(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
冷却ユニット81は、蒸発器やファンを備えた所謂ユニットクーラであり、冷却した空気を大風量で噴き出して庫内の空気を循環させることで、庫内を均一に冷却する。
【0007】
このため、例えば、入庫物71が低い位置に収まっていた場合でも、天井部近くのデットスペースまで冷却することになり、冷却効率が悪いという問題があった。
【0008】
冷却ユニット81は、蒸発温度を吸い込み口から取り入れる空気の温度よりも10℃程度、或いは乾燥防止のために7℃程度低く設定する。
図18の例では、庫内の温度が均一であるため、入庫物を5℃で冷蔵する場合、冷却ユニット81の取り入れる空気の温度もほぼ5℃となる。即ち、冷却ユニット81の蒸発温度を−2〜−5℃に設定する必要がある。
【0009】
蒸発温度が低くなり過ぎると、冷凍機の運転効率の低下や着霜量の増加を招くという問題点があった。
【0010】
また、蒸発温度が氷点下となる冷却ユニット81では、デフロストが必要である。蒸発温度が低く、デフロストの機会が多いと、デフロスト運転時のエネルギー消費や冷蔵域温度上昇が大きくなり、その抑制が課題となる。
【0011】
冷却ユニット81で冷却されて吹きだされる空気は、庫内を循環し、ドラフトとして入庫物や作業者と接することになる。このドラフトは、入庫物表面からの蒸発を促進して入庫物の品質低下や着霜量の増加を招いたり、仕分け作業者の寒冷感を大きくして作業性を低下させたりといった問題を生じさせる。
【0012】
更に梅雨時など、外気の湿度が高い時期には、搬出入開口から進入した多湿な外気が冷却されたダンボール等の入庫物71や、床面91、壁部92で結露(または結氷)することがあり、品質確保や安全性確保のために結露(または結氷)が生じにくい冷蔵システムの提供が課題であった。
【0013】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑み、空調空間内を適切に冷却する技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の冷却システムは、
空調空間内の空気を吸い込み、冷却して低温空気として吹き出す冷却ユニットと、
前記冷却ユニットから吹き出される低温空気を前記空調空間内の所定高さ以下の必要冷却領域に導くダクトチャンバを備え、
前記冷却ユニットによる空気の吸い込み口の下端を前記空調空間内の所定高さ以上に設け、前記ダクトチャンバの吹き出し口の上端を前記空調空間内の所定高さ以下に設け、
前記ダクトチャンバの吹き出し口が前記低温空気を旋回させて吹き出させる形状とした、又は前記ダクトチャンパの吹き出し口から吹き出す前記低温空気の吹出し速度を吹き出し口の平均で0.5m/s以下としたことを特徴とする。
【0015】
本発明の冷却システムは、前記ダクトチャンバの前記必要冷却領域よりも上にダンパを設け、冷却時には前記ダンパにより前記冷却ユニットからの空気を前記吹き出し口に供給し、デフロスト時には前記冷却ユニットからの空気を前記ダクトチャンバ外の前記必要冷却領域よりも上の空間に供給しても良い。
【0016】
本発明の冷却システムは、前記ダクトチャンバを前記空調空間外に配置しても良く、また、前記ダクトチャンバを内装板材などの建材で構築しても良い。
前記空調空間は、冷蔵倉庫であっても良い。
【0017】
また、上記課題を解決するため、本発明の冷却方法は、
空調空間内の空気を吸い込み、冷却して低温空気として吹き出す冷却ユニットと、
前記冷却ユニットから吹き出される低温空気を前記空調空間内の所定高さ以下の必要冷却領域に導くダクトチャンバを備える空調システムにおける冷却方法であって、
前記冷却ユニットが吸い込み口から空気を吸い込み、前記冷却ユニットが前記吸い込み口から吸い込んだ空気を冷却し、冷却した低温空気を前記ダクトチャンバに供給し、
前記吸い込み口は、下端を前記空調空間内の所定高さ以上に設け、
前記ダクトチャンバの吹き出し口の上端を前記空調空間内の所定高さ以下に設け、
前記ダクトチャンバの吹き出し口が前記低温空気を旋回させて吹き出させる、又は前記ダクトチャンバの吹き出し口から吹き出す前記低温空気の吹出し速度を吹き出し口の給気面の平均で0.5m/s以下とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、空調空間内を適切に冷却する技術を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。以下に説明する実施形態は例示にすぎず、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0021】
<第一実施形態>
[構成]
図1は、第一実施形態に係る冷却システム10の構成を示す。第一実施形態に係る冷却システム10は、冷凍又は冷蔵倉庫(以下単に倉庫と称す)の冷却システムであり、コンデンシングユニット1、複数の冷却ユニット2、コンデンシングユニット1と冷却ユニット2とを接続する冷媒往き配管31及び冷媒還り配管32、ダクトチャンバ4、制御ユニット6を備える。
【0022】
(倉庫)
倉庫90は、床面91、壁部92、天井部93により、その内部(庫内)を外界と隔て、壁部92の一部に搬出入開口94が設けられている。本実施形態の冷却システム10では、この冷蔵倉庫内を空調空間とし、積極的に温度成層を成して庫内下部の必要冷却領域(必要冷蔵域)95を目的の温度(設定温度)に冷却する。
【0023】
必要冷却領域95は、冷蔵する入庫物71の高さ等に応じて、任意の高さに設定して良いが、温度成層の容易さや冷却効率の観点から例えば天井高の1/2以下とするのが好ましい。
【0024】
(コンデンシングユニット)
コンデンシングユニット1は、倉庫90の屋外に設置される。コンデンシングユニット1は、コンデンシングユニットファン11、圧縮機12、凝縮器13、高圧受液器14を
備える。
【0025】
コンデンシングユニットファン11は、コンデンシングユニット1内に大気を取り込む。圧縮機12、凝縮器13、高圧受液器14は、配管によって接続されている。圧縮機12は、冷却ユニット2からの冷媒還り配管32を流れる低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧化する。
【0026】
凝縮器13は、冷媒の流れにおいて圧縮機12の下流側に設けられ、高温高圧のガス冷媒を冷却して液化する。凝縮器13で冷却された冷媒は、高温高圧の液冷媒となる。高圧受液器14は、冷媒の流れにおいて凝縮器13の下流側に設けられ、凝縮器13で冷却された高温高圧の液冷媒を一時的に貯留する。
【0027】
(冷却ユニット)
冷却ユニット2は、倉庫90の屋内に設置される。冷却ユニット2は、冷却ユニットファン21や吸い込み口22、蒸発器24を備える。
【0028】
冷却ユニットファン21は、冷却ユニット2内に冷凍又は冷蔵倉庫90内の空気を吸い込み、冷却後の低温空気をダクトチャンバ4内に送出する。
【0029】
吸い込み口22は、冷却ユニット2の筐体に設けられた開口であり、冷却ユニットファン21に対し、蒸発器24を挟んで向かい側に位置する。冷却ユニットファン21の回転により冷却ユニット2の筐体内が陰圧となると、吸い込み口22から周囲の空気が吸い込まれ、この空気が蒸発器24の冷却コイル(不図示)を通り冷却ユニットファン21によって送出される。
【0030】
蒸発器24は、液冷媒を蒸発させて、その気化熱により蒸発器24周囲を冷却し、吸い込み口22から吸い込んだ空気と熱交換することにより当該空気を冷却する。
【0031】
冷媒往き配管31は、一端がコンデンシングユニット1に接続され、他端が冷却ユニット2に接続されている。また、冷媒還り配管32は、一端が冷却ユニット2の蒸発器24に接続され、他端がコンデンシングユニット1の圧縮機12に接続されている。これにより、冷媒往き配管31を介してコンデンシングユニット1から供給された冷媒を冷却ユニット2で気化させて庫内空気を冷却し、気化後の冷媒を冷媒還り配管32を介してコンデンシングユニット1に戻し、圧縮して冷却ユニット2へ供給するプロセスを繰り返して冷却を行う。
【0032】
なお、冷却ユニット2の吸い込み口22は、庫内の所定高さ以上、例えば天井高9Hの1/2以上或いは2/3以上の高さ、望ましくは天井部に設けられる。本実施形態では吸い込み口22が冷却ユニット2の筐体に設けられているので、冷却ユニット2自体を所定以上の高さ(天井部)に設置することで、吸い込み口の高さを所定高さ以上としている。これにより冷却ユニット2は、温度成層された上部の空気、即ち必要冷蔵域よりも温度の高い空気を取り込むことができるので、蒸発温度を高く設定できる。
【0033】
(ダクトチャンバ)
ダクトチャンバ4は、冷却ユニット2から吹き出される低温空気を庫内の所定高さ以下の必要冷蔵域95に導く導風路である。また、ダクトチャンバ4は、冷却ユニットファン21によって送出された低温空気の流れを整える緩衝領域としても機能する。また、冷却ユニット2の吹出開口とダクトチャンバ4の冷気取入口は、フランジ接続で気密に構成している。もっとも、この接続は、若干隙間があっても良い。
【0034】
ダクトチャンバ4は、庫内の所定高さ以下に吹き出し口41を設けて低温空気を緩やかに送出することで、必要冷蔵域95に低温空気の層を形成する。この低温空気の層を形成することで、これよりも温度の高い空気が上部へ押し上げられ、庫内(空調空間内)に温度成層が成される。
【0035】
ここで吹き出し口41の高さは、入庫物71の高さに応じて設定して良いが、例えば倉庫90の天井高9Hの1/2以下とするのが望ましい。
【0036】
また、吹き出し口41の前面には、
図2に示すように、複数の給気口15が縦横に並べて配置された給気パネル42を設けている。ダクトチャンバ4内に送出された低温空気SAは、ダクトチャンバ4内を経て給気パネル42に形成された複数の給気口15から、必要冷蔵域95に供給される。
【0037】
各給気口15には、
図3、4に示すように、複数のフィン30を有する吹出部材がそれぞれ装着されている。各フィン30は、この中心部材31の周囲に適当な間隔で放射状に取り付けてある。また、給気口15から必要冷蔵域95の内部に向かって吹き出す低温空気SAに旋回成分を与えるべく、各フィン30は給気口15の中心軸15'に対してそれ
ぞれ傾斜して配置されており、
図3と
図4では、フィン30の傾斜方向が逆向きの関係になっている。
【0038】
このように、各給気口15に傾斜したフィン30を放射状に取り付けたことにより、ダクトチャンバ4の内部から給気口15に向かって流れ込んできた低温空気SAが、給気口15を通過する際、強制的に各フィン30に沿って流れる。これにより、給気口15から必要冷蔵域95に向かって吹き出す低温空気SAに、中心軸15'を中心とする旋回成分
を与えるようになっている。
【0039】
ここで、
図3、4では、前述の吹出部材について、フィン30の傾斜方向が互いに逆向きであり、
図3に示したフィン30によっては、給気口15を通過する際に、ダクトチャンバ4の給気パネル42を庫内側から見た場合において、反時計回転方向の旋回成分が低温空気SAに与えられる。一方、
図4に示したフィン30によっては、給気口15を通過する際に、ダクトチャンバ4の給気パネル42を庫内側から見た場合において、時計回転方向の旋回成分が低温空気SAに与えられる。
【0040】
前述のようにダクトチャンバ4の給気パネル42には、複数の給気口15が縦横に並べて配置されているが、隣り合う給気口15から吹き出される低温空気SAの旋回成分は、互いに逆の回転方向の関係になっている。即ち、例えば
図5に示すように上下方向に並んだ4つの給気口15a、15b、15c、15dを例にして説明すると、1番上の給気口15aと上から3番目の給気口15cでは、フィン30の傾斜方向が
図3で説明した状態であり、これら給気口15aと給気口15cからは、反時計回転方向の旋回成分を与えられた低温空気SAが吹き出される。一方、上から2番目の給気口15bと4番目の給気口15dでは、フィン30の傾斜方向が
図4で説明した状態であり、これら給気口15bと給気口15dからは、時計回転方向の旋回成分を与えられた低温空気SAが吹き出される。このように、隣り合う給気口15aと給気口15b、給気口15bと給気口15c、給気口15cと給気口15dの間において、それぞれ互いに逆の回転方向に旋回する低温空気SAを吹き出すようになっている。
【0041】
一方、
図6に示すように、上下方向に並んだ4つの給気口15a、15b、15c、15dからいずれも同じ回転方向に旋回する低温空気SA(
図6に示す例では、いずれも反時計回転方向に旋回する低温空気SA)を吹き出した場合、給気口15aと給気口15b
の間、給気口15bと給気口15cの間及び給気口15bと給気口15cの間において、
互いに打ち消しあう方向に低温空気SAが吹き出されることとなる。そうすると、各給気口15a、15b、15c、15dから吹き出される低温空気SAの旋回成分が相殺されてしまう。
【0042】
図5で説明したように、各給気口15a、15b、15c、15dから吹き出す低温空気SAの旋回成分を交互に逆の回転方向とすれば、給気口15aと給気口15bの間、給気口15bと給気口15cの間及び給気口15bと給気口15cの間のいずれにおいても、互いに同じ方向に低温空気SAが吹き出されることとなるので、各給気口15a、15b、15c、15dから吹き出される低温空気SAの旋回成分が相殺されず、お互いに旋回運動を助長しあうようになる。
【0043】
なお、
図5では、上下に配列された給気口15の関係について説明したが、先に
図2で説明したように、ダクトチャンバ4の前面21には複数の給気口15が縦横に並べて配置されている。そこで、上下に配列された給気口15の関係のみならず、
図7に示すように横に配置された給気口15の間においても、隣り合う給気口15から吹き出される低温空気SAの旋回成分が、互いに逆の回転方向の関係となるように、各給気口15に設けられたフィン30の傾斜方向が設定されている。
【0044】
従って各給気口15かられたフィン30により、低温空気SAに対して旋回成分が与えられ、こうして、必要冷蔵域95に向かって、各給気口15から旋回しながら低温空気SAが給気される。
【0045】
すると、各給気口15から吹き出した低温空気SAに、必要冷蔵域95内の空気が誘引されて一緒に移動する誘引作用がはたらく。この場合、図示の冷却システム10にあっては、給気口15から吹き出す低温空気SAに旋回成分が与えられるので、低温空気SAに誘引される必要冷蔵域95内の空気の誘引量(誘引比)が増加する。これに伴い、運動量
保存則に従って低温空気SAの速度は、各給気口15から吹き出した後、速やかに減速することとなる。
【0046】
例えば、各給気口15から吹き出す低温空気の風速、即ち吹き出し口41に設けられた給気口15の開口の総面積を吹き出し口41から吹き出す風量で除した値を1.8−2.0m/secとすることにより、気流同士の干渉で低温空気を効果的に減速でき、多くの低温空気を静穏に供給できる。なお、前記干渉により給気面(フィン出口)、即ち吹き出し口41から、例えば3m離れた位置で風速0.5m/以下となり自然対流によって上昇する。これにより室内空気の状態を乱さずに温度成層を形成できる。
【0047】
このように緩やかに低温空気を吹き出すことで、必要冷蔵域95に低温空気の層を形成する。
【0048】
なお、これに限らず、吹き出し口41は、必要冷蔵域95に低温空気の層を形成できる程度に低温空気を緩やかに給気できれば、低温空気SAに旋回成分を与えない構成でも良い。
【0049】
例えば
図2に示す給気パネル42の各給気口15にフィン30を設けずに、単なる開口とする、或いは特許第2963633号の
図9(b)に示されるようなバグフィルタや目の細かい多孔板を用いて給気を均一かつ低速にして開口(給気面)から必要冷蔵域95へ吹き出す低温空気SAの流速を0.5m/s以下とする。また、この低温空気SAの流速が遅い方が必要冷蔵域95の静穏を保ち易く、0.2m/s以下とするのが更に望ましい。
【0050】
この低温空気SAの流速は、例えば吹き出し口41で空調空間との境界にフィルタを設
けて構成した場合には、フィルタのすぐ下流が給気面となり、ここでの流速である。給気面から必要冷蔵域95へ吹き出す低温空気SAの流速が0.2〜0.5m/s以下となるように、
この冷却ユニットファン21の吹き出し風量とバグフィルタ等の均圧手段や抵抗体の仕様を設定する。
なお、
図1では、冷却ユニット2とダクトチャンバ4の組み合わせを2カ所に配置した例を示したが、これに限らず、冷却ユニット2とダクトチャンバ4の組み合わせの設置数は、冷却する領域(本例では倉庫)の規模に応じて任意に設定可能であり、1組或いは3組以上であっても良い。例えば、
図1に示した2組だけでなく、
図1の紙面と垂直方向に冷却ユニット2とダクトチャンバ4の組み合わせを複数組設けても良い。また、大型(大容量)の冷却ユニット2を採用し、ダクトチャンバ4の下方を分岐させて並列に設けた複数の吹き出し口から給気しても良い。
【0051】
(モータダンパ)
モータダンパ43は、ダクトチャンバ4の上部に設けられ、冷却ユニット2からの空気の流路を吹き出し口41側と、庫内の上部領域側とに切替える。モータダンパ43の構成例としては、
図8に示すように、ダクトチャンバ4の張り出し部の側板の一部に開口43Aを設け、回動軸43Bを中心として回動自在に導風板43Cを装着し、不図示のモータが制御部6の制御により導風板43Cを回動させて開状態或いは閉状態に切り換える。開状態では導風板43Cがダクトチャンバの側板として機能し、閉状態では導風板43Cが冷却ユニット2からの気流と直交する抵抗板として機能する。
【0052】
図1,
図8は、モータダンパ43を開状態として、冷却ユニット2と冷気下降流路を連通させ低温空気SAを吹き出し口41側に送出する状態であり、
図9,
図10はモータダンパ43を閉状態として、冷却ユニット2からの空気NAを庫内の上部領域に送出する状態である。後者では、ダクトチャンバ4の縦ダクト側への空気流路が閉止され、ダクトチャンバ上部の冷却ユニット2に隣接する部位の側壁が解放されて庫内上部の自由空間と連通する。
【0053】
図9,
図10に示すように、冷却ユニット2で取り込んだ空気を送風運転のみの運転モードで上部領域に送出して上部領域内で循環させることで、冷却ユニット2のデフロストを行い、且つ必要冷蔵域95への影響を抑えることができる。
【0054】
(制御ユニット)
制御ユニット6は、マイクロコンピュータやメモリ等からなる制御回路であり、リモコン等の操作部(不図示)から設定温度や冷却システム10のオン・オフ、冷却モードなどの操作が入力され、これに応じてコンデンシングユニット1や冷却ユニット2の制御を行う。
【0055】
例えば、設定温度が入力された場合、コンデンシングユニット1の圧縮機12の回転数や冷却ユニットファン21の回転数等を制御し、必要冷蔵域95が当該設定温度となるように冷却する。
【0056】
<動作>
図11は、モード選択に応じて実行する通常の冷却動作とデフロスト動作の説明図である。
【0057】
冷却システム10の電源が投入され、稼動を開始すると(ステップS10)、制御ユニット6は、動作モードを確認する(ステップS20)。
【0058】
冷却モードが選択された場合、制御ユニット6は、ステップS30に移行し、コンデン
シングユニット1や冷却ユニット2を制御して庫内の冷却を行わせる。この場合、モータダンパは閉じた状態とし、冷却ユニット2で冷却した低温空気SAをダクトチャンバ4を介して所定高さ以下に設けた吹き出し口41から緩やかに必要冷蔵域95へ送出させる。また、必要冷蔵域の温度を温度センサ(不図示)で検出し、この必要冷蔵域の温度が設定温度となるようにフィードバック制御を行うが、この温度制御等は公知の技術を適用できるので、詳細は省略する。
【0059】
この冷却モードの終了或いはモード変更が選択されるまで繰り返す(ステップS40)。
【0060】
一方、デフロストモードが選択された場合、制御ユニット6は、ステップS50に移行し、オフサイクル方式のデフロストを行う。
【0061】
オフサイクル方式のデフロストでは、コンデンシングユニット1を止め、冷却ユニット2で熱交換を行わずに送風運転を行う。この場合、モータダンパは開けた状態とし、
図9,
図10に示すように、冷却ユニット2で送風された空気NAを上部領域に送出する(ステップS60)。
【0062】
このように上部領域の氷点以上の空気を循環させることにより蒸発器24などに付着した氷を溶融させる。
【0063】
そして、制御ユニット6は、所定時間経過後或いは蒸発器24等に付着した氷の溶融後、デフロストモードを終了して冷却モードに戻す(ステップS70)。
なお、デフロストモードの選択は、操作部から入力されるものでも良いし、蒸発器24等の着氷を検知するセンサを設け、このセンサにより所定以上の着氷を検知した場合にデフロストモードを自動で選択してデフロストを行うものでも良い。
【0064】
<効果>
上述のように本実施形態の冷却システム10では、必要冷蔵域95を静穏に保ち温度成層を成すことにより、高温多湿な漏気(冷蔵域の空気より軽い。H
2O:18g/mol,空気N
2:28g/mol)を上部領域に上昇させる。また、入庫物71を冷却するための熱負荷や庫内動力の熱負荷、作業員による熱負荷が、自然対流で上部領域に押し上げられる。
【0065】
このため、従来システムのように庫内全体を冷却するのではなく、必要冷蔵域5を設定温度に冷却すれば良く、冷却効率が高まる。
また、以下の効果も得られる。
【0066】
1)吹き出し口41からの吹き出し空気(低温空気SA)に旋回成分を与える場合、給気パネル近傍の誘引量が増加するために、吹出し空気が速やかに減速する。そのため入庫物表面からの蒸発や、 ドラフト不快感による作業性悪化を抑制できる。
【0067】
2)入出庫に伴い、庫内よりも高温な漏気が流入した場合でも、この漏気を上部領域に押し上げるため、必要冷蔵域95の温度変動を小さく抑えることができる。
【0068】
3)入出庫に伴う漏気の湿分も上部領域に押し上げるため、ダンボールや商品等の入庫物71や、床面91、壁部92での結露(または結氷)を防止でき、品質確保および作業安全性が向上する。
【0069】
4)入出庫に伴って流入した高温な漏気は、上部領域に押し上げられるため、この漏気を設定温度まで冷却する必要がなく、漏気負荷を処理する熱量を削減できる。例えば、温
度33.6℃、エンタルピ86.1kJ/kg(DA)の漏気が5℃の冷蔵倉庫90内に流入する場合、こ
の漏気負荷を処理する熱量を10%削減できる。
【0070】
5)温度成層のために天井部の温度は高くなり、例えば必要冷蔵域95の設定温度が5
℃の冷蔵倉庫で、庫外の温度、特に天井パネル裏側の上部空間の温度が28℃の場合では約20%の天井貫流負荷を削減できる。入庫物71を冷却するための熱負荷や庫内動力の熱
負荷、作業員による熱負荷の合計が33W/m
2、天井照明負荷の合計が4W/m
2、壁貫流負荷の
合計が2W/m
2、天井貫流負荷が23W/m
2、漏気負荷が44W/m
2の冷蔵倉庫では106W/m
2の冷却熱量が必要であるが、本冷却システム10では約10%の熱負荷を削減できる。
【0071】
6)冷却ユニット2が上部領域の空気を取り入れて冷却を行うため、蒸発温度を従来より高めても必要冷蔵域95を所定の設定温度に保てるために、冷蔵倉庫内の乾燥が抑えられ、加えて蒸発器等の着氷量が少なくなるためにデフロストに要するエネルギーの削減、デフロスト時間の短縮が可能である。
【0072】
7)設定温度を同じにした従来システムと比べて、冷却ユニットの蒸発温度を2℃〜4
℃程度高く設定できるので、冷却システム10の運転効率を向上できる。例えば、蒸発温度を2℃高めた場合で冷却システム10の運転効率が、約7〜10%向上する。
【0073】
8)温度成層によって天井付近の温度が例えば2℃以上となる冷蔵倉庫においては、消費エネルギーの少ないオフサイトデフロストを行うことができる。デフロスト時に冷却ユニット2で循環させる空気は必要冷蔵域95の空気よりも暖かく軽いために必要冷蔵域95には届かず、低温空気の層を乱すことがない。即ち,デフロスト時の必要冷蔵域95の温度上昇を抑えることができる。
【0074】
<変形例1>
図12は、ダクトチャンバ4を冷蔵倉庫外に設置した例を示している。
【0075】
本変形例では、
図12に示すように、天井部93に設けた冷却ユニット2と接続したダクトチャンバ4を倉庫90の外壁92を貫通させて引き出し、外壁に沿って下降させ、倉庫下部で再びダクトチャンバ4を庫内に引き込み、壁部92の内面と面一に吹き出し口41の給気パネル42を設けている。
これにより、倉庫90内の有効スペースを広く確保できる。
【0076】
<変形例2>
図13−
図15は、ダクトチャンバ4を建材パネルなどによって建築的に構築した例を示す図である。
【0077】
図13(A)は、壁部を二重に設けた場合の垂直断面、
図13(B)は、壁部を二重に設けた場合の水平断面図である。
【0078】
図13に示すように、壁部92との間に所定の空間を設けて壁部92Aを建材パネル等で形成し、壁部92Aの所定高さ以下に吹き出し口41としての開口を設け、この開口部に給気パネル42を設けている。
【0079】
冷却ユニット2から送出された低温空気SAは、ダクトチャンバ4としての壁部92−92A間の空間を通り、倉庫下部に導かれて吹き出し口41から必要冷蔵域95に吹き出される。
【0080】
図14は、柱の周囲を囲んだ例を示す図である。
【0081】
図14に示すように、倉庫90の躯体(本例ではH鋼による柱)95の周囲を建材パネル94で囲み、所定高さ以下に吹き出し口41を設けてダクトチャンバ4を構成しても良い。
【0082】
なお、
図14では、吹き出し口41を設けた位置の水平断面を示す。垂直方向は、
図13(A)と同様に天井部93から床部91にかけて建材パネル94及び壁部92とで囲む空間96を構成しており、冷却ユニット2から送出された低温空気SAが、ダクトチャンバ4としての空間96を通り、倉庫下部に導かれて吹き出し口41から必要冷蔵域95に吹き出される。
【0083】
図15は、倉庫90のコーナーを建材パネル97で隔てた例を示す図である。
【0084】
図15に示すように、倉庫90の角に建材パネル97を設けて、水平断面三角形状の空間98を形成する。また、建材パネル97の所定高さ以下に吹き出し口41としての開口を設け、この開口部に給気パネル42を設けている。
【0085】
なお、
図15では、吹き出し口41を設けた位置の水平断面を示す。垂直方向は、
図13(A)と同様に天井部93から床部91にかけて建材パネル97及び壁部92とで囲む空間98を構成しており、冷却ユニット2から送出された低温空気SAが、ダクトチャンバ4としての空間98を通り、倉庫下部に導かれて吹き出し口41から必要冷蔵域95に吹き出される。
【0086】
上記
図13−
図15の例によれば、壁部等をダクトチャンバ4の一部として共用でき、ダクトチャンバ4の設置が容易となる。
【0087】
<第二実施形態>
図16は、本発明に係る冷却システム10の第二実施形態を示す図である。本第二実施形態の冷却システム10では、前述の第一実施形態と比べて冷却ユニット2を床置型とした点が異なっている。なお、その他の構成は第一実施形態と同じであり、同一の要素には同符号を付すなどして再度の説明を省略している。
【0088】
図16に示すように、本実施形態では、冷却ユニット2を床面91上に設置し、当該冷却ユニット2から庫内上部領域へ立ち上げたダクト7を設けている。このように冷却ユニット2を倉庫90内の下部に設置する場合でも、ダクト7を設けて吸い込み口75を所定高さ以上に設置する。
【0089】
これにより必要冷蔵域95の低温空気よりも温度の高い上部領域の空気を取り込むことができるので、前述の実施形態と同様に冷却システム10の運転効率を従来と比べて向上できる。
【0090】
なお、吸い込み口75は、必要冷蔵域95よりも高い位置であれば良いが、例えば倉庫90の天井高9Hの1/2以上、或いは2/3以上の高さ、望ましくは天井部に設ける。
【0091】
本第二実施形態では、吸い込んだ室内空気を一旦ダクトで降下させ、メンテナンスを容易にする高さ、ここでは床に直接置いた冷却ユニット側部の吸い込み口を経て、分岐される共通ダクトの上下に流路を切り換え可能としている。即ち、ダクトチャンバ4と吹き出し口41とをモータダンパ43−2を介して接続すると共に、ダクトチャンバ4と庫内上部へと立ち上げた竪ダクト44とをモータダンパ43−1を介して接続する。そして冷却モードが選択された場合、制御部6の制御によりモータダンパ43−1を閉状態、モータ
ダンパ43−2を開状態とすることにより、ダクトチャンバ4と吹き出し口41とを連通させ、冷却ユニット2からの低温空気SAを共通ダクトの下部を経て吹き出し口41から吹き出させる。
【0092】
また、デフロストモードが選択された場合には、制御部6の制御によりモータダンパ43−1を開状態、モータダンパ43−2を閉状態とすることにより、ダクトチャンバ4と竪ダクト44(共通ダクトの上部)とを連通させ、送風運転のみとされた冷却ユニット2からの空気NAを吹き出し口41へ供給せず、
図17に示すように竪ダクト44を介して上部領域に送出する。竪ダクト44の例えば頂部近傍の吸い込み口75に対向する一側面が吹き出し開口となっている。これにより冷却ユニット2がダクト7を介して上部領域の空気を取り入れ、この空気NAをダクトチャンバ4を介して上部領域に戻すので、前述と同様に必要冷蔵域への影響を抑えつつ、デフロストを行うことができる。
また、冷却ユニット2は、屋外に設置しても構わない。即ち、吸い込み口75を空調空間の壁面に設け、ダクト7を外壁にそって立ち下げて冷却ユニット2に還気させ、ここから前述した室内の上下に分岐される共通ダクトに供給しても良い。
【0093】
なお、本第二実施形態においてもダクトチャンバ4やダクト7を前述の変形例1,2と同様に構成しても良い。
【0094】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明に係る冷却システムはこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。