特許第5714112号(P5714112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714112
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】PoP−mWLPとしての多機能センサ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20150416BHJP
   H01L 23/52 20060101ALI20150416BHJP
   H01L 25/04 20140101ALI20150416BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20150416BHJP
   H01L 25/10 20060101ALI20150416BHJP
   H01L 25/11 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   H01L23/12 501P
   H01L23/52 D
   H01L25/04 Z
   H01L25/14 Z
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-528571(P2013-528571)
(86)(22)【出願日】2011年7月29日
(65)【公表番号】特表2013-537368(P2013-537368A)
(43)【公表日】2013年9月30日
(86)【国際出願番号】EP2011063070
(87)【国際公開番号】WO2012038127
(87)【国際公開日】20120329
【審査請求日】2013年3月19日
(31)【優先権主張番号】102010041129.9
(32)【優先日】2010年9月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ウルリケ ショルツ
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ライヒェンバッハ
【審査官】 木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0039523(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0140394(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0110323(US,A1)
【文献】 特開2009−260165(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0019370(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12−23/15
H01L 23/52
H01L 25/00−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ又はナノパターニングされた少なくとも1つの構造エレメント(1)を有する構造部材(A)の製造方法であって、
a)接触接続用に設けられている少なくとも1つの領域(2)を備えた、マイクロ又はナノパターニングされた前記少なくとも1つの構造エレメント(1)を支持体(3)に被着するステップであって、前記構造エレメント(1)の接触接続用に設けられている少なくとも1つの領域(2)が、前記支持体(3)に隣接するように、前記構造エレメント(1)を前記支持体(3)に被着する、ステップと、
b)封止材料(4)でもって前記構造エレメント(1)を封止する、ステップと、
c)前記支持体(3)から構造エレメント・封止材料複合体(5)を剥離する、ステップと、
d)導電性の領域を有する第1の層(6)を、前記構造エレメント・封止材料複合体(5)の、先に前記支持体(3)に隣接していた面に被着する、ステップと、
e)前記封止材料(4)及び前記第1の層(6)を貫通して少なくとも1つのスルーホール(7)を加工する、ステップと、
f)導体層(8)を前記スルーホール(7)の表面、及び導電性の領域を有する前記第1の層(6)の、前記構造エレメント・封止材料複合体(5)に隣接していない露出している表面に連続して、前記導体層(8)が、接触接続用に設けられている領域(2)に直接的に電気的に接触接続しているように被着する、ステップと、を有する、マイクロ又はナノパターニングされた少なくとも1つの構造エレメントを有する構造部材の製造方法。
【請求項2】
前記方法ステップd)において、先に前記支持体(3)に隣接していた面とは反対側にある、前記構造エレメント・封止材料複合体(5)の面に、導電性の領域を有する第2の層(6)を付加的に被着し、前記方法ステップf)において、前記導体層(8)を、導電性の領域を有する前記第2の層(6)の少なくとも一部分に付加的に被着することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記導体層(8)を、導電性の領域を有する前記第1及び/又は前記第2の層(6)の導電性の部分層(6b)から部分的に除去することにより導体路パターニングを行うステップg)をさらに有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
絶縁層(10)を、前記方法ステップg)において形成された導体路パターニングされた層(8)に及び/又は導体路パターニングされた層(8)の間に被着するステップh)をさらに有する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの分離平面が、少なくとも1つのスルーホールを通って延在しているように、もたらされたアセンブリを個別化するステップi)をさらに有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
−封止材料層(4)と、少なくとも1つのマイクロ又はナノパターニングされた構造エレメント(1)とから成る構造エレメント・封止材料複合体(5)であって、前記構造エレメント(1)の接触接続用に設けられている少なくとも1つの領域(2)が、前記複合体(5)の第1の側面の一部分を形成する、構造エレメント・封止材料複合体(5)と、
−導電性の領域を有する第1の層(6)であって、該導電性の領域を有する層(6)は、前記複合体(5)の第1の側面に接続されている、導電性の領域を有する第1の層(6)と、
−前記第1の側面に隣接する前記複合体の第2の側面の少なくとも一部分又は前記第1の側面から、該第1の側面の反対側に位置する前記複合体(5)の第3の側面に延びている封止材料層穴(7)の表面と、導電性の領域を有する前記第1の層(6)の、前記複合体(5)に隣接していない露出している表面と連続的に覆う導体(8)であって、前記構造エレメント(1)の接触接続用に設けられている領域に、直接的に電気的に接触接続している、導体(8)と、を有する、構造部材、特に電気機械的な構造部材(A)。
【請求項7】
前記構造部材(A)は、導電性の領域を有する第2の層(6)を有し、導電性の領域を有する該第2の層(6)は、前記複合体(5)の第3の側面に接続されていて、前記導体層(8)はさらに、導電性の領域を有する前記第2の層(6)の、前記複合体の第2の側面に隣接する部分、又は封止材料層穴(7)に隣接する部分を覆うことを特徴とする、請求項6記載の構造部材。
【請求項8】
−前記導体層(8)は、導電性の領域を有する前記第1及び/若しくは前記第2の層(6)の領域において、少なくとも1つの導体路パターニングする切抜き部を有し、並びに/又は、
−導電性の領域を有する前記第1及び/又は前記第2の層(6)は、少なくとも1つの導体路パターニングする切抜き部を有することを特徴とする、請求項6又は7記載の構造部材。
【請求項9】
前記第1及び/又は前記第2の導電性の層(6)の導電性の部分層(6b)が、前記少なくとも1つの導体路パターニングする切抜き部を有することを特徴とする、請求項8記載の構造部材。
【請求項10】
前記構造部材(A)は絶縁層(10)を有することを特徴とする、請求項6から9までのいずれか1項記載の構造部材。
【請求項11】
前記絶縁層(10)は、
−前記導体層(8)並びに/又は導電性の領域を有する前記第1及び/若しくは前記第2の層(6)における、導体路パターニングする切抜き部を充填し、並びに/又は、
−前記導体路パターニングする切抜き部に隣接する導体層部分(8)を覆い、並びに/又は、
−前記導体層(8)を超えていて、並びに/又は、
−前記導体層(8)の領域において、接続体を収容するかつ/若しくはろう接個所を形成する少なくとも1つの切抜き部(11)を有していることを特徴とする、請求項10記載の構造部材。
【請求項12】
外部から前記絶縁層(10)における少なくとも1つの切抜き部(11)を貫通して延びていて、前記導体層(8)に接続されている少なくとも1つの接続体(12)を前記構造部材は有することを特徴とする、請求項11記載の構造部材。
【請求項13】
前記少なくとも1つの接続体(12)は、前記導体層(8)に電気的及び機械的に接続されていることを特徴とする、請求項12記載の構造部材。
【請求項14】
−前記導体層(8)は、前記封止材料層穴(7)の領域においてスリーブ状に形成されているか、又は、
−前記封止材料層穴(7)は、前記導体層(8)の材料によって充填されていることを特徴とする、請求項6から13までのいずれか1項記載の構造部材。
【請求項15】
請求項6から14までのいずれか1項記載の少なくとも1つの第1の構造部材(A)又は請求項1から5までのいずれか1項記載の方法により製造された構造部材(A)、及び接触接続用に設けられている少なくとも1つの領域を備えた少なくとも1つの第2の構造部材(B)を有し、該第2の構造部材(B)の接触接続用に設けられている領域は、前記第1の構造部材(A)の導体層(8)に電気的に接触接続している、構造部材システム。
【請求項16】
前記第2の構造部材(B)の接続体(12)は、前記第1の構造部材(A)の導体層(8)に、前記複合体(5)の第3及び/又は第2の側面において接触接続していることを特徴とする、請求項15記載の構造部材システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行技術
本発明は、マイクロ又はナノパターニングされた少なくとも1つの第1の構造エレメントを備えた構造部材の製造方法及び当該構造部材に関する。
【0002】
構造エレメント技術において、複数の機能の高集積密度のために、パッケージオンパッケージ(Package-on-Package(PoP))技術がますます多く使用される傾向にある。PoP技術は、システムインパッケージ(System-in-Package(SiP))技術に比べて、個々の構成要素の設計変更に、著しく柔軟に対処することができるという点で大きな利点を提供する。
【0003】
例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公報第102006001429号に記載される、eWLB(Embedded Wafer Level BGA Technology:組込み型ウェハレベルBGA技術)がパッケージバリエーションの1つである。
【0004】
いわゆるフリップチップ構造部材として又はWLP(Wafer Level Package:ウェハレベルパッケージ)構造部材として公知になっている半導体構造部材は、そのフリップチップコンタクトによってむき出しの半導体チップとして、上位の回路基板に被着されているか、又は上位の回路基板への被着前に薄型のポリマ保護層で覆われる。
【0005】
複数の種々異なるチップの場合にはeWLB法において、1つの支持体におけるチップの並列に配置した実装が行われる。上記アセンブリにより、側方の大きなスペース需要が生じる。したがって、少なくとも個々のチップを重ねて積層し、これらのチップをスルーコンタクトによって互いに接続する必要性がある。
【0006】
発明の開示
本発明の対象は、マイクロ又はナノパターニングされた少なくとも1つの構造エレメントを有する構造部材の製造方法であって、
a)接触接続用に設けられている少なくとも1つの領域を備えた、マイクロ又はナノパターニングされた少なくとも1つの構造エレメントを支持体に被着し、この構造エレメントの接触接続用に設けられている少なくとも1つの領域が支持体に隣接するように、構造エレメントを支持体に被着し、
b)封止材料でもって構造エレメントを封止する、特に部分的に又は完全に封止し、
c)支持体から、特に方法ステップb)における構造エレメント・封止材料複合体を剥離し、
d)導電性の領域を有する第1の部分層を、構造エレメント・封止材料複合体の、支持体に先に隣接していた面に被着し、
e)封止材料を貫通して少なくとも1つのスルーホールを加工し、
f)導体層をスルーホールの表面、及び少なくとも導電性の領域を有する第1の層の一部分に、導体層が、接触接続用に設けられている領域に電気的に接触接続しているように被着する、
ステップを有する。
【0007】
本発明の思想におけるマイクロ又はナノパターニングされた構造エレメントは、特に≧1nm〜≦200μmの範囲における内部のパターン寸法を備えた構造エレメントであってよい。内部のパターン寸法とは、例えばストラット、ウェブ又は導体路といった構造エレメントの内側のパターンの寸法と理解できる。マイクロ又はナノパターニングされた構造エレメントは、例えばマイクロ又はナノパターニングされた他の構造エレメントを備えた構造エレメントの電気的な接触接続のために設けられている領域若しくは面を有していてよい。このような領域は、能動面、接続パッド又は(接続)コンタクトと称呼することもできる。上記マイクロ又はナノパターニングされた構造エレメントは、とりわけ集積回路、センサ素子、受動的な構造エレメント、セラミック製のコンデンサ、抵抗又はアクチュエータを有していてよい。
【0008】
「導体層」とは、本発明の思想においては、特に導電性の材料から成る層と理解することができる。例えば導体層は、金属、金属混合物若しくは導電性のポリマ又はこれらの層配列から形成されていてよい。例えば導体層は、少なくとも1種の材料を含んでいてよく、この材料は、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、プラチナ、クロム、シリコン、チタン、窒化チタン、導電性ポリマから成る群、並びにこれら、特に銅、ニッケル、金及び/又はパラジウムの混合物及び層配列から選択されている。
【0009】
本発明に係る方法の枠組みにおいて、方法ステップe)は、方法ステップc)又はd)より前、方法ステップc)又はd)より後、又は方法ステップc)又はd)と同時に行うことができる。
【0010】
本発明に係る方法により、有利な構造部材を製造することができ、これらの構造部材は、ウェハモールドと関係においてパッケージオンパッケージ(PoP)技術、及び例えば薄膜技術及び/又はRCC(Resin-Coated-Copper:樹脂付き銅箔)技術といった配線技術(Umverdrahtungstechnologie)に基づく。これによりもたらされる構造部材(モジュールとも称呼)は、小型化されかつ廉価なパッケージを有する。例えば電気メッキによる金属析出法といった湿式化学法により、スルーホールの表面に導体層を提供することにより、好ましくはスルーコンタクトを形成することができる。同様に、予め露出されている、構造エレメントの接触接続のために設けられている領域に導体層を被着することにより、構造エレメントは、好ましくは電気的に接触接続され得る。さらに、導体層の被着時に、好ましくは同時に伝導性の領域を有する層の内部における伝導性の領域を、スルーコンタクト及び/又は構造エレメントに電気的に接続することができる。
【0011】
方法ステップa)の枠組みにおいて、構造エレメントの接触接続のために設けられている領域も、構造エレメントの他の部分領域も同様に、支持体の一方の面に接触接続することができる。構造エレメントの被着は、自動的な実装機械によって実施することができる。付加的には、構造エレメントの被着は、支持体及び/又は構造エレメントの加熱により容易に行うことができる。
【0012】
支持体の材料は、例えばセラミックス、金属又は高温で溶融するプラスチックから成る群から選択されていてよい。支持体は、上記方法において、バッチ技術用のベースとして使用することができる。
【0013】
支持体は、支持体に有利な配置において被着されたマイクロ又はナノパターニングされた構造エレメントを固定するために、被着された結合層を有していてよい。結合層は、例えば支持体の一方の面に均一に提供されていてよい。使用される結合層は、最高で200℃までの破壊されない温度安定性を有していてよい。この構成において、結合層は、接着シート及び/又はラミネートシートを有することが可能である。これに対して択一的には、結合層を支持体にスピンコートにより構成することができるか、又はスプレーラッカにより提供することができる。
【0014】
方法ステップb)の枠組みにおいて、封止材料は、構造エレメント、場合によってはこの構造エレメントに隣接する支持体の部分領域を覆うことができる。特に、構造エレメントを封止材料でもって封止することにより、少なくとも1つの構造エレメント、例えば2つ又は2つより多い構造エレメント、及び封止材料から成る複合体を獲得することができる。この複合体は、本発明の枠組みにおいては、構造エレメント・封止材料複合体と称呼される。好ましくは、構造エレメントは、この構造エレメントが封止材料から成る層に組み込まれるように、封止材料によって封止される。好ましくは、この構成において封止材料層は、最大の構造エレメントの構成高さと同じ大きさであるか又はこの構成高さよりも大きい層厚さを有する。最大の構造エレメントの構成高さよりも大きな層厚さを有する封止材料により、構造エレメントが、構造エレメント・封止材料複合体から突出しないことを保証することができる。またこの構成は、構造エレメント・封止材料複合体が良好に積重ね可能である、という利点を有する。別の択一的な構成において、構造エレメントは、この構造エレメントの、支持体とは反対側の面が、封止後に露出しているように、封止材料に組み込むことができる。
【0015】
本発明の枠組みにおいて、「封止」は、モールド成形(Umspritzen)、トランスファ成形(Spritzpressen)、ポッティング成形(Vergiessen)、加圧成形(Spritzgiessen)、ラミネート(Laminieren)の方法、若しくはドイツ語圏においても英語の専門用語で使用されるモールド(Molding)、トランスファモールド(Transfer Molding)、ポッティング(Potting)、インジェクションモールド(injection Molding)、シートモールド(Sheet Molding)、圧縮モールド(Compression Molding)、液状モールド(Liquid Molding)と称呼される方法、並びにこれらの組合せの方法により実施することができる。封止は、少なくとも部分的な封止を含んでいてもよく、この構成において、例えば構造エレメントの一面が、封止材料から露出されたままである。
【0016】
封止材料は、封止用コンパウンド、プラスチックハウジング材料、成形用コンパウンド構成要素、ポッティング封止材料、トランスファモールド材料、封止材料、モールド封止材料及び/又は圧縮材料とも称呼できる。封止材料は、エポキシ樹脂、ポリアクリレート、ポリオキシメチレン及び/又はシリコンから成る群から選択された少なくとも1つの構成要素を有していてよい。さらに、封止材料は、充填材を含んでいてよい。こうして、封止材料の材料特性を、好ましく調節することができる。好ましくは使用される封止材料は、可能な限り小さな導電性を有しているか、若しくは電気的に絶縁性である。
【0017】
さらに、封止材料は、特に低い熱伝導係数、例えば≦2.0Wm−1−1の熱伝導係数を有していてよい。さらに封止材料は、硬化工程時に小さな収縮しか有していなくてよい。特に封止材料は均質であってよい。さらに、例えばシリコンから成る封止材料は、封止された構造エレメントと同様の温度膨張係数を有することができる。この構成においては特にほぼ、封止材料及び構造エレメントの温度膨張係数が、係数10以下だけ異なっているということを意味することができる。同様に封止材料は、特に高い弾性モジュール及び/又は例えば≧120℃の高いガラス転移温度を有していてよい。
【0018】
封止材料による封止に続いて、獲得されたアセンブリを加熱することができる。獲得されたアセンブリとは、この構成においては、例えば先の方法ステップにおいて得られた封止された構造エレメント及び封止材料であると理解することができる。例えばこの構成において、アセンブリは、支持体からの剥離前又は剥離後に完全に硬化することができる。特にアセンブリは、支持体からの剥離後に加熱することができる。このステップは、ポストモールドキュア(PMC)ステップとも称呼される。PMCステップは、封止材料の硬化及び最終架橋(Endvernetzung)を達成するために、本発明内において利用することができる。
【0019】
方法ステップc)の枠組みにおいて、構造エレメント・封止材料複合体若しくは構造エレメントを備えた封止材料は、好ましくはユニットとして支持体から剥離される。
【0020】
方法ステップd)は、1つの方法ステップも、また複数の方法ステップも有することができる。導電性の領域を有する層は、例えば少なくとも1つの導電性の部分層と、少なくとも1つの電気的に絶縁性の部分層とを有していてよい。特に、方法ステップd)において、導電性の領域を有する層は、電気的に絶縁性の部分層が複合体寄りにあり、かつ/又は、導電性の部分層が複合体とは反対側にあるように被着することができる。導電性の部分層及び電気的に絶縁性の部分層の他に、導電性の領域を有する層は他の層を有していてよい。この構成において、一方の部分層の材料は、他方の部分層の材料内に部分的に又は完全に埋め込まれていてよい。特に導電性の領域を有する層は、パターニングされた導電性の部分層を有することができる。例えば導電性の部分層は、導体路、場合によって合わせマークを、特に構造エレメントの位置決めのために有しているようにパターニングされていてよい。例えば導電性の領域を有する層は、電気的に絶縁性の2つの部分層、及びこれらの部分層の間に配置されている、パターニングされた導電性の部分層を有することができる。
【0021】
導電性の領域を有する層の導電性の部分層は、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、プラチナ、クロム、チタン、窒化チタン、導電性のポリマから成る群、並びにこれらの、特に銅、ニッケル、金及び/又はパラジウムの混合物、合金及び層配列から選択されている、特に少なくとも1種の材料を有することができる。上記材料は、それらの良伝導性及び良好なパターニング可能性の他に、運転時に発生する熱を良好に排出することができる高い熱伝導係数を有することができる。
【0022】
導電性の領域を有する層は、この構成において、構造エレメント・封止材料複合体の、支持体に先に隣接していた面よりも小さいか又は同じ大きさの面を有することができる。特に導電性の領域を有する層、及び構造エレメント・封止材料複合体の、先に支持体に隣接していた面は、互いに部分的に又は完全に、特に全面的に接触接続することができる。こうして構造エレメントは、良好に積層することができる。さらにこの構成において、場合によってはクリーンルーム条件を省くことができる。
【0023】
例えば導電性の領域を有する層を、薄膜技術により、例えば2つ又は2つより多いステップにおいて提供することができる。例えばまず、電気的に絶縁性の部分層を提供することができる。この絶縁性の部分層は、パターニングされていてもよく、また平面状であってもよい。次いで、導電性の部分層を、電気的に絶縁性の部分層に提供することができる。この導電性の部分層は、同様にパターニングされているか、又は平面状であってよい。部分層は、例えば切り抜くことによりパターニングして提供することができる。しかしまた同様に、被着後に切抜き部を加工し、部分層にこうしてパターニングすることも可能である。切抜き部は、他の、例えば導電性の又は電気的に絶縁性の、特に導電性の部分層の提供時に、また他の部分層の材料、例えば他の部分層の導電性又は絶縁性の材料でもって充填することができる。特に、導電性の領域を有する第1の層は、少なくとも1つの導電性の部分層と、少なくとも1つの電気的に絶縁性の部分層とを有することができる。例えば導電性の領域を有する第1の層を構造エレメント・封止材料複合体に、電気的に絶縁性の部分層が、複合体寄りに提供することができる。この構成において、方法ステップf)における導体層の提供は、導体層が、構造エレメントの接触接続のために設けられている領域に、導電性の領域を有する層の導電性の部分層を介して間接的に電気的に接触接続しているように実施することができる。
【0024】
上記構成に対して択一的には、導電性の領域を有する層を、特にRCC技術により、例えば一方法ステップにおいて提供することができる。この構成において、電気的に絶縁性の部分層は、複合体寄りにあってよい。RCC層は、次いでエッチング法及び/又はレーザ法を介して、例えば1つ又は複数の切欠きの加工により、パターニングすることができる。特に導電性の領域を有する層、特にRCC層は、方法ステップd)と方法ステップf)との間における方法ステップにおける方法ステップにおいて、少なくとも1つの切欠きを、構造エレメントの接触接続するために設けられている少なくとも1つの領域が露出するように加工することができる。この構成において、導体層は、スルーホールの表面、導電性の領域を有する層の一部分と、予め露出させられている、構造エレメントの接触接続するために設けられている領域とに被着することができる。特に、RCC層の事例においては、方法ステップf)において導体層の提供が、導体層が、接触接続するために設けられている領域に直接的に電気的に接触接続するように実施することができる。
【0025】
方法ステップe)において、スルーホールの加工は、フォトリソグラフィ法、メカニカルドリリング及び/又はレーザ法により実施することができる。この構成において、切欠きは、少なくとも1つの導電性の部分層及び/又は少なくとも1つの電気的に絶縁性の部分層を通じていてよい。方法ステップe)において、好ましくは一個所若しくは後の方法ステップにおいて個別化が実施される複数の個所に形成される。例えばスルーホールは、封止材料及び導電性の領域を有する層を貫通して加工することができる。特にスルーホールは、導電性の領域を有する第1の層が被着されている複合体の側面から、複合体の反対側にある面に向かって延びているように加工することができる。スルーホールは、方法ステップf)において提供された導体層と一緒になって、スルーコンタクトを形成することができるので、この構成は、個別化の際にスルーコンタクトを完全に分割する、例えば二分割又は四分割され、複数のスルーコンタクトがもたらされる、という利点を有する。したがって好ましくは構造部材の側面積(フットプリント)も、製造に係る手間も減じることができる。個別化の際に完全に分割されるスルーコンタクトの他の利点は、上記個所における構造部材の簡単な接触接続、及び最適な、例えば自動化して品質管理することができるということにあってよい。さらに、TMVs(Through-Mold Vias:モールドスルービア)とも称呼することができるスルーコンタクトは、先行技術において公知のブラインド・ビアよりも高いアスペクト比を有することができる。
【0026】
好ましくは、方法ステップf)において提供された導体層の材料は、導電性の領域を有する層の導電性の部分層の材料に相当する。スルーホールの表面に導体層を被着することにより、上述したように、スルーコンタクトを製造することができる。この構成において、一方では、スルーホールが貫通したままでありかつスリーブ状の導体層がスルーホール内に形成されるように、スルーホールの表面に導体層が設けられることにより、スルーコンタクトを形成することができる。他方では、導体層がスルーホールを完全に埋めるように、スルーホールの表面に導体層が設けられることにより、スルーコンタクトを形成することができる。スリーブ状の構成の場合、好ましくは導体材料における材料消費を減じることができ、ひいてはコスト低減を達成することができる。
【0027】
本発明に係る方法の別の構成の枠組みにおいて、方法ステップd)においては、先に支持体に隣接していた面に相対している、構造エレメント・封止材料複合体の面に、導電性の領域を有する第2の層が被着される。この構成に関する説明は、導電性の領域を有する第1の層との関係における説明と同様に行うことができるので、この構成については当該説明に明示的に示してある。したがって、導電性の領域を有する第2の層は、少なくとも1つの導電性の部分層と、少なくとも1つの電気的に絶縁性の部分層とを有することもできる、並びに/又は電気的に絶縁性の部分層が複合体寄りにかつ/若しくは導電性の部分層が複合体とは反対を向いているように、第2の層を提供することもできる。特に方法ステップf)において、導体層を付加的に、導電性の領域を有する第2の層の少なくとも一部分に被着することができる。こうして、製造される構造部材に、この構造部材の上に配置されている他の構造部材との電気的な接触接続を行うことができる面を設けることができる。
【0028】
本発明に係る方法のさらに別の枠組みにおいて、方法はさらに、導体層を、必要に応じて導電性の領域を有する第1及び/又は第2の層の導電性の部分層から部分的に剥離することによる導体路パターニングのステップg)を有する。この構成において、導体路パターニングは、例えばフォトリソグラフィ法により行うことができる。この構成において、導電性の領域を有する導電性の層の導電性の部分層は、導電性の領域を有する層の一部分又は複数部分において、電気的に絶縁性の部分層だけが残るように、部分的に(側方に)剥離することができる。好ましくは、以前スルーホールであった領域における導体層は剥離されない。
【0029】
本発明に係る方法のさらに別の構成において、方法は、方法ステップg)の導体路パターニングされた層上及び/又は層の間に、絶縁層を提供するステップh)を有する。この構成において、絶縁層は既に予めパターニングされていてよいか、又は提供後にパターニングされてよい。例えば絶縁層は、少なくとも部分的に又は完全に、先に剥離された領域に被着することができる。特に絶縁層は、剥離されていない導体層、並びに/又は導電性の領域を有する層の導電性の部分層及び/若しくは電気的に絶縁性の部分層の少なくとも一部分領域に接触接続することもできる。この構成において、複合体とは反対を向いている絶縁層の面は、複合体とは反対側を向いている導体層の面を超えることができる。例えば複合体とは反対を向いている絶縁層の面は、複合体とは反対側を向いている導体層の面を、≧5μm〜≦500μmだけ超えることができる。導体層を超えている絶縁層により、好ましくは、構造部材の上又下に積層されている他の構造部材に対しての、構造部材の絶縁を保証することができる。
【0030】
絶縁層の材料は、特に少なくともプラスチックを含んでいてよく、プラスチックは、ポリアミド、ベンゾシクロブテン(BCB)、例えばWPRといった高感光性エポキシ樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、シリコンから成る群、及びこれらの組合せから選択されている。
【0031】
絶縁層は、例えば絶縁層が、以前のスルーホールに対して隣接している、切り抜かれた部分を有し、導電性の領域を有する層に被着された導体層が露出しているように、パターニングされていてよい。切り抜かれた部分に、好ましくはコンタクトボディ(バンプ)を位置決めすることができる。上記コンタクトボディによって、好ましくは構造部材を電気的に接触接続することができる。
【0032】
さらに別の構成の枠組みにおいて、方法は、少なくとも1つの分割平面が、少なくとも1つのスルーホールを通じて延在しているように、合成されたアセンブリを個別化するというステップi)をさらに有する。特に、このステップi)における個別化は、少なくとも1つの分割平面が、少なくとも1つのスルーホールを通って、かつこのスルーホールの貫通方向に対して平行に延びているように行うことができる。個別化は、鋸断装置又はレーザにより実施することができる。個別化とは、例えばこのステップ後に、接触接続可能であるか、若しくは他の構造部材に接触接続することができる個々のユニットが得られることと理解することができる。例えば、接触接続のために設けられた領域を備えた、マイクロ又はナノパターニングされた複数の構造エレメントを、支持体に被着することができる。構造エレメントは、この構造エレメントの、少なくとも夫々接触接続のたに設けられている領域が、支持体に隣接するように支持体に被着できる。構造エレメントは、封止材料によって封止される。構造エレメントは夫々、所定の形態において、個々に又は構造部材群において、封止材料でもって封止することができる。個々の封止された構造エレメントの間又は構造エレメント群の間において、支持体の少なくとも一部分が、封止材料によって覆われていなくてよい。別の形態において、全ての構造エレメントは、封止材料によって均等に封止することができる。その後、複数の構造エレメント・封止材料複合体若しくは1つの構造エレメント・封止材料複合体は、支持体から剥離でき、導電性の領域を有する第1の層を、複数の構造エレメント・封止材料複合体若しくは単数の構造エレメント・封止材料複合体の、先に支持体に隣接していた面に、被着することができる。例えば、導電性の領域を有する第1の層は、少なくとも1つの導電性の部分層と、少なくとも1つの電気的に絶縁性の部分層とを有することができ、例えば、電気的に絶縁性の部分層を複合体寄りに被着することができる。次いで、少なくとも1つの切欠きを、導電性の領域を有する第1の層に、構造エレメントの接触接続のために設けられている少なくとも1つの領域が露出するように加工することができる。その後、少なくとも1つのスルーホールの加工は、封止材料を貫通して行うことができ、スルーホールの表面、導電性の領域を有する層の表面、及び構造エレメントの接触接続するために設けられている、かつて露出されていた領域への導体層の被着を行うことができる。例えば、複数のスルーホールが設けられている場合、個別化は、個別化後にスルーホールが夫々、破断部分になるように、例えば半分になるように、個別化された構造部材に沿って存在するように実施することができる。したがって、分割された、例えば半分にされたスルーホールは、複数の構造部材のためのスルーコンタクトとして使用することができる。これにより、好ましくは複数の構造部材を同時に多面取りプリントパネル(Vielfachnutzen)として製造することが可能である。したがって、好ましくは一連のプロセスを短縮することができ、材料消費を減じることができる。
【0033】
個別化i)の前に、マイクロ又はナノパターニングされた他の構造エレメントを封止材料に被着することが可能である。このマイクロ又はナノパターニングされた他の構造エレメントは、例えばワイヤコンタクト(ワイヤボンド)により、方法ステップa)〜h)において製造されたアセンブリに電気的に接触接続することができる。例えば、封止材料に被着された他の構造エレメントは、ワイヤコンタクトにより、構造部材、特に構造部材の導体層に、電気的に接続することができる。これに封止材料での他の封止が続くことができるので、他のマイクロ又はナノパターニングされた構造エレメント、及びそのワイヤコンタクトは封止材料によって封止されている。さらに別の構成において、他の構造エレメントを上記複合体に重ね、上記方法ステップを繰り返すことが可能である。次いで構造部材システムを個別化することができる。
【0034】
特に、2つ又はそれより多い、例えば本発明に係る構造部材から成る構造部材システムを製造するために本発明に係る方法が適している。この構成において、例えば第1の構造部材は、他の構造部材に重ねることができる。この構成において、例えば第2の構造部材を、第1の構造部材の上面に配置することができるか、又は被着することができる。この構成において、第2の構造部材は、コンタクトボディ(バンプ)を介して、第1の構造部材の導体層に電気的に接触接続する。この構成において、第2の構造部材のコンタクトボディは、スルーコンタクト(先のスルーホール)の領域における導体層部分にも、導電性の領域を有する層の領域における導体層部分にも配置されていてよい。したがって、第2の構造部材は、好ましくはスルーホール及び導体層により形成されたスルーコンタクトを介して、第1の構造部材を通じて電気的に接触接続することができる。第2の構造部材は、同様に本発明に係る方法により製造することができる。
【0035】
第1の構造部材と第2の構造部材との間における間隔は、例えば≧10μm〜≦250μmの範囲における値、特に≧20μm〜≦100μmの範囲における値を有することができる。好ましくは、これにより低い構造高さを備えた構造部材パッケージを実現することができる。
【0036】
これで他の利点及び特徴に関して、本発明に係る構造部材の枠内及び図示の記載の枠内で説明した特徴及び利点が明確に示された。
【0037】
本発明の別の対象は、封止材料層及びマイクロ又はナノパターニングされた少なくとも1つの構造エレメントから成る、構造エレメント・封止材料複合体を有する構造部材、特に電気機械的な構造部材に関する。この構成において、構造エレメントの接触接続のために設けられている領域は、複合体の第1の側面の一部分を形成する。この構成において特に、構造エレメントは、この構造エレメントの接触接続のために設けられている少なくとも1つの領域が、複合体の第1の側面の一部分を形成するように、封止材料層内に統合されていてよい。
【0038】
さらに構造部材は、導電性の領域を有する第1の層を有し、この構成において、導電性の領域を有する層は、複合体の第1の側面に接続されている。この構成において、例えば導電性の領域を有する層は、少なくとも1つの導電性の部分層と、少なくとも1つの電気的に絶縁性の部分層とを有していてよい。この構成において、導電性の領域を有する層は、電気的に絶縁性の部分層を介して、複合体の第1の側面に接続されていてよい。
【0039】
さらに導電性の領域を有する第1の層の少なくとも一部分と、複合体の第1の側面に隣接する第2の側面の一部分、又は第1の側面から、複合体の第1の側面に相対している第3の側面に向かって延びている封止材料層穴の表面を覆う導体層を構造部材は有する。この構成において、導体層は、構造エレメントの接触接続のために設けられている領域に、直接的に又は導電性の領域を有する層、特に導電性の部分層を介して間接的に電気的に接触接続している。
【0040】
導電性の領域を有する第1の層は、例えば少なくとも1つの導電性の部分層と、少なくとも1つの電気的に絶縁性の部分層とを有していてよい。この構成において、導電性の領域を有する層は、電気的に絶縁性の部分層を介して複合体の第1の側面に接続されていてよい。この構成において、導電性の領域を有する層は、さらに構造エレメントの接触接続のために設けられている領域の部分において切り抜かれていてよい。この切抜き部は、導電性の部分層及び/又は電気的に絶縁性の部分層を貫くことができる。
【0041】
導体層は、少なくとも特に構造エレメントの接触接続のために設けられている領域と、導電性の領域を有する第1の層の、構造エレメントの接触接続のために設けられている領域に隣接する部分と、導電性の領域を有する層の上記部分に隣接する、複合体の第2の側面、又は導電性の領域を有する層の上記部分に隣接する封止材料層穴の表面を覆う。この封止材料層穴は、複合体の第1の側面から、複合体の第1の側面に相対する第3の側面に向かって延びている。導体層が、封止材料層穴の表面を覆うことにより、好ましくはスルーコンタクトを形成することができる。
【0042】
これと同時に、導体層が、構造エレメントの接触接続するために設けられている領域を覆うことにより、構造エレメントが、好ましくは電気的に接触接続できる。さらに、導体層が、導電性の領域を有する第1の層を部分的に覆うことにより、好ましくは同時に、伝導性の領域を有する層の内側の伝導性の領域を、スルーコンタクト及び/又は構造エレメントに電気的に接続することができる。したがって、好ましくは複数の構造部材の積層及び接触接続、ひいてはコンパクト化された構造エレメント・パッケージの形成を達成することができる。
【0043】
構造部材は、特に図5bに示したように、上下に積層された構造エレメントを有していてよい。例えば図5bと類似の、上下に積層された2つの構造部材から成るアセンブリは、まず第1の構造エレメントが封止材料によって封止され、次いで複合体に本発明に係る導体層が設けられ、その後、第2の構造エレメントが、封止材料又は支持層に被着され、導体層に接触接続され、かつ導体層に接触接続され、続いて第2の構造エレメントが封止材料でもって封止されることにより製造することができる。導体層との接触接続は、例えばワイヤボンド又は接続体により行うことができる。
【0044】
さらに別の構成の枠組みにおいて、構造部材は、導電性の領域を有する第2の層を有する。この構成において、導電性の領域を有する第2の層は、複合体の第3の側面に接続されている。この構成において、導体層はさらに、複合体の第2の側面に、又は封止材料層穴に隣接する、導電性の領域を有する第2の層の部分を覆う。この構成において、導電性の領域を有する第2の層は、第1の層と同様に、少なくとも1つの導電性の部分層と、少なくとも1つの電気的に絶縁性の部分層とを有することができる。場合によっては、導体層は、導電性の領域を有する第2の層の電気的に絶縁性の部分層を覆うことができる。さらに、例えば導電性の領域を有する第2の層の導電性の部分層は、部分的に切り抜かれていてよい。好ましくはこれにより複合体の第2の側面に他のパターニングを行うことができる。
【0045】
さらに別の構成の枠組みにおいて、本発明に係る構造部材の導体層は、導電性の領域を有する第1及び/又は第2の層の領域に、少なくとも1つの導体路パターニングする切抜き部を有する。好ましくは、切抜き部の適切な配置により、導体路を形成することができる。
【0046】
本発明に係る構造部材のさらに別の構成の枠組みにおいて、導電性の領域を有する第1及び/又は第2の層は、少なくとも1つの導体路パターニングする切抜き部を有する。特に、第1及び/又は第2の導電性の層の導電性の部分層は、導体路パターニングする切抜き部を有することができる。好ましくは上記切抜き部を、導体路パターンニングのために使用することができる。
【0047】
さらに別の構成の枠組みにおいて、構造部材は絶縁層を有する。好ましくは、絶縁層が、導体層並びに/又は導電性の領域を有する第1及び/若しくは第2の層における、導体路パターニングする切抜き部を充填する。場合によっては、絶縁層は、導体路パターニングする切抜き部に隣接する導体層部分を覆うことができる。
【0048】
好ましくは、絶縁層は導体層を、例えば≧5μm〜≦500μmだけ超えている。こうして絶縁層は、上下に積層されている2つの構造部材からの絶縁のために付加的に働くことができる。
【0049】
好ましくは、導体層の領域における絶縁層はさらに、コンタクトボディの収容及び/又はろう接個所の形成のための少なくとも1つの切抜き部を有する。したがって絶縁層は、付加的にはろう接止めとして働くことができる。例えば、コンタクトボディの収容及び/又はろう接個所の形成のための切抜き部は、封止材料層穴に隣り合って形成されていてよい。
【0050】
特に、構造部材は、外部から絶縁層における切抜き部を抜けて延びていて、導体層に、特に電気的にかつ機械的に接続されているコンタクトボディを有することができる。コンタクトボディとは、例えば、接点、接続パッド、はんだバンプ、はんだボール又ははんだ個所と解すことができる。
【0051】
さらに別の構成の枠組みにおいて、封止材料層穴の領域おける導体層は、スリーブ状に形成されている。好ましくは、スリーブ状の態様は、材料消費の低減に繋がり、これにより構造部材のコストダウンに繋がる。
【0052】
さらに別の構成の枠組みにおいて、封止材料層穴は、導体層の材料によって充填されている。
【0053】
したがってさらなる利点及び特徴に関しては、本発明に係る方法及び図面の枠組みにおいて説明された特徴及び利点にはっきりと示されている。
【0054】
本発明の他の対象は、構造部材システムに関する。構造部材システムは、少なくとも1つの本発明に係る第1の構造部材、又は本発明に係る方法により製造された第1の構造部材、及び接触接続するために設けられた少なくとも1つの領域を備えた少なくとも1つの第2の構造部材を有し、特にこの構成において、第2の構造部材の接触接続するために設けられた領域は、第1の構造部材の導体層に(直接的又は間接的に)電気的に接触接続している。例えば接触接続するために設けられている第2の領域は、第1の構造部材の導体層に、コンタクトボディを介して間接的に電気的に接触接続することができる。特に、第2の構造部材が、2つの構造部材のアセンブリにおいて、スルーコンタクトを有する必要はない。第2の構造部材がスルーコンタクトを有する場合には、他の第3の構造部材は、第2の構造部材に、上記スルーコンタクトを介して接触接続することができる。
【0055】
構造部材システムの別の構成の枠組みにおいて、第2の構造部材の接触接続のために設けられている領域は、第1の構造部材の導体層に、複合体の第3及び/又は第2の側面において電気的に接触接続している。これにより、簡単な接触接続が可能になる。さらに、このことはパッケージオンパッケージ複合体における側方及び/又は鉛直方向のスペース需要を最適化することを可能にする。
【0056】
例えば第2の構造部材の接触接続するために設けられている領域は、第1の構造部材の導体層に、封止材料層穴若しくはスルーコンタクトの領域において電気的に接触接続することができる。例えば、第2の構造部材の接触接続するために設けられている領域は、第1の構造部材の導体層に、封止材料層穴若しくはスルーコンタクトの領域において、コンタクトボディを介して電気的に接触接続することができる。特にコンタクトボディは、封止材料層穴若しくはスルーコンタクト上に位置決めされていてよい。しかしまた同様に、コンタクトボディは、第1の構造部材の導体層の、封止材料層穴若しくはスルーコンタクトに対して隣接している及び/又は離れている領域に位置決めされていることも可能である。
【0057】
特に構造部材システムは、上下に重なって積層されている及び/又は相並んで配置されている本発明に係る少なくとも2つの構造部材を有することができる。この構成において、積層された構造部材の側方の寸法は種々異なっていてよい。構造部材の接触接続は、一方の構造部材からスルーコンタクトを介して、他方の構造部材へと行うことができる。好ましくは、構造部材にある構造エレメントの接触接続は、接触接続のために設けられている複数の領域により行うことができる。これらの領域は、導電性の領域を有する層を介して、特に電気的にスルーコンタクトに接続されている。上記接触接続アセンブリにより、好ましくは種々異なる構造部材から成る種々異なる構造エレメントが、互いに接触接続することができる。
【0058】
例えば構造部材又は構造部材システムは、センサ又は多機能型センサモジュールであってよい。この多機能型センサモジュールは、圧力センサ、加速度センサ、温度センサ、ヨーレートセンサ、質量流センサ、磁石センサ、ガスセンサ、ホールセンサ、湿度センサから成る群、及びこれらの組合せから選択されている。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1図1a〜1eは、本発明に係る方法のバリエーションを可視化した概略的な断面図である。
図2図2a,2bは、本発明に係る方法の別のバリエーションを可視化した概略的な断面図である。
図3】本発明に係る構造部材システムの実施の形態を示す概略的な断面図である。
図4】本発明に係る構造部材システムの別の実施の形態を示す概略的な断面図である。
図5図5a,5bは、本発明に係る方法のさらに別のバリーションを可視化した概略的な断面図である。
図6】本発明に係る方法のさらに別のバリエーションを可視化した概略的な平面図である。
【0060】
本発明に係る対象のさらなる利点及び有利な実施の形態を、図面により可視化し、以下の記載において説明する。この場合、図面は単に特徴を記載しているだけであり、発明を何かしらの形式において限定するためには考慮され得ない、ということに注意されたい。
【0061】
図1a〜1eは、本発明に係る方法の実施の形態を示す。
【0062】
図1aは、接触接続のために設けられている2つの領域2が夫々、支持体3に隣接しているように、マイクロ又はナノパターニングされた第1の構造エレメント1及び第2の構造エレメント1′が、支持体3に被着されている状態を示す。この実施の形態において、マイクロ又はナノパターニングされた構造エレメント1,1′は、相並んで配置されていて、互いに直接的には接触接続されていない。
【0063】
図1bは、構造エレメント1,1′が、封止材料4でもって、構造エレメント・封止材料複合体5を形成するように封止されて、支持体(図示せず)から剥離された状態を示す。図1bは、マイクロ又はナノパターニングされた構造エレメント1,1′の下側の面が、複合体5の下面と一平面において位置していることを示す。
【0064】
図1cは、複合体5の下面にも複合体の上面にも夫々、導電性の領域を有する層6が被着された状態を示す。この実施の形態において、層は2つの部分層6a,6bを有する。これらの部分層6aは電気的に絶縁性であり、複合体5に接触接続している。部分層6bは導電性であり、導電性の領域を有する層6の複合体5とは反対側に位置する。例えば導電性の部分層6bは、金属から形成されていてよい。
【0065】
図1dは、2つのスルーホール7が、封止材料4及び導電性の領域を有する層6を通り抜けて加工されている状態を図示している。スルーホール7は、複合体5の第1の側面、つまり下面から、複合体5の第3の側面、つまり上面に延びている。スルーホール7は、本発明の枠組みにおいて、封止材料層穴7とも称呼される。
【0066】
さらに図1dは、4つの切欠き9が、導電性の領域を有する第1の層6に、構造エレメント1の接触接続のために設けられている領域2が露出されるように加工された状態を図示する。したがって切欠き9により、構造エレメント1,1′の接触接続のために設けられている領域2へのアクセスがもたらされる。
【0067】
図1eは、スルーホール7の表面、導電性の領域を有する層6の表面、及び先に露出された、構造エレメント1の接触接続のために設けられている領域2に、導体層8が被着された状態を示す。この実施の形態においては、封止材料層穴7の領域に、スリーブ状のスルーコンタクトが形成される。
【0068】
図2aは、導体層8の一部分及び導電性の部分層6bの一部分が、導体路パターニングする切抜き部を形成しつつ除去された後に、絶縁層10が被着された状態を示す。この実施の形態において、絶縁層10を、導体層8並びに導電性の領域を有する第1及び第2の層6におけるパターニングする切抜き部に充填する。同様に、絶縁層10は、導体路パターニングする切抜き部に隣接している導体層部分8を覆う。さらに、絶縁層10は導体層8を超えている。この実施の形態において、絶縁層10、及び導電性の領域を有する層6の電気的に絶縁性の層6aは、同じ材料から形成されている。さらに、この実施の形態において、導体路層8及び導電性の領域を有する層6の導電性の部分層6bは、同じ材料から形成されている。さらに、図2aは、絶縁層10が導体層8の領域において、接続体の収容若しくはろう接個所の形成のために2つの切抜き部11を有していることを示す。
【0069】
図2bは、外部から絶縁層10における切抜き部11を貫通して延びていて、導体路層8に電気的にかつ機械的に接続されている接続体12を示す。
【0070】
図3は、第1の構造部材A及び第2の構造部材Bから成る本発明に係る構造部材システムの実施の形態を横断面図において概略的に示す。この実施の形態において、第2の構造部材Bは、第1の構造部材Aに接続体12を介して電気的に接触接続している。
【0071】
第1の構造部材Aは、この実施の形態において、完全に充填されている封止材料層穴7(スルーコンタクト)を有する。構造部材Aの第3の側面には、導電性の領域を有する層6、導体路層8及び絶縁層10は設けられていない。
【0072】
第2の構造部材Bは、同様に封止材料4でもって封止されたマイクロ又はナノパターニングされた2つの構造エレメント1,1′と、上記構造部材Bの下面に設けられている導電性の領域を有する部分層6a,6b、導体層8、絶縁層10、及び構造部材Aに接触接続する接続体12を有する。この接続体12は、特に夫々導体層8によって充填されている、第1の構造部材Aのスルーホール7(スルーコンタクト)を介して、構造部材Aの第3の側面に位置決めされている。
【0073】
図4に示した本発明に係る構造部材システムの実施の形態は、図3に示した実施の形態とは実質的に、構造部材Aの第3の側面が、絶縁層10を備えた、導体路パターニングされた層を有し、封止材料層穴7には、表面にだけ導体層8が設けられていて、封止材料層穴7は、導体層8でもって充填されていない点で相違している。構造部材Bは、その接続体12を介して、構造部材Aの第3の側面に設けられている構造部材Aの導体層8に接触接続する。
【0074】
図5aは、本発明に係る方法の別のバリエーションを可視化するための概略的な横断面図を示す。図5aは、本発明により製造された構造部材に、マイクロ又はナノパターニングされた他の構造エレメント1,1が被着され、構造部材の導体層8にワイヤ接続部13を介して電気接続された状態を示している。この実施の形態において、マイクロ又はナノパターニングされた他の構造エレメント1,1′は、支持体層14に配置されている。
【0075】
図5bは、構造エレメント1,1′を封止するために、及び構造エレメント・封止材料複合体5を形成するために、続いて封止材料4が新たに提供された状態を示す。同様に図5bは、付加的な接続体12を示す。鎖線は、後の個別化のための分離線を示す。
【0076】
図6は、本発明に係る方法のさらに別のバリエーションの可視化のための概略的な平面図である。鎖線は、個別化する際の分離線を示す。封止材料4及びその表面に導体層8を備えたスルーコンタクト7が看取できる。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2a
図2b
図3
図4
図5a
図5b
図6