【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による同軸ニードルは、ピペット装置のためのものであり、ピペット容器から液体を抜き取るための中空吸引ランスと、吸引ランスを少なくとも部分的に包囲する中空挿入ランスであって、吸引ランスの外壁と挿入ランスの内壁との間に、ピペット容器内に液体を供給するための液体ダクトが形成される、中空挿入ランス(16)と、を備える。
【0010】
液体ダクトは、特に、吸引ランスの外壁と挿入ランスの内壁との間の全体の中空空間を備える。
【0011】
本発明による同軸ニードルは、液滴注入及び連続流での注入の両方において、注入されるべき液体の量を慎重且つ正確に測ることを可能とする。
【0012】
好ましい実施形態において、挿入ランスは同軸的に吸引ランスを包囲する。これにより、特に液体の注入でさえ達成可能となる。
【0013】
さらに好ましい実施形態においては、吸引ランス及び/又は挿入ランスは、中空シリンダー又は中空円錐台の形状に設計される。
【0014】
さらに、好ましい実施形態においては、吸入ランスは、ピペット容器からの液体の吸い上げのための第1開放端と、第1開放端と軸方向反対側に配置された、吸い上げられた液体の吸引除去ノズルへの移送のための第2開放端(20)と、を含む。
【0015】
さらに、挿入ランスは、好ましくは、ピペット容器への液体の移送のための第1開放端と、第1開放端と軸方向反対側の、挿入ノズルからの液体の吸い上げのための第2開放端と、を含む。
【0016】
注入されるべき液体は、挿入ランスの第2開放端を介して挿入ノズルから液体ダクトに供給可能であり、挿入ランスの第2開放端の軸方向反対側の第1開放端を介してピペット容器内に供給可能である。同様に、ピペット容器からの液体を、吸引によって、吸引ランスの第1開放端を通って吸引ランスの内部に除去可能であり、ここから液体を、第1開放端の軸方向反対側に位置する第2開放端を介して吸引除去ノズルに搬送可能である。本発明による同軸ニードルによって、液体を迅速に且つ計量してピペット容器内に注入可能であり、また、液体をピペット容器から除去可能である。
【0017】
好ましい実施形態においては、挿入ランスの第1開放端は挿入先端部を含む。特に、挿入ランスの第1開放端は、傾斜するようにして尖らせることができる。このようにして、カバーによって密封されたピペット容器にもまた液体を供給することが可能であり、また、そのようなピペット容器から液体を除去することが可能である。
【0018】
さらに好ましい実施形態においては、吸引ランスの第1開放端が挿入ランスの内部に配置されている。一方では、このような構成により、密封されたピペット容器を穿孔する際に吸引ランスが損傷を受けることを効果的に防止できるという利点がある。他方では、挿入ランスの内部に吸引ランスを配置する構成は、液体の計量に対して有利な効果をもたらす。液体ダクトに進入する液体は、吸引ランスの周りを流れてこれを濡らし、ピペット容器内に供給される前に、吸引ランスの開放端に集まり、所定サイズの液滴を形成する。
【0019】
好ましい実施形態においては、挿入ランスの第2開放端は、挿入漏斗を含む。これにより、挿入ノズルから液体ダクトへの液体の注入を簡略化することできる。
【0020】
さらに好ましい実施形態においては、吸引ランス及び挿入ランスは、共通の軸方向に沿って移動させることができる。これにより、各ランスは、吸引によって液体をピペット容器内に供給し又は除去するために、降下させることができる。
【0021】
吸引ランス及び挿入ランスは、特に、軸方向に沿って互いに独立して移動することができる。これにより、例えば、吸引ランスを挿入ランスから移動させることができ、液体を抜き取るためにピペット容器の底部まで降下させることができる。
【0022】
本発明によるピペット装置においては、挿入ランスの第2開放端は、好ましくは、第1接続配管を介して第1リザーバに接続されており、さらに、吸引ランスの第2開放端は、第2接続配管を介して第2リザーバに接続されている。
【0023】
このようにして、ピペット容器内に供給されるべき液体は、第1接続配管を介して第1リザーバから除去可能であり、ピペット容器から吸引によって除去された液体は、第2接続配管を介して第2リザーバに供給される。
【0024】
第1接続配管は、挿入ランスと第1リザーバとの間に配置された供給弁を含むことができ、供給バルブは挿入ランスの第2開放端に近接して配置され、第2開放端は、好ましくは、第1接続配管の内径の10倍よりも小さく、又は2cm以下である。挿入ランスの第2開放端に近接して配置され、これにより液体ダクトに近接する供給バルブによって、注入時点及び注入量を極めて正確に決定することができる。
【0025】
好ましい実施形態においては、第2接続配管は、吸引ランスの第2開放端と第2リザーバとの間に吸引除去バルブを備えている。
【0026】
供給バルブ及び/又は吸引除去バルブは、好ましくは電子制御可能な3/2バルブである。
【0027】
さらに好ましい実施形態においては、第1リザーバは、第1圧力配管を介して第1圧力源に接続されている。これにより、第1接続配管を介して液体を液体ダクトに供給することが可能であり、第1圧力配管を介して第1圧力源によって第1リザーバが加圧され、供給バルブを用いて計量が制御される。このようにして、正確に計量された液体を、圧力の急増(サージ)によってピペット容器内に注入することができる。
【0028】
好ましい実施形態においては、圧力源は、窒素圧力源である。
【0029】
有利な実施形態においては、第1圧力配管は、第1リザーバと第1圧力源との間に、減圧器及び/又はフィルターを備えている。減圧器は、作動圧範囲を設定することを可能とし、フィルターは、リザーバ及びその中に貯蔵された液体を汚染から防護する。
【0030】
好ましい実施形態においては、第2リザーバは、第2圧力配管によって負圧源に接続されている。このようにして、第2リザーバと、前記第2リザーバに接続された第2接続配管は、負圧を受けることが可能であり、吸引除去バルブを制御することにより、液体は、吸引ランスを介してピペット容器から第2接続配管内に抜き取られ、そこから第2リザーバ内に抜き取られることができる。
【0031】
さらに好ましい実施形態においては、負圧源は真空ポンプを含む。代替の実施形態においては、負圧源は、第1圧力源に接続されたベンチュリノズルを含み、ベンチュリノズルは、第1圧力源の過圧を負圧に変換する。この実施形態においては、液体は、ピペット容器内に注入することもできるし、単一の圧力源を用いてピペット容器から吸引により除去することもできる。
【0032】
有利な実施形態においては、挿入ランスは、第1駆動ユニットに接続され、吸引ランスは第2駆動ユニットに接続される。第1及び/又は第2駆動ユニットは、好ましくは、空気圧駆動ユニットである。
【0033】
挿入ランス及び吸引ランスの駆動を空気圧で行うことにより、駆動ユニットによって占有される設計空間を大幅に縮小することができる。そのため、2つの駆動ユニットを持つ同軸ニードルは、有利には、同軸ニードルの軸方向に沿った設計高さが4cmを超えない可動ピペットユニットを一緒に形成することができる。軸方向における低い設計高さは、特に、そのようなピペットユニットを、ステージ又はピペット容器と顕微鏡の照明装置との間の空間内に、顕微鏡の操作を妨げることなく、又は顕微鏡の設計変更を必要とすることなく、移動させることを可能とする。
【0034】
好ましい実施形態においては、第1駆動ユニットは、第1圧力ピストンと共に、第1接続要素及び第1締結要素又は締結手段を含み、第1締結手段は、挿入ランスに接続可能であり、第1接続要素を介して第1圧力ピストンに接続可能である。第2駆動ユニットは、第2圧力ピストンと共に、第2接続要素及び第2締結要素を含み、第2締結要素又は締結手段は、吸引ランスに接続され、第2接続要素を介して第2圧力ピストンに接続可能である。
【0035】
好ましい実施形態においては、第1締結要素は、さらに、第1リザーバから液体を吸い上げるための挿入ノズルを含み、第2締結要素は、吸い上げた液体を第2接続配管を介して第2リザーバに搬送するための吸引除去ノズルを含む。このようにして、ピペットユニットによって占有される設計空間をさらに減少させることができる。
【0036】
さらに好ましい実施形態においては、第1締結要素は、スプリングを介して第2締結要素に接続され、駆動ピンを介して接続可能である。このようにして、挿入ランス及び吸引ランスは、例示の実施形態を参照して以下に説明されているように、単一の駆動ユニットのみを使用してピペット容器内に一緒に降下される。
【0037】
有利な実施形態においては、第1駆動ユニットは、第3圧力配管を介して第2圧力源に接続され、第2駆動ユニットは、第4圧力配管を介して前記第2圧力源に接続される。好ましい実施形態においては、第2圧力源は、第1圧力源と同じものである。そのような構成においては、同軸ニードルの両方のランス、及び液体は、単一の圧力源を用いて駆動可能である。このようにして、非常にコンパクトで且つ効率的なピペット装置が提供される。
【0038】
好ましい実施形態においては、第3圧力配管は、第1急速排出スロットルバルブと共に第1駆動バルブを含み、第1急速排出スロットルバルブは、第1圧力ピストンと第1駆動バルブとの間に配置されている。
【0039】
急速排出スロットルバルブは、第1駆動ユニットにおいて、よりゆっくりとした圧力上昇をもたらし、これにより、挿入ランスをその軸方向に沿って降下させる際の移動速度を低下させることができる。
【0040】
同様に、第4圧力配管は、第2急速排出スロットルバルブと共に第2駆動バルブを含み、第2急速排出スロットルバルブは、第2圧力ピストンと第2駆動バルブとの間に配置されている。
【0041】
好ましい実施形態においては、第1駆動バルブ及び第2駆動バルブは、電子制御可能な3/2バルブである。
【0042】
好ましい実施形態においては、本発明によるピペット装置は、同軸ニードルの軸方向に垂直な方向に移動可能なピペットユニットを含み、ピペットユニットは、第1駆動ユニット及び第2駆動ユニットと共に同軸ニードルを含み、軸方向に沿ったピペットユニットの設計高さは4cmを超えない。
【0043】
本発明は、また、ピペット容器に液体を供給するためのピペット及びピペットを移動させるための駆動ユニットを備えたピペット装置に関し、駆動ユニットは、空気圧駆動ユニットであり、第3圧力配管を介して第1圧力源に接続されている。
【0044】
上述したように、空気圧駆動は、非常にコンパクトなピペット装置を提供することが可能であり、特にピペットの軸方向に沿った設計高さが低いピペットユニットを提供することができ、ピペット装置はピペット及び駆動ユニットを含む。
【0045】
有利な実施形態においては、ピペット装置は、追加的に、ピペットを第1リザーバに接続する第1接続配管を含み、第1リザーバは第1圧力配管を介して第1圧力源に接続されている。このようにして、ピペットを移動させるための駆動ユニット及び液体を注入するための注入装置の両方を、共有の圧力源を介して操作可能であり、これにより、再び、非常にコンパクトで効率的なピペット装置が得られる。
【0046】
本発明によるピペット装置のピペットは、液体をピペット容器から抜き取るための設計とすることもでき、第2接続配管を介して第2リザーバに接続することも可能であり、第2リザーバは、第2圧力配管を介して負圧源に接続されている。
【0047】
次に負圧源は、第1圧力源に接続されたベンチュリノズルを含むことができ、これにより上述の利点が得られる。
【0048】
本発明は、また、上述の特徴を備えたピペット装置を持つ顕微鏡に関する。特に、顕微鏡は、倒立顕微鏡とすることができる。
【0049】
最後に、本発明は、中空吸引ランス及び吸引ランスを少なくとも部分的に包囲する中空挿入ランスを持つ同軸ニードルをピペット容器の上に配置する工程と、吸引ランス及び挿入ランスをピペット容器内に一緒に移動させる工程と、液体のための第1リザーバから、吸引ランスの外壁と挿入ランスの内壁との間に配置された液体ダクトに液体を供給する工程と、液体ダクトからピペット容器内に液体を供給する工程と、を備えた、ピペット操作のための方法に関する。
【0050】
好ましい実施形態においては、吸引ランスの第1端は挿入ランスの内部に配置されており、これにより、ピペット容器と反対の端部である吸引ランスの第1開放端と、ピペット容器と反対の開放端である挿入ランスの第1開放端との間の距離が、ピペット容器内への液体の注入中、少なくとも1mmである。上述したように、この方法にて、液体ダクト内の液滴形成を促進し、飛散無しの注入が可能となる。
【0051】
さらに好ましい実施形態においては、液体は、液滴毎にピペット容器内に供給され、液滴の量は、ピペット容器の反対の端部である吸引ランスの第1開放端と、ピペット容器の反対側の端部である挿入ランスの第1開放端との間の距離を選択することによって設定される。この距離は、ピペット容器内への液体の注入中、好ましくは少なくとも1mmである。
【0052】
好ましい実施形態においては、吸引ランス及び挿入ランスを移動させる工程は、ピペット容器のカバーの貫通を含む。
【0053】
さらに好ましい実施形態においては、液体は、圧力の急増(サージ)によってピペット容器内に注入される。上述したように、このようにして、液体の注入量を効果的に測定することが可能であり、注入の時点を正確に決定することができる。
【0054】
さらに、好ましい実施形態においては、本発明による方法は、吸引ランスの第2開放端を第1負圧源に接続する工程と共に、液体ダクトから吸引ランスの内部を介して液体のための第2リザーバ内に過剰の液体を吸引により除去する工程を追加的に含む。
【0055】
液体ダクトから吸引により過剰な液体を除去することにより、過剰量の液体がピペット容器内に意図せずに注入される危険を低減することができる。さらに、本発明による方法を使用することにより、吸引による除去によって液体ダクトを簡単に清掃することができる。これは特に、試験シリーズ中又は次の試験シリーズとの間において供給すべき液体を変更する場合であって、それまで使用していた液体の残りによって次に使用する液体が汚染されることを避けなければならない場合において有利である。
【0056】
さらに好適な実施形態においては、本発明による方法は、吸引ランスの第1開放端がピペット容器内の液体の容積内に浸漬されるまで、吸引ランス及び挿入ランスの共通の軸方向に沿って吸引ランスを移動させる工程と、吸引ランスの第2開放端を第2負圧源に接続する工程と、吸引によって液体をピペット容器から吸引ランスの内部を通って液体のための第3リザーバ内に除去する工程と、を更に備える。
【0057】
吸引ランスは、挿入ランスとは独立に共通の軸方向に沿って降下させることができるので、ピペット容器の内部から、液面が低い場合でも、吸引により効果的且つ完全に液体を除去することができる。
【0058】
好ましい実施形態においては、第2負圧源及び第1負圧源は同じものであり、及び/又は、液体のための第3リザーバ及び液体のための第2リザーバは同じものである。