(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外筒と、該外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、前記外筒の先端開口部を封止する封止部材と、前記外筒内に形成された薬剤収納部に収納された薬剤とからなるプレフィルドシリンジ本体と、前記ガスケットに装着されたもしくは装着可能なプランジャとからなるプレフィルドシリンジであって、
前記ガスケットは、先端が閉塞し後端が開口する筒状体であり、かつ、後端の開口より先端側に延びる内腔部を備えるガスケット本体と、前記ガスケット本体に取り付けられたプランジャ装着用部材とからなり、
前記ガスケット本体は、前記内腔部の内面に設けられたプランジャ装着用部材抜け止め用リブを備え、
前記プランジャ装着用部材は、先端より後端まで貫通した中空部を有し、前記ガスケット本体の前記内腔部内に収納可能な筒状体であり、外面に設けられ、前記ガスケット本体の前記プランジャ装着用部材抜け止め用リブと係合し、前記プランジャ装着用部材の前記ガスケット本体からの離脱を規制する外面突出部と、前記プランジャ装着用部材の内面より前記プランジャ装着用部材の中心方向に延び、前記プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有する弾性変形可能な複数の内部突出部とを備え、前記各内部突出部は、後端面より前記プランジャ装着用部材の後端方向に延びる変形規制用突出部を備え、かつ、前記各内部突出部は、先端方向に押されたとき先端方向に変形し、後端方向に押されたとき後端方向に変形するものであり、さらに、前記プランジャ装着用部材の他端は、前記ガスケット本体より突出しないものとなっており、
前記プランジャは、前記ガスケットに装着された状態において前記ガスケットの後端部を押圧可能な押圧部と、該押圧部より先端側に突出し、前記プランジャ装着用部材内に進入可能な先端部と、該先端部の外面に設けられ、前記プランジャ装着用部材の前記内部突出部と係合し、前記プランジャの前記プランジャ装着用部材からの離脱を規制する外面突起部とを備え、かつ、前記プランジャは、前記プランジャ装着用部材の後端側より、前記先端部を前記プランジャ装着用部材に進入させることにより、前記プランジャ装着用部材に装着されるものとなっており、
さらに、前記プランジャ装着用部材は、前記ガスケット本体のプランジャ装着用部材抜け止め用リブと前記プランジャ装着用部材の外面突出部とが係合した状態で前記ガスケット本体に装着されており、かつ、前記プランジャは、前記ガスケットに装着された状態において、前記プランジャの前記先端部が前記ガスケット本体の内面に接触しないものとなっており、かつ、前記プランジャ装着用部材の前記変形規制用突出部は、前記プランジャの牽引時の前記プランジャ装着用部材の前記内部突出部の後端方向への変形時に、前記プランジャ装着用部材の内壁に当接可能となっていることを特徴とするプレフィルドシリンジ。
前記プランジャ装着用部材の各内部突出部の前記プランジャ装着用部材の内面と接続する基端部は、前記内部突出部の他の部分に比べて易弾性変形部となっている請求項1に記載のプレフィルドシリンジ。
前記プランジャ装着用部材の各内部突出部の先端側の面は、前記プランジャ装着用部材の中心軸とほぼ直交する平坦面となっており、前記プランジャの前記外面突起部は、前記プランジャの先端部の中心軸とほぼ直交する平坦面となっており、前記プランジャ装着用部材の内部突出部の先端側の面は、前記プランジャの外面突起部の後端面と係合するプランジャ抜止用係止部を形成している請求項1または2に記載のプレフィルドシリンジ。
前記プランジャ装着用部材の各内部突出部の自由端の内面は、前記プランジャ装着用部材の中心軸を中心とする円弧面となっている請求項1ないし3のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
前記複数の内部突出部は、前記プランジャ装着用部材の中心軸に対してほぼ等角度となるように2つ以上設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
前記プランジャは、前記ガスケットに装着されており、前記プランジャ装着用部材の各内部突出部の自由端の内面は、装着された前記プランジャの先端部の外面と接触している請求項1ないし5のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
【背景技術】
【0002】
プレフィルドシリンジとしては、プランジャがガスケットに装着されておらず、使用時に装着するタイプのものと、プランジャが予めガスケットに装着されたタイプのものがある。
プランジャがガスケットに装着されているタイプのプレフィルドシリンジは、先端開口がシールされた外筒内に薬剤を充填した状態とし、減圧下雰囲気(真空下雰囲気)にて、ガスケットを外筒の開口部に配置し、その後、常圧状態とすることにより、ガスケットを外筒内に挿入させるといういわゆる真空打栓といわれる方法を用いてガスケットを挿入した後、プランジャをガスケットに装着することにより製造されている。プランジャが装着済みでは、外筒の開口部へのガスケットの配置が困難であるため、ガスケット単体にて上記の打栓作業が行われる。このため、プレフィルドシリンジとしては、その後のプランジャ装着作業を必要とするのが一般的である。また、プランジャがガスケットに装着されていないタイプのプレフィルドシリンジでは、使用時に使用者がプランジャをガスケットに装着する作業を行うものとなる。
【0003】
そして、プランジャのガスケットへの装着時に、プランジャをガスケットに圧入して装着すると、その圧力でガスケットまたは外筒のノズルから薬液が漏出することがある。そのため、プレフィルドシリンジでは、ガスケットとプランジャの結合形態として、ガスケット側に雌ねじをプランジャ側に雄ねじを設けた螺合によるものが多く用いられている。
また、プレフィルドシリンジは、シリンジポンプに装着されて使用されるケースも多い。シリンジポンプへのプレフィルドシリンジのセットは、例えば、外筒の基端部に設けられているフランジをシリンジポンプのホルダーに装着し、プランジャの基端に設けられている円盤部をシリンジポンプのスライダーの固定溝に装着される。そして、シリンジポンプの機種の中には、スライダーにプランジャの軸方向リブを係合させるための縦スリットを有するものがあり、このような機種に対しては、スライダーの縦スリットにプランジャのリブを適合させるためにプランジャを回転させて微調整することが必要となる。上述したような、螺合によりプランジャがガスケットに装着させるタイプのものでは、上記のプランジャの回転操作により、両者の螺合が緩む場合がある。
【0004】
そして、国際公開WO2006/087762(特許文献1)には、ルアーテーパー部5が形成されたバレル2の内部を摺動自在に閉塞すると共に内周側に空洞部10を備えるガスケット3と、プランジャロッド4とを備え、プランジャロッド4は錨部11を介してガスケット3に連結される。錨部11は、プランジャロッド4の軸方向に直交する面に対して5〜45°の角度で傾いたテーパー面からなる台座部18から突出して形成されて、ガスケット3先端の裏面側に当接する先端当接部22を備えると共に、外周側に遊嵌されガスケット3の内周壁に当接する当接部材12を備える。台座部18は先端当接部22と前記テーパー面との間に凹曲面20を備え、当接部材12は、凹曲面20に対向する部分に凸曲面28aを備え、バレル2は、内面側に螺条7を形成したロック筒6を備えるものが提案されている。
【0005】
また、特開2008−307237(特許文献2)では、内部に薬液が充填され、ガスケットが打栓されたプレフィルドシリンジであって、前記ガスケットの基端に螺合するカプラーと、前記カプラーの基端側より連結されるボトムロッドと、前記カプラーに形成されたストッパーと、前記ボトムロッドに形成された、前記ボトムロッドの螺合方向回転によって前記ストッパーと係合する係合部とを含み、前記ストッパーは、前記係合部に反螺合方向より当たると弾性変形して前記係合部と係合しないことを特徴とするプレフィルドシリンジが提案されている。
また、本願出願人は、特開2009−142508(特許文献3)において以下のものを提案している。注射器10は、ガスケット3と外筒2とプランジャ4とを備える。そして、プランジャ4は、ヘッド部42の外面に設けられた螺旋状リブ44を備え、ガスケットは、螺旋状リブと螺合するための螺旋状螺合部33と、螺旋状螺合部33の付近かつ先端側に位置するプランジャ抜け止め用環状リブ34と、プランジャのヘッド部の螺旋状リブ形成部位収納部32を備える。環状リブ34は、プランジャの螺旋状リブとガスケットの螺旋状螺合部との螺合の進行により、環状リブに到達した螺旋状リブを収納部に誘導するためのリブ欠損部35を備えている。
【0006】
特許文献2および3のものでは、プランジャのガスケットへの装着のためにプランジャを回転させる作業を必要とする。特許文献1のものでは、プランジャのガスケットへの装着のためにプランジャを回転させる作業を必要とせず、プランジャの先端部をガスケットに押し込むことにより装着可能である。しかし、装着作業時にプランジャの先端部がガスケットを変形させ液漏れを発生させる可能性が高い。また、プランジャの装着後においても、プランジャ押圧時にプランジャの先端部がガスケットを変形させ液漏れを発生させる可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、ガスケットへのプランジャの装着を押し込みによりかつガスケットに高い圧力を負荷することなく行うことができ、かつ、装着後にプランジャを回転させてもプランジャとガスケットの結合に緩みを与えることがなく、さらに、プランジャが傾倒してもガスケットに変形を与えにくいプレフィルドシリンジを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 外筒と、該外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、前記外筒の先端開口部を封止する封止部材と、前記外筒内に形成された薬剤収納部に収納された薬剤とからなるプレフィルドシリンジ本体と、前記ガスケットに装着されたもしくは装着可能なプランジャとからなるプレフィルドシリンジであって、前記ガスケットは、先端が閉塞し後端が開口する筒状体であり、かつ、後端の開口より先端側に延びる内腔部を備えるガスケット本体と、前記ガスケット本体に取り付けられたプランジャ装着用部材とからなり、前記ガスケット本体は、前記内腔部の内面に設けられたプランジャ装着用部材抜け止め用リブを備え、前記プランジャ装着用部材は、先端より後端まで貫通した中空部を有し、前記ガスケット本体の前記内腔部内に収納可能な筒状体であり、外面に設けられ、前記ガスケット本体の前記プランジャ装着用部材抜け止め用リブと係合し、前記プランジャ装着用部材の前記ガスケット本体からの離脱を規制する外面突出部と、前記プランジャ装着用部材の内面より前記プランジャ装着用部材の中心方向に延び、前記プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有する弾性変形可能な複数の内部突出部とを備え、前記各内部突出部は
、後端面より前記プランジャ装着用部材の後端方向に延びる変形規制用突出部を備え、
かつ、前記各内部突出部は、先端方向に押されたとき先端方向に変形し、後端方向に押されたとき後端方向に変形するものであり、さらに、前記プランジャ装着用部材の他端は、前記ガスケット本体より突出しないものとなっており、前記プランジャは、前記ガスケットに装着された状態において前記ガスケットの後端部を押圧可能な押圧部と、該押圧部より先端側に突出し、前記プランジャ装着用部材内に
進入可能な先端部と、該先端部の外面に設けられ、前記プランジャ装着用部材の前記内部突出部と係合し、前記プランジャの前記プランジャ装着用部材からの離脱を規制する外面突起部とを備え、
かつ、前記プランジャは、前記プランジャ装着用部材の後端側より、前記先端部を前記プランジャ装着用部材に進入させることにより、前記プランジャ装着用部材に装着されるものとなっており、さらに、前記プランジャ装着用部材は、前記ガスケット本体のプランジャ装着用部材抜け止め用リブと前記プランジャ装着用部材の外面突出部とが係合した状態で前記ガスケット本体に装着されており、かつ、前記プランジャは、前記ガスケットに装着された状態において、前記プランジャの前記先端部が前記ガスケット本体の内面に接触しないものとなっており、かつ、前記プランジャ装着用部材の前記変形規制用突出部は、前記プランジャの牽引時の前記プランジャ装着用部材の前記内部突出部の後端方向への変形時に、前記プランジャ装着用部材の内壁に当接可能となっているプレフィルドシリンジ。
【0010】
(2) 前記プランジャ装着用部材の各内部突出部の前記プランジャ装着用部材の内面と接続する基端部は、前記内部突出部の他の部分に比べて易弾性変形部となっている上記(1)に記載のプレフィルドシリンジ。
(3) 前記プランジャ装着用部材の各内部突出部の先端側の面は、前記プランジャ装着用部材の中心軸とほぼ直交する平坦面となっており、前記プランジャの前記外面突起部は、前記プランジャの先端部の中心軸とほぼ直交する平坦面となっており、前記プランジャ装着用部材の内部突出部の先端側の面は、前記プランジャの外面突起部の後端面と係合するプランジャ抜止用係止部を形成している上記(1)または(2)に記載のプレフィルドシリンジ。
(4) 前記プランジャ装着用部材の各内部突出部の自由端の内面は、前記プランジャ装着用部材の中心軸を中心とする円弧面となっている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
(5) 前記複数の内部突出部は、前記プランジャ装着用部材の中心軸に対してほぼ等角度となるように2つ以上設けられている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
(6) 前記プランジャは、前記ガスケットに装着されており、前記プランジャ装着用部材の各内部突出部の自由端の内面は、装着された前記プランジャの先端部の外面と接触している上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
(7)
前記プランジャ装着用部材は、前記ガスケット本体に装着された状態では、前記プランジャ装着用部材の前記中空部を形成する本体部は、前記ガスケット本体の前記プランジャ装着用部材抜け止め用リブと圧接せず、かつ、前記プランジャ装着用部材の前記外面突出部も前記ガスケット本体の前記内腔部の内面と圧接しないものとなっており、前記プランジャ装着用部材は、前記ガスケット本体に装着された状態において、前記ガスケット本体の内部にて回転可能もしくは若干の前後移動が可能である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のプレフィルドシリンジ。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプレフィルドシリンジでは、プランジャは、その先端部をプランジャ装着用部材内に押し込むことにより、プレフィルドシリンジ本体に装着することができ、装着時にプランジャを回転させる必要がない。そして、装着後のプランジャからのガスケットの離脱を確実に抑制することができ、かつ、装着されたプランジャを回転させてもその回転力は、ガスケット本体には伝達されず、ガスケットを変形させることがない。また、プランジャを傾倒させてもガスケットに変形が生じることが少なく、液漏れを生じにくいものとなっている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のプレフィルドシリンジについて、図面に示した実施例を用いて説明する。
本発明のプレフィルドシリンジ1は、外筒2と、外筒2内に摺動可能に収納されたガスケット3と、外筒2の先端開口部を封止する封止部材5と、外筒2内に形成された薬剤収納部に収納された薬剤8とからなるプレフィルドシリンジ本体10と、ガスケット3に装着されたもしくは装着可能なプランジャ4とからなる。
ガスケット3は、先端が閉塞し後端が開口する筒状体であり、かつ、後端の開口より先端側に延びる内腔部60を備えるガスケット本体6と、ガスケット本体6に取り付けられたプランジャ装着用部材7とからなる。ガスケット本体6は、内腔部60の内面に設けられたプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62を備える。
プランジャ装着用部材7は、ガスケット本体6の内腔部60内に収納可能な筒状体であり、外面に設けられ、ガスケット本体6のプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62と係合し、プランジャ装着用部材7のガスケット本体6からの離脱を規制する外面突出部73と、プランジャ装着用部材7の内面(言い換えれば、内周面)よりプランジャ装着用部材の中心方向に延び、プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有する弾性変形可能な複数の内部突出部75a,75b,75c,75dと、各内部突出部75a,75b,75c,75dの後端面よりプランジャ装着用部材7の後端方向に延びる変形規制用突出部76a,76b,76c,76dとを備える。
【0014】
プランジャ4は、ガスケット3に装着された状態において、
ガスケット本体6の後端部67を押圧可能な押圧部45と、押圧部45より先端側に突出し、プランジャ装着用部材7内に
進入可能な先端部42と、先端部42の外面に設けられ、プランジャ装着用部材7の内部突出部75a,75b,75c,75dと係合し、プランジャ4のプランジャ装着用部材7からの離脱を規制する外面突起部43とを備えている。
そして、プランジャ装着用部材7は、ガスケット本体6のプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62とプランジャ装着用部材7の外面突出部73とが係合した状態で装着されており、かつ、プランジャ4は、ガスケット3に装着された状態において、プランジャ4の先端部42の先端がガスケット本体6の内面に接触しないものとなっている。さらに、プランジャ装着用部材7の変形規制用突出部76a,76b,76c,76dは、プランジャ4の牽引時のプランジャ装着用部材7の内部突出部75a,75b,75c,75dのシリンジ1の後端方向への変形時に、プランジャ装着用部材7の内壁(言い換えれば、内面、内周面)に当接可能となっている。
【0015】
この実施例のプレフィルドシリンジ1は、プレフィルドシリンジ本体10と、プレフィルドシリンジ本体10(ガスケット3)に装着されたプランジャ4とからなる。
プレフィルドシリンジ本体10は、外筒2と、外筒2の先端開口部を封止する封止部材5と、外筒内に摺動可能に収納されたガスケット3と、外筒2内に形成された薬剤収納部に収納された薬剤8とを備える。
そして、ガスケット3は、ガスケット本体6と、ガスケット本体6に取り付けられたプランジャ装着用部材7とからなる。
ガスケット本体6は、
図1ないし
図7に示すように、閉塞した先端と、後端開口より先端側に延びる内腔部60を有する筒状体である。ガスケット本体6は、先端側に向かってテーパー状に縮径するテーパー部61を有する。また、ガスケット本体6は、外面の先端側に設けられた先端側環状リブ63と後端側に設けられた後端側環状リブ64を備えている。
【0016】
そして、ガスケット本体6は、内腔部60を備え、この内腔部60が、プランジャ装着用部材の収納部となっている。内腔部60は、その内面に、内腔部60の内面に設けられたプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62を備える。この実施例では、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62は、内腔部60の先端側に設けられている。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62は、ガスケット本体6の中心軸にほぼ直交する用に設けられた無端の環状リブとなっている。なお、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62は、環状リブであることが好ましいが、連続せず、かつ同じ円上に配置された複数のリブにより形成してもよい。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62の先端面は、内腔部60の内面より起立する環状起立面62aとなっている。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62の後端面は、後端方向に拡径する環状傾斜面62bとなっている。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62は、実質的に同じ内径にて所定長延びる同一内径部を備えることが好ましい。このような同一内径部を有することにより、プランジャが後端側に引かれた時に、プランジャ装着用部材のガスケット本体からの離脱を確実に防止できる。プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62の高さは、0.5〜2.0mmであることが好ましく、特に、1.0〜1.5mmであることが好ましい。また、プランジャ装着用部材抜け止め用リブ62の同一内径部の長さは、1.0〜6.0mmであることが好ましく、特に、2.0〜4.0mmであることが好ましい。
【0017】
さらに、ガスケット本体6は、先端部内面の中央部に後端側に突出する突起部66を備えている。この突起部66は、ガスケット本体6の先端部が後端側に変形したときに、プランジャ4の先端部42の先端に当接可能なものとなっており、ガスケット本体6の先端部の過剰な変形を防止する。突起部66は、略半球状であることが好ましい。ガスケット本体6は、直径が5〜30mm、全長が5〜30mm程度のものが一般的である。また、ガスケット本体6は、後端面に環状平板部を備え、さらにその表面に後端側に突出する複数のリブ68が設けられている。このリブ68は、プランジャ4の押圧部45の表面に接触可能かつ押圧可能となっている。この実施例では、複数(3〜8程度が好ましいく、この実施例では、4つ)のリブ68は、ガスケット本体6の中心軸に対して、等角度となるように配置されている。
ガスケット本体6の構成材料としては、従来からガスケットに使用されている公知のものが使用できる。例えば、ゴム、エラストマー、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂が挙げられる。ゴムとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムが好ましく、特に、加硫処理したものが好ましい。エラストマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー及びこれらの混合物が好ましい。上記ゴム、エラストマーの中でも、特に、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン系エラストマーが、好適な硬度、弾性特性を有し、γ線滅菌、電子線滅菌、高圧蒸気滅菌などの各種滅菌方法が採用可能であることから好ましい。
【0018】
また、ガスケット本体の先端側部分に低薬剤吸着性物質等を被覆したものであってもよい。
低薬物吸着層の材質としては、従来からラミネートガスケットに使用されている公知のものが使用できる。低薬物吸着層の材質としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂が挙げられる。具体的に、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、超高分子量ポリエチレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、環状ポリオレフィン等が好ましく、フッ素系樹脂としては、四フッ化エチレン−パーフルオロエトキシエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が好ましい。
また、ガスケット本体6の外面、少なくとも先端側環状リブ63および後端側環状リブ64の表面に潤滑剤の塗布を行うことが好ましい。また、潤滑剤は、外筒の内面に塗布してもよい。潤滑剤としては、シリコーンオイルが好適である。
また、ガスケット本体表面に、当該表面にて固化することにより形成されたシリコーン系樹脂層を設けることにより、シリコーンオイル等の潤滑剤を用いないものであってもよい。
【0019】
プランジャ装着用部材7は、
図2、
図4、
図8ないし
図12に示すように、先端より後端まで貫通した中空部を有する筒状体である。プランジャ装着用部材7は、ガスケット本体6の内腔部60内に収納可能な本体部71と、本体部71の外面に設けられた外面突出部73と、弾性変形可能な複数の内部突出部75a,75b,75c,75dと、各内部突出部75a,75b,75c,75dの後端面よりプランジャ装着用部材7の後端方向に延びる変形規制用突出部76a,76b,76c,76dとを備える。
外面突出部73は、ガスケット本体6のプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62と係合し、プランジャ装着用部材7のガスケット本体6からの離脱を規制するものである。この実施例のプランジャ装着用部材7では、本体部71の先端部外面(具体的には、先端外面)に設けられ、プランジャ装着用部材7の中心軸にほぼ直交する環状突出部となっている。そして、外面突出部(外面環状突出部)73の後端面は、本体部71の外面より起立する環状起立面73aとなっている。なお、外面突出部73としては、環状のものに限定されるものではなく、連続しない複数の突出部からなるものであってもよい。外面突出部73の高さは、0.5〜2.0mmであることが好ましく、特に、1.0〜1.5mmであることが好ましい。そして、プランジャ装着用部材7の外面突出部73部分におけるプランジャ装着用部材7の外径は、ガスケット本体6のプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62における内径より、1.0〜4.0mm大きいものであることが好ましく、特に2.0〜3.0mm大きいものであることが好ましい。
【0020】
また、プランジャ装着用部材7は、
図4、
図9ないし
図12に示すように、プランジャ装着用部材7(本体部71)の内面の軸方向中央部よりプランジャ装着用部材7の中心方向に延び、プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有する弾性変形可能な複数の内部突出部75a,75b,75c,75dを備えている。そして、各内部突出部75a,75b,75c,75dの自由端部分の先端面が、後述するプランジャ4の外面突起部43の後端面43aと係合するプランジャ抜止用係止部を形成している。本体部71は、ほぼ同一外径にて所定長延びる円筒部であり、後述するプランジャ4の先端部42を収納する。
【0021】
そして、この実施例のプランジャ装着用部材7では、各内部突出部75a,75b,75c,75dは、プランジャ装着用部材7(本体部71)の軸方向中央部の内面より、プランジャ装着用部材の中心軸にほぼ直交するとともにプランジャ装着用部材7の中心方向に延びるものとなっている。また、各内部突出部75a,75b,75c,75dは、プランジャ装着用部材の中心に到達しない位置にて自由端を有するものとなっている。また、プランジャ装着用部材7の内部突出部75a,75b,75c,75dのプランジャ装着用部材の内面と接続する基端部77a,77b,77c,77dは、内部突出部75a,75b,75c,75dの他の部分に比べて易弾性変形部となっている。具体的には、プランジャ装着用部材の内面と接続する基端部77a,77b,77c,77dは、内部突出部75a,75b,75c,75dの他の部分に比べて幅が狭く弾性変形し易いものとなっている。なお、プランジャ装着用部材の内面と接続する基端部77a,77b,77c,77dは、内部突出部75a,75b,75c,75dの他の部分に比べて肉厚が薄いものとし、易弾性変形としてもよい。
そして、この実施例のプランジャ装着用部材7では、プランジャ抜止用係止部は、上述したように各内部突出部75a,75b,75c,75dの自由端部分の先端側の面にて形成されている。そして、プランジャ抜止用係止部(自由端部分の先端側の面)は、プランジャ装着用部材7の中心軸とほぼ直交する平坦面となっている。
複数の内部突出部は、プランジャ装着用部材7の中心軸に対してほぼ等角度となるように2つ以上設けられていることが好ましい。特に、複数の内部突出部の数としては、3〜8が好ましい。
【0022】
また、プランジャ装着用部材の各内部突出部は、弾性変形可能なものであり、先端方向に押されたとき先端方向に変形し、後端方向に押されたとき後端方向に変形するものである。
そして、プランジャ装着用部材7は、各内部突出部75a,75b,75c,75dの後端面よりプランジャ装着用部材7の後端方向に延びる変形規制用突出部76a,76b,76c,76dを備える。変形規制用突出部76a,76b,76c,76dは、内部突出部75a,75b,75c,75dの後端面よりプランジャ装着用部材7の軸方向にほぼ平行に延びるものとなっている。そして、この変形規制用突出部76a,76b,76c,76dは、プランジャ装着用部材7の内部突出部75a,75b,75c,75dが後端方向に押され変形したときに、プランジャ装着用部材の内壁に当接し、プランジャ装着用部材の内部突出部75a,75b,75c,75dの過剰変形を規制するものとなっている。この変形規制用突出部76a,76b,76c,76dを有することにより、プランジャ4のプランジャ装着用部材7からの離脱を確実に抑制可能となっている。
また、
図13に示す実施例のプランジャ装着用部材7aのように、変形規制用突出部76a,76b,76c,76dの内面(内側面)を内部突出部75a,75b,75c,75dの自由端に向かって傾斜する傾斜面78a,78b,78c,78dとしてもよい。このようにすることにより、プランジャ4の係合部のプランジャ装着用部材の係止部との係合が容易なものとなる。
【0023】
また、プランジャ装着用部材7の各内部突出部75a,75b,75c,75dの自由端の内面は、プランジャ装着用部材7の中心軸をほぼ中心とする円弧面であることが好ましい。
そして、プランジャ装着用部材7は、
図4に示すように、ガスケット本体6のプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62とプランジャ装着用部材7の外面突出部73とが係合した状態で装着されている。また、ガスケット本体6に装着されたプランジャ装着用部材7は、その後端がガスケット本体6より突出しないもの、言い換えれば、プランジャ装着用部材7は、ガスケット本体6に装着された状態において、その基端が、ガスケット本体の基端より所定長先端側に位置するものとなっている。さらに、プランジャ装着用部材7がガスケット本体6に装着された状態では、プランジャ装着用部材7の本体部71は、ガスケット本体6のプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62と圧接せず、かつ、プランジャ装着用部材7の外面突出部73もガスケット本体61の内腔部60の内面と圧接しないものとなっている。このため、プランジャ装着用部材7は、ガスケット本体6に装着された状態において、内部に
て回転可能、若干の前後移動可能となっている。本体部71におけるプランジャ装着用部材7の外径は、ガスケット本体6のプランジャ装着用部材抜け止め用リブ62の内径より、1.0〜4.0mm大きいものであることが好ましく、特に、2.0〜3.0mm大きいものであることが好ましい。
プランジャ装着用部材7の構成材料としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の硬質もしくは半硬質樹脂を用いることが好ましい。
【0024】
プランジャ4は、
図1,
図2、
図14ないし
図16に示すように、プランジャ本体部41と、ガスケット3に装着された状態において、
ガスケット本体6の後端部を押圧可能な押圧部45と、押圧部45より先端側に突出し、プランジャ装着用部材7の中空部内に
進入可能な先端部42と、先端部42の外面に設けられ、プランジャ装着用部材7のプランジャ抜止用係止部を構成する各内部突出部75a,75b,75c,75dの自由端部分の先端側の面と係合する外面突起部43とを備えている。先端部42は、筒状先端部、棒状先端部、柱状先端部などがこのましく、特に、筒状先端部が好適である。
プランジャ4は、先端部42をプランジャ装着用部材7の中空部内に押し込むことにより、プランジャ装着用部材7に装着可能となっている。また、プランジャ4は、ガスケット3に装着された状態において、プランジャの先端部42がガスケット本体6の内面に接触しないものとなっている。
押圧部45は、プランジャ本体部41の先端に位置し、円盤状に形成されている。また、プランジャ本体部41は、
図14および
図16に示すように十字状に形成されており、その先端に押圧部45が設けられ、後端に円盤状の後端押圧部47が設けられ、その途中に補強用リブ48を有している。
プランジャ4の構成材料としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の硬質もしくは半硬質樹脂を用いることが好ましい。
【0025】
そして、この実施例のプランジャ4では、プランジャ装着用部材7の内部突出部75a,75b,75c,75dの自由端部分の先端側の面と係合する外面突起部43は、先端部42の先端部外面(具体的には、先端外面)に設けられ、プランジャ4の先端部42の中心軸にほぼ直交する環状外面突起部により形成されている。そして、外面突起部(外面環状突起部)43の後端面は、先端部42の外面より起立する環状起立面となっている。なお、外面突起部43としては、環状のものに限定されるものではなく、連続しない複数の突起部からなるものであってもよい。外面突起部43の高さは、0.3〜1.5mmであることが好ましく、特に、0.5〜1.0mmであることが好ましい。そして、外面突起部43部分における外径は、プランジャ装着用部材7の各内部突出部75a,75b,75c,75dの自由端の内面が形成する円の直径より、0.5〜3.0mm大きいものであることが好ましく、特に、1.0〜2.0mm大きいものであることが好ましい。
プランジャ4の外面突起部43を含む先端部42がプランジャ装着用部材7の中空部に押し込まれることにより、外面突起部43部分が、プランジャ装着用部材7の内部突出部75a,75b,75c,75dを押圧し、弾性変形させることにより、外面突起部43部分は、内部突出部75a,75b,75c,75dを通過し、その後、内部突出部75a,75b,75c,75dが元の形状に復元もしくはほぼ復元することにより、外面突起部43の後端面部分と内部突出部75a,75b,75c,75dの自由端部分の先端側の面とが係合する。これにより、プランジャ4のプランジャ装着用部材7からの離脱が規制される。
【0026】
また、この実施例のプランジャ4では、プランジャ装着用部材7に装着された状態では、プランジャ装着用部材7の各内部突出部75a,75b,75c,75dの自由端の内面は、プランジャ4の先端部42の外面と接触している。また、プランジャ装着用部材7に装着された状態では、
図17に示すように、プランジャ装着用部材7の各内部突出部75a,75b,75c,75dの自由端の内面はプランジャ4の先端部42の外面と圧接し、若干拡がる方向に押圧されたものであってもよい。このようにすることにより、ガスケットのガタツキが少ないものとなる。
また、この実施例のプレフィルドシリンジでは、
図1、
図2及び
図17に示すように、ガスケット3は、外筒の基端より所定長先端側に位置し、装着されたプランジャ4の押圧部45が、外筒内に位置するものとなっている。このため、装着されたガスケットの傾きを抑制している。
【0027】
外筒2は、外筒本体部21と、外筒本体部21の先端部に設けられたノズル部22と、外筒本体部21の後端部に設けられたフランジ24を備える。
外筒本体部21は、ガスケット3を液密かつ摺動に収納するほぼ筒状の部分であり、ノズル部22は、外筒本体部21より小径の筒状部となっている。また、外筒本体部21の先端部(肩部)は、ノズル部22に向かってテーパー状に縮径している。
外筒2は、透明もしくは半透明材料により、好ましくは、酸素透過性、水蒸気透過性の少ない材料により形成された筒状体である。
フランジ24は、
図1および
図18に示すように、外筒本体部21の後端全周より垂直方向に突出するように形成された楕円ドーナツ状の円盤部である。フランジ24は、向かい合う幅広となった2つの把持部を備え、さらに、把持部の先端面側には、複数のリブが形成されている。また、フランジ24の後端面は、周縁および外筒後端部がリブ部分以外となる部分は凹部となっている。
ノズル部22は、
図18に示すように、先端に向かって縮径する注射針装着用部を備えている。また、本実施例では、チップ部より後端側に設けられたノズル側螺合部23を備えている。本実施例では、ノズル側螺合部23により封止部材5を取り付けているが、他の公知の手段によって封止部材5を取り付けてもよい。
また、この実施例では、
図18に示すように、ノズル部は、チップの基端と外筒本体部21間に設けられたノズル基部25を備えている。そして、ノズル基部25の側面には、ノズル側係合部26を備えている。ノズル側係合部26は、リブにより形成されている。
【0028】
外筒2の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。また、外筒2の形成材料としては、密封性を高めるために、封止部材より相対的に硬度が高い樹脂を使用することが好ましい。このようにすると、ノズル部22への封止部材5の取り付けの際、螺合操作に伴って封止部材5がノズル部22に密着し、より密封性を高めることができる。
シリンジ本体10内に充填される薬液8としては、どのようなものでもよいが、例えば、高濃度塩化ナトリウム注射液、ミネラル類、ヘパリンナトリウム水溶液、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、シクロスポリン、ベンゾジアゼピン系薬剤、抗生物質、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリンのような抗血栓剤、インスリン、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正用電解質、抗ウイルス剤、免疫賦活剤等、いかなるものでも良い。特に、シリンジポンプにセットされて、持続的微量投与が必要である薬液が好ましい。
【0029】
次に、封止部材5について説明する。
封止部材5としては、シールキャップまたは注射針(図示せず)のいずれを用いてもよい。シールキャップまたは注射針としては、公知のものが用いられる。
本実施例における封止部材5は、
図19に示すように、閉塞部53を有する内筒部52と、内筒部52を取り囲むように形成された外筒部51と、内筒部52と外筒部51とを連結する連結部55とからなるシールキャップである。封止部材5では、内筒部52と外筒部51は、後端部の全周にて連結部55により一体化している。
封止部材5は、
図19に示すように、外筒2のノズル部22の注射針装着用チップ部を収納するチップ部収納部57と、ノズル側螺合部23と螺合するキャップ側螺合部54と、チップ部の先端開口面に当接し先端開口を封止するシール部材56とを備える。内筒部52の基端部は、ほぼ同一内径の円柱状空間であり、内面には、ノズル側係合部23と係合するキャップ側螺合部54が設けられている。この実施例では、キャップ側螺合部54は、2本の螺旋状のものとなっている。シール部材の形成材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等を使用することが好ましい。
また、この実施例では、
図19に示すように、封止部材5は、基端開口部の内面に形成され、外筒のノズル側係合部26と係合可能な封止部材側係合部58を備えている。封止部材側係合部58は、二つのリブ間により形成された凹部により構成されている。
封止部材5をシールキャップとした場合の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。
【0030】
次に、本発明のプレフィルドシリンジ1の作用を
図17を用いて説明する。
プレフィルドシリンジ本体10は、外筒2の後端部内にガスケット3を収納した状態となっている。
図17に示すように、プランジャ4をその先端部42から外筒2内に挿入させ、プランジャ4の先端部42をプランジャ装着用部材7の中空部内に進入させ、さらに、押し込むことにより、プランジャ4の先端部42の外面突起部43部分が、プランジャ装着用部材7の内部突出部75a,75b,75c,75dを押圧し、弾性変形させることにより、内部突出部75a,75b,75c,75dを通過し、その後、内部突出部75a,75b,75c,75dが元の形状に復元もしくはほぼ復元することにより、外面突起部43の後端面部分と内部突出部75a,75b,75c,75dの自由端部分の先端側の面とが係合する。これにより、プランジャ4のプランジャ装着用部材7からの離脱が規制される。また、この実施例のプランジャ4では、プランジャ装着用部材7に装着された状態では、若干前後に移動可能となっている。そして、プランジャ4を強く後方に引くと(言い換えれば、後方に牽引すると)、プランジャ4の外面突起部43の後端面43aにより、内部突出部75a,75b,75c,75dが後方に押され、湾曲し、これにより、変形規制用突出部76a,76b,76c,76dの先端(後端)が、プランジャ装着用部材7の内壁に当接し、それ以上のプランジャ4の後方への移動を規制するとともに、プランジャ装着用部材の内部突出部75a,75b,75c,75dの過剰変形を規制するものとなっている。
そして、このプレフィルドシリンジでは、プランジャを回転させることなく単に押し込むことにより、その装着を行うことができる。また、装着後のプランジャはプランジャ装着用部材7により離脱しないものとなっている。また、装着後のプランジャ4を回転させたとき、プランジャ4のみがプランジャ装着用部材7内に回転するもしくは、追従してプランジャ装着用部材7も回転する可能性があるが、プランジャ4の回転がガスケット本体6に伝達されないものとなっている。