【文献】
佐竹久史,他3名,“新規プリドープ技術の開発”,第51回電池討論会講演要旨集,社団法人電気化学会電池技術委員会,2010年11月 8日,P.251
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記乾燥工程において、水分が100ppm以下の雰囲気で、リチウムをドープ可能な材料に対し溶剤が30%以下10%以上となるように乾燥させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプリドープ型電極の製造方法。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話に代表される小型携帯機器用の電源、深夜電力貯蔵システム、太陽光発電に基づく家庭用分散型蓄電システム、電気自動車のための蓄電システムなどに関連して、各種の高エネルギー密度電池の開発が精力的に行われている。特に、リチウムイオン電池は、350Wh/lを超える体積エネルギー密度を有すること、金属リチウムを負極として用いるリチウム二次電池に比べて、安全性、サイクル特性などの信頼性が優れることなどの理由により、小型携帯機器用の電源として、その市場が飛躍的に拡大している。リチウムイオン電池は、正極活物質としてLiCoO
2、LiMn
2O
4などに代表されるリチウム含有遷移金属酸化物を用い、負極活物質として黒鉛に代表される炭素系材料を用いている。現在、リチウムイオン電池のより一層の高容量化が進められているが、実用化されている正極酸化物及び負極炭素系材料の改良による高容量化は、ほぼ限界に達しており、機器側からの高エネルギー密度に対する要求を満たすことは困難である。また、高効率エンジンと蓄電システムとの組み合わせ(例えば、ハイブリッド電気自動車)、あるいは燃料電池と蓄電システムとの組み合わせ(例えば、燃料電池電気自動車)において、エンジンあるいは燃料電池が最大効率で運転するためには、一定出力での運転が必須であり、負荷側の出力変動あるいはエネルギー回生に対応するために、蓄電システム側には高出力放電特性、高率充電特性が要求されている。この要求に対応するため、蓄電システムにおいては高エネルギー密度を特徴とするリチウムイオン電池の高出力化あるいは高出力を特徴とする電気二重層キャパシタの高エネルギー密度化に向けたリチウムイオンキャパシタの研究開発が実施されている。
【0003】
一方、リチウムイオン電池あるいはキャパシタなどの蓄電デバイスにおいて、活物質にあらかじめリチウムイオンを担持させること(以下、プリドープと呼ぶ)により、蓄電デバイスを高容量化、高電圧化する技術が注目されている。例えば非特許文献1、特許文献1、非特許文献2、非特許文献3などに記載されているポリアセン系骨格構造を含有する不溶不融性基体などの高容量材料に対し、このプリドープを適用することにより、非特許文献4に記載されているように、その特徴(高容量)を充分に活かした蓄電デバイス設計が可能となり、上記蓄電デバイスの高エネルギー密度化あるいは高出力化の要求に応えることが可能となる。プリドープは古くから実用化されている技術であり、例えば、非特許文献5、特許文献2には、リチウムを負極活物質であるポリアセン系骨格構造を含有する不溶不融性基体にプリドープさせた、高電圧かつ高容量な蓄電デバイスが開示されている。リチウムのプリドープは、プリドープする電極を作用極とし、対極としてリチウム金属を用いる電気化学システムを組み立て、電気化学的にドーピングすることが可能であるが、この方法では、プリドープした電極を電気化学システムから取り出し、電池、キャパシタに組み替えることが必要である。そこで、実用的なプリドープ法として、活物質を含有する電極にリチウム金属箔を貼り付けることにより接触させ、電解液注液後、リチウムを活物質内にドープする方法が長く用いられてきた。この技術は電極数が少なく、比較的厚い電極を用いるコイン型電池などに有効であるが、薄い電極を複数枚積層する積層型構造電池、あるいは、巻回型構造電池においては、工程が煩雑になる、あるいは、薄型リチウム金属の取り扱いなどに課題があり、簡便かつ実用的なプリドープ法が必要であった。
【0004】
この問題を解決する方法として、特許文献3〜6には、孔開き集電体を用いるプリドープ法が開示されている(孔開箔法)。例えば、特許文献3には、表裏面を貫通する孔を備え、負極活物質がリチウムを可逆的に担持可能であり、負極由来のリチウムが負極あるいは正極と対向して配置されたリチウムとの電気化学的接触により担持され、かつ、該リチウムの対向面積が負極面積の40%以下であることを特徴とする有機電解質電池が開示されている。この電池では貫通孔を備えた集電体上に電極層を形成し、電池内に配置されたリチウム金属と負極を短絡することにより、電解液注液後、リチウムイオンが集電体の貫通孔を通過し、すべての負極にドープされる。特許文献3の実施例には、貫通孔を備えた集電体にエキスパンドメタルを用い、正極活物質にLiCoO
2、負極活物質にポリアセン系骨格構造を含有する不溶不融性基体を用いた有機電解質電池が開示されており、該負極活物質には、電池内に配置されたリチウム金属からリチウムイオンを簡便にプリドープすることができる。
また、電極内にリチウム金属粉末を混合する、あるいは、特許文献7に記載されているようにリチウム金属粉末を負極上に均一に分散させ、注液後、電極上で局部電池を構成し電極内に均一に吸蔵する方法が開示されている。更に、特許文献8には、負極中にポリマー被覆Li微粒子を混合し負極を製造し、キャパシタを組み立て後、電解液を含浸させることにより、ポリマー被覆Li微粒子のうちポリマー部分を電解液に溶出させ、Li金属と負極のカーボンを導通(短絡)させることにより負極のカーボン中にLiをドープさせる方法も開示されている。
【0005】
上記プリドープ技術は、いずれも、電池、キャパシタを組み立て後、電解液を注液することにより、セル内でプリドープを開始させる技術である。一方、n−ブチルリチウムをヘキサンなどの有機溶剤に溶解した溶液中に電極材料を浸漬して、リチウムを電極材料に反応させ、リチウム化した電極材料で電極を作製する技術(特許文献9)、Tow−Bulb法と呼ばれる手法でリチウムを気相状態でリチウムと黒鉛を反応させ黒鉛にリチウムを含有させる方法(特許文献10)、メカニカルアロイング法でリチウムを機械的に合金化する方法(特許文献10)が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のごとく、リチウムイオン電池の高出力化あるいはキャパシタの高エネルギー密度化に向けた開発においてプリドープ技術は重要であり、様々な方法のプリドープ法が提案されている。現在、実用性が高いと考えられているプリドープ技術(孔開箔法)を
図1、従来のプリドープを実施しない電極、電池製造法を
図2で説明する。まず、電極製造工程では、貫通孔を備えた集電体を用いる場合には、孔開箔集電体(特殊箔)に電極を塗布するという工程が必要となり、
図2の従来工程と異なる。また、セル製造工程では、活物質を含む電極とリチウムを、電気的回路を介して短絡させた状態で電池を組み立て、電解液を注液することにより、セル内でプリドープを実施する。この場合、全体に均一にドープするためには、1日〜数週間のエージングを含むプリドープ工程が必要であり、
図2の従来工程と異なり、多くの時間と手間を必要とすること、更には、電池内に組み込まれる金属リチウムが完全にプリドープされず残る、あるいは、プリドープにより消失したリチウム部分が隙間となり電池の内部抵抗などに影響を与えるという課題があった。また、電極にリチウム金属箔を貼り付ける方法は均一性が比較的高いが、30μm以下の極薄リチウム金属箔の厚み精度、取り扱いの課題など、製造上解決していかなければならない課題も多く含んでいる。
【0009】
一方、背景技術に記載されるように、アルキルリチウムをヘキサンなどの有機溶剤に溶解した溶液中に活物質を浸漬させ活物質に直接プリドープすれば、均一なプリドープが可能となるが、リチウム源にリチウム金属を用いる場合に比べ、大量の含リチウム試薬や大量の溶剤が必要となること、反応後、有機溶剤を除去し活物質を取り出す、残試薬を分離するなど、非常に煩雑な工程が必要となる。また、Tow−Bulb法(気相)、メカニカルアロイング法(固相)でのドープは、その条件が煩雑であること、特殊かつ大掛かりな装置が必要であること、更には、プリドープする材料が高温に曝される、あるいは、過激な力での粉砕による材料構造の破壊などの致命的課題があり、実用に供することは困難であった。本発明の目的はこれら課題を解決する、簡便、かつ、実用的なプリドープ型電極の製造方法を提供することにある。この方法を用いることでリチウムをプリドープした電極が簡便に量産可能となり、電極製造時にプリドープ電極が得られることにより、既存工程を大きく変更することなく、セルの製造が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の様な従来技術の問題点に留意しつつ研究を進めた結果、電極作製工程において、リチウムをドープ可能な材料とリチウム金属を、溶剤の存在下において混合することにより、リチウムをドープ可能な材料にリチウムをプリドープでき、かつ、このプリドープ法を用いた実用的な電極の製造法を見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、以下の構成からなることを特徴とし、上記課題を解決するものである。
【0011】
(1) [1]リチウムをドープ可能な材料及び
0.5mm以下0.01mm以上の厚みを有する箔状リチウム金属、あるいは、0.5mm以下0.01mm以上の厚みを有する箔を細かく切断したリチウム金属、あるいは、粒径が0.5mm以下0.05mm以上の粒状リチウム金属を
電解質塩を含まない溶剤の存在下で混
練混合し、塗布可能なスラリーを調整するプリドープ及びスラリー調整工程、[2]集電体上への前記スラリーを塗布する塗布工程、[3]前記集電体上へ塗布したスラリーを乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とするプリドープ型電極の製造方法。
(2) [1]リチウムをドープ可能な材料及び
0.5mm以下0.01mm以上の厚みを有する箔状リチウム金属、あるいは、0.5mm以下0.01mm以上の厚みを有する箔を細かく切断したリチウム金属、あるいは、粒径が0.5mm以下0.05mm以上の粒状リチウム金属を
電解質塩を含まない溶剤の存在下で混
練混合し、リチウムをドープ可能な材料にリチウムをドープするプリドープ工程、[2]前記工程の混合物にバインダーを添加、溶剤を添加または蒸発させ、塗布可能なスラリーを調整するスラリー調整工程、[3]集電体上への前記スラリーを塗布する塗布工程、[4]前記集電体上へ塗布したスラリーを乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とするプリドープ型電極の製造方法。
(3) 水分が30ppm以下の雰囲気で、前記乾燥工程が行われることを特徴とする前記(1)
または前記(2)に記載のプリドープ型電極の製造方法。
(4) 前記乾燥工程において、水分が100ppm以下の雰囲気で、リチウムをドープ可能な材料に対し溶剤が30%以下10%以上となるように乾燥させることを特徴とする前記(1)
または前記(2)に記載のプリドープ型電極の製造方法。
(5) 前記(1)〜
(4)の
いずれかに記載のプリドープ型電極の製造方法により得られる電極を用いた蓄電デバイス。
【発明の効果】
【0012】
本発明のプリドープ型電極の製造方法は、電気化学的手法を用いず、リチウムをドープ可能な材料に、電極製造時に、簡便かつ均一にリチウムをドープ可能であり、プリドープ型電極を用いることにより、既存セル製造工程を大きく変更することなく、セルの製造が可能となるという効果を奏する。また、この製造方法でリチウムをプリドープした材料を用いた電極を製造することにより、あるいは、このプリドープ型電極用いて蓄電デバイスを製造することにより、従来、問題となっていた段落〔0008〕〜段落〔0009〕に記載の課題を解決することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について、説明すれば以下の通りである。本発明のプリドープ型電極の製造方法は、リチウムをドープ可能な材料とリチウム金属を溶剤の存在下、混
練混合するという新規なプリドープ法を用い、電極製造時にリチウムをプリドープすることを特徴とする。本発明におけるリチウムをドープ可能な材料とは、リチウムをドーピング(インターカレーション、挿入、吸蔵、担持、合金化など種々の言葉で表現されるが、これらを総称して、本発明ではドーピングと記載する)できる材料であれば、特に限定されるものではないが、例えば、負極活物質に用いるリチウムをドープ可能な材料としては、リチウム系二次電池、キャパシタなどのリチウムイオンを含む電解質を用いる蓄電デバイスの負極活物質用材料として報告されている材料が挙げられ、具体的には、ポリアセン系骨格構造を含有する不溶不融性基体などの水素/炭素の原子比が0.05〜0.5であるような多環芳香族系炭化水素、炭素系物質、黒鉛系物質、導電性高分子、錫あるいはその酸化物、ケイ素あるいはその酸化物などを用いることができ、リチウムのドープ、脱ドープの効率が85%以下である材料に対して効果が大きい。また、正極活物質に用いるリチウムをドープ可能な材料としては、例えば、リチウム系二次電池、キャパシタなどのリチウムイオンを含む電解質を用いる蓄電デバイスの正極活物質として報告されている材料が挙げられ、具体的には、リチウムをドーピング可能な金属酸化物、金属硫化物、導電性高分子、硫黄、炭素系材料などであり、中でも、特に、炭素系材料、五酸化バナジウム、二酸化マンガン、二硫化モリブデン、硫化鉄などのリチウムをドーピング可能であるがリチウムを含まない材料に対して、本発明の効果が大きい。
【0015】
リチウムをドープ可能な材料の形態は、特に限定されるものではないが、球状粒子、不定形粒子、繊維状などから適宜選択されるものであり、リチウムをプリドープ後、粉砕などの工程を経ることなく電極製造に用いることが可能な形態が好ましく、電極の厚み、密度(気孔率)あるいは目的とする蓄電デバイスの入出力特性、信頼性、安全性などを考慮して決定される。例えば、球状粒子、不定形粒子の場合の平均粒径、あるいは、繊維状材料の平均繊維長さは、通常50μm以下であり、より好ましくは30μm以下、0.1μm以上である。
【0016】
本発明のプリドープ型電極の製造方法は、(a)[1]リチウムをドープ可能な材料及びリチウム金属を溶剤の存在下で混
練混合し、塗布可能なスラリーを調整するプリドープ及びスラリー調整工程、[2]集電体上への前記スラリーを塗布する塗布工程、[3]前記集電体上へ塗布したスラリーを乾燥する乾燥工程、または(b)[1]リチウムをドープ可能な材料及びリチウム金属を溶剤の存在下で混
練混合し、リチウムをドープ可能な材料にリチウムをドープするプリドープ工程、[2]前記工程の混合物にバインダーを添加、溶剤を添加または蒸発させ、塗布可能なスラリーを調整するスラリー調整工程、[3]集電体上への前記スラリーを塗布する塗布工程、[4]前記集電体上へ塗布したスラリーを乾燥する乾燥工程を含み、(a)の[1]のプリドープ及びスラリー調整工程または(b)の[1]のプリドープ工程では、リチウムをドープ可能な材料とリチウム金属を溶剤の存在下、混
練混合するという新規なプリドープ法を用い、電極製造時にリチウムをプリドープすることを特徴としている。すなわち、このプリドープ法は、上述のリチウムをドープ可能な材料、塊状、箔状、粒状、粉状、繊維状などの形態のリチウム金属を溶剤の存在下にて混
練・混合するだけであり、非常に簡便で、かつ、従来にない新しい方法である。また、このプリドープ方法はリチウム金属だけでなく、例えば、リチウムアルミニウム合金などのリチウム合金も同様にプリドープ可能であるが、リチウムアルミニウム合金を用いる場合を例にとると、プリドープ後、アルミニウムが残るという課題が発生する。
【0017】
本発明に用いるリチウム金属の形態は、特に、限定されるものではなく、塊状、箔状、粒状、粉状、繊維状などの種々の形態が適用できるが、プリドープ速度を考慮した場合には、薄い、あるいは、細かいなどの表面積が大きい形状が好ましく、リチウム金属の取り扱い、生産性、プリドープ雰囲気の影響を考慮すると表面積が小さい形状が好ましい。結果として、1mm以下、0.005mm以上、好ましくは、0.5mm以下0.01mm以上の厚みを有する箔状、あるいは、箔を細かく切断したリチウム金属箔や、粒径が1mm以下、0.005mm以上、好ましくは、0.5mm以下0.01mm以上、特に好ましくは、0.5mm以下0.05mm以上のリチウム金属粒あるいは粉末を用いることが望ましい。また、ポリマーなどで被覆したリチウム金属なども、以下で説明する溶剤と混合時にリチウム金属の全部あるいは一部がリチウムをドープ可能な材料と接触する状態になれば使用することが可能となる。
【0018】
本発明に用いる溶剤は、当然のことながら、リチウム金属及びリチウムをプリドープした材料と反応しないものから選択することが好ましい。リチウム金属及びリチウムをプリドープした材料は強い還元能を有し、溶剤と反応あるいは溶剤の重合の触媒などとなりうる場合があるが、ここでいう反応は継続的に進行する反応であり、例えば、リチウムをドープした材料と溶剤が反応し、材料の表面に反応生成物が安定被膜を作り、その後リチウムをドープした材料との反応を阻害し、反応が継続的に進行しない場合、その溶剤は使用することが可能である。また、溶剤に微量の反応成分が含まれている場合、その反応成分がすべて反応し、反応が停止する場合も、その溶剤は使用することが可能である。更には、リチウム金属及びリチウムをプリドープした材料との反応が遅く、溶剤が除去されるまでの時間における反応が、蓄電デバイスの特性にほとんど影響を与えない場合、その溶剤は使用することが可能である。
【0019】
また、本発明に用いる溶剤は、リチウムをプリドープした材料を用いて製造する電池、キャパシタなどの蓄電デバイスの充放電に致命的な分解などの影響を与えない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、電池、キャパシタの蓄電デバイスの電解液に用いることが可能な溶媒であり、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどの環状カーボネート類、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、ジメトキシエタンなどのエーテル類、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類、スルホラン類、酢酸メチル、蟻酸メチルなどのエステル類などの1種または2種以上からなる有機溶媒を用いることができる。理由は後述するが、好ましくは、沸点が150℃以上、更に好ましくは200℃以上の環状カーボネート類、ラクトン類、スルホラン類から選ばれる、1種または2種以上の混合物を含むことが好ましい。当然のことながら、溶剤は水分含量が低いことが好ましく、具体的には水分含量が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、特に、好ましくは200ppm以下のものを用いれば、リチウム金属及びリチウムをドープした材料との反応を最小限に抑えることが可能である。
【0020】
従来の実用的とされるプリドープ方法はリチウム塩を含む電解液中で、リチウムをドープ可能な材料を含む電極とリチウム金属を直接接触させる、あるいは、電気的に短絡させてプリドープするものであり、セル組み立て後、セル内で実施される。本発明はこれらとは異なり、電極を形成する前に、リチウムをドープ可能な材料とリチウム金属を溶剤の存在下、混練混合することによりプリドープすることを特徴とするものであり、本発明の電極はこの方法でプリドープした材料を用いて製造する。ここで、プリドープ時に使用する溶剤にリチウム塩などの電解質を含ませることも可能であるが、製造した電極に残る電解質の扱いを考慮する必要があり、その後の工程に影響を与えることもある。
【0021】
本発明では、従来、当業者は、リチウムのプリドープにはリチウム塩などの電解質が必須と考えていたが、本発明者らはリチウム塩などの電解質を含まない状態でも、溶剤中で、リチウムをドープ可能な材料とリチウム金属を混練混合することによりプリドープが進行することを見出した。
【0022】
以下、本発明のプリドープ型電極の製造方法における、リチウムをドープ可能な材料、リチウム金属を溶剤の存在下、混
練混合するプリドープ工程を説明するが、リチウムをドープ可能な材料とリチウム金属を溶剤の存在下、混練混合するという基本工程を含んでいれば、以下の説明により何ら限定されるものではない。まず、球状粒子、不定形粒子、繊維状などから適宜選択された形状のリチウムをドープ可能な材料は、乾燥により水分を可能な限り除去しておくことが好ましく、これら材料の水分量は、好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは、200ppm以下である。リチウムをドープ可能な材料、リチウム金属、溶剤の混合順は特に限定されないが、リチウムをドープ可能な材料と所定量の溶剤を混合し、そこに、塊状、箔状、粒状、粉状、繊維状などの適宜選択された形状のリチウム金属を加え、混
練混合するのが好ましい。混
練混合時、リチウム金属は一度に所定量を加えるのではなく、複数回数で、徐々に加えていく方が、リチウム金属がより分散し易く、短時間で効率的にプリドープすることが可能となる。
【0023】
リチウムをドープ可能な材料と溶剤の比率は、形状、比表面積などの材料物性により異なるが、リチウムをドープ可能な材料と溶剤の混合物が、粘土状、高粘度状となるよう調整し、所謂固練りにより、リチウム金属と混練混合する。この状態に至るまでの具体的溶剤量は、ドープ可能な材料の真密度、比表面積、形状など、材料の物性、溶剤の種類により適宜決定されるが、通常、ドープ可能な材料の重量に対し、10%〜300%程度である。混練混合は高粘度物質を混合可能な汎用機で実施することが可能であり、実験的には乳鉢など、製造ではロール混練、プラネタリーミキサー、自公転ミキサーなどを用いて行うことができる。このようにリチウム金属とリチウムをドープ可能な材料を溶剤の存在下、混練混合することにより、リチウム金属とリチウムをドープ可能な材料をよりよく接触、分散することができ、簡便に、かつ、短時間で効率的にプリドープすることが可能となる。
【0024】
上記プリドープ工程は、リチウム金属が安定に扱える、水分量250ppm以下、好ましくは、水分量100ppm以下のドライエアー、アルゴンなどの不活性ガス、あるいは、真空中で実施する。また、混練混合時、溶剤の蒸発により、リチウム金属を均一に混合し難くなることやプリドープした材料が水分などと反応し易くなることから、用いる溶剤の沸点が150℃以上、好ましくは200℃以上であることが望ましい。
【0025】
段落〔0022〕〜段落〔0023〕で説明した混練混合時、あらかじめ、リチウムをドープ可能な材料とリチウム金属以外に導電材、バインダーなどを加えて混合しておくことも可能である。その場合は、プリドープ工程がスラリー調整工程を含むことになる。すなわち、プリドープに適した量の溶剤を添加して混練混合によりリチウムをプリドープし、得られた混合物がスラリーとして塗布可能であればそのまま塗布工程に移ることができるし、塗布する粘度に混合物がなっていない場合は、塗布可能なスラリーにするために溶剤の添加又は蒸発を行う。
【0026】
かくして得られたリチウムをプリドープした材料は、溶剤を含んだ状態で扱うことが可能であることから、雰囲気中の水分などに対しても比較的安定であり、本発明では、このプリドープした材料を用いて電極を製造する。電極の製造は溶剤を含むプリドープした材料を用いる以外は公知の塗布法、シート成形法、プレス法など公知の方法で製造できるが、本発明では、200μm以下の薄型電極製造を効率的に生産できる塗布法を用いる。従って、本発明のプリドープ型電極の製造法では、先に述べた、[1]リチウムをドープ可能な材料及びリチウム金属を溶剤の存在下で混
練混合し、リチウムをドープ可能な材料にリチウムをドープするプリドープ工程(スラリー調整工程を同時に含む場合もある)、[2]前記工程の混合物にバインダーを添加、溶剤を添加または蒸発させ、塗布可能なスラリーを調整するスラリー調整工程、[3]集電体上への前記スラリーを塗布する塗布工程、[4]前記集電体上へ塗布したスラリーを乾燥する乾燥工程をも含んでいる。また、目的とする電極物性などを考慮し、必要に応じて、[4]の乾燥工程の後、所定の電極密度まで電極を圧縮するプレス工程などを含めることも可能である。これら工程は、リチウムの混練混合、電極製造時の使用溶剤の選定、雰囲気調整は必要なものの、既存の電極製造工程が適用可能である。
【0027】
本発明のプリドープ型電極の製造における、少なくともリチウムをプリドープした材料、バインダー、溶剤から成る塗布可能なスラリーの調整工程について説明する。ここでは、プリドープ工程で得られたリチウムをプリドープした材料、バインダー、溶剤から成る塗布可能なスラリーを調整する。また、リチウムをプリドープした材料、バインダー、溶剤の他に、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛などの炭素材料、金属材料などの導電材、増粘材など、電極製造に必要な材料を混合したスラリーを調整することも可能である。これら材料の混合順序は、スラリー中の分散性、製造における利便性などを考慮して決定されるが、プリドープ工程時にあらかじめ混合しておくことも可能である。
【0028】
本発明のプリドープ型電極の製造に使用するバインダーは、特に、限定されるものではないが、リチウムをプリドープした材料を結着可能であり、かつ、プリドープした材料と反応しないこと(段落〔0018〕に記載と同義)が重要であり、例えば、リチウムイオン電池用負極に用いられる公知のバインダー、リチウムイオン電池に用いられる公知のゲル電解質用ポリマー、リチウムイオン電池に用いられる公知の固体電解質用ポリマーが挙げられる。具体的には、バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン六フッ化プロピレン(PVDF-HFP)共重合体、フッ素ゴム、SBR、ポリエーテル系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類が挙げられる。バインダーはスラリー中の溶剤に対し、可溶、膨潤、不溶いずれでも構わず、リチウムをプリドープした材料の結着性を考慮してその種類、量を決定する。また、バインダーは、乾燥などにより水分を可能な限り除去しておくことが好ましい。バインダーの混合量は特に限定されるものではないが、プリドープした材料の重量に対し1%〜30%、好ましくは、2%〜20%である。
【0029】
本発明のプリドープ型電極の製造において、スラリーを調整する場合、プリドープ工程での混
練混合に用いた溶剤に加え、必要に応じ、新たに溶剤を追加し、塗布可能な粘度に調整する。ここでの溶剤は、プリドープ工程で使用する溶剤と同じ、あるいは、乾燥などの条件を考慮して、異なった溶剤を用いても構わないが、やはり、プリドープした材料と反応しないこと(段落〔0018〕に記載と同義)、が重要であり、水分量については、好ましくは、1000ppm以下、更に好ましくは、200ppm以下の溶剤を使用する。プリドープ工程で用いる溶剤、あるいは、スラリーの調整工程で用いる溶剤は、上記バインダーの溶解性、膨潤性を考慮して決定することもある。スラリーを調整する雰囲気は水分量250ppm以下、好ましくは、水分量100ppm以下のドライエアー、アルゴンなどの不活性ガス、あるいは、真空中で実施する。
【0030】
上記で得られたスラリーは集電体上へ塗布される。本発明では、プリドープした材料を塗布することから、従来、プリドープに必要とされてきた孔開き箔集電体を、特に用いる必要はなく、通常の銅箔、アルミ箔などの金属箔などを集電体として用いることが可能である。
【0031】
本発明のプリドープ型電極の製造では、上記塗布工程の後、リチウムをドープ可能な材料に対し溶剤を乾燥する。ここでの乾燥は、蓄電デバイスを組み立てることが可能なレベルまで溶剤を乾燥すればよく、例えば、溶剤を電極重量に対し30%以下まで乾燥すれば、完全に溶剤を除去する必要はない。この乾燥工程時の乾燥温度が高すぎると、加熱によりプリドープしたリチウムが失活する場合があるので、具体的温度はプリドープした材料、使用した溶剤によるが、好ましくは、160℃以下、更に好ましくは120℃以下である。乾燥工程は水分量30ppm以下、特には25ppm以下で実施することが好ましいが、プリドープした材料に溶剤をプリドープした材料の重量に対して10%以上残した場合、例えば、水分が100ppm以下の雰囲気で製造することの可能である。
【0032】
本発明のプリドープ型電極の製造方法により得られる電極は、セパレータ及びリチウム塩が非水溶媒に溶解されてなる非水系電解液と組み合わせ、リチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタなどの蓄電デバイスを構成することができる。この場合、プリドープ型電極が負極の場合は正極と、プリドープ型電極が正極の場合は負極と組み合わせる。電極製造時にプリドープした、プリドープ型電極を用いてセルを製造することから、プリドープを実施しない通常の既存製造方法と同様の工程での製造可能である。
【0033】
本発明の蓄電デバイスは、リチウム塩が非水溶媒に溶解されてなる非水系電解液を用いる。本発明において用いる非水系電解液としては、リチウム塩を含む非水系電解液を用いることが可能であり、正極材料の種類、負極材料の性状、充電電圧などの使用条件などに対応して、適宜決定される。リチウム塩を含む非水系電解液としては、例えば、LiPF
6、LiBF
4、LiClO
4などのリチウム塩をプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、酢酸メチル、蟻酸メチルなどの1種または2種以上からなる有機溶媒に溶解したものを用いることができる。また、電解液の濃度は、特に限定されるものではないが、一般的に0.5mol/l〜2mol/l程度が実用的である。電解液は、当然のことながら、水分が100ppm以下のものを用いることが好ましい。
【0034】
本発明における蓄電デバイスのセパレータは特に限定されるものではなく、ポリエチレン微多孔膜、ポリプロピレン微多孔膜、あるいはポリエチレンとポリプロピレンの積層膜、セルロース、ガラス繊維、ポリアラミド繊維、ポリアクリルニトリル繊維などからなる織布、あるいは不織布などがあり、その目的と状況に応じ、適宜決定することが可能である。
【0035】
本発明の蓄電デバイスの形状は特に限定されるものではなく、コイン型、円筒型、角型、フィルム型など、その目的に応じ、適宜決定することが可能である。
【0036】
図3に示す本発明のプリドープ型電極の製造法の一例は、
図2に示すプリドープ工程を含まない既存工程において、活物質、導電材などを溶剤と混練混合する工程において、リチウム金属を加え混合混練するだけで、短時間で均一に正極、負極材料にリチウムをプリドープできる。また、セル製造工程においても、本発明の製造法で得られるプリドープ型電極を用いることにより、既存製造方法と同様の工程での製造可能である。また、現行技術であるセル内プリドープ(
図1)に対し、孔開箔集電体(特殊箔)に電極を塗布するという工程がなく、セル製造においても、プリドープに伴うエージング工程が必要としない。すなわち、本発明の製造法の特徴として、1)電極製造時の使用溶剤の選定、雰囲気調整は必要なものの、既存工程で電極製造が可能となること、2)電極製造時にプリドープ電極が得られることにより、既存工程でセルの製造が可能となること、3)通常の銅箔、アルミ箔集電体が使用可能であることが挙げられる。また、電極製造時にプリドープが完了することにより、従来のセル内でのプリドープ時に必要であった、セル製造時のプリドープ工程を不要とすることもでき、プリドープを適用したリチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタなどの蓄電デバイスが、簡便かつ短時間に、製造可能となる。
【0037】
以下に実施例を示し、本発明の特徴とするところをさらに明確化するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0038】
(実施例1)
(多環芳香族系炭化水素:PAHsの合成)
石炭系等方性ピッチ(軟化点280℃)を、コーヒーミルで粉砕し、粒度1mm以下のピッチ原料を得た。該ピッチ粉末1000gをステンレス鋼製の皿に入れ、電気炉(炉内有効寸法300mm×300mm×300mm)内に設置して、熱反応を行った。熱反応は、窒素雰囲気下で行い、窒素流量を10リットル/分とした。熱反応に際しては、室温から100℃/時間の速度で680℃(炉内温)まで昇温した後、この温度で4時間保持し、続いて自然冷却により、60℃まで冷却し、反応生成物を電気炉から取り出した。得られた生成物は、原料の形状を留めず、不定形な不溶不融性固体であった。収量は790gであり、収率は79重量%であった。
【0039】
得られた生成物をジェットミルにより粉砕し、平均粒度4μmに分級して、多環芳香族系炭化水素(以下、PAHsと記載する)を得た。該負極材料を用いて、元素分析(測定使用機:パーキンエルマー製、元素分析装置“PE3400シリーズII、CHNS/O”)及びBET法による比表面積測定(測定使用機:ユアサアイオニクス社(現シスメックス社)製、“NOVA1200”)を行ったところ、水素炭素の原子比はH/C=0.195であり、比表面積は11m
2/gであった。
【0040】
得られたPAHsを導電材にアセチレンブラック、バインダーにPVDFを用いて電極を試作し、対極にリチウム金属を用い、電解液にエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートを3:7の重量比で混合した溶媒に1mol/lの濃度にLiPF
6を溶解した溶液を用い、電気化学的にリチウムをドープ/脱ドープしたところ、そのドープ量は1134mAh/g、脱ドープ量は855mAh/gであり、得られたPAHsはリチウムをドープ可能な材料であり、初期効率は75%であった。
【0041】
(プリドープ型電極の製造)
上記PAHs、アセチレンブラックを170℃で10時間真空乾燥した後、水分1ppm以下のアルゴンドライボックス中で、PAHs0.5g、アセチレンブラック0.05gを混合し、水分30ppm以下のプロピレンカーボネート(沸点242℃)0.68gを加え、乳鉢を用いて混合した。得られた粘土状の混合物に30μmのリチウム金属箔をカットしたものを約0.006gずつ加え、練り込みながら混練混合した。リチウム金属が完全になくなってから、次のリチウム金属箔を加え、総計0.05gのリチウム金属(PAHsの重量に対し380mAh/gに相当)を混練混合した(プリドープ工程)。混練混合終了後、加えたリチウム金属箔は完全に消失していた。混練混合時間は40分であり、380mAh/gという実用的プリドープ量を短時間でプリドープ可能であった。
【0042】
段落〔0041〕で得られた、プリドープしたPAHs、アセチレンブラック、プロピレンカーボネートの混合物に、混合物に含まれるPAHs100部に対し、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を10部、プロピレンカーボネートを73部添加し、これらを混合することにより塗布可能なスラリーを得た(スラリー調整工程)。得られたスラリーを厚さ18μmの銅箔上に塗布した(塗布工程)後、90℃のホットプレート上で10分乾燥し(乾燥工程)、プリドープ型電極を得た。なお、評価用電極は2枚打ち抜き、1枚は電気化学測定に用い、残り1枚は、120℃のホットプレート上で重量を測定しながら乾燥し、重量減少がなくなった時の重量と乾燥前の重量との差分から電極中に含まれる溶剤量を算出した。得られた電極の厚さ52μmであり、電極に含まれる溶剤量はPAHs重量に対し18%であった。これら工程は水分1ppm以下のアルゴンドライボックス中で行った。
【0043】
(電気化学的測定)
得られたプリドープ型電極(17mmφ)に、対極にリチウム金属を用い、電解液にエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートを3:7の重量比で混合した溶媒に1mol/lの濃度にLiPF
6を溶解した溶液を用い、電気化学的にリチウムをドープ/脱ドープしたところ、初期効率は108%と、プリドープしない場合に比べ効率が上昇し、本発明の方法でプリドープ型電極が得られることが確認された。
【0044】
(実施例2)
実施例1と同様に、乾燥工程における乾燥条件を120℃10分間とし、プリドープ型電極を得た。得られた電極の厚さ86μmであり、得られた電極に含まれる溶剤量はPAHs重量に対し、1%以下であった。得られたプリドープ型電極を段落〔0043〕の方法で、電気化学的測定を実施したところ、初期効率は89%と、プリドープしない場合に比べ効率が上昇し、本発明の方法でプリドープ型電極が得られることが確認された。これら工程は水分1ppm以下のアルゴンドライボックス中で行った。
【0045】
(実施例3)
段落〔0041〕で得られた、プリドープしたPAHs、アセチレンブラック、プロピレンカーボネートの混合物に、混合物に含まれるPAHs100部に対し、PVDF-HFP共重合体を7部、プロピレンカーボネートを60部添加し、これらを混合することにより塗布可能なスラリーを得た(スラリー調整工程)。得られたスラリーを厚さ18μmの銅箔上に塗布し(塗布工程)、90℃のホットプレート上で10分乾燥し(乾燥工程)、プリドープ型電極を得た。得られた電極の厚さ80μmであり、電極に含まれる溶剤量はPAHs重量に対し、17%であった。これら工程は水分1ppm以下のアルゴンドライボックス中で行った。
【0046】
(電気化学的測定)
得られたプリドープ型電極を17mmφに打ち抜き、対極にリチウム金属を用い、電解液にエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートを3:7の重量比で混合した溶媒に1mol/lの濃度にLiPF
6を溶解した溶液を用い、電気化学的にリチウムをドープ/脱ドープしたところ、初期効率は108%と、プリドープしない場合に比べ効率が上昇し、本発明の方法でプリドープ型電極が得られることが確認された。