(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年においては、燃費向上のための機体の効率向上を目的として翼の薄型化を図る薄翼化の対応が望まれている。そして、薄翼化された翼の内部に航空機用アクチュエータが配置されるに際し、高出力の航空機用アクチュエータの小型化は非常に重要となる。このため、特許文献1乃至特許文献3に開示されたような構造の航空機用アクチュエータよりも更に効率よく、高出力の航空機用アクチュエータの小型化が図られることが望まれる。また、高出力の航空機用アクチュエータの小型化に際しては、更に、舵面駆動の安定性及び信頼性を容易に確保可能であることも重要となる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、薄翼化が図られた翼の内部に配置可能なように高出力の航空機用アクチュエータを効率よく小型化することができ、更に、舵面駆動の安定性及び信頼性も容易に確保することができる、航空機用アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための第1発明に係る航空機用アクチュエータは、航空機の舵面を駆動する油圧作動式の航空機用アクチュエータに関する。そして、第1発明に係る航空機用アクチュエータは、2つのピストンと、2つの前記ピストンが直列に並ぶように設けられたピストンロッドと、を有するタンデムアクチュエータを複数備え、
複数の前記タンデムアクチュエータのそれぞれにおける前記ピストンロッドを結合するとともに前記舵面に対して回転自在に連結されるロッドエンド部が更に備えられ、複数の前記タンデムアクチュエータは、平行に並んで配置され、複数の前記タンデムアクチュエータのそれぞれには、
前記ピストンに対してロッドエンド部側と反対側に配置された第1油圧室及び
前記ピストンに対して前記ロッドエンド部側に配置された第2油圧
室が、設けられ、複数の前記タンデムアクチュエータのそれぞれについて
、前記ロッドエンド部側と反対側に配置された前記第1油圧室同士が第1油圧室連通経路を介して連通し
、前記第2油圧室同士が第2油圧室連通経路を介して連通して
おり、さらに、前記ロッドエンド部は、複数の前記ピストンロッドの端部を結合するブロック状の部材として設けられ、複数の前記ピストンロッドの軸方向の延長線上にそれぞれ配置されて前記舵面に連結される軸受部を複数保持し、複数の前記軸受部は、前記舵面に対して回転自在に連結される前記ロッドエンド部の回転中心線上に配置されていることを特徴とする。
【0008】
この発明によると、複数のタンデムアクチュエータが平行に並んで設けら
れる。このため
、多くの油圧室が密集してコンパクトに配置された構造を実現することができる。よって、より小さな領域においてピストンの受圧面積を効率よく増大させることができ、薄翼化が図られた翼の内部に配置可能なように高出力の航空機用アクチュエータを効率よく小型化することができる。また、タンデムアクチュエータが複数設けられているため、小型化が図られた航空機用アクチュエータにおいて冗長化も図られることになり、舵面駆動の信頼性も容易に確保することができる。
【0009】
また、舵面に対して回転自在に連結されるロッドエンド部によって、複数のタンデムアクチュエータのそれぞれにおけるピストンロッドが結合される。このため、複数のタンデムアクチュエータ間において、ピストンロッドの位置のずれが生じて逆方向に舵面を付勢し合うフォースファイトが発生してしまうことを防止することができる。更に、各タンデムアクチュエータについて、各ピストン移動領域にてロッドエンド部側と反対側に配置された第1油圧室同士が連通し、各ピストン移動領域にてロッドエンド部側に配置された第2油圧室同士が連通している。このため、各タンデムアクチュエータにおいて、2つのピストンに作用する圧力状態を容易に同期化することができる。よって、これらの構成により、舵面駆動の安定性を容易に確保することができる。
【0010】
従って、本発明によると、薄翼化が図られた翼の内部に配置可能なように高出力の航空機用アクチュエータを効率よく小型化することができ、更に、舵面駆動の安定性及び信頼性も容易に確保することができる、航空機用アクチュエータを提供することができる。
【0012】
さらに、舵面側にそれぞれ連結される複数の軸受部がブロック状のロッドエンド部に保持され、各軸受部が、各ピストンロッドの軸方向延長線上に配置される。このため、各タンデムアクチュエータからの付勢力が、各ピストンロッドの軸方向延長線からずれた位置で舵面に対して作用してしまうことを抑制できる。即ち、各タンデムアクチュエータの付勢力が各ピストンロッドの軸方向延長線上で効率よく作用する構造を実現することができる。
【0013】
第
2発明に係る航空機用アクチュエータは、第1発
明の航空機用アクチュエータにおいて、前記第1油圧室及び前記第2油圧室における圧油の供給及び排出を制御するための制御弁と、前記第1油圧室及び前記第2油圧室と、の間に配置されて、前記第1油圧室及び前記第2油圧室に対する接続状態が切り替えられる複数の切替位置が設けられた状態切替弁が更に備えられ、前記状態切替弁には、前記切替位置として、前記制御弁と全ての前記第1油圧室及び前記第2油圧室とを接続する制御弁接続位置と、複数の前記タンデムアクチュエータのうちの少なくともいずれかにおいて、前記第1油圧室と前記第2油圧室とをオリフィスを介して連通させるように接続するダンピング位置と、が設けられていることを特徴とする。
【0014】
この発明によると、制御弁と第1及び第2油圧室との間において、第1及び第2油圧室への接続状態が切り替えられる状態切替弁が設けられる。そして、状態切替弁の切替位置として、制御弁接続位置に加え、複数のタンデムアクチュエータのうちの少なくともいずれかにて、第1及び第2油圧室をオリフィスを介して連通させるダンピング位置が設けられる。このため、状態切替弁をダンピング位置に切り替えることで、ダンピング機能(減衰機能)を発揮させることができる。尚、舵面の剛性と舵面に作用する空力抵抗との関係によっては、舵面の動作時において舵面の脈動が生じる虞がある。このような場合には、例えば、1つの舵面を駆動するために複数の航空機用アクチュエータが設置される場合であれば、いずれかの航空機用アクチュエータの状態切替弁をダンピング位置に切り替えることで、ダンピング機能により、舵面の脈動を抑制することができる。又は、1つの航空機用アクチュエータにおいて複数のタンデムアクチュエータのうちのいずれかのタンデムアクチュエータの第1及び第2油圧室をオリフィスを介して連通させるダンピング位置に状態切替弁が切替可能に設定されることによっても、舵面の脈動を抑制することができる。或いは、各タンデムアクチュエータのうちのいずれかの第1及び第2油圧室をオリフィスを介して連通させるダンピング位置に状態切替弁が切替可能に設定されることによっても、舵面の脈動を抑制することができる。よって、本発明では、効率よく小型化された高出力の航空機用アクチュエータにおいて、更に、舵面駆動の安定性を向上させることができる。
【0015】
第
3発明に係る航空機用アクチュエータは、第1発明
または第
2発明
の航空機用アクチュエータにおいて、
複数の前記タンデムアクチュエータのそれぞれには、前記ピストンが移動する領域としてのピストン移動領域が設けられ、複数の前記タンデムアクチュエータにて、前記ロッドエンド部側と反対側に配置された一方の前記ピストン移動領域における前記第1油圧室同士及び前記第2油圧室同士がそれぞれ連通し、前記ロッドエンド部側に配置された他方の前記ピストン移動領域における前記第1油圧室同士及び前記第2油圧室同士がそれぞれ連通していることを特徴とする。
【0016】
この発明によると、複数のタンデムアクチュエータ間において、ロッドエンド部側とその反対側のそれぞれにて、対応する第1油圧室同士及び第2油圧室同士がそれぞれ連通するように構成される。このため、複数のタンデムアクチュエータを有する航空機用アクチュエータにおいて、第1油圧室及び第2油圧室における圧油の供給及び排出のための油路の構成を簡素化することができる。
【0017】
第
4発明に係る航空機用アクチュエータは、第
3発明の航空機用アクチュエータにおいて、複数の前記タンデムアクチュエー
タが一体に形成され、一方の前記ピストン移動領域における前記第1油圧室同士及び前記第2油圧室同士をそれぞれ連通する連通路と、他方の前記ピストン移動領域における前記第1油圧室同士及び前記第2油圧室同士をそれぞれ連通する連通路とが
、複数の前記タンデムアクチュエータ内部において貫通形成されていることを特徴とする。
【0018】
この発明によると、複数のタンデムアクチュエータ
が一体に形成されるため、部品点数の削減及び構造の簡素化を図ることができる。そして、複数のタンデムアクチュエータ間において、ロッドエンド部側とその反対側のそれぞれにて、対応する第1油圧室同士及び第2油圧室同士をそれぞれ連通する各連通路が、一体のケース部にて貫通形成されるため、油圧室における圧油の供給及び排出のための油路の構成を更に簡素化することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、薄翼化が図られた翼の内部に配置可能なように高出力の航空機用アクチュエータを効率よく小型化することができ、更に、舵面駆動の安定性及び信頼性も容易に確保することができる、航空機用アクチュエータを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、以下の実施形態で例示した形態に限らず、航空機の舵面を駆動する油圧作動式の航空機用アクチュエータに関して広く適用することができるものである。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態に係る航空機用アクチュエータ1が適用される油圧回路を模試的に示す油圧回路図である。
図1に示す油圧回路は、図示しない航空機の舵面100を駆動する本実施形態の油圧作動式の航空機用アクチュエータ1を作動させる回路として構成されている。尚、舵面100は、航空機の動翼(操縦翼面)として設けられており、例えば、主翼に設けられるエルロン(補助翼)や、水平尾翼に設けられる昇降舵(エレベータ)、垂直尾翼に設けられる方向舵(ラダー)、等として構成される。
【0023】
図2は、
図1に示す油圧回路図において航空機用アクチュエータ1を拡大して示す図である。
図1及び
図2に示すように、航空機用アクチュエータ1は、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)として設けられた第1タンデムアクチュエータ11及び第2タンデムアクチュエータ12と、ロッドエンド部13と、状態切替弁14とを備えて構成されている。尚、舵面100は、駆動機構の冗長化を図る観点から、
図1及び
図2に示す航空機用アクチュエータ1に加え、これと同様に構成される他の航空機用アクチュエータ1(図示せず)によっても駆動されるように構成されている。
【0024】
航空機用アクチュエータ1において、第1タンデムアクチュエータ11は、2つのピストン(21a、22a)である第1ピストン21a及び第2ピストン22a、ピストンロッド23a、第1ケース部(ケース部)24a、等を備えて構成されている。一方、第2タンデムアクチュエータ12は、2つのピストン(21b、22b)である第1ピストン21b及び第2ピストン22b、ピストンロッド23b、第2ケース部(ケース部)24b、等を備えて構成されている。そして、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)は、ピストンロッド23a及びピストンロッド23bの軸方向が平行な状態に配置されるように、平行に並んで配置されている。
【0025】
第1タンデムアクチュエータ11において、ピストンロッド23aは、一端側が開口するように設けられた円筒状に形成されている。そして、ピストンロッド23aには、その軸方向に沿って2つのピストン(21a、22a)が直列に並ぶように設けられている。また、ピストンロッド23aにおける開口端部側と反対側の端部には、後述のロッドエンド部13が固定されている。尚、ピストンロッド23aの内側には、第1ケース部24aに対してピストンロッド23aを内側からスライド移動自在に支持する支持軸構造を有するとともに、第1ケース部24aに対するピストンロッド23aの相対位置を検出する位置検出センサ23aが、設置されている。
【0026】
第1ピストン21a及び第2ピストン22aは、円筒状のピストンロッド23aの外周に対して一体に又は別部材として固定された円盤状に形成されている。例えば、ピストンロッド23aにおける開口端部側に設けられた第1ピストン21aは、ピストンロッド23aと一体に形成されている。一方、ピストンロッド23aの軸方向における中途部分に配置された第2ピストン22aは、ピストンロッド23aが内側に挿入される環状の部材として設けられて、シール(図示せず)を介してピストンロッド23aの外周に対して固定されている。
【0027】
また、第1タンデムアクチュエータ11のケース部24aには、ピストン(21a、22a)が移動する領域として設けられたピストン移動領域(25a、26a)が、ピストンロッド23aに沿って直列に並ぶように内側に2つ区画されている。尚、ピストン移動領域(25a、26a)としては、第1ピストン21aが移動する領域である第1ピストン移動領域25aと、第2ピストン22aが移動する領域である第2ピストン移動領域26aとが設けられている。
【0028】
第1ピストン移動領域25aは、第1ケース部24a内において、第1ピストン21aによって第1油圧室27a及び第2油圧室29aに区画される領域として構成されている。尚、第1ピストン21aに対して、第1油圧室27aがロッドエンド部13側と反対側に配置され、第2油圧室29aがロッドエンド部13側に配置されている。
【0029】
第2ピストン移動領域26aは、第1ケース部24a内において、第2ピストン22aによって第1油圧室28a及び第2油圧室30aに区画される領域として構成されている。尚、第2ピストン22aに対して、第1油圧室28aがロッドエンド部13側と反対側に配置され、第2油圧室30aがロッドエンド部13側に配置されている。
【0030】
また、第1ピストン移動領域25aの第1油圧室27aと第2ピストン移動領域26aの第1油圧室28aとは、第1油圧室連通経路35aを介して連通している。一方、第1ピストン移動領域25aの第2油圧室29aと第2ピストン移動領域26aの第2油圧室30aとは、第2油圧室連通経路35bを介して連通している。即ち、第1タンデムアクチュエータ11においては、ピストン移動領域(25a、26a)のそれぞれにてロッドエンド部13側と反対側に配置された第1油圧室(27a、28a)同士が第1油圧室連通経路35aを介して連通し、ピストン移動領域(25a、26a)のそれぞれにてロッドエンド部13側に配置された第2油圧室(29a、30a)同士が第2油圧室連通経路35bを介して連通している。
【0031】
尚、
図1及び
図2では、第1タンデムアクチュエータ11の断面構造を模式的に示しているが、第1タンデムアクチュエータ11においては、第1油圧室27a及び第1油圧室28aにおける受圧面積の総和と、第2油圧室29a及び第2油圧室30aの受圧面積の総和とが、略同一となるように構成されている。これにより、第1ピストン21aがピストンロッド23aの端部に設けられた構成を実現でき、第1タンデムアクチュエータ11の全長を短く設定することができる。
【0032】
第2タンデムアクチュエータ12において、ピストンロッド23bは、一端側が開口するように設けられた円筒状に形成されている。そして、ピストンロッド23bには、その軸方向に沿って2つのピストン(21b、22b)が直列に並ぶように設けられている。また、ピストンロッド23bにおける開口端部側と反対側の端部には、後述のロッドエンド部13が固定されている。尚、ピストンロッド23bの内側には、第2ケース部24bに対してピストンロッド23bを内側からスライド移動自在に支持する支持軸36が設置されている。
【0033】
第1ピストン21b及び第2ピストン22bは、円筒状のピストンロッド23bの外周に対して一体に又は別部材として固定された円盤状に形成されている。例えば、ピストンロッド23bにおける開口端部側に設けられた第1ピストン21bは、ピストンロッド23bと一体に形成されている。一方、ピストンロッド23bの軸方向における中途部分に配置された第2ピストン22bは、ピストンロッド23bが内側に挿入される環状の部材として設けられて、シール(図示せず)を介してピストンロッド23bの外周に対して固定されている。
【0034】
また、第2タンデムアクチュエータ12の第2ケース部24bには、ピストン(21b、22b)が移動する領域として設けられたピストン移動領域(25b、26b)が、ピストンロッド23bに沿って直列に並ぶように内側に2つ区画されている。尚、ピストン移動領域(25b、26b)としては、第1ピストン21bが移動する領域である第1ピストン移動領域25bと、第2ピストン22bが移動する領域である第2ピストン移動領域26bとが設けられている。
【0035】
第1ピストン移動領域25bは、第2ケース部24b内において、第1ピストン21bによって第1油圧室27b及び第2油圧室29bに区画される領域として構成されている。尚、第1ピストン21bに対して、第1油圧室27bがロッドエンド部13側と反対側に配置され、第2油圧室29bがロッドエンド部13側に配置されている。
【0036】
第2ピストン移動領域26bは、第2ケース部24b内において、第2ピストン22bによって第1油圧室28b及び第2油圧室30bに区画される領域として構成されている。尚、第2ピストン22bに対して、第1油圧室28bがロッドエンド部13側と反対側に配置され、第2油圧室30bがロッドエンド部13側に配置されている。
【0037】
また、第2タンデムアクチュエータ12における第1ピストン移動領域25bの第1油圧室27bは、第1ケース部24a及び第2ケース部24bに形成された第1連通路31aを介して、第1タンデムアクチュエータ11における第1ピストン移動領域25aの第1油圧室27aに連通している。そして、第2タンデムアクチュエータ12における第1ピストン移動領域25bの第2油圧室29bは、第1ケース部24a及び第2ケース部24bに形成された第2連通路32aを介して、第1タンデムアクチュエータ11における第1ピストン移動領域25aの第2油圧室29aに連通している。
【0038】
更に、第2タンデムアクチュエータ12における第2ピストン移動領域26bの第1油圧室28bは、第1ケース部24a及び第2ケース部24bに形成された第1連通路31bを介して、第1タンデムアクチュエータ11における第2ピストン移動領域26aの第1油圧室28aに連通している。そして、第2タンデムアクチュエータ12における第2ピストン移動領域25bの第2油圧室30bは、第1ケース部24a及び第2ケース部24bに形成された第2連通路32bを介して、第1タンデムアクチュエータ11における第2ピストン移動領域26aの第2油圧室30aに連通している。
【0039】
よって、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)においては、ロッドエンド部13側と反対側に配置された一方の第1ピストン移動領域(25a、25b)における第1油圧室(27a、27b)同士及び第2油圧室(29a、29b)同士がそれぞれ連通している。そして、ロッドエンド部13側に配置された他方の第2ピストン移動領域(26a、26b)における第1油圧室(28a、28b)同士及び第2油圧室(30a、30b)同士がそれぞれ連通している。
【0040】
また、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)における第1ケース部24a及び第2ケース部24bは、一体に形成されている。そして、一方の第1ピストン移動領域(25a、25b)における第1油圧室(27a、27b)同士及び第2油圧室(29a、29b)同士をそれぞれ連通する第1連通路31a及び第2連通路32aは、一体に形成された第1ケース部24a及び第2ケース部24bにおいて貫通形成されている。また、他方の第2ピストン移動領域(26a、26b)における第1油圧室(28a、28b)同士及び第2油圧室(30a、30b)同士をそれぞれ連通する第1連通路31b及び第2連通路32bも、一体に形成された第1ケース部24a及び第2ケース部24bにおいて貫通形成されている。
【0041】
尚、本実施形態では、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)における第1ケース部24a及び第2ケース部24bは、一体に形成されているが、この通りでなくてもよい。即ち、第1ケース部24a及び第2ケース部24bが、別体の部材として形成されていてもよい。
【0042】
また、第2タンデムアクチュエータ12における第1ピストン移動領域25bの第1油圧室27bと第2ピストン移動領域26bの第1油圧室28bとは、第1タンデムアクチュエータ11の第1油圧室(27a、28a)と第1連通路(31a、31b)と第1油圧室連通経路35aとを介して連通している。一方、第1ピストン移動領域25bの第2油圧室29bと第2ピストン移動領域26bの第2油圧室30bとは、第1タンデムアクチュエータ11の第2油圧室(29a、30a)と第2連通路(32a、32b)と第2油圧室連通経路35bとを介して連通している。即ち、第2タンデムアクチュエータ12においては、ピストン移動領域(25b、26b)のそれぞれにてロッドエンド部13側と反対側に配置された第1油圧室(27b、28b)同士が第2油圧室連通経路35b等を介して連通し、ピストン移動領域(25b、26b)のそれぞれにてロッドエンド部13側に配置された第2油圧室(29b、30b)同士が第2油圧室連通経路35bを介して連通している。
【0043】
尚、
図1及び
図2では、第2タンデムアクチュエータ12の断面構造を模式的に示しているが、第2タンデムアクチュエータ12においては、第1油圧室27b及び第1油圧室28bにおける受圧面積の総和と、第2油圧室29b及び第2油圧室30bの受圧面積の総和とが、略同一となるように構成されている。これにより、第1ピストン21bがピストンロッド23bの端部に設けられた構成を実現でき、第2タンデムアクチュエータ12の全長を短く設定することができる。
【0044】
ロッドエンド部13は、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)のそれぞれにおけるピストンロッド(23a、23b)をケース部(24a、24b)の外側で結合するとともに舵面100に対して回転自在に連結されるように構成されている。そして、ロッドエンド部13は、複数のピストンロッド(23a、23b)の端部を結合するブロック状の部材として設けられている。
【0045】
また、ロッドエンド部13は、舵面100側に連結される軸受部(50a、50b)を複数保持するように構成されている。そして、軸受部50aは、ピストンロッド23aの軸方向の延長線上に配置されている。一方、軸受部50bは、ピストンロッド23bの軸方向の延長線上に配置されている。また、軸受部50a及び軸受部50bは、舵面100に対して回転自在に連結されるロッドエンド部13の回転中心線上に配置されている。
【0046】
図1に示すように、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)は、機体側油圧源101から圧油が供給されるとともに、リザーバ回路102に対して圧油が排出される。機体側油圧源101は、圧油(作動油)を供給する油圧ポンプを備えて構成され、図示しない航空機の機体側に設置されている。尚、機体側油圧源101は、舵面100以外の舵面を駆動する航空機用アクチュエータ(図示せず)に対しても圧油を供給するように構成されている。
【0047】
リザーバ回路102は、機体側油圧源101からの圧油として供給された後に複数のタンデムアクチュエータ(11、12)から排出される圧油が流入して戻るタンク(図示せず)を備えるとともに、機体側油圧源101に連通するように構成されている。これにより、リザーバ回路102に戻った油は、機体側油圧源101で昇圧され、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)に供給される。
【0048】
また、機体側油圧源101からの複数のタンデムアクチュエータ(11、12)への圧油の供給と、リザーバ回路102への複数のタンデムアクチュエータ(11、12)からの圧油の排出は、制御弁53及び航空機用アクチュエータ1の状態切替弁14を介して行われる。尚、機体側油圧源101と制御弁53との間には、油中の異物を除去するためのフィルター54、機体側油圧源101からの圧油の流れを許容し機体側油圧源101へ逆流する方向の流れを規制する逆止弁55、が設けられている。また、リザーバ回路102と制御弁53との間には、リリーフ弁を備えて構成される蓄圧器56が設けられている。このように蓄圧器56が設けられていることで、蓄圧器56の上流側(リザーバ回路102が連通する側と反対側)における回路内の圧油の圧力が、蓄圧器56のリリーフ弁によるリリーフ圧以上に維持されることになる。
【0049】
制御弁53は、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)における第1油圧室(27a、27b、28a、28b)及び第2油圧室(29a、29b、30a、30b)における圧油の供給及び排出を制御するためのバルブ機構として設けられている。この制御弁53は、例えば、電気油圧サーボ弁(EHSV)として設けられ、比例的にスプール(図示せず)の位置を切り替え可能に構成され、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)の動作を制御するコントローラ103からの指令信号に基づいて駆動される。
【0050】
また、制御弁53がコントローラ103からの指令信号に基づいて切り替えられることで、機体側油圧源101から第1油圧室連通経路35a及び第2油圧室連通経路35bの一方に圧油が供給され、第1油圧室連通経路35a及び第2油圧室連通経路35bの他方から圧油が排出される。
【0051】
第1油圧室連通経路35aに圧油が供給されることで第1油圧室(27a、27b、28a、28b)に圧油が供給されることになる。また、第1油圧室連通経路35aに圧油が供給されるときは、第2油圧室(29a、29b、30a、30b)から第2油圧室連通経路35bを介して圧油が排出される。一方、第2油圧室連通経路35bに圧油が供給されることで第2油圧室(29a、29b、30a、30b)に圧油が供給されることになる。また、第2油圧室連通経路35bに圧油が供給されるときは、第1油圧室(27a、27b、28a、28b)から第1油圧室連通経路35aを介して圧油が排出される。これにより、第1ケース部24aに対してピストンロッド23aが移動するとともに、第2ケース部24bに対してピストンロッド23bが移動する。そして、ピストンロッド(23a、23b)の端部を結合するロッドエンド部13がピストンロッド(23a、23b)とともに移動し、舵面100が駆動される。
【0052】
制御弁53を駆動するコントローラ103は、舵面100の動作を指令する上位のコンピュータ(図示せず)からの指令信号に基づいて制御弁53を駆動し、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)の動作を制御する。また、コントローラ103には、第1タンデムアクチュエータ11に設けられた位置検出センサ34で検出された位置検出信号が入力されるように構成されている。そして、コントローラ103は、上位のコンピュータからの舵面10の動作指令信号と、位置検出センサ34からの位置検出信号とに基づいて、ピストンロッド23aの位置のフィードバック制御を行うように構成されている。
【0053】
尚、前述のように、第1ピストン移動領域(25a、25b)における第1油圧室(27a、27b)同士及び第2油圧室(29a、29b)同士、第2ピストン移動領域(26a、26b)における第1油圧室(28a、28b)同士及び第2油圧室(30a、30b)同士は連通している。そして、ピストンロッド23aとピストンロッド23bとはロッドエンド部13にて一体的に結合されている。このため、ピストンロッド23aの位置のフィードバック制御が行われることで、ピストンロッド23bの位置も同時に制御されることになる。
【0054】
航空機用アクチュエータ1における状態切替弁14は、制御弁53と、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)の第1油圧室(27a、27b、28a、28b)及び第2油圧室(29a、29b、30a、30b)との間に配置されている。また、状態切替弁14には、第1油圧室連通経路35aに連通するポートと、第2油圧室連通経路35bに連通するポートとが形成されている。そして、この状態切替弁14は、第1油圧室(27a、27b、28a、28b)及び第2油圧室(29a、29b、30a、30b)に対する接続状態が切り替えられる複数の切替位置(14a、14b、14c)が設けられたバルブ機構として構成されている。
【0055】
状態切替弁14には、上記の切替位置(14a、14b、14c)として、制御弁接続位置14aと、バイパス位置14bと、ダンピング位置14cとが設けられている。
【0056】
制御弁接続位置14aは、制御弁53における一方のポートと第1油圧室連通経路35aとを接続し、制御弁53における他方のポートと第2油圧室連通経路35bとを接続する切替位置として設けられている。即ち、制御弁接続位置14aは、制御弁53と全ての第1油圧室(27a、27b、28a、28b)及び第2油圧室(29a、29b、30a、30b)とを接続するように構成されている。
【0057】
バイパス位置14bは、第1油圧室連通経路35aと第2油圧室連通経路35bとを連通させるとともに、第1及び第2油圧室連通経路(35a、35b)をリザーバ回路102に連通させる切替位置として設けられている。即ち、バイパス位置14bは、全ての第1油圧室(27a、27b、28a、28b)及び第2油圧室(29a、29b、30a、30b)を連通させてリザーバ回路102に接続するように構成されている。
【0058】
ダンピング位置14cは、第1油圧室連通経路35aと第2油圧室連通経路35bとをオリフィス33a及びオリフィス33bを介して連通させる切替位置として設けられている。即ち、ダンピング位置14cは、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)において、第1油圧室(27a、27b、28a、28b)と第2油圧室(29a、29b、30a、30b)とをオリフィス(33a、33b)を介して連通させるように接続するよう構成されている。
【0059】
また、状態切替弁14がダンピング位置14cに切り替えられた状態では、第1油圧室(27a、27b、28a、28b)がオリフィス33aを介してリザーバ回路102に接続され、第2油圧室(29a、29b、30a、30b)がオリフィス33bを介してリザーバ回路102に接続される。尚、オリフィス(33a、33b)は、圧油の流路断面積を絞る部分の面積が変化せずに固定された固定オリフィスであってもよく、また、バイメタル機構によって圧油の流路断面積を絞る部分の面積が変化するように構成された可変オリフィスであってもよい。
【0060】
また、状態切替弁14は、コントローラ103によって駆動される電磁弁(51、52)の作動によって切替位置(14a、14b、14c)の切替動作が行われるように構成されている。電磁弁51は、例えば励磁した状態では
図1に示すように供給位置51aに切り替えられている。この状態では、機体側油圧源101からの圧油が状態切替弁14における図示しないスプールの位置を制御するためのパイロット圧室14dにパイロット圧油として供給される(
図1、
図2を参照)。一方、電磁弁51は、例えば消磁した状態では排出位置51bに切り替えられる。この状態では、パイロット圧室14dに供給されたパイロット圧油がリザーバ回路102に排出される。
【0061】
また、電磁弁52は、例えば励磁した状態では
図1に示すように供給位置52aに切り替えられている。この状態では、機体側油圧源101からの圧油が状態切替弁14における図示しないスプールの位置を制御するためのパイロット圧室14eにパイロット圧油として供給される(
図1、
図2を参照)。一方、電磁弁52は、例えば消磁した状態では排出位置52bに切り替えられる。この状態では、パイロット圧室14eに供給されたパイロット圧油がリザーバ回路102に排出される。
【0062】
そして、コントローラ103は、舵面100の動作を指令する上位のコンピュータからの指令信号に基づいて電磁弁(51、52)を励磁させ又は消磁させるように制御し、状態切替弁14の切替位置(14a、14b、14c)を制御する。電磁弁(51、52)がいずれも励磁されて供給位置(51a、52a)に切り替えられた状態では、状態切替弁14は、制御弁接続位置14aに切り替えられた状態が維持される。そして、電磁弁(51、52)のうちの一方のみが励磁された状態、例えば、電磁弁51が供給位置51aに切り替えられて電磁弁52が排出位置52bの状態では、状態切替弁14は、バイパス位置14bに切り替えられた状態が維持される。また、電磁弁(51、52)がいずれも消磁されて排出位置(51b、52b)に切り替えられた状態では、状態切替弁14は、ダンピング位置14cに切り替えられた状態が維持される。
【0063】
以上説明した航空機用アクチュエータ1によると、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)が平行に並んで設けられ、更に、各タンデムアクチュエータ(11、12)において、ピストン(21a、22a、21b、22b)で第1及び第2油圧室(27a及び29a、28a及び30a、27b及び29b、28b及び30b)に区画されるピストン移動領域が2つ(即ち、ピストン移動領域25a及び26a、又は、ピストン移動領域25b及び26b)直列に設けられる。このため、4つの油圧室(油圧室27a、29a、28a及び30a、又は、油圧室27b、29b、28b及び30b)がそれぞれ直列に配置されるとともにこれらが更に平行に並んだ状態となり、多くの油圧室が密集してコンパクトに配置された構造を実現することができる。よって、より小さな領域においてピストンの受圧面積を効率よく増大させることができ、薄翼化が図られた翼の内部に配置可能なように高出力の航空機用アクチュエータ1を効率よく小型化することができる。また、タンデムアクチュエータ(11、12)が複数設けられているため、小型化が図られた航空機用アクチュエータ1において冗長化も図られることになり、舵面駆動の信頼性も容易に確保することができる。
【0064】
また、舵面100に対して回転自在に連結されるロッドエンド部13によって、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)のそれぞれにおけるピストンロッド(23a、23b)が結合される。このため、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)間において、ピストンロッド(23a、23b)の位置のずれが生じて逆方向に舵面100を付勢し合うフォースファイトが発生してしまうことを防止することができる。更に、各タンデムアクチュエータ(11又は12)において、各ピストン移動領域(ピストン移動領域(25a、26a)、又は、ピストン移動領域(25b、26b))にてロッドエンド部13側と反対側に配置された第1油圧室同士(油圧室27a及び28a、又は、油圧室27b及び28b)が連通し、各ピストン移動領域(ピストン移動領域(25a、26a)、又は、ピストン移動領域(25b、26b))にてロッドエンド部13側に配置された第2油圧室同士(油圧室29a及び30a、又は、油圧室29b及び30b)が連通している。このため、各タンデムアクチュエータ(11、12)において、2つのピストン(ピストン21a及び22a、又は、ピストン21b及び22b)に作用する圧力状態を容易に同期化することができる。よって、これらの構成により、舵面駆動の安定性を容易に確保することができる。
【0065】
従って、本実施形態によると、薄翼化が図られた翼の内部に配置可能なように高出力の航空機用アクチュエータ1を効率よく小型化することができ、更に、舵面駆動の安定性及び信頼性も容易に確保することができる。
【0066】
また、航空機用アクチュエータ1によると、舵面100側にそれぞれ連結される複数の軸受部(50a、50b)がブロック状のロッドエンド部13に保持され、各軸受部(50a、50b)が、各ピストンロッド(23a、23b)の軸方向延長線上に配置される。このため、各タンデムアクチュエータ(11、12)からの付勢力が、各ピストンロッド(23a、23b)の軸方向延長線からずれた位置で舵面100に対して作用してしまうことを抑制できる。即ち、各タンデムアクチュエータ(11、12)の付勢力が各ピストンロッド(23a、23b)の軸方向延長線上で効率よく作用する構造を実現することができる。
【0067】
また、航空機用アクチュエータ1によると、制御弁53と第1及び第2油圧室(27a、27b、28a、28b、29a、29b、30a、30b)との間において、第1及び第2油圧室(27a、27b、28a、28b、29a、29b、30a、30b)への接続状態が切り替えられる状態切替弁14が設けられる。そして、状態切替弁14の切替位置として、制御弁接続位置14aに加え、第1及び第2油圧室(27a、27b、28a、28b、29a、29b、30a、30b)をオリフィス(33a、33b)を介して連通させるダンピング位置14cが設けられる。このため、状態切替弁14をダンピング位置14cに切り替えることで、ダンピング機能(減衰機能)を発揮させることができる。
【0068】
尚、舵面100の剛性と舵面100に作用する空力抵抗との関係によっては、舵面100の動作時において舵面100の脈動が生じる虞がある。このような場合には、本実施形態のように1つの舵面100を駆動するために複数の航空機用アクチュエータ1が設置される場合、いずれかの航空機用アクチュエータ1の状態切替弁14をダンピング位置14cに切り替えることで、ダンピング機能により、舵面100の脈動を抑制することができる。よって、本実施形態では、効率よく小型化された高出力の航空機用アクチュエータ1において、更に、舵面駆動の安定性を向上させることができる。
【0069】
また、航空機用アクチュエータ1によると、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)間において、ロッドエンド部13側とその反対側のそれぞれにて、対応する第1油圧室同士(27a及び27b、28a及び28b)及び第2油圧室同士(29a及び29b、30a及び30b)がそれぞれ連通するように構成される。このため、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)を有する航空機用アクチュエータ1において、第1油圧室(27a、27b、28a、28b)及び第2油圧室(29a、29b、30a、30b)における圧油の供給及び排出のための油路の構成を簡素化することができる。
【0070】
また、航空機用アクチュエータ1によると、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)のケース部(24a、24b)が一体に形成されるため、部品点数の削減及び構造の簡素化を図ることができる。そして、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)間において、ロッドエンド部13側とその反対側のそれぞれにて、対応する第1油圧室同士(27a及び27b、28a及び28b)及び第2油圧室同士(29a及び29b、30a及び30b)をそれぞれ連通する各連通路(第1連通路(31a、31b)、第2連通路(32a、32b))が、一体のケース部(24a、24b)にて貫通形成されるため、油圧室(27a、27b、28a、28b、29a、29b、30a、30b)における圧油の供給及び排出のための油路の構成を更に簡素化することができる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0072】
(1)前述の実施形態では、タンデムアクチュエータが2つ備えられた航空機用アクチュエータを例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。即ち、3つ以上のタンデムアクチュエータが平行に並んで配置された航空機用アクチュエータを実施してもよい。
【0073】
(2)前述の実施形態では、複数のタンデムアクチュエータのそれぞれに設けられるケース部が、一体に形成された形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。即ち、複数のタンデムアクチュエータのそれぞれに設けられるケース部が、別体に形成された形態であってもよい。
【0074】
(3)前述の実施形態では、複数のタンデムアクチュエータに対して圧油を供給する油圧源が同一である形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。即ち、タンデムアクチュエータに対して圧油を供給する油圧源が、複数のタンデムアクチュエータのそれぞれにおいて異なっていてもよい。
【0075】
(4)ロッドエンド部の形態については、複数のタンデムアクチュエータのそれぞれにおけるピストンロッドをケース部の外側で結合する形態であればよく、前述の実施形態に例示した形態に限らず、種々変更して実施してもよい。また、ロッドエンド部にて保持されて舵面側に連結される軸受部の数とピストンロッドの数とが異なっている形態であってもよい。
【0076】
(5)ダンピング位置の構成については、前述した形態に限らず、複数のタンデムアクチュエータのうちの少なくともいずれかにおいて、第1油圧室と第2油圧室とをオリフィスを介して連通させるように接続する位置として構成されていればよく、種々の組み合わせ形態が実施されてもよい。例えば、1つの航空機用アクチュエータにおいて複数のタンデムアクチュエータのうちのいずれかのタンデムアクチュエータの第1及び第2油圧室をオリフィスを介して連通させるダンピング位置に状態切替弁が切替可能に設定されることによっても、舵面の脈動を抑制することができる。又は、各タンデムアクチュエータのうちのいずれかの第1及び第2油圧室をオリフィスを介して連通させるダンピング位置に状態切替弁が切替可能に設定されることによっても、舵面の脈動を抑制することができる。
【0077】
(6)
図3は、変形例に係る航空機用アクチュエータ2を拡大して示す図である。尚、
図3は、
図2に対応する油圧回路図として示している。
図3に示す変形例に係る航空機用アクチュエータ2は、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)及びロッドエンド部13が設けられている点において、前述の実施形態の航空機用アクチュエータ1と同様に構成されている。しかし、航空機用アクチュエータ2は、状態切替弁40、第1油圧室連通経路41a、第2油圧室連通経路41b、第1連通路(42a、42b)、第2連通路(43a、43b)の構成において、前述の実施形態の航空機用アクチュエータ1と異なっている。以下、前述の実施形態と異なる構成についてのみ説明し、前述の実施形態と同様に構成される構成要素については、図面において同一の符号を付すことで、又は前述の実施形態と同一の符号を引用することで、説明を省略する。
【0078】
航空機用アクチュエータ1においては、第1連通路(31a、31b)及び第2連通路(32a、32b)が、一体に形成されたケース部(24a、24b)において貫通形成されている。しかし、航空機用アクチュエータ2においては、第1連通路(42a、42b)及び第2連通路(43a、43b)は、ケース部(24a、42b)の外部の油路として設けられている。即ち、ロッドエンド部13側と反対側の第1ピストン移動領域(25a、25b)における第1油圧室(27a、27b)同士を連通する第1連通路42aと第2油圧室(29a、29b)同士を連通する第2連通路43aとは、ケース部(24a、24b)の外部の油路として設けられている。また、ロッドエンド部13側の第2ピストン移動領域(26a、26b)における第1油圧室(28a、28b)同士を連通する第1連通路42bと第2油圧室(30a、30b)同士を連通する第2連通路43bとについても、ケース部(24a、24b)の外部の油路として設けられている。
【0079】
また、航空機用アクチュエータ2においては、第1ピストン移動領域25aの第1油圧室27aと第2ピストン移動領域26aの第1油圧室28aとを連通する第1油圧室連通経路41aが、状態切替弁40を経由するように構成されている。そして、第1油圧室連通経路41aは、第1ピストン移動領域25bの第1油圧室27bと第2ピストン移動領域26bの第1油圧室28bとについても、状態切替弁40を経由して連通するように構成されている。尚、第1油圧室連通経路41aは、第1連通路42aと第1連通路42bとを状態切替弁40を介して接続する経路として構成されている。
【0080】
また、第1ピストン移動領域25aの第2油圧室29aと第2ピストン移動領域26aの第2油圧室30aとを連通する第2油圧室連通経路41bが、状態切替弁40を経由するように構成されている。そして、第2油圧室連通経路41bは、第1ピストン移動領域25bの第2油圧室29bと第2ピストン移動領域26bの第2油圧室30bとについても、状態切替弁40を経由して連通するように構成されている。尚、第2油圧室連通経路41bは、第2連通路43aと第2連通路43bとを状態切替弁40を介して接続する経路として構成されている。
【0081】
また、航空機用アクチュエータ2における状態切替弁40は、制御弁53と、複数のタンデムアクチュエータ(11、12)の第1油圧室(27a、27b、28a、28b)及び第2油圧室(29a、29b、30a、30b)との間に配置されている。また、状態切替弁40には、第1油圧室連通経路41aに連通する2つのポートと、第2油圧室連通経路41bに連通する2つのポートとが形成されている。そして、この状態切替弁40は、第1油圧室(27a、27b、28a、28b)及び第2油圧室(29a、29b、30a、30b)に対する接続状態が切り替えられる複数の切替位置(40a、40b、40c)が設けられたバルブ機構として構成されている。
【0082】
状態切替弁40には、上記の切替位置(40a、40b、40c)として、制御弁接続位置40aと、第1ダンピング位置40bと、第2ダンピング位置40cとが設けられている。
【0083】
制御弁接続位置40aは、制御弁53における一方のポートと第1油圧室連通経路41aに連通する2つのポートとを接続し、制御弁53における他方のポートと第2油圧室連通経路41bに連通する2つのポートとを接続する切替位置として設けられている。即ち、制御弁接続位置40aは、制御弁53と全ての第1油圧室(27a、27b、28a、28b)及び第2油圧室(29a、29b、30a、30b)とを接続するように構成されている。
【0084】
第1ダンピング位置40bは、第1連通路42aに接続する側の第1油圧室連通経路41aに連通するポートを制御弁53における一方のポートに接続する。更に、第1ダンピング位置40bは、第2連通路43bに接続する側の第2油圧室連通経路41bに連通するポートを制御弁53における他方のポートに接続する。そして、第1ダンピング位置40bは、第1連通路42bに接続する側の第1油圧室連通経路41aに連通するポートと、第2連通路43aに接続する側の第2油圧室連通経路41bに連通するポートとを接続し、第1連通路42bと第2連通路43aとをオリフィス44aを介して連通させる。これにより、第1ダンピング位置40bは、2つのタンデムアクチュエータ(11、12)において、第2ピストン移動領域(26a、26b)における第1油圧室(28a、28b)と、第1ピストン移動領域(25a、25b)における第2油圧室(29a、29b)とをオリフィス44aを介して連通させるように接続するよう構成されている。
【0085】
第2ダンピング位置40cは、第1連通路42aに接続する側の第1油圧室連通経路41aに連通するポートと、第2連通路43bに接続する側の第2油圧室連通経路41bに連通するポートとを接続し、第1連通路42aと第2連通路43bとをオリフィス44bを介して連通させる。これにより、第2ダンピング位置40cは、2つのタンデムアクチュエータ(11、12)において、第1ピストン移動領域(25a、25b)における第1油圧室(27a、27b)と、第2ピストン移動領域(26a、26b)における第2油圧室(30a、30b)とをオリフィス44bを介して連通させるように接続するよう構成されている。
【0086】
更に、第2ダンピング位置40cは、第1連通路42bに接続する側の第1油圧室連通経路41aに連通するポートと、第2連通路43aに接続する側の第2油圧室連通経路41bに連通するポートとを接続し、第1連通路42bと第2連通路43aとをオリフィス44cを介して連通させる。これにより、第2ダンピング位置40cは、2つのタンデムアクチュエータ(11、12)において、更に、第2ピストン移動領域(26a、26b)における第1油圧室(28a、28b)と、第1ピストン移動領域(25a、25b)における第2油圧室(29a、29b)とをオリフィス44cを介して連通させるように接続するよう構成されている。
【0087】
上記のような複数のダンピング位置(40b、40c)が設けられた状態切替弁40を備える航空機用アクチュエータ2を実施してもよい。尚、オリフィス(44a、44b、44c)は、固定オリフィスであっても可変オリフィスであってもよい。