特許第5714209号(P5714209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714209
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】組織治療を制御する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/00 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   A61B17/36 330
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2008-505434(P2008-505434)
(86)(22)【出願日】2006年4月4日
(65)【公表番号】特表2008-535568(P2008-535568A)
(43)【公表日】2008年9月4日
(86)【国際出願番号】US2006012441
(87)【国際公開番号】WO2006110388
(87)【国際公開日】20061019
【審査請求日】2009年4月3日
【審判番号】不服2013-8277(P2013-8277/J1)
【審判請求日】2013年5月7日
(31)【優先権主張番号】60/669,106
(32)【優先日】2005年4月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11/397,122
(32)【優先日】2006年4月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500332814
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】オストロフスキー アイザック
(72)【発明者】
【氏名】フェアネニー トイ
(72)【発明者】
【氏名】シュカート ビクター
【合議体】
【審判長】 高木 彰
【審判官】 山口 直
【審判官】 松下 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−178109(JP,A)
【文献】 特開平2−252449(JP,A)
【文献】 特開2004−130145(JP,A)
【文献】 特開平5−309099(JP,A)
【文献】 米国特許第4938217(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的組織を加熱する装置であって、
組織接触面を含むハウジングと、
前記ハウジング内に且つ配列面上に設けられた超音波振動子のアレイと、を含み、前記配列面は、前記超音波振動子からの超音波エネルギーを前記組織接触面から既定の深さのところの標的領域に集中させる形状を有し、
更に、前記ハウジングに取り付けられたデフレクター(deflector)部材を含み、前記デフレクター部材は、前記超音波エネルギーが前記標的領域に向かう途中に通過する選択された領域の中に延び、前記超音波エネルギーの選択された一部を屈折させ、前記アレイと、前記超音波エネルギーのレベルが既定の閾値水準を超えている領域の近位端部との間の隔離距離が、前記デフレクター部材が前記ハウジングに取り付けられていないときの屈折なしの前記隔離距離に対して変更されるように設計された、装置。
【請求項2】
前記デフレクター部材が、前記ハウジングに結合された近位端部から、前記配列面から既定の距離のところの遠位端部まで延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記配列面の中心に接する面に対して実質的に平行な面における前記デフレクター部材の外形により、前記超音波エネルギーレベルが前記既定の閾値水準未満である遮蔽領域を形成し、前記デフレクター部材が存在しないならば、前記遮蔽領域における超音波エネルギーレベルは、前記既定の閾値水準を超えることになる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記デフレクター部材の遠位端部が、その近位端部よりも幅広である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記デフレクター部材は、中心ステムから移行領域を通って徐々に外側に拡張し、実質的に円錐状の遠位端部を形成する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記デフレクター部材は、中心ステムから急に拡張し、実質的に円盤形の遠位端部を形成する、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記デフレクター部材の遠位端部は、前記超音波エネルギーが前記標的領域に向かう途中に通過する前記領域の実質的に中心に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記アレイは、円形の複数の前記超音波振動子を含み、円形の前記超音波振動子の直径は、1cmである、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記超音波振動子は、2.5MHzの周波数で振動する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記アレイは、少なくとも10の前記超音波振動子を含む、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記デフレクター部材の近位端部は、前記ハウジングに取り外し可能に結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記超音波振動子及び前記配列面は、前記デフレクター部材との相互作用を介してのみ、前記アレイと、前記超音波エネルギーのレベルが既定の閾値水準を超えている領域の近位端部との間の隔離距離が変化するように、前記ハウジングに対して固定される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記デフレクター部材は、前記ハウジングから取り外し可能であり、前記装置は、前記デフレクター部材が前記ハウジングに連結されているときに、前記アレイと、前記超音波エネルギーのレベルが既定の閾値水準を超えている領域の近位端部との間の第1の隔離距離を達成し、前記デフレクター部材が前記ハウジングから取り外されているときに、前記アレイと、前記超音波エネルギーのレベルが既定の閾値水準を超えている領域の近位端部との間の第2の隔離距離を達成するように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
標的組織を加熱する装置であって、
組織接触面を含むハウジングと、
前記ハウジング内に且つ配列面上に設けられた超音波振動子のアレイと、を含み、前記配列面は、前記超音波振動子からの超音波エネルギーを前記組織接触面から既定の深さのところの標的領域に集中させる形状を有し、
更に、ハウジングに選択的に取り付け可能なデフレクター(deflector)部材を含み、
前記デフレクター部材が前記ハウジングに取り付けられているとき、前記デフレクター部材は、生成した前記超音波エネルギーが前記標的領域に向かう途中に通過する領域の中に延び、前記超音波エネルギーの選択された一部を屈折させて、前記アレイと、前記超音波エネルギーのレベルが既定の閾値水準を超えている領域の近位端部との間の隔離距離が、前記デフレクター部材が前記ハウジングに取り付けられていないときの前記隔離距離に対して変更されるように設計された、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、“組織治療を制御する装置及び方法”という名称で2005年4月7日に出願の米国仮特許出願第60/669106号の利益を請求し、その開示内容全体は、参照することによって本願の内容に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、医療装置及び組織治療方法に関する。本発明は、一般に、標的組織にエネルギーを与える装置及び方法に関する。詳細には、本発明は、尿失禁、より詳細には緊張性尿失禁を経膣プローブで治療する装置及び方法を説明する。
【背景技術】
【0003】
腹圧性尿失禁(SUI)は、骨盤底を支持する組織が、膀胱頸部及び尿道、特に近位尿道をもはや十分に支持しない場合に発症する。かかる状態によって、膀胱は、尿道を押す。腹筋による圧力(例えば、笑い、くしゃみ、咳、対象物を持ち上げる運動又は力みといった上記の活動による)が、望ましくない尿の放出の原因となり得る。例えば、出産、肥満等に起因して骨盤底が緩んだ女性は、更に尿失禁に悩まされる。
【0004】
SUIの数種類の治療方法(投薬法から外科的介入に及ぶ)が利用可能である。SUIに関する最小限の観血的治療のうちの一つは、骨盤底の組織、特に、膣壁部の表面下に存在する骨盤内の筋膜(EPF)に放出する高周波(RF)エネルギーを利用する。RFエネルギーは、骨盤内の筋膜の組織を加熱し、組織のコラーゲンを変性させるため、筋膜を萎縮させる。筋膜が萎縮すると、膀胱及び尿道は骨盤内で更に正常な位置に戻り、失禁の症状が軽減される。組織を加熱するために、他の種類のエネルギー、例えば音響エネルギー、レーザーエネルギー、マイクロ波等を使用することができる。
【0005】
骨盤内の筋膜の治療処置では、標的組織を良好に加熱するために、患者の膣管内でエネルギー源を正確に配置する必要がある。更に一般的には、周囲の組織に対して治療効果を得るために、プローブ又は他の医療器具を体の内腔又は空腔に挿入する医療処置が多く存在する。これらの全ての処置において重要なのは、標的組織に対してプローブ又は他の医療装置を、直接可視化装置を用いずに正確に配置できることである。かかる課題は、空腔の形状又は内腔の開口部近位の格好の基準点がないため困難であると考えられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本発明は、ハウジングと、超音波振動子のアレイと、デフレクター部材を含む標的組織を加熱する装置に関する。ハウジングは、組織接触面を含む。超音波振動子のアレイは、超音波振動子からの超音波エネルギーが組織接触面から既定の深さの標的領域に集中するような形状の配列面上のハウジング内に設けられる。デフレクター部材は、生成した超音波エネルギーの一部が、標的領域に向かって通過する間の領域内の選択された位置に配置される。デフレクター部材は、超音波エネルギーの既定の一部を屈折させて、アレイと超音波エネルギーのレベルが既定の閾値水準を超える領域の近位端部とを隔離する距離を制御する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
更に本発明は、以下の説明及び添付の図面を参照することによって理解可能であり、同一の構成要素は、同一の参照番号で引用する。本発明は、体の内腔又は空腔の壁部に隣接する組織を治療し、内腔内で装置の位置を測定するために用いる医療装置に関する。更に詳細には、本発明は、骨盤内の筋膜を治療する場合に膣管に挿入される装置からなる、尿道との相対位置を測定するシステムに関する。
【0008】
多くの医療処置では、治療行為を行うために、患者の体の空腔又は内腔への医療用具の挿入に依存している。例えば、エネルギーを、プローブから人体の空腔又は内腔の周囲の組織に放出して、組織を加熱し、標的組織の部分を切除するか、或いは、他の目的に用いることが可能である。エネルギーは、ラジオ周波数エネルギー、マイクロ波エネルギー、レーザー光、音響エネルギーの形態又は他の適当な形態で放出してもよい。ほとんどの場合、エネルギーを正確な位置に放出して、所望の結果を得るように、内腔内のエネルギー放出プローブの位置を知る必要がある。例えば蛍光透視法を用いた直接可視化装置を用いてもよいが、装置の位置を測定する簡単かつ安価な方法が望ましいことが多い。
【0009】
エネルギーの標的放出によって解決され得る状態の例の一つは、腹圧性尿失禁(SUI)である。前膣壁及び尿道に隣接する骨盤内の筋膜の特性を変化させることによるSUIの治療は、骨盤内の筋膜を治療する組織の位置を正確に測定し、かかる位置に対して正確に治療することによって改善する。
【0010】
図1aに本発明による医療装置の例示的な実施形態を示す。かかる実施形態において、装置は、使用者による操作可能なハンドル部211と、人体の自然存在する開口部(例えば膣、口、肛門)又は人体の非自然存在する開口部(例えば切開、創傷)を介して体内に挿入可能な稼働プローブ212を含んでもよい。従って、医療処置の間、体内の組織に隣接又は実質的に隣接してプローブ212を配置することができる。
【0011】
プローブ212は、近位端部260から遠位端部261まで延在し、そこにプローブキャビティ259が形成される。プローブキャビティ259は、プローブ212を挿入して治療する生体構造に適合する大きさ及び/又は形状で形成されてもよい。プローブ212は、プローブキャビティ259を囲むケーシング218と、そこに配置される超音波素子219を含むことが好ましい。ケーシング218は、プローブ212を利用する生体構造に適合する所望の形状を有してもよい。一実施形態において、ケーシング218の形状は、エネルギーが超音波素子219から標的組織へ通過するケーシング218の外面の一部の形状が接触する組織表面に付着するように形成される(例えばケーシングの形状を組織形状に適合させるか、或いは、その逆に組織形状をケーシングの形状に適合させる)。すなわち、超音波素子219によって出射される超音波エネルギーは、超音波素子219と標的組織の間にエアギャップが存在しなければ、効率的に通過することができるため、介入する組織表面と直接接触することを容易に維持できることを確実にするような形状でケーシング218を形成してもよい。例えば、治療領域に応じて、ケーシング218は、実質的に円筒形であってもよく、或いは、実質的な平面を含んでもよい。ケーシング218は、超音波を組織に伝搬するようにケーシング218及び/又はプローブキャビティ259に充填する接触媒質を含む超音波発光ドーム又は膜であることが更に好ましい。当業者が理解するように、接触媒質は、液体(例えば水、脱気水)、ジェル又は他の所望の媒体であってもよく、その音響インピーダンスは、水の音響インピーダンスと同等であることが好ましい。更に、かかる媒体を循環させれば、ケーシング218と直接接触する組織から除熱することが可能となる。更に、かかる媒体又は他の接触媒質として使用する好適な材料は、ケーシング218の外面に塗布され、感染の可能性を減らすことも可能である。
【0012】
一実施形態において、プローブ212は、低価格の材料から製造されることが好ましいため、例えば、使い捨て部材として用いることが可能である。他の実施形態において、プローブ212は、再利用可能な部材であってもよく、使用前後に滅菌される。当業者が理解するように、プローブ212の大きさ及び形状は、プローブ212を使用する生体構造によって定めることが一般的である。例えば、膣内部で使用するためにプローブ212を設計する場合、プローブ212の長さは、6〜7cm以下、直径は1〜4cmであることが好ましい。当然、プローブ212を侵襲的処置に用いる場合、その大きさは、切開及び/又は体内の標的組織との接触方法に基づいて変更してもよい。
【0013】
ハンドル部211は、制御素子267を有してもよく、或いは、稼働領域又は試験領域近位に配置される制御装置に制御素子267を配置してもよい。制御素子267は、スイッチ、ボタン、ダイアル、フットペダル、若しくは、使用者がプローブ212を作動させることができる他の所望の機構であってもよい。ハンドル部211の大きさ、形状及び方向は、所望の感触又はバランスを得るように変更させてもよいが、実質的に管状であるか、或いは、使用者の手で掴むための人間工学的な形状でハンドル部211を形成してもよい。医療処置中、ハンドル部211の一部は、使用者が掴み、これに対してハンドル部211の他の部分は、患者の体内に入れられる。例えば、ハンドル部211の他の部分を、膣内でプローブ212を遠位側に進ませながら、プローブ212の後の膣に挿入してもよい。かかる実施形態において、(例えば体の外側の)使用者によって掴まれるか、或いは、リモート位置(例えば制御装置)で掴まれるハンドル211の一部に制御素子267を配置されることが好ましい。好適な製造方法、例えば射出成形、機械加工を用いて、ハンドル部211を適当な材料(例えばプラスチック、金属又はこれらの組み合わせ)から構成することが可能である。
【0014】
ハンドル部211は、パワーフィードバックケーブル215を収容するハンドルルーメン258と、ハンドルルーメン211をプローブ212に通過する他の素子(例えば流体ルーメン)を含んでもよい。ハンドル部211を通る素子は、例えば、超音波素子219への及び超音波素子219からの電源並びに他の電気ケーブル、駆動軸並びにハンドル部211、流体ルーメン及び/又はそこに含まれる他の素子に対してプローブ212を回転させる他の部材を含んでもよい。一実施形態において、ハンドル部213の遠位端部216は、プローブ212に接続し、プローブ212に開口する。ハンドル部211の直径又は断面積は、プローブ212の直径又は断面積未満であるが、その相対寸法は、用途、使用者が定める好み、処置する標的組織及び装置を導入する体内の器官又は領域の生体構造に応じて異なる。
【0015】
図1aに示す実施形態において、ハンドル部211及びプローブ212は、軸配置で相互に固定して付着し、使用者による装置の無駄な振動を低減させる。別の実施形態において(図示せず)、ハンドル部211及びプローブ212は、付着機構によって相互に回転可能に及び/又は蝶番で付着し、ハンドル部211に対するプローブ212の角度/位置を動的に又は徐々に変化させることによって、標的組織に対してプローブ212の適切に配置してもよい。すなわち、標的組織へのエネルギー送出を最大にするために、標的組織に隣接する所望の組織表面にフラッシングするプローブ212の配置を容易にするため、上記の角度/位置を変化させることが可能である。また、標的組織上で走査動作を行うか、或いは、別の標的組織に到達させるために、プローブ212を長手軸の周りで回転させてもよい。当業者が理解するように、付着機構は、ロッキングヒンジ又はスイベル若しくはハンドル部211に対するプローブ212を動的に及び/又は徐々に移動させることができる他の付着機構手段であってもよい。付着機構を用いて、ハンドル部211に対して任意又は全方向(すなわち、横方向、垂直方向、軸方向及び角度方向)にプローブ212を移動させる。
【0016】
当業者が理解するように、任意又は全ての装置、特にハンドル部211及びケーシング218を、所望の機械的特性を示す生体適合性材料(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)で製造してもよい。そのため、装置の既定部分又は装置全体を使い捨て部材として用い、使用後に廃棄してもよい。或いは、使用者は、各使用後にプローブ212及び/又はケーシング218を廃棄し、装置の残りの部品を次回使用するために調整し、新たなケーシング218に取り付けてもよい。
【0017】
図1aに示すように、電機子222は、ハンドル部211を通ってプローブ212に延在し、且つケーシング218内で超音波素子219に取り付けられている。一実施形態において、電機子222の近位端部は、ハンドル部211の近位端部に位置した移動アクチュエータ(図示せず)に付着し、ハンドル部211に対して移動アクチュエータの移動及び/又は回転することによって電機子222が対応して移動することから、超音波素子219がケーシング218に対して移動する。当業者が理解するように、移動アクチュエータは、1つ以上のディスク、ギア、レバー、又は、使用者がハンドル部211に対して電機子222を回転させ、及び/又は、電機子222をハンドル部211に対して軸方向に移動させて超音波素子219からの超音波エネルギーの送出方向を変更できる他の素子を含んでもよい。或いは、電機子222は、例えば、制御用論理回路及びサーボモータの組み合わせによって回転及び/又は軸方向に移動するように電子的に構成してもよい。当業者が理解するように、標的組織に超音波エネルギーが正確に与えられるように、使用者は、超音波素子219の軸方向の移動及び回転を機械的及び/又は電気的に制御することによって、プローブ212を配置することができる。
【0018】
図1aは、本発明による超音波素子219の一実施形態を示している。かかる実施形態において、超音波素子219は、ベース224の部分的に球体の凹面265に配置する超音波振動子221のアレイを含む。超音波振動子221の各々は、例えば、PZT(チタンジルコン酸鉛)又は他の圧電性材料で構成する1つ以上の超音波クリスタルを含む。振動子221の各々は、実質的に硬質である中間プレート268に付着し、かかるプレートは、振動して超音波エネルギーを生成する際、ベース224からの振動からクリスタルを保護するために、ベース224に強固に付着可能な銅等の材料から形成されることが好ましい。中間プレート268は、任意の形状、大きさ又は構成の振動子221に利用することが可能である。好ましくは、エポキシの薄層を用い、エポキシの別の被膜を中間プレート268に被覆し、これをベース224に付着させることによって、振動子221の各々を中間プレート268に付着させる。当業者が理解するように、エポキシを、他の好適な接着化合物又は接着方法に置き換えてもよいが、使用する化合物の音響インピーダンスは、水の音響インピーダンスに同等であることが好ましい。当業者が理解するように、上述の実施形態における振動子221の数、大きさ、形状及び方向を変更し、最も効率的な手法で標的組織に所望のエネルギーパターンを送出してもよい。例えば、凹状、実質的に平面状、凸状等の表面をもつベースに向けて振動子221を配置してもよい。更に、当業者であれば、振動子221のアレイをアレイ221と類似の形状を有する単一振動子に置き換えることによって、以下に説明するように生成したエネルギーのための同様のスポット領域を得ることができることを理解する。当業者が理解するように、超音波素子219は、ケーシング218内に完全に包囲してもよく、或いは、超音波素子219を露出させて、ケーシング218の表面と同一平面に実質的にあってもよい。振動子221がケーシングの表面と同一面に存在する場合、電機子222の回転によって、装置のプローブ212全体が回転する。
【0019】
例えば、組織に傷を生じさせ、ケーシング218が接触する組織表面から約0.5〜3cmの深さで他の標的組織を加熱するために、その装置を使用してもよい。振動子221は円形であり、その直径(D)が約1cmである場合、2.5MHzの周波数(F)で振動子221を振動させることによって、(近視野域)発散前は、長さ(L)が約4cmで平行(すなわち、実質的に円筒状)の状態であるエネルギーのビームを生成する。音速が約1500m/秒であるため、波長λは、0.6mm(1500m/秒×1/F)に等しく、距離は、L=D/4λとして計算される。従って、直径が1cmの円形振動子221の場合、Lは約4cmに等しい。これは、F=2.5MHzで上記の距離の振動子221を含む超音波素子219の最大有効収束距離に近い。各超音波ビームが組織を介して距離全体を移動する場合、エネルギーの最大減衰は、1dB/MHz/cm×2.5MHz×4cm=10dBである。よって、振動子の初期出力の約10分の1が、距離Lで収束点に残留することになる。従って、個々の振動子221が表面で生成する出力より高い出力を収束点で得るためには、10個を超える振動子から得るビームを収束点で集中させる必要がある。
【0020】
更に図1aに示すように、超音波素子219は、超音波素子219から遠位側に突出するビームデフレクター270を含む。図1bに示す例示的な一実施形態において、デフレクター270は、遠位端部274を含む長尺部材であり、近位端部272は、ベース224に取り付けられている。かかる実施形態において、装置が使い捨てである場合、近位端部272はをベースに付着又は溶接してもよく、或いは、ベースと一体的に形成してもよい。例示的な他の実施形態において、装置が再利用可能である場合、近位端部272は、ベース224に一時的に接着する他の手法で装着又は構成してもよい。例えば、近位端部272を装着する場合、ベース224のネジ孔で近位端部272を受けることが可能である。デフレクター270の遠位端部274は、ベース224の表面から遠位側に突出する。どのような場合でも、ベース224の所望の位置に遠位端部274を配置することが必要であればよく、当業者であれば、かかる位置で遠位端部274を保持する手法によって、デフレクター270の機能は影響を受けないことを理解する。
【0021】
図1bに示すように、デフレクター270は、円筒形であり、その既定の長さに沿って一定の直径を有する。一実施形態において、デフレクター270は、ベース224の既定の位置、好ましくはその中心近位から延在する。例えば、ベース224が実質的に球形の凹面を有し、かかる凹面に振動子221が配置される場合、デフレクター270は、かかる位置でベース224の接平面に対して実質的に垂直に延在することが好ましい。この場合、デフレクターは、プローブ212の長手軸に対して実質的に垂直である。しかしながら、当業者であれば、ベース224の任意の場所にデフレクター270を配置してもよく、超音波素子219がベース224内で回転しない場合は、ケーシング218の既定の位置にデフレクター270を固定してもよいことを理解する。更に、遠位端部274は、超音波素子219が回転する間にケーシング218と接触する遠位端部274から生じる摩擦を防止するため、ケーシング218と接触しないことが好ましい。当業者が理解するように、デフレクター270は、任意の大きさ及び/又は形状であってもよく、ベース224の任意の場所に配置させてもよく、好適な材料、例えば、プローブ212及び/又はハンドル部211の製造に使用される材料と同一の材料から製造してもよい。
【0022】
当業者であれば、デフレクター270の位置、材料及び形状が、デフレクターを用いずに得る収束領域の形状と傷の所望の形状との差異に基づいて選択されることを理解する。これにより、デフレクターを使用して傷の所望の形状を変化させることが可能であり、計算法、経験的方法又はこれらの両方に基づいてもよい。更に、当業者であれば、シュリーレン光学機械を使用して超音波場をリアルタイムで観察することが可能であり、傷の所望の形状を得るために、デフレクターの位置又は他の変数を微調整することが可能である。
【0023】
図2aは、体内で標的組織に隣接する位置に挿入する装置を示す。プローブ212は、一般的には、組織面280に直接接して配置するケーシング218と、傷282が組織284内で形成される標的位置へ延伸する軸に沿って延在するデフレクター270を有する。例えば、デフレクター270の長手軸は、目的とする傷272の中心と一直線となることが好ましい。当業者が理解するように、デフレクター270の異なる方向、ベース224の表面及びハンドル部211に対するプローブ212は、傷282の所望の位置に対してプローブ212を異なる位置に配置する必要がある。
【0024】
電力をプローブ212に供給するか、或いは、プローブ212に制御素子267を作動する場合、各振動子221は、各振動子221から放射状に伝播する超音波エネルギーを生成する。主に、エネルギーは、超音波素子219から既定の距離に存在する領域288に集中するビーム286に集中する。かかる領域288の超音波エネルギーの強度は、超音波素子219の振動子221の数に直接比例する。例えば、振動子221の数が多いほど、超音波エネルギーの強度は高くなる。
【0025】
図2bに示すように、振動子221からのビーム286から構成される複合超音波ビームの分布範囲は、振動子221に直接隣接する領域で大きくなり、標的組織に接近すると小さくなる。複合超音波ビームの直径は、デフレクター270の遠位端部274を通過すると小さくなり、領域288の中心位置で最小となる。個々のビーム286は、かかる遠位端部で発散し始め、複合ビームの直径は、遠位へ更に移動することによって小さくなる。収束領域は、領域288によって示す狭窄部を含み、その形状は、振動子219の大きさ及び形状によって規定され、換言すると、挿入する体腔に限定される。領域288は、最大加熱が生じるエネルギー密度が高い領域を示す。一方、熱処理する領域は、特定の用途に限定される。例えば、組織表面を処置することが望ましくない場合、ケーシング218から更に遠位側で熱処理を開始する必要がある。デフレクター270は、領域292の一部を遮断し、高強度領域288を小さい寸法(290)に縮める。高温領域に対する遮断領域の割合、すなわち処置する領域の直径及び深さは、デフレクター270の位置、大きさ及び形状に影響される。すなわち、各々の形状が比較的類似する場合、振動子221からのビーム286とデフレクター270の相互作用によって、領域290及び領域292の各々に対して特有のエネルギー特性が生じる。かかる実施形態において、領域288の遠位領域290と近位領域292は先細りの円錐状であり、各々は反転する。ビーム286が振動子221から出射すると、ビーム286の一部(例えば超音波)は、デフレクター270で屈折し、領域288の近位領域292に到達しない。ビーム286の屈折部は、領域288の収束領域に投入されないため、近位領域292に送出する全ての超音波エネルギーが減少する。これにより、近位領域292から離れたデフレクター270が屈折する多数のビーム286を制御することによって、かかる近位領域292に対する全ての超音波エネルギーの投入を、全てのビームが領域292に到達した場合の最大値以下の値に制御することが可能である。当業者が理解するように、デフレクター270が実質的に円形である場合、中心に配置されるデフレクター270は、中心付近に配置される振動子221から送出されるビーム286に対して影響を与える。従って、デフレクター270の形状、更に詳細には、遠位端部274の大きさ及び形状を制御し領域292から屈折するビーム286の振動子221を選択することが可能である。当業者であれば、各放射ビームの一部を屈折させて既定の傷の所望の形状を形成するように、振動子221のパターンを遠位端部274の形状と組み合わせて選択してもよいことを理解する。或いは、こ互いに異なる大きさ、形状及び位置の傷を形成するため、所望の形式又は順序で振動子221の種々の振動子を選択的に無効化することによってのような効果を含む種々の効果を得ることが可能である。更に、振動子219は、静止状態であるか、或いは、異なる速度で同一方向に回転するか、若しくは、反対の方向に回転することによって、様々な振動子221からエネルギーを選択的に遮断して傷の特性を制御する非円形形状のデフレクター270に対して移動又は回転してもよい。すなわち、各々のビーム286に対して、屈折する第1の部分は、領域288の近位領域292に到達しないことがある一方、他の部分は屈折しないか、或いは、デフレクター270に接触しないで遠位端部274まで通過するように僅かに屈折するか、若しくは、遠位端部274との僅かな接触によって、領域292の端部を超えた部分の超音波エネルギーを屈折させない。従って、一実施形態において、デフレクター270からの半径距離が減少するにつれて、遠位領域290に到達する各ビーム286の一部は増大する。
【0026】
上述のとおり、デフレクター270がない場合、ビーム286は、近位領域290及び遠位領域292の両方を含む領域288全体に投入され、集中する。しかしながら、上述のとおり、且つ、図2bに示すとおり、近位領域292は、非標的組織、例えば表面組織を含む可能性がある。本発明の例示的な実施形態によると、デフレクター270が遮蔽領域を形成し、該領域は、領域288の近位領域292に到達する超音波エネルギーを実質的に低減させる。これにより、実質的なエネルギーを領域290の組織に加えても、かかる近位領域292の組織は、最小限のエネルギーを受けるため、無傷となる。各々の近位領域292及び遠位領域290の形状は、例えば、ベース224の形状、振動子221の配置/構成、電磁波の周波数、振動子221に供給する電力水準並びにデフレクター270の大きさ、形状及び位置によって変更可能である。
【0027】
遠位領域290に加える超音波エネルギーは、超音波素子219がデフレクター270を用いずに加えるエネルギーと同等であることが好ましいことから、かかるエネルギーは、傷282を形成するのに十分である。当業者であれば理解するように、領域288、特に遠位領域290が、プローブ212に対して種々の位置に存在してもよい。これらの位置は、限定されないが、ベース224の形状、振動子221の配置/構成、電磁波の周波数、振動子221に供給する電力水準並びにデフレクター270の大きさ、形状及び位置を含む要因に依存する。
【0028】
図3aは、本発明によるデフレクター1170の例示的な他の実施形態示す。かかる実施形態において、デフレクター1170は、デフレクター270に関して上述する任意の手法で適切に保持される近位端部1172を含む。デフレクター1170は、近位端部1172から移行領域1173まで到達し、遠位端部1174で終端する既定の長さに沿って遠位側に延在する。デフレクター1170は、近位端部1172と移行領域1173の長さの第1の部分に沿った既定の直径を有する実質的な円筒形である。移行領域1173から遠位側に向かうにつれ、直径は、除々に、増加的に、或いは、急に大きくなってもよい。例えば、一実施形態において、移行領域1173は、直径が、漸次、遠位側に増大する円錐又は円錐台状の部分である。他の実施形態において、近位端部1172は、実質的にディスク形の遠位端部1174を形成するために、第2の直径に対して急に大きくなる第1の直径を有する。更に別の実施形態において、移行領域1173は、存在せず、デフレクター1170は、単に、遠位端部1174のプレートと共に近位端部1172の位置でベース224に取り付ける長尺部材である。当業者であれば、長尺部材及びプレートが、任意の大きさ、形状及び/又は構成を有してもよいことを理解する。
【0029】
かかる実施形態において、遠位端部1174の直径は、近位端部1172の直径より大きい。図2aと図3aを比較すれば、当業者は、遠位端部1174のかかる実施形態により、振動子221から出射されるビーム286は、直径が大きい遠位端部1174がないデフレクター1170と比較して大部分及び/又はそれ以上屈折することを理解する。また、デフレクター1170により、遠位領域1190及び近位領域1192を含むスポット領域1188を形成するが、これらの領域は、それぞれ図2a及び図2bに示す形状とは異なる形状を有する。当業者であれば、デフレクター1170の構成を操作することによって、スポット領域1188に望ましい形状を形成できることを理解する。形状は、振動子221の数及び位置、上述の要因、並びに傷282の大きさ、形状、組成及び所望の位置に応じて異なってもよい。例えば、所望の傷282が大きくなるにつれて、デフレクター1170の遠位端部1174の半径方向の大きさが減ることから、多量のビーム286及びその高い超音波エネルギーを傷282に投入することが可能となる。例えば、所望の傷282が組織表面280に近い場合、小さい遠位端部1174を利用して、ビーム286の数を減らすことによって遮蔽領域の大きさを減らし、ビーム286をデフレクター1170で屈折させると、近位領域1192に対するエネルギー投入量が増大する。
【0030】
図3bに概略的に示すように、振動子221から放出されるビーム286の各々からなる更に別の複合超音波ビームは、デフレクター1170の遠位端部1174から既定の距離のところで収束領域1188を有する。かかる実施形態において、遠位領域1190は、実質的に円錐状であり、一方、近位領域1192は、実質的に円盤形である。図2a及び図2bの実施形態と比較すると、振動子221からのビーム286の多くは、領域1188の近位領域1192に到達するのを妨げるデフレクター1170の遠位領域1174によって屈折する。結果として、近位領域1192での超音波エネルギーレベルが減少し、傷282の近位端部が組織で深くなり、例えば、遠位領域1190で殆ど傷を形成しないか、或いは、近位領域1192で傷を形成しない。
【0031】
図4は、超音波素子2219の別の例示的な実施形態を示す。かかる実施形態において、ベース2224は、凹面かつ実質的に楕円体様の表面2265に配置される振動子2221のアレイを含む。当業者が理解するように、単一又は複数の線に対して、長手方向又は断面方向に、或いは、他の方向又は所望の組み合わせで振動子2221を配置してもよい。かかる実施形態の超音波素子2219は、部分的に楕円体様のボウル形の凹面であることから素子2219から既定の距離のところに実質的に楕円体様のスポット領域2255を形成する。当業者が理解するように、本願の明細書に記載される種々のケーシング218及び遮蔽部のアレイと共に、種々の超音波素子219、2219を用いてもよい。超音波素子2219は、超音波素子2219の大きさ及び形状の特徴並びに上述の実施形態に関して説明した要素に応じて構成し、配置できるデフレクター2270を含む。
【0032】
上述のとおり、標的組織の深さが、エネルギーの放散前にエネルギーの最大浸透深さ(振動子の大きさ及び電磁波の周波数に基づく)に近づくと、エネルギーを減衰させるために多くのクリスタルから得たビームをスポットで集中させる必要がある。特に、上述の例示において、各々の振動子が生成するときより多くのエネルギーを送出させるために、D=1cm及びF=2.5MHzの振動子21であり、標的深さが4cmの場合、10個を超える振動子221からビームを領域に集中させる必要がある。例えば、かかる実施形態において、213個のクリスタルから得るエネルギーが領域2255に集中することによって、任意の1個の振動子が生成するときより約1.3倍のエネルギーがこのスポットで得られる。当業者であれば、図1a〜3bに例示される表面265が、約4cmの直径の球形であってもよいことから、エネルギーがこの深さに集中し、図4の表面2265が、端部から約4cmのところの収束領域による楕円体様であってもよいことを理解する。
【0033】
図5は、本発明による装置の更に別の実施形態を示す。かかる実施形態において、振動子221は、球形で、凹面のベース224に設けられ、超音波素子219の中心から既定の半径距離で環状に配置されている。これにより、各振動子221は、装置が作動すると、超音波エネルギーのビーム286を出射し、ビーム286は、標的組織上で屈折して焦点を結ぶ。かかる構成において、ビーム286が生成する領域288は、図1a及び図2aの実施形態が形成する領域と実質的に同様である。しかしながら、領域288は、デフレクター270よりも振動子221の構成によって、組織284の表面より下側の既定の距離で生成される。かかる実施形態において、領域288は、近位領域を含まない。
【0034】
図6に示すように、更に別の実施形態において、好ましくは装置が再利用可能である場合、図1aに示すように、デフレクター270を伴わずに振動子を配置してもよい。かかる形態において、振動子221を作動させることによって、傷282、並びに望ましくないと考えられる組織の他の部分及び表面で加熱効果を得ることが可能である。これにより、振動子221の少なくとも1個以上の部分に偏向ステッカ302を配置し、そこから出射されるビーム286の一部を遮断又は屈折させ、組織表面280より下側の既定の深さにて所望のスポット領域288に調節することが可能である。当業者が理解するように、ステッカ302は、接着膜を有してもよいことから、振動子221より下側に傷させずに表面265に一時的に付着することが可能である。
【0035】
本発明の方法は、例えば、組織(例えばコラーゲン組織)の再形成、強化及び/又は切除が治療的である他の状態の処置に使用されるが、本願明細書では、傷の形成について説明される。非侵襲的な処置において、ケーシング18及びその接触媒質が、超音波素子219の非効率による熱から粘膜及び膣壁を保護するため、人体の自然存在する開口部、例えばプローブ12が膣粘膜に接触するまで膣を介して体内に装置を挿入してもよい。侵襲的な処置において、切開又は傷を解して装置を挿入し、処置する領域に隣接するように装置を配置してもよい。
【0036】
体内に装置を配置した後、プローブ212及び/又は超音波素子219を環状及び/又は軸方向に回転させて更に操作し、標的組織282に対する所望の位置を得ることが可能である。その後、超音波素子219を軸方向に、機械的に又は電気的に回転及び/又は移動させ、標的組織の範囲を十分に得て、周囲の組織及び構造に対する損傷を回避する。上述のとおり、本発明の実施形態において、プローブ212は、ハンドル部211に対して回転してもよい。これにより、超音波エネルギーは、標的組織を加熱して、傷282の大きさ及び形状を制御しながら傷282を形成することが可能である。上述のとおり、デフレクター(例えばデフレクター270)を使用して、傷の形成を制御することが可能である。
【0037】
当業者であれば、超音波エネルギーの収束領域の深さ、形状及び/又は大きさを調節するためにフェイズドアレイとして、上述する超音波素子219、2219のアレイの振動子221を操作してもよく、超音波素子219が送出するエネルギーの周波数は、傷282の深さよって変更し、周囲の組織及び組織面に対するエネルギーの影響を最小限にしながら、かかる組織に対するエネルギー送出を最大限にすることが可能であることを理解する。更に、本発明は、他の種類のエネルギー、例えばラジオ周波数、赤外線及びX線での使用法についても考慮される。
【0038】
当業者であれば、特に部品の形状、寸法、材料及び配置について細部に亘って変更可能であることを理解する。それ故に、実施形態を種々に変更及び変化させることが可能である。例えば、使用される超音波アレイの種類を変更してもよく、振動子の形状を変更してもよい。説明される装置を使用して処置される状態によって、構成要素の数を増減させて使用してもよい。従って、明細書及び図面は、限定というより例示であることを意図する。
【0039】
本発明は、特定の例示的な実施形態を参照して説明している。当業者であれば、特に部品の形状、大きさ、材料及び配置に関する詳細な変更が可能であることを理解する。これにより、実施形態に対して、種々の変化及び変更が可能である。従って、明細書及び図面は、限定するという意味合いより説明と見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1a】本発明に従って組織に超音波エネルギーを加える装置の例示的な実施形態を示す図である。
図1b】A−A線に沿った図1aの装置の断面図である。
図2a】組織に超音波エネルギーを加える図1bの装置を示す図である。
図2b図2aの装置が送出する超音波エネルギーの分布を示す図である。
図3a】本発明に従って超音波エネルギーを組織に加える装置の別の例示的な実施形態を示す図である。
図3b図3aの装置が加える超音波エネルギーの分布を示す図である。
図4】本発明に従って超音波エネルギーを組織に加える装置の更に別の例示的な実施形態を示す図である。
図5】本発明に従って超音波エネルギーを組織に加える装置の更に別の例示的な実施形態を示す図である。
図6】本発明に従って超音波エネルギーを組織に加える装置の別の例示的な実施形態を示す図である。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6