り替えられ、安定器からのびる一方または両方の出力リード線(output leads)は切り離される(disconnected)。
【0025】
本発明の安定器の配置構造は、90%を超えるオーダの効率を実現している。これは、60%〜70%のオーダの効率を有する従来の安定器の配置構造と対照的である。
【0026】
新規なものとしてクレームされ、特許証によって保護されることを望む内容は、添付の特許請求の範囲に記載されている。