(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
底板と前板と後板と右側面板と左側面板とからなる一面が開口された包装媒体巻回体を収納する包装媒体収納容器であって、前記後板には回動可能に連接され、前記開口された一面を塞ぐように構成された蓋板と、当該蓋板に立設された蓋前板と当該蓋前板に切取線を介して連接された開封板とを含んで構成される蓋開封前板とからなる包装媒体収納容器において;
前記底板と前記前板と前記後板と前記蓋板と前記蓋開封前板の少なくともいずれかの一つの面に形成された滑り止め部を備え;
前記滑り止め部が、前記面の一方の端部または両方の端部に形成され;
前記滑り止め部が、エンボス加工がなされたエンボスであり;
前記エンボスが、並列して配置された複数のV字状であり;
前記包装媒体収納容器は、前記底板、前記前板、前記後板、前記蓋板及び前記蓋開封前板が長方形であって、前記前板は前記底板の一方の長辺に前記底板に対し直角に立設され、前記後板は前記底板の一方の長辺に対向する他方の長辺に前記底板に対し直角に立設され、前記蓋開封前板は前記蓋板が前記開口された一面を塞いだ状態のときに前記前板の外側の面に沿って重なるように配置されて構成され;
前記V字状のエンボスは、V字の屈曲した部分が前記面の長方形の短辺側に位置し、V字の両端部が前記面の長方形の短辺とは反対側に位置するように配置されている;
包装媒体収納容器。
【背景技術】
【0002】
図
7(A)、(B)、(C)に示すように、従来の包装媒体供給具101は、包装媒体巻回体(図
7に不図示)(以下、適宜、巻回体)と、巻回体を収納する包装媒体収納容器103(以下、適宜、収納容器103)とを含んで構成される。巻回体は、食品包装用等に使用される包装媒体(図
7に不図示)を円筒状の巻芯(図
7に不図示)に巻きつけて巻回体としたものである。巻回体は、細長い直方体形状である紙製の収納容器103の中に収納される。
【0003】
収納容器103は、底板105と、前板106と、後板107と、右側面板108、左側面板109と、収納容器103の蓋としての機能を有する蓋板122であって、一辺139が後板107に回動可能に連接された蓋板122とを備える。収納容器103は、さらに、蓋板122の一辺139に対向する他の一辺140に立設された蓋前板123であって、収納容器103が閉状態になったとき、すなわち、蓋板122が底板105に平行になったときに、前板106の外側に重なる蓋前板123を備える。蓋前板123の長手方向Xの中央部には滑り止め部111が形成されている(例えば、特許文献1、段落0006〜0009、
図2〜
図4)。滑り止め部111は、前板106に形成された凹陥部111Aであり(図
7(A))、あるいは小突起の集合パターン111Bであり(図
7(B))、あるいは前板106と蓋板122にまたがる曲面111Cである(図
7(C))。
【0004】
包装媒体を使用するときは、例えば収納容器103を左手で持ち、蓋前板123の滑り止め部111を左手の親指で押さえ、左手で蓋板122を開け、その後右手で包装媒体を摘んで引き出し、巻回体を収納容器103内で回転させ、包装媒体を巻回体から剥離させ、収納容器103の外部に引き出すことができる。必要な長さの包装媒体を引き出した後に、蓋板122を左手で閉め、蓋前板123の滑り止め部111を、左手の親指で押さえ、カッター124を使用して包装媒体を切断し、切り離した包装媒体を使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の包装媒体供給具の滑り止め部は、蓋板の開閉の際、あるいは包装媒体の切断の際に蓋板を押さえた手の滑りを防止するものであり、収納容器の長手方向の中央部に配置されていた。このため、包装媒体供給具の端部を手で掴み、包装媒体供給具を移動させる際には、手が滑り止め部に接触しないため滑り止めとして作用せず、指先が濡れた場合など、指先と包装媒体供給具の端部の表面との間に滑りが生じ、包装媒体供給具を掴みにくい場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、手の指と包装媒体収納容器の表面との間で滑りが生じにくく、包装媒体収納容器の端部を確実に掴むことができる包装媒体収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば
図1、
図2(A)、(B)に示すように、底板5と前板6と後板7と右側面板8と左側面板9とからなる一面30が開口された包装媒体巻回体2を収納する包装媒体収納容器3であって、後板7には回動可能に連接され、開口された一面30を塞ぐように構成された蓋板22と、当該蓋板22に立設された蓋前板23と当該蓋前板23に切取線25を介して連接された開封板26とを含んで構成される蓋開封前板29とからなる包装媒体収納容器3において;底板5と前板6と後板7と蓋板22と蓋開封前板29の少なくともいずれかの一つの面に形成された滑り止め部部5A、5B、6A、6B、7A、7B、22A、22B、29A、29Bを備える。
【0009】
このよう構成にすると、底板と前板と後板と蓋板と蓋開封前板の少なくともいずれかの一つの面に形成された滑り止め部を備えるので、包装媒体収納容器の滑り止め部のある底板と前板と後板と蓋板と蓋開封前板の少なくともいずれかの一つの面を手で掴むときに、指が滑り止め部に引っかかるので、手の指と滑り止め部との間で滑りが生じにくく、包装媒体収納容器の端部を確実に掴むことができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば
図2(A)、(B)に示すように、第1の態様の包装媒体収納容器において、滑り止め部5A、5B、6A、6B、7A、7B、22A、22B、29A、29Bが、底板5と前板6と後板7と蓋板22と蓋開封前板29との面にそれぞれ形成されている。
【0011】
このように構成すると、滑り止め部が、底板と前板と後板と蓋板と蓋開封前板との面にそれぞれ形成されているので、包装媒体収納容器の面を手で掴むときに、指がいずれかの面の滑り止め部に引っかかるので、手の指と滑り止め部との間で滑りが生じにくく、包装媒体収納容器の端部を確実に掴むことができる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば
図2(A)に示すように、第1の態様または第2の態様の包装媒体収納容器において、滑り止め部22A、22B、29A、29Bが、前記面の一方の端部または両方の端部22A
1、22B
1、29A
1、29B
1に形成されている。
【0013】
このように構成すると、滑り止め部が、底板、前板、後板、蓋板、蓋開封前板の面の一方の端部または両方の端部に形成されているので、底板、前板、後板、蓋板、蓋開封前板の面の一方の端部または両方の端部を手で掴むときに、手の指と滑り止め部との間で滑りが生じにくく、包装媒体収納容器の一方の端部または両方の端部を確実に掴むことができる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば
図2(A)に示すように、第3の態様の包装媒体収納容器において、前記滑り止め部22A、22B、29A、29Bが、端部22A
1、22B
1、29A
1、29B
1の端22A
2、22B
2、29A
2、29B
2から2mmから100mmの範囲内に配置されている。
【0015】
このように構成すると、滑り止め部が、端部の端から2mmから100mmの範囲内に配置されているので、包装媒体収納容器の端部を手で確実に掴むことができる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば
図2(A)に示すように、第1の態様乃至第4の態様のいずれか1の態様の包装媒体収納容器において、滑り止め部22A、22B、29A、29Bが、エンボス加工がなされたエンボスである。
【0017】
このように構成すると、滑り止め部が、エンボス加工がなされたエンボスであるので、包装媒体収納容器のエンボスに指が引っかかり、手の指が滑りにくく、包装媒体収納容器の端部を確実に掴むことができる。
【0018】
本発明の第6の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば
図5(A)に示すように、第5の態様の包装媒体収納容器において、エンボス35が、並列して配置された複数のV字状である。
【0019】
このように構成すると、エンボスが、並列して配置された複数のV字状であるので、エンボスに指が引っかかり、指が滑りにくく、包装媒体収納容器の端部を確実に掴むことができる。
【0020】
本発明の第7の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば
図5(B)および(C)に示すように、第5の態様の包装媒体収納容器において、エンボス36が、互いに平行に配置された複数の棒線状である。
【0021】
このように構成すると、エンボスが、互いに平行に配置された複数の棒線状であるので、エンボスに指が引っかかり、指が滑りにくく、包装媒体収納容器の端部を確実に掴むことができる。
【0022】
本発明の第8の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば
図6に示すように、第1の態様乃至第4の態様のいずれか1の態様の包装媒体収納容器において、滑り止め部5Aが、穴加工がなされた穴部47であり;穴部47が、散点状に配列された複数の穴50からなる複数の穴列48を有し;穴列48が、底板5の長手方向Xに直角で互いに平行に配列され;穴50の最大径が、0.1mmから10mmの範囲にある。
【0023】
このように構成すると、穴列に指が引っかかり、滑りにくく、包装媒体収納容器の端部を確実に掴むことができる。
【0024】
上記目的を達成するために、本発明の第9の態様に係る包装媒体供給具1は、例えば
図1に示すように、第1の態様乃至第8の態様のいずれか1の態様の包装媒体収納容器3と;包装媒体12が円筒状に巻かれた包装媒体巻回体2とを備える。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明の包装媒体収納容器によれば、底板と前板と後板と蓋板と蓋開封前板の少なくともいずれかの一つの面に形成された滑り止め部を備えるので、包装媒体収納容器の滑り止め部のある底板と前板と後板と蓋板と蓋開封前板の少なくともいずれかの一つの面を手で掴むときに、指が滑り止め部に引っかかるので、手の指と滑り止め部との間で滑りが生じにくく、包装媒体収納容器の端部を確実に掴むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0028】
実施の形態に係る、包装媒体収納容器3(以下適宜、収納容器3)を備える包装媒体供給具1(以下適宜、供給具1)の構成を説明する。
図1は、底板5を鉛直方向下にし水平に配置した状態の供給具1の斜視図である。
図1は、蓋板22が開いた状態の図であり、包装媒体12が収納容器3に収納された状態が示されている。
図1には、滑り止め部の記載を省略してある。
図2は、蓋板22が閉じた状態の供給具1の斜視図であり、(A)が正面上方からの斜視図であり、(B)が背面下方からの斜視図である。
図3は、開封板26を開封し、蓋板22を開けた後の供給具1の斜視図である。なお、
図1に示すように、長手方向Xは、収納容器3を正面に見て、図中、右方向と、左方向とを含む。
【0029】
供給具1は、包装媒体12が円筒状に巻かれた細長い包装媒体巻回体2(以下、適宜、巻回体2)と、巻回体2を収納する収納容器3とを含んで構成される。巻回体2は、食品包装用等に使用される包装媒体12を円筒状の巻芯10に巻きつけて巻回体2としたものである。巻回体2は、略直方体形状である厚紙製またはボール紙製の収納容器3の中に収納される。供給具1の長手方向Xの長さは、例えば310mmである。
【0030】
図1に示すように、収納容器3は、包装媒体12が円筒状に巻かれた巻回体2を収容し、一面30が開口され、当該開口された一面30から巻回体2を出し入れすることができる。巻芯10に巻かれた包装媒体12は、ポリ塩化ビニリデンを原材料とする透明フィルムであって、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、もしくはこれらを組み合わせた多層フィルムであってもよい。また、包装媒体12は、ロール紙、アルミホイル、加熱調理用紙シート、キッチンペーパであってもよい。
【0031】
収納容器3は、図中、底板5と、底板5の一辺31(長辺)に底板5に対し直角に立設された前板6と、一辺31に対向する底板5の他の一辺32(長辺)に底板5に対し直角に立設された後板7と、底板5の端としての短辺5A
2、5B
2に底板5に対し直角に立設された右側面板8(図中、右側)、左側面板9(図中、左側)とを備える。底板5、前板6、後板7は、略長方形であり、右側面板8、左側面板9は略正方形である。
【0032】
収納容器3は、さらに、蓋板22と、蓋前板23と、蓋右側面板73(図中、右側)、蓋左側面板74(図中、左側)とを備える。蓋板22は、底板5の他の一辺32に対向する連接辺39を有し、連接辺39において後板7に回動可能に連接され、開口された一面30を塞ぐよう構成される。蓋前板23は、連接辺39に対向する蓋板22の一辺40に蓋板22に対して直角に立設され、蓋板22が一面30を塞いだ状態のとき、前板6の外側の面に沿って重なるよう配置される。前板6の外側の面とは、前板6の後板7側の面とは反対側の面、すなわち前板6の巻回体2が収納されている側の面とは反対側の面をいう。蓋右側面板73、蓋左側面板74は、蓋板22の端としての短辺22A
2、22B
2に対して直角に立設され、蓋板22が一面30を塞いだ状態のとき、右側面板8、左側面板9の外側に重なるように配置される。蓋板22、蓋前板23、蓋右側面板73、蓋左側面板74は略長方形である。
【0033】
蓋前板23には、蓋板22の一辺40に対向する一辺46を有し、一辺46はV字形状に形成されている。当該V字形状は、蓋板22の一辺40に沿った方向の蓋前板23の中央部においての一辺40から遠ざかる方向に出っ張るよう形成されている。蓋前板23には、包装媒体12を切断するカッター24であって、蓋板22の一辺40から遠ざかる方向にV字形状からはみ出し、V字形状に沿って配置されたカッター24が取り付けられている。
【0034】
収納容器3は開封板26を備え、開封板26は、蓋前板23の一辺46に断続的に切り込みが形成された切取線25を介して蓋前板23に連接されている。以下、蓋前板23と開封板26が連接して成る一面を、適宜、蓋開封前板29とする。開封板26は、前板6の外側の面に沿って当該面に重なるように配置されている。開封板26が切取線25から切り取られ、蓋前板23より分離することにより、蓋板22を開け、一面30を開とし、包装媒体12を収納容器3から引き出すことができる。
【0035】
前板6は、前板6の収納容器3の外側に対応する面に、底板5の一辺31に平行に配置された複数の接着エリア34を有する。接着エリア34は、前板6の外側の面の蓋前板23に重ならない、図中、蓋前板23の下側(底板5に近い方の側)の部分に配置されている。開封板26の裏側(前板6の外側の面に沿う側)には、底板5の一辺31に平行に開封板26の長手方向Xの一方の端から他方の端まで帯状に接着剤が塗られている。前板6の表側には、接着エリア34を除いて、剥離オーバープリント二スが塗布される。したがって、開封板26は接着エリア34の部分で前板6に接着される。開封板26を切取線25に沿って蓋前板23から切り取られる際に、開封板26は接着されていた前板6から、すなわち接着エリア34から剥がされる。
【0036】
図2(A)、(B)に示すように、底板5、後板7、蓋板22、蓋開封前板29は、収納容器3の長手方向Xの両端部5A
1、B
1、7A
1、B
1、22A
1、B
1、29A
1、B
1にそれぞれ滑り止め部5A、B、7A、B、22A、B、29A、Bを有する。滑り止め部は、互いに同一または鏡対称に形成するとよい。
【0037】
図3に示すように、開封板26を切り取った後に現れる前板6の両端部6A
1、B
1にも、収納容器3の長手方向Xの両側にそれぞれ滑り止め部6A、Bを有する。開封板26を切り取った後は、蓋前板23の両端部23A
1、B
1と前板6の両端部6A
1、B
1に設けられた滑り止め部6A、B、23A、Bによって、蓋板22を閉じた時の正面側の一面の滑り止め部を構成する。すなわち、前板6に形成されている滑り止め部6A、Bは、開封板26に形成されている滑り止め部26A、Bと形状、大きさおよび配置が同一であり、蓋開封前板29に形成された滑り止め部29A、Bの一部である。なお、前板6の両端部6A
1、B
1に、後板7に形成されている滑り止め部7A、B(
図2(B))と全く同一の滑り止め部を形成してもよい。このようにすると、蓋板22を開けた状態の収納容器3を移動するときに前板6と後板7を掴んだとき、収納容器3を手の滑りを起こさずに掴むことができる。
【0038】
図2(A)、(B)に示すように、滑り止め部5A、B、7A、B、22A、B、29A、Bは、両端部5A
1、B
1、7A
1、B
1、22A
1、B
1、29A
1、B
1に設けられるが、もしくは長手方向Xの右側の端部5A
1、7A
1、22A
1、29A
1または左側の端部5B
1、7B
1、22B
1、29B
1のどちらか一方に設けてもよい。滑り止め部は、底板5、後板7、蓋板22、蓋開封前板29、前板6のいずれか一面において、長手方向Xの全体に設けられてもよい。
【0039】
図4に、底板5の右側の端部5A
1に形成された滑り止め部5Aを示す。当該端部5A
1において、長手方向Xの右側の端としての短辺5A
2から滑り止め部5Aに最も近い点までの距離L
1は2mm以上であり、最も遠い点までの距離L
2は100mm以下となるよう滑り止め部5Aを設けるのが好ましい。このようにすると容易に端部5A
1を掴むことができる。距離L
1を5mm以上とし、距離L
2を80mm以下とするのがよりこのましい。このようにするとより容易に端部5A
1を掴むことができる。男性の手において、指の付け根から指先までの長さが最大約80mmであるためである。短辺方向Wにおいては、滑り止め部5Aを、短辺方向Wの全体に設けられてもよいが、好ましくは短辺方向Wの端である一辺31または他の一辺32から滑り止め部の端に最も近い点までの距離L
3を2mm以上とするのが好ましい。紙から成る収納容器3の全体的な寸法精度を維持するためである。距離L
3は5mm以上とするのがより好ましい。このようにすると当該寸法精度をより確実に維持することができる。以上述べたことは、底板5の左側の端部5B
1に形成された滑り止め部5B、他の後板7、蓋開封前板29、蓋板22、蓋前板23/前板6の端部に形成された滑り止め部についても同様に適用される。
【0040】
滑り止め部は、底板5、後板7、蓋板22、蓋開封前板29の、少なくともいずれかの一面に設けられればよい。このようにすると、収納容器3が棚の上にある場合に指を引っ掛けて引き寄せやすい。また段ボールケースに縦入れされている場合に指を引っ掛けて引きずり出しやすい。また、滑り止め部は、底板5と蓋板22、蓋開封前板29と後板7等、収納容器3の対向する二面に設けてもよい。このようにすると、収納容器3を掴む際に滑りにくく、しっかり掴むことができる。また、滑り止め部は、収納容器3の四面全てに設けてもよい。このようにすると、保管時等の面の向きがどの方向であっても、面の向きを視認する手間をかけずに、しっかり掴むことができる。
【0041】
図5(A)、(B)、(C)に、滑り止め部5Aの詳細を示すが、これには限定されないものとする。例として、底板5の長手方向Xの右側の端部5A
1に設けられた滑り止め部5Aで説明する。底板5の短辺方向Wの幅W
1は、例えば、40mmである。
【0042】
図5(A)に示すように実施の形態の滑り止め部5Aは、長手方向Xに対して60度の角度αだけ傾いたV字状(120度開いたV字状)のエンボス35から形成されている。エンボス35は長手方向に沿って3列に並列に並んで配置されている。滑り止め部5Aの短辺方向Wの長さZ
1は27mmである。エンボス35は11mmの間隔(一つのエンボス35の中心線と隣り合うエンボス35の中心線との間の間隔)P
1を置いて形成されている。エンボス35の幅W
2は4mmである。
【0043】
図5(B)に示すように滑り止め部5Aは、長手方向Xに対し直角に配置された棒線状のエンボス36から形成されてもよい。エンボス36は長手方向Xに沿って互いに平行に4列に並んで配置されている。滑り止め部5Aの短辺(底板5の短辺)方向Wの長さZ
1は27mmである。エンボス36は11mmの間隔(一つのエンボス36の中心線と隣り合うエンボス36の中心線との間の間隔)P
1を置いて形成されている。エンボス36の幅W
2は3mmである。
【0044】
図5(C)に示すように滑り止め部5Aは、長手方向Xに対し60度の角度βで起き上がって(一辺31から他の一辺32に向かって図中、エンボスの左端が60度起き上がる)配置された棒線状のエンボス52
1、52
2から形成されてもよい。エンボス52
1、52
2は長手方向Xに対し60度の角度βで互いに平行に4列に並んで配置されている。エンボス52
1、52
2は中央の二つの長いエンボス52
1と、外側の短い二つのエンボス52
2からなる。滑り止め部5Aの短辺(底板5の短辺)方向Wの長さZ
1は27mmである。エンボス52
1、52
2は9mmの間隔(一つのエンボスの中心線と隣り合うエンボスの中心線との間の間隔)P
1を置いて形成されている。エンボス52
1、52
2の幅W
2は3mmである。
【0045】
滑り止め部のエンボスの形状は、収納容器3(
図1(A))の各面において全て同一の形状とする構成であってもよいし、面毎に異なる形状を形成する構成であってもよい。右側の端部と左側の端部で異なる形状を形成する構成であってもよい。エンボスの形状は各面の長手方向の中心線に対して面対称に構成してもよく、当該中心線に対して非面対象に構成してもよい。当該中心線に対して非面対象に構成し、さらに面毎に異なる形状とし、収納容器3のどの面(底板、蓋板等)に触ったのかが分かり、触っただけで収納容器3がどのようの姿勢で置かれているのかが分かるようにしてもよい。
【0046】
滑り止め部5Aは例えば底板5の外側表面に隆起するエンボスに限らず、底板5の内側表面に隆起するエンボスであってもよく、これらのエンボスの両方からなる構成であってもよい。また、棒線状のエンボスに限らず、半球状のエンボスであってもよく、これら棒線状エンボスと半球状エンボスの両方からなる構成であってもよい。
【0047】
滑り止め部5Aが底板5から外側表面に隆起するエンボスである場合、滑り止め部が形成される略四角の範囲全体を、エンボスの隆起分だけ窪ませる構成であってもよい。滑り止め部5Aの効果を維持しつつ、エンボスの頂部を底板5の面と面一にすることができる。これにより、包装媒体供給具1の複数個を多段に積み上げる際、斜めに傾かずに垂直に積み上げることができる個数が、底板5がエンボスを形成しない平面である場合と、ほぼ同じ個数を積み上げることができるようになる。
【0048】
収納容器3は、
図1に示すように略直方体形状であるが、一般に平面上の板紙を打ち抜いて、展開図の切り抜き及び罫線の形成を行う打抜工程、打抜工程で得られた板紙を折り曲げて箱を形成する製函工程を経て作成される。したがって、エンボスは打抜工程と同時に押し型を使用してプレス加工(エンボス加工)することによって形成するか、又は打抜工程前後でエンボス加工工程を設けて形成することができる。エンボスの深さは、0.05〜0.40mmとすることが好ましい。より好ましくは0.10〜0.30mmである。0.05mm未満では、エンボスを設ける効果が得られない場合がある。0.4mmを超えると、素材がエンボス加工時の伸びに追従できず、板紙が割れたり、切れたりする場合がある。
【0049】
図6に示すように、滑り止め部5Aとして、穴列48を有する穴部47を設け、円形の多数の穴50を開けてもよい。穴50の直径は、0.1mmから10mmの範囲とするとよい。穴50に指の一部が入り込み、滑り止め部として作用する。
【0050】
図5(A)、(B)、(C)、
図6に示す滑り止め部5Aは、底板5の右側の端部5A
1だけでなく、左側の端部5B
1に設けられる滑り止め部5B、さらに、蓋板22、後板7、蓋開封前板29、前板6の滑り止め部に適用することができる。
【0051】
滑り止め部は、表面に滑り止め加工がなされたシール(不図示)を貼り付ける構成であってもよい。
【0052】
[試験例]
次に、
図5(A)、(C)を用いエンボスの人間の指による感触を評価する感触官能評価試験の結果を説明する。
【0053】
評価試験は、収納容器3に包装媒体巻回体2を備える包装媒体供給具1を用いて行った。原材料はコートボール紙(重さ:550g/m
2、厚さ:0.70mm)を使用した。包装媒体供給具1の大きさは、310mm(長さ)×45mm(幅)×45mm(高さ)とした。エンボスの深さは、0.10mmとした。なお、評価は10人のモニターにより行った。
【0054】
収納容器3において、
図5(A)に示すV字状のエンボスからなる滑り止め部を、蓋板22の外側表面に隆起する形で、両端部22A
1、22B
1に鏡対称に形成して、試験例1を得た。
【0055】
収納容器3において、
図5(C)に示す52
1、52
2のエンボスからなる滑り止め部を、蓋板22の外側表面に隆起する形で、両端部22A
1、22B
1に鏡対称に形成して、試験例2を得た。
【0056】
収納容器3において、蓋板22の表面にエンボスを有せず、滑り止め部を形成しない比較例1を得た。
【0057】
試験例1、2及び比較例1を、モニターの胸から目のあたりの高さの台の上に蓋板22を鉛直方向上側にして設置した。モニターには設置した位置から実際に試験例1、2及び比較例1を取ってもらい、比較例1の感触を参考にし、試験例1と試験例2のエンボスの感触を、(1) 感触有り、(2)やや感触有り、(3) 感触無し(比較例1と同等)の三段階で評価してもらった。試験例1、2及び比較例1についての、官能評価の結果を表1に示す。
【0059】
表1に示されるように、試験例1について「感触あり」とする回答が7人と一番多かった。試験例2は3人、比較例1は0人であった。したがって、この官能評価結果から、試験例1のV字状のエンボスの方が、試験例2の棒線状のエンボスよりも、感触が強いと感じるモニターが多いとの結論が得られた。
【0060】
本実施の形態の包装媒体収納容器3によれば、底板5と蓋板22と後板7と蓋開封前板29(蓋前板23/開封板26)と前板6の端部5A
1、B
1、22A
1、B
1、7A
1、B
1、29A
1、B
1(23A
1、B
1/26A
1、B
1)、6A
1、B
1に、滑り止め部5A、B、22A、B、7A、B、29A、B(23A、B/26A、B)、6A、Bを備えるので、包装媒体収納容器3の端部を手で掴むときに、指が滑り止め部に引っかかるので、手の指と滑り止め部との間で滑りが生じにくく、包装媒体収納容器3の端部を確実に掴み、包装媒体収納容器3を移動させることができる。
【0061】
特に、供給具1(開封前)が搬送用の梱包箱に鉛直方向に収納されている場合、また供給具1(開封前および開封後)が棚の上、あるいはテーブルの上に保管されている場合に、端部を手で掴むことができ、指が滑り止め部にあたり滑りにくいので、供給具1を容易に移動させることができる。