特許第5714287号(P5714287)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5714287記憶媒体上のビット位置にデータを記録する方法、およびトランスデューサヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714287
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】記憶媒体上のビット位置にデータを記録する方法、およびトランスデューサヘッド
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/09 20060101AFI20150416BHJP
   G11B 5/31 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   G11B5/09 311Z
   G11B5/31 Z
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-221051(P2010-221051)
(22)【出願日】2010年9月30日
(65)【公開番号】特開2011-76705(P2011-76705A)
(43)【公開日】2011年4月14日
【審査請求日】2010年12月17日
(31)【優先権主張番号】12/571,959
(32)【優先日】2009年10月1日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500373758
【氏名又は名称】シーゲイト テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーク・アンソニー・ガビンス
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ウィリアム・ランバートン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エドワード・ウェインステイン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ジョセフ・タッチトン
【審査官】 斎藤 眞
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−170064(JP,A)
【文献】 特開2001−028104(JP,A)
【文献】 特開2006−086508(JP,A)
【文献】 特開2009−016025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/00−5/024
G11B 5/09
G11B 5/31−5/39
G11B 20/10−20/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体上のビット位置に対応する基準信号を検出するよう構成されたオンヘッドビット検出器と、
クロック信号をビット検出基準信号と同期させて、ビット位置と同期した修正されたクロック信号を生成するよう構成されたオンヘッド制御システム回路と、
オフヘッド電子機器から受信したデータを記憶媒体上のビット位置に記録するよう構成されたオンヘッドライタと、
修正されたクロック信号にデータを組込む書込信号を生成し、書込信号をオンヘッドライタに送るよう構成されたオンヘッド書込ドライバとを含む、トランスデューサヘッド。
【請求項2】
制御システム回路は位相ロックループ回路を含む、請求項1に記載のトランスデューサヘッド。
【請求項3】
オンヘッドビット検出器は波形センサを含む、請求項1に記載のトランスデューサヘッド。
【請求項4】
オンヘッドビット検出器はスピン角運動量センサを含む、請求項1に記載のトランスデューサヘッド。
【請求項5】
オンヘッドビット検出器はトンネル電流センサを含む、請求項1に記載のトランスデューサヘッド。
【請求項6】
トランスデューサヘッドの製造中、オンヘッドビット検出器、オンヘッド制御システム回路、およびオンヘッドライタのうちの1つ以上が、トランスデューサヘッド上の場所に作製される、請求項1に記載のトランスデューサヘッド。
【請求項7】
修正されたクロック信号は、ローパスフィルタにビット検出基準信号を通すことによって生成されて、DCバイアスを生成し、DCバイアスは高周波発振器に印加されてクロック信号の周波数および位相を変更する、請求項1に記載のトランスデューサヘッド。
【請求項8】
前記トランスデューサヘッドはさらに、オフヘッド電子機器からのデジタルデータをアナログデータ信号に変換するよう構成されたデータバッファを含み、
オンヘッド書込ドライバはさらに、データバッファからアナログデータ信号を受信し、アナログデータ信号を書込信号に組込むよう構成されている、請求項に記載のトランスデューサヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
【背景技術】
【0002】
背景
トランスデューサヘッドによる受信媒体への書込の際、トランスデューサヘッドは磁気読出センサを用いて書込位置の上流トラックを読出して、書込動作中に所望のデータトラックが対象となっていることを確実にする。媒体の面密度またはビット密度が増加するにつれ、トランスデューサヘッド上の読出センサと書込磁極との間に一貫したトラックを維持することはますます困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
加えて、面密度の増加を引き続き目指して、アレイまたはパターン化セルを有し、各セルが1ビットのデータを保持可能な媒体(ビットパターン媒体(BPM))が設計されている。そのようなBPMでは、データは、パターン化ビットによって規定されたデータトラックに沿った個々のセルに記憶され得る。しかしながら、各パターン化ビットは各データビットと時間的に同期している。さもなければ、誤ったパターン化ビットに対してデータ挿入が起こるかもしれず、または、データ書込のためにパターン化ビットが抜かされるかもしれない。したがって、BPMでの課題の1つは、書込中、対象ビット上方にヘッドを正確に配置することである。これは、パターン化ビットのサイズが小さいこと(たとえば、幅が1ナノメートル)、および高速(たとえば、20〜50ピコ秒/回転)で回転するディスクシステムにおけるタイミング制御要件のため、特に難易度が高い。他の媒体形式も同様の課題を呈している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
ここに開示された技術は、記憶媒体上のビット位置にデータを記録する方法を教示している。オンヘッド制御システム回路を含むトランスデューサヘッドが設けられる。オンヘッド制御システム回路を用いて、クロック信号がビット検出基準信号と同期して、記憶媒体上のビット位置と同期した修正されたクロック信号を生成する。次に、オフヘッド電子機器から受信したデータが、修正されたクロック信号を用いて、記憶媒体上のビット位置に記録される。
【0005】
別の実現化例では、ここに開示された技術は、記憶媒体上のビット位置に対応する基準信号を検出するよう構成されたオンヘッドビット検出器を含む、トランスデューサヘッドを教示している。トランスデューサヘッドは、クロック信号をビット検出基準信号と同期させて、ビット位置と同期した修正されたクロック信号を生成するよう構成されたオンヘッド制御システム回路も含む。トランスデューサヘッドは、オフヘッド電子機器から受信したデータを記憶媒体上のビット位置に記録するよう構成されたオンヘッドライタも含む。
【0006】
この概要は、以下に詳細な説明でさらに説明される一連の概念を単純化した形で紹介するために提供される。この概要は、クレームされている主題の主要な特徴または本質的な特徴を識別するよう意図されてはおらず、また、クレームされている主題の範囲を限定するために使用されるよう意図されてもいない。これらのおよびさまざまな他の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読めば明らかとなるであろう。
【0007】
説明される技術は、添付図面と関連して読まれるさまざまな実現化例を説明する以下の詳細な説明から最良に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】トランスデューサヘッドがアクチュエータアセンブリの端に位置している、媒体でのBPMの実現化例の平面図である。
図2】媒体に対して位置付けられた例示的なトランスデューサヘッドに一体化されたマイクロ電子機器を示す断面図である。
図3】トランスデューサヘッドが金属電極とビット検出器とプリアンプとを組込んでいる、媒体上のパターン化ビットの実現化例の立面図である。
図4】トランスデューサヘッドが金属電極と静電容量回路とを組込んでいる、媒体上のパターン化ビットの別の実現化例の立面図である。
図5】オンヘッド位相ロックループ(PLL)制御方式を示すフロー図である。
図6】オンヘッド書込ドライバを備えた、オンヘッド位相ロックループ(PLL)制御方式を示すフロー図である。
図7】媒体上のパターン化ビットへのデータビットの書込を同期させるために、オンヘッド位相ロックループおよびオンヘッド書込ドライバを使用するための動作を示すフローチャートである。
図8】例示的なディスクドライブの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
磁気記憶媒体では、磁気記録層は、独立した磁気素子として作用するランダムなナノメートルスケールの粒子を形成する磁性合金の薄膜を含む。各書込ビットは、多くのこれらのランダムな粒子で構成される。ビットパターン媒体(BPM)では、磁気層はパターン化ビットの規則配列で予めパターン化されており、各パターン化ビットは個々のデータビットを記憶可能である。BPMは、リソグラフィ、イオンミリングなどを含むもののそれらに限定されないさまざまな手順によって、予めパターン化されてもよい。他の記憶媒体タイプも存在し、デジタル記録テープおよびフロッピー(登録商標)ディスクを含む。ここに開示されている技術は、さまざまな磁気媒体記憶タイプに利用可能であってもよい。
【0010】
読出センサおよび/またはビット検出器を用いたビット検出とビット書込との間の時間は、媒体(たとえば、ディスクドライブ)上のビット位置へのデータの正しい書込において重要である。現在の磁気記録システムは、典型的には、検出されたデータがトランスデューサヘッドから長い電線を介して、媒体駆動アセンブリの他の所に位置する処理電子機器に送られることを必要とする。また、媒体にデータを書込むために使用されるパワーが、処理電子機器から長い電線を介してトランスデューサヘッドに送り返される。データをトランスデューサヘッドからオフヘッド処理電子機器に送り、トランスデューサヘッドに送り返す際に必要となる時間および関与するエラーは、BPM書込の位相コヒーレンスと比べて著しい。
【0011】
ここに開示されている技術によれば、現在の技術水準の、ヘッドからずらして(オフヘッドに)位置付けられた電子機器が、トランスデューサヘッドに一体化されて、媒体上のパターン化ビット位置とデータ書込との同期化を向上させる。トランスデューサヘッド上またはその内部に電子機器を配置することによって、電気的移動時間およびデータ処理時間の減少が達成可能である。なぜなら、処理電子機器と(同様にトランスデューサヘッド上に位置する)読出センサ、ビット検出器、および/またはライタとの電気的接続が、従来のシステムよりも物理的に短くなり得るためである。電子部品間の物理的により短い電気的接続は、電子が電子部品間を流れるためのより短い経路を提供することによって、電気的移動時間およびデータ処理時間を減少させることができる。
【0012】
図1は、トランスデューサヘッド120がアクチュエータアセンブリ110の端に位置している、媒体108でのBPMの実現化例の平面図を示す。特に図Aを参照すると、媒体108は、動作中、媒体回転軸112を中心として回転する。また、媒体108は外径102と内径104とを含み、それらの間には、円形の点線で示された多数のデータトラック106がある。データトラック106は実質的に円形であり、一定の間隔をおいたパターン化ビット122で構成される。
【0013】
データトラック106の探索動作中に、媒体108に隣接して位置付けられたアクチュエータ回転軸114を中心として回転するアクチュエータアセンブリ110の使用によって、情報は、媒体108上のパターン化ビット122に書込まれ、また、そこから読出され得る。アクチュエータアセンブリ110上の、アクチュエータ回転軸114から遠位の端に搭載されたトランスデューサヘッド120は、媒体の動作中、媒体108の表面上方に非常に接近して浮上している。
【0014】
一実現化例では、図Bに詳述するようなトランスデューサヘッド120は、読出センサ116を利用して書込前読出処理を行ない、トランスデューサヘッド120の位置を所望のデータトラック106上方に維持する。書込前読出処理は、媒体108上の粒子から磁気信号を読出して、検出されたデータから所望のデータトラック106に対するライタ118の位置を判断することによって行なわれる。
【0015】
別の実現化例では、トランスデューサヘッド120は1つ以上のビット検出器を含み、それらは図2〜6に関してより詳細に説明される。読出センサ116の代わりの、または読出センサ116に加わったビット検出器が、パターン化ビット122からトランスデューサヘッド120に反射された波形からライタ118の位置を判断する際の精度および速度の向上を提供する。
【0016】
さらに別の実現化例では、トランスデューサヘッド120はスピン偏極電流を含む1本以上の電線を含み、それらは図2に関してより詳細に説明される。読出センサ116の代わりの、または読出センサ116に加わったスピン角運動量センサが、電線がパターン化ビット122に非常に接近して通る場合に1つ以上のスピン偏極電流のスピン特性の変化を検出することによって、ライタ118の位置を判断する際の精度および速度の向上を提供する。
【0017】
図1図Bに、トランスデューサヘッド120をより詳細に示す。トランスデューサヘッド120は、読出センサ116と、ライタ118と、オンヘッドマイクロ電子機器128と、ボンドパッド126と、オンヘッドマイクロ電子機器128をボンドパッド126に電気的に接続するデータ信号線124とを有して図示されている。読出センサ116は、媒体108上のパターン化ビット122からデータを読出すよう構成されており、ライタ118は、媒体108上のパターン化ビット122にデータを書込むよう構成されている。
【0018】
図1を参照して、パターン化ビット122に書込むべきデータが、オフヘッド電子機器から、トランスデューサヘッド120の外部に取付けられたボンドパッド126に送られる。データは次に、トランスデューサヘッド120内のデータ信号線124を介してオンヘッドマイクロ電子機器128に送られる。いくつかの実現化例では、読出センサからのタイミングデータが、処理のためにオンヘッドマイクロ電子機器128に送られる。次に、処理されたタイミングデータは、データ信号線124を介して、他のオンヘッド部品に進むか、またはボンドパッド126に送信されてもよい。次にオフヘッド電子機器が、ボンドパッド126から、処理されたタイミングデータを読出してもよい。さらに別の実現化例では、媒体から読出されたデータは、オンヘッドマイクロ電子機器128に接続することなく、直接ボンドパッド126に、次にオフヘッド電子機器に送信されてもよい。
【0019】
図2は、媒体208に対して位置付けられた例示的なトランスデューサヘッド220に一体化されたマイクロ電子機器を示す断面図である。媒体208は、基板材料230(たとえば、アルミニウム、ガラス、またはセラミック)から作られている。下地層232として知られている薄い被膜が、基板材料230の上に堆積されている。下地層232は多くの場合、真空蒸着処理(たとえば、マグネトロンスパッタリング)によって堆積されており、下地層232の上に位置付けられた磁気媒体234の結晶方位および粒径の制御を最適化するよう構成されたさまざまな金属合金からなる層状構造を有する。磁気媒体234はマイクロメートル未満のサイズの小さい領域(たとえば、粒子またはパターン化ビットの群)に分けられ、それらの各々は単一バイナリビットの情報を表わすために使用される。磁気媒体234を損傷から保護する媒体保護膜236が、多くの場合下地層232と同じ真空蒸着処理を使用して、磁気媒体234の上に堆積されている。最後に、薄いポリマー潤滑剤層238が、多くの場合、媒体208を溶媒溶液に浸すことによって、媒体保護膜236の上に堆積されている。欠陥をなくし媒体表面を滑らかにするために媒体208がさまざまな処理によって磨かれた後でも、パターン化ビットのサイズを参照して測定され得る、トランスデューサヘッド220に面する媒体の粗さが、依然として存在する。
【0020】
トランスデューサヘッド220は、少なくとも、読出センサ216と、ライタ218と、オンヘッドマイクロ電子機器228と、ボンドパッド226と、オンヘッドマイクロ電子機器228をボンドパッド226に電気的に接続するデータ信号線224とを搭載した基板材料から作られている。読出センサ216、ライタ218、オンヘッドマイクロ電子機器228、ボンドパッド226、およびデータ信号線224は、トランスデューサヘッド220の表面内部に、および/または表面上に搭載されている。
【0021】
一実現化例では、オンヘッドマイクロ電子機器228は、制御システム、書込ドライバ、およびデータバッファを含む。他の実現化例では、オンヘッドマイクロ電子機器228は、制御システム、書込ドライバ、またはデータバッファを含む。さらに他の実現化例では、オンヘッドマイクロ電子機器228は、制御システム、書込ドライバ、およびデータバッファのうちのいずれか2つを含む。制御システム、書込ドライバ、および/またはデータバッファがオンヘッドマイクロ電子機器の一部ではない実現化例では、制御システム、書込ドライバ、および/またはデータバッファは、ヘッドから外れて位置付けられるか、またはシステムに全く含まれない。
【0022】
別の実現化例では、トランスデューサヘッド220は、媒体208上の対象ビットから反射された、発振器により生成された波形を検出するよう構成されたビット検出器250も組込んでいる。発振器は、反復性の電子信号(たとえば、マイクロ波)を生成可能な任意の電子回路であってもよく、線またはスロットラインの形をした送出システムを有する結合されたマイクロチップの形をとっていてもよい。
【0023】
一実現化例では、ビット検出器250は、反射された波形の存在を検出するよう構成された任意の装置である。別の実現化例では、ビット検出器250は、反射された波形に固有の、波の形状、波のレベル、振幅、周波数、波長、および/または他の特性を検出するよう構成されている。ビット検出器250によって検出された反射波形の存在および/または反射波形のさまざまな特性は、媒体208上の対象ビットの位置を判断するために使用されてもよい。
【0024】
別の実現化例では、発振器の代わりにスピン偏極電流注入器が使用され、ビット検出器250はスピン角運動量センサ250である。スピン偏極電流注入器からの電流は、対象ビットに非常に接近した電線を介して、トランスデューサヘッド220を通過する。対象ビットが有する磁界が、スピン偏極電流と相互作用する(すなわち、スピン偏極電流にスピン角運動量を伝達する)。スピン角運動量センサ250は次に、スピン偏極電流のスピン特性の変化を検出する。
【0025】
ビット検出器250の一実現化例として使用可能なスピン角運動量センサは、スピン偏極電流の存在を検出するよう構成された装置である。また、スピン角運動量センサ250は、スピン偏極電流に固有の、スピンの大きさ、スピンの方向、および/または他の特性を検出するよう構成されていてもよい。さらに、スピン角運動量センサ250は、交互スピン種の周波数を検出するよう構成されていてもよい。スピン角運動量センサによって検出された、スピン偏極電流の存在および/またはスピン偏極電流のさまざまな特性は、媒体208上の対象ビットの位置を判断するために使用されてもよい。
【0026】
図2に示す実現化例などのいくつかの実現化例では、ビット検出器250はライタ218の下流トラックに位置付けられる。他の実現化例では、ビット検出器250はライタ218の上流トラックに位置付けられる。さらに他の実現化例では、ライタ218の上流トラックおよび/または下流トラックに位置付けられた複数のビット検出器250が存在する。
【0027】
媒体208と同様に、媒体208に面するトランスデューサヘッド220の表面は、トランスデューサヘッド220の読出センサ216、ライタ218、および他の部品を損傷から保護するヘッド保護膜240で覆われている。ヘッド保護膜240は多くの場合、媒体保護膜236と同じ真空蒸着処理を用いて堆積される。また、トランスデューサヘッド220の表面も、パターン化ビットのサイズを参照して測定され得るヘッド粗さを有する。媒体保護膜236とヘッド保護膜240との間の距離をここに間隙242と呼び、ライタ218の底部と磁気媒体234の上部との間の距離をここにトランスデューサ間隔244と呼ぶことにする。
【0028】
図2に示す実現化例では、媒体208は左から右に(すなわち、上から見た場合、時計方向に)動き、オンヘッドマイクロ電子機器228は垂直に配向され、読出センサ216およびライタ218から上流トラックに位置付けられている。しかしながら、オンヘッドマイクロ電子機器228の他の配向(たとえば、水平)および位置(たとえば、読出センサ216およびライタ218から下流トラック、読出センサ216とライタ218との間、または読出センサおよびライタ218の上流)が考えられる。また、オンヘッドマイクロ電子機器228は、トランスデューサヘッド220内部に位置付けられてもよく、またはトランスデューサヘッド220の外面上に搭載されてもよい。さらに、オンヘッドマイクロ電子機器228は、異なる配向および/または位置にある多数の部品を有していてもよい。
【0029】
オンヘッドマイクロ電子機器228の位置付けは、ここに開示されている技術の処理および設計制約、ならびに特定の用途に依存する場合がある。たとえば、オンヘッドマイクロ電子機器228からライタ218にパワーを伝達する実現化例は、オンヘッドマイクロ電子機器228がライタ218に直接隣接して位置付けられることを必要とする場合がある。
【0030】
オンヘッドマイクロ電子機器228をトランスデューサヘッド220に接合するために、さまざまな一体化レベルを有するいくつかの方法がある。最も高い一体化レベルは、トランスデューサヘッド220の作製中に、トランスデューサヘッド220内の場所にオンヘッドマイクロ電子機器228を直接製造する薄膜処理手法で達成され得る。オンヘッドマイクロ電子機器228およびトランスデューサヘッド220を別々に製造し、次にオンヘッドマイクロ電子機器228とトランスデューサヘッド220とを接合することを伴う手法が、最も低い一体化レベルである。
【0031】
トランスデューサヘッド220の製造中に従来の堆積およびパターン化手法を用いてトランスデューサヘッド220上または内部に作製される場合、オンヘッドマイクロ電子機器228は、半導体装置(たとえば、薄膜トランジスタおよびダイオード)の形をとっていてもよい。半導体装置用として可能性のある材料は、Si、ポリSi、SIGe、GaAs、InP、ZnO、SnO2、および他の薄膜材料を含むが、これらに限定されない。オンヘッドマイクロ電子機器228を形成するために、上述のような複数の半導体装置がさまざまな複雑性レベルで組合されてもよい。
【0032】
トランスデューサヘッド220を作製後、トランスデューサヘッド220の処理前、処理中、または処理後に、マイクロ電子回路がトランスデューサヘッド220に結合可能な場合、より幅広い範囲のマイクロ電子回路(たとえば、高性能で精巧なマイクロプロセッサ)がオンヘッドマイクロ電子機器228に利用可能である。また、トランスデューサヘッド220の作製後にマイクロ電子回路がトランスデューサヘッド220に結合される場合、標準的な半導体処理手法が利用されてもよく、あらゆる半導体基板(たとえば、Si、SOI、GaAs、およびInP)が利用可能である。
【0033】
さらに別の実現化例では、トランスデューサヘッド220の作製中または作製後に、個々のマイクロ電子回路が位置付けられ、読出センサ216および/またはライタ218に結合される。マイクロ電子回路は次に、上述のようにトランスデューサヘッド220に一体化されてもよい。
【0034】
作製されたオンヘッドマイクロ電子機器228をトランスデューサヘッド220のウェハに結合するために、ウェハ間結合が使用されてもよい。オンヘッドマイクロ電子機器228に関連付けられたマイクロ電気ダイが、従来の処理手法を用いてパターン化され、トランスデューサヘッド220に一体化されてもよい。その結果、個々のマイクロ電子装置および半導体装置ではなくウェハ全体を処理することによって、複雑性が減少する。
【0035】
図2をさらに参照すると、オンヘッドマイクロ電子機器228は、データ信号線224を介して、トランスデューサヘッド220の外面上に位置するボンドパッド226に接続されている。ボンドパッド226に取付けられたエンドコネクタ248を有する導電性フレックス246が、オンヘッドマイクロ電子機器228とヘッドから外れて位置する電子機器との通信を可能にする。以下に図3および図4に関してより特定的に説明されるさまざまな実現化例では、読出センサ216およびライタ218は、オンヘッドマイクロ電子機器228および/またはオフヘッド電子機器に電気的に接続されている。
【0036】
図3は、トランスデューサヘッド320が金属電極352とビット検出器350とプリアンプ358とを組込んでいる、媒体308上のビット位置322の実現化例の立面図を示す。高電界またはファウラー・ノルドハイム(F−N)トンネル電流354が、高電圧下で、金属電極352から媒体308上のBPMに通される。媒体308が回転するにつれて、金属電極352は、パターン化ビット322に隣接する配向と絶縁領域356に隣接する配向との間でその位置合わせを交代する。この交代は、金属電極352と媒体(パターン化ビット322または導電性の下地層332)との間の距離を交代し、ひいてはパターン化ビット322の位置に対応する変調するトンネル電流354をもたらす。
【0037】
図3の実現化例では、ビット検出器350およびプリアンプ358はともにオンヘッドマイクロ電子機器を構成する。ビット検出器350は変調するトンネル電流354を検出して、ビット位置322の周波数を判断するために使用可能なタイミング信号を生成する。一実現化例では、金属電極352はライタにもなり得る。なぜなら、金属電極352およびライタは双方とも、データビット書込中、パターン化ビット322と位置合わせされ、媒体308に非常に接近して通らなければならないためである。
【0038】
F−N電界放出は、電子が材料から電界下の空間に流れる量子学的プロセスである。一般に、F−N放出は、トランスデューサヘッド320と媒体308との間に、典型的には10-9〜10-12アンペアの範囲の非常に小さい電流の流れを生成する。しかしながら、F−N放出は、媒体308に影響を与えるのに十分な大きさを有する電流を生成するために増幅されてもよい。増幅されたF−N放出は、大きさが大きすぎる場合、および/またはタイミング信号(後述)を用いてビット位置322と一致するようタイミングが正確に取られていない場合、トランスデューサヘッド320および/または媒体308に損傷を与えるおそれがある。
【0039】
変調するトンネル電流354は典型的には、大きさが非常に小さいため、ビット検出器350は、ヘッド上にまたはヘッドから外れて位置する書込ドライバ電子機器への送信前に信号を増幅するために、トランスデューサヘッド320上のプリアンプ358に接続されていてもよい。一実現化例では、プリアンプ358からの出力信号電圧は変調するF−N電流に比例しており、出力信号は位相ロックループ(PLL)、遅延ロックループ(DLL)、または他の書込ドライバ制御方式のためにクロック入力として使用される。PLL制御方式は、以下に図5および図6に関してより詳細に説明される。
【0040】
現在の技術水準と比較した場合の図3の実現化例の利点は、ライタについての位相要件を判断するために、より強い電気信号が、ヘッド上にまたはヘッドから外れて位置する処理電子機器に送信されることである。その結果、ビット位置322の検出エラーが少なくなり、パターン化ビット322へのデータビットの書込の同期化が向上する。
【0041】
金属電極352を通して印加された電圧は、ビット位置322およびビット間絶縁体356の位置に対して比較的一定である。しかしながら、別の実現化例では、外部パラメータ(たとえば、浮上高度)によるトンネル電流354の変動を最小限に抑えるために、電圧を変更可能である。トンネル電流354の電圧を制御するために、自動利得制御(AGC)フィードバック増幅器が使用されてもよい。また、AGCフィードバック増幅器は、ヘッドから媒体までの間隙を示すために使用可能であり、それは、媒体駆動認証において間隙値を選択する場合に、およびさまざまな環境条件下での媒体駆動動作中に、重要である。
【0042】
図4は、トランスデューサヘッド420が金属電極452と静電容量回路460とを組込んでいる、媒体408上のビット位置422の別の実現化例の立面図を示す。ここで、金属電極452は交流信号生成器に接続されている。金属電極452がパターン化ビット422の位置と絶縁領域456の位置との間で交代するにつれて、金属電極452と媒体408との間の静電容量が変調する。この静電容量変調はパターン化ビット422の位置を検出するために使用可能であり、この静電容量変調に基づいてタイミング信号が生成可能である。
【0043】
静電容量回路460は、発振器462と、調整可能な共振器回路464と、電圧または電流センサ450とを有する。図4に概略的に示されているように、発振器462は共振器回路464に接続されている。DCパワーが発振器462に印加されると、静電容量回路460は、共振器回路464の周波数(たとえば、約1ギガヘルツ)で共振する。共振器回路464は、金属電極452に結合された導電線である。金属電極452がパターン化ビット422の位置から絶縁領域456の位置に動くにつれて、媒体408と金属電極452との間の静電容量が変化する。共振器回路464の共振周波数が変化し、共振器回路464における電流の振幅および/または電圧が変調される。共振器回路464からの変調された電流または電圧信号がセンサ450によって受信され、次に、ヘッド上にまたはヘッドから外れて位置する書込ドライバ電子機器に送信可能である。
【0044】
静電容量回路460をヘッド上に配置する利点は、変調された電流または電圧における信号対ノイズ比が減少することである。静電容量回路460をビット位置422に物理的により接近させることにより、静電容量回路460とビット位置422との間の導電線を、ヘッドから外れた静電容量回路460の用途の場合よりも短くしてもよい。静電容量回路460とビット位置422との間の距離が増加するにつれて、導電線における信号損失、および媒体408アセンブリにおける他のマイクロ波効果との畳込みが増加する。したがって、静電容量回路460とビット位置422との間の距離を最小限に抑えることが望ましい。
【0045】
図5は、オンヘッド位相ロックループ566(PLL)制御方式を示すフロー図である。PLL566は、ビット検出基準信号574の位相および周波数に対して一定の関係を有する修正されたクロック信号572を生成する制御システムである。PLL566回路は、クロック信号およびビット検出基準信号574の周波数および位相を比較し、クロック信号の周波数および位相がビット検出基準信号574の周波数および位相と一致するまでクロック信号の周波数を繰返し調節し、修正されたクロック信号572を生じさせる。ここに開示された技術の他の実現化例は、PLL566の代わりに遅延ロックループ(DLL)または他の制御システムを利用してもよい。
【0046】
読出センサ516は、媒体から読出された入力データビット576をオフヘッド電子機器568に直接送信する。出力データビットの書込に関しては、図5に示された実施例は、パターン化ビットのタイミングを示すビット検出基準信号574が、トランスデューサヘッド520上のビット検出器550(たとえば、波形センサ、スピン角運動量センサ、トンネル電流センサ、または静電容量センサ)から到来し、クロック信号がライタについてのタイミングを示すことを図示している。クロック信号と媒体上のパターン化ビットの実際の物理的位置との位相関係を判断するために、ビット検出基準信号574とクロック信号とは比較される。PLL566は、パターン化ビットの実際の物理的位置と位相および周波数同期した修正されたクロック信号572を生成する。
【0047】
一実現化例では、PLL566は、意図された書込周波数のためにクロック信号を生成する高周波発振器である。ビット検出器550からのビット検出基準信号574はクロック信号と比較され、ビット検出基準信号574とクロック信号との間の位相が測定されてローパスフィルタを通され、DCバイアスが生成される。DCバイアスは次に発振器に印加されて、クロック信号の周波数および位相を変化させ、クロック信号をビット検出基準信号574と同期させる。同期したクロック信号(すなわち、修正されたクロック信号572)は次に、媒体上の所望のパターン化ビットに各出力データビットを書込むライタ518に送信される書込信号576を生成するために、オフヘッド電子機器568に送られる。
【0048】
オンヘッドPLL566を使用する利点は、クロック信号とトランスデューサヘッド520の下を通るパターン化ビットの実際の周波数との位相差をより迅速に検出することである。これに対し、オフヘッドPLLはより長い信号移動時間を必要とし、その結果、検出された位相情報が、PLL処理が完了する時間までに古くなる場合がある。さらに、一実現化例では、オンヘッドPLL566は、信号損失の影響をより受けやすい高周波数クロック信号の代わりに、低周波数バイアス情報がオフヘッド電子機器568に送信されることを可能にする。
【0049】
図6は、オンヘッド書込ドライバ670を備えた、オンヘッド位相ロックループ666(PLL)制御方式を示すフロー図である。図5と同様に、読出センサ616は、媒体から読出された入力データビット676をオフヘッド電子機器668に直接送信する。出力データビット678の書込に関しては、より良好な書込同期化のために、図5のトランスデューサヘッド上のPLL回路が、トランスデューサヘッド620上の書込ドライバ670と組合されてもよい。書込ドライバ670は、外部接続からオフヘッド電子機器668に受信した出力データビット678をライタ618に直接書込んでもよい。書込ドライバ670はオンヘッド接続を用いてPLL666に結合され、そのため、位相情報(たとえば、修正されたクロック信号672)は書込ドライバ670に直接送信され、出力データビット678が媒体上のパターン化ビットに正確に書込まれることを可能にする。
【0050】
オンヘッド書込ドライバ670を使用する利点は、オフヘッド電子機器668への修正されたクロック信号672の送信、およびオフヘッド電子機器668からの書込信号676の送信によって生じる遅延およびタイミングエラーが減少すること、またはなくなることである。また、オンヘッド書込ドライバ670を使用することは、位相検出とデータビットの書込との間の時間を減少させ、エラーの可能性を減少させる。
【0051】
PLL666および書込ドライバ670は、物理的にトランスデューサヘッド620のどこに位置付けられてもよい。一実現化例では、PLL666および書込ドライバ670は、ライタ618の近くでともに結合されている。別の実現化例では、PLL666はライタ618の近くに位置付けられ、書込ドライバ670はトランスデューサヘッド基板のより近くに位置付けられ、そのため、書込ドライバ670によって生成された熱がトランスデューサヘッド基板を通して放散される。パワーがより高い電子機器では、この配向が望ましい場合がある。
【0052】
オンヘッド書込ドライバ670を備えたオンヘッドPLL666の一実現化例は、オンヘッドデータバッファも組込んでいる。オンヘッドPLL666、書込ドライバ670、およびデータバッファの組合せは、媒体上のパターン化ビットの位置および位相が検出されて、次のデータビットが正しいパターン化ビットに迅速に書込まれ得る自己完結型ライタ制御システムである。より特定的には、PLL666によって生成された修正されたクロック信号672は、書込ドライバ670に送られる。オフヘッド電子機器668からデータバッファに送られたデジタルデータビットは、アナログデータ信号に変換され、それは修正されたクロック信号672と同期して、正しい極性および位相でライタ618に印加される。
【0053】
オンヘッドデータバッファを使用する利点は、デジタルデータビットをアナログ信号に変換する際の時間遅延が減少すること、およびパターン化ビット検出とビット書込との間の時間遅延が減少することであり、書込エラーの確率を減少させる。
【0054】
また、熱放散要件が満たされ、かつPLL666、書込ドライバ670、およびデータバッファ間の好適な電気的接続が可能である限り、オンヘッドPLL666、書込ドライバ670、およびデータバッファは、トランスデューサヘッド620上のどの場所に位置付けられてもよい。一実現化例では、PLL666、書込ドライバ670、およびデータバッファは、1ヶ所でともに結合されている。他の実現化例では、PLL666、書込ドライバ670、およびデータバッファは、トランスデューサヘッド620上の別々の位置にある。さらに別の実施例では、PLL666、書込ドライバ670、およびデータバッファのうちの少なくとも1つがヘッド上に位置している限り、PLL666、書込ドライバ670、および/またはデータバッファはヘッドから外れて位置付けられてもよい。
【0055】
図7は、媒体上のパターン化ビットへのデータビットの書込を同期させるために、オンヘッド位相ロックループ(PLL)およびオンヘッド書込ドライバを使用するための動作700を示すフローチャートである。ビット検出器は、トランスデューサヘッド上のライタに対する媒体上のパターン化ビットの位置に対応する信号を検出する(705)。ここにビット検出基準信号と呼ばれる検出された信号は次に、ビット検出器からオンヘッドPLL回路に送られる(710)。次に、書込タイミングに対応するクロック信号およびビット検出基準信号にPLLを適用して、媒体上のパターン化ビットの実際の位置と同期した修正されたクロック信号を生成する(715)。
【0056】
修正されたクロック信号は次に、オンヘッド書込ドライバに送られる(720)。また、媒体上のパターン化ビットに書込むべきデータビットが、オフヘッド電子機器からオンヘッド書込ドライバに送られる(725)。書込ドライバは次に、データビットを修正されたクロック信号に組込む書込信号を生成する(730)。書込信号は次に、書込ドライバから、媒体上のパターン化ビットにデータビットを伝達するライタに送られる(735)。
【0057】
図8は、例示的なディスクドライブ800の平面図を示す。ディスクドライブ800は、ディスクドライブ800のさまざまな部品が搭載されたベース802を含む。部分的に切取られて図示されている上部カバー804は、ベース802と協働して、ディスクドライブ用の密封された内部環境を従来の態様で形成する。部品は、1つ以上の記憶媒体ディスク808を一定の高速で回転させるスピンドルモータ806を含む。探索動作中、ディスク808に隣接して位置付けられたベアリングシャフトアセンブリ812を中心として回転するアクチュエータアセンブリ810の使用により、情報がディスク808上のトラックに書込まれ、トラックから読出される。アクチュエータアセンブリ810は、ディスク808に向かって延在する複数のアクチュエータアーム814を含み、アクチュエータアーム814の各々から1つ以上の屈曲部816が延在している。屈曲部816の各々の遠位端にはヘッド818が搭載されており、ヘッド818は、関連するディスク808の対応する表面上方にヘッド818が非常に接近して浮上することを可能にする空気ベアリングスライダを含む。浮上中のヘッド818と記憶媒体表面との間の距離を、浮上高さと呼ぶ。
【0058】
探索動作中、ヘッド818のトラック位置はボイスコイルモータ(VCM)824の使用によって制御され、VCM824は典型的には、アクチュエータアセンブリ810に取付けられたコイル826と、コイル826が入る磁界を確立する1つ以上の永久磁石828とを含む。コイル826への電流の制御された印加は、永久磁石828とコイル826との間に磁気相互作用を引起し、そのためコイル826は、周知のローレンツ関係に従って動く。コイル826が動くにつれて、アクチュエータアセンブリ810はベアリングシャフトアセンブリ812を中心として旋回し、トランスデューサヘッド818はディスク808の表面を横断させられる。
【0059】
ディスクドライブ800が長時間使用されない場合、スピンドルモータ806は典型的には非通電状態になる。駆動モータが非通電状態になると、トランスデューサヘッド818は、データを含むディスク808の部分から遠ざかるよう動かされる。ディスクドライブ808が回転していない場合のアクチュエータアセンブリ810の不意の回転を防止するアクチュエータラッチ構成および/またはランプアセンブリ844の使用により、トランスデューサヘッド818は、データを含まないディスク808の部分の上方に固定される。
【0060】
フレックスアセンブリ830は、動作中のアクチュエータアセンブリ810の旋回運動を可能にしつつ、アクチュエータアセンブリ810のための必要な電気接続経路を提供する。フレックスアセンブリ830は、アクチュエータアセンブリ810と接続されてヘッド818に繋がっているフレックスケーブルが接続されたプリント回路基板834を含む。フレックスケーブルは、アクチュエータアーム814および屈曲部816に沿って、トランスデューサヘッド818へと通されてもよい。プリント回路基板834は典型的には、書込動作中にトランスデューサヘッド818に印加される書込電流を制御するための回路と、読出動作中にトランスデューサヘッド818によって生成される読出信号を増幅させるためのプリアンプとを含む。フレックスアセンブリ830は、ベースデッキ802を介してディスクドライブ800の底面側に搭載されたディスクドライブプリント回路基板(図示せず)と通信するために、フレックスブラケットで終わっている。
【0061】
一実現化例では、位相ロックループ回路がトランスデューサヘッド818上に搭載されており、フレックスアセンブリ830を介して回路基板834に修正されたクロック信号を送るよう構成されている。また、トランスデューサヘッド818上に搭載されたライタは、プリント回路基板834からフレックスアセンブリ830を介して書込信号を受信し、ディスク808または他の媒体にデータを伝達するよう構成されている。別の実現化例では、書込ドライバがトランスデューサヘッド818上に搭載されており、プリント回路基板834からフレックスアセンブリ830を介して出力データビットを受信するよう構成されている。書込ドライバは次に、ライタに送られる書込信号を生成し、ライタは次に出力データビットをディスク808に伝達する。
【0062】
上述の明細書および例は、ビットパターン媒体のための波形ベースのビット検出に使用され得る装置の例示的な実現化例の構造の完全な説明を提供している。装置のさまざまな実現化例が、ある度合いの特殊性で、または1つ以上の個々の実現化例を参照して上述されたが、当業者であれば、ここに開示された技術の精神または範囲から逸脱することなく、開示された実現化例に多数の変更を加えることができるであろう。上述の説明に含まれ、添付図面に示されたあらゆる事項は、特定の実現化例の単なる例示であり、限定的なものではないとして解釈されるべきであるということが意図される。上述の実現化例および他の実現化例は、特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0063】
108、208、308、408:媒体、120、220、320、420、520、620、818:トランスデューサヘッド、128、228:オンヘッドマイクロ電子機器、322、422:ビット位置、568、668:オフヘッド電子機器、572、672:修正されたクロック信号、574、674:ビット検出基準信号、808:ディスク。
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図1