特許第5714246号(P5714246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5714246カプセル化顔料及びそれを用いた水性インク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714246
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】カプセル化顔料及びそれを用いた水性インク
(51)【国際特許分類】
   C09C 3/10 20060101AFI20150416BHJP
   C09D 11/00 20140101ALI20150416BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20150416BHJP
   C09B 67/08 20060101ALI20150416BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20150416BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   C09C3/10
   C09D11/00
   C09D11/30
   C09B67/08 A
   B41M5/00 E
   B41J2/01 501
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2010-126686(P2010-126686)
(22)【出願日】2010年6月2日
(65)【公開番号】特開2011-74356(P2011-74356A)
(43)【公開日】2011年4月14日
【審査請求日】2013年5月8日
(31)【優先権主張番号】特願2009-205329(P2009-205329)
(32)【優先日】2009年9月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091502
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 正威
(74)【代理人】
【識別番号】100125933
【弁理士】
【氏名又は名称】野上 晃
(72)【発明者】
【氏名】山本 康夫
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−091729(JP,A)
【文献】 特開2003−082270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 3/10
B41J 2/01
B41M 5/00
C09B 67/08
C09D 11/00
C09D 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料を油性溶媒中に分散してなる顔料分散体を水中で乳化してO/W型エマルションを得た後、該O/W型エマルション中に分散した油相を重合させることにより得られるカプセル化顔料の製造方法であって、前記油性溶媒は、1分子中にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有するラジカル重合性オリゴマーと油溶性のラジカル重合性モノマーとを含んでなり、前記O/W型エマルションは、アニオン反応性乳化剤とノニオン反応性乳化剤との混合物からなる反応性乳化剤を用いて乳化されたものであることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記ノニオン反応性乳化剤は、一般式
C=CRCOO(CHCHO)
(式中、R、RはHまたはCH、nは2〜90)
からなる、請求項に記載のカプセル化顔料の製造方法。
【請求項3】
前記アニオン反応性乳化剤は、スルホン酸塩硫酸塩からなる、請求項に記載のカプセル化顔料の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法によって得られたカプセル化顔料。
【請求項5】
請求項に記載のカプセル化顔料を含有する水性インク。
【請求項6】
インクジェットインクである請求項に記載の水性インク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分散性に優れたカプセル化顔料及びその製造方法並びにそれを用いた水性インクに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターは普通紙に手軽にフルカラー印刷を行うことが出来る。そこでは水性染料を色材として含有した水性インクが使用されることが多い。しかし、染料は耐光性が悪く、太陽光が当たると色があせるという欠点があり、最近では染料の代わりに顔料が用いられるようになった。
【0003】
顔料としては、水中に分散剤(例えば、水溶性樹脂や界面活性剤)で顔料を分散させた顔料水分散体、水不溶性ポリマーの微粒子中に顔料を含有させて水に分散させた顔料含有樹脂微粒子(すなわち、カプセル化顔料)の水分散体、顔料の表面を処理して親水性基をつけて水中に分散させた自己分散型顔料水分散体等が用いられている。
【0004】
顔料を使用することで耐光性は向上させられるが、顔料の分散安定性の問題が生じる。特に、分散剤で顔料を分散させた顔料水分散体は、長期の分散安定性に劣る。また、自己分散顔料は、分散安定性は良好だが、耐水性に劣る。これに対して、カプセル化顔料は、保存安定性及び耐水性の両方に優れている。
【0005】
しかし、カプセル化顔料は、インクジェットインクとして使用するためには、微粒子化が課題となる。また、カプセル化顔料を含有する水性インクでプラスチックシートのような非浸透性媒体に印字した場合、画像の定着性確保することは難しい。
【0006】
従来、カプセル化顔料の作製方法としては、酸析再溶解法、転相法及びミニエマルション重合法が知られている(特許文献1参照)。
【0007】
酸析再溶解法は、アニオン性基含有樹脂を中和し、水性媒体中で顔料を分散し、pHを酸性にすることで樹脂と顔料を析出させ、顔料に樹脂を固着させた後、塩基性化合物を用いてアニオン性基を中和させ水性媒体中に再溶解させる方法である(特許文献2参照)。
【0008】
転相法は、アニオン性基含有樹脂の有機溶媒中で顔料を分散し、塩基性化合物を添加した後、超音波を照射しながら水を加え転相乳化を行い、その後、溶剤を留去させる方法である(特許文献2参照)。
【0009】
ミニエマルション重合法は、染料をモノマーに溶解するか、顔料をモノマーに分散させ、ハイドロホーブを加え水中で乳化剤で乳化させてO/W型ミニエマルションを得た後、そのままラジカル重合することにより顔料を樹脂中に含有したカプセル化顔料を作る方法である(特許文献3及び特許文献4参照)。
【0010】
酸析再溶解法及び転相法は、何れも、顔料を被覆する樹脂が親水性と疎水性のバランスおよび顔料との吸着性に優れている必要があり、使用できる樹脂がかなり限定される。
【0011】
また、ミニエマルション重合法は、ハイドロホーブの性能が悪いとモノマーのみでエマルション重合が起きたり、エマルション粒径が粗大になり、インクジェットで使用し得る粒径のカプセル化顔料が得られないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004-155818号公報
【特許文献2】特開平9-151342号公報
【特許文献3】特開2001-131213号公報
【特許文献4】特開2008-163059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、ミニエマルション重合法によるカプセル化顔料の製造方法において、平均粒径の小さい(例えば、平均粒径0.2μm以下の)カプセル化顔料の微粒子が容易に得られ、かつ、PETシート等のプラスチックシートへの定着性に優れたカプセル化顔料が得られる方法を提供するとともに、水性インクで使用するに好適なカプセル化顔料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記目的の下に鋭意研究した結果、ミニエマルション重合法により顔料を被覆する樹脂成分として、特定のオリゴマーと油溶性モノマーとの混合物を使用することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明の一局面によれば、顔料を油性溶媒中に分散してなる顔料分散体を水中で乳化してO/W型エマルションを得た後、該O/W型エマルション中に分散した油相を重合させることにより得られるカプセル化顔料の製造方法であって、前記油性溶媒は、1分子中にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有するラジカル重合性オリゴマーと油溶性のラジカル重合性モノマーとを含んでなることを特徴とする製造方法が提供される。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ラジカル重合性モノマーとして、1分子中にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有するラジカル重合性モノマーが用いられる。
また、本発明の他の好ましい実施形態によれば、前記重合は、前記O/W型エマルションの油相及び/又は水相にラジカル重合開始剤を添加して行われる。
【0017】
本発明の他の局面によれば、上記本発明の製造方法によって得られたカプセル化顔料が提供される。
また、本発明の更に他の局面によれば、上記本発明のカプセル化顔料を含有する水性インク、特にインクジェットインクが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ミニエマルション重合法により顔料を被覆する樹脂成分として、油溶性のラジカル重合性モノマーだけでなく、1分子中にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有するラジカル重合性オリゴマーを使用することとしたため、このオリゴマーがハイドロホーブとして機能して重合時のエマルションが安定化するため、カプセル化顔料の粒子径の増大や凝集防止等が図られ、また、PETシート等のプラスチックシートへの定着に優れたカプセル化顔料が得られるものと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を更に詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」及び「(メタ)アクリレート」はそれぞれ「アクリル及び/又はメタアクリル」及び「アクリレート及び/又はメタアクリレート」を意味する。
【0020】
本発明のカプセル化顔料の製造工程は、(1)顔料分散体の調製工程、(2)O/W型エマルションの調製工程、(3)O/W型エマルションの重合工程を備え、必要に応じて、(4)溶媒の除去工程を備えてもよい。
【0021】
(1)顔料分散体の調製工程
顔料分散体の調製工程は、顔料を油性溶媒中に分散することにより行われる。
顔料としては、無機顔料及び有機顔料の何れも使用できる。具体的には、カーボンブラック、カドミウムレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料などが好適に使用できる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用してもよい。なお、上記顔料は、下記油性溶媒に親和性を有することが好ましく、すなわち、疎水性の表面を備えることが好ましい。
顔料の配合量は、顔料が油性溶媒中に分散すれば特に制限はないが、顔料分散体全体100質量%として、10〜50質量%であることが好ましい。
顔料の粒子径は、60〜150nmであることが好ましい。
【0022】
油性溶媒は、下記(2)の工程においてO/W型エマルションの油相粒子を形成できる必要があるが、本発明では、1分子中にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有するラジカル重合性オリゴマーと油溶性のラジカル重合性モノマーとを必須成分として含むこと必要である。
【0023】
油溶性のラジカル重合性モノマーとしては、ラジカル重合可能なモノマーであれば制限なく使用でき、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸(n−、i−、t−)ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル等の(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有不飽和化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の重合性アミド類;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和化合物;酢酸ビニル、スチレン、α−クロロスチレン、アクリロニトリル等を挙げることができる。
【0024】
これらの油溶性のラジカル重合性モノマーのうち、1分子中にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する多官能性のラジカル重合性モノマーが好ましい。かかる多官能モノマーを使用することによって、ミニエマルション粒子内でモノマーとオリゴマ一を共重合する際に3次元架橋が進み、強固な網目構造を備えた共重合樹脂が得られるため、水溶性有機溶剤(例えば、グリコールエーテル系溶剤)などの有機溶剤に対する耐性に優れたカプセル化顔料が得られる。水性インクには、グリコールエーテル系溶剤などの水溶性有機溶剤が含まれることが多いので、かかる耐溶剤性に優れたカプセル化顔料は、水性インクの顔料として使用するのに好適である。
【0025】
かかる多官能性ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、ジアクリル化イソシアヌレート、1,3ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH変性1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO、PO変性ビスフェノールA(メタ)アクリレート、PO、テトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA‐ジエポキシ(メタ)アクリル酸付加物、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオベンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオベンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオベンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PO変性ネオペンテルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール‐テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(ポリプロピレングリコール‐テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール‐ポリプロピレングリコール‐ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールエポキシエステルジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートトリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル酸亜鉛、EHC変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエート(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アルコキシ変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
かかるモノマーの配合量は、顔料が油性溶媒中に分散すれば特に制限はないが、顔料分散体全体100質量%として、5〜50質量%であることが好ましい。
【0026】
1分子中にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有するラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート及びポリエステルアクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、ビームセット505A−6(荒川化学製)、フォトマー6210(サンノプコ製)、Ebecryl270(ダイセル製)、UV3200B、UV6300B,UV7550B(日本合成化学製)などが挙げられる。エポキシアクリレートとしては、バンビーム22C(ハリマ化成製)、LaromerLR8765(BASF製)、フォトマー3005(サンノプコ製)、Ebecryl3500(ダイセル製)などが挙げられる。ポリエステルアクリレートとしては、アロニックスM7100,M6100,(東亞合成製)、Ebecryl80(ダイセル製)などが挙げられる。
上記油性溶媒を上記油溶性のラジカル重合性モノマーだけで構成した場合、下記(3)の重合工程で、モノマーがミセルへ移行し易くなるので、顔料を含まない樹脂微粒子が生成したり、顔料凝集を起こしやすくなる。本発明者は、鋭意検討した結果、モノマーより分子量が大きく、モノマーと相溶性のよいアクリロイル基又はメタクリロイル基をもったオリゴマーを上記モノマーと併用することにより、該オリゴマーがハイドロホーブ
の役割を果たし、更にモノマーと重合反応が進むことによって、重合時ミニエマルションからのモノマーの離脱を積極的に抑えるように機能するため、樹脂微粒子発生の抑制、カプセル化顔料の粒子径の増大や凝集防止等が達成できることを見出したのである。また、モノマーのラジカル重合だけでは、目的の樹脂被膜の性能(柔軟性やプラスチックシートへの定着性)を確保することは難しいが、オリゴマーを使用することで、樹脂被膜に所望の性能を付与することが容易になる。また、多官能オリゴマーと多官能モノマーとを併用した場合は、両者の共重合反応により3次元架橋が進むため、カプセル化顔料の耐溶剤性を向上させることができる。
かかるオリゴマーの配合量は、顔料が油性溶媒中に分散すれば特に制限はないが、顔料分散体全体100質量%として、5〜50質量%であることが好ましい。
【0027】
油性溶媒は、顔料分散体の粘度調整するために、さらに、ラジカル重合性を有しない有機溶剤を含有してもよい。かかる有機溶剤は、水に溶解せず、上記モノマー及びオリゴマーと混和性のものであれば特に限定されないが、重合後の除去を容易にするために、低沸点非水溶性有機溶剤であることが好ましい。低沸点非水溶性有機溶剤としては、沸点が100℃以下のものが好ましい。具体例としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤(例えば酢酸エチル)が挙げられる。かかる有機溶剤は、上記オリゴマー、モノマー及び顔料からなる顔料分散体が低粘度であれば入れる必要はない。しかし、溶液の粘度が低いほど顔料の分散性が向上し、下記(2)の工程におけるO/W型エマルションの油相粒子の粒径を小さくできるので、かかる有機溶剤の添加は有用である。かかる有機溶剤の配合量は、顔料分散体全体100質量%として、0〜80質量%であることが好ましい。
【0028】
油性溶媒は、顔料分散体における顔料の分散性を改善するために、さらに、顔料分散剤を含有してもよい。顔料分散剤としては、使用する顔料や溶媒に相応しいものであれば特に限定されない。
【0029】
顔料分散体は、上記油性溶媒に顔料を添加して、公知の分散機を用いて混合することにより調製できる。分散機としては、例えば、ビーズミル、超音波分散機が使用できる。
【0030】
(2)O/W型エマルションの調製工程
O/W型エマルションの調製工程は、上記(1)の工程で得られた顔料分散体を水中に添加してホモジナイズ処理することにより行うことができる。
【0031】
乳化剤としては、乳化重合に使用される乳化剤であれば特に制限はない。好ましくは、かかる乳化剤として、反応性乳化剤を用いることが好ましい。反応性乳化剤は、下記(3)の重合工程後は樹脂中に取り込まれて、カプセル化顔料から乳化剤が遊離することがない点で好ましい。特に、アニオン系の反応性乳化剤が好ましく使用でき、アニオン系の反応性乳化剤とノニオン系の反応性乳化剤と混合して使用した場合には、カプセル化顔料の耐溶剤性が向上するため、より好ましい。アニオン系の反応性乳化剤としては、例えば、アクアロンKH-10、アクアロン HS−10、アクアロンBC−10、アクアロンBC−20(商品名:第一工業製薬製)、Antox−MS−60、RA−1000、Antox−MS−2N(日本乳化剤社製)、アデカリアソープ SE−10N、アデカリアソープSE―20N、アデカリアソープSR−10(アデカ製)、テラムル S−180A(花王)、エレミノール JS−2(三洋化成工業製)が挙げられ、スルホン酸塩からなるものが好ましい。ノニオン系の反応性乳化剤としては、例えば、一般式HC=CRCOO(CHCHO) (式中、R、RはHまたはCH、nは2〜90)で示されるものが好ましく、具体的には、ブレンマー PE−200、ブレンマー PE−350、ブレンマー PE−400(日本油脂製)が挙げられる。その他のノニオン系の反応性乳化剤としては、例えば、アデカリアソープ NE−10、アデカリアソープNE−20、アデカリアソープER−10(アデカ製)、アクアロンRN―10、アクアロンRN−30(第一工業製薬製)が挙げられる。
【0032】
本発明の製造方法では、下記(3)の重合工程を容易にするために、下記(3)の工程以前の段階で、上記顔料分散体に、ラジカル重合開始剤を添加しておくことが好ましい。上記顔料分散体に添加するラジカル重合開始剤としては、油溶性重合開始剤が好ましい。
かかる油溶性重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’− アゾビス−(2−メチルプロパンニトリル) 、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチルブタンニトリル)、1,1’−アゾビス−(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド等のアゾ(アゾビスニトリル)タイプの開始剤、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過硫酸塩(例えば過硫酸アンモニウム)、過酸エステル(例えばt−ブチルペルオクテート、α−クミルペルオキシピバレート及びt−ブチルペルオクテート)等の過酸化物タイプの開始剤などが挙げられる。
【0033】
このO/W型エマルションの調製工程のホモジナイズ処理は、通常の乳化機、例えば、ホモミキサー、超音波分散機などを用いて行うことができる。
この工程において、水及び顔料分散体の配合量は、両者の合計を100質量%として、水 10〜90質量%、顔料分散体90〜10質量%である。
【0034】
(3)O/W型エマルションの重合工程
O/W型エマルションの重合工程は、上記(2)の工程で得られたO/W型エマルションを加熱攪拌することにより行うことができる。この重合は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。また、反応系にラジカル重合開始剤が未だ添加されていない場合は、この時点で、ラジカル重合開始剤を添加して重合を行うことが好ましい。重合温度は40〜90℃が好ましく、重合開始剤の種類によって温度及び重合時間を調整する必要がある。
【0035】
かくして、O/W型エマルション中に分散していた油相粒子が重合したカプセル化顔料の微粒子として水中に分散した分散体が得られる。この微粒子の粒径は、60〜200nmであることが好ましい。
O/W型エマルションにおいて顔料は油相に親和性を有するため油相粒子中に包含されているので、この微粒子は、顔料を上記オリゴマー及びモノマーの重合体からなる樹脂で被覆したカプセル化顔料の粒子を構成する。
【0036】
(4)溶媒の除去工程
上記(2)の工程で油性溶媒として低沸点非水溶性有機溶剤を用いた場合は、該有機溶剤を除去するために、上記(3)の工程で得られたカプセル化顔料の水分散体をエバポレーターで加熱減圧することが好ましい。該低沸点非水溶性有機溶剤を使用しない場合は、この溶媒の除去工程は行わなくてもよい。
【0037】
(5)インクの製造工程
上記のようにして得られたカプセル化顔料の水分散体は、そのまま水性インクとして使用することもできるが、インクジェットインクとして使用する場合は、該水分散体に含まれる粗粒や重合中に生成したエマルション粒子の凝集物を除く必要がある。したがって、上記のようにして得られたカプセル化顔料の水分散体を、遠心分離機やフィルター等にかけることによって、インクジェットインクを調製することができる。
【0038】
また、インクジェットインクの表面張力をインクの吐出に適した40mN/m以下に調整するために、上記のようにして得られたカプセル化顔料の水分散体に、界面活性剤や追加の溶剤を添加することもできる。また、インクジェットインクの保存安定性や機上安定性を向上させるため、または、インク粘度を調整するために、高沸点水溶性有機溶剤(グリセリン、グリコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤)を加えてもよい。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0040】
実施例1
(1)顔料分散体の調製工程
下記の成分を下記の配合量で混合し、ビーズミルで分散して、顔料分散体を得た。なお、ウレタンアクリレートオリゴマー(UV3200B(商品名)日本合成化学製)の分子量は10000であった。カーボンブラック(MA11(商品名)三菱化学製)の平均粒径は、動的光散乱法による測定(堀場製作所製 粒度分布測定装置LB−500)で126.8nmであった。
【0041】
カーボンブラック(MA11(商品名)三菱化学製) 7g
顔料分散剤(ソルスパース32000(商品名)ルーブリゾール社製) 2g
顔料分散剤(ソルスパース5000(商品名)ルーブリゾール社製) 0.5g
メチルメタクリレート(和光純薬製) 9g
ウレタンアクリレートオリゴマー(UV3200B(商品名)日本合成化学製) 4g
酢酸エチル 25g
合計 45.5g
【0042】
(2)O/W型エマルションの調製工程
下記の成分を下記の配合量で混合し、水相を得た。
【0043】
純水 60g
反応性乳化剤(アクアロンKH-10(商品名)第一工業製薬製) 1g
合計 61g
【0044】
上記(1)で得られた顔料分散体に、開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)0.3gを加えた後、上記水相中に加え、超音波分散機にて乳化して、O/W型エマルションを得た。
【0045】
(3)O/W型エマルションの重合工程
上記(2)で作製したO/W型エマルションを窒素雰囲気下70℃に加熱し攪拌を4時間行い、カプセル化顔料の微粒子の水分散体を作製した。
【0046】
(4)溶媒の除去工程
上記(3)で作製したカプセル化顔料の微粒子の水分散体をエバボレーターで減圧加熱して酢酸エチルを除去した。
【0047】
(5)インクの製造工程
上記(4)で得たカプセル化顔料の微粒子の水分散体を10000Gで1分間遠心分離し、凝集物・粗粒を除去した後、内径φ25mm平均孔径3μmのフィルターを通した。この水分散体のフィルター通過性は良好であった。
得られたカプセル化顔料の平均粒径は動的光散乱法による測定(堀場製作所製 粒度分布測定装置LB−500)で138.5nmであり、重合時及び遠心で沈降した凝集物の重量は2.9gであった。
【0048】
下記の成分を下記の配合量で混合し、インクを作成した。
【0049】
上記で得られたカプセル化顔料の微粒子の水分散体 3部
ジエチレングリコール 1部
グリセリン 1部
合計 5部
【0050】
得られたインキをPETシートに塗布し、加熱乾燥後、塗膜をティッシュで強く擦ったところ、擦れ落ちることはなかった。
また、得られたインキは、市販のプリンター(エプソン社製)にて良好に吐出することが出来た。
【0051】
実施例2
実施例1のウレタンアクリレートオリゴマー(UV3200B(商品名)日本合成化学製)をポリエステルアクリレートオリゴマー(アロニックスM6100(商品名)東亞合成製)に代えた以外、実施例1と同様の方法で実験を行った。
カーボンブラックの平均分散粒径は121.2nmであり、得られたカプセル化顔料の平均粒径は129.3nmであった。また、沈降凝集物は3.6gであった。得られた水分散体のフィルター通過性も良かった。インキの性能も実施例1と同様であった。
【0052】
実施例3
実施例1のウレタンアクリレートオリゴマー(UV3200B(商品名)日本合成化学製)をエポキシアクリレートオリゴマー(バンビーム22C(商品名)ハリマ化成製)に代えた以外、実施例1と同様の方法で実験を行った。
カーボンブラックの平均分散粒径は122.7nmであり、得られたカプセル化顔料の平均粒径は131.8nmであった。また、沈降凝集物は4.3gであった。得られた水分散体のフィルター通過性も良かった。インキの性能も実施例1と同様であった。
【0053】
比較例1
実施例1のウレタンアクリレートオリゴマー(UV3200B(商品名)日本合成化学製)をヘキサデカンに代えた以外、実施例1と同様の方法で実験を行った。
カーボンブラックの平均分散粒径は142.7nmであり、得られたカプセル化顔料の平均粒径は146.2nmであった。また、沈降凝集物は3.1gであった。得られた水分散体のフィルター通過性は非常に悪かった。
得られたインキをPETシートに塗布し、加熱乾燥後、塗膜をティッシュで強く擦ったところ、僅かに擦れ落ちが見られた。
【0054】
比較例2
実施例1のウレタンアクリレートオリゴマー(UV3200B(商品名)日本合成化学製)を塩ビ・酢ビ共重合樹脂(ソルバインC5R(商品名) 日信化学工業製)代えた以外、実施例1と同様の方法で実験を行った。
カーボンブラックの平均分散粒径は123.2nmであり、得られたカプセル化顔料の平均粒径は147.1nmであった。また、沈降凝集物は7.8gと多かった。得られた水分散体のフィルター通過性は良かった。インキの性能も実施例1と同様であった。但し、濃度は非常に薄かった。
【0055】
実施例1〜3及び比較例1〜2の結果を表1にまとめた。
【0056】
【表1】
【0057】
注:表1中、略号及び符号は下記を意味する。
MMA:メチルメタクリレート。
平均粒径:0.2μm以上は×、0.2μm未満は○。
重合時凝集物:固形分量の20%以上が凝集した場合×、20%未満が凝集した場合○。
フィルター通過性: 10000G 1分間遠心分離の後、内径φ25mm平均孔径3μmのフィルター通過量が5cc以下の場合×、5ccより多い場合○。
塗膜性能:塗膜をティッシュで強く擦って塗膜が落ちる物×、落ちない物○。
【0058】
表1の結果から、実施例1〜3では、O/W型エマルションの油相を構成するモノマーとしてメチルメタクリレートを使用し、オリゴマーとして1分子中にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有するラジカル重合性オリゴマーを使用したので、各種性能に優れていた。これに対し、比較例1では、ラジカル重合性オリゴマーの代わりに非ラジカル反応性のヘキサデカンを使用したので、フィルター通過性と塗膜性能が劣っていた。比較例2では、ラジカル重合性オリゴマーの代わりに非ラジカル反応性の塩ビ・酢ビ共重合樹脂を使用したので、重合時の凝集物が多量に発生し、高濃度の顔料分散体が得られなかった。
【0059】
実施例4〜14
(1)顔料分散体の調製工程
表2に示す成分を同表に示す配合量で混合し、実施例1と同様にして、顔料分散体を得た。
【0060】
(2)O/W型エマルションの調製工程
表3に示す顔料分散体に,ラジカル重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)0.1gを加えた後、表3に示す乳化剤及び水(蒸留水)を表3に示す配合量で加え、超音波分散機にて乳化して、O/W型エマルションを得た。
【0061】
(3)O/W型エマルションの重合工程
上記(2)で作製したO/W型エマルションを窒素雰囲気下で攪拌しながら70℃に加熱し4時間反応させて、カプセル化顔料の微粒子の水分散体を作製した。
【0062】
(4)溶媒の除去工程
上記(3)で作製したカプセル化顔料の微粒子の水分散体をエバボレーターで減圧加熱して酢酸エチルを除去した。
【0063】
(5)保存安定性評価
上記(4)で得たカプセル化顔料の微粒子の水分散体を20000Gで6分間遠心分離し、凝集物・粗粒を除去した。得られた水分散体8gに対して、ジエチレングリコール(DEG)2g、テトラエチエングリコールモノブチルエーテル(TEGBE)2g、又は、DEG1g及びTEGBE1gの両者を添加し、70℃で1ヶ月放置し、粘度変化を測定した。初期粘度に比較して変化率が±5%以内のものは○、±5%より大きく20%以下のものは△、20%より大きいものは×として評価した。結果を表3に示す。
【0064】
(6)インクの製造工程
上記(4)で得たカプセル化顔料の微粒子の水分散体を10000Gで5分間遠心分離し、凝集物・粗粒を除去した後、3μmのフィルターを通した後、下記の成分を下記の割合で混合し、インクジェットインクとした。
上記で得られたカプセル化顔料の微粒子の水分散体 80部
ジエチレングリコール 10部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 9部
サーフィノール465(商品名;エアープロダクツジャパン製)1部
合計 100部
得られたインクを、市販のプリンタ(エプソン社製)にて吐出し、吐出可能な場合を○、吐出不能の場合を×として評価した。結果を表3に示す。
【0065】
(7)その他の物性
顔料粒径、エマルション粒径及びカプセル顔料粒径を下記の方法で測定し、その結果も表3に示した。
・顔料粒径
上記(1)で作製した顔料分散体を、堀場製作所製 粒度分布測定装置LB−500で測定して得た平均粒径である。
・エマルション粒径
上記(2)で作製したO/W型エマルションを、堀場製作所製 粒度分布測定装置LB−500で測定して得た平均粒径である。
・カプセル顔料粒径
上記(4)で作製した水分散体を10000Gで5分間遠心分離し、凝集物・粗粒を除去した後、3μmのフィルターを通した後、堀場製作所製 粒度分布測定装置LB−500で測定して得た平均粒径である。
【0066】
【表2】
【0067】
表2中の略号は下記を示す。
MA11:三菱化学製カーボンブラック「MA11(商品名)」
UV3200:日本合成化学製ウレタンアクリレートオリゴマー「UV3200(商品名)」
UV7510:日本合成化学製ウレタンアクリレートオリゴマー「UV7510(商品名)」分子量3500
UV7550:日本合成化学製ウレタンアクリレートオリゴマー「UV7550(商品名)」分子量2400
UV7600:日本合成化学製ウレタンアクリレートオリゴマー「UV7600(商品名)」分子量1400
MMA:和光純薬工業製メチルメタクリレート
1,9NAD:共栄社化学製1,9ノナンジアクリレート
M405:東亞合成株式会社製ジペンタエリスリトール ヘキサアクリレート
ソルスパース32000:ルーブリゾール社製顔料分散剤「ソルスパース32000(商品名)」
ソルスバース5000:ルーブリゾール社製顔料分散剤「ソルスパース5000(商品名)」
【0068】
【表3】
【0069】
表3中の略号は下記を示す。
(A):第一工業製薬製アニオン系反応性乳化剤「アクアロンKH−10(商品名)」
(B):第一工業製薬製アニオン系反応性乳化剤「アクアロンBC2020(商品名)」
(C):日本油脂製ノニオン系乳化剤「PE200(商品名)」反応性乳化剤
(D):日本油脂製ノニオン系乳化剤「AE400(商品名)」反応性乳化剤
(E):日本油脂製ノニオン系乳化剤「PME1000(商品名)」反応性乳化剤
【0070】
表3から、本発明によれば、保存安定性に優れ、水性インク用の顔料として好適なカプセル化顔料が得られることがわかる。また、実施例4〜11と実施例12〜14との対比から、多官能性ラジカル重合性モノマーと多官能性ラジカル重合性オリゴマーを併用することにより、グリコールエーテル系溶剤などの水溶性有機溶剤に対する耐性の高いカプセル化顔料が得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、平均粒径が小さく、PETシート等のプラスチックシートへの定着性に優れたカプセル化顔料の微粒子を提供するので、水性インクを用いた印刷の分野、特にインクジェット印刷の分野で利用できる。