特許第5714343号(P5714343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714343
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】被切体切断用工具及び被切体の切断方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 3/08 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   A01G3/08 501Z
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-10336(P2011-10336)
(22)【出願日】2011年1月21日
(65)【公開番号】特開2012-147750(P2012-147750A)
(43)【公開日】2012年8月9日
【審査請求日】2014年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩本 好文
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭46−018315(JP,Y1)
【文献】 英国特許出願公開第01460773(GB,A)
【文献】 実公昭43−031261(JP,Y1)
【文献】 米国特許第02431235(US,A)
【文献】 米国特許第02984004(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 3/00;3/08;23/00;23/091;23/095
B27B 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向と交差する方向に延出した被切体を切断するためのもので、前記被切体を鉛直方向の上方と下方から挟持する一対のアーム部材と、これらのアーム部材が連結される基体とを有して構成され、
前記一対のアーム部材は、長手方向の一方端部位がかかる一方端部位を中心として相対的に遠近する方向に回転可能となるように連結手段により前記基体に連結され、長手方向の他方端部位側が前記一方端部位に配置された弾性機構により閉方向に常時付勢されていると共に、
前記被切体に対して鉛直方向の下方に配置される切断用アーム部材の上部には刃が形成され、前記被切体に対して鉛直方向の上方に配置される変位用アーム部材の下部には前記被切体を前記切断用アーム部材に対しその長手方向に相対的に変位させるための変位手段が設けられていることを特徴とする被切体切断用工具。
【請求項2】
前記一対のアーム部材と前記基体とを連結する連結手段は、前記一対のアーム部材の一方端側にこれらの一対のアーム部材の長手方向に延びる突出片をそれぞれ設け、前記突出片を前記一対のアーム部材の短手方向に重ねると共にこれらの突出片を前記基体で前記一対のアーム部材の短手方向の外側から保持して、これらの突出片と前記基体とを回転軸により回転可能に連結して成ることを特徴とする請求項1記載の被切体切断用工具。
【請求項3】
前記一対のアーム部材と前記基体とを連結する連結手段は、前記基体の先端にアダプタを設けて、このアダプタの相反する両面に菊座部を形成し、前記切断用アーム部材の一方端部位に係合部を設け、この係合部の相反する面の少なくとも一方の面に前記アダプタの菊座部と係合可能な菊座部を形成し、前記変位用アーム部材の一方端部位に係合部を設け、この係合部の相反する面のうち少なくとも一方の面に菊座部を形成しないものとして、
前記基体のアダプタの一方の菊座部には、前記切断用アーム部材の係合部の菊座部が係合されることにより、前記基体と前記切断用アーム部材とを可動できない状態で連結することを可能とし、
前記基体のアダプタの一方の菊座部には、前記変位用アーム部材の係合部の菊座部が形成されない面にて組み付けることにより、前記基体と前記変位用アーム部材とを当該変位用アーム部材が前記切断用アーム部材に遠近する方向に回転可能な状態で連結することを可能としたことを特徴とする請求項1記載の被切体切断用工具。
【請求項4】
前記変位用アーム部材を前記基体から外して、前記切断用アーム部材のみを前記基体に係合させることが可能であることを特徴とする請求項3記載の被切体切断用工具。
【請求項5】
前記切断用アーム部材について、前記一方端側の刃よりも更に端側に前記被切体の抜けを防止するためのストッパー部を設け、前記他方端側に前記弾性機構を防護するためのガード部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の被切体切断用工具。
【請求項6】
請求項1から請求項5に記載の被切体切断用工具を使用する被切体の切断方法であって、
前記変位用アーム部材と前記切断用アーム部材とを前記被切体に対して前記変位用アーム部材が当該被切体の上方になるようにして前記鉛直方向の上下から挟持する第1の工程と、
前記被切体と前記切断用アーム部材とが当該切断用アーム部材の長手方向に変位するように、前記変位用アーム部材の変位手段を利用して前記被切体切断用工具を動かし、前記被切体を鉛直方向の下方から切る第2の工程と、
前記第2の工程により前記被切体をその径方向の途中まで切った後に、前記被切体の上方から切ってこの被切体を完全に切断して分離する第3の工程と
を有することを特徴とする被切体の切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば間接活線工具等の棒体の先端に装着されて樹木の枝や幹等の被切体を切断するための工具の構造及びこの被切体切断工具を用いた被切体の切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所や変電所等の電力設備から電力需要者への電力の供給は、送配電線を経由して行うことが一般的であるが、送配電線は、その経路の途中にあっては山中等の樹木が生い茂った場所に立設された電柱等に架設された状態に置かれているものもある。このような場所では、倒木が送配電線に寄り掛かったり、立木から延びた枝が送配電線に引っ掛かったりするおそれがある。このような送配電線に対する倒木の寄り掛かりや枝の引っ掛かりを放置すると、送配電線の断線等の不具合を生ずるおそれがあるので、倒木の幹や立木の枝等の切断排除が作業者によって行われる。
【0003】
そして、切断対象が電柱等の高所又は電柱等に対し横方向での遠方に位置し、しかも当該切断対象に近接するために昇るのが困難な作業環境下では、かかる倒木の幹や立木の枝等の切断は、特許文献1に示されるような長尺の鋸刃部分を有する切断工具を利用して地上から行うことが一般的であった。
【0004】
倒木の幹や立木の枝等を特許文献1等に示される切断工具で切断する場合には、これらの倒木の幹や立木の枝等は横方向に延びているので、特許文献1の図1及び図2に示されるように、上から下に向けて切断していくのが通常である。しかしながら、幹や枝が切れていくに従い切断工具の鋸刃を両側から挟み付けて鋸刃が動かなくなるという現象(この現象を鋸が噛むという。)が生ずることが特許文献2等に示されるように知られている。
【0005】
このため、本願出願人は、特許文献2に示されるように、規制手段により樹木の枝が動かないように上方から保持しつつ、樹木の枝の下方に切断手段の刃体を当て切断手段を左右方向に移動させることにより、樹木の枝を下方から上方に向かって切ることが可能な構造の切断具を開発している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−304745号公報
【特許文献2】特開2007−325530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
もっとも、特許文献2に示される切断具は、切断手段の刃体を左右方向に移動させるために、刃体を左右方向に移動させるためのワイヤ等の操作手段と、この操作手段の引っ張りや押し出し操作により生ずる駆動力を切断手段の刃体の移動に対する動力源として伝達する駆動力伝達機構とを有した構造となっており、これに伴い、切断具全体が相対的に大型化されており、間接活線工具の絶縁操作棒の先端に装着して用いることを想定していない。
【0008】
しかも、特許文献2に示される切断具を操作するためには、1人の作業員が両手でしかもそれぞれの手が別の動作をするかたちで操作手段のワイヤを操作したり、複数の者で1つの切断具を操作したりすることが必要である。
【0009】
そこで、本発明は、相対的に小型化されて例えば間接活線工具の絶縁操作棒等の先端に接続することができ、樹木の枝や幹等の被切体を下方から上方に向かって、しかも、作業員一人による簡易な操作で、容易且つ円滑に切断することが可能な被切体切断用工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る被切体切断用工具は、鉛直方向と交差する方向に延出した被切体を切断するためのもので、前記被切体を鉛直方向の上方と下方から挟持する一対のアーム部材と、これらのアーム部材が連結される基体とを有して構成され、前記一対のアーム部材は、長手方向の一方端部位がかかる一方端部位を中心として相対的に遠近する方向に回転可能となるように連結手段により前記基体に連結され、長手方向の他方端部位側が前記一方端部位に配置された弾性機構により閉方向に常時付勢されていると共に、前記被切体に対して鉛直方向の下方に配置される切断用アーム部材の上部には刃が形成され、前記被切体に対して鉛直方向の上方に配置される変位用アーム部材の下部には前記被切体を前記切断用アーム部材に対しその長手方向に相対的に変位させるための変位手段が設けられていることを特徴としている(請求項1)。
【0011】
ここで、被切体とは、例えば樹木の枝や幹等が該当する。また、基体は、例えば間接活線工具の絶縁操作棒の先端と接続するためのコネクタを有している。変位用アーム部材と切断用アーム部材とは、その長手方向の一方端側と他方端側とで相互に近接し、その長手方向の中間部位では長手方向の一方端側及び他方端側に比して相対的に離れるように曲がった形状としても良い。更に、変位用アーム部材及び切断用アーム部材の長手方向の他方端部位側は、当該変位用アーム部材及び切断用アーム部材の長手方向の他方端部位が被切体に押し当てられた際に被切体からの力が弾性機構の閉方向への付勢力に抗して相互に開く方向への力の作用が働くようになっている。変位用アーム部材の変位手段とは、例えば変位用アーム部材の下面に収納された複数のボールベアリング等である。
【0012】
これにより、変位用アーム部材及び切断用アーム部材の長手方向の他方端部位を被切体に押し当てるだけで変位用アーム部材及び切断用アーム部材の長手方向の他方端部位が自動的に開いて、被切体が変位用アーム部材と切断用アーム部材との間に入り込み、その後は、弾性機構による閉方向への付勢力により、変位用アーム部材と切断用アーム部材とで被切体を挟持する。そして、被切体切断用工具を切断用アーム部材の長手方向に沿って前後に動かすことにより、被切体を切断用アーム部材の刃にて鉛直方向の下方から上方に向けて切っていくこととなる。しかも、被切体切断用工具を切断用アーム部材の長手方向に沿って前後に動かす動作は、変位用アーム部材に形成された変位手段により円滑化されている。
【0013】
よって、少なくとも被切体の切断作業の初期段階においては、被切体を切断用アーム部材の刃にて鉛直方向の下方から上方に向けて切るので、その段階では、被切体に対してある程度その径方向に切って切断用アーム部材の刃が被切体の切れ目内に入っても、被切体が刃を挟み込む現象、すなわち刃を噛むという現象が生ずることがなく、しかも、基体を間接活線工具の絶縁操作棒の先端に接続して使用することが可能である。
【0014】
また、この発明に係る被切体切断用工具では、前記一対のアーム部材と前記基体とを連結する連結手段は、前記一対のアーム部材の一方端側にこれらの一対のアーム部材の長手方向に延びる突出片をそれぞれ設け、前記突出片を前記一対のアーム部材の短手方向に重ねると共にこれらの突出片を前記基体で前記一対のアーム部材の短手方向の外側から保持して、これらの突出片と前記基体とを回転軸により回転可能に連結したことを特徴としている(請求項2)。
【0015】
これにより、変位用アーム部材と切断用アーム部材との双方を相互に離隔する方向と近接する方向とに回転させることができるので、変位用アーム部材と切断用アーム部材との他方端部位側を円滑且つ大きく開くことが可能となり、被切体を挟持するための作業を簡易且つ迅速に行うことができる。
【0016】
更に、この発明に係る被切体切断用工具では、前記一対のアーム部材と前記基体とを連結する連結手段は、前記基体の先端にアダプタを設けて、このアダプタの相反する両面に菊座部を形成し、前記切断用アーム部材の一方端部位に係合部を設け、この係合部の相反する面の少なくとも一方の面に前記アダプタの菊座部と係合可能な菊座部を形成し、前記変位用アーム部材の一方端部位に係合部を設け、この係合部の相反する面のうち少なくとも一方の面に菊座部を形成しないものとして、前記基体のアダプタの一方の菊座部には、前記切断用アーム部材の係合部の菊座部が係合されることにより、前記基体と前記切断用アーム部材とを可動できない状態で連結することを可能とし、前記基体のアダプタの一方の菊座部には、前記変位用アーム部材の係合部の菊座部が形成されない面にて組み付けることにより、前記基体と前記変位用アーム部材とを当該変位用アーム部材が前記切断用アーム部材に遠近する方向に回転可能な状態で連結することを可能としたことを特徴としている(請求項3)。
【0017】
これにより、請求項4に示されるように、前記変位用アーム部材を前記基体から外して、基体に対して回転不能な状態の前記切断用アーム部材のみを前記基体に連結させることが可能となる。
【0018】
更にまた、この発明に係る被切体切断用工具は、前記切断用アーム部材について、前記一方端側の刃よりも更に端側に前記被切体の抜けを防止するためのストッパー部を設け、前記他方端側に前記弾性機構を防護するためのガード部を設けたことを特徴としている(請求項5)。
【0019】
これにより、変位用アーム部材と切断用アーム部材とで被切体を挟持しようとする際に被切体がこれらの一対のアーム部材の他方端側から抜けることが回避され、且つ、一対のアーム部材の一方端側に配置された弾性機構が被切体に接して破損することも回避される。
【0020】
そして、この発明に係る被切体の切断方法は、請求項1から請求項5に記載の被切体切断用工具を使用する被切体の切断方法であって、前記変位用アーム部材と前記切断用アーム部材とを前記被切体に対して前記変位用アーム部材が当該被切体の上方になるようにして前記鉛直方向の上下から挟持する第1の工程と、前記被切体と前記切断用アーム部材とが当該切断用アーム部材の長手方向に変位するように、前記変位用アーム部材の変位手段を利用して前記被切体切断用工具を動かし、前記被切体を鉛直方向の下方から切る第2の工程と、前記第2の工程により前記被切体をその径方向の途中まで切った後に、前記被切体の上方から切ってこの被切体を完全に切断して分離する第3の工程とを有することを特徴としている(請求項6)。
【0021】
このように、被切体の径方向寸法の1/3等の所定の割合で被切体を鉛直方向の下方から切っておくことにより、被切体の切断作業の途中から当該被切体に対して鉛直方向の上方から切るようにしても、被切体がその切れ目内の刃を噛む現象が生じないことから、被切体の切断作業が簡易化される。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、これらの発明によれば、被切体を少なくとも切断作業の初期段階において切断用アーム部材の刃にて鉛直方向の下方から上方に切っていくため、被切体に対してある程度その径方向に切って切断用アーム部材の刃が被切体の切れ目内に入っても、被切体が刃を挟み込む現象、すなわち刃を噛むという現象が生ずることがない。このため、被切体の切断作業を簡易に行うことができる。また、基体に既存の間接活線工具の絶縁操作棒の先端を接続して使用することが可能である。更に、変位用アーム部材及び切断用アーム部材の長手方向の他方端部位側は、当該変位用アーム部材及び切断用アーム部材の長手方向の他方端部位が被切体に押し当てられた際に被切体からの力が弾性機構の閉方向への付勢力に抗して相互に開く方向への力の作用が働くようにすることができるので、間接活線作業において作業員一人で被切体の切断を行うことが可能である。
【0023】
特に請求項2に記載の発明によれば、変位用アーム部材と切断用アーム部材との双方を相互に離隔する方向と近接する方向とに回転させることができるので、変位用アーム部材と切断用アーム部材との他方端側を円滑且つ大きく開くことが可能となり、被切体を挟持するための作業を簡易に行うことができる。
【0024】
特に請求項3に記載の発明にあっては、変位用アーム部材を基体から外して、回転不能な状態にある切断用アーム部材のみを基体に連結させた状態とすることができるので、被切体切断用工具は、下記する被切体の切断方法における被切体の切断作業の途中から当該被切体に対して鉛直方向の上方から切る時に、変位用アーム部材を外すだけで長尺の鋸として使用することができる。
【0025】
特に請求項5に記載の発明によれば、変位用アーム部材と切断用アーム部材とで被切体を挟持しようとする際に被切体がこれらのアーム部材の他方端側から抜けるのをストッパー部で防止することができ、更に、アーム部材の一方端側に配置された弾性機構が被切体に接して破損するのもガード部で防止することができる。
【0026】
特に請求項6に記載の発明に示されるように、被切体の切断作業の初期段階において被切体の径方向寸法の1/3等の所定の割合で被切体を鉛直方向の下方から切っておくことにより、被切体の切断作業の途中から当該被切体に対して鉛直方向の上方から下方に切るようにしても、被切体がその切れ目内の刃を噛む現象を生じないことから、被切体の切断作業を簡易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、この発明に係る被切体切断用工具の実施例1の構成を示した説明図であり、図1(a)は、被切体切断用工具の変位用アーム部材と切断用アーム部材とが閉じた状態を示し、図1(b)は被切体切断用工具の変位用アーム部材と切断用アーム部材とが被切体を挟持した状態を示している。
図2図2は、同上の実施例1に係る被切体切断用工具の部分拡大図であり、図2(a)は、被切体切断用工具の刃やボールベアリングの構成を示す図2(b)のA−A線断面であり、図2(b)は、被切体切断用工具の変位用アーム部材と切断用アーム部材との連絡構造の一例や弾性機構の構造を示している。
図3図3は、同上の実施例1に係る被切体切断用工具の変位用アーム部材と切断用アーム部材との連絡手段の一例や弾性機構の構造を示す斜視図である。
図4図4は、同上の実施例1に係る被切体切断用工具の変位用アーム部材と切断用アーム部材との連絡手段の他例を示す拡大図である。
図5図5は、この発明に係る被切体切断用工具の実施例2における構成部品をそれぞれ分かれた状態で示した説明図である。
図6図6は、同上の実施例2に係る被切体切断用工具の基体に変位用アーム部材と切断用アーム部材とを連結させるための構成を示した説明図であり、図6(a)は、基体に変位用アーム部材と切断用アーム部材とが連結される前の状態を示し、図6(b)は、基体に変位用アーム部材と切断用アーム部材とが連結された後の状態を示している。
図7図7は、同上の実施例2に係る被切体切断用工具の構成部品を組み合わせて成る全体構成を示した説明図である。
図8図8は、同上の実施例2に係る被切体切断用工具について刃を有する切断用アーム部材のみを残して長尺の鋸とした構成を示した説明図であり、図8(a)は図7の状態から変位用アーム部材を外した状態を示し、図8(b)は、切断用アーム部材を刃が下方を向くように基体に連結させた状態を示している。
図9図9は、同上の実施例2に係る被切体切断用工具についてアーム部材を使用時とは逆向きとなるように基体に連結させて被切体切断用工具が不使用時の保管用状態であることを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0029】
図1から図4において、この発明の実施例1に係る被切体切断用工具1が示されている。この被切体切断用工具1は、倒木の幹や立木の枝等の鉛直方向と交差する方向に延びた樹木の幹や枝(以下、これらを被切体2と総称する。)を切断するために用いられるもので、長尺の変位用アーム部材3と、長尺の切断用アーム部材4と、これらのアーム部材3、4の長手方向の一方端側に位置する端側部位3a、4aが連結された基体5とで基本的に構成されており、変位用アーム部材3と切断用アーム部材4とは、基体5を中心として双方が遠近する方向に回転することにより端側部位3a、4aとは長手方向の反対側に位置する端側部位3b、4bが開閉可能となっている。
【0030】
また、変位用アーム部材3と切断用アーム部材4とは、この実施例では、端側部位3b、4bが閉じた状態にあって、端側部位3b、4bから端側部位3a、4a側に進むに従い相互に徐々に離れていくがある位置からは端側部位3a、4a側に進むに従い相互に近接していくように弧状に曲がって、相互に対峙する面が曲面6、7となっている。これにより、変位用アーム部材3と切断用アーム部材4とは、相互に対峙する曲面6、7の最も離れた部位間により被切体2を挟んで保持しやすくなっている。
【0031】
更に、変位用アーム部材3は、図3に示されるように端側部位3aが2股に分かれつつ当該変位用アーム部材3の長手方向に延びた突出片9、10を有していると共に、切断用アーム部材4は、図3に示されるように端側部位4aが切断用アーム部材4の長手方向に延びた突出片11を有したものとなっており、突出片9、10間に突出片11が介在すると共に下記する基体5の支持部25、25でこれらの突出片9、10、11を挟み、更に回転軸26を支持部25、突出片9、突出片11、突出片10、支持部25となるように挿通して連結させることにより、図1の矢印に示されるように、変位用アーム部材3と切断用アーム部材4との双方が遠近する方向に回転することができる。
【0032】
そして、変位用アーム部材3と切断用アーム部材4とは、図2に示されるように、端側部位3a、4aのうち支持部25、25で覆われる部位よりも端側部位3b、4b側において、アーム部材3、4の短手方向で同じ側となる側面13と側面14とにわたって架設された弾性機構15と、同じくアーム部材3、4の短手方向で且つ側面13、14とは反対側となる側面16と側面17とにわたって架設された弾性機構18を有している。弾性機構15、18は、変位用アーム部材3側に配置された台座19と、切断用アーム部材4側に配置された台座20、及び一方端が台座19に固定され他方端が台座20に固定されて収縮方向に付勢された蛇腹状のバネ本体21とにより構成されている。尚、台座19、20は、それぞれ、変位用アーム部材3、切断用アーム部材4に溶接等により固着されている。
【0033】
これにより、変位用アーム部材3と切断用アーム部材4とは、端側部位3b、4bがこの弾性機構15、18により閉方向により常時付勢される共に曲面6、7で挟んだ状態の被切体2を確実に保持することができる一方で、この弾性機構15、18の付勢力は、端側部位3b、4bが被切体2に押し当てられた際には、被切体2からの端側部位3b、4bを押し広げようとする力が弾性機構15、18の前記付勢力に勝って端側部位3b、4bを開くことができる程度の大きさとなっている。
【0034】
基体5は、間接活線工具の絶縁操作棒(ホットステックとも称する。)22の先端部23が接続可能なコネクタ24と、このコネクタ24の頭部から延出した2つの支持部25、25と、この支持部25、25に突出片9、10、11を適宜に回転可能に連結させる回転軸26とを有して構成されている。絶縁操作棒22の先端部23とコネクタ24との接続は公知であるが、下記する図5から図7を用いて概説すると、先端部23の出没可能な突起部23aをコネクタ24のT字状の溝24aの軸方向部位の端側と一致させつつ先端部23をコネクタ24に挿入させた後、先端部23を回転させて突起部23aを溝24aの周方向部位の端に移すことで接続される。
【0035】
ところで、切断用アーム部材4は、曲面7に鋸歯状に複数の刃28が形成されていると共に、端側部位4bの最先端側の刃28よりも先端側にストッパー部29が設けられ、端側部位4aの弾性機構15、18近傍にガード部30が設けられている。ストッパー部29は、この実施例では、刃28よりも大きく、刃28側がなだらかな傾斜面、刃28とは反対側が急な傾斜面となった三角形状をなしている。
【0036】
また、変位用アーム部材3は、曲面6が被切体2の表面を変位用アーム部材3の長手方向に沿って端側部位3aから端側部位3bまで及び端側部位3bから端側部位3a側まで円滑に変位することができるように、図2(a)に示される様に、曲面6に対しボールベアリング31が転動自在に収納されたものとなっている。もっとも、切断用アーム部材4を被切体2に対して円滑に前後方向に変位するのを補助することができればボールベアリング31に限定されない。
【0037】
尚、この実施例1で用いられる弾性機構の構造については、図2及び図3等に示されるような弾性機構15、18に限定されず、図4に示されるように、コイル状部分33cの両側の先端部位33a、33bが直線状に延びたコイルバネから成る弾性機構33を用いるようにしても良い。
【0038】
すなわち、この弾性機構33は、先端部位33aが変位用アーム部材3の突出片9又は突出片10内に差し込まれると共に先端部位33bが切断用アーム部材4の突出片11内に差し込まれ、更に弾性機構33のコイル状部分33cは基体5の支持部25、25間にかかる支持部25、25に固定されるかたちで収納された構造としても良い。これにより、基体5と両アーム部材3、4とは、弾性機構33を介して連結された状態になっていると共に、弾性機構33に対し先端部位33aと先端部位33bとが近接する方向に付勢力を与えることで、端側部位3b、4bは弾性機構33により常時閉方向に付勢されたものとなっている。もっとも、この弾性機構33の付勢力も、端側部位3b、4bが被切体2に押し当てられた際には、被切体2からの端側部位3b、4bを押し広げようとする力が弾性機構33の付勢力に勝って端側部位3b、4bを開くことができる程度の大きさとなっている。
【0039】
そして、この弾性機構33を用いることにより、弾性機構33を構成する先端部位33a、33bが、アーム部材3、4内に収められるので、弾性機構15、18を採択した場合のように、アーム部材3、4にガード部を設ける必要がなくなる。
【0040】
このような図1から図4に示される被切体切断用工具1を用いた被切体2の切断方法の一例について説明する。
【0041】
(被切体切断用工具1で被切体2を挟持する工程)
まず、基体5のコネクタ24に絶縁操作棒22の先端部23を装着して長尺の間接活線工具とした後、電柱等の柱状立設体に近接し且つ鉛直方向と交差する方向に延びた被切体2に対して、変位用アーム部材3が被切体2の上方、切断用アーム部材4が被切体2の下方となるように、アーム部材3、4の端側部位3b、4bを押し当てる。これにより、アーム部材3、4の端側部位3b、4bは一対の弾性機構15、18又はその変形例の弾性機構33の付勢力に抗して押し広げられて、被切体2は上方に位置する変位用アーム部材3の曲面6と下方に位置する切断用アーム部材4の曲面7との間に進む。このように、被切体2が変位用アーム部材3の曲面6と切断用アーム部材4の曲面7との間に位置した際には、被切体2は一対の弾性機構15、18又はその変形例の弾性機構33の付勢力により、図1(b)に示されるように、変位用アーム部材3の曲面6と切断用アーム部材4の曲面7とで挟まれて保持される。
【0042】
(被切体切断用工具1による被切体2の初期段階切断工程)
次に、絶縁操作棒22を持って、図1(b)の矢印に示されるように、アーム部材3、4の長手方向に沿って前後動させる。この時、ボールベアリング31による補助により、変位用アーム部材3が被切体2の表面を効率良く滑るので、変位用アーム部材3と連動する切断用アーム部材4は、被切体2の下方に位置しても、刃28で被切体2に切れ目を入れて切り進む切り始めを容易且つ円滑に行うことができる。
【0043】
(被切体切断用工具1による被切体2の中間段階切断工程)
更に、絶縁操作棒22を持ちアーム部材3、4の長手方向に沿って前後動させる動作を続ける。このとき、切断用アーム部材4の刃28は弾性機構15及び18又は33の付勢力により被切体2の切れ目の最深部に接触し続けるので、その後の被切体切断用工具1による被切体2を下方から上方に向けて切っていく作業も容易且つ円滑に行うことができる。
【0044】
これらの被切体2の初期及び中間段階の切断作業において、切断用アーム部材4がストッパー部29を有することにより、被切体切断用工具1をアーム部材3、4の長手方向に変位させて、被切体2が端側部位3b、4b側に寄っても被切体2が抜けることがなく、弾性機構15及び18を用いる場合には、切断用アーム部材4がガード部30を有することにより、被切体切断用工具1をアーム部材3、4の長手方向に変位させて、被切体2が端側部位3a、4a側に寄っても被切体2が弾性機構15、18を破損させることがない。
【0045】
(被切体2の最終段階切断工程)
そして、被切体2に対し下方から見てその直径の約1/3まで切れ目を入れた後は、被切体2を上方から切っても、被切体2の切れ目が鋸歯等を噛む現象が生じなくなるので、長尺の鋸(図示せず。)を用いて、被切体2を上方から切って行き、最終的には被切体2を分離させることで、被切体2の切断作業が完了する。
【0046】
よって、図1から図4に示される被切体切断用工具1を用いた被切体2の切断方法においては、被切体2に切れ目を入れて更に被切体2を切っていく初期段階を被切体2の下方から行うことができるので、被切体2を上方から切り初めて被切体2の切れ目が鋸歯等を噛むという現象を防止することができ、しかも、被切体2を下方から切っていく作業を作業員一人でも容易且つ円滑に行うことが可能である。
【実施例2】
【0047】
図5から図9において、この発明の実施例2に係る被切体切断用工具1が示されている。以下、この被切体切断用工具1について説明する。但し、実施例1と同様の構成については、実施例1と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0048】
被切体切断用工具1は、変位用アーム部材3と、切断用アーム部材4と、基体5とを有して構成されている点では先の実施例1と同様であるが、図5及び図6に示されるように、この実施例2では、変位用アーム部材3、切断用アーム部材4、及び基体5は、それぞれ分離可能な部品となっており、それぞれ連結させることにより図7に示される被切体切断用工具1を形成している。
【0049】
基体5は、コネクタ24の頂部にアダプタ35が形成されているもので、このアダプタ35は、図6(a)に示されるように、長手方向の先端において相反する側にそれぞれ菊座部36、37を備えている。これらの菊座部36、37は、略円状の平らな面38に複数の凹凸部39が当該面38の円周に沿って配列された構造のものであり、面38の円の中心部に対称方向に延びる蝶ネジ40を有している。
【0050】
切断用アーム部材4は、係合部42を端側部位4aよりも長手方向に突出した位置に有し、この係合部42はアダプタ35の菊座部36に着脱自在に取り付けられる菊座部41、41を相反する側にそれぞれ備えている。これらの菊座部41は、それぞれ略円状の平らな面43に菊座部36の凹凸部39と嵌合可能な複数の凹凸部44が当該面43の円周に沿って配列されると共に蝶ネジ40に嵌め込むことができる大きさ及び形状の取付溝45を一方の面43から他方の面43にかけて切り欠かれたかたちで有している。
【0051】
これにより、アダプタ35の蝶ネジ40を緩め、切断用アーム部材4の取付溝45に蝶ネジ40のネジ部を差し込んで締め付けることで、2つの面43のいずれの側であっても切断用アーム部材4をアダプタ35に回転不能に連結させることができる。
【0052】
これに対し、変位用アーム部材3は、係合部47を端側部位3aよりも長手方向に突出した位置に有しているが、この係合部47は相反する側の一方側にのみ菊座部48を備えたものとなっている。菊座部48は、略円状の平らな面49に菊座部36の凹凸部39と嵌合可能な複数の凹凸部50が当該面49の円周に沿って配列されている。一方、菊座部48を有する側の反対側は、図5に示されるように、凹凸を有しない面51となっている。そして、係合部47は、蝶ネジ40に嵌め込むことができる大きさ及び形状の取付溝45を一方の面49から他方の面51にかけて切り欠かれたかたちで有している。
【0053】
これにより、アダプタ35の蝶ネジ40を緩め、切断用アーム部材4の取付溝45に蝶ネジ40のネジ部を差し込んで締め付けるにあたって、面49側では変位用アーム部材3をアダプタ35に回転不能に連結することができる一方で、面51側では、変位用アーム部材3はアダプタ35に対して蝶ネジ40を中心として回転可能な状態で連結されたものとなる。
【0054】
また、変位用アーム部材3は、端側部位3aのうち面51と同じ側の面(被切体2の切断使用時においてボールベアリング31が下側を向いている場合にアダプタ35側を向く面)に、相対的に大きな頭部を有する係合突起部53が形成されていると共に、切断用アーム部材4は、被切体2の切断使用時において端側部位4aのうち刃28が上側を向いている場合にアダプタ35側を向く面に、相対的に大きな頭部を有する係合突起部54が形成されている。
【0055】
そして、変位用アーム部材3の係合突起部53と切断用アーム部材4の係合突起部54とは、弾性機構55が装着されるようになっている。この弾性機構55は、図5に示されるように、2つの係合板56、57と、一端が係合板56に連結されると共に他端が係合板57に連結された蛇腹状のバネ本体58とで構成されている。係合板56、57は、それぞれ通孔59を有しており、この通孔59は、係合突起部53、54の頭部よりも大きな大径孔部位と係合突起部53、54の頭部よりも小さな小径孔部位とが連続した形状となっている。また、バネ本体58は収縮方向に付勢された蛇腹状となっている。
【0056】
これにより、弾性機構55の係合板56に形成された通孔59の大径孔部位を変位用アーム部材3の端側部位3aに形成された係合突起部53に外挿した後、係合板56をスライドさせて、係合突起部53の頭部が通孔59の小径孔部位よりも出た状態とすると共に、弾性機構55の係合板57に形成された通孔59の大径孔部位を切断用アーム部材4の端側部位4aに形成された係合突起部54に外挿した後、係合板57をスライドさせて、係合突起部54の頭部が通孔59の小径孔部位よりも出た状態とすることで、弾性機構55は変位用アーム部材3と切断用アーム部材4とに確実に固定される。そして、弾性機構55が装着されることにより、変位用アーム部材3と切断用アーム部材4とは端側部位4bと端側部位4bとが閉方向に常時付勢されたものとなる。
【0057】
そして、実施例2に示される被切体切断用工具1は、基体5のアダプタ35の構造、変位用アーム部材3及び切断用アーム部材4の係合部42、47の構造とすることで、上記した被切体2の切断の各工程のいずれにおいても以下のように被切体2への取り付け又は利用することができる。
【0058】
まず、図7に示されるように、切断用アーム部材4は係合部42のうち通常使用時において刃28が上側を向いている場合にアダプタ35側を向く面43の菊座部48を基体5のアダプタ35の菊座部36と係合させ蝶ネジ40で両者を締め付け、変位用アーム部材3は係合部47のうち菊座部を有しない面51を基体5のアダプタ35の菊座部36に当接させて蝶ネジ40で両者を組み付けた後、弾性機構55を変位用アーム部材3と切断用アーム部材4とに装着させる。
【0059】
これにより、実施例2に示される被切体切断用工具1についても、被切体切断用工具1で被切体2を挟持する工程を行うことができる。すなわち、基体5のコネクタ24に絶縁操作棒22の先端部23を装着して長尺の間接活線工具とした後、目標の被切体2に対して、変位用アーム部材3が被切体2の上方、切断用アーム部材4が被切体2の下方となる向きにて、アーム部材3、4の端側部位3b、4bを押し当てる。この場合には、図7の矢印に示されるように、変位用アーム部材3のみが回転可能となっていることから、変位用アーム部材3の端側部位3bが弾性機構55の付勢力に抗して切断用アーム部材4の端側部位4bとは反対側に押し広げられて、被切体2は上方に位置する変位用アーム部材3の曲面6と下方に位置する切断用アーム部材4の曲面7との間に進む。そして、被切体2が変位用アーム部材3の曲面6と切断用アーム部材4の曲面7との間に位置した際には、被切体2は弾性機構55の付勢力により、図1(b)に示される場合と同様に、変位用アーム部材3の曲面6と切断用アーム部材4の曲面7とで挟まれて保持される。
【0060】
そして、実施例2に示される被切体切断用工具1は、被切体切断用工具1による被切体2の初期段階切断工程と被切体切断用工具1による被切体2の中間段階切断工程とについても、ボールベアリング31による補助により、被切体2の上方に位置する変位用アーム部材3が被切体2の表面を効率良く滑るので、実施例1の被切体切断用工具1と同様に、被切体2の下方に位置する切断用アーム部材4の刃28で被切体2を下方から上方に向けて切っていく作業を行うことが可能である。
【0061】
その一方で、実施例2に示される被切体切断用工具1は、被切体2の最終段階切断工程においても確実に用いることができる。すなわち、変位用アーム部材3は着脱自在であるので、図8(a)に示されるように、変位用アーム部材3と弾性機構55とを外して切断用アーム部材4のみが基体5に対して回転不能な態様で取り付けられた状態とすることができる。更には、切断用アーム部材4の係合部42は、図6(a)に示されるように両側に菊座部41、41を有するので、図8(b)に示されるように、刃28が下方を向くように、切断用アーム部材4を基体5に取り付け直すこともできる。よって、被切体2に対し下方から見てその直径の約1/3まで切れ目を入れた後は、変位用アーム部材3を外して切断用アーム部材4のみとなった被切体切断用工具1を用いて、被切体2を上方から切って行くことができるので、被切体2の切断作業が完了するまで被切体切断用工具1を利用し続けることができる。
【0062】
そして、実施例2に示される被切体切断用工具1は、変位用アーム部材3及び切断用アーム部材4が基体5に対して着脱自在であり、しかも、切断用アーム部材4の係合部42の両側に菊座部41が形成されて基体5のアダプタ35と係合可能となっていると共に、変位用アーム部材3の係合部47も面49側には菊座部48が形成されて基体5のアダプタ35と係合可能となっているので、不使用時には、図9に示されるように、保管可能状態とすることもできる。すなわち、切断用アーム部材4の端側部位4bが絶縁操作棒22の基端側に向くようにして、基体5のアダプタ35の菊座部36に、切断用アーム部材4の係合部42の菊座部41を係合させると共に、変位用アーム部材3の端側部位3bが絶縁操作棒22の基端側に向くようにして、基体5のアダプタ35の菊座部37に、変位用アーム部材3の係合部47の菊座部48を係合させることで、変位用アーム部材3及び切断用アーム部材4は、基体5に対して回転不能な態様で、且つこれらの変位用アーム部材3及び切断用アーム部材4の先端である端側部位3b、4bが絶縁操作棒22の基端側を向くかたちで基体5に固定されるので、相対的に尺を短くした状態とすることができ、比較的に狭い場所でも保管することが容易となる。
【符号の説明】
【0063】
1 被切体切断用工具
2 被切体
3 変位用アーム部材
3a 端側部位(一方端部位)
3b 端側部位(他方端部位)
4 切断用アーム部材
4a 端側部位(一方端部位)
4b 端側部位(他方端部位)
5 基体
9、10 突出片
15 弾性機構
18 弾性機構
22 絶縁操作棒
24 コネクタ
28 刃
29 ストッパー部
30 ガード部
31 ボールベアリング(変位手段)
33 弾性機構
35 アダプタ
36、37、41、48 菊座部
42、47 係合部
51 菊座部を有しない面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9