特許第5714368号(P5714368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5714368画像形成装置およびセンサ電源の供給制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714368
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】画像形成装置およびセンサ電源の供給制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20150416BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   G03G21/00 398
   G03G21/14
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-59265(P2011-59265)
(22)【出願日】2011年3月17日
(65)【公開番号】特開2011-221514(P2011-221514A)
(43)【公開日】2011年11月4日
【審査請求日】2013年3月8日
(31)【優先権主張番号】61/321,018
(32)【優先日】2010年4月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/042,328
(32)【優先日】2011年3月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 晋也
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−052870(JP,A)
【文献】 特開2004−018227(JP,A)
【文献】 特開2002−091243(JP,A)
【文献】 特開2009−056670(JP,A)
【文献】 特開2007−091442(JP,A)
【文献】 特開2002−003079(JP,A)
【文献】 特開2000−278469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/14
B41J 29/38
H04N 1/00
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートをセットした給紙部と、
前記シート上に画像を形成する画像形成部と、
前記給紙部から前記画像形成部を通ってシート排紙口までの間に定義される搬送経路内において前記シートを搬送する機構と、
前記搬送経路における前記シートのシート前端およびシート後端を検出するシートセンサと、
前記シートセンサへ供給されるセンサ電源と、
前記機構に前記シートを搬送させ、前記搬送経路内の前記シートセンサの位置および前記シートセンサからの検知出力によって前記シートのシート位置を特定する検知部と、
前記シート位置により、前記シート前端を検知する第1検知期間を示すタイミング信号および前記シート後端を検知する第2検知期間を示すタイミング信号を生成し、前記第1検知期間および前記第2検知期間では前記センサ電源をONにし、前記各検知期間と異なる期間では前記センサ電源をOFFする駆動制御部を備え、
前記駆動制御部は、前記第2検知期間の開始タイミングを、前記シート前端を検知した時点から、予め記憶したシートサイズ情報および前記機構より出力される搬送速度情報より計算で求めた時間経過後にずらして始める画像形成装置。
【請求項2】
前記シートセンサは、
前記給紙部からピックアップされる前記シートを検出する給紙センサと、
前記給紙部から画像形成プロセス部までの間で前記シートを検出するレジストセンサと、
定着器から前記シート排紙口までの間で前記シートを検出する排紙センサとを備え、
前記駆動制御部は、
前記シート前端が前記給紙センサ、前記レジストセンサおよび前記排紙センサに到達するタイミングにおいて前記給紙センサ、前記レジストセンサおよび前記排紙センサへ供給される電源を個別にONにし、前記シート後端が前記給紙センサ、前記レジストセンサおよび前記排紙センサから離れるタイミングにおいて前記電源を個別にOFFする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
電源を供給されていないシートセンサへの前記電源の供給をONにし、
第1検知期間内で前記シートセンサによりシートのシート前端を検知し、
前記シートセンサへの前記電源の供給をOFFにし、
前記シート前端を検知した時点から、予め記憶したシートサイズ情報および給紙部から画像形成部を通ってシート排紙口までの間に定義される搬送経路内において前記シートを搬送する機構より出力される搬送速度情報より計算で求めた時間を経過させてから前記シートセンサへ前記電源の供給をONにし、第2検知期間内で前記シートセンサにより前記シートのシート後端を検知し、
前記シートセンサへの前記電源の供給をOFFにする電源の供給制御方法。
【請求項4】
電源を供給されていない給紙センサへの前記電源の供給をONにして前記給紙センサにより第3検知期間内で前記シート前端を検知し、
前記給紙センサへの前記電源の供給をOFFにし、
前記給紙センサへの前記電源の供給をONにして、第4検知期間内で前記給紙センサにより前記シート後端を検知し、
前記給紙センサへの前記電源の供給をOFFにする請求項3記載の電源の供給制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一実施形態は画像形成装置およびセンサ電源の供給制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置はシート経路の途中に、複数のシートセンサを有する。シートセンサとは、給紙センサ、レジストセンサ又は排紙センサなどを指す。画像形成装置はシートセンサの出力により、画像形成のタイミングを決定する。画像形成装置は各センサ出力によりジャムの発生を検知する。画像形成装置はシートセンサへ電源を常に与える。シートを搬送する又はしないに関わらず各種シートセンサは電力を供給されている。画像形成装置は省エネを求められている。
【0003】
従来、省電力化を図る画像形成装置が知られている。画像形成装置はシートセンサへの通電を防止する。画像形成を行わない状態のとき、画像形成装置は画像形成時に使用する電源をOFFにする。省電力を実現する例として、定着器の温度が規定温度に達していないとき、画像形成時に使用されるシートセンサの電源の供給を停止する画像形成装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−163039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、画像形成中(プリント)動作中、画像形成装置は常にシートセンサの電源をONにしている。プリント動作中、画像形成装置は最も大きな電力を必要とする。プリント動作中の電力を画像形成装置は削減することができない。
【0006】
画像形成装置は装置に必要な低圧電源の出力容量を削減できない。低圧電源とは回路基板、モータ、センサへの電源を指す。低圧電源によるコストを画像形成装置は削減できない。画像形成装置はプリント中の省電力化を促進することができないという問題点を持つ。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するため、一実施形態によれば、複数枚のシートをセットした給紙部と、前記シート上に画像を形成する画像形成部と、前記給紙部から前記画像形成部を通ってシート排紙口までの間に定義される搬送経路内において前記シートを搬送する機構と、前記搬送経路における前記シートのシート前端およびシート後端を検出するシートセンサと、前記シートセンサへ供給されるセンサ電源と、前記機構に前記シートを搬送させ、前記搬送経路内の前記シートセンサの位置および前記シートセンサからの検知出力によって前記シートのシート位置を特定する検知部と、前記シート位置により、前記シート前端を検知する第1検知期間を示すタイミング信号および前記シート後端を検知する第2検知期間を示すタイミング信号を生成し、前記第1検知期間および前記第2検知期間では前記センサ電源をONにし、前記各検知期間と異なる期間では前記センサ電源をOFFする駆動制御部を備え、前記駆動制御部は、前記第2検知期間の開始タイミングを、前記シート前端を検知した時点から、予め記憶したシートサイズ情報および前記機構より出力される搬送速度情報より計算で求めた時間経過後にずらして始める画像形成装置が提供される。
【0008】
また、別の一実施形態によれば、電源を供給されていないシートセンサへの前記電源の供給をONにし、第1検知期間内で前記シートセンサによりシートのシート前端を検知し、前記シートセンサへの前記電源の供給をOFFにし、前記シート前端を検知した時点から、予め記憶したシートサイズ情報および給紙部から画像形成部を通ってシート排紙口までの間に定義される搬送経路内において前記シートを搬送する機構より出力される搬送速度情報より計算で求めた時間を経過させてから前記シートセンサへ前記電源の供給をONにし、第2検知期間内で前記シートセンサにより前記シートのシート後端を検知し、前記シートセンサへの前記電源の供給をOFFにする電源の供給制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1参考例に係る画像形成装置の構成図である。
図2参考例に係る画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
図3】(a)、(b)はそれぞれ参考例に係る画像形成装置に用いられるシートセンサの異なる状態を示す斜視図である。
図4参考例に係る画像形成装置に用いられるセンサ電源駆動回路の構成例を示す図である。
図5参考例に係るセンサ電源の供給制御方法を説明するためのフローチャートである。
図6】(a)〜(i)はそれぞれ参考例に係る画像形成装置に用いられるシートセンサの電源をONにするタイミングのシーケンスを示すタイムチャートである。
図7】(a)〜(i)はそれぞれ関連技術に係る画像形成装置に用いられるシートセンサ電源の駆動タイミングを示すタイムチャートである。
図8】(a)〜(i)はそれぞれ第の実施形態に係る画像形成装置に用いられるシートセンサの電源をONにするタイミングのシーケンスを示すタイムチャートである。
図9形態に係る画像形成装置に用いられるシートセンサの第1の変形構成例を示す図である。
図10形態に係る画像形成装置に用いられるシートセンサの第2の変形構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態に係る画像形成装置およびセンサ電源の供給制御方法について、図1乃至図10を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0011】
参考例
参考例に係る画像形成装置は複数種類のシートセンサによる電力消費を低減させる制御機能を有する。参考例に係るセンサ電源の供給制御方法は、シートの先端及び後端がシートセンサを通過するときだけシートセンサの電源をONする方法である。
【0012】
図1はデジタル複合機の構成図である。MFP(multi function peripheral)10は機体11、スキャナ部12、画像処理部13、印刷プロセス部14、給紙部15、搬送機構16(機構)、電源部17及び制御部18を備える。
【0013】
スキャナ部12は原稿面を光学的に走査する。スキャナ部12は読取った画像情報をアナログ信号に変換する。画像処理部13はスキャナ部12からの3色の画像データから4印刷色へ変換する。印刷プロセス部14はシート上に画像を形成しシートを出力する。
【0014】
給紙部15は印刷プロセス部14にシートを供給する。給紙部15は3段の給紙カセット19、ピックアップローラ20、分離ローラ21、搬送ローラ23、及び給紙センサ24(シートセンサ)を備える。各給紙カセット19はシートをセットされる。分離ローラ21はピックアップローラ20がピックアップしたシートを一枚ずつのシートに分離する。搬送ローラ23はシートをシート経路22(搬送経路)に送る。給紙センサ24はシートが給紙カセット19より送られたかどうかを検知する。給紙部15は給紙カセット19内のシートのサイズの情報や、給紙しようとするシートのサイズの情報などを、制御部18へ通知する。
【0015】
シート経路22はシートが通る空間である。シート経路22は、シートガイド、及びローラ間ギャップにより定義される。シート経路22はシート経路40(搬送経路)と連続する。シート経路40は印刷プロセス部14から排紙口25までの経路である。
【0016】
搬送機構16はシートのスキューを補正しタイミング調整を行う給紙機構部である。搬送機構16は給紙部15からのシートをアライニング位置に搬送する。搬送機構16はシートをシート経路22経由で給紙スピードで搬送する。搬送機構16はシートを転写ベルト間のニップに向けてプロセススピードで送る。搬送機構16は、複数対の搬送ローラ26、レジストローラ27及びレジストセンサ28(シートセンサ)を備える。搬送ローラ26はシートを搬送する。レジストローラ27はシートを揃え、スキューを補正する。レジストローラ27は画像形成タイミングに合わせてシートを印刷プロセス部14へ搬送する。レジストセンサ28はレジストローラ27にシートの有無を検知する。更にMFP10は排紙口25の直前に排紙センサ29(シートセンサ)を備える。排紙センサ29はシートの有無を検知する。
【0017】
電源部17は、商用交流電源から供給される電力をレベルの異なる複数の直流電圧、交流電圧に変換する。電源部17は高圧電源と、低圧電源とを生成する。高圧電源は帯電器、現像器及び転写器への電圧を供給する。低圧電源は回路基板、モータ、センサへの電圧を供給する。低圧電源はシートセンサへ供給されるセンサ電源である。
【0018】
制御部18はMFP10全体の動作を制御する主制御部である。制御部18は印刷ジョブを生成する。制御部18は搬送機構16にシートを搬送させる。制御部18はシート上に画像を印刷プロセス部14に形成させる。制御部18はCPU(central processing unit)、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)を有する。
【0019】
印刷プロセス部14について更に述べる。印刷プロセス部14は、中間転写ベルト30、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像形成部31Y、31M、31C、31Kと、レーザ露光装置32とを有する。画像形成部31Yは、感光体ドラム33、帯電器34、現像器35、転写器36を有する。感光体ドラム33は潜像を保持する。帯電器34は感光体ドラム33を一様に帯電させる。レーザ露光装置32は感光体ドラム33に潜像を形成する。現像器35は感光体ドラム33上の潜像を現像する。転写器36は感光体ドラム33上の現像剤像を中間転写ベルト30に転写する。画像形成部31M、31C、31Kの構成は、画像形成部31Yの構成と実質同じである。更にMFP10は、一対の二次転写ローラ37、定着器38を備える。二次転写ローラ37は、搬送機構16が引っ張り上げたシートに、中間転写ベルト30上のトナー像を転写する。定着器38はシート上のトナー像を定着させる。定着器38は制御部18が指令する速度によりシートを搬送出力する。
【0020】
MFP10は定着器38の出力側に複数対の排紙ローラ39を有する。印刷プロセス部14、定着器38、排紙ローラ39及び排紙口25は印刷プロセス部14よりもシート搬送方向下流側のシート経路40を形成する。
【0021】
図2はシート位置の検知機能を主体にした制御系を示すブロック図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。制御系41は、制御部18と、給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29とを備える。制御系41による制御内容は、シートの搬送と、給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29の各電源のON、OFFと、給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29によるシート位置の検知とである。制御のポイントは、必要な検知期間だけ給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29のうちの何れかの電源をONにし、電源を供給されたシートセンサ(給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29の何れか)が検知期間内でセンサ位置においてシートを検知するということである。
【0022】
制御部18は、ハードウェアとして、バス100、CPU42、ROM43及びRAM44から主に構成される。CPU42は制御を行う。ROM43はプログラムを保存するFROM(flash read only memory)である。RAM44はワーク処理のためのデータを記憶するSRAM(static random access memory)である。
【0023】
制御部18は検知部71として機能する。検知部71は搬送機構16にシートを搬送させ、シート経路22、40内の給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29の各位置と、給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29からの各検知出力とによってシートのシート位置を特定する。
【0024】
制御部18は駆動制御部72として機能する。駆動制御部72はシート位置により、シート前端を検知する第1検知期間(後述するF1s、F2s、F3s)を示すタイミング信号と、シート後端を検知する第2検知期間(後述するF1e、F2e、F3e)を示すタイミング信号とを生成する。駆動制御部72は、第1検知期間及び第2検知期間ではスイッチングトランジスタ55をONにする。駆動制御部72は第1検知期間及び第2検知期間と異なる期間では、スイッチングトランジスタ55をOFFする。
【0025】
給紙センサ24は例えばアクチュエータ付きのフォトインタラプタである。図3(a)、図3(b)は給紙センサ24の斜視図である。図3(a)はシートを検知していない状態の例を示す。図3(b)はシートを検知している状態の例を示す。同じ符号は互いに同じ要素を表す。給紙センサ24は、発光ダイオード(light emitting diode)45と、フォトトランジスタ47を有するケース48と、光ビームを通過させる位置及び光ビームを遮る位置をとるアーム状のアクチュエータ49とを備える。
【0026】
発光ダイオード45は、発光ダイオード45へ電源を供給される状態と、電源を供給されない状態とをとる。CPU42が2つの状態を制御する。給紙センサ24は制御基板を介してCPU42と信号を授受する。フォトトランジスタ47の感度方向は発光ダイオード45に向く。フォトトランジスタ47は受光強度に応じた大きさの電流を出力する。給紙センサ24はアクチュエータ49の中央を水平なバー50に回転可能に軸受けさせる。バー50の回転の初期位置はばね46により係止される。アクチュエータ49は幅広な片49aと、シートが接触するエッジ49bとを有する。
【0027】
エッジ49bの状態はバネ46により下方へ引っ張り力を作用された状態にある。アクチュエータ49に力が作用しないとき、片49aの位置は光ビームを遮る位置にある。図3(a)の状態においてhighを出力する回路を、給紙センサ24は有する。シートがエッジ49bに接近していないとき、図3(a)に示されるように、片49aが発光ダイオード45からの光ビームを遮る。給紙センサ24はhighを出力する。シートPがエッジ49bを通過するとき、図3(b)に示されるように、アクチュエータ49は回転する。片49aは光ビームをフォトトランジスタ47に入射させる。給紙センサ24はlowを出力する。図3(b)の状態においてlowを出力する回路を給紙センサ24は有する。レジストセンサ28の構成は給紙センサ24の構成と実質同じである。排紙センサ29の構成は給紙センサ24の構成と実質同じである。
【0028】
図2において、制御系41はセンサ電源駆動回路51a(第1のセンサ電源駆動回路)、センサインターフェース回路(センサI/F回路)52a、及びセンサ電源制御モジュール53aを有する。センサ電源駆動回路51aは給紙センサ24への電源の供給をON、OFFする。
【0029】
図4はセンサ電源駆動回路51aの構成例を示す図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。同図はセンサインターフェース回路52a及びCPU42も示す。センサ電源駆動回路51aは、ポート54と、スイッチングトランジスタ55(センサ電源)とを備える。ポート54はセンサ電源駆動信号を入力される。センサ電源駆動信号を主基板上のCPU42が出力する。あるいは制御基板上のドライバを介してCPU42が信号を出力する。スイッチングトランジスタ55は、lowのセンサ電源駆動信号により低圧電源を出力する。スイッチングトランジスタ55は低圧電源(例えば5ボルトの電圧)を給紙センサ24に供給する。低圧電源、スイッチングトランジスタ55は、給紙センサ24へ供給されるセンサ電源として機能する。
【0030】
センサインターフェース回路52aはフォトトランジスタ47が出力する電流信号を電圧信号としてモニタするためのプルアップ回路である。センサインターフェース回路52aは、ノイズを除去するための複数の抵抗器56と、抵抗器56に接続されたプルアップ端子57とを備える。センサインターフェース回路52aは、フォトトランジスタ47のコレクタ端子に接続された入力端子と、バス100に接続された出力端子とを備える。センサインターフェース回路52aはセンサ出力信号を出力する。LSI(large scale integration)あるいは専用IC(integrated circuit)を介して、又はファームウェアが直接CPU42の入力ポート58を読む。ファームウェアとはCPU42が実行するプログラムを指す。
【0031】
CPU42がセンサ電源駆動信号をlowに駆動することで給紙センサ24の発光ダイオード45に電源が供給される。CPU42は給紙センサ24の機能を有効にする。給紙センサ24のセンサ出力の論理は次の3通り(L1)、(L2)、(L3):
(L1)センサ電源駆動回路51aがOFFの場合、給紙センサ24は電力を消費しない。給紙センサ24の出力端子はhighを示す;
(L2)センサ電源駆動回路51aがONのとき且つシートが給紙センサ24に無い場合、給紙センサ24は電力を供給される。給紙センサ24は初期状態にある。給紙センサ24の出力端子はhighを示す;
(L3)センサ電源駆動回路51aがONのとき且つシートが給紙センサ24に到達している場合、給紙センサ24は電力を供給される。アクチュエータ49の回転により光ビームがフォトトランジスタ47に届く。給紙センサ24の出力論理はlowを示す。
【0032】
つまり、給紙センサ24の駆動中、フォトインタラプタにより、シート有りで給紙センサ24は非遮断をCPU42へ通知し、シート無しで給紙センサ24は遮断をCPU42へ通知する。
【0033】
図2に戻り、センサ電源制御モジュール53aはセンサ電源駆動回路51aをON、OFFする。センサ電源制御モジュール53aはLSIあるいは専用IC又はCPU42内の機能の一部でもよい。レジストセンサ28の入出力側に、制御系41はセンサ電源駆動回路51b(第2のセンサ電源駆動回路)、センサインターフェース回路52b、及びセンサ電源制御モジュール53bを有する。排紙センサ29の入出力側に、制御系41はセンサ電源駆動回路51c(第3のセンサ電源駆動回路)、センサインターフェース回路52c、及びセンサ電源制御モジュール53cを有する。センサ電源駆動回路51b、51cはセンサ電源駆動回路51aと実質同じである。センサインターフェース回路52b、52cはセンサインターフェース回路52aと実質同じである。センサ電源制御モジュール53b、53cはセンサ電源制御モジュール53aと実質同じである。
【0034】
制御系41はタイマー59を有する。タイマー59はセンサ電源駆動回路51a、51b、51cのそれぞれのON/OFFのタイミング信号を作成する。更に制御系41は、モータ駆動回路60a、モータ駆動モジュール61aを有する。モータ駆動回路60aはモータ62aを制御する。モータ62aはピックアップローラ20を回す。モータ駆動モジュール61aはモータ駆動回路60aをON、OFFする。制御系41は、モータ駆動回路60b、モータ駆動モジュール61bを有する。モータ駆動回路60bは、モータ(給紙モータ)62b、モータ(レジストモータ)62d、モータ(搬送モータ)62eを制御する。モータ62bは搬送ローラ23を回す。モータ62dはレジストローラ27を回す。モータ62eは搬送ローラ26を回す。モータ駆動モジュール61bはモータ駆動回路60bをON、OFFする。制御系41は、モータ駆動回路60c、モータ駆動モジュール61cを有する。モータ駆動回路60cはモータ(排紙モータ)62cを制御する。モータ62cは排紙ローラ39を回す。モータ駆動モジュール61cはモータ駆動回路60cをON、OFFする。
【0035】
ROM43は各セグメントの距離の情報を予め記憶する。シート経路22は複数のセグメントからなる。シート経路40も複数のセグメントからなる。セグメントの距離とは次の例えば6種類の距離を言う。即ち、ピックアップローラ20及び給紙センサ24間。給紙センサ24及び搬送ローラ26間。搬送ローラ26及びレジストセンサ28間。レジストセンサ28及び定着器38間。定着器38及び排紙ローラ39間。排紙ローラ39及び排紙センサ29間である。CPU42は、ROM43の情報と、給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29からのセンサ出力とによって、シートを連続的に検出する。
【0036】
図5はMFP10によるセンサ電源の供給制御方法を説明するためのフローチャートである。上述の構成のMFP10によるセンサ電源の供給制御方法は、CPU42が画像形成をスタートするタイミングをトリガとする。画像形成スタートの条件は、例えば印刷ジョブが存在すること及び定着器38が定着温度に達することである。
【0037】
アクトS100において、CPU42は画像形成をスタートする。CPU42はタイマー59を活性化させる。アクトS101において、CPU42はピックアップローラ20を回し始める。CPU42は給紙モータ62bを回し始める。搬送機構16が動作し始める。アクトS102において、CPU42は給紙センサ24の電源をONにする。アクトS103において、給紙センサ24がシート先端を検出したかどうかをCPU42は判定する。給紙センサ24がシート先端を検出しない場合、CPU42はNOルートを通り、アクトS104において、処理を終える。給紙センサ24がシート先端を検出した場合、CPU42はYESルートを通り、アクトS105において、給紙センサ24の電源をOFFにする。引き続き、アクトS106において、CPU42は決められた時間、カウントする。例えばステッピングモータのステップ数によりCPU42はカウントする。
【0038】
その後、アクトS107において、CPU42は給紙センサ24の電源を再度ONにする。アクトS108において、給紙センサ24がシート後端を検出したかどうかをCPU42は判定する。給紙センサ24がシート後端を検出しない場合、CPU42はNOルートを通り、アクトS104において、処理を終える。給紙センサ24がシート後端を検出した場合、CPU42はYESルートを通り、アクトS109において、給紙センサ24の電源をOFFにする。CPU42は処理を終える。以上は、シート検知方法についての説明である。
【0039】
以下、MFP10がシートを給紙部15から排紙口25へ搬送する際、搬送機構16内の各種のモータ、センサの駆動タイミングについて述べる。
【0040】
図6(a)〜図6(i)はシート搬送時の給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29の各電源をオンにするタイミングのシーケンスを示すタイムチャートである。各波形は電圧信号の時間変化を示す。lowは駆動を示す。highは非駆動を示す。high、lowの切替える元はCPU42である。期間(F1s,F1e,F2s,F2e,F3s,F3e)は何れもCPU42が検知を行う検知期間である。サフィックスのうち、数字1、2、3は給紙センサ24、レジストセンサ28、排紙センサ29に対応する。sはシートのスタート位置、eはシートのエンド位置を表す。
【0041】
(a)給紙センサ24の電源の駆動について
図6(a)は給紙モータ62bを駆動する信号のタイミングを示す。lowはモータ動作中を示し、highはモータ停止中を示す。図6(b)は給紙センサ24の電源を駆動する信号(給紙センサ電源駆動信号)のタイミングを示す。highは電源が供給されないことを示し、lowは電源が供給されていることを示す。図6(c)は給紙センサ24が出力する信号のタイミングの一例を示す。lowはシート有りを示す。highはシート無しを示す。図6(c)は、CPU42が出力信号を読むための時間の期間F1s、F1eも示す。期間F1sはシートの先端を検知するための期間である。期間F1eはシートの後端を検知するための期間である。
【0042】
図6(a)に示されるように画像形成スタートから時間T1aが経過すると、CPU42は給紙モータ62bを通電する。時間T1aとはシートが給紙部16から給紙された後、搬送ローラ23に到達するまでに要する時間である。時間T1aをCPU42が画像形成スタートから計測する。図6(b)に示されるように、画像形成スタートのとき、CPU42は給紙センサ電源駆動信号をlowからhighへ切替える。CPU42は画像形成スタートから時間T1aが経過すると、給紙センサ電源駆動信号をhighからlowに切替える。給紙センサ電源駆動信号がlowになることにより給紙センサ24へ電源が投入される。給紙センサ24の機能が有効となる。発光ダイオード45に電源が供給される。
【0043】
図6(c)に示されるように、給紙センサ24はhighを出力し続ける。時間d1において、シート先端を給紙センサ24が検出するとともに、給紙センサ24はセンサ値をhighからlowへ変える。期間F1sにおいてCPU42は給紙センサ24にシート先端が存在するかどうかを判定する。F1sの時間幅は予めROM43に記憶された設定値である。給紙センサ24はシートを検知中、シート検出を示す信号を出力し続ける。CPU42はシート先端を検出した後、期間F1sが終わるまで給紙センサ24をモニタし続ける。画像形成スタートから時間T1b経過後、CPU42は給紙センサ24の電源をOFFにする。その後、画像形成スタートから時間T1cが経過するまでCPU42は給紙センサ24の電源をOFFにし続ける。CPU42は、ROM43に記憶されたシートサイズ情報と、モータ制御モジュール61bからの搬送速度情報とによって時間T1cを計算する。
【0044】
次に、CPU42はシート後端の検出を行う。時間T1cにおいて、CPU42は給紙センサ電源駆動信号を再度lowにする。給紙センサ24へ電源が投入される。給紙センサ24は出力不定期間を経た後、lowの値を出力する。図6(c)の時間d2において、シート後端が給紙センサ24を通過するとともに、給紙センサ24はセンサ値をlowからhighへ変える。期間F1eにおいてCPU42は給紙センサ24にシート後端が存在するかどうかを判定する。F1eの時間幅は予めROM43に記憶された設定値である。給紙センサ24はシートを検知中、シート検出を示す信号を出力し続ける。CPU42はシート後端が給紙センサ24を通過した事を検出した後、期間F1eが終わるまで給紙センサ24をモニタし続ける。画像形成スタートから時間T1d経過後、CPU42は給紙センサ24の電源をOFFにする。
【0045】
期間F1sの終了から期間F1eの開始まで、CPU42は給紙センサ24の出力信号をモニタしない。T1bの経過後からT1cの到来までは、給紙センサ電源駆動信号をCPU42はOFFにしておく。給紙センサ24の消費電力が抑制される。F1s、F1eの2つの期間だけ、CPU42は給紙センサ24に通電するため、MFP10は省電力を図れる。
【0046】
(b)レジストセンサ28の電源の駆動について
図6(d)はレジストセンサ28の電源を駆動する信号(レジストセンサ電源駆動信号)のタイミングを示す。図6(e)はレジストセンサ28が出力する信号のタイミングの一例を示す。図6(f)はレジストモータ62dを駆動する信号のタイミングを示す。CPU42はレジストセンサ28の電源を、給紙センサ24の電源の駆動と同様にして駆動する。
【0047】
画像形成スタートからT2a経過後、CPU42はレジストセンサ電源駆動信号をlowにする。レジストセンサ28へ電源が供給される。レジストセンサ機能が有効になる。図6(e)に示されるように、レジストセンサ28はhighを出力し続ける。時間d3において、シート先端をレジストセンサ28が検出するとともに、レジストセンサ28はセンサ値をhighからlowへ変える。期間F2sにおいてCPU42はレジストセンサ28にシート先端が存在するかどうかを判定する。F2sの時間幅は予めROM43に記憶された設定値である。
【0048】
レジストセンサ28はシートを検知中、シート検出を示す信号を出力し続ける。CPU42はシート先端を検出した後、期間F2sが終わるまでレジストセンサ28をモニタし続ける。画像形成スタートからT2b経過後、CPU42はレジストセンサ電源駆動信号をhighにする。レジストセンサ28の電源がOFFにされる。その後、CPU42は、画像形成スタートから時間T2cが経過するまでレジストセンサ28の電源をOFFにし続ける。次にCPU42はシート後端を検出する。
【0049】
その後、画像形成スタートからT2c経過後、CPU42はレジスタセンサ電源駆動信号を再度lowにする。レジストセンサ28に電源が供給される。レジストセンサ28はlowの値を出力し始める。図6(e)の時間d4において、シート後端をレジストセンサ28が検出するとともに、レジストセンサ28はセンサ値をlowからhighへ変える。期間F2eにおいてCPU42はレジストセンサ28にシート後端が存在するかどうかを判定している。F2eの時間幅は予めROM43に記憶された設定値である。レジストセンサ28をシートが通り過ぎた後、レジストセンサ28はhighを出力し続ける。
【0050】
期間F2eが終わるまで、CPU42はレジストセンサ28をモニタし続ける。画像形成スタートから時間T2d経過後、CPU42はレジストセンサ電源駆動信号を再度highにする。レジストセンサ28の電源がOFFにされる。レジストセンサ28の電源の電力消費が抑制される。CPU42は期間F2s、F2eの2つの期間だけ、レジストセンサ28に通電するため、省電力が図れる。
【0051】
(c)排紙センサ29の電源の駆動について
図6(g)は排紙センサ29の電源を駆動する信号(排紙センサ電源駆動信号)のタイミングを示す。図6(h)は排紙センサ29が出力する信号のタイミングの一例を示す。図6(i)は排紙モータ62cを駆動する信号のタイミングを示す。CPU42は排紙センサ29の電源を、給紙センサ24の電源の駆動と同様にして駆動する。
【0052】
画像形成スタートからT3a経過後、CPU42は排紙センサ電源駆動信号をlowにする。排紙センサ29へ電源が供給される。排紙センサ機能が有効になる。図6(h)に示されるように、排紙センサ29はhighを出力し続ける。時間d5において、シート先端を排紙センサ29が検出するとともに、排紙センサ29はセンサ値をhighからlowへ変える。期間F3sにおいてCPU42は排紙センサ29にシート先端が存在するかどうかを判定する。F3sの時間幅は予めROM43に記憶された設定値である。
【0053】
排紙センサ29はシートを検知中、シート検出を示す信号を出力し続ける。CPU42はシート先端を検出した後、期間F3sが終わるまで排紙センサ29をモニタし続ける。画像形成スタートからT3b経過後、CPU42は排紙センサ電源駆動信号をhighにする。排紙センサ29の電源がOFFにされる。その後、CPU42は、画像形成スタートから時間T3cが経過するまで排紙センサ29の電源をOFFにし続ける。
【0054】
次にCPU42はシート後端を検出する。その後、画像形成スタートからT3c経過後、CPU42は排紙センサ電源駆動信号を再度lowにする。排紙センサ29に電源が供給される。排紙センサ29はlowの値を出力し始める。図6(h)の時間d6において、シート後端を排紙センサ29が検出するとともに、排紙センサ29はセンサ値をlowからhighへ変える。期間F3eにおいてCPU42は排紙センサ29にシート後端が存在するかどうかを判定している。F3eの時間幅は予めROM43に記憶された設定値である。排紙センサ29をシートが通り過ぎた後、排紙センサ29はhighを出力し続ける。期間F3eが終わるまで、CPU42は排紙センサ29をモニタし続ける。
【0055】
画像形成スタートから時間T3d経過後、CPU42は排紙センサ電源駆動信号を再度highにする。排紙センサ29の電源がOFFにされる。排紙センサ29の電源の電力消費が抑制される。CPU42は期間F3s、F3eの2つの期間だけ、排紙センサ29に通電するため、省電力が図れる。シート搬送中、給紙センサ24、レジストセンサ28、排紙センサ29をCPU制御下で確認しない期間をMFP10は有する。各期間(F1s,F1e,F2s,F2e,F3s,F3e)以外では、MFP10は各センサ電源をONする必要が無い。最も大きな電力を必要とする画像形成中において、MFP10は二次側電流の消費を抑制することができる。二次側とは、電源部17から見て負荷である側を指す。低圧電源の出力容量を削減しかつ省エネ効果が期待できる。
【0056】
図7(a)〜図7(i)は関連技術に係る画像形成装置によるシートセンサ電源の駆動タイミングを示すタイムチャートである。図7(a)〜図7(i)が示す信号の種別は図6(a)〜図6(i)のそれらに対応する。図7(a)、図7(f)、図7(i)は給紙から排紙までのシート経路上の各モータを駆動するタイミングを示す。図7(b)、図7(d)、図7(g)は各センサ(給紙センサ、レジストセンサ及び排紙センサ)の電源を駆動するタイミングを示す。図7(c)、図7(e)、図7(h)は各センサの出力タイミングのシーケンスを示す。比較のため、図7(c)、図7(e)、図7(h)は、各時間波形に、実施形態に係る装置及び方法が用いる期間(F1s,F1e,F2s,F2e,F3s,F3e)を重畳して描く。
【0057】
図7(b)、図7(d)、図7(g)に示されるように、CPUのセンサ検知タイミングによらず各センサ電源はONのままである。シート走行中、各センサは常にセンサ値を出力可能である。例えばlowレベルでシート有りというセンサ値を関連技術に係る画像形成装置は出力している。CPUが各センサの検知を行う期間(F1s,F1e,F2s,F2e,F3s,F3e)と異なる期間も各センサは電力を消費している。
【0058】
関連技術に係る画像形成装置は全体として不要な電力を消費している。かつ低圧電源は電源容量としてこの不要な電力に相当する電力を余分に確保しておく必要がある。装置に必要な低圧電源の出力容量を、関連技術に係る画像形成装置は、仕様上、削減することができないというデメリットがある。
【0059】
これに対して、MFP10は、画像形成中の二次側電流を削減し、低圧電源を低容量化することができる。MFP10は低コスト化を図ることができると共に省電力化を図れる。コストの低減と装置の省エネとを両立することができる。MFP10は画像形成の実行中且つシート搬送中において、給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29の電源を一時的にOFFする。プリント動作中の電力を削減し省電力化を促進できる。加えて二次側最大動作時の消費電流を削減することができる。低圧電源の低コスト化を実現することが可能となる。
【0060】
(第の実施形態)
参考例の実施形態では、各センサ電源のON/OFFのタイミングを、画像形成スタートのタイミングを統一基準としてCPU42が生成していた。各センサ電源のON/OFFのタイミングは一意でなくてもよい。
【0061】
の実施形態に係る画像形成装置は、各モータONタイミングや、シート通過検知タイミング等を基準として、CPU42は各センサ電源のON/OFFのタイミングを生成する。第の実施形態に係る画像形成装置もMFP10である。CPU42が参考例と異なるタイミングを生成する点以外、MFP10は参考例と実質同じである。第の実施形態に係るシート検知方法も、シートの先端及び後端が給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29を通過するときだけ給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29の電源をONする方法である。
【0062】
図8(a)〜図8(i)はシート搬送時の給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29の各電源をオンにするタイミングのシーケンスを示すタイムチャートである。同図中、図6(a)〜図6(i)にある文字列と同じ文字列はそれらと同じ意味を表す。期間(F1s,F1e,F2s,F2e,F3s,F3e)は何れもCPU42が検知を行う検知期間である。同図中、high、lowの意味は、図6(a)〜図6(i)の例と実質同じである。
【0063】
(a)給紙センサ24の電源の駆動について
図8(a)は給紙モータ62bを駆動する信号のタイミングを示す。図8(b)は給紙センサ電源駆動信号のタイミングを示す。図8(c)は給紙センサ24が出力する信号のタイミングの一例を示す。図8(a)に示されように画像形成スタートから時間T1aが経過すると、CPU42は給紙モータ62bを通電する。給紙モータ62bによる給紙タイミングを基準として、図8(b)に示されようにCPU42は給紙センサ電源駆動信号をhighからlowへ切替える。
【0064】
図8(c)に示されようにCPU42は期間F1s内でセンサ出力をモニタしている。F1sが終了するときまでに、シート先端を検知したかどうかの結果をCPU42は既に確定している。時点e1での確定により、CPU42はセンサ出力をモニタする必要がもはやなくなる。図8(b)において、確定した時点e1からT1b′経過後、CPU42は給紙センサ電源駆動信号をlowからhighへ切替える。給紙センサ24の電源の供給が止まる。そして、CPU42は、時点e1からT1c′経過後、期間F1eを開始させる。タイマー59は、シート後端を検知するための期間F1eを、時点e1から時間T1c′後に始める。
【0065】
次に、シート後端をCPU42は検出する。図8(c)に示されようにCPU42はF1e内でセンサ出力をモニタしている。F1eが終了するときまでに、シート後端を検知したかどうかの結果をCPU42は既に確定している。時点e2で結果をCPU42は確定させる。図8(b)において、時点e2からT1d′経過後、CPU42は給紙センサ電源駆動信号をlowからhighへ切替える。給紙センサ24の電源の供給が止まる。
【0066】
このようにして、累積的な搬送タイミングの誤差が吸収される。誤差とはシート搬送の遅れや、シート搬送の進みを指す。給紙センサ24の動作を止めるタイミングをCPU42が都度変えるため、検出タイミングのマージンに余裕を持たせることができる。時間T1c′(図8(b))は、時間T1c(図6(b))よりもより短い。たとえ搬送タイミングの誤差が生じても、誤差の量をCPU42は抑えることができる。F1s、F1eの2つの期間だけ、CPU42は給紙センサ24に通電するため、MFP10は省電力を図れる。
【0067】
(b)レジストセンサ28の電源の駆動について
図8(d)はレジストセンサ28のレジストセンサ電源駆動信号のタイミングを示す。図8(e)はレジストセンサ28が出力する信号のタイミングの一例を示す。図8(f)はレジストモータ62dを駆動する信号のタイミングを示す。給紙モータ62bによる給紙タイミングを基準として(図8(a))、T2a′をCPU42は計測する(図8(d))。CPU42はレジストセンサ電源駆動信号をhighからlowへ切替える。
【0068】
図8(e)に示されようにCPU42はF2s内でセンサ出力をモニタしている。F2sが終了する前の時点e3において、シート先端を検知したかどうかの結果をCPU42は確定させる。図8(e)に示す時点e3からT2b′経過後、図8(d)に示されようにCPU42はレジストセンサ電源駆動信号をlowからhighへ切替える。レジストセンサ28の電源の供給が止まる。図8(f)に示されように、CPU42は、時点e3からT2e′経過後、レジストモータ62dの駆動をONにする。タイマー59は、レジストモータ62dの駆動開始から、時間T2c′経過後、シート後端を検知するための期間F2e(図8(e))を始める。
【0069】
次に、シート後端をCPU42は検出する。図8(e)に示されようにCPU42は時点e4でシート後端を検知したかどうかの結果をCPU42は確定させる。時点e4からT2d′経過後、CPU42はレジストセンサ電源駆動信号(図8(d))をlowからhighへ切替える。レジストセンサ28の電源の供給が止まる。レジストセンサ28の電源を供給するタイミングを、給紙モータ62bの駆動タイミングによりCPU42は容易に生成することができる。タイミング管理がし易い。F2s、F2eの2つの期間だけ、CPU42はレジストセンサ28に通電するため、MFP10は省電力を図れる。
【0070】
(c)排紙センサ29の電源の駆動について
図8(g)は排紙センサ電源駆動信号のタイミングを示す。図8(h)は排紙センサ29が出力する信号のタイミングの一例を示す。図8(i)は排紙モータ62cを駆動する信号のタイミングを示す。レジストモータ62dによる給紙タイミングを基準として(図8(f))、T3a′をCPU42は計測する(図8(g))。CPU42は排紙センサ電源駆動信号をhighからlowへ切替える。図8(h)に示されようにCPU42はF3s内でセンサ出力をモニタしている。F3sが終了する前の時点e5において、シート先端を検知したかどうかの結果をCPU42は確定させる。時点e5からT3b′経過後、CPU42は排紙センサ電源駆動信号をlowからhighへ切替える。排紙センサ29の電源の供給が止まる。図8(h)に示されように、CPU42は、F3sの終了からT3c′経過後、排紙センサの電源をONにする。期間F3eが始まる。
【0071】
次に、シート後端をCPU42は検出する。CPU42は時点e6でシート後端を検知したかどうかの結果をCPU42は確定させる。時点e6からT3d′経過後、CPU42は排紙センサ電源駆動信号をlowからhighへ切替える。排紙センサ29の電源の供給が止まる。排紙センサ29の電源を供給するタイミングを、レジストモータ62dの駆動タイミングによりCPU42は生成するため、タイミング制御がし易い。F3s、F3eの2つの期間だけ、CPU42は排紙センサ29に通電するため、MFP10は省電力を図れる。
【0072】
制御部18又はCPU42は、給紙センサ電源駆動信号をOFFにするタイミングを、時点e1に基づき決めていたが、CPU42はタイミングを、T1aの終了タイミングに基づいて決めてもよい。また、ファームウェア(F/W)が検知するタイミングを基準としてCPU42は用いてもよい。第1のタイミングより数10m秒前あるいは数10m秒後に第2のタイミングを示す信号をCPU42が出力するようにしてもよい。
【0073】
また、画像形成スタートのトリガとしてCPU42はステータス情報を用いても良い。RAM44は装置内部のステータス情報を記憶する。CPU42は状態が何れかのステータスに遷移すると画像形成をスタートさせてもよい。また、制御部18は給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29へ供給される電源の入切の制御を有効又は無効にしてもよい。制御部18は搬送機構16からシートの搬送速度情報を取得する。搬送機構16はモータ速度を監視している。例えば普通紙を印刷する場合、給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29をON/OFFする頻度が多く且つ搬送速度が速いと、制御部18による制御が煩雑になることがある。
【0074】
制御部18は搬送速度情報が予め記憶する閾値を越えた場合、センサ電源駆動回路51a、51b、51cを制御し、給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29への電源の入切の制御を無効にして常時通電としても良い。例えば厚紙を印刷する場合、制御部18は、普通紙のそれと比べて搬送速度を遅くして厚紙を搬送する。搬送速度が普通紙のそれに比べて遅くなる場合、給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29による検知が不要になる期間が長くなる。この場合、制御部18は、給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29への電源の入切の制御を有効にする。
【0075】
定着器38がトナーを溶かすスピードを普通紙/厚紙により変える。紙種に応じてMFP10は搬送速度を変える。給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29をオンオフするタイミングが異なる。制御の安定が図れる。また、制御部18は給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29へ供給される電源の入切の制御を、シートサイズや給紙カセット19に応じて有効又は無効にしてもよい。制御部18は使用中の給紙カセット19の識別情報や、シートサイズ情報などにより、電源の入切の制御を有効又は無効にする。
【0076】
(変形例)
第1の実施形態でのシートセンサは別の検出タイプの素子を用いることができる。
(1)給紙センサ24はアクチュエータ付きのフォトインタラプタの代わりに反射型のフォトセンサを用いてもよい。図9は反射型のフォトセンサの構成例を示す図である。フォトセンサ63は、発光ダイオードを有する発光部64と、フォトトランジスタを有する受光部65と、レンズ66とを備える。発光部64はシートPに対して光ビームを照射する。レンズ66はシートPによる反射光を集める。受光部65は収束された光を受光する。受光部65は受光強度に応じた大きさの電流を出力する。シートPが発光部64からの光ビームを照射されない場所に位置する場合、光がシートPで反射されない。受光部65は電流を出力しない。シートPが発光部64からの光ビームを照射される場所に位置する場合、光はシートPで反射される。反射光が受光部65方向に入射する。受光部65は大きい電流を出力する。CPU42は、受光部65からの検出信号の大きさによりシートPの有無を検出する。レジストセンサ28及び排紙センサ29も、反射型のフォトセンサ63を用いることができる。
(2)給紙センサ24は分離型のフォトセンサを用いてもよい。図10は分離型のフォトセンサの構成例を示す図である。フォトセンサ67は、発光ダイオードを有する発光部68と、フォトセンサを有する受光部69と、レンズ70とを備える。発光部68はシートPに対して光ビームを照射する。レンズ70はシートPを透過した光を集める。受光部69は収束された光を受光する。受光部69は受光強度に応じた大きさの電流を出力する。フォトセンサ67は、発光部68と受光部69との間にシートPが位置しないとき、発光部68からの光が受光部69に照射される。受光部69は大きな電流を出力する。発光部68と受光部69との間にシートPが位置するとき、シートPによって光が遮断される。受光部69は電流を出力しない。CPU42は、受光部69からの検出信号の大きさによりシートPの有無を検出する。レジストセンサ28及び排紙センサ29も、分離型のフォトセンサ63を用いることができる。
(3)CPU42は給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29への各電源を供給するタイミングを、これらの給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29間で共通させてもよい。
(4)MFP10は、センサ電源駆動回路51a、51b、51cを、センサ個別に有していたが、MFP10は、センサ電源駆動回路51a、51b、51cを、給紙センサ24、レジストセンサ28及び排紙センサ29間で共通させてもよい。
(5)その他
図2の構成は一例である。モータ62a、62b、62c、62dが回す対象のローラの種別や個数は変更可能である。搬送ローラ23、レジストローラ27及び搬送ローラ26の間でモータ動力を共用してもよい。モータが生成する動力はクラッチやギアによって分配されてもよい。複数種類のモータの間で、モータ駆動回路を共用してもよい。センサ電源制御モジュール53a、53b、53cの機能はファームウェアによって実現されてもよい。モータ駆動モジュール61a、61b、61cの機能はLSIや専用ICにより実現されているが、モータ駆動モジュール61a、61b、61cはファームウェアによって実現されてもよい。図2の構成を変更して実施したに過ぎない実施品に対して実施形態に係る画像形成装置の優位性は何ら損なわれるものではない。
【0077】
上記実施形態では画像形成装置はMFP10であったが、画像形成装置は、プリンタ、コピー機でもよい。給紙センサ24、レジストセンサ28、排紙センサ29と異なるシートセンサをMFP10は種々の位置に有してもよい。センサの数も変更可能である。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
10…MFP(画像形成装置)、11…機体、12…スキャナ部、13…画像処理部、14…印刷プロセス部、15…給紙部、16…搬送機構(機構)、17…電源部、18…制御部、19…給紙カセット、20…ピックアップローラ、21…分離ローラ、22、40…シート経路(搬送経路)、23…搬送ローラ、24…給紙センサ(シートセンサ)、25…排紙口、26…搬送ローラ、27…レジストローラ、28…レジストセンサ(シートセンサ)、29…排紙センサ29(シートセンサ)、30…中間転写ベルト、31Y、31M、31C、31K…画像形成部、32…レーザ露光装置、33…感光体ドラム、34…帯電器、35…現像器、36…転写器、37…二次転写ローラ、38…定着器、39…排紙ローラ、41…制御系、42…CPU、43…ROM、44…RAM、45…発光ダイオード、46…ばね、47…フォトトランジスタ、48…ケース、49…アクチュエータ、49a…片、49b…エッジ、50…バー、51a…センサ電源駆動回路(第1のセンサ電源駆動回路)、51b…センサ電源駆動回路(第2のセンサ電源駆動回路)、51c…センサ電源駆動回路(第3のセンサ電源駆動回路)、52a、52b、52c…センサインターフェース回路、53a、53b、53c…センサ電源制御モジュール、54…ポート、55…スイッチングトランジスタ(センサ電源)、56…抵抗器、57…プルアップ端子、58…入力ポート、59…タイマー、60a、60b、60c…モータ駆動回路、61a、61b、61c…モータ駆動モジュール、62a…モータ、62b…モータ(給紙モータ)、62c…モータ(排紙モータ)、62d…モータ(レジストモータ)、62e…モータ(搬送モータ)、63、67…フォトセンサ、64、68…発光部、65、69…受光部、66、70…レンズ、71…検知部、72…駆動制御部、100…バス。
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