(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、(1)〜(5)の制御(風量一定制御、流入比率一定制御、DO制御、硝化指標制御)では、流入水量や有機物・アンモニア性窒素濃度等による必要空気量に対して、間接的な指標に基づいて送風量を制御しており、一定の流入水量や一定の水質の場合の処理負荷の場合は有効ではあるものの、流入する水量や水質の時間変動が大きな場合、間接的な指標では追随できない場合が多い。そのため、負荷変動への対応で常に余裕を持った送風を行う必要があるため、送風機動力を過剰に消費するという問題点があった。
【0008】
具体的には、(1)の風量一定制御は、運転管理者の過去の天候や気候、曜日などの経験値からその日の予測をしているにすぎず、一旦設定した必要送風量は、その後の負荷変動には全く対応しない。(2)の流入水量に比例させた設定風量は、当然水質の変動には対応できない。(3)の制御では、例えば、生物反応タンク出口で溶存酸素濃度が一定になるよう制御しても、好気槽の水理学的滞留時間は数時間以上十数時間に達することもあり、入口の流入水量や水質の変動には自ずと対応できない。(4)の制御では、前記出口一点の溶存酸素濃度測定を、複数段の好気槽ごと出口溶存酸素濃度を測定しても、硝化細菌によるアンモニア性窒素の酸化に溶存酸素が使われたのか、他の有機物の反応に溶存酸素が使われたのかが判らない溶存酸素を指標とする以上、硝化反応に即した送風量より過剰に送風を行うことになる。(5)の制御では、酸素消費速度(Rr)についても、酸化還元電位(ORP)についてもこれらを指標に用いると、(3)(4)の制御と同様な過剰送風を招くことは明らかである。
【0009】
(6)の硝化制御では、生物反応タンクへ流入する入口のアンモニア性窒素濃度を測定し、これを実質唯一の実測値として、アンモニア性窒素の負荷量や除去目標値を演算により過去経験パターンから選択することで予測し、曝気送風量を決定し制御するため、季節はずれの低水温などの理由から予期せず硝化反応が進まない場合には、過去経験パターンが当然に誤予測を引き起こし、結果として送風量に見合った酸素が消費されず過剰な送風機動力を消費し、後工程として無酸素槽などがある場合不具合も引き起こすこととなる。また、流入有機物濃度と比較して流入アンモニア性窒素濃度が低い場合には、入口アンモニア性窒素濃度しか計測していないことから送風量が過小となり、処理水質が悪化する。
【0010】
(7)の硝化制御とDO制御との併用においては、あくまで生物反応タンクへ流入する入口のアンモニア性窒素濃度を測定し、これを硝化反応実質唯一の実測値として、アンモニア性窒素の負荷量や除去目標値を演算により過去経験パターンから選択することで予測するので、予測による送風量制御となり、また、硝化反応が進まない場合には、好気槽全体の1点でのDO(溶存酸素濃度)測定から、前述の(3)(4)の制御と同じ問題によりどうしても測定箇所での溶存酸素濃度の設定上限付近での限られた範囲の制御が主体となり、前述の理由により過剰な送風機動力を消費することになる。
更に、生物反応タンク1池に対して、アンモニア性窒素濃度もDOもそれぞれ1つの計測器による計測値を基に制御を行っているため、複数層ある生物反応タンク1池の中で、入口水質により時間ごと、各槽ごとに各種反応が変動することで、各時間各槽毎に異なる必要空気量に対して個別に適正な送風を行うことができず、結果として送風量が過剰となっている。
【0011】
一方、従来の散気装置では、散気孔が閉じないという構造上の要因により、散気装置の曝気停止時の生物反応タンク内の活性汚泥沈降による散気装置散気孔の閉塞を防止するため、どうしても停止できず、最小送風量を設定して曝気を継続しなければならず、その最小送風量を下回っての運転ができないので、必要送風量が最小送風量よりも演算上小さくなっても、送風量は最小送風量で送り続けることとなり、結果として送風量が過剰となる。
【0012】
本発明は、このような課題を解消するために為されたもので、その目的は、生物反応タンクの各槽において、現在流入してその位置にある処理すべきアンモニア性窒素の、その場所での硝化反応量に見合った必要空気量に対応した送風を行い、過剰な送風機動力を削減する、活性汚泥処理装置及びその処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項
1に係る発明は、原水を硝化細菌により硝化を行う複数の反応槽から成る生物反応タンクを備える下水の活性汚泥処理装置において、前記生物反応タンクへの流入水量を計測する流量計と、前記生物反応タンクの各反応槽に設けられる散気装置と、前記散気装置へ空気を供給する送風機出口の送風圧を計測する送風圧力計と、前記散気装置への送風量を制御する風量調整弁と、前記生物反応タンクの末端に設けられるMLSS計と
、前記生物反応タンクの各反応槽の流入側に設けられるアンモニア性窒素計と、
前記生物反応タンクの各反応槽の流出側に設けられるDO計と、前記流量計、前記送風圧力計、
各前記風量調節弁、前記MLSS計
、各前記アンモニア性窒素計
及び各前記DO計に連絡する送風量演算・弁制御装置と、送風機制御装置とを備え、前記送風量演算・弁制御装
置は、前記アンモニア性窒素計の相互間隔に対応した前記生物反応タンクの各反応槽のタンク容量、流入水量及びアンモニア性窒素濃度から下水の滞留時間θを連続的に算出して、必要送風量を演算し制御を併せて行なうにあたり、前記生物反応タンクの各反応槽のタンク容量及び前記流量計の流量計測値から求められる下水の滞留時間(θ)を演算し、最上流の反応槽のアンモニア性窒素濃度の前記下水の滞留時間(θ)前の計測値と、最上流の次の反応槽のアンモニア性窒素濃度計の計測値との差が設定下限値以上となっていた硝化が進んでいる場合には、各反応槽のタンク容量及び前記流量計の流量計測値から求められた下水の滞留時間の間に、隣接する2つのアンモニア性窒素計からの計測値に基づき、上流側の反応槽におけるアンモニア性窒素濃度を下流側の反応槽におけるアンモニア性窒素濃度まで硝化した、前記MLSS計のMLSS濃度測定値に応じた硝化速度Knに基づき硝化したアンモニア性窒素負荷量(LNT)の量に応じた硝化制御に切り替わって各反応槽毎に散気装置への必要送風量を求め、最上流の反応槽のアンモニア性窒素濃度の前記下水の滞留時間(θ)前の計測値と、最上流の次の反応槽のアンモニア性窒素濃度計の計測値との差が設定下限値より小さい場合には、次の測定サンプリング時刻までは、DO計の計測値による溶存酸素が一定になるようにDO一定制御に切り替わって各反応槽毎に散気装置への必要送風量を求め、前記送風機制御装置は、前記送風量演算・弁制御装置により求めた前記必要送風量に見合った前記散気装置への送風量を、送風圧力を一定に保ったまま、各反応槽の前記風量調節弁を個別に開度制御して制御することを特徴とする。
【0021】
請求項
2記載に係る発明は、請求項
1の活性汚泥処理装置において、前記送風量演算・弁制御装置は、前記下水の滞留時間の間に流入したアンモニア性窒素量の積算値(ΣL
Nin)が、前記硝化した量(L
NT)を下回る場合に、送風量が過剰にならないよう、設定送風量を減らす制御を行うことを特徴とする。
【0022】
請求項
3に係る発明は、請求項
1記載の活性汚泥処理装置において、前記送風量演算・弁制御装置は、前記下水の滞留時間の間に流入したアンモニア性窒素量の積算値(ΣL
Nin)が、前記硝化した量(L
NT)を上回る場合で、かつ現在時刻よりも前記下水の滞留時間(θ)前の時刻のアンモニア性窒素濃度が、現在時刻よりもθ−t(t:測定間隔)時間前の時刻のアンモニア性窒素濃度を下回る場合には、前記下水の滞留時間(θ)の間に流入したアンモニア性窒素量の平均値が、現在時刻よりもθ−t時間前の時刻のアンモニア性窒素濃度を上回る場合に、現在時刻よりもθ時間前の時刻のアンモニア性窒素濃度に対する、現在時刻よりもθ−t時間前の時刻のアンモニア性窒素濃度の比によって、前記硝化に必要な酸素量(AOR
N)を補正し、
前記硝化に必要な酸素量(AORN)に応じた送風量が過小にならないよう、設定送風量を増やす制御を行うことを特徴とする。
【0023】
請求項
4に係る発明は、請求項
1記載の活性汚泥処理装置において、前記送風量演算・弁制御装置は、現在時刻よりも前記下水の滞留時間(θ)前の時刻のアンモニア性窒素濃度に対する、前記下水の滞留時間(θ)の間に流入したアンモニア性窒素量の平均値の比によって、前記硝化に必要な酸素量(AOR
N)を補正し、
前記硝化に必要な酸素量(AORN)に応じた送風量に過不足が生じないよう、設定送風量を増減する制御を行うことを特徴とする。
【0024】
請求項
5に係る発明は、請求項1乃至請求項
4の何れか記載の活性汚泥法の運転制御装置において、前記散気装置は、風量制御範囲が広く、散気孔が開閉することで送風−停止の間欠曝気運転が可能なメンブレン膜を有する散気装置で構成され、前記送風量演算・弁制御装置により演算された必要空気量が、前記生物反応タンクの各反応槽への最小送風量を下回った場合に、前記送風量演算・弁制御装置の出力信号に基づいた各反応槽個別の風量調節弁の全閉を含む開度制御により、間欠曝気運転を行うようにしたことを特徴とする。
【0025】
請求項
6に係る発明は、請求項1乃至請求項
5の何れか記載の活性汚泥処理装置を用いて、原水を硝化細菌により硝化を行う下水の活性汚泥処理方法において、前記アンモニア性窒素計の相互間隔に対応した各反応槽の反応タンク容量と、流入水量、
前記アンモニア性窒素計の測定濃度
、前記MLSS計のMLSS濃度測定値とから硝化速度を連続的に算出し、必要送風量を演算しながら、前記送風量演算・弁制御装置の出力信号に基づいて各反応槽の風量調節弁の開度制御を行い、前記反応槽への送風量の制御を個別に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複数のアンモニア性窒素計により、各反応槽における硝化速度の現在値を把握し、送風量演算・弁制御装置により現在の硝化速度に応じた必要空気量を演算しながら、各反応槽の風量調節弁の開度制御を行い、各反応槽への送風量の自動制御を個別に行うことができるので、各反応槽毎の処理状況に応じた必要な空気量を個別に過不足無く送風することができ、過大な送風量を抑制し、過剰な送風機動力を削減することが可能である。
【0028】
また、本発明によれば、複数のアンモニア性窒素計とDO計とにより、各反応槽における硝化速度の現在値とDO変化とを把握し、送風量演算・弁制御装置により現在の硝化速度に応じた必要空気量を演算して、各DO計の計測値による補正を併せて行いながら、各反応槽の風量調節弁の開度制御を行い、各反応槽への送風量の自動制御を個別に行うことができるので、各反応槽毎の処理状況に応じた必要な空気量を個別に過不足無く送風することができ、過大な送風量を抑制し、過剰な送風機動力を削減することが可能である。
【0029】
また、本発明によれば、例えば、メンブレンパネル式散気装置のような、風量制御範囲が広く、送風一停止の間欠曝気運転が可能な散気装置の配備により、幅広い風量制御範囲への対応と間欠曝気運転を可能とすることで、送風量及び送風機動力の削減効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係る活性汚泥処理装置を示す概要説明図である。
【
図2】
図1の活性汚泥処理装置の運転制御を示すフローチャートである。
【
図3】
図1の活性汚泥処理装置における各反応槽に流入する水の滞留時間を示す概念図である。
【
図4】
図1の活性汚泥処理装置における第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度の経時変化を示す概念図である。
【
図5】
図1の活性汚泥処理装置における第1反応槽内流下方向のアンモニア性窒素濃度変化を示す概念図である。
【
図6】
図1の活性汚泥処理装置における第1反応槽で硝化したアンモニア性窒素負荷量(L
NT)≦時刻t
1〜現在時刻t
nの間の第1反応槽の流入アンモニア性窒素負荷量(ΣL
Nin)かつ、第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度N
1-1≧第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度N
1-2のモデル図である。
【
図7】
図1の活性汚泥処理装置における第1反応槽で硝化したアンモニア性窒素負荷量(L
NT)≦時刻t
1〜現在時刻t
nの間の第1反応槽の流入アンモニア性窒素負荷量(ΣL
Nin)かつ、第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度N
1-1<第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度N
1-2、かつ第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度N
1-2≦時刻t
1〜現在時刻t
nの間の第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度N
1の平均値(=ΣL
Nin/V
1=A
Ve.N
1-1〜
n)のモデル図である。
【
図8】
図1の活性汚泥処理装置における第1反応槽で硝化したアンモニア性窒素負荷量(L
NT)>時刻t
1〜現在時刻t
nの間の第1反応槽の流入アンモニア性窒素負荷量(ΣL
Nin)のモデル図である。
【
図9】
図1の活性汚泥処理装置における時刻t
1〜現在時刻t
nの間の第1反応槽の流入アンモニア性窒素負荷量(ΣL
Nin)の概念図である。
【
図10】
図1の活性汚泥処理装置における第1反応槽で硝化したアンモニア性窒素負荷量(L
NT)の概念図である。
【
図11】
図1の活性汚泥処理装置における第1反応槽で硝化したアンモニア性窒素負荷量(L
NT)≦時刻t
1〜現在時刻t
nの間の第1反応槽の流入アンモニア性窒素負荷量(ΣL
Nin)かつ、第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度N
1-1<第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度N
1-2、かつ第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度N
1-2>時刻t
1〜現在時刻t
nの間の第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度N
1の平均値(=ΣL
Nin/V
1=A
Ve.N
1-1〜
n)のモデル図である。
【
図12】
図1の活性汚泥処理装置における第1反応槽で硝化したアンモニア性窒素負荷量(L
NT)≦時刻t
1〜現在時刻t
nの間の第1反応槽の流入アンモニア性窒素負荷量(ΣL
Nin)かつ、第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度N
1-1<第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度N
1-2、かつ第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度N
1-2>時刻t
1〜現在時刻t
nの間の第1反応槽の流入部のアンモニア性窒素計によって実測されたアンモニア性窒素濃度N
1の平均値(=ΣL
Nin/V
1=A
Ve.N
1-1〜
n)のモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る活性汚泥処理装置1を示す。
本実施形態において、原水を硝化細菌により硝化を行う生物反応タンク10は、第1反応槽11、第2反応槽12、第3反応槽13、第4反応槽14から成る。なお、第1反応槽11、第2反応槽12、第3反応槽13、第4反応槽14の体積をV
1,V
2,V
3,V
4として表す。
【0032】
第1反応槽11、第2反応槽12、第3反応槽13、第4反応槽14には、それぞれの流入部側にアンモニア性窒素濃度N
1,N
2,N
3,N
4を実測するアンモニア性窒素計15,16,17,18が設置されると共に、それぞれの流出部側にDO(Dissolved Oxygen:溶存酸素)濃度(及び水温)DO
1,DO
2,DO
3,DO
4を実測するDO計19,20,21,22が設置されている。なお、各アンモニア性窒素計15,16,17,18間の距離をL
1,L
2,L
3,L
4として表す。ここで、距離L
4は、第4反応槽11の流入側のアンモニア性窒素濃度N
4と第4反応槽14の末端の図示しないアンモニア性窒素計との距離(又はDO計22の近傍に設けた図示しないアンモニア性窒素計との距離)を示す。
【0033】
第4反応槽14には、流出部側にDO計22と共にMLSS(Mixed Liquor Suspended Solids:浮遊フロック)濃度MLSS
4を実測するMLSS計23が設置されている。
第1反応槽11、第2反応槽12、第3反応槽13、第4反応槽14には、それぞれの底部側に散気装置24,25,26,27が設置されている。
【0034】
生物反応タンク10の第1反応槽11の流入側には、流量計29を備え、生物反応タンク総流入量Q(=q+r、ここで、qは汚水量、rは返送汚泥量を表す)の原水を供給する原水配管28が接続されている。原水配管28には、返送汚泥を供給する、流量計31を備えた配管30が接続されている。また、生物反応タンク10の第4反応槽14の流出側には、処理水を排出する排出管32が接続されている。生物反応タンク10への流入量は、流量計29,31によって計測される。
【0035】
アンモニア性窒素計15,16,17,18と、DO計19,20,21,22と、MLSS計23と、風量計39,40,41,42と、流量計29,31と、後述する温度計45と、後述する圧力計46とは、送風量演算・弁制御装置33に、実測値を入力するように連絡している。
送風量演算・弁制御装置33は、これらの入力信号に基づいて、後述する風量調節弁35,36,37,38,43の開度調整制御を行うための出力信号を送出するように構成されている。
【0036】
散気装置24,25,26,27には、送風機47に連なる送気配管34が設置されている。送気配管34には、それぞれの散気装置24,25,26,27への分岐配管34a,34b,34c,34dが設置され、分岐配管34a,34b,34c,34dには、それぞれの散気装置24,25,26,27の風量を調整する風量調節弁35,36,37,38と、それぞれの散気装置24,25,26,27への送風量G
S1,G
S2,G
S3,G
S4を監視モニタリングするため実測する風量計39,40,41,42とが設置されている。
【0037】
散気装置24,25,26,27は、後述するように、風量調節弁35,36,37,38を調節することによって送風停止を行うことができるよう、配管に散気孔を穿孔した散気装置のような、散気孔の形状が不変のものではなく、散気孔が開閉できるようになっているものが望ましい。
メンブレン式散気装置はこの構成を持つもので、ステンレス鋼や硬い樹脂製の基板の周囲に、伸び縮みするスリット状に多数の孔を穿孔した膜の周縁を締結固定し、基板と膜との間に分岐配管34a,34b,34c,34dから送風される加圧空気を、散気装置24,25,26,27が設置されている反応槽の水中水圧に抗して吹込むと、膜が空気圧によって基板から膨れて伸び、穿孔した多数の孔も拡がって開口する。
【0038】
逆に、加圧空気の送風を停止すると、設置されている反応槽の水圧によって膨れた膜は縮みながら最後には基板に貼り付けられ、膜が縮んだことにより穿孔した多数の孔は閉塞する。
このように空気の吹き込みの有り無しで自動的に散気孔が開閉でき、更に吹き込む際には膜も隆起しながら多数穿孔された散気孔から勢いよく吹き出すので、曝気空気の送風を停止して反応槽中に存在する汚泥が沈降してきても、散気孔に堆積閉塞することがなく、膜上に堆積した汚泥も送気時には吹き飛ばし振り落とすことが可能である。
【0039】
送気配管34は、送風機47との間に、生物反応タンク10全体への風量を調整する全体風量調節弁43と、生物反応タンク10全体への総風量G
S0を実測する風量計44と、送風空気温度を実測する温度計45と、配管内の圧力を実測する圧力計46とが設置されている。
風量計44と、温度計45と、圧力計46とは、送風機制御装置48に実測値を送信するように連絡している。送風機47は、送風機制御装置48によって運転が制御される。
【0040】
送風機制御装置48について説明する。送風機制御を大別すると、送気圧力一定制御(例えば、非特許文献1の第635頁参照)と、送風量一定制御とがある。両方共、現在の下水処理場で普通に行われている制御である。但し、本実施形態のように生物反応タンク10を、例えば、第1反応槽11から第4反応槽14に分割し、直列に配置された反応槽ごとに個別に風量調節弁35,36,37,38を制御する場合、他から目標風量信号を入力され、逐一その目標風量と実測風量の偏差に応じて制御しようとしても、風量調節弁35,36,37,38上流の圧力が変動してうまく制御できないことが多い。よって、本実施形態では、送気圧力一定制御の送風機制御装置48を用いた。
【0041】
送気圧力一定制御の送風機制御装置48への入力は、送風機47付近にある、送風空気の圧力(圧力計46で計測される配管内圧力)、送風空気の温度(温度計45で計測)が
主であり、送風量(
GS0、風力計44で計測)は従、若しくはモニタリングであって、その送風空気圧力が一定になるように、送風機制御装置48からの出力信号にて送風機47の吸込ベーン開度等を調整する。その結果、下流の風量調節弁35,36,37,38の開度に応じて間接的に送風機47からの送風量が変化する。
【0042】
具体的な動作例としては、送風量演算・弁制御装置33からの出力信号にて、第1反応槽11、第2反応槽12、第3反応槽13及び第4反応槽14の風量調節弁35,36,37,38が閉方向に動作した場合(第1反応槽11、第2反応槽12、第3反応槽13及び第4反応槽14への送風量を減らしたい場合)には、風量調節弁35,36,37,38の開度が閉側に動くことで、送気配管34内の圧力が上昇する。その場合には、送風機47からの送風量を減らす方向で吸込みベーン開度を調整することで、管内圧力が低下する。風量調節弁35,36,37,38の上流側圧力が一定だと、弁を閉方向に絞ると、弁の下流側に流れる風量が小さくなる。送風量(G
S0)は、圧力を一定にすることで、結果的に送風量が増減するため、制御には直接使用せず、モニタリング用となる。温度も、送風量を風量計で測定するために温度補正が必要なため、計測している。
【0043】
以上のように、送気圧力一定制御の場合には、送風量演算・弁制御装置33からの直接信号で送風機47を制御するのでは無く、風量調節弁35,36,37,38の動作により送気配管34内の圧力が変化するものを、送風機制御装置48にて圧力を一定に制御することで、間接的に送風機47からの送風量を制御する。
【0044】
次に、
図2に基づいて、本実施形態に係る活性汚泥処理装置1の作用を説明する。
本実施形態においては、原水は配管30からの返送汚泥と合流した水量で原水配管28によって生物反応タンク10の第1反応槽11に流入され、以下順に第2反応槽12,第3反応槽13及び第4反応槽14を流下しながら、硝化細菌により硝化され、処理水が排出管32から排出される。
図2に示すフローチャートは、第1反応槽11における処理手順について説明する。第2反応槽12,第3反応槽13及び第4反応槽14についても、同様に処理されるので、これらの説明は省略する。
【0045】
この硝化処理工程において、先ず、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS1において、滞留時間(θ)を求める。
図3は、滞留時間(θ)の概念図である。
図3に示すように、測定間隔tと、各測定時刻の流量Qにて、各測定間隔毎に流入した水量(Q×t)を演算する。
現在時刻をt
nとすると、現在時刻t
nから測定間隔tずつ時刻を遡っていき、Σ(Q×t)≒
V1となった時のθが、現在時刻t
nにおける滞留時間となる。
【0046】
演算としては、現在時刻t
nの時の流量をQ
nとすると、(Q
n×t)≒
V1であれば、θ=1×tと判定する。θ≠1×tであれば、次行へ進む。
((Q
n十Q
n-1)×t)≒V
1であれば、θ=2×tと判定する。θ≠2×tであれば、次行へ進む。
((Q
n+Q
n-1+Q
n-2)×t)≒
V1であれば、θ=3×tと判定する。θ≠3×tであれば、次行へ進む。
以上の判断を繰返すことにより、滞留時間θを決定する。
【0047】
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS2において、硝化反応の進行判定を行う。
第2反応槽12のアンモニア性窒素計16で実測されたアンモニア性窒素濃度N
2の現在値(=N
2-n)と、θ時間前の第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測されたアンモニア性窒素濃度
N1(=N
1-1)との差(N
1-1−N
2-n)、即ちθ時間前の第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測されたアンモニア性窒素濃度N
1-1が、第2反応槽12のアンモニア性窒素計16で実測されたアンモニア性窒素濃度N
2に流達する間に硝化されたアンモニア性窒素濃度を演算する。
【0048】
下記1)に示すように、その差(N
1-1−N
2-n)が、設定下限値(例えば、1〜30mg/L)以上となっていた(硝化が進んでいる)場合には硝化制御に入り、下記2)に示すように、そうでない(硝化が進んでいない)場合には、DO制御を行うか否かの判定に進む。ここで、差(N
1-1−N
2-n)の設定下限値は、電極式アンモニア計の測定下限値から通常考えられる生物反応タンクへの流入アンモニア性窒素濃度(返送汚泥込み)の範囲としてある。
【0049】
1)N
1-1−N
2-n≧設定下限値の場合(ステップS2のNO)には、硝化制御へ進む。ステップS4において、DOが上限設定値(例えば、0.1〜飽和DO濃度mg/L)を超えているか否かの判断が為される。DOが上限設定値を超えている場合(ステップS4のNO)には、ステップS24へ進む。
2)N
1-1−N
2-n<設定下限値の場合(ステップS2のYES)には、次のDO判定ステップS3へ進み、DOが設定下限値(例えば、0.1〜4.0mg/L)
未満であれば(ステップS3のNO)、次のサンプリングタイムまでDO一定制御を行うために、ステップS23へ進む。ここで、DOの設定下限値は、光学式DO計の測定精度下限値(精度±0.05mg/L)から下水協設計指針の硝化反応に必要なDO(1.5〜2.0mg/L)に余裕を持たせた範囲としてある。
【0050】
ステップS23において、送風量演算・弁制御装置33は、風量調節弁35を調節することによって、DO一定制御(目標値=DO設定値下限値、送風上限値設定あり)を行わせる。
ステップS24において、送風量演算・弁制御装置33は、空気量(
GS)≒送風下限値か否かを判断する。空気量(
GS)≒送風下限値の場合(ステップS24のYES)には、ステップS25へ進み、空気量(
GS)≠送風下限値の場合(ステップS24のNO)には、ステップS27へ進む。
【0051】
ステップS25において、送風量演算・弁制御装置33は、風量調節弁35を調節することによって、送風停止後一定時間(例えば、0〜120分)以内か否かを判断する。
一定時間は、0分(スキップもできるように)から生物処理への影響が生じない60分以内くらいのところに幅を持たせた(120分)範囲とした。
一定時間を超えた場合(ステップS25のNO)には、ステップS27へ進み、一定時間以内の場合(ステップS25のYES)には、ステップS26へ進む。
【0052】
ステップS26において、送風量演算・弁制御装置33は、風量調節弁35を調節することによって、送風停止(風量調整弁35を閉)にする。
ステップS27において、送風量演算・弁制御装置33は、風量調節弁35を調節することによって、DO一定制御(目標値=DO設定値上限値、送風下限設定あり)を行わせる。ここで、DO設定上限値〜制御のハンチング防止で少し幅を持たせる(例えば、2.0mg/L)範囲とすることが好ましい。
【0053】
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS5において、硝化速度(K
n)を求める。
硝化速度(K
n)は、次式により求められる。
【数1】
ここで、
N
1-1:時刻t
1の時の、第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測され
たア
ンモニア性窒素濃度
(t
1は、現在時刻t
nよりもθ時間前の時刻)
N
2-n:現在時刻t
nの時の、第2反応槽12のアンモニア性窒素計16で実測され
たアンモニア性窒素濃度
MLSS:現在時刻t
nのMLSS濃度
【0054】
図4は、第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測されたアンモニア性窒素濃度N
1のアンモニア性窒素濃度の経時変化の例を示す。
図5は、第1反応層11内の流下方向のアンモニア性窒素濃度変化の例を示す。
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS6において、第1反応槽11の流入アンモニア負荷量(ΣL
Nin)を求める。
【0055】
流入アンモニア負荷量(ΣL
Nin)は、
図9に示すように、時刻t
1から現在時刻t
nの間の時間(θ)に流入したアンモニア性窒素量の積算値として求められる。
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS7において、第1反応槽11で硝化したアンモニア負荷量(L
NT)を求める。アンモニア負荷量(L
NT)は、
図10に示す例のように、第1反応槽11(
V1)で硝化したアンモニア性窒素負荷量を表す。
第1反応槽11で硝化したアンモニア性窒素負荷量(L
NT)は、次式により求められる。
【数2】
【0056】
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS8において、第1反応槽11で硝化したアンモニア負荷量(L
NT)が時刻t
1から現在時刻t
nの間の流入アンモニア負荷量(ΣL
Nin)より小さいか否かの判断を行う。
時刻t
1から現在時刻t
nの間の流入アンモニア負荷量(ΣL
Nin)が、第1反応槽11で硝化したアンモニア負荷量(L
NT)
より大きい場合(ステップS8のNO)には、ステップS13へ進む。
【0057】
第1反応槽11で硝化したアンモニア負荷量(L
NT)が、時刻t
1から現在時刻t
nの間の流入アンモニア負荷量(ΣL
Nin)より小さい場合(ステップS8のYES)には、ステップS9へ進む。
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS9において、時刻t
1の時の、第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測され
たアンモニア性窒素濃度(N
1-1)が、時刻t
1の後の、第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測され
たアンモニア性窒素濃度(N
1-2)より小さいか否かの判断を行う。
【0058】
時刻t
1の時の、第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測され
たアンモニア性窒素濃度(N
1-1)が、時刻t
1の後の、第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測され
たアンモニア性窒素濃度(N
1-2)より大きい場合(ステップS9のNO)には、ステップS10へ進む。
時刻t
1の時の、第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測され
たアンモニア性窒素濃度(N
1-1)が、時刻t
1の後の、第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測され
たアンモニア性窒素濃度(N
1-2)より小さい場合(ステップS9のYES)には、ステップS11へ進む。
【0059】
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS10において、第1反応槽11で硝化に必要な酸素量(AOR
N)を求める。
硝化に必要な酸素量(AOR
N)は、次式により求められる。
AOR
N=4.57×L
NT/θ×10
-3
=4.57×(N
1-1−N
2-n)×V
1/θ×10
-3
例えば、
図6のような場合がある。
【0060】
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS11において、時刻t
1の後の、第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測され
たアンモニア性窒素濃度(N
1-2)が、時刻t
lから現在時刻t
nまでの第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測されたアンモニア性窒素濃度N
1の平均値(=ΣL
Nin/
V1=A
ve.N
1-1〜
n)より大きいか否かの判断を行う。
時刻
t1から現在時刻t
nまでの第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測されたアンモニア性窒素濃度N
1の平均値(=ΣL
Nin/
V1)を、(A
ve.N
1-1〜
n)と表記する。
【0061】
時刻t
1の後の、第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測され
たアンモニア性窒素濃度(N
1-2)が、時刻
t1から現在時刻t
nまでの第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測されたアンモニア性窒素濃度
N1の平均値(=ΣL
Nin/
V1=A
ve.N
1-1〜
n)より小さい場合(ステップS11のNO)には、ステップS12へ進む。
時刻t
1の後の、第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測され
たアンモニア性窒素濃度(N
1-2)が、時刻
t1から現在時刻t
nまでの第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測されたアンモニア性窒素濃度
N1の平均値(=ΣL
Nin/
V1=A
ve.N
1-1〜
n)より大きい場合(ステップS11のYES)には、ステップS13へ進む。
【0062】
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS12において、第1反応槽11で硝化したアンモニア負荷量(L
NT)≦時刻t
1から現在時刻t
nの間の流入アンモニア負荷量(ΣL
Nin)かつ、時刻t
1の時の、第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測され
たアンモニア性窒素濃度(N
1-1)<時刻t
1の後の、第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測され
たアンモニア性窒素濃度(N
1-2)かつ、時刻t
1の後の、第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測され
たアンモニア性窒素濃度(N
1-2)≦時刻
t1から現在時刻t
nまでの第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測されたアンモニア性窒素濃度
N1の平均値(=ΣL
Nin/V
1=A
ve.N
1-1〜
n)の場合、次式
で補正する。
【数3】
【0063】
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS13において、第1反応槽11で硝化に必要な酸素量(AOR
N)を求める。
硝化に必要な酸素量(AOR
N)は、次式により求められる。
AOR
N=4.57×L
NT/θ×10
-3×(ΣL
Nin/V
1/N
1-n)
ここでは、次式によりAOR
Nを補正する。
【数4】
例えば、極端なモデルとして、
図8のような場合がある。
【0064】
また、ステップS8において、第1反応槽11で硝化したアンモニア負荷量(L
NT)が、時刻
t1から現在時刻
tnの間の流入アンモニア負荷量(Σ
LNin)より大きい場合、(ステップS8のNO)の場合でも、ステップS13となるので、式4による
AORNを補正する。
例えば、
図11のような場合がある。
また、流入負荷が低下したとき等でも、ここまでの判定にかからなかった場合、例えば、
図12のような場合には、設定風量を減らす方向の補正となるが、同式での補正となる。
【0065】
第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測されたアンモニア性窒素濃度(N
1-1)がθ時間後に第2反応槽12のアンモニア性窒素計16で実測されたアンモニア性窒素濃度N
2に流達する間に第1反応槽11のアンモニア性窒素計15で実測されたアンモニア性窒素濃度
N1の濃度が低下すると、時刻
t1〜現在時刻t
nの間の流入アンモニア性窒素負荷量ΣL
Ninは小さくなる。
【0066】
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS14において、第1反応槽11で硝化に必要な総酸素量(AOR)を求める。
総酸素量(AOR)は、硝化に必要な酸素量(AOR
N)と内生呼吸に必要な酸素量(AOR
E)との和である。
内生呼吸に必要な酸素量(AOR
E)は、次式により求められる。
AOR
E =0.10×V
1×MLSS×0.8×10
-3×1/24×1/60
【0067】
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS15において、必要空気量(Gs)を求める。
必要空気量(Gs)は、次式により求められる。
【数5】
ここで、SORは酸素供給量(kgO
2/分)を示す。
E
AS:清水に対する酸素移動効率(%)
ρ:空気の密度 =1.293(kg空気/Nm
3)
O
W:空気中の酸素の重量比=0.232(kgO
2/kg空気)
【0068】
SORは、次式により求められる。
【数6】
【0069】
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS16において、必要空気量(Gs)が送風下限量より大きいか否かの判断を行う。
必要空気量(Gs)が送風下限量より小さい場合(ステップS16のNO)には、ステップS17へ進む。
必要空気量(Gs)が送風下限量より大きい場合(ステップS16のYES)には、ステップS21へ進む。
【0070】
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS21において、風量調節弁35を調節することによって、算出した必要空気量(Gs)となるよう、風量調節弁35へ開度調整制御を行うための出力信号を送出する。
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS17において、DOの下限値(例えば、0.1〜4.0mg/L)より大きいか否かの判断を行う。
【0071】
DOの下限値は、光学系DO計の測定精度下限値(精度±0.05mg/L)から下水協設計指針の硝化反応に必要なDO(1.5〜2.0mg/L)に余裕を持たせた範囲としてある。
DOの下限値(例えば、0.1〜4.0mg/L)より小さい場合(ステップS17のNO)には、ステップS20へ進む。
DOの下限値(例えば、0.1〜4.0mg/L)より大きい場合(ステップS17のYES)には、ステップS18へ進む。
【0072】
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS18において、送風停止後一定時間(例えば、0〜120分)以内か否かをの判断を行う。
一定時間は、0分(スキップもできるように)から生物処理への影響が生じない60分以内くらいのところに幅を持たせた(120分)範囲とした。
一定時間を超えた場合(ステップS18のNO)には、ステップS20へ進み、一定時間以内の場合(ステップS18のYES)には、ステップS19へ進む。
【0073】
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS19において、風量調節弁35を調節することによって、停止(風量調整弁35を閉)する信号を送信する。
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS20において、風量調節弁35を調節することによって、下限値にて送風させる信号を送信する。
次に、送風量演算・弁制御装置33は、ステップS22において、測定間隔tが経過したか否かをの判断を行う。
測定間隔tが経過すると、ステップS1へ進む。
【0074】
以上の処理を行うことによって、本実施形態によれば、複数のアンモニア性窒素計15,16,17,18とDO計19,20,21,22により、第1反応槽11、第2反応槽12、第3反応槽13及び第4反応槽14における硝化速度の現在値とDO変化を把握し、送風量演算・弁制御装置33により現在の硝化速度に応じた必要空気量(G
S)を演算して、各DO計19,20,21,22の計測値による補正制御としての、DO計測値をDO上下限設定値各々と比較し、設定値を外れた場合にDO一定制御への、場合別制御変更を併せて行いながら、第1反応槽11、第2反応槽12、第3反応槽13及び第4反応槽14の風量調節弁35,36,37,38の開度制御を行い、第1反応槽11、第2反応槽12、第3反応槽13及び第4反応槽14から成る好気タンクへの送風量の自動制御を個別に行うことができるので、第1反応槽11、第2反応槽12、第3反応槽13及び第4反応槽14毎の処理状況に応じた必要な空気量(G
S)を個別に過不足無く送風することができ、硝化反応を適正に進めて水質を良好に保ちながら、過大な送風量を抑制し、過剰な送風機動力を削減することが可能である。
【0075】
また、本実施形態に係る活性汚泥法の処理方法によれば、例えば、生物反応タンク10の第1反応槽11の最上流側に配備されたアンモニア性窒素計15で計測されたアンモニア性窒素濃度N
1である流入水が生物反応タンク10への流入量に応じた流達時間θの後に、第2反応槽12の最上流側に配備されたアンモニア性窒素計16に流達し、第2反応槽12のアンモニア性窒素計16で計測されたアンモニア性窒素濃度N
2となった時に、2つのアンモニア性窒素計15,16で時間遅れを伴って計測されたアンモニア性窒素濃度の差(N
1-1−N
2-n)をもって、第1反応槽11内における硝化速度の現在値が算出でき、その硝化速度に対応した必要空気量(G
S)を第1反応槽11末端側に配備したDO計19の計測値による補正制御としての、DO計測値をDO上下限設定値各々と比較し、設定値を外れた場合にDO一定制御への、場合別制御変更を併せて行いながら送風するよう、第1反応槽11用に配備された風量調節弁35の開度が送風量演算・弁制御装置33により自動的に調整されるので、硝化反応を適正に進めて水質を良好に保ちながら、生物反応タンク10の各反応槽11〜14への過剰送風を抑制でき、送風機47の動力を低減できる。
【0076】
なお、上記実施形態では、生物反応タンク10を4つの反応槽11〜14で構成したが、本発明はこれに限らず、反応槽の数を増減変更することは可能である。また、1つの生物反応タンク10を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、複数の生物反応タンク10を並列配置することも可能である。さらに、生物反応タンク10の上流側に嫌気槽を設けることも可能である。
【0077】
また、上記実施形態では、送風圧力一定制御を行うよう送風機制御装置48を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、各風量計の実測値の複合演算が複雑になり、応答性が鈍くなる欠点はあるものの、送風量一定制御を行う送風機制御装置を用いても良い。
【0078】
また、上記実施形態では、アンモニア性窒素計15,16,17,18及びDO計19,20,21,22を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、アンモニア性窒素計15,16,17,18及びDO計19,20,21,22の補完として、硝酸性窒素計、BOD計、COD計、TOC計、ORP計、Rr計、ATU−Rr計、UV計を採用することも可能である。
【0079】
さらに、本発明における下水の活性汚泥法は、下記に示す種々の水処理プロセスに適用することが可能である。
例えば、標準活性汚泥法、A
2O法(嫌気−無酸素−好気法)、AO法(嫌気−好気法)、硝化内生脱窒法、循環式硝化脱窒法、OD法、ステップ注入法、回分式活性汚泥法、間欠曝気法、担体投入型活性汚泥法、担体投入A
2O法、担体投入AO法、担体投入硝化内生脱窒法、担体投入循環式硝化脱窒法、担体投入OD法、担体投入ステップ注入法、担体投入回分式活性汚泥法、担体投入間欠曝気法、凝集剤注入型活性汚泥法、凝集剤注入A
2O法、凝集剤注入AO法、凝集剤注入硝化内生脱窒法、凝集剤注入循環式硝化脱窒法、凝集剤注入OD法、凝集剤注入ステップ注入法、凝集剤注入回分式活性汚泥法、凝集剤注入間欠曝気法、膜分離型活性汚泥法、膜分離型A
2O法、膜分離型AO法、膜分離型硝化内生脱窒法、膜分離型循環式硝化脱窒法、膜分離型OD法、膜分離型ステップ注入法、膜分離型回分式活性汚泥法、膜分離型間欠曝気法等である。