(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マウント部のマウント面に対して前記モータの駆動軸が傾きを有するように前記モータを配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のミラーボックス。
前記ミラー枠がアップ位置に到達した時、前記軸部Cは前記軸受け部Cの内壁に当接し、前記第二のレバーが移動を停止することにより前記ミラー枠をアップ位置で停止することを特徴とした請求項6又は請求項7に記載のミラーボックス。
前記モータは前記モータの駆動軸が前記シャシに配設された前記マウント部のマウント面に対して傾きを有するように前記シャシに固設されたことを特徴とした請求項6乃至請求項8の何れか一項に記載のミラーボックス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に示されている技術は、ミラー枠に慣性がはたらくと、コロ及びカム接触だけでは有効にミラー枠を減速することが難しく、ミラーアップ及びミラーダウンにおいて加速したミラー枠を効率よく減速する事ができない。
【0011】
また、ミラーアップ及びミラーダウン、並びに、シャッターチャージ及び退避はコロと二つのカムとの接触により行っており、ミラーとシャッターを駆動させるためにはコロとカムとが衝突する。従って、部材同士の衝突により、部材を停止させることが必須であるため部材の耐久性の悪化を免れない。
【0012】
また、コロを駆動させるカムが切り換わるとき、コロがいずれのカムにも接触していない期間が発生する可能性がある。従って、2つのカムの間で駆動部材を制御する場合、カム面の間隔がカムフォロアと一致せず加速と減速の間に空走区間を設けざるを得ない。
【0013】
また、ミラー動作後半では減速区間を設けているが、連写を行ったとき、ミラー枠に慣性力がはたらき慣性力がバネの付勢力よりも大きい場合は、ミラー枠はバネを押し上げて更に上昇する可能性がある。従って、カムの回転速度を減速することが出来ても、ミラー枠に作用する慣性力で駆動レバーのばねを押し上げてしまう可能性があるためカムの回転の加速度を大きくすることができない。
【0014】
また、上述した通り、コロの空走時間及びミラー枠の過剰な上昇により、正常なミラー枠の駆動を阻害する異常なミラー枠の駆動が行われるため、ミラー枠の駆動時間の短縮が妨げられる。
【0015】
また、連写は短周期に連続してミラー枠の駆動を行うため、ミラー枠の駆動において上述したミラー枠の異常駆動が収まらないと次の撮影が出来ない。このため、より高速な連写が行えない。従って、大型で高速駆動可能なモータを搭載したとしても、高速連写を行うために当該モータを高速で駆動することが出来ない。
【0016】
ミラー枠の駆動時、コロはカムに衝突する。更にミラーダウン時においては、ミラー枠はミラーボックス内に配設されたストッパーに衝突することにより停止している。従って、特許文献1に示されるミラー駆動機構はミラーショックを十分に吸収することが出来ないため、より高速な連写を行うことは困難である。
【0017】
また、先行技術文献2で示されている技術では、ミラーアップ時、ミラー枠をストッパーに圧接することにより停止させている。また、ミラーダウン時、ミラー枠をカメラ本体に当接することにより停止させている。従って、部材を部材同士の衝突により停止させることが必須であるため騒音及び振動が発生し、部材の耐久性が低下する可能性がある。
【0018】
また、先行技術文献3で示されている技術では、モータとモータの駆動力を伝達するレンズ鏡筒までの距離が離れている。これによりモータの駆動を伝達するための複数のギヤが必要となり、カメラ本体内の省スペース化が損なわれている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するためになされた第一の発明は、
撮像装置に配設されたミラーボックスであって、
前記ミラーボックスはメインミラー、ミラー枠、弾性部材、第一のレバー、第二のレバー、カム部材、モータ、及び、シャシを有し、
前記ミラー枠はミラー枠回転軸及びミラー枠移動軸を有し、
前記第一のレバーは第一のレバー摺動軸を有し、
前記第二のレバーは第二のレバー摺動軸を有し、
前記カム部材は環状のカム溝部を有し、
前記シャシは第二のレバー摺動軸受け部及びマウント部を有し、
前記メインミラーは前記ミラー枠に固設され、
前記ミラー枠は前記ミラー枠回転軸によって回動可能であるように前記シャシにおいて軸支され、
前記ミラー枠移動軸は、前記第一のレバーの一端部と前記第二のレバーの一端部との間に挟持され、前記シャシに貫通し、
前記第一のレバーと前記第二のレバーとは前記第一のレバーの他端部と前記第二のレバーの他端部との間に配設された前記弾性部材によって互いに付勢され、
前記弾性部材は前記第一のレバー及び前記第二のレバーとの間に配設され、
前記弾性部材は前記第一のレバー及び前記第二のレバーの間で圧縮され、前記第一のレバー及び前記第二のレバーを前記弾性部材の伸長方向に付勢し、
前記ミラー枠移動軸は、前記弾性部材の付勢力を受けた状態で挟持され、
前記第一のレバー摺動軸は前記環状のカム溝部に摺動可能に挿嵌され、
前記第二のレバー摺動軸は前記第二のレバー摺動軸受け部に摺動可能に挿嵌され、
前記モータは前記カム部材を回転可能であるように前記シャシに配設され、
前記マウント部は前記シャシの入射光方向に配設され、
前記第一のレバー摺動軸が前記環状のカム溝部において摺動することにより、
前記第一のレバーは前記第二のレバーと共に前記ミラー枠移動軸を挟持しながら前記シャシにおいて移動し、前記ミラー枠をアップ位置及びダウン位置に移動させる
ことを特徴としたミラーボックスである。
【0021】
第
二の発明は、前記第二のレバー摺動軸が前記第二のレバー摺動軸受け部に当接することにより前記ミラー枠をアップ位置で停止させることを特徴とする請求項
2に記載のミラーボックスである。
【0022】
第
三の発明は、前記カム部材の形状は略円形状であり、前記カム部材の回転中心と前記カム部材の中心は同軸であることを特徴とする請求項
3に記載のミラーボックスである。
【0023】
第
四の発明は、前記カム部材は異なる曲率半径を3つ以上有することを特徴とする請求項
4に記載のミラーボックスである。
【0024】
第
五の発明は、前記マウント部のマウント面に対して前記モータの駆動軸が傾きを有するように前記モータを配設したことを特徴とする請求項
5に記載のミラーボックスである。
【0025】
第
六の発明は、メインミラー、ミラー枠、弾性部材、第一のレバー、第二のレバー、カム、モータ、ウォームギヤ、ウォームホイール、及び、シャシを有したミラーボックスであって、
前記ミラー枠はミラー枠回転軸及び軸部Aを有し、
前記第一のレバーは、第一のレバー孔部、弾性部材用軸部、第一のレバー摺動軸、溝部及び軸部Bを有し、
前記第二のレバーは、孔部B及び軸部Cを有し、
前記カムはギヤ、軸部D及び環状のカム溝部を有し、
前記シャシは、第一のレバー回転軸、軸受け部A、軸受け部B、軸受け部C、軸受け部D、ミラー枠回転軸用孔部及び前記マウント部を有し、
前記メインミラーは前記ミラー枠に固設され、
前記ミラー枠は前記ミラー枠回転軸によって回動可能であるように軸支され、
前記ミラー枠回転軸はその両端を前記ミラー枠回転軸用孔部に保持され、
前記カムには前記ギヤが周設され、
前記カムの中心には前記軸部Dが配設され、
前記カムには前記環状のカム溝部が穿設され、
前記第一のレバー回転軸は前記第一のレバー孔部に挿嵌し、
前記軸部Aは前記軸受け部Aを貫通し、
前記軸部Aは前記第二のレバーの端部と前記溝部との間に挟持され、
前記弾性部材は前記弾性部材用軸部に挿嵌され、
前記弾性部材は前記第一のレバー及び前記第二のレバーを前記弾性部材の伸長方向に付勢し、
前記第一のレバー摺動軸は前記環状のカム溝部に摺動可能に挿嵌され、
前記軸部Bは前記孔部Bを貫通し、
前記軸部Bは前記軸受け部Bに遊嵌し、
前記軸部Bは前記第二のレバーを回転可能に軸支し、
前記軸部Cは摺動可能に前記軸受け部Cに挿嵌し、
前記軸部Dは回転可能に前記軸受け部Dに挿嵌し、
前記ウォームギヤは前記ウォームホイールと歯合可能であるように前記モータに配設され、
前記ウォームホイールは前記シャシに軸支され、
前記ウォームホイールは前記カムに歯合し、
前記モータは前記シャシに固設され、
前記マウント部は前記シャシの入射光方向に配設され、
前記モータは前記ウォームギヤ、前記ウォームホイール、及び前記カムを回転させ、
前記カムは前記第一のレバー摺動軸を前記環状のカム溝部で摺動させ、
前記第一のレバーは前記第一のレバー摺動軸の摺動により前記第一のレバー回転軸まわりに回動し、
前記軸部Cは前記第一のレバーの回動により前記軸受け部C内で摺動させられ、
前記溝部及び前記第二のレバーの端部は前記第一のレバーの回動により、前記軸部Aを挟持しながら前記軸受け部A内で上下に移動させ、
前記ミラー枠をアップ位置及びダウン位置に移動させる
ことを特徴とした請求項
6に記載のミラーボックスである。
【0026】
第
七の発明は、前記カムの形状は略円形状であり、前記カムの回転中心と前記カムの中心は同軸にあり、前記カムは異なる曲率半径を3つ以上有することを特徴とした請求項
7に記載のミラーボックスである。
【0027】
第
八の発明は、前記ミラー枠がアップ位置に到達した時、前記軸部Cは前記軸受け部Cの内壁に当接し、前記第二のレバーが移動を停止することにより前記ミラー枠をアップ位置で停止することを特徴とした請求項
8に記載のミラーボックスである。
【0028】
第
九の発明は、前記モータは前記モータの駆動軸が前記シャシに配設された前記マウント部のマウント面に対して傾きを有するように前記シャシに固設されたことを特徴とした請求項
9に記載のミラーボックスである。
【0029】
第
十の発明は、請求項
10に記載の撮像装置である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、カムの中心からカム溝までの距離、すなわち、曲率半径が異なる円形状カムを使用してメインミラー枠の駆動を行うことにより、メインミラー枠の駆動の加速及び減速の調節が可能となる。従って、ミラーアップ及びミラーダウン時、加速されたメインミラー枠を減速して所望のアップ位置及びダウン位置に正確に停止させることが可能となる。
【0031】
また、クイックレバー及びクイックダウンレバーでメインミラー枠を駆動するメインミラー枠に配設されたボスを挟持し、ミラーアップ及びミラーダウンを行うことにより、慣性力がメインミラー枠に作用しても、メインミラー枠をアップ位置及びダウン位置でバウンドさせることなく確実に停止することが可能となる。特に、ミラーアップ時、ミラー枠をストッパー等の他の部材に衝突させて停止させる必要がない。これにより、メインミラー枠のバウンドが防止されミラーショック等が低減される。従って、ミラーボックスの耐久性等の悪化を防止することが可能となる。
【0032】
また、メインミラー枠はアップ位置及びダウン位置で確実に停止することが可能であるから、メインミラー枠の駆動速度を大きくすることが出来、高速連写に対応したメインミラー枠の高精度な駆動が可能となる。
【0033】
また、ミラー駆動用のモータを傾斜させてミラーボックスに配設することができるため、より大型のモータを搭載することが出来、より高速な連写が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明のミラーボックスを搭載したカメラ100の内部構成を示すブロック図であり、メインミラー枠900がダウン位置にあるときの図である。
【
図2】本発明のミラーボックスを搭載したカメラ100の内部構成を示すブロック図であり、メインミラー枠900がアップ位置にあるときの図である。
【
図3】カメラ100の主要構成ユニットを取り出して分解して示す要部拡大分解斜視図である。
【
図4】カメラ100の主要構成ユニットを組み立てた状態を示す要部拡大斜視図である。
【
図5】カメラ100におけるメインミラー枠を駆動させる機構に関連する構成部材のみを取り出して示す要部拡大斜視図である。
【
図7】メインミラー枠900がダウン位置にあるときの図である。
【
図8】メインミラー枠900がダウン位置からミラーアップを開始したときの図である。
【
図9】メインミラー枠900がアップ位置にあるときの図である。
【
図10】メインミラー枠900がアップ位置からミラーダウンを開始したときの図である。
【
図11】メインミラー枠900が再度ダウン位置に戻ったときの図である。
【
図12】円形状カムの各回転角Ψにおけるrの長さを示したグラフである。
【
図13】円形状カム700が時計回りに回転し、Qボス503がa‐b区間にあるときの図である。
【
図14】円形状カム700が時計回りに回転し、Qボス503がb‐c区間にあるときの図である。
【
図15】円形状カム700が時計回りに回転し、Qボス503がc‐d区間にあるときの図である。
【
図16】円形状カム700が時計回りに回転し、Qボス503がd‐e区間にあるときの図である。
【
図17】円形状カム700が時計回りに回転し、Qボス503がe‐f区間にあるときの図である。
【
図18】円形状カム700が時計回りに回転し、Qボス503がf‐a区間にあるときの図である。
【
図20】
図19で示されているクイックレバーを反対側から見た図である。
【
図22】
図21で示されているクイックダウンレバー400を反対側から見た図である。
【
図23】ミラーダウン時、軸受け部C303内におけるQDボスの位置を示した図である。
【
図24】ミラーアップ時、軸受け部C303内におけるQDボスの位置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1及び
図2で示されている通り、カメラ100の内部には本発明のミラーボックス及び撮像素子102が配設されている。ミラーボックス内では矢印で示される方向にメインミラー枠900が回転移動する。また、番号101はモータ802の駆動軸であり、番号103は光軸である。
【0037】
図1で示されている通り、ミラーダウン動作により、メインミラー枠900がダウン位置にある状態である。
図2で示されている通り、ミラーアップ動作により、メインミラー枠900がアップ位置にある状態である。
【0038】
図3及び
図5で示されている通り、ミラーボックスのシャシ300にはメインミラー901、メインミラー枠900、ミラー軸用孔部310、クイックレバー500、クイックダウンレバー400、円形状カム700、軸受け部A301、軸受け部B302、軸受け部C303、軸受け部D304、モータ802、ウォームギヤ801、サブミラー枠902、ペンタプリズム200、及び、ウォームホイール800が配設されている。
【0039】
図3で示されている通り、モータ802及びウォームホイール800等が配設されているシャシ300の壁面には軸受け部A301、軸受け部B302、軸受け部C303、軸受け部D304、ウォームホイール軸306及びクイックレバー回転軸305が配設されている。各軸受け部には後述するMボス904、QDボス402、QDレバー回転用ボス505、及び、円形状カムボス704が夫々挿嵌する。また、クイックレバー回転軸305にはクイックレバー500に穿設されたクイックレバー用孔部(以下、Q孔部501と記載)が挿嵌する。
【0040】
シャシ300において、軸受け部A301はMボス904が貫通可能であるように穿設され、軸受け部C303はQDボス402が貫通せずに遊嵌可能であるように穿設され、軸受け部B302はQDレバー回転用ボス505が貫通せずに遊嵌可能であるように穿設され、軸受け部D304は円形状カムボス704が貫通せずに挿嵌可能であるように穿設されている。また、ミラー軸用孔部310はミラー軸903が挿嵌可能であるように穿設されている。
【0041】
図3及び
図4で示されている通り、シャシ300において円形状カム700、クイックレバー500及びクイックダウンレバー400と同じ側にモータ802が配設されている。また、円形状カム700の周上にはギヤが周設されている。ウォームギヤ801はモータ802に配設され、ウォームホイール800はシャシ300に配設されたウォームホイール軸306に軸支され、ウォームギヤ801及び円形状カム700に歯合している。
【0042】
図1、
図2並びに
図7乃至
図11で示されている通り、モータ802はモータ802の駆動軸101がシャシ300の入射光方向に配設されたマウント部307のマウント面308に対して傾きを有するようにシャシ300の壁面に固設されている。
【0043】
図5で示されている通り、メインミラー901はメインミラー枠900に固定されている。メインミラー枠900には孔部が穿設され、孔部にはミラー軸903が挿嵌されている。ミラー軸903の両端部はシャシ300に穿設されたミラー軸用孔部310で回動可能に保持され、ミラーアップ及びミラーダウンの動作時、ミラー軸903を回転中心にメインミラー枠900が回転する。
【0044】
また、メインミラー枠900にはミラーアップ及びミラーダウンの動作時、メインミラー枠900をアップ位置及びダウン位置に移動させるためのメインミラー枠用ボス(以下、Mボス904と記載)が配設されている。
【0045】
図19及び
図20で示されている通り、クイックレバー500にはスプリング軸502、Mボス受け溝504、クイックレバー用孔部(以下、Q孔部501と記載)、円形状カム700のカム溝703に摺動するクイックレバー用ボス(以下、Qボス503と記載)、クイックダウンレバー回転用ボス(以下、QDレバー回転用ボス505と記載)が配設されている。
【0046】
図20は
図19で示されているクイックレバー500を反対側から見た図である。スプリング軸502にはスプリング600が挿嵌され、後述するクイックダウンレバー400がQDレバー回転用ボス505に回転可能に挿嵌された時、スプリング600はクイックレバー500とクイックダウンレバー400とに圧縮されるため、スプリング600は伸長する方向に両レバーを付勢する。
【0047】
図3で示されている通り、クイックレバー回転軸305をQ孔部501に挿嵌することにより、クイックレバー500は、クイックレバー回転軸305に軸支される。
【0048】
図21及び
図22で示されている通り、クイックダウンレバー400にはクイックダウンレバー用ボス(以下、QDボス402と記載)、クイックダウンレバー用孔部(以下、QD孔部401と記載)が配設されている。
【0049】
図22は
図21で示されているクイックダウンレバー400を反対側から見た図である。クイックダウンレバー400は、クイックレバー500のQDレバー回転用ボス505をQD孔部401に挿嵌することにより、QDレバー回転用ボス505に軸支される。これにより、クイックレバーの上昇及び下降に伴ってクイックダウンレバー400も上昇及び下降を行う。
【0050】
QDボス402はミラーボックスの軸受け部C303に摺動可能に遊嵌している。ミラーアップ時、クイックレバー500がMボス904とクイックダウンレバー400とを押し上げ、
図23に示されている通り、この押し上げに伴ってQDボス402は軸受け部C303内をt方向へ摺動する。ミラーダウン時は、クイックレバー500の下降によりクイックダウンレバー400も下降し、
図24に示されている通り、この下降に伴ってQDボス402は軸受け部C303内をs方向へ摺動する。
【0051】
図6で示されている通り、円形状カム700には環状のカム溝703が穿設され、円形状カム700の中心には円形状カムボス704が配設されている。カム溝703はQボス503が摺動可能であり、円形状カムボス704は円形状カム700の中心Cと一致し、後述する軸受け部D304に回転可能に挿嵌される。
【0052】
カム溝703の回転中心は円形状カム700の中心Cとは同一中心であるように穿設されている。カム溝703は、a‐b区間、b‐c区間、c‐d区間、d‐e区間、e‐f区間、及びf‐a区間の6つの区間から構成されている。
【0053】
更に、
図13で示されている通り、a‐b区間及びd‐e区間の各区間内において中心Cからカム溝703の内壁702までの距離は一定である。しかし、b‐c区間、c‐d区間、e‐f区間、及び、f‐a区間の各区間において中心Cからカム溝703の内壁702までの距離は一定ではない。具体的には、b‐c区間及びc‐d区間においては距離が増加する。一方、e‐f区間及びf‐a区間においては距離が減少する。
【0054】
図12乃至
図18で示される通り、円形状カム700が回転した時、各区間における中心Cからカム溝703の内壁702までの距離r及びMボス904の位置が示されている。中心Cからカム溝703の内壁702までの距離は当該カム溝703の曲率半径でもある。
【0055】
図12に示されているグラフの縦軸は中心Cからカム溝703の内壁702までの距離rである。また、横軸は円形状カムの回転角Ψである。
【0056】
次に、ミラーボックスの動作について説明する。
【0057】
カメラ100に電源を入れ、被写体にカメラ100を向けシャッターボタン(不図示)を押下すると撮影が行われる。シャッターボタン(不図示)を押下することによりカメラ100内に配設されたCPU(不図示)に撮影の情報が送られる。CPU(不図示)においてミラーボックスを駆動させるための一連の制御が行われ、モータ802の駆動が開始する。
【0058】
モータ802が駆動するとウォームギヤ801が回転し、ウォームギヤ801に歯合しているウォームホイール800も回転する。円形状カム700はウォームホイール800と歯合しているため、ウォームホイール800の回転に伴って円形状カム700は時計回りに回転する。
【0059】
円形状カム700が時計回りに回転すると、カム溝703に挿嵌しているQボス503は相対的に円形状カム700と反対方向である反時計回りにカム溝703内を摺動する。
【0060】
カム溝703内はa‐b区間、b‐c区間、c‐d区間、d‐e区間、e‐f区間、及びf‐a区間の6つの区間から構成されている。この6つの区間において、Qボス503が加速、減速及び等速で摺動することにより、ミラーボックスにおいてメインミラー枠900はミラーアップからミラーダウンまでの一連の動作を行う。
【0061】
Qボス503はクイックレバー500に配設されているため、
図4で示されている通り、クイックレバー500はQボス503の摺動に伴ってクイックレバー回転軸305を中心にu方向及びv方向に回転する。
【0062】
クイックダウンレバー400はクイックレバー500に配設されているQDレバー回転用ボス505に回転可能に嵌合している。クイックレバー500がv方向に回転するならば、
図7乃至
図9で示されている通り、クイックダウンレバー400は同方向に押し上げられる。また、クイックレバー500がu方向に回転するならば、
図10及び
図11で示されている通り、クイックダウンレバー400は同方向に押し下げられる。
【0063】
クイックダウンレバー400がv方向に押し上げられるならば、QDボス402はミラーボックスの軸受け部C303のt方向に移動する。逆に、クイックダウンレバー400がu方向に押し下げられるならば、QDボス402はミラーボックスの軸受け部C303のs方向に移動する。
【0064】
Mボス904はクイックレバー500のMボス受け溝504とクイックダウンレバー400に挟持されているため、クイックレバー500がv方向に回転するならば、Mボス904はメインミラー枠900をアップ位置に移動させる。逆に、クイックレバー500がu方向に回転するならば、Mボス904はメインミラー枠900をダウン位置に移動させる。
【0065】
以上より、円形状カム700の回転伴ってミラーアップ及びミラーダウンの動作が行われる。
【0066】
以下、
図7から
図11及び
図12から
図18を使用して、円形状カム700の回転に伴うカム溝703内のQボス503の移動、並びに、ミラーアップ及びミラーダウンの動作を詳細に説明する。
【0067】
図12から
図18で示されている通り、a‐b区間にあるXはミラーダウンを継続している時のQボス503の位置である。また、d‐e区間にあるYはミラーアップを継続している時のQボス503の位置である。ミラーアップを行う過程の区間はXcY区間である。また、ミラーダウンを行う過程の区間はYfX区間である。
【0068】
図12及び
図13で示されている通り、ミラーアップが開始される前はQボス503はa‐b区間にある。円形状カム700は中心Cを回転中心として時計回りに回転する。これによりミラーアップが開始される。
【0069】
カム溝703内にある回転前のQボス503はミラーアップ開始前の状態であり、メインミラー枠900がダウン位置にある。従って、Qボス503の位置はメインミラー枠900の駆動のスタート位置である。また、ミラーダウン区間もa‐b区間にある。
【0070】
また、
図7で示されている通り、メインミラー枠900がスタート位置からアップ位置に向けて上昇開始すると、クイックレバー500は円形状カム700の回転によりメインミラー枠900のMボス904を押し上げる。前述した通り、この時、Mボス904はクイックレバー500とクイックダウンレバー400とに挟持され、クイックレバー500に押し上げられる。
【0071】
クイックダウンレバー400に配設されたQDボス402は軸受け部C303に遊嵌しており、軸受け部C303内において、sからtの間を、ミラーアップ及びミラーダウンの動作中、反復摺動する。従って、ミラーアップ時、QDボス402はsの方向へ移動する。
【0072】
次に、Qボス503がa‐b区間からb‐c区間まで移動するときについて説明をする。
【0073】
図12、
図13及び
図14で示されている通り、円形状カム700の回転によりQボス503はa‐b区間からb‐c区間に移動する。b‐c区間において、中心Cからカム溝703の内壁702までの距離r2は増加する。Qボス503はカム溝703の内壁702から外壁701方向に押し出される力を受けながら反時計回りに摺動する。よって、Qボス503がb‐c区間内にあり、円形状カム700が回転した時、Qボス503はカム溝703内を加速して反時計回りに摺動する。これによりクイックレバー500も加速しながら上昇する。従って、b‐c区間はミラーアップにおいて、Qボス503が加速する加速区間である。
【0074】
図7で示されている通り、Qボス503がa‐b区間にある時はミラーアップの動作が未だ行われておらず、メインミラー枠900はダウン位置にある。
【0075】
Mボス904はシャシ300に貫通して穿設された軸受け部A301を遊嵌し、クイックレバー500とクイックダウンレバー400とに挟持されている。従って、クイックレバー500の上昇に伴い、クイックレバー500のMボス受け溝504に嵌っているMボス904は両レバーに挟持されたまま加速しながら上昇する。クイックレバー500の上昇に伴い、クイックレバー500のMボス受け溝504に嵌っているMボス904は加速しながら上昇するため、メインミラー枠900も同様に加速しながら上昇する。
【0076】
また、
図23で示されている通り、ミラーダウン時はクイックダウンレバー400に配設されているQDボス402は軸受け部C303のs方向側にあり、ミラーアップ開始によりt方向に摺動する。
【0077】
次に、Qボス503がb‐c区間からc‐d区間まで移動する時について説明をする。
【0078】
図12、
図14及び
図15で示されている通り、円形状カム700の回転によりQボス503はb‐c区間からc‐d区間に移動する。c‐d区間において、中心Cからカム溝703の内壁702までの距離r3は増加する。Qボス503はカム溝703の外壁701から時計回り方向に押し戻される力を受けながら反時計回りに摺動する。よって、Qボス503がc‐d区間内にあり、円形状カム700が回転した時、Qボス503はカム溝703内を減速して反時計回りに摺動する。これによりクイックレバー500も減速しながら上昇する。従って、c‐d区間はミラーアップにおいてQボス503が減速して摺動する減速区間である。
【0079】
従って、クイックレバー500の上昇に伴い、クイックレバー500のMボス受け溝504に嵌っているMボス904は減速しながら上昇するため、メインミラー枠900も同様に減速しながら上昇する。
【0080】
このとき、クイックレバー500に配設されたQDレバー回転用ボス505は軸受け部B302内において、メインミラー枠900がアップ位置に到達するまで、上昇する。
【0081】
円形状カム700の回転によりミラーアップの動作が開始し、Qボス503がb‐c区間からc‐d区間に移動する時、メインミラー枠900の位置は
図8で示される通りである。
【0082】
次に、Qボス503がc‐d区間からd‐e区間まで移動する時について説明をする。
【0083】
図12、
図15及び
図16で示されている通り、円形状カム700の回転によりQボス503はc‐d区間からd‐e区間に移動する。d‐e区間において、中心Cからカム溝703の内壁702までの距離r4は一定である。従って、d‐e区間はミラーアップにおいてQボス503が等速度で移動しミラーアップを維持する区間である。Qボス503がd‐e区間内にあり、円形状カム700が回転した時、Qボス503はカム溝703の内壁702及び外壁701に接しないため、加速又は減速を行わない。よって、Qボス503はカム溝703内を反時計回りに一定速度で移動する。
【0084】
前述の通り、Mボス904はクイックレバー500とクイックダウンレバー400とに挟持されているため、メインミラー枠900はアップした状態で維持される。
【0085】
図24で示されている通り、メインミラー枠900が上がり切りアップ位置に達した時、QDボス402はt方向へ摺動し、軸受け部C303の内壁309に当接する。これにより、クイックダウンレバー400の上昇が停止する。従って、クイックダウンレバー400はクイックレバー500に更に押し上げられる力が作用しても、又は、メインミラー枠900に慣性力がミラーアップ方向に作用しメインミラー枠900の更なるミラーアップ方向への移動に伴う力が作用しても、QDボス402は軸受け部C303の内壁309に当接しているため、ミラーアップ方向へは上昇しない。
【0086】
Qボス503がd‐e区間にある時、メインミラー枠900はアップ位置にある。メインミラー枠900の位置は
図9で示される通りである。
【0087】
次に、Qボス503がd‐e区間からe‐f区間まで移動するときについて説明をする。
【0088】
図12、
図16及び
図17で示されている通り、円形状カム700の回転によりQボス503はd‐e区間からe‐f区間に移動する。d‐e区間からe‐f区間はミラーアップからミラーダウンに切り換わる区間である。従って、ミラーアップを維持する区間からミラーダウンを開始する区間である。
【0089】
e‐f区間において、中心Cからカム溝703の内壁702までの距離r5は減少する。Qボス503がe‐f区間内にあり、円形状カム700が回転した時、Qボス503はカム溝703の外壁701から内壁702方向へ押し出される力を受けながら反時計回りに摺動する。よって、Qボス503はカム溝703内を加速して反時計回りに摺動する。これによりクイックレバー500も加速しながら下降する。従って、e‐f区間はミラーダウンにおいてQボス503が加速して摺動する加速区間である。
【0090】
Mボス904はクイックレバー500とクイックダウンレバー400とに挟持されているため、Mボス904の下降に伴ってメインミラー枠900も同様に加速しながら下降する。
【0091】
このとき、クイックレバー500に配設されたQDレバー回転用ボス505は軸受け部B302内において、メインミラー枠900がダウン位置に到達するまで、下降する。
【0092】
クイックダウンレバー400の下降により、ミラーアップのため軸受け部C303の内壁309に当接していたQDボス402はs方向へ移動する。これによりクイックダウンレバー400の停止が解除され、ミラーダウンが開始される。
【0093】
次に、Qボス503がe‐f区間からf‐a区間まで移動するときについて説明をする。
【0094】
図12、
図17及び
図18で示されている通り、円形状カム700の回転によりQボス503はe‐f区間からf‐a区間に移動する。f‐a区間において、中心Cからカム溝703の内壁702までの距離r6は減少する。Qボス503がf‐a区間内にあり、円形状カム700が回転した時、Qボス503はカム溝703の内壁702から外壁701方向へ押し戻される力を受けながら反時計回りに摺動する。よって、Qボス503はカム溝703内を減速して反時計回りに摺動する。これによりクイックレバー500も減速しながら下降する。従って、f‐a区間はミラーダウンにおいてQボス503が減速して摺動する減速区間である。
【0095】
Mボス904はクイックレバー500とクイックダウンレバー400とに挟持されているため、Mボス904の下降に伴って、メインミラー枠900も同様に減速して下降する。
【0096】
円形状カム700の回転によりミラーダウンの動作が開始し、Qボス503がe‐f区間からf‐a区間に移動する時、メインミラー枠900の位置は
図10で示される通りである。
【0097】
クイックダウンレバー400は下降の最中であるため、QDボス402は軸受部Cにおいて、s方向に移動している。
【0098】
次に、Qボス503がf‐a区間からa‐b区間まで移動するときについて説明をする。
【0099】
図12、
図18及び
図13で示されている通り、円形状カム700の回転によりQボス503はf‐a区間からa‐b区間に移動する。a‐b区間において、中心Cからカム溝703の内壁702までの距離r1は一定である。Qボス503がa‐b区間内にあり、円形状カム700が回転した時、Qボス503はカム溝703の内壁702及び外壁701に接していないため、加速又は減速を行わない。よって、Qボス503はカム溝703内を等速度で移動し、メインミラー枠900をダウンした状態で維持する。従って、a‐b区間はミラーダウンにおいてミラーダウンを維持する区間である。そして、再度、Qボス503はa‐b区間からb‐c区間に移動し、ミラーアップが開始される。
【0100】
メインミラー枠900が再度ダウン位置に到達したならば、
図23で示されている通り、QDボス402は軸受け部C303のs方向側に位置する。
【0101】
円形状カム700の回転によりQボス503はf‐a区間からa‐b区間に移動し、Qボス503が再度a‐b区間にある時、メインミラー枠900の位置はダウン位置にあり、
図11で示される通りである。
【0102】
一方、円形状カム700は回転を継続しているため、円形状カム700の回転に伴って更にクイックレバー500は下降する。この下降により、クイックレバー500はu方向に回転する。これにより、Mボス904を挟持していたクイックレバー500のMボス受け溝504とクイックダウンレバー400の一端とが離れ、クイックレバー500のスプリング軸502に嵌合しているスプリング600が圧縮される。
【0103】
上述した通り、クイックレバー500とクイックダウンレバー400とが離れるが、圧縮されたスプリング600の伸長方向への付勢力によりMボス904を挟持していないクイックレバー500の端部を付勢される。これにより、クイックレバー500はv方向に回転し、再度、クイックレバー500とクイックダウンレバー400とが接触し、Mボス904を挟持する。
【0104】
Qボス503がa‐b区間、及び、d‐e区間内で一定の速度で移動するために、Qボス503の移動速度をc‐d区間及びf‐a区間において加速から減速に切り換えた後、a‐b区間、及び、d‐e区間内を移動させる。これにより、ミラーアップ及びミラーダウン時に発生するミラー枠のバウンドが防止される。
【0105】
また、ミラーアップ時、QDボス402が軸受け部C303内においてt方向に摺動し、軸受け部C303内の内壁309に当接する。これにより、クイックダウンレバー400のミラーアップ方向への移動が規制される。従って、Qボス503がd‐e区間に到達した際、メインミラー枠900に作用する慣性力によるメインミラー枠900のバウンドが防止される。
【0106】
以上より、円形状カム700によりメインミラー枠900の加速及び減速を調整すること、並びに、クイックダウンレバー400を使用してMボス904の動きを規制することによりメインミラー枠900のバウンドが防止されミラーショックが極めて低減されたミラーボックスが実現される。特に、クイックダウンレバー400とクイックレバーとでMボス904を挟持することにより、ミラーアップを行ったとき、メインミラー枠900をアップ位置で停止させるためのストッパー用の部材が必要とならない。
【0107】
以上、実施例を用いた本発明の説明である。尚、本発明は本実施例に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施することができる。