特許第5714474号(P5714474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ YKK AP株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5714474-建具、および建具の施工方法 図000002
  • 特許5714474-建具、および建具の施工方法 図000003
  • 特許5714474-建具、および建具の施工方法 図000004
  • 特許5714474-建具、および建具の施工方法 図000005
  • 特許5714474-建具、および建具の施工方法 図000006
  • 特許5714474-建具、および建具の施工方法 図000007
  • 特許5714474-建具、および建具の施工方法 図000008
  • 特許5714474-建具、および建具の施工方法 図000009
  • 特許5714474-建具、および建具の施工方法 図000010
  • 特許5714474-建具、および建具の施工方法 図000011
  • 特許5714474-建具、および建具の施工方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714474
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】建具、および建具の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   E04F11/18
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-266187(P2011-266187)
(22)【出願日】2011年12月5日
(65)【公開番号】特開2013-117142(P2013-117142A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】樺島 宏子
(72)【発明者】
【氏名】丸山 剛
(72)【発明者】
【氏名】三浦 真梨
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−084633(JP,U)
【文献】 特開昭49−042132(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3157082(JP,U)
【文献】 特開平08−042264(JP,A)
【文献】 実開昭62−096477(JP,U)
【文献】 特開昭54−066538(JP,A)
【文献】 実開平05−078774(JP,U)
【文献】 特開昭59−134258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の支柱と、前記一対の支柱の上端にわたって設けられた手摺笠木と、前記一対の支柱および前記手摺笠木の間に取り付けられた手摺材とを備える建具であって、
前記一対の支柱における互いに対向する面には、互いに近づく方向にそれぞれ突出する手摺材支持部が設けられ、
前記手摺笠木の下端および前記手摺材の上端のうち一方には、嵌合部が設けられ、他方には、被嵌合部が設けられ、
前記手摺材の下端には、前記手摺材支持部を支点にして前記手摺材が回動可能なように前記手摺材支持部で支持される被支持部と、当該被支持部の見込み方向の一方側に配置され前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌め込まれた状態で前記手摺材を位置決めする位置決め部とが設けられる建具。
【請求項2】
前記手摺材には、当該手摺材の下端面に設けられた係合基部と、前記係合基部の見込み方向の両端から下方に延出する一対の延出部とを有する断面略コ字状の係合部が設けられ、
前記見込み方向の一方側の前記延出部および前記係合基部の少なくとも一方には、前記係合部の内部に突出して、前記手摺材支持部の上部に当接する係合突部が設けられ、
前記係合突部は、前記手摺材を斜めにした状態において、前記見込み方向の他方側の前記延出部と当該係合突部との間の空間に、前記手摺材支持部を位置させることが可能な状態で設けられ、
前記位置決め部は、前記係合突部により構成され、
前記被支持部は、前記係合基部における前記空間に面する部分により構成される請求項1に記載の建具。
【請求項3】
互いに対向する一対の支柱と、前記一対の支柱の上端にわたって設けられた手摺笠木と、前記一対の支柱および前記手摺笠木の間に取り付けられた手摺材とを備える建具の施工方法であって、
前記一対の支柱における互いに対向する面には、互いに近づく方向にそれぞれ突出する手摺材支持部が設けられ、
前記手摺笠木の下端および前記手摺材の上端のうち一方には、嵌合部が設けられ、他方には、被嵌合部が設けられ、
前記手摺材の下端には、前記手摺材支持部を支点にして前記手摺材が回動可能なように前記手摺材支持部で支持される被支持部と、当該被支持部の見込み方向の一方側に配置され前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌め込まれた状態で前記手摺材を位置決めする位置決め部とが設けられ、
前記手摺材を斜めにして前記被支持部を前記手摺材支持部で支持させ、
前記手摺材支持部を支点にして前記手摺材を回動させることで、前記嵌合部と前記被嵌合部とを対向させ、
前記手摺材を上方に移動させて前記嵌合部を前記被嵌合部に嵌め込み、
前記手摺材の下端を見込み方向の他方側に回動させて前記位置決め部により前記手摺材を位置決めする建具の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具、および、建具の施工方法に関し、詳しくは、互いに対向する一対の支柱と、一対の支柱の上端にわたって設けられた手摺笠木と、一対の支柱および手摺笠木の間に取り付けられた手摺材とを備える建具、および、建具の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バルコニーなどに用いられる構造体として、上下一対の桟材の間に、面格子やパネルなどの手摺材を取り付けた構造体が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1の構成では、それぞれ取付孔を有する上部横桟および下部横桟と、上下に取付ピンを有するパネル(手摺材)とを用い、構造体を施工する際には、まず、パネル上部の取付ピンを上部横桟の取付孔に斜め方向から挿入する。そして、パネルを回動させて鉛直状態とし、抜け止めリングを取り付けたパネル下部の取付ピンを下部桟材の取付孔に落とし込み、上部の取付ピンに抜け止めリングを取り付けることで、パネルを固定している。
【0004】
一方、特許文献2の構成では、挿入用凹溝を有する笠木と、固定用凹溝を有する前面桁と、格子(手摺材)とを用い、構造体を施工する際には、まず、格子の上端部を挿入用凹溝の係止部に係止させながら挿入用凹溝に挿入する。そして、格子の下端部を回動させて、固定用凹溝の係止部に係止させながら固定用凹溝に挿入して載置することで、格子を固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59−102731号公報
【特許文献2】実開昭60−94530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような構成では、上部横桟および下部横桟にパネルを固定する際に、上部の取付ピンに抜け止めリングを取り付ける必要があり、施工が煩雑になるという問題がある。
また、特許文献2のような構成では、前後左右方向においては係止部によって格子が固定されているが、上下方向には固定されていないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、容易にかつ適切に施工可能な建具、および建具の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の建具は、互いに対向する一対の支柱と、前記一対の支柱の上端にわたって設けられた手摺笠木と、前記一対の支柱および前記手摺笠木の間に取り付けられた手摺材とを備える建具であって、前記一対の支柱における互いに対向する面には、互いに近づく方向にそれぞれ突出する手摺材支持部が設けられ、前記手摺笠木の下端および前記手摺材の上端のうち一方には、嵌合部が設けられ、他方には、被嵌合部が設けられ、前記手摺材の下端には、前記手摺材支持部を支点にして前記手摺材が回動可能なように前記手摺材支持部で支持される被支持部と、当該被支持部の見込み方向の一方側に配置され前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌め込まれた状態で前記手摺材を位置決めする位置決め部とが設けられることを特徴とする。
【0009】
ここで、建具としては、バルコニー、テラス、ベランダ、集合住宅の廊下、外階段などに用いられる手摺などが例示できる。さらに、手摺材としては、縦格子や横格子などの面格子、網入りガラスやアクリル、金属板、金網などを有するものが例示できる。
【0010】
以上の本発明によれば、以下の手順により建具を施工することができる。すなわち、手摺材を斜めにして、当該手摺材の被支持部を支柱の手摺材支持部で支持させた後、手摺材支持部を支点にして手摺材を回動させることで、例えば手摺材の嵌合部と例えば手摺笠木の被嵌合部とを対向させる。そして、手摺材を上方に移動させて嵌合部を被嵌合部に嵌め込み、手摺材の下端を見込み方向の他方側に回動させて位置決め部により手摺材を位置決めすることで、施工を完了することができる。
したがって、施工途中に新たな部品を取り付けることがないため、建具を容易に施工できる。また、手摺材の下端を見込み方向の他方側に回動させるだけの簡単な手順で、嵌合部を手摺笠木の被嵌合部に嵌め込むことができるとともに、手摺材を位置決めできる。
【0011】
本発明の建具では、前記手摺材には、当該手摺材の下端面に設けられた係合基部と、前記係合基部の見込み方向の両端から下方に延出する一対の延出部とを有する断面略コ字状の係合部が設けられ、前記見込み方向の一方側の前記延出部および前記係合基部の少なくとも一方には、前記係合部の内部に突出して、前記手摺材支持部の上部に当接する係合突部が設けられ、前記係合突部は、前記手摺材を斜めにした状態において、前記見込み方向の他方側の前記延出部と当該係合突部との間の空間に、前記手摺材支持部を位置させることが可能な状態で設けられ、前記位置決め部は、前記係合突部により構成され、前記被支持部は、前記係合基部における前記空間に面する部分により構成されることが好ましい。
本発明によれば、断面略コ字状の係合部に、当該係合部内に突出する係合突部を設けて位置決め部として機能させるとともに、係合基部における手摺材支持部を位置させることが可能な空間に面する部分で被支持部を構成している。このため、断面略コ字状の部材に突片状の部位を設けるだけの簡単な構成で、上述の効果を奏することができる建具を提供できる。
【0012】
本発明の建具の施工方法は、互いに対向する一対の支柱と、前記一対の支柱の上端にわたって設けられた手摺笠木と、前記一対の支柱および前記手摺笠木の間に取り付けられた手摺材とを備える建具の施工方法であって、前記一対の支柱における互いに対向する面には、互いに近づく方向にそれぞれ突出する手摺材支持部が設けられ、前記手摺笠木の下端および前記手摺材の上端のうち一方には、嵌合部が設けられ、他方には、被嵌合部が設けられ、前記手摺材の下端には、前記手摺材支持部を支点にして前記手摺材が回動可能なように前記手摺材支持部で支持される被支持部と、当該被支持部の見込み方向の一方側に配置され前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌め込まれた状態で前記手摺材を位置決めする位置決め部とが設けられ、前記手摺材を斜めにして前記被支持部を前記手摺材支持部で支持させ、前記手摺材支持部を支点にして前記手摺材を回動させることで、前記嵌合部と前記被嵌合部とを対向させ、前記手摺材を上方に移動させて前記嵌合部を前記被嵌合部に嵌め込み、前記手摺材の下端を見込み方向の他方側に回動させて前記位置決め部により前記手摺材を位置決めすることを特徴とする。
本発明によれば、上述の建具と同様の効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る建具の正面図。
図2】前記建具の下部を示す横断面図。
図3図2の要部の拡大図。
図4】前記建具の縦断面図。
図5】前記建具の上部を示す平面図。
図6】前記建具の施工方法を示す縦断面図。
図7】前記建具の施工方法を示す縦断面図であり、図6に続く手順を示す。
図8】前記建具の施工方法を示す縦断面図であり、図7に続く手順を示す。
図9】前記建具の施工方法を示す縦断面図であり、図8に続く手順を示す。
図10】本発明の変形例に係る建具の要部を示す縦断面図であり、(A)は手摺笠木と上胴縁連結部材とを示し、(B)は下胴縁連結部材を示す。
図11】本発明の他の変形例に係る建具の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、建具としての手摺1は、バルコニーの床やパラペットなどの図示しない躯体を覆う下笠木2に設けられ、当該下笠木2に互いに間隔を隔てて立設された複数の支柱3と、当該複数の支柱3の上端間にわたって設けられた手摺笠木4と、支柱3および手摺笠木4の間に設けられた手摺材としての縦格子5とを備えている。
【0015】
支柱3は、図2および図3に示すように、中空部31を有する例えばアルミニウム製の押出成形部材であり、中空部31が支柱補強部材9に挿入されて、図示しないビスにより支柱補強部材9に固定されている。
また、支柱3の見込み面32における下端側には、図3および図4にも示すように、突出部材33が設けられている。この突出部材33は、ビス34によって支柱3の見込み面32に取り付けられる取付面部35と、取付面部35の上端から見付け方向に延びる手摺材支持部としての縦格子支持部36とを有する略L字板状に形成されている。
さらに、支柱3の上端には、図5に示すように、手摺笠木4を固定するための略長方形板状の固定部材37が設けられている。この固定部材37は、見付け方向の寸法が支柱3よりも大きく、かつ、見込み方向の寸法が支柱3と略等しい形状を有している。そして、固定部材37は、4個のビス38が中空部31内に設けられたビスホール39(図3参照)に螺合されることにより、支柱3に固定されている。
【0016】
手摺笠木4は、図4に示すように、断面略長方形状に形成されている。手摺笠木4の下面部41には、上面部42側に凹む被嵌合部としての凹部43が設けられている。この凹部43には、ナット44が落下しないように収容されるナット収容部45が設けられている。
そして、手摺笠木4は、凹部43が固定部材37に嵌め込まれるとともに、下側から固定部材37に挿通されたボルト46がナット44に螺合されることで、支柱3に固定されている。また、手摺笠木4の端部は、ブラケット47を介して建物の壁Wに固定されている。
【0017】
縦格子5は、図2図4および図5に示すように、中空部を有する例えばアルミニウム製の押出成形部材である複数の格子材51と、当該複数の格子材51の下端間にわたって設けられた係合部としての下胴縁連結部材55と、複数の格子材51の上端間にわたって設けられた嵌合部としての上胴縁連結部材65とを備えている。
【0018】
下胴縁連結部材55は、下笠木2の上面に対向する長方形板状の係合基部としての笠木対向部56を備える。笠木対向部56の短手方向(見込み方向)の寸法(見込み寸法)D1は、格子材51の見込み寸法および縦格子支持部36の見込み寸法D3よりも大きく設定されている。また、笠木対向部56の長手方向(見付け方向)の寸法(見付け寸法)は、一対の支柱3の間隔よりも若干小さく設定されている。
【0019】
また、笠木対向部56の見込み方向の一側縁(屋外側の側縁)には、下方に延出する屋外側延出部57が設けられ、他側縁(屋内側の側縁)には、屋外側延出部57と同様に延出する屋内側延出部58が設けられている。屋外側延出部57および屋内側延出部58の延出寸法(高さ寸法)は、突出部材33の高さ寸法よりも大きく設定されている。
さらに、笠木対向部56の見込み方向の一方側(屋内側延出部58側)には、下方に突出する係合突部としての第1位置決め部59が設けられている。第1位置決め部59の突出寸法(高さ寸法)は、突出部材33の高さ寸法との合計値が屋外側延出部57の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、第1位置決め部59は、当該第1位置決め部59と屋外側延出部57との間の寸法(後述する被支持部60の見込み寸法)D2が縦格子支持部36の見込み寸法D3よりも大きくなる位置に設けられている。
このように見込み寸法D2を見込み寸法D3よりも大きくすることによって、縦格子5を斜めにした状態において、第1位置決め部59と屋外側延出部57と間の空間Sに、縦格子支持部36を位置させることが可能となる。そして、笠木対向部56における空間Sに面する部分(第1位置決め部59よりも屋外側延出部57側の部分)によって、縦格子5の取り付け時に縦格子支持部36で支持される被支持部60が構成されている。
また、屋内側延出部58における第1位置決め部59と略等しい高さ位置には、第1位置決め部59に向けて突出する係合突部としての第2位置決め部61が設けられている。すなわち、下胴縁連結部材55には、当該下胴縁連結部材55の内部に向けて突出する第1位置決め部59および第2位置決め部61が設けられている。なお、第1位置決め部59および第2位置決め部61は、下胴縁連結部材55の見付け方向の全域にわたって設けられていてもよいし、見付け方向の両端のみに設けられていてもよい。
【0020】
そして、下胴縁連結部材55は、笠木対向部56に挿通されたビス62が格子材51の下端のビスホール52に螺合されることで、複数の格子材51を連結している。また、下胴縁連結部材55の第1位置決め部59および第2位置決め部61が縦格子支持部36の上面に当接し、屋内側延出部58が突出部材33の屋内面に当接する状態で、笠木対向部56に挿通されたビス63が縦格子支持部36に螺合されることで、縦格子5が支柱3に固定される。
【0021】
上胴縁連結部材65は、長方形板状の上連結本体部66を備える。上連結本体部66の短手方向(見込み方向)の寸法は、格子材51の見込み方向の寸法よりも若干大きく、かつ、手摺笠木4の凹部43の見込み方向の寸法と略等しい大きさに設定されている。また、上連結本体部66の長手方向(見付け方向)の寸法は、一対の固定部材37の間隔よりも若干小さく設定されている。
上連結本体部66の見込み方向の両側縁には、上方に突出する一対の嵌合突部67が設けられている。嵌合突部67の突出寸法(高さ寸法)は、凹部43の深さ寸法(上下方向の寸法)と略等しい大きさに設定されている。
そして、上胴縁連結部材65は、上連結本体部66に挿通されたビス68が格子材51の上端のビスホール52に螺合されることで、複数の格子材51を連結している。また、上胴縁連結部材65は、一対の嵌合突部67が手摺笠木4の凹部43に嵌め込まれることで、手摺笠木4に対して固定される。
【0022】
次に、手摺1を施工する方法について説明する。なお、以下の方法は、一例であり、可能な範囲で順序を入れ替えてもよい。
まず、支柱3に突出部材33と固定部材37とを取り付けた後に支柱3を下笠木2に立設する。次に、手摺笠木4を固定部材37と壁Wとに固定する。
一方で、複数の格子材51の下端に下胴縁連結部材55を取り付けるとともに、上端に上胴縁連結部材65を取り付けた縦格子5を準備する。
【0023】
この後、作業者は、図6に示すように、上端が下端よりも屋内側に位置するように縦格子5を斜めにして、当該縦格子5の下端の被支持部60を縦格子支持部36で支持させる。次に、図7に示すように、縦格子支持部36を支点にして縦格子5の上端を屋外側に回動させて、縦格子5の上胴縁連結部材65と手摺笠木4の凹部43とを対向させる。このとき、被支持部60の見込み寸法D2が縦格子支持部36の見込み寸法D3よりも大きいため、縦格子支持部36を支点にして縦格子5を容易に回動させることができる。
そして、作業者は、図8に示すように、縦格子5を上方に移動させて、上胴縁連結部材65を凹部43に嵌め込む。次に、図9に示すように、当該嵌め込み部分を支点にして縦格子5の下端を屋内側に回動させて、第1位置決め部59の先端部および第2位置決め部61の下面を縦格子支持部36の上面に当接させるとともに、屋内側延出部58を突出部材33の屋内面に当接させることで、支柱3と格子材51とが略平行となるように縦格子5を位置決めする。この後、作業者が縦格子5を縦格子支持部36上に仮置きして、ビス63によって下胴縁連結部材55を突出部材33に固定することで、縦格子5の取付作業が完了する。そして、全ての縦格子5について上述の作業を行うことで、手摺1の施工が完了する。
【0024】
以上のような実施形態によれば、以下の効果がある。
(1)手摺1を構成する支柱3に、縦格子支持部36を設け、手摺笠木4の下面に凹部43を設けている。そして、縦格子5の上端に、上胴縁連結部材65を設け、縦格子5の下端に、縦格子支持部36で支持される被支持部60と、当該被支持部60の見込み方向の一方側に配置された第1,第2位置決め部59,61とを有する下胴縁連結部材55を設けている。
このため、上述したように、縦格子5の被支持部60を縦格子支持部36で支持させてから、縦格子支持部36を支点にして縦格子5を回動させ、その後、縦格子5を上方に移動させて上胴縁連結部材65を凹部43に嵌め込み、縦格子5の下端を回動させて第1,第2位置決め部59,61により縦格子5を位置決めすることで、施工を完了することができる。
したがって、施工途中に新たな部品を取り付けることがないため、手摺1を容易に施工できる。また、縦格子5を回動させるだけの簡単な手順で、上胴縁連結部材65を凹部43に嵌め込むことができるとともに、縦格子5を位置決めできる。
【0025】
(2)断面略コ字状の下胴縁連結部材55内に突出する第1,第2位置決め部59,61を設けるとともに、笠木対向部56における空間Sに面する部分で被支持部60を構成している。
このため、断面略コ字状の部材に突片状の部位を設けるだけの簡単な構成で、上述の効果を奏することができる手摺1を提供できる。
【0026】
(3)支柱3と手摺笠木4とを組み立てた後に縦格子5を取り付けることができ、手摺1の施工が容易になる。
また、上胴縁連結部材65を凹部43に嵌め込んだ状態で、縦格子5を縦格子支持部36上に仮置きすることができるため、手摺1の施工が容易になる。
さらに、下胴縁連結部材55内の第1,第2位置決め部59,61を縦格子支持部36に載せることで、縦格子5を支持する構造を採用している。このため、デザインにより縦格子5と下笠木2との隙間が小さい場合であっても、縦格子5を支持するためのスペーサを笠木対向部56と縦格子支持部36との隙間に挿入する必要がなく、施工が容易になる。
【0027】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、図10(A)に示すような手摺笠木4Aおよび嵌合部としての上胴縁連結部材65Aを適用してもよい。上胴縁連結部材65Aは、上記実施形態の一対の嵌合突部67のうち一方を備えない構成を有している。手摺笠木4Aの被嵌合部としての凹部43Aは、手摺笠木4Aの見込み方向の一方側のみに形成されている。
また、図10(B)に示すような位置決め部64Bを有する係合部としての下胴縁連結部材55Bを適用してもよい。位置決め部64Bは、上記実施形態の第1位置決め部59の先端と第2位置決め部61の先端とをつなげた形状を有している。そして、下胴縁連結部材55における位置決め部64Bよりも屋外側延出部57側の領域によって、被支持部60が構成されている。
【0028】
さらに、手摺材としては、図11に示すように、縦格子5の代わりに、格子材51の間隔が広い縦格子5C、上下に並ぶ格子材51Dを有する横格子5D、ガラスやアクリル板などのパネル51Eを有するパネルユニット5E、金網51Fを有する金網フェンス5Fを適用してもよい。
また、第1,第2位置決め部59,61のうち一方を設けなくてもよい。
さらに、手摺笠木4に嵌合部としての凸部を設けるとともに、縦格子5に被嵌合部としての凹部を設けてもよい。
【0029】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0030】
1…手摺(建具)、3…支柱、4,4A…手摺笠木、5,5C…縦格子(手摺材)、5D…横格子(手摺材)、5E…パネルユニット(手摺材)、5F…金網フェンス(手摺材)、36…縦格子支持部(手摺材支持部)、43,43A…凹部(被嵌合部)、55,55B…下胴縁連結部材(係合部)、56…笠木対向部(係合基部)、59,61…第1,第2位置決め部(係合突部)、60…被支持部、64B…位置決め部、65,65A…上胴縁連結部材(嵌合部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11