【実施例】
【0043】
図1は、本発明の最適な実施形態の概要を構成する工程順に示す製造方法のフローチャートである。
図2から
図7は、
図1に示すフローチャートを構成する工程を説明するために模式的に示す断面図である。
【0044】
[製造工程の流れの説明:
図1]
図1において、S1は金属膜形成工程、S2はホトレジスト形成工程、S3は金属配線形成工程、S4はホトレジスト剥離工程、S5は洗浄工程、S6は金属配線露出工程をそれぞれ示す。ホトレジスト剥離工程S4は、3つの工程に分かれており、S41は金属配線露出工程、S42は洗浄工程、S43は除去工程となっている。
図2から
図7において、1は半導体基板、2は絶縁膜、3は金属配線、4aは塗布後のホトレジスト膜、4bは所定の形状を有するホトレジスト、5は残留塩素、6は金属膜を示す。7a及び7bとはホトレジストの反応性生成物を示し、7aは膨潤前、7bは膨潤後の状態をそれぞれ示す。
【0045】
[金属膜形成工程(S1):
図2]
図2に示す断面図は、金属膜形成工程S1を説明する図である。
例えば、シリコンよりなる半導体基板1の表面に、絶縁膜2を形成する。この絶縁膜は、例えば、シリコン酸化膜であり、半導体基板1を酸化処理して形成するか、CVD法により形成する。特に限定しないが、その膜厚は、例えば、10000Åである。
【0046】
次に、絶縁膜2上にアルミニウム材料からなる金属膜6を形成する。金属膜6であるアルミニウム材料は、例えばスパッタリング法により形成したアルミニウムに1%のシリコン(Si)と0.5%の銅(Cu)とを含む合金膜である。特に限定しないが、その膜厚は、例えば、10000Åである。
【0047】
[ホトレジスト形成工程(S2):
図2、
図3]
ホトレジスト形成工程S2を引き続き
図2と新たに
図3とを用いて説明する。
まず、金属膜6の上部全面にホトレジスト膜4aを形成する。ホトレジスト膜4aは、既知の回転塗布法により金属膜6の上面にコーティングするように形成されている。ホトレジスト膜4aの材質は、炭素を含有する感光性樹脂である。そして、特に限定しないが、その膜厚は、例えば、17000Åである。
【0048】
次に、作成したい金属配線の形状に相当する図示しない所定のホトマスクを用いて、露光及び現像するホトリソ作業により、ホトレジスト膜4aを加工して金属膜6の所定の部分にホトレジスト4bを形成する。このホトレジスト4bは、後述するドライエッチングの耐エッチングマスクとして機能する。
【0049】
[金属配線形成工程(S3):
図4]
金属配線形成工程を
図4を用いて説明する。
ホトレジスト4bを耐エッチングマスクとし、塩素ガス又は塩素を含むガスを用いるドライエッチングを行い、金属膜6をエッチング加工し金属配線3を形成する。
【0050】
反応ガスとして、塩素ガス又は塩素を含むガスを用いるため、ドライエッチング終了後、金属配線3とホトレジス4bとの表面に残留塩素5が付着する。
残留塩素5は大気と接触すると、大気中の水分と反応し塩酸を生成し、アルミニウム材料からなる金属配線3を腐食してしまうため、この工程である金属配線形成工程S3と次工程であるホトレジスト剥離工程S4とは、半導体基板1を大気暴露することなく、真空中にて一貫処理する。
【0051】
[ホトレジスト剥離工程(S4):
図5〜
図7]
次に本発明の特徴的な製造工程であるホトレジスト剥離工程を
図5〜
図7を用いて説明する。このホトレジスト剥離工程S4は、S41からS43の3つの工程から成り立っている。
【0052】
[金属配線露出工程S41]
ホトレジスト剥離工程における第1の工程である金属配線露出工程S41を説明する。
反応ガスとして、酸素と水素を含むフッ化炭素との混合ガスを用いてアッシング処理し、金属配線3上のホトレジスト4を全て除去する。つまりフルアッシングするのであって、ホトレジスト4bを少量残すようなハーフアッシングとは異なるものである。
【0053】
すでに知られている技術としてホトレジストをハーフアッシングして次工程以降で防食洗浄工程を実施する方法がある。しかし、これではホトレジストに付着した残留塩素が完全には除去しきれず、防食洗浄工程に移行した瞬間、大気に暴露されるので、金属配線3が腐食してしまうことがあり危険である。
また、ハーフアッシングしホトレジストを少量残す場合は、金属配線3の側壁に、ドライエッチング時に形成される側壁保護膜(サイドフィルム)も残留している。この側壁保護膜にも残留塩素が存在するから、やはり側壁保護膜除去の工程を実施する際に大気に暴露されると、金属配線3が腐食してしまう危険性がある。
【0054】
したがって、この金属配線露出工程S41で行なう、酸素と水素を含むフッ化炭素との混合ガスを用いて、金属配線3上のホトレジスト4を全て除去するフルアッシングには、ドライエッチング時に形成される側壁保護膜も残さず除去するという意味も含んでいる。
【0055】
水素を含むフッ化炭素は、例えば、三フッ化メタン(CHF3)であり、常温でもガス状態を維持できることからアッシング処理時に特に加熱を必要としない。そして、特に限定しないが、その温度は、例えば、25℃である。三フッ化メタンは酸素に対し10%程度の含有率で混合する。アッシング処理終了後は、半導体基板1を大気中に暴露しても何ら問題ない。
【0056】
金属配線露出工程S41終了後には、
図5に示すように、金属配線3の表面にホトレジスト4bの反応性生成物7aが形成される。
しかしながら、アッシング処理は常温でなされることから、この反応性生成物7aは、従来技術のように金属配線3に固着することはない。
【0057】
なお、
図5は、ホトレジスト4bの反応性生成物7aが固着していない様子を模式的に表現するため、反応性生成物7aの断面を楕円で表示した。もちろん、実際の処理では
図5のような綺麗な楕円形となるものではない。
【0058】
[洗浄工程S42]
ホトレジスト剥離工程における第2の工程である洗浄工程S42を説明する。
半導体基板1を、純水を用いて洗浄する。すると、前工程の金属配線露出工程S41で生成されたホトレジスト4bの反応性生成物7aは、金属配線3に固着していないことか
ら、
図6に示すように、容易に純水が浸透する。そして、膨潤した状態の反応生成物7bとなる。
【0059】
この洗浄工程S42は、あくまでも反応性生成物7aを膨潤させる目的で実施する工程である点が重要である。半導体基板1をクリーンに洗浄するための工程ではないことに注意されたい。
【0060】
なお、
図6は、ホトレジスト4bの反応性生成物7aが膨潤した状態の反応性生成物7bとなった様子を模式的に表現するため、反応性生成物7aに対して形が崩れたように表示した。
【0061】
[除去工程S43]
ホトレジスト剥離工程における第3の工程である除去工程S43を説明する。
半導体基板1を反応ガスとして、酸素を用いるプラズマでアッシング処理する。すると、前工程の洗浄工程S42で純水の浸透により膨潤したホトレジスト4bの反応性生成物7bは、
図7に示すように除去される。なお、アッシング時の温度は常温(例えば、25℃)である。
膨潤したホトレジスト4bの反応性生成物7bは、金属配線3と強固に密着していないことから、酸素を用いるアッシング処理にて、容易に剥離することができる。
【0062】
すでに説明した従来技術では、アルミニウム材料が腐食するのを防止するため、レジスト剥離工程であるアッシング処理を、反応ガスに水素を含有する水やアルコールを用い、200℃を越える高温環境で実施していたことから、ホトレジスト剥離工程で生じたホトレジストの反応生成物が金属配線の表面に固着されてしまい、専用の剥離液を用いて除去をしなければならなかった。
【0063】
これに対し、本発明の半導体装置の製造方法では、金属配線露出工程にてフルアッシングする処理を常温(例えば、25℃)で実施することが可能であることからホトレジストの反応性生成物が金属配線に固着することがない。反応性生成物の剥離に高額な専用剥離液を用いる必要がなく、洗浄工程で純水を用いて膨潤させたあと、除去工程にて酸素を用いるプラズマでアッシングすることで容易に除去することができるのである。
したがって、製造手番を短縮することができる。また、専用の剥離液に関わる設備や管理も不要となるから、製造コストの増加を防ぐことができる。さらにまた、金属配線は専用の剥離液によるダメージがないから、品質の高い金属配線を形成でき、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0064】
なお、以上説明した実施形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば任意に変更することができる。
例えば、金属配線露出工程S41でのフルアッシングの温度は常温(例えば、25℃)の場合を例にして説明したが、必ずしも常温である必要はない。発明者らが検討したところによると、ホトレジストの焼きつきは、150℃を超えると発生することがわかった。したがって、金属配線露出工程S41では、150℃を超えなければ、製造装置や加工の都合で常温を超えた温度となってもよいのである。つまり、装置内の処理室などが多少高温になっていても、常温まで冷却するまで待つ必要がなく、150℃を超えなければそのまま処理を行なえる。