特許第5714443号(P5714443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニック デバイスSUNX株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5714443-除電装置 図000002
  • 特許5714443-除電装置 図000003
  • 特許5714443-除電装置 図000004
  • 特許5714443-除電装置 図000005
  • 特許5714443-除電装置 図000006
  • 特許5714443-除電装置 図000007
  • 特許5714443-除電装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714443
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】除電装置
(51)【国際特許分類】
   H05F 3/04 20060101AFI20150416BHJP
   H01T 23/00 20060101ALI20150416BHJP
   H01T 19/04 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   H05F3/04 J
   H01T23/00
   H01T19/04
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-167155(P2011-167155)
(22)【出願日】2011年7月29日
(65)【公開番号】特開2013-30427(P2013-30427A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2014年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106221
【氏名又は名称】パナソニック デバイスSUNX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】川田 啓司
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−141692(JP,A)
【文献】 実開昭48−35278(JP,U)
【文献】 特開平9−147969(JP,A)
【文献】 特開昭58−6028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05F 3/04
H01T 19/04
H01T 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧が印加されることによりイオンを生成する放電電極、及び前記放電電極を収容するヘッドケースを有するヘッドユニットと、
前記放電電極に印可する高電圧を発生するための高電圧発生回路、及び前記高電圧発生回路を収容する電源ケースを有する高圧電源ユニットと、
前記放電電極と前記高電圧発生回路とを接続する高圧ケーブルと、を備えた除電装置において、
前記高圧ケーブルは、少なくとも前記放電電極に接続されるヘッド側ケーブル及び前記高電圧発生回路に接続される電源側ケーブルを含む複数の分割ケーブルを有し、前記各分割ケーブル間の接続部分が前記ヘッドケース及び前記電源ケースの少なくとも一方に収容されるように構成されたことを特徴とする除電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除電装置において、
前記各分割ケーブルは、金属材料からなる接続部材によって該各分割ケーブルの芯線同士が圧着されることにより接続されたことを特徴とする除電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の除電装置において、
前記接続部材は、筒状に形成されたことを特徴とする除電装置。
【請求項4】
請求項1に記載の除電装置において、
前記各分割ケーブルは、該各分割ケーブルの芯線同士がはんだ接合されることにより接続されたことを特徴とする除電装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の除電装置において、
絶縁性材料からなり、前記各分割ケーブル間の接続部分を覆う被覆カバーを備えたことを特徴とする除電装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の除電装置において、
前記高圧ケーブルは、前記ヘッド側ケーブル、前記電源側ケーブル、及び前記ヘッド側ケーブルと前記電源側ケーブルとを接続する中間ケーブルからなることを特徴とする除電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放電電極に高電圧を印加することでコロナ放電を発生させ、これにより生成されたイオンを除電対象物に向けて放出することにより除電を行う除電装置がある。こうした除電装置として、例えば特許文献1には、放電電極及び同放電電極を収容するヘッドケースを有するヘッドユニットと、高電圧を発生させるための高電圧発生回路及び同回路を収容する電源ケースを有する高圧電源ユニットと、これら各ユニットを接続する高圧ケーブルとを備えたものが開示されている。このように高電圧発生回路がヘッドケースとは別のケースに収容される除電装置では、高電圧発生回路がヘッドケース内に収容される構成(例えば、特許文献2参照)に比べ、ヘッドユニットを小型化することが可能になり、除電対象物が搬送される製造ライン等への設置が容易になるといった利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−129499号公報
【特許文献2】特開2010−27225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば製品完成後の最終検査でいずれか一方のユニットに異常が検出された場合に、異常のあるユニットを別途製造されたユニットに交換して新たな除電装置を製造するといったことが行われている。こうしたユニットの交換は、例えば異常のあるユニットを高圧ケーブルとの接続部分から切り離し、同高圧ケーブルに別途製造されたユニットを接続することにより行われる。
【0005】
一方、高圧ケーブルの芯線と放電電極又は高電圧発生回路との間で火花放電(絶縁破壊)が生じると、放電電極でのイオンの生成に影響を与えたり、回路が故障したりする虞がある。そのため、高圧ケーブルと放電電極又は高電圧発生回路との接続部分は、こうした火花放電が生じることを防ぐため、一般に絶縁性の高い樹脂材料からなるモールド部材により樹脂封止されている。
【0006】
したがって、異常のあるユニットを交換する際には、別途製造されたユニットと高圧ケーブルとの接続部分を再び樹脂封止する必要があり、各ユニットの交換に係る作業が煩雑になるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ヘッドユニット又は高圧電源ユニットの交換に係る作業性を向上させることのできる除電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、高電圧が印加されることによりイオンを生成する放電電極、及び前記放電電極を収容するヘッドケースを有するヘッドユニットと、前記放電電極に印可する高電圧を発生するための高電圧発生回路、及び前記高電圧発生回路を収容する電源ケースを有する高圧電源ユニットと、前記放電電極と前記高電圧発生回路とを接続する高圧ケーブルと、を備えた除電装置において、前記高圧ケーブルは、少なくとも前記放電電極に接続されるヘッド側ケーブル及び前記高電圧発生回路に接続される電源側ケーブルを含む複数の分割ケーブルを有し、前記各分割ケーブル間の接続部分が前記ヘッドケース及び前記電源ケースの少なくとも一方に収容されるように構成されたことを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、異常のあるユニットを分割ケーブル間の接続部分で分離し、異常のないユニットに接続された分割ケーブルに別途製造されたユニットに接続された分割ケーブルを接続することで、異常のあるユニットを交換することができる。ここで、こうした分割ケーブル間の接続部分で火花放電が生じても、放電電極又は高電圧発生回路で火花放電が生じる場合と異なり、イオンの生成に影響を与えたり、回路が故障したりし難いため、同接続部分は樹脂封止をしなくてもよい。したがって、ユニットの交換に係る作業性を向上させることが可能になる。また、上記構成では、高電圧を送電する分割ケーブルの接続部分が外部に露出した状態とならないため、装置の安全性を確保することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の除電装置において、前記各分割ケーブルは、金属材料からなる接続部材によって該各分割ケーブルの芯線同士が圧着されることにより接続されたことを要旨とする。上記構成によれば、簡易な構成で容易に分割ケーブル同士を接続することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の除電装置において、前記接続部材は、筒状に形成されたことを要旨とする。
上記構成によれば、接続部材が筒状に形成されるため、例えば接続部材が断面U字状に形成される場合に比べ、接続部材に尖った部位が形成され難くなり、同接続部材で火花放電が生じることを抑制できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の除電装置において、前記各分割ケーブルは、該各分割ケーブルの芯線同士がはんだ接合されることにより接続されたことを要旨とする。上記構成によれば、簡易な構成で分割ケーブル同士を接続することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の除電装置において、絶縁性材料からなり、前記各分割ケーブル間の接続部分を覆う被覆カバーを備えたことを要旨とする。上記構成によれば、接続部分が絶縁性材料からなる被覆カバーにより覆われるため、より一層、装置の安全性を向上させることができる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の除電装置において、前記高圧ケーブルは、前記ヘッド側ケーブル、前記電源側ケーブル、及び前記ヘッド側ケーブルと前記電源側ケーブルとを接続する中間ケーブルからなることを要旨とする。
【0015】
上記構成によれば、ヘッド側ケーブル及び電源側ケーブルを短くすることができるため、ヘッドユニット又は高圧電源ユニットを製造する際に、ヘッド側ケーブル又は電源側ケーブルが邪魔になることを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ヘッドユニット又は高圧電源ユニットの交換に係る作業性を向上させることのできる除電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の除電装置を示す概略構成図。
図2】本実施形態のヘッドユニットの拡大断面図。
図3】本実施形態の高圧電源ユニットの拡大断面図。
図4】本実施形態のヘッド側ケーブルと電源側ケーブルとの接続部分の断面図(図3のA−A断面図)。
図5】別例のヘッド側ケーブルと電源側ケーブルとの接続部分の断面図。
図6】別例のヘッド側ケーブルと電源側ケーブルとの接続部分近傍の断面図。
図7】別例の高圧ケーブルを示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、除電装置1は、イオンを除電対象物に向けて放出するヘッドユニット2と、ヘッドユニット2に電力供給を行う高圧電源ユニット3と、高圧電源ユニット3の作動を制御する制御する制御装置4とを備えている。ヘッドユニット2と高圧電源ユニット3とは、高圧ケーブル6を介して接続され、高圧電源ユニット3と制御装置4とは、接続ケーブル7を介して接続されている。なお、制御装置4は、電源ケーブル8を介して図示しない電源に接続されている。
【0019】
ヘッドユニット2は、直方体状に形成されたヘッドケース11と、同ヘッドケース11内に収容された複数の放電電極(図1では図示略)とを備えている。図2に示すように、ヘッドケース11は、細長い四角筒状のケース本体12と、ケース本体12の長手方向一端側(図2における右側)の開口を閉塞するケーブルキャップ13とを有している。
【0020】
ヘッドケース11内には、円筒状の支持筒部14を有する支持部材15が固定されている。支持部材15には、複数の支持筒部14(図2では、1つのみ図示)が形成されており、各支持筒部14は、ケース本体12の長手方向に沿って所定間隔で配置されている。また、ヘッドケース11には、支持筒部14の一端側(図2における上側)から同支持筒部14内に挿入される複数の保持部16が形成された放電針ホルダ17が固定されている。なお、放電針ホルダ17は、絶縁性材料により構成されている。そして、ケース本体12における支持筒部14の他端側(図2における下側)の側壁部12aには、同支持筒部14と同軸上に放出孔18が形成されている。一方、ケーブルキャップ13には、ケース本体12の長手方向(図2における左右方向)に貫通する引込孔19が形成されており、同引込孔19を介して高圧ケーブル6の一端がケース本体12内に引き込まれている。
【0021】
各放電電極21は、支持筒部14の他端側に固定される電極板22と、保持部16に保持される放電針23と、放電針23と電極板22とを電気的に接続する円錐コイルバネ24とを備えている。なお、電極板22、放電針23及び円錐コイルバネ24は、それぞれ導電性材料により構成されている。
【0022】
各電極板22は、略平板状に形成されるとともに、その厚み方向に貫通した貫通孔25を有している。貫通孔25の内径は、支持筒部14の内径よりも小さく形成されている。そして、図2に示すヘッドケース11内におけるケーブルキャップ13側に配置された電極板22には、上記引込孔19を介して引き込まれた高圧ケーブル6の一端が接続されており、同電極板22は、連結ケーブル26を介して隣接する電極板(図示略)に接続されている。なお、本実施形態では、高圧ケーブル6及び連結ケーブル26の芯線6a,26aは、電極板22に対してはんだ接合されている。
【0023】
そして、電極板22と高圧ケーブル6及び連結ケーブル26の芯線6a,26aとの接続部分は、絶縁性の高い樹脂材料からなるモールド部材27によって樹脂封止されている。モールド部材27は、略円筒状に形成されており、支持筒部14の一端に嵌合されている。これにより、電極板22は、その貫通孔25が支持筒部14と同軸上に配置されるようにして同支持筒部14の他端側に固定されている。なお、モールド部材27は、樹脂モールドにより形成されている。
【0024】
放電針ホルダ17の保持部16は、円柱状に形成されるとともに、その先端側に開口する保持穴28を有している。そして、放電針23は、その基端部が保持穴28に嵌合されることにより、その先端部が電極板22の貫通孔25から他端側に突出した状態で固定されている。
【0025】
円錐コイルバネ24は、導線を円錐状に巻回することにより構成されており、保持部16の先端に形成された収容凹部16aと電極板22との間に圧縮された状態で配置されている。そして、円錐コイルバネ24は、その小径部24aが放電針23に嵌合するとともに、その大径部24bが電極板22の内周縁に接触している。これにより、放電針23が電極板22及び円錐コイルバネ24を介して高圧ケーブル6に電気的に接続されている。
【0026】
図1に示すように、高圧電源ユニット3は、直方体状の電源ケース31を備えている。図3に示すように、電源ケース31は、一側面が開口した箱状のケース本体32と、ケース本体32の開口部を閉塞する蓋部材33とを有している。ケース本体32の側壁部32aには、その内外を連通する引込孔34が形成されており、同引込孔34を介して高圧ケーブル6の他端が電源ケース31内に引き込まれている。
【0027】
電源ケース31内には、基板ホルダ36が収容されており、基板ホルダ36には、高電圧発生回路を構成する回路基板37が支持されている。高電圧発生回路は、圧電トランス(図示略)等を有しており、制御装置4(図1参照)を介して供給される電源電圧を昇圧して所定の高電圧を発生させるようになっている。回路基板37(高電圧発生回路)には、上記引込孔34を介して引き込まれた高圧ケーブル6の他端が接続されている。そして、回路基板37と高圧ケーブル6の芯線6aとの接続部分は、絶縁性の高い樹脂材料からなるモールド部材38により樹脂封止されている。なお、モールド部材38は、回路基板37と芯線6aとの接続部分を含む回路基板37全体を覆うように形成されおり、上記基板ホルダ36は、モールド部材38を介して回路基板37を支持している。
【0028】
このように構成された除電装置1では、高圧電源ユニット3で発生した高電圧が高圧ケーブル6を介してヘッドユニット2に送電され、電極板22及び円錐コイルバネ24を介して各放電針23に高電圧が印加されることにより、各放電針23の先端付近でコロナ放電が発生する。これにより、放電針23の周囲の空気がイオン化され、この空気が放出孔18から除電対象物に向けて放出されることにより除電が行われるようになっている。なお、本実施形態では、各放電針23に対して交流電圧を印加することによりコロナ放電を発生させる交流方式が採用されており、プラス及びマイナスのイオンが交互に生成されるようになっている。
【0029】
ところで、例えば製品(除電装置1)完成後の最終検査で高圧電源ユニット3に異常が検出された場合には、高圧電源ユニット3を切り離し、異常のないヘッドユニット2と別途製造された高圧電源ユニット3を組み合わせて新たな製品を製造する。このとき、高圧ケーブル6と回路基板37との接続部分で高圧電源ユニット3を切り離し、別途製造された高圧電源ユニットを接続しようとすると、再び樹脂モールド等を行ってモールド部材38を形成(樹脂封止)する必要があり、その交換に係る作業が煩雑になってしまう。
【0030】
この点を踏まえ、本実施形態の高圧ケーブル6は、放電電極21(電極板22)に接続された分割ケーブルとしてのヘッド側ケーブル41と、回路基板37(高電圧発生回路)に接続された分割ケーブルとしての電源側ケーブル42とから構成されている。そして、高圧ケーブル6は、ヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42との接続部分が電源ケース31内に収容されるように構成されている。
【0031】
詳しくは、ヘッド側ケーブル41は、電源側ケーブル42に比べ、十分に長く形成されており、その一部が引込孔34を介して電源ケース31内に引き込まれている。そして、図3及び図4に示すように、ヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42とは、これらの芯線41a,42aが金属材料からなる円筒状の接続部材43に挿通された状態で、同接続部材43がかしめられて芯線41a,42a同士が圧着されることにより接続されている。また、ヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42との接続部分には、ヘッド側ケーブル41及び電源側ケーブル42の被覆部41b,42bの一部を覆うように、予め円筒状に形成された被覆カバー45が装着されている。なお、被覆カバー45は、絶縁性の高い樹脂材料により構成されている。また、ヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42との接続部分は、基板ホルダ36に形成された支持部36aによってヘッド側ケーブル41が支持されることにより、電源ケース31内での位置が固定されている。
【0032】
次に、本実施形態の除電装置におけるユニットの交換について説明する。
例えば高圧電源ユニット3に異常が検出された場合、先ず、ケース本体32から蓋部材33を取り外し、被覆カバー45を取り外す。次に、ヘッド側ケーブル41の芯線41aを切断することにより、同ヘッド側ケーブル41から接続部材43とともに電源側ケーブル42(高圧電源ユニット3)を切り離す。次に、切断されたヘッド側ケーブル41から芯線41aを新たに露出させ、別途製造された高圧電源ユニット3の電源側ケーブル42を接続部材43によって接続する。そして、接続部分に被覆カバー45を装着し、ケース本体32に蓋部材33を装着することにより、新たな除電装置1が製造される。
【0033】
なお、ヘッドユニット2に異常が検出された場合には、同様に電源側ケーブル42からヘッド側ケーブル41(ヘッドユニット2)を切り離し、別途製造されたヘッドユニット2のヘッド側ケーブル41を電源側ケーブル42に接続することにより、新たな除電装置1が製造される。
【0034】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)高圧ケーブル6を放電電極21に接続されるヘッド側ケーブル41と、回路基板37(高電圧発生回路)に接続される電源側ケーブル42とから構成し、これらヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42との接続部分が電源ケース31内に収容されるように構成した。
【0035】
上記構成によれば、ヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42とを分離・接続することで異常のあるヘッドユニット2又は高圧電源ユニット3を交換することができる。ここで、こうしたヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42との間の接続部分で火花放電が生じても、放電電極21又は高電圧発生回路で火花放電が生じる場合と異なり、イオンの生成に影響を与えたり、回路が故障したりし難いため、同接続部分は樹脂封止をしなくてもよい。したがって、異常のあるユニットの交換に係る作業性を向上させることができる。また、高電圧を送電するヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42との接続部分が、電源ケース31内に収容されることで、外部に露出した状態とならないため、除電装置1の安全性を確保することができる。
【0036】
(2)ヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42とを、接続部材43によって芯線41a,42a同士を圧着することにより接続した。上記構成によれば、かしめ等により接続部材43を変形させることで芯線41a,42a同士が圧着されるため、簡易な構成で容易にヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42とを接続することができる。
【0037】
(3)接続部材43を円筒状に形成したため、例えば接続部材43を断面U字状に形成する場合に比べ、接続部材43に尖った部位が形成され難くなり、同接続部材43で火花放電が生じることを抑制できる。
【0038】
(4)ヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42との接続部分を絶縁性材料からなる被覆カバー45により覆うようにしたため、より一層、除電装置1の安全性を向上させることができる。
【0039】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、接続部材43を円筒状に形成したが、これに限らず、例えば図5に示すように、接続部材43を断面略U字状に形成してもよい。
【0040】
・上記実施形態では、接続部材43によってヘッド側ケーブル41及び電源側ケーブル42の芯線41a,42a同士を圧着させることにより、これらヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42とを接続した。しかし、これに限らず、例えば図6に示すように、芯線41a,42a同士をはんだ接合することによりヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42とを接続してもよい。この構成では、はんだ51により芯線41a,42a同士が接続されるため、簡易な構成でヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42とを接続することができる。
【0041】
また、ヘッド側ケーブル41及び電源側ケーブル42のいずれか一方に雄コネクタを設けるとともに、いずれか他方に上記雄コネクタが嵌合する雌コネクタを設け、これらコネクタを介してヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42とを接続してもよい。
【0042】
・上記実施形態では、ヘッド側ケーブル41と電源側ケーブル42との接続部分に被覆カバー45を設けたが、これに限らず、被覆カバー45を設けなくともよい。
・上記実施形態では、高圧ケーブル6をヘッド側ケーブル41及び電源側ケーブル42により構成した。しかし、これに限らず、例えば図7に示すように、高圧ケーブル6を、ヘッド側ケーブル41と、電源側ケーブル42と、これらを接続する分割ケーブルとしての中間ケーブル52とにより構成してもよい。図7に示す例では、ヘッド側ケーブル41と中間ケーブル52との接続部分は、ヘッドケース11内に収容され、電源側ケーブル42と中間ケーブル52との接続部分は、電源ケース31内に収容されている。また、ヘッド側ケーブル41と中間ケーブル52、電源側ケーブル42と中間ケーブル52とは、上記実施形態と同様に、それぞれ接続部材43によって接続されるとともに被覆カバー45により覆われている。
【0043】
なお、ヘッド側ケーブル41と中間ケーブル52との接続部分は、ケーブルキャップ13に形成された支持部13aによって被覆カバー45が支持されることにより、ヘッドケース11内での位置が固定されている。一方、電源側ケーブル42と中間ケーブル52との接続部分は、上記実施形態と同様に、基板ホルダ36の支持部36aによって中間ケーブル52が支持されることにより、電源ケース31内での位置が固定されている。
【0044】
この構成では、ヘッド側ケーブル41及び電源側ケーブル42を短くすることができるため、ヘッドユニット2又は高圧電源ユニット3を製造する際に、ヘッド側ケーブル41又は電源側ケーブル42が邪魔になることを抑制できる。
【0045】
・上記実施形態において、除電装置1に空気流を発生させるファンユニットを設け、ヘッドユニット2で生成されたイオンを空気流とともに除電対象物に吹き付ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…除電装置、2…ヘッドユニット、3…高圧電源ユニット、6…高圧ケーブル、6a,26a,41a,42a…芯線、11…ヘッドケース、21…放電電極、22…電極板、23…放電針、24…円錐コイルバネ、27,38…モールド部材、31…電源ケース、37…回路基板、41…ヘッド側ケーブル、42…電源側ケーブル、43…接続部材、45…被覆カバー、52…中間ケーブル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7