【文献】
Mol. Cancer Res., 2008, 6(10), pp.1521-1533
【文献】
J. Mol. Biol., 2008 (Available online 15 Dec. 2007), 376(4), pp.1182-1200
【文献】
Cancer Biol. Ther., 2006, 5(9), pp.1179-1186
【文献】
Sambrook & Russell,"Molecular Cloning, A Laboratory Manual",3rd. Ed.,2001,Vol.2,10.47
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ERKおよび/またはAktのリン酸化を阻害するのに加えて、MST1Rのリガンド依存的および/または非依存的リン酸化を阻害する請求項1に記載の抗体またはその機能性断片。
ERKおよび/またはAktのリン酸化を阻害するのに加えて、MST1Rのリガンド依存的および非依存的リン酸化を阻害する請求項1に記載の抗体またはその機能性断片。
前記疾患または状態が乳がん、肺がん、結腸がん、膀胱がん、皮膚がん、膵臓がん、神経膠腫、リンパ腫、前立腺がん、甲状腺がん、卵巣がん、胃がん、肝臓がんまたは胃がんである請求項26に記載の医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】様々な新規抗体可変重鎖領域のアミノ酸配列を提示し、CDRおよびフレームワーク(FR)領域を示す図である。VH3配列(配列番号80)は、MOR07692、MOR07923、MOR07924、MOR07925、MOR07926の可変重鎖領域配列(配列番号19)とアライメントされており、VH5配列(配列番号81)は、MOR07919の可変重鎖領域配列(配列番号21)とアライメントされている。
【
図2A】様々な新規抗体可変軽鎖領域のアミノ酸配列を提示し、CDRおよびフレームワーク(FR)領域を示す図である。VLκ3配列(VLk3;配列番号82)は、MOR07692(配列番号23)、MOR07923(配列番号27)、MOR07924(配列番号29)、MOR07925(配列番号31)、MOR07926(配列番号33)の可変軽鎖領域配列とアライメントされており、VLλ3配列(VLl3;配列番号83)は、MOR07919の可変軽鎖領域配列(配列番号25)とアライメントされている。
【
図2B】様々な新規抗体可変軽鎖領域のアミノ酸配列を提示し、CDRおよびフレームワーク(FR)領域を示す図である。VLκ3配列(VLk3;配列番号82)は、MOR07692(配列番号23)、MOR07923(配列番号27)、MOR07924(配列番号29)、MOR07925(配列番号31)、MOR07926(配列番号33)の可変軽鎖領域配列とアライメントされており、VLλ3配列(VLl3;配列番号83)は、MOR07919の可変軽鎖領域配列(配列番号25)とアライメントされている。
【
図3A】
図3A(MOR07692、MOR07923、MOR07924、MOR07925、MOR07926;配列番号18)は、様々な新規抗体可変重鎖領域の核酸配列を提示する図である。
【
図3B】
図3B(MOR07919;配列番号20)は、様々な新規抗体可変重鎖領域の核酸配列を提示する図である。
【
図3C】
図3C(MOR07692、MOR07923、MOR07924、MOR07925、MOR07926;配列番号19)は、様々な新規抗体可変重鎖領域のアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域H−CDR1、H−CDR2、およびH−CDR3は、N末端からC末端に向けて指定され、太字体と下線で表されている。
【
図3D】
図3D(MOR07919;配列番号21)は、様々な新規抗体可変重鎖領域のアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域H−CDR1、H−CDR2、およびH−CDR3は、N末端からC末端に向けて指定され、太字体と下線で表されている。
【
図4A】
図4A(MOR07692;配列番号22)は、様々な新規な抗体可変軽鎖領域の核酸配列を提示する図である。
【
図4B】
図4B(MOR07919;配列番号24)は、様々な新規な抗体可変軽鎖領域の核酸配列を提示する図である。
【
図4C】
図4C(MOR07923;配列番号26)は、様々な新規な抗体可変軽鎖領域の核酸配列を提示する図である。
【
図4D】
図4D(MOR07924;配列番号28)は、様々な新規な抗体可変軽鎖領域の核酸配列を提示する図である。
【
図4E】
図4E(MOR07925;配列番号30)は、様々な新規な抗体可変軽鎖領域の核酸配列を提示する図である。
【
図4F】
図4F(MOR07926;配列番号32)は、様々な新規な抗体可変軽鎖領域の核酸配列を提示する図である。
【
図4G】
図4G(MOR07692;配列番号23)は、様々な新規な抗体可変軽鎖領域のアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域L−CDR1、L−CDR2、およびL−CDR3は、N末端からC末端に向けて指定され、太字体と下線で表されている。
【
図4H】
図4H(MOR07919;配列番号25)は、様々な新規な抗体可変軽鎖領域のアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域L−CDR1、L−CDR2、およびL−CDR3は、N末端からC末端に向けて指定され、太字体と下線で表されている。
【
図4I】
図4I(MOR07923;配列番号27)は、様々な新規な抗体可変軽鎖領域のアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域L−CDR1、L−CDR2、およびL−CDR3は、N末端からC末端に向けて指定され、太字体と下線で表されている。
【
図4J】
図4J(MOR07924;配列番号29)は、様々な新規な抗体可変軽鎖領域のアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域L−CDR1、L−CDR2、およびL−CDR3は、N末端からC末端に向けて指定され、太字体と下線で表されている。
【
図4K】
図4K(MOR07925;配列番号31)は、様々な新規な抗体可変軽鎖領域のアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域L−CDR1、L−CDR2、およびL−CDR3は、N末端からC末端に向けて指定され、太字体と下線で表されている。
【
図4L】
図4L(MOR07926;配列番号33)は、様々な新規な抗体可変軽鎖領域のアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域L−CDR1、L−CDR2、およびL−CDR3は、N末端からC末端に向けて指定され、太字体と下線で表されている。
【
図5】様々なコンセンサスベースのヒトコンビナトリアル抗体ライブラリー(HuCAL(登録商標))の抗体マスター遺伝子配列の可変重鎖領域のアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域H−CDR1、H−CDR2、およびH−CDR3は、N末端からC末端に向けて指定され、下線で表されている。上側の行は、MOR07919(配列番号21)であり、下側の行は、MOR07692/7923/7924/7925/7926(配列番号19)である。
【
図6】様々なコンセンサスベースHuCALの抗体マスター遺伝子配列の可変軽鎖領域のアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域L−CDR1、L−CDR2、およびL−CDR3は、N末端からC末端に向けて指定され、下線で表されている。2セットの行は、上から下に向けて以下の通りである:それぞれMOR07919(配列番号25)、MOR07692(配列番号23)、MOR07923(配列番号27)、MOR07924(配列番号29)、MOR07925(配列番号31)、MOR07926(配列番号33)。
【
図7A】pMORPH(登録商標)2_h_IgG1fから発現される、様々な新規抗体重鎖の核酸配列およびアミノ酸配列(
図7A:MOR07919)を提示する図である。CDR領域は、太字体および下線で表されている。VHリーダーおよび重鎖定常領域のアミノ酸配列は、それぞれ斜字体または斜字体および太字体で示されている。配列決定プライマーの制限部位およびプライミング部位が配列の上または配列の下に指定されている。
図7Aの核酸配列は配列番号64によって表され、アミノ酸配列は配列番号65である。
【
図7B】pMORPH(登録商標)2_h_IgG1fから発現される、様々な新規抗体重鎖の核酸配列およびアミノ酸配列(
図7B:MOR07692、MOR07923、MOR07924、MOR07925、およびMOR07926)を提示する図である。CDR領域は、太字体および下線で表されている。VHリーダーおよび重鎖定常領域のアミノ酸配列は、それぞれ斜字体または斜字体および太字体で示されている。配列決定プライマーの制限部位およびプライミング部位が配列の上または配列の下に指定されている。
図7Bの核酸配列は配列番号66によって表され、アミノ酸配列は配列番号67である。
【
図8】pMORPH(登録商標)2_h_Ig_lambda2から発現される、新規抗体ラムダ軽鎖(MOR07919)の核酸配列(配列番号68)およびアミノ酸配列(配列番号69)を提示する図である。CDR領域は、太字体および下線で表されている。VLリーダーおよびラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列は、それぞれ斜字体または斜字体および太字体で示されている。配列決定プライマーの制限部位およびプライミング部位が配列の上または配列の下に指定されている。
【
図9A】pMORPH(登録商標)2_h_Ig_カッパから発現される、様々な新規抗体カッパ軽鎖の核酸配列およびアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域は、太字体および下線で表されている。VLリーダーおよびカッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列は、それぞれ斜字体または斜字体および太字体で示されている。配列決定プライマーの制限部位およびプライミング部位が配列の上または配列の下に指定されている。
図9Aの核酸配列は配列番号70によって表され、アミノ酸配列は配列番号71(MOR07692)である。
【
図9B】pMORPH(登録商標)2_h_Ig_カッパから発現される、様々な新規抗体カッパ軽鎖の核酸配列およびアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域は、太字体および下線で表されている。VLリーダーおよびカッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列は、それぞれ斜字体または斜字体および太字体で示されている。配列決定プライマーの制限部位およびプライミング部位が配列の上または配列の下に指定されている。
図9Bの核酸配列は配列番号72によって表され、アミノ酸配列は配列番号73(MOR07923)である。
【
図9C】pMORPH(登録商標)2_h_Ig_カッパから発現される、様々な新規抗体カッパ軽鎖の核酸配列およびアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域は、太字体および下線で表されている。VLリーダーおよびカッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列は、それぞれ斜字体または斜字体および太字体で示されている。配列決定プライマーの制限部位およびプライミング部位が配列の上または配列の下に指定されている。
図9Cの核酸配列は配列番号74によって表され、アミノ酸配列は配列番号75(MOR07924)である。
【
図9D】pMORPH(登録商標)2_h_Ig_カッパから発現される、様々な新規抗体カッパ軽鎖の核酸配列およびアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域は、太字体および下線で表されている。VLリーダーおよびカッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列は、それぞれ斜字体または斜字体および太字体で示されている。配列決定プライマーの制限部位およびプライミング部位が配列の上または配列の下に指定されている。
図9Dの核酸配列は配列番号76によって表され、アミノ酸配列は配列番号77(MOR07925)である。
【
図9E】pMORPH(登録商標)2_h_Ig_カッパから発現される、様々な新規抗体カッパ軽鎖の核酸配列およびアミノ酸配列を提示する図である。CDR領域は、太字体および下線で表されている。VLリーダーおよびカッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列は、それぞれ斜字体または斜字体および太字体で示されている。配列決定プライマーの制限部位およびプライミング部位が配列の上または配列の下に指定されている。
図9Eの核酸配列は配列番号78によって表され、アミノ酸配列は配列番号79(MOR07926)である。
【
図10】MSTIRオーソログに対する単離された抗体(MorphoSys IgG1、2μg/ml)の交差反応性を実証するFACS分析を提示する図である。
【
図11】PBS対照と比較した、ヒトMST1Rの25〜571部分に対するMOR07692、MOR07919、MOR07923、MOR07924、MOR07925、およびMOR07926の結合活性を示す図である。n=3のt検定分析を用いると、p値は以下の通りである:MOR07692:4.56E−07;MOR07919:1.43E−05;MOR07923:2.10E−05;MOR07924:1.42E−06;MOR07925:9.74E−07;およびMOR07926:1.53E−06。
【
図12】リガンドの非存在下におけるElk1トランスレポーター抑制活性を示す図である。t検定分析、および5μg/mlの抗体濃度を用いると、p値は以下の通りである:MOR07692:5.39E−06;MOR07919:3.19E−04;およびMOR07925:3.78E−05。
【
図13】570nmを参照にして450nmの吸光度を様々な時点(分)でhIgG対照と比較した、MOR07692による、200ng/mlのMSPによって誘導されたリン酸化の阻害を示す図である。5分の時点では、p値は5.43E−05であり、15分の時点では、p値は4.76E−06である。
【
図14】架橋された抗体1μg/mlの存在下または非存在下において抗体無しおよびhIgG対照と比較した、1μg/mlのMOR07692による、100ng/mlのMSPによって誘導された、ERKのリン酸化の阻害を例証するウェスタンブロットを示す図である。
【
図15】100ng/mlのMSPの存在下または非存在下における、MSP誘導の細胞増殖(%)に対する、特定の抗体または無抗体対照の阻害活性を示す図である。様々な抗体について、p値は以下の通りである:MOR07692:0.0001;MOR07919:0.2037;MOR07923:0.0106;MOR07924:0.0203;MOR07925:0.0042;およびMOR07926:0.0044。
【
図16】示されている抗MST1R抗体による、MSP誘導の移動の阻害を示す図である。
【
図17】示されている抗MST1R抗体の細胞内在化誘導能力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、MST1Rに特異的であるか、または高親和性を有し、かつ個体に治療的有用性をもたらすことができる新規な抗体の発見に基づいている。本明細書に開示の抗体は、ヒトまたはヒト化抗体であり得、多くのコンテクストで用いることができる。これらについては、本明細書において、さらに完全に記載されている。
【0019】
「ヒト」抗体または機能性ヒト抗体断片は、ここで、キメラではなく(例えば、「ヒト化」ではない)、かつ(全体的または部分的に)非ヒト種由来でないものと定義される。ヒト抗体または機能性抗体断片は、ヒトから得られるものであり得、あるいは合成ヒト抗体であり得る。「合成ヒト抗体」は、本明細書では、既知のヒト抗体配列の分析に基づいた合成配列から全体的または部分的にin silicoで得られる配列を有する抗体と定義される。ヒト抗体配列またはその断片のin silico設計は、例えば、ヒト抗体配列または抗体断片配列のデータベースを分析し、そこから得られたデータを利用したポリペプチド配列を創出することによって実現できる。ヒト抗体または機能性抗体断片の別の例は、ヒト起源の抗体配列のライブラリー(すなわち、そのようなライブラリーはヒト天然源から得られた抗体に基づいている)から単離される核酸によってコードされるものである。
【0020】
「ヒト化抗体」または機能性ヒト化抗体断片は、本明細書では、(i)非ヒト供給源(例えば、異種免疫系を有するトランスジェニックマウス)から得られるものであり、ヒト生殖系列配列に基づく抗体;または(ii)可変ドメインが非ヒト起源から得られ、定常ドメインがヒト起源から得られるキメラであるもの;または(iii)可変ドメインのCDRが非ヒト起源から得られ、一方、可変ドメインの1つまたは複数のフレームワークがヒト起源のものであり、かつ(もしあるならば)定常ドメインがヒト起源のものである、相補性決定領域(CDR)移植されたもの、と定義される。
【0021】
本明細書で使用される場合、抗体が抗原(ここでは、MST1R)「に特異的に結合する」とは、そのような抗原と1つまたは複数の参照抗原とをそのような抗体が識別できる場合に、抗原「に対して/に特異的である」、または抗原を「特異的に認識する」ことである。これは、結合特異性が絶対的なものではなく、相対的特性であるためである。その最も一般的な形態において(かつ特定された参照が言及されていない場合)、「特異的な結合」は、例えば下記の方法の1つに従って決定される、対象とする抗原と、無関係の抗原とを識別する抗体の能力を指している。そのような方法は、ウェスタンブロット、ELISA試験、RIA試験、ECL試験、IRMA試験、およびペプチドスキャンを含むが、これらに限定されない。例えば、標準的なELISAアッセイを実行することができる。スコアリングは、標準的な発色(例えば、ホースラディッシュペルオキシド付きの二次抗体とテトラメチルベンジジンおよび過酸化水素)によって行うことができる。特定のウェル内の反応が、例えば450nmの光学濃度によってスコアリングされる。典型的なバックグランド(=陰性反応)は、0.1ODであり得、典型的な陽性反応は、1ODであり得る。これは、陽性/陰性差が10倍超であり得ることを意味する。典型的には、結合特異性の決定は、粉ミルク、BSA、トランスフェリンまたは同様のものなど、単一の参照抗原ではなく、およそ3種から5種の無関係な抗原のセットを用いることによって行われる。
【0022】
しかし、「特異的な結合」は、標的抗原と、基準点として使用される1つまたは複数の密接に関連した抗原との識別、例えば標的MST1Rと標的セマホリンとの識別を行う抗体の能力も指し得る。加えて、「特異的な結合」は、その標的抗原の異なった部分、例えば、標的MST1RのN末端領域もしくはC末端領域中のエピトープなど、MST1Rの異なったドメインもしくは領域相互の識別、または標的MST1Rの1つもしくは複数の主要なアミノ酸残基もしくはアミノ酸残基のストレッチ相互の識別を行う抗体の能力に関係し得る。
【0023】
また、本明細書で使用される場合、「免疫グロブリン」(Ig)は、ここで、IgG、IgM、IgE、IgAまたはIgDクラス(またはその任意のサブクラス)に属するタンパク質と定義され、従来知られている抗体およびそれらの機能性断片すべてを含む。抗体/免疫グロブリンの「機能性断片」は、ここで、抗原結合領域を保持する抗体/免疫グロブリンの断片(例えば、IgGの可変領域)と定義される。抗体の「抗原結合領域」は、典型的には、抗体の1つまたは複数の超可変領域、すなわち、CDR−1、CDR−2および/またはCDR−3領域にある。しかし、可変「フレームワーク」領域も、CDRに足場を提供することなどによって、抗原結合に重要な役割を果たすことができる。様々な実施形態で、「抗原結合領域」は、少なくとも可変軽(VL)鎖のアミノ酸残基4から103および可変重(VH)鎖のアミノ酸残基5から109、VLのアミノ酸残基3から107およびVHのアミノ酸残基4から111を含み、完全なVL鎖およびVH鎖である(VLのアミノ酸位置1から109およびVHのアミノ酸位置1から113;WO97/08320による付番)。本明細書に記載の実施形態で使用するための免疫グロブリンの例示的クラスはIgGである。本発明の「機能性断片」には、F(ab’)
2断片、Fab断片、およびscFvのドメインが含まれる。F(ab’)
2またはFabは、CH1ドメインとCLドメインとの間に生じる分子間ジスルフィド相互作用を最小にするか、または完全に除去するように構築できる。
【0024】
本明細書に記載の抗体は、in silico設計され、合成により生成された核酸によってコードされたアミノ酸配列に基づいた組換え体抗体ライブラリーから得ることができる。抗体配列のin silico設計は、例えば、ヒト配列のデータベースを分析し、そこから得られたデータを利用してポリペプチド配列を創出することによって実現される。in silico生成配列を設計および取得する方法は、例えば、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれている、Knappikら、J.Mol.Biol.296:57〜86、2000;Krebsら、J.Immunol.Methods.254:67〜84、2001;およびKnappikらに発行された米国特許第6,300,064号に記載されている。
(本明細書に記載の抗体)
この開示を通して、次の代表的抗体、すなわち「抗体nos.」または「LACS」または「MOR」Xに言及する。MOR Xは、配列番号18または20(DNA)/配列番号19または21(タンパク質)に対応する可変重鎖領域ならびに配列番号22、24、26、28、30および32(DNA)/配列番号23、25、27、29、31および33(タンパク質)からなる群から選択される可変軽鎖領域を有する抗体を表す。
【0025】
一例では、本開示は、配列番号18(DNA)/配列番号19(タンパク質)に対応する可変重鎖領域および配列番号22(DNA)/配列番号23(タンパク質)に対応する可変軽鎖を有する抗体を提供する。
【0026】
一例では、本開示は、配列番号20(DNA)/配列番号21(タンパク質)に対応する可変重鎖領域および配列番号24(DNA)/配列番号25(タンパク質)に対応する可変軽鎖を有する抗体を提供する。
【0027】
一例では、本開示は、配列番号18(DNA)/配列番号19(タンパク質)に対応する可変重鎖領域および配列番号26(DNA)/配列番号27(タンパク質)に対応する可変軽鎖を有する抗体を提供する。
【0028】
一例では、本開示は、配列番号18(DNA)/配列番号19(タンパク質)に対応する可変重鎖領域および配列番号28(DNA)/配列番号29(タンパク質)に対応する可変軽鎖を有する抗体を提供する。
【0029】
一例では、本開示は、配列番号18(DNA)/配列番号19(タンパク質)に対応する可変重鎖領域および配列番号30(DNA)/配列番号31(タンパク質)に対応する可変軽鎖を有する抗体を提供する。
【0030】
一例では、本開示は、配列番号18(DNA)/配列番号19(タンパク質)に対応する可変重鎖領域および配列番号32(DNA)/配列番号33(タンパク質)に対応する可変軽鎖を有する抗体を提供する。
【0031】
別の態様では、本開示は、下記の抗体を提供する。
【0032】
一例では、本開示は、配列番号1または4のアミノ酸配列を有するH−CDR3(重鎖CDR3)領域を含有する抗原結合領域を含有する抗体を提供し;該抗原結合領域は、配列番号2または5のアミノ酸配列を有するH−CDR2(重鎖CDR2)領域をさらに含有でき;該抗原結合領域は、配列番号3または6のアミノ酸配列を有するH−CDR1(重鎖CDR1)領域も含有できる。そのような抗体は、配列番号7、8、9、10、11または12のアミノ酸配列を有するL−CDR3(軽鎖CDR3)領域を含有する抗原結合領域を含有でき;該抗原結合領域は、配列番号13か15のアミノ酸配列を有するL−CDR1(軽鎖CDR1)領域をさらに含有でき;該抗原結合領域は、配列番号14または16のアミノ酸配列を有するL−CDR2(軽鎖CDR2)領域も含有できる。
【0033】
本開示は、(i)H−CDR3領域が配列番号1のアミノ酸配列を有し、H−CDR2領域が配列番号2のアミノ酸配列を有し、H−CDR1領域が配列番号3のアミノ酸配列を有する、(ii)H−CDR3領域が配列番号4のアミノ酸配列を有し、H−CDR2領域が配列番号5のアミノ酸配列を有し、H−CDR1領域が配列番号6のアミノ酸配列を有する、抗原結合領域を含有する抗体も提供する。
【0034】
一実施形態は、(i)配列番号7のアミノ酸配列を有するL−CDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を有するL−CDR1領域、および配列番号14のアミノ酸配列を有するL−CDR2領域、(ii)配列番号8のアミノ酸配列を有するL−CDR3領域、配列番号15のアミノ酸配列を有するL−CDR1領域、および配列番号16のアミノ酸配列を有するL−CDR2領域、(iii)配列番号9のアミノ酸配列を有するL−CDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を有するL−CDR1領域、および配列番号14のアミノ酸配列を有するL−CDR2領域、(iv)配列番号10のアミノ酸配列を有するL−CDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を有するL−CDR1領域、および配列番号14のアミノ酸配列を有するL−CDR2領域、(v)配列番号11のアミノ酸配列を有するL−CDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を有するL−CDR1領域、および配列番号14のアミノ酸配列を有するL−CDR2領域、または(vi)配列番号12のアミノ酸配列を有するL−CDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を有するL−CDR1領域、および配列番号14のアミノ酸配列を有するL−CDR2領域からなる群から選択される抗原結合領域を含有する抗体も提供する。
【0035】
別の実施形態は、(i)配列番号1のアミノ酸配列を有するH−CDR3領域、配列番号2のアミノ酸配列を有するH−CDR2領域、配列番号3のアミノ酸配列を有するH−CDR1領域、配列番号7のアミノ酸配列を有するL−CDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を有するL−CDR1領域、および配列番号14のアミノ酸配列を有するL−CDR2領域、(ii)配列番号4のアミノ酸配列を有するH−CDR3領域、配列番号5のアミノ酸配列を有するH−CDR2領域、配列番号6のアミノ酸配列を有するH−CDR1領域、配列番号8のアミノ酸配列を有するL−CDR3領域、配列番号15のアミノ酸配列を有するL−CDR1領域、および配列番号16のアミノ酸配列を有するL−CDR2領域、(iii)配列番号1のアミノ酸配列を有するH−CDR3領域、配列番号2のアミノ酸配列を有するH−CDR2領域、配列番号3のアミノ酸配列を有するH−CDR1領域、配列番号9のアミノ酸配列を有するL−CDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を有するL−CDR1領域、および配列番号14のアミノ酸配列を有するL−CDR2領域、(iv)配列番号1のアミノ酸配列を有するH−CDR3領域、配列番号2のアミノ酸配列を有するH−CDR2領域、配列番号3のアミノ酸配列を有するH−CDR1領域、配列番号10のアミノ酸配列を有するL−CDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を有するL−CDR1領域、および配列番号14のアミノ酸配列を有するL−CDR2領域、(v)配列番号1のアミノ酸配列を有するH−CDR3領域、配列番号2のアミノ酸配列を有するH−CDR2領域、配列番号3のアミノ酸配列を有するH−CDR1領域、配列番号11のアミノ酸配列を有するL−CDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を有するL−CDR1領域、および配列番号14のアミノ酸配列を有するL−CDR2領域、ならびに(vi)配列番号1のアミノ酸配列を有するH−CDR3領域、配列番号2のアミノ酸配列を有するH−CDR2領域、配列番号3のアミノ酸配列を有するH−CDR1領域、配列番号12のアミノ酸配列を有するL−CDR3領域、配列番号13のアミノ酸配列を有するL−CDR1領域、および配列番号14のアミノ酸配列を有するL−CDR2領域からなる群から選択される抗原結合領域を含有する抗体を提供する。
【0036】
別の態様では、本開示は、下記の抗体を提供する。
【0037】
一実施形態は、(i)配列番号49または51のアミノ酸配列を有する重鎖;ならびに(ii)配列番号53、55、57、59、61、および63からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む抗体も提供する。
【0038】
さらに別の実施形態は、(i)配列番号49のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号53のアミノ酸配列を有する軽鎖(「MOR07919」と命名されている)、(ii)配列番号51のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号55のアミノ酸配列を有する軽鎖(「MOR07692」と命名されている)、(iii)配列番号51のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号57のアミノ酸配列を有する軽鎖(「MOR07923」と命名されている)、(iv)配列番号51のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号59のアミノ酸配列を有する軽鎖(「MOR07924」と命名されている)、(v)配列番号51のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号61のアミノ酸配列を有する軽鎖(「MOR07925」と命名されている)、(vi)配列番号51のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号63のアミノ酸配列を有する軽鎖(「MOR07926」と命名されている)からなる群から選択される抗体を提供する。
【0039】
一態様では、本開示は、配列番号17のアミノ酸配列を有する、標的MST1Rの1つまたは複数の領域に特異的に結合することができる、または高親和性を有する抗原結合領域を有する抗体を提供する。抗体は、親和性測定値が、K
Dで少なくとも100nM(Fab断片の一価親和性)である場合に、抗原に「高親和性」を有すると言われる。例えば、本明細書に記載の抗体または抗原結合領域は、約100nM未満、約60nM未満、または約30nM未満の親和性でMST1Rに結合することができる。別の実施形態は、約10nM未満または約3nM未満の親和性でMST1Rに結合する抗体を含む。特に、配列番号17のアミノ酸配列を有するMST1Rの部分ペプチドに特異的な抗原結合領域を含む単離されたヒトもしくはヒト化抗体またはその機能性断片であって、MST1Rの部分ペプチドに対して、表面プラズモン共鳴による決定で、約10nM未満、約5nM未満、約1nM未満、約0.5nM未満または約0.1nM未満のK
Dの親和性を有する、抗体またはその機能性断片。一方、MST1Rの部分ペプチドに対して、溶解平衡滴定による決定で、約10nM未満、約5nM未満、約1nM未満、約0.5nM未満または0.1nM未満のK
Dの親和性。例えば、MST1Rに対する、本明細書に記載の抗体の親和性は、約0.98nMまたは0.02nM(Fab断片の一価親和性)であり得る。
【0040】
表1は、表面プラズモン共鳴法(Biacore)および溶解平衡滴定(SET)によって決定された、本明細書に開示の代表的抗体の親和性の概要を示す。
【0041】
【表1】
表1に関して、固定化した組換え体ヒトMST1Rに関する表面プラズモン共鳴法(Biacore)によって、MOR X抗体の親和性を測定した。直接固定化された抗原について、Biacore研究を行った。MORs XのFabフォーマットは、固定化されたMST1Rタンパク質について、約0.02から0.98nMの間の範囲の一価親和性を示し、Fab MOR07925が最も高い親和性を示し、Fab MOR07923およびMOR07926がそれに続く。加えて、SET研究では、MORs XのFabフォーマットは、約0.01から0.27nMの間の範囲の親和性を示し、Fab MOR07925が最も高い親和性を示し、Fab MOR07923およびMOR07924がそれに続く。
【0042】
本明細書に記載の抗体の別の特質は、MST1RのN末端領域内の区域へのそれらの特異性である。例えば、本明細書に開示のMOR Xは、MST1RのN末端領域に特異的に結合することができる。
【0043】
本明細書に記載の抗体が結合するエピトープのタイプは、線形(すなわち、1つの連続したアミノ酸ストレッチ)でも、コンフォメーショナル(すなわち、複数のアミノ酸ストレッチ)でもよい。特定の抗体のエピトープが線形であるか、コンフォメーショナルであるか決定するために、当業者は、MST1Rの異なったドメインをカバーする、オーバーラップしているペプチド(例えば、11アミノ酸のオーバーラップを有する13merアミノ酸長ペプチド)への抗体の結合を分析することができる。配列番号17のアミノ酸配列を有する組換え体MST1R部分ペプチドを用いてELISA分析を行った。MOR Xは、同じ組換え体MST1Rタンパク質の変性型を検出するためのイムノブロット分析に適用可能でなかったので、MOR Xは、配列番号17のアミノ酸残基内にコンフォメーショナルエピトープを有するにちがいない。
【0044】
本明細書に開示の抗体は、ヒト、および例えばサルまたはマウスであり得る少なくとも1つの他の種と交差反応性を有する。例えば、少なくともカニクイザルと交差反応性を有する抗体は、同じ抗体を用いて複数の動物種でin vivo研究を行う目的において、既知の抗標的MST1R抗体を上回る、より大きな柔軟性と利益とを提供できる。
【0045】
一実施形態では、記載の抗体は、MST1Rに結合できるだけでなく、MST1Rの活性化も阻害できる。受容体の阻害は、受容体の内因性キナーゼ活性の抑制をもたらし、シグナル伝達を下方制御する。そのような下方制御は、例えば、MST1Rへのリガンド結合を制限することによって、MST1Rのコンフォメーションを変えることによって、またはMST1Rの内在化によって起こり得る。より詳細には、本明細書に開示の抗体は、抗体エフェクター機能を介してMST1Rによりその治療効果を媒介することができる。
【0046】
さらに別の実施形態は、本明細書に記載の抗体による、MST1Rのリガンド依存的MST1Rリン酸化活性の阻害に関する。開示の抗体は、「Elk1ルシフェラーゼアッセイ」などのMSP依存的MST1Rシグナル伝達アッセイシステムにおいて、少なくとも100ng/ml、少なくとも50ng/ml、少なくとも20ng/ml、少なくとも10ng/ml、または少なくとも5ng/mlのIC50値を有する。
【0047】
本明細書に記載の別の抗体は、リガンド非依存的MST1R活性化も阻害する。
【0048】
本明細書に開示のさらに別の抗体は、MST1RリガンドMSPに反応するERKリン酸化も阻害する。
【0049】
本明細書に記載のさらに別の抗体は、MST1Rを発現する腫瘍細胞の、MSP促進増殖も抑制する。
(ペプチドバリアント)
本開示を通して記載される抗体は、本明細書に示す特定のペプチド配列に限定されない。むしろ、これらのポリペプチドのバリアントも具現化される。本開示ならびに従来から利用可能な技術および参考文献を参照して、当業者であれば、本明細書に開示の抗体の機能性バリアントを調製、試験、利用することができ、同時に、MST1Rのリガンド依存的および/または非依存的活性化の両方/いずれかを抑制する能力を有するこれらのバリアントが本発明の範囲に包含されることが理解されよう。
【0050】
バリアントは、例えば、少なくとも1つの改変された相補性決定領域(CDR)(超可変)、および/またはフレームワーク(FR)(可変)ドメイン/位置、を有する抗体を、本明細書に開示のペプチド配列と突き合わせて、含むことができる。この概念を、さらによく説明するため、以下に抗体構造を簡単に記載する。
【0051】
抗体は、2本のペプチド鎖で構成され、それらのそれぞれが、1つ(軽鎖)または3つ(重鎖)の定常ドメインと、1つの可変領域(VL、VH)とを含有し、それらのうち後者は、いずれの場合も、4つのFR領域と、間を置いた3つのCDRとでできている。抗原結合部位は、1つまたは複数のCDRによって形成されるが、FR領域は、CDRの構造フレームワークを提供し、したがって、抗原結合において重要な役割を果たす。CDRまたはFR領域における1つまたは複数のアミノ酸残基を改変することによって、当業者は、変異導入されている、または多様化されている抗体配列を慣行的に生成することができ、例えば、新規または改善された特性を求めて、それらを抗原に対してスクリーニングすることができる。
【0052】
図1(VH)および
図2(VL)は、本明細書に開示の特定の抗体のCDRおよびFR領域(Kabatの定義による)を図示し、所与の位置のアミノ酸を相互、および対応するHuCAL「マスター遺伝子」配列(米国特許第6,300,064号に記載されている)と比較する。
【0053】
当業者は、
図1および
図2のデータを用いて、本明細書に開示の実施形態の範囲に包含されるペプチドバリアントを設計することができる。一実施形態では、バリアントは、1つまたは複数のCDR領域内のアミノ酸を改変することによって構築され、バリアントは、1つまたは複数の改変されたフレームワーク領域も有し得る。新規な抗体の相互比較に関して、改変できる候補残基には、MOR Xの可変軽鎖の残基および可変重鎖の残基が含まれる。フレームワーク領域でも改変できる。例えば、ペプチドFRドメインを改変でき、その場合、生殖系列配列と比較して、残基のずれが生じる。
【0054】
対応するコンセンサスまたは「マスター遺伝子」配列との新規抗体の比較に関して、改変できる候補残基には、VLλ3の残基など、MOR Xの可変軽鎖の残基が含まれ、VH3の残基など、MOR Xの可変重鎖の残基が含まれる。代替として、当業者は、例えばKnappikら(J.Mol.Biol.296、57〜86,2000)によって、およびKnappikらに発行された米国特許第6,300,064号に記載された手順を用いて、本明細書に開示のアミノ酸配列を、同じクラスのそのような抗体の既知配列と比較することによって、同じ分析を行うことができる。
【0055】
さらに、MOR X配列中の1つまたは複数のアミノ酸残基、好ましくは1つまたは複数のCDR内のアミノ酸残基を多様化させることによって、およびその結果得られた抗体バリアントのコレクションを、改善された特性を有するバリアントを求めてスクリーニングすることによって、最適化の出発点として1つのMOR Xを用いることによってバリアントを得てもよい。トリヌクレオチド変異誘発(TRIM)技術(Virnekas,B.、Ge,L.、Pluckthun,A.、Schneider,K.C.、Wellnhofer,G.およびMoroney S.E.(1994)「Trinucleotide phosphoramidites:ideal reagents for the synthesis of mixed oligonucleotides for random mutagenesis.」Nucl.Acids Res.22、5600)を用いてDNA分子のコレクションを合成することによって、VLのCDR−3、VHのCDR−3、VLのCDR−1および/またはVHのCDR−2内の1つまたは複数のアミノ酸残基の多様化を行うことができる。
(保存アミノ酸バリアント)
本明細書に記載の抗体ペプチド配列の全体的分子構造を保存するポリペプチドバリアントを作製することができる。個々のアミノ酸の特性を所与として、いくつかの合理的な置換が当業者によって認識されよう。アミノ酸置換、すなわち「保存的置換」は、例えば、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性の類似性に基づいて導入することができる。
【0056】
例えば、(a)非極性(疎水性)のアミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンが含まれ;(b)極性中性アミノ酸には、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれ;(c)正電荷(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リジン、およびヒスチジンが含まれ;(d)負電荷(酸性)アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。置換は、典型的には、群(a)〜(d)の中で導入され得る。加えて、グリシンおよびプロリンは、αヘリックスを中断させるそれらの能力に基づいて、相互に置換され得る。同様に、アラニン、システイン、ロイシン、メチオニン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジンおよびリジンなど、特定のアミノ酸はαヘリックスで、より一般的に見出され、一方、バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、およびトレオニンはβプリーツシートで、より一般的に見出される。グリシン、セリン、アスパラギン酸、アスパラギン、およびプロリンはターンで一般的に見出される。いくつかの好ましい置換は、下記の群、すなわち、(i)SおよびT;(ii)PおよびG;ならびに(iii)A、V、LおよびIの中で行われ得る。既知の遺伝コード、ならびに組換えおよび合成DNA技法を所与として、当業者は、保存アミノ酸バリアントをコードするDNAを容易に構築できる。
【0057】
本明細書で使用される場合、2つのポリペプチド配列間の「配列同一性」は、配列間で同一であるアミノ酸のパーセンテージを示す。「配列相同性」は、同一であるまたは保存的アミノ酸置換を表すアミノ酸のパーセンテージを示す。本発明のポリペプチド配列は、CDR領域における、少なくとも60%、少なくとも70%もしくは80%、少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有する。具現化される抗体は、CDR領域における、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の配列相同性も有する。
(DNA分子)
本開示は、本明細書に記載の抗体をコードするDNA分子にも関する。これらの配列は、
図3A、3B、および4Aから4Fに記載のDNA分子が含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
本開示のDNA分子は、本明細書に開示の配列に限定されず、それらのバリアントも含む。様々な実施形態内のDNAバリアントは、ハイブリダイゼーションにおけるそれらの物理特性を参照することにより記載され得る。核酸ハイブリダイゼーション技術を使用し、DNAを用いて、その相補体と、DNAは二本鎖であるのでその等価物または相同体とを同定できることが当業者には認識されよう。ハイブリダイゼーションが100%未満の相補性で起こり得ることも認識されよう。しかし、条件の適切な選択を所与として、DNA配列を、特定のプローブへのそれらの構造的な関連性に基づいて相互に区別するのに、ハイブリダイゼーション技術を用いることができる。そのような条件に関する指針として、Sambrookら、1989(Sambrook,J.、E.F.FritschおよびT.Maniatis(1989) Molecular Cloning:A laboratory manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、USA)およびAusubelら、1995(Ausubel,F.M.、R.Brent、R.E.Kingston、D.D.Moore、J.G.Sedman、J.A.SmithおよびK.Struhl編集(1995).Current Protocols in Molecular Biology.New York:John Wiley and Sons)を参照されたい。
【0059】
2つのポリヌクレオチド配列間の構造類似性は、2つの配列が相互にハイブリッド形成する条件の「ストリンジェンシー」の関数として表すことができる。本明細書で使用される場合、用語「ストリンジェンシー」は、その条件がハイブリダイゼーションに否定的である程度を指す。ストリンジェントな条件は、ハイブリダイゼーションに強く否定的であり、構造的に最も関連した分子のみがそのような条件下で相互にハイブリッド形成する。逆に、非ストリンジェントな条件は、より低度の構造的関連性を示す分子のハイブリダイゼーションに肯定的である。したがって、ハイブリダイゼーションストリンジェンシーは、2つの核酸配列の構造関係と直接的に相関する。ハイブリダイゼーションと関連性とを相関させるのに、下記の関係(ここで、T
mは核酸二本鎖の融解温度)が有用である。
a. T
m=69.3+0.41(G+C)%
b. ミスマッチ塩基対の数が1%の増加するごとに、二本鎖DNAのT
mが1℃低下する。
c. (T
m)
μ2−(T
m)
μ1=18.5log
10μ2/μ1
式中、μ1およびμ2は2つの溶液のイオン強度である。
【0060】
ハイブリダイゼーションストリンジェンシーは、全体的なDNA濃度、イオン強度、温度、プローブサイズ、および水素結合を壊す作用物質の存在を含めた、多くの因子の関数である。ハイブリダイゼーションを促進する因子には、高DNA濃度、高イオン強度、低温、より長いプローブサイズ、および水素結合を壊す作用物質の不在が含まれる。ハイブリダイゼーションは、通常、「結合」段階および「洗浄」段階の2段階で行われる。
【0061】
第1に、結合段階では、ハイブリダイゼーションに肯定的である条件下で、プローブを標的に結合させる。この段階では、ストリンジェンシーは、通常、温度を変えることによって制御される。短い(<20nt)オリゴヌクレオチドプローブが使用される場合でなければ、高ストリンジェンシー用には、通常、温度は65℃から70℃の間である。代表的なハイブリダイゼーション溶液は、6×SSC、0.5%SDS、5×デンハルト溶液、および100μgの非特異的担体DNAを含む。Ausubelら、セクション2.9、増補27(1994)を参照されたい。当然ながら、多くの異なった、しかし機能的に同等なバッファー条件が知られている。関連性の程度がさらに低ければ、より低い温度が選ばれ得る。低ストリンジェンシーの結合温度は約25℃から40℃の間である。中程度ストリンジェンシーは、少なくとも約40℃から約65℃未満の間である。高ストリンジェンシーは、少なくとも約65℃である。
【0062】
第2に、余分なプローブを洗浄で除去する。この段階では、通常、よりストリンジェントな条件が適用される。したがって、ハイブリダイゼーションを介して関連性を決定するのに最も重要なのは、この「洗浄」ステージである。洗浄溶液は、通常、低塩濃度を有する。1つの例示的な中程度ストリンジェンシー溶液は、2×SSCおよび0.1%SDSを含有する。高ストリンジェンシー洗浄溶液は、約0.2×SSC未満と同等なもの(イオン強度について)を含有し、好ましいストリンジェント溶液は約0.1×SSCを含有する。様々なストリンジェンシーに関連する温度は、「結合」について上記で論じたものと同じである。また、洗浄溶液は通常、洗浄中に何回か交換される。例えば、典型的な高ストリンジェンシー洗浄条件は、55℃で30分間の洗浄2回および60℃で15分間の洗浄3回を含む。
【0063】
したがって、本開示は、
図3A、3B、および4A〜4Fに記載の分子と、高ストリンジェンシーの結合および洗浄条件下でハイブリッド形成する核酸分子であって、本明細書に記載の特性を有する抗体またはその機能性断片をコードする核酸分子を含む。具現化される分子(mRNAの観点からのもの)は、本明細書に記載のDNA分子の1つと少なくとも75%または80%(好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%)の相同性または配列同一性を有するものである。本開示のバリアントの特定の一例では、配列番号18または20における核酸位置7をCからGに置換し、それによってコドンをCAAからGAAに変えることができる。
(機能的に同等なバリアント)
本発明の範囲内にあるさらに別のクラスのDNAバリアントは、それらがコードする産物(
図3C、3D、および4Gから4Lに示されるペプチドを参照されたい)を参照して記載できる。これらの機能的に同等な遺伝子は、それらが、
図3C、3D、および4Gから4Lに示すものと同じペプチド配列を遺伝コードの縮重によりコードするという事実によって特徴付けられる。
図3C中のアミノ酸配列は配列番号19としても示される。
図3D中のアミノ酸配列は配列番号21としても示される。
図4G中のアミノ酸配列は配列番号23としても示される。
図4H中のアミノ酸配列は配列番号25としても示される。
図4I中のアミノ酸配列は配列番号27としても示される。
図4J中のアミノ酸配列は配列番号29としても示される。
図4K中のアミノ酸配列は配列番号31としても示される。
図4L中のアミノ酸配列は配列番号33としても示される。
【0064】
本明細書に提示するDNA分子のバリアントは、いくつかの異なった方法で構築できると認識される。例えば、それらは、完全に合成のDNAとして構築できる。20ヌクレオチドから約150ヌクレオチドの範囲のオリゴヌクレオチドを効率的に合成する方法は広く利用可能である。Ausubelら、セクション2.11、増補21(1993)を参照のこと。Khoranaら、J.Mol.Biol.72:209〜217(1971)(Ausubelら、同上、セクション8.2も参照されたい)によって最初に報告された方法で、オーバーラップを有するオリゴヌクレオチドを合成して、アセンブルさせてもよい。合成DNAは、適したベクター中へのクローニングを容易にするために、遺伝子の5’および3’末端に工作された好都合な制限部位を有するように設計することが好ましい。
【0065】
上述のように、バリアントを生成する方法は、本明細書に開示のDNAの1つから始め、次いで部位特異的変異誘発を行うものである。Ausubelら、同上、第8章、増補37(1997)を参照のこと。典型的な方法では、標的DNAを一本鎖DNAバクテリオファージ媒体にクローニングする。一本鎖DNAを単離し、所望のヌクレオチド改変(複数可)を含有するオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成させる。相補鎖を合成し、宿主に二本鎖ファージを導入する。結果として得られる後代の一部は、所望の変異体を含有していることになり、これはDNA配列決定を用いて確認できる。加えて、後代ファージが所望の変異体となる確率を増大させる様々な方法が利用可能である。これら方法は当業者にはよく知られており、そのような変異体を生成させるためのキットが市販されている。
(組換え体DNAコンストラクトおよび発現)
本開示は、本明細書に記載のヌクレオチド配列の1つまたは複数を含む組換え体DNAコンストラクトをさらに提供する。これらの組換え体コンストラクトは、任意の開示の抗体をコードするDNA分子が挿入される、プラスミド、ファージミド、ファージまたはウイルスベクターなどのベクターと共に使用される。
【0066】
コードされた遺伝子は、Sambrookら、1989、およびAusubelら、1989に記載の技法で生産できる。代替として、DNA配列は、例えば合成機を用いて化学的に合成することもできる。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Oligonucleotide Synthesis(1984、Gait編集、IRL Press、Oxford)に記載の技法を参照されたい。本開示の組換え体コンストラクトは、コードされたDNA(複数可)のRNAおよび/またはタンパク質産物を発現できる発現ベクターで構成される。ベクターは、オープンリーディングフレーム(ORF)に作用可能に連結したプロモーターを含めた、調節配列をさらに含み得る。ベクターは、選択マーカー配列をさらに含み得る。特定の開始シグナルおよび細菌分泌シグナルも挿入される標的遺伝子コード配列の効率的な翻訳に必要であり得る。
【0067】
本開示は、本明細書に記載のDNAの少なくとも1つを含有する宿主細胞をさらに提供する。宿主細胞は、発現ベクターが利用可能である事実上いかなる細胞でもあり得る。それは、例えば、哺乳動物細胞などの高等真核細胞宿主細胞でも、酵母細胞などの下等真核細胞宿主細胞でもよく、細菌細胞などの原核細胞でもよい。宿主細胞内への組換え体コンストラクトの導入は、リン酸カルシウム形質移入、リポフェクション、DEAE、デキストラン媒介形質移入、エレクトロポレーションまたはファージ感染で行うことができる。
(細菌発現)
細菌での使用に有用な発現ベクターは、機能的プロモーターと作用可能なリーディングフェーズにある適した翻訳開始シグナルおよび終止シグナルと一緒に所望のタンパク質をコードする構造DNA配列を挿入することによって構築される。ベクターは、ベクターの維持を確実にするため、および望ましい場合には宿主内での増幅を提供するため、1つまたは複数の表現型選択マーカーおよび複製開始点を含むことになる。形質転換に適した原核細胞宿主には、E.coli、Bacillus subtilis、Salmonella typhimurium、ならびにPseudomonas属、Streptomyces属、およびStaphylococcus属内の多様な種が含まれる。
【0068】
細菌ベクターは、例えば、バクテリオファージベース、プラスミドベース、またはファージミドベースのものであり得る。これらのベクターは、よく知られているクローニングベクターpBR322(ATCCアクセッション番号37017)のエレメントを通常含有している市販のプラスミドに由来する選択マーカーおよび細菌複製開始点を含有することができる。適した宿主株を形質転換し、宿主株を適切な細胞密度まで増殖させた後、適切な手段(例えば、温度シフトまたは化学的誘導)によって、選択されたプロモーターを抑制解除または誘導し、さらなる期間、細胞を培養する。通常、細胞を遠心分離によって採取し、物理的または化学的手段によって破壊し、この結果得られた粗抽出物をさらなる精製用に保持する。
【0069】
細菌系では、発現されるタンパク質に意図されている使用に応じて、多数の発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、抗体の生成のため、またはペプチドライブラリーをスクリーニングするために、多量のそのようなタンパク質が産生されることになっている場合には、例えば、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を指示するベクターが望ましい。
(治療方法)
治療方法は、本開示によって企図されている抗体の治療有効量を、処置を必要とする個体に投与することを含む。ここで、「治療有効」量は、単独で、または他の薬剤と組み合わせて、単回用量として、または反復投与処方計画によって、個体の処置領域におけるMST1R陽性細胞を枯渇させるのに十分な量である抗体量であって、有害な状態の緩和をもたらし、かつ毒物学的に許容される量と定義される。個体は、ヒトでも、非ヒト動物(例えば、ウサギ、ラット、マウス、サルまたは他の下等霊長類)でもよい。
【0070】
本開示の抗体は、既知の医薬と共に同時投与しても、場合によっては、抗体それ自体を改変してもよい。例えば、潜在的にさらに効力を増強するために、抗体をイムノトキシンまたは放射標識抗体に結合させることができる。
【0071】
本明細書に記載の抗体は、MST1Rの発現または存在が望ましくない様々な状態における治療ツールまたは診断ツールとして使用できる。本開示の抗体を用いた処置に特に適した疾患および状態は、例えば、乳腺、肺、結腸、膀胱、皮膚、膵臓、神経膠腫、リンパ腫、前立腺、甲状腺、卵巣、胃、肝臓および胃部などにおける、MST1Rを発現している悪性腫瘍および新生物である。
【0072】
上記の疾患のいずれかを処置するために、本開示に従って使用するための医薬組成物を、1つまたは複数の生理的に許容される担体または添加剤を用いて、従来の方法で製剤化することができる。本明細書に記載のいずれの抗体も、任意の適した手段で投与でき、その手段は、処置される疾患のタイプに応じて異なり得る。可能な投与経路には、非経口(例えば、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下)、肺内、鼻腔内、および病巣内投与(局所的免疫抑制療法に望ましい場合)が含まれる。加えて、開示の任意の抗体を、例えば、漸減用量の抗体のパルス注入によって投与してもよい。投薬は、投与が短いものか、慢性的なものかに一部応じて、例えば、静脈内または皮下注射などの注射によって行うことができる。投与されるべき量は、臨床的症状、個体の体重、他の薬物が投与されるかどうかなどの様々な因子に依存する。当業者ならば、処置されるべき疾患または状態に応じて投与経路が異なることを認識し、各個体の特定の因子に基づいて、いずれの経路が個体に最も適切であるか理解されよう。
【0073】
本発明による、新規なポリペプチドの治療有効量の決定は、主として、特定の患者特性、投与経路、および処置される疾患の性質に依存する。一般的指針は、例えば、International Conference on Harmonisationの刊行物およびRemington’s Pharmaceutical Sciences、27章および28章、484〜528頁(第18版、Alfonso R.Gennaro編集、Easton、PA.:Mack Pub.Co.、1990)に見出すことができる。より詳細には、治療有効量の決定は、医薬の毒性および効力などの因子に依存する。毒性は、当技術分野でよく知られており、上記の参考文献で見出される方法を用いて決定できる。効力は、下記、実施例に記載の方法に関連する同じ指針を用いて決定できる。
(診断方法)
MST1Rは、特定の悪性腫瘍におけるがん細胞表面に強く発現され;したがって、本開示の抗MST1R抗体は、患者におけるMST1Rの発現部位または位置を画像化または可視化するのに利用できる。この点で、放射性同位元素、親和性標識(ビオチン、アビジンなど)、蛍光標識、常磁性原子などの使用を介して、抗体を検出可能に標識することができる。そのような標識化を実現するための手順は、当技術分野でよく知られている。画像診断における抗体の臨床適用については、Grossman,H.B.、Urol.Clin.North Amer.13:465〜474(1986))、Unger,E.C.ら、Invest.Radiol.20:693〜700(1985))、およびKhaw,B.A.ら、Science 209:295〜297(1980))で総説されている。
【0074】
そのような検出可能に標識された抗体の集束(foci)の検出は、例えば、MST1Rの存在を示すものであり得る。一実施形態では、この検査は、組織または血液の試料を取り出して、検出可能に標識された抗体の存在下でそのような試料をインキュベートすることによって行われる。一実施形態では、この技法は、磁気イメージング、フルオログラフィーなどの使用を通して非侵襲的方法で行われる。そのような診断検査は、疾患の処置の成果をモニターする際に利用でき、その際、MST1R陽性細胞の存在または不在が適切な指標となる。
(治療用および診断用組成物)
本開示の抗体は、薬学的に有用な組成物を調製する既知の方法によって製剤化でき、その際、薬学的に許容される担体媒体との混合物中に、本明細書に記載の抗体(いかなるその機能性断片も含まれる)が混合される。適した媒体およびそれらの処方は、例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(第18版、Alfonso R.Gennaro編集、Easton、PA.:Mack Pub.Co.、1990)に記載されている。効果的な投与に適した薬学的に許容される組成物を生成するためには、そのような組成物は、適量の担体媒体と共に本開示の抗体の1つまたは複数を有効量含有する。
【0075】
活性化合物の放出制御が得られるように、調製物を適切に製剤化することができる。放出制御調製物は、ポリマーを使用して、抗MST1R抗体と複合体を形成させるか、抗MST1R抗体を吸収させることを介して実現できる。制御送達は、放出を制御するために適切な巨大分子(例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニル、ピロリドン、エチレン酢酸ビニル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはプロタミン、スルフェート)および巨大分子の濃度、ならびに組入れ方法を選択することによって遂行できる。放出制御調製物によって作用時間を制御する別の可能な方法は、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)またはエチレン酢酸ビニルコポリマーなどのポリマー物質の粒子内に抗MST1R抗体を組み入れることである。代替として、これらの薬剤をポリマー粒子に組み入れる代わりに、例えば、コアセルベーション技法によって、もしくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセル、およびポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルの中に、またはコロイド薬物送達システム、例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセルの中に、またはマクロエマルションの中に、これらの物質を捕捉することが可能である。そのような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980)に開示されている。
【0076】
化合物は、注射による非経口投与、例えば、ボーラス注入または持続注入用に製剤化することができる。注射用製剤は、添加された保存剤を伴う単位剤形で、例えば、アンプルまたは多用量容器中に提供することができる。組成物は、油性もしくは水性媒体中の懸濁液、溶液、またはエマルションなどの形態を取ることができ、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含有できる。代替として、活性成分は、使用する前に適した媒体、例えば発熱因子を含まない滅菌水で構成させるのに用いる粉末形態であってもよい。
【0077】
組成物は、望ましい場合、活性成分を含有する1つまたは複数の単位剤形を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイスで提供できる。パックは、例えば、ブリスターパックなど、金属ホイルまたはプラスチックホイルを含み得る。パックまたはディスペンサーデバイスは、投与のための説明を伴い得る。さらに、パックまたはディスペンサーデバイスおよび組成物を、商品流通用のキットで提供してもよい。
【0078】
例示を目的とし、したがって本発明の開示の範囲を限定しない以下の実施例を参照して、本発明の様々な実施形態をさらに理解することができる。
【実施例】
【0079】
(細胞培養および一過性形質移入)
ヒト胎児由来腎臓(HEK)293FreeStyle(商標)細胞をFreestyle 293培地(Invitrogen)中で培養した。293αは、インテグリンαvおよびインテグリンβ3発現ベクターをHEK293細胞内に形質移入することによって得られた安定した形質移入体であった。HEK293および293α細胞は、10%FCSを含有するDMEM中で増殖させた。PC3およびT47Dは、10%FCSを含有するRPMI中で培養した。パニング、スクリーニング、および機能アッセイには、293fectin(Invitrogen)を用いて、プラスミドDNAでHEK 293FreeStyle(商標)細胞に形質移入した。293Tおよび293α細胞には、Lipofectamine2000(Invitrogen)を用いて、供給業者の指示に従って、プラスミドDNAで形質移入した。
(フローサイトメトリー(「FACS」))
丸底の96ウェル培養プレート(Corning)内において、4℃で60分間、50μlのFACSバッファー(PBS、5%FCS)中で、示した濃度のFabまたはIgG抗体と共に細胞(5×10
5細胞/ウェル)をインキュベートした。細胞を2回洗浄し、次いで4℃で30分間、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合検出抗体と共にインキュベートした。細胞を再び洗浄し、0.3mlのFACSバッファー中に再懸濁し、次いで、Cytomics FC500(Beckman Coulter,Inc.)におけるフローサイトメトリーによって分析した。データは、FlowJoソフトウェア(Tomy digital biology Co.,Ltd.)を介して分析した。陽性対照として、ポリクローナルヤギ抗hMSP R IgG(R&D systems)または抗FLAG M2抗体(Sigma)を用い、陰性対照として、MOR03207(抗リゾチーム)抗体を用いた。
(表面プラズモン共鳴法)
BIAcore3000装置(Biacore)を使用し、共有結合によって固定化されたMST1R−Fc融合タンパク質(R&D systems)に結合するそれぞれのFabの系列希釈を用いて、動態定数k
onおよびk
offを決定した。共有結合性の抗原固定化には、標準的なEDC−NHSアミンカップリング化学を用いた。MST1R−Fc融合タンパク質の直接カップリングには、10mM酢酸バッファー、pH4.5中における約600〜700RUでCM5センサーチップス(Biacore)をコーティングした。参照フローセルには、それぞれの量のHSA(ヒト血清アルブミン)を用いた。動態測定は、15.6〜500nMの範囲のFab濃度を用いて、流速20μl/分のPBS(136mM NaCl、2.7mM KCl、10mM Na
2HPO
4、1.76mM KH
2PO
4、pH7.4)中で行った。各濃度の注入時間は1分であった。これに、3分間の解離段階が続いた。再生には、5μlの10mM HClを用いた。すべてのセンソグラムは、BIA評価ソフトウェア3.2(Biacore)を用いて全体的にフィッティングさせた。
(溶解平衡滴定(SET))
溶液中の親和性決定は、基本的に文献(Friguet,B.、Chaffotte,A.F.、Djavadi−Ohaniance,L.、およびGoldberg,M.E.(1985) J Immunol Methods 77、305〜319)に記載の通り行った。SET法の感度および精度を改善するために、この方法を古典的なELISAからECLベースの技法に修正した(Haenel,C.、Satzger,M.、Ducata,D.D.、Ostendorp,R.、およびBrocks,B.(2005) Anal Biochem 339,182〜184)。
【実施例1】
【0080】
(HuCALライブラリーからの抗体生成)
MST1Rに対する治療用抗体の生成には、MorphoSys HuCAL GOLDファージディスプレーライブラリーを用いた選択を行った。HuCAL GOLD(登録商標)は、HuCAL(登録商標)コンセプト(Knappikら(J.Mol.Biol.、296、57〜86、2000);Krebsら、J.Immunol.Methods、254、67〜84、2001;Rotheら、J.Mol.Biol.、376(4):1182〜200、2008)に基づくFabライブラリーである。HuCALでは、6つのCDRすべてが多様化されており、CysDisplay(商標)技術を利用して、Fab断片がファージ表面に連結される(WO01/05950)。
(A.ファージミドレスキュー、ファージ増幅、および精製)
34μg/mlクロラムフェニコールおよび1%グルコースを含有する2×YT培地(2×YT−CG)中で、HuCAL GOLD(登録商標)ファージミドライブラリーを増幅させた。0.5のOD
600nmにおけるヘルパーファージ感染(VCSM13)(振盪させずに37℃で30分間;250rpmで振盪させながら37℃で30分間)の後に、細胞を遠心分離し(4120g、5分間、4℃)、2×YT/34μg/mlクロラムフェニコール/50μg/mlカナマイシン/0.25mM IPTG中に再懸濁し、22℃で終夜培養した。上清からファージをPEG沈殿させ、PBS/20%グリセロール中に再懸濁し、−80℃で保存した。2ラウンドのパニングの間のファージ増幅は以下の通りに行った。溶出されたファージに、対数期の中間部にあるTG1細胞を感染させ、1%グルコースおよび34μg/mlクロラムフェニコールを補ったLB(LB−CG)アガーにプレーティングした。30℃における終夜インキュベーションの後に、コロニーを擦り取り、2×YT−CGに接種するのに用い、0.5のOD
600nmに達した後、VCSM13ヘルパーファージを、感染用に上述の通り添加した。
(B.HuCAL GOLD(登録商標)を用いたパニング)
選択用に、VHマスター遺伝子の異なった組合せを含む6つのプール(プール1:VH1/3/5κ、プール2:VH1/3/5λ、プール3:VH2/4/6κ、プール4:VH2/4/6λ、プール5:VH1〜6κ、プール6:VH1〜6λ)に、HuCAL GOLD(登録商標)抗体ファージを分割した。これらのプールに対して個別に、MST1R発現ベクターで形質移入されたHEK 293FreeStyle(商標)細胞における全細胞パニングおよびそれに続くpH溶出を3ラウンド、ならびにMST1R陰性HEK 293FreeStyle(商標)細胞における、無関係な抗体ファージを除去するための吸着後ステップを行った。最後に、残っている抗体ファージを、E.coli TG1細胞を感染させるのに用いた。次いで、これをアガープレート上にプレーティングし、30℃で終夜インキュベートした。翌日、細菌コロニーをプレートから擦り落とし、ファージを上述の通りにレスキューし、増幅させた。選択の第2のラウンドおよび第3のラウンドは、最初のラウンドと同様に行った。標準的なパニングに加えて、潜在的に、より高い親和性を有するクローンを同定するためにLCDR3−RapMAT(登録商標)技術を適用した。RapMAT(登録商標)は、高親和性抗体を迅速に選択するための親和性成熟過程を表す。この技術は、HuCAL GOLD(登録商標)Fabライブラリーのモジュール設計に基づいている。RapMAT(登録商標)法のため、ラムダおよびカッパライブラリーの別々のプールを用いて、2ラウンドの標準的なパニングを行った。LCDR3をLCDR3ライブラリーカセットと交換することによって、選択された第2のラウンドのFabプールを多様化させた。この結果得られたFabライブラリーに対して、ストリンジェントな条件下でのパニングをさらに2ラウンド行った。
(C.可溶性Fab断片のサブクローニングおよび発現)
可溶性Fabの迅速な発現を促進するために、選択されたHuCAL GOLD(登録商標)ファージミドのFabコードインサートを発現ベクターpMORPH(登録商標)x9_Fab_FSにサブクローニングした(Rauchenbergerら、J.Biol.Chem.278(40):38194〜205、2003)。このために、選択されたクローンのFabコードインサート(ompA−VLCLおよびphoA−Fd)をXbaIおよびEcoRIでプラスミドDNAから切り出し、XbaI/EcoRI切断ベクターpMORPH(登録商標)x9_FSにクローニングした。このベクターで発現されたFabは、検出および精製用の2つのC末端タグ(FLAG(商標)およびStrep−tag(登録商標)II)を保持する。
(D.E.coliにおけるHuCAL GOLD(登録商標)Fab抗体の発現および精製)
E.coli TG−1細胞における、pMORPH(登録商標)x9_Fab_FSによってコードされたFab断片の発現は、34μg/mlのクロラムフェニコールを補った2×YT培地750mlを用いたシェーカーフラスコ培養で行った。OD
600nmが0.5に達するまで、培養物を30℃で振盪させた。発現は、0.75mMのIPTGの添加によって、30℃で20時間誘導した。細菌を遠心分離によって採取し、30〜35mlのBBSを用いてペリプラズム画分を調製した。Fabは、Strep−tag(登録商標)IIを介して、Step−Tactinセファロースカラムを用いて精製した。試料の純度は、変性、還元状態でのSDS−PAGEによって、および未変性状態でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、較正標準と共に分析した。タンパク質濃度は、UV分光光度法によって決定した(Krebsら、J.Immunol.Methods 254、67〜84、2001)。
【実施例2】
【0081】
(HuCAL(登録商標)IgG1のクローニング、発現、および精製)
完全長のIgG1を発現するために、重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変ドメイン断片を、Fab発現ベクターからpMORPH(登録商標)2_hIgベクターにサブクローニングした。VH断片のサブクローニングには、制限酵素MfeIおよびBlpIを用いた。VLカッパまたはVLラムダ断片のサブクローニングには、それぞれ制限酵素EcoRVおよびBsiWIまたはHpaIを用いた。消化の後、VH断片およびVL断片を調製用アガロースゲルから単離し、それぞれのIgG発現ベクターに(VH断片はpMORPH(登録商標)2_h_IgG1fに;Vカッパ断片はpMORPH(登録商標)2_h_Igκに;Vラムダ断片はpMORPH(登録商標)2_h_Igλ2に)連結した。この結果得られたIgG発現プラスミドを制限分析および配列決定によって特徴付けた。完全長ヒトIgGの一過性発現をHKB11細胞で行った。HKB11細胞にIgG重鎖および軽鎖発現ベクターで形質移入した。プロテインAセファロースカラムを介した親和性クロマトグラフィーによって、IgGを細胞培養上清から精製した。さらに次の精製工程では、ゲル濾過によるバッファー交換および精製されたIgGの無菌濾過が含まれた。得られた抗体の品質は、還元SDS−PAGEによる>90%の純度と、分析サイズ排除クロマトグラフィーによって決定された>90%の単量体IgGであることを明らかにした。
【実施例3】
【0082】
(HuCAL(登録商標)FabのクローンおよびHuCAL(登録商標)IgG1のELISAスクリーニング)
384ウェルMaxiSorp(商標)マイクロタイタープレートのウェルを、PBS中に希釈された0.5μg/mlの組換え体MST1R−Fc融合タンパク質でコーティングした。このプレートを4℃で終夜インキュベートした。翌日に、ウェルを、PBST(PBS中に0.05%Tween20)で3回洗浄し、次いで、マイクロタイタープレートシェーカー上、室温で30分間、MPBST(PBST中に5%粉ミルク)でブロックした。ウェルをPBSTで3回洗浄し、その後、一次抗体、すなわち、HuCAL(登録商標)FabクローンのプレブロックされたBEL抽出物または精製HuCAL(登録商標)抗体および対照抗体を添加した。プレートをマイクロタイタープレートシェーカー上、室温で2時間インキュベートし、次いでPBSTで3回洗浄した。HuCAL(登録商標)抗体の検出には、ヤギ抗ヒトIgGアルカリ性ホスファターゼ(Dianova、0.5%粉ミルク含有PBST中に1:5,000希釈されたもの)を添加し、プレートをマイクロタイタープレートシェーカー上、室温で1時間インキュベートした。続いて、プレートをTBST(TBS中に0.05%Tween20)で5回洗浄した。Attophos(AttoPhos基質セット、Roche)を添加し(TBS中に1:10希釈)、TECANマイクロタイタープレートリーダーで蛍光を測定した(発光:535nm、励起:430nm)。
【実施例4】
【0083】
(FACSによる交差反応性分析)
MST1Rオーソログ発現細胞のFACS分析:N末端Flagタグ(pFLAG−myc−CMV−19、Sigma)を含有するヒトMST1R(cDNAヌクレオチド配列はGenbankアクセッション番号:NM_002447.2として示されている)、カニクイザルMST1RおよびマウスMST1R(cDNAヌクレオチド配列はGeneBankアクセッション番号:NM_009074.1として示されている)発現ベクターを構築した。それぞれ配列番号34および35のヌクレオチド配列を有する順方向プライマーおよび逆方向プライマーと共に、カニクイザルの胃のcDNAを鋳型として用いたPCRによって、カニクイザルMST1RをコードするcDNAを増幅した。PCR産物の配列決定分析によって、配列番号36に示すカニクイザルMST1R ORFヌクレオチド配列を同定した。対応するアミノ酸配列を配列番号37に示した。次いで、適切なクローニング部位を備えた、それぞれ配列番号38および39(ヒト)、40および41(カニクイザル)、42および43(マウス)のヌクレオチド配列を有する順方向プライマーおよび逆方向プライマーを用いて、シグナルペプチド領域を除いた、ヒト、カニクイザルおよびマウスのMST1R ORF cDNAを増幅し、次いで、pFLAG−myc−CMV−19にクローニングした。増幅されたヒトMST1R断片は、Genbankアクセッション番号:NP_002438.2(配列番号45)に対応するアミノ酸をコードする。マウスMST1R断片は、以下の位置におけるアミノ酸の相違、すなわち688(LeuからPro)、713(IleからVal)、714(AlaからGly)および719(AlaからVal)を除いて、Genbankアクセッション番号:NP_033100.1(配列番号47)に対応するアミノ酸をコードする。これらの発現ベクターでHEK293T細胞に形質移入した。FACS分析には、細胞を、2μg/mlの一次抗体と共にインキュベートし、続いて、上述の通り、FITC標識された二次抗体と共にインキュベートした。
図10において、抗Flag抗体によりそれぞれのタンパク質(ヒト、カニクイザル、およびマウスMST1R)の発現を確認した。MOR07692、MOR07923、MOR07924、MOR07925、およびMOR07926は、ヒトおよびサルMST1Rの両方に結合することを示した。一方、MOR07919は、ヒトおよびサルMST1Rに加えて、マウスMST1Rにも結合することを示した。
【0084】
これらの抗体のヌクレオチド配列をDNAシーケンサによって決定した。MOR07692、MOR07923、MOR07924、MOR07925、およびMOR07926の可変重鎖のヌクレオチド配列は、
図3Aおよび配列番号18に示す通りに決定された。MOR07919の可変重鎖のヌクレオチド配列を
図3Bおよび配列番号20に示す。MOR07692、MOR07923、MOR07924、MOR07925、およびMOR07926の可変重鎖のアミノ酸配列は、
図3Cおよび配列番号19に示す通りに決定された。MOR07919の可変重鎖のアミノ酸配列を
図3Dおよび配列番号21に示す。
【0085】
MOR07692の可変軽鎖のヌクレオチド配列を
図4Aおよび配列番号22に示す。MOR07692の可変軽鎖のアミノ酸配列を
図4Gおよび配列番号23に示す。MOR07919の可変軽鎖のヌクレオチド配列を
図4Bおよび配列番号24に示す。MOR07919の可変軽鎖のアミノ酸配列を
図4Hおよび配列番号25に示す。MOR07923の可変軽鎖のヌクレオチド配列を
図4Cおよび配列番号26に示す。MOR07923の可変軽鎖のアミノ酸配列を
図4Iおよび配列番号27に示す。MOR07924の可変軽鎖のヌクレオチド配列を
図4Dおよび配列番号28に示す。MOR07924の可変軽鎖のアミノ酸配列を
図4Jおよび配列番号29に示す。MOR07925の可変軽鎖のヌクレオチド配列を
図4Eおよび配列番号30に示す。MOR07925の可変軽鎖のアミノ酸配列を
図4Kおよび配列番号31に示す。MOR07926の可変軽鎖のヌクレオチド配列を
図4Fおよび配列番号32に示す。MOR07926の可変軽鎖のアミノ酸配列を
図4Lおよび配列番号33に示す。
【0086】
MOR07692、MOR07923、MOR07924、MOR07925、およびMOR07926の可変重鎖CDR3(H−CDR3)のアミノ酸配列を配列番号1に示す。MOR07919の可変重鎖CDR3(H−CDR3)のアミノ酸配列を配列番号4に示す。
【0087】
MOR07692、MOR07923、MOR07924、MOR07925、およびMOR07926の可変重鎖CDR2(H−CDR2)のアミノ酸配列を配列番号2に示す。MOR07919の可変重鎖CDR2(H−CDR2)のアミノ酸配列を配列番号5に示す。
【0088】
MOR07692、MOR07923、MOR07924、MOR07925、およびMOR07926の可変重鎖CDR1(H−CDR1)のアミノ酸配列を配列番号3に示す。MOR07919の可変重鎖CDR1(H−CDR1)のアミノ酸配列を配列番号6に示す。
【0089】
MOR07692の可変軽鎖CDR3(L−CDR3)のアミノ酸配列を配列番号7に示す。MOR07919の可変軽鎖CDR3(L−CDR3)のアミノ酸配列を配列番号8に示す。MOR07923の可変軽鎖CDR3(L−CDR3)のアミノ酸配列を配列番号9に示す。MOR07924の可変軽鎖CDR3(L−CDR3)のアミノ酸配列を配列番号10に示す。MOR07925の可変軽鎖CDR3(L−CDR3)のアミノ酸配列を配列番号11に示す。MOR07926の可変軽鎖CDR3(L−CDR3)のアミノ酸配列を配列番号12に示す。
【0090】
MOR07692、MOR07923、MOR07924、MOR07925、およびMOR07926の可変軽鎖CDR2(L−CDR2)のアミノ酸配列を配列番号14に示す。MOR07919の可変軽鎖CDR2(L−CDR2)のアミノ酸配列を配列番号16に示す。
【0091】
MOR07692、MOR07923、MOR07924、MOR07925、およびMOR07926の可変軽鎖CDR1(L−CDR1)のアミノ酸配列を配列番号13に示す。MOR07919の可変軽鎖CDR1(L−CDR1)のアミノ酸配列を配列番号15に示す。
【0092】
MOR07692の重鎖のヌクレオチド配列を配列番号50に示す。MOR07692の重鎖のアミノ酸配列を配列番号51に示す。MOR07692の軽鎖のヌクレオチド配列を配列番号54に示す。MOR07692の軽鎖のアミノ酸配列を配列番号55に示す。
【0093】
MOR07923の重鎖のヌクレオチド配列を配列番号50に示す。MOR07923の重鎖のアミノ酸配列を配列番号51に示す。MOR07923の軽鎖のヌクレオチド配列を配列番号56に示す。MOR07923の軽鎖のアミノ酸配列を配列番号57に示す。
【0094】
MOR07924の重鎖のヌクレオチド配列を配列番号50に示す。MOR07924の重鎖のアミノ酸配列を配列番号51に示す。MOR07924の軽鎖のヌクレオチド配列を配列番号58に示す。MOR07924の軽鎖のアミノ酸配列を配列番号59に示す。
【0095】
MOR07925の重鎖のヌクレオチド配列を配列番号50に示す。MOR07925の重鎖のアミノ酸配列を配列番号51に示す。MOR07925の軽鎖のヌクレオチド配列を配列番号60に示す。MOR07925の軽鎖のアミノ酸配列を配列番号61に示す。
【0096】
MOR07926の重鎖のヌクレオチド配列を配列番号50に示す。MOR07926の重鎖のアミノ酸配列を配列番号51に示す。MOR07926の軽鎖のヌクレオチド配列を配列番号62に示す。MOR07926の軽鎖のアミノ酸配列を配列番号63に示す。
【0097】
MOR07919の重鎖のヌクレオチド配列を配列番号48に示す。MOR07919の重鎖のアミノ酸配列を配列番号49に示す。MOR07919の軽鎖のヌクレオチド配列を配列番号52に示す。MOR07919の軽鎖のアミノ酸配列を配列番号53に示す。
【実施例5】
【0098】
(ELISAによる結合活性分析)
96ウェルMaxiSorp(商標)マイクロタイタープレートのウェルを、PBS中に希釈された1μg/mlの組換え体MST1R−Fc融合タンパク質(ヒトMST1Rの25〜571アミノ酸配列を含有する、R&D)でコーティングした。このプレートを4℃で終夜インキュベートした。翌日、ウェルを、PBS−FCSバッファー(PBS中に5%FCS)で1回洗浄し、次いで、室温で1時間、PBS−FCSバッファーでブロックした。PBS−FCSバッファーを除去した後、MST1R−Fcコーティングされたウェルに4μg/mlの一次抗体を添加し、室温で1時間インキュベートした。PBS−FCSバッファーで1回洗浄した後、二次抗体を添加し、室温で1時間インキュベートさせた。PBS−FCSバッファーで3回洗浄した後、HRPの基質(基質バッファー(50mM無水クエン酸三ナトリウム、100mMリン酸水素二ナトリウム、pH4.5)中の0.4mg/ml o−フェニレンジアミンジヒドロクロリドおよび0.006%過酸化水素)を添加した。黄色に発色した後に、1M HClをさらに添加して、反応を停止させた。490nmの吸光度をEnVisionマイクロタイタープレートリーダーで測定した。
図11において、得られた抗体(MOR07692、MOR07919、MOR07923、MOR07924、MOR07925、およびMOR07926)のすべてがヒトMST1Rの25〜571部分に結合することを示した。各抗体は、非還元、非変性MST1Rの免疫沈降には適用可能であったが、還元、変性MST1Rを検出するウェスタンブロッティングには適用可能でなかった(データは示されていない)。それは、これらの抗体が配列番号17中のアミノ酸残基内の非変性コンフォメーションを認識することを示す。
【実施例6】
【0099】
(生物学的アッセイ)
(A.Elk1ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイ)
抗体の機能性をElk1ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイで試験した。アッセイの原理は、いくつかのベクターを用いた293α細胞の同時形質移入に基づいている。MST1Rは、細胞膜中に組み込まれており、それが過剰発現されるか、またはMSPで刺激された場合、活性型(リン酸化型)となって、ERK(細胞外シグナル制御キナーゼ)へとシグナル伝達する。抗体の機能性を試験するために、Elk1ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイを以下の通りに確立した。最初に、本発明者らはpFR−Luc2CPベクターを構築した。pFR−Luc2CPを構築するために、pFR−Lucベクター(Stratagene)をHindIIIで消化し、平滑末端化するためにT4DNAポリメラーゼで処理し、5×GAL4結合エレメントおよびTATAボックスを含有する約140bpの断片を得るためにBamHIで消化した。pGL4.12[luc2CP](Promega)を、EcoICRI/BglIIで消化し、脱リン酸し、上記断片と連結して、pFR−Luc2CPを生成させた。次に、Lipofectamine 2000(Invitrogen)形質移入手順を用いて、pcDNA−DEST40 MST1R、pcDNA−DEST40、pFA2−Elk1(Stratagene)、pFR−Luc2CP、およびpGL4.74[hRluc/TK](Promega)で一過性に293α細胞に同時形質移入し、白色96ウェル細胞培養プレートに播種した。形質移入の翌日、細胞を抗体と共に1時間プレインキュベートし、次いで、リガンド(ヒトMSP)をウェルに添加した。6時間のインキュベーションの後、細胞溶解物を調製し、Dual−luciferaseレポーターアッセイシステム(Promega)を用いて、ホタルルシフェラーゼ活性(特異的シグナル)およびRenillaルシフェラーゼ活性(正規化のためのシグナル)を測定した。各ウェルのデータを正規化するために、ホタル/Renilla比を計算した。表2は、100ng/mlのMSPリガンドの存在下におけるIC
50値を示す。MOR07692、MOR07919、MOR07923、MOR07924、MOR07925、およびMOR07926は、4から100ng/mlの間の範囲の低IC
50値を示した。
図12に示す通り、MST1Rの過剰発現は、それ自体でMST1Rのリガンド非依存的活性化を誘導した。MOR07925、MOR07919、およびMOR07692も、MST1Rの活性化のこのタイプを抑制した。
【0100】
【表2】
(B.MST1Rのリン酸化を検出するためのELISA)
リガンドおよび/または抗体で処置した後のMST1Rのリン酸化状態の変化をELISA系によって決定した。PC3細胞(1×10
6)を直径6cmのディッシュ上で終夜インキュベートした後に、細胞をPBSで洗浄し、0.1%のBSA−RPMI培地と共にインキュベートした。終夜インキュベーションの後に、細胞を37℃にて1時間、1μg/mlのMOR07692抗体で処置し、次いで、0分から15分まで、200ng/mlの組換え体MSP(R&D systems)で刺激した。次いで、細胞溶解物を調製し、リン酸化型のMST1Rをヒトホスホ−MSP R/Ron ELISA系(R&D systems)によって供給業者指示に従って測定した。
図13に示す通り、MOR07692は、MSPリガンドの添加によって促進されたMST1Rリン酸化の完全阻害を示した。
(C.活性化されたERKのウェスタンブロッティング)
リガンドおよび/または抗体で処置した後のERKのリン酸化状態の変化をウェスタンブロッティングで決定した。12ウェルプレート上でPC3細胞(2×10
5)を終夜培養した後に、細胞をPBSで洗浄し、0.1%のBSA−RPMI培地でインキュベートした。終夜インキュベーションの後に、ヒトIgG−Fcに対する親和性精製されたヤギ抗体(Cappel)1μg/mlの存在下または非存在下において、37℃で1時間、1μg/mlのMOR07692抗体で細胞を処置した。インキュベーションの後に、100ng/mlの組換え体MSP(R&D systems)を添加し、さらに、30分間インキュベートした。次いで、complete mini(Roche)およびホスファターゼ阻害剤(Nakarai tesque)を含有するRIPAバッファーで細胞を溶解させた。細胞片から溶解物を遠心分離して清澄化し、BCAタンパク質アッセイ(PIERCE)を用いてタンパク質濃度を決定した。溶解物をβ−メルカプトエタノールを含有するバッファー中に再懸濁し、99℃で5分間変性させた。5〜20%のゲルにおけるSDS−PAGEによって、タンパク質(10μg/レーン)は分離した。PVDF膜(BioRad)上にタンパク質をブロッティングした。膜を室温で1時間、Blockace(Yukijirushi)でブロックし、ERKに対するポリクロナール抗体またはホスホ−ERK抗体と共に4℃で終夜インキュベートした。洗浄の後、膜をホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗ウサギ二次抗体(Amersham)と共にインキュベートした。ECL plus基質(GE Healthcare)を用いて、X線フィルムで免疫反応性バンドを可視化した。
図14は、リガンドMSPに反応したERKリン酸化を表した。増大は、ヒトIgG−Fcに対する架橋結合抗体の存在下および非存在下におけるMOR07692の添加によってほぼ完全に阻害された。
(D.細胞増殖アッセイ)
2%チャーコール/デキストラン処置されたFCS(Hyclone)を含有するRPMI培地に懸濁されたT−47D細胞(5000細胞/ウェル)を96ウェルプレート上に播種した。細胞を、37℃で1時間、1μg/mlの抗体と共にインキュベートし、次いで、100ng/mlの組換え体MSPで刺激した。5日間のインキュベーションの後に、CellTiter−Glo発光細胞生存率アッセイキット(Promega)によって、供給業者の指示に従って細胞ATPを測定した。
図15に示す通り、MOR07692、MOR07923、MOR07924、MOR07925、およびMOR07926は、MSPによって促進されたT−47D細胞の増殖を明確に抑制した。MOR07919は、他の抗体より弱い阻害活性を有した。
(E.移動アッセイ)
10%FCSを含有するRPMI培地中に懸濁されたBxPC−3細胞(5×10
4細胞/ウェル)を96ウェルOris(商標)細胞移動アッセイプレート(Platypus Technologies,LLC.)に播種した。終夜培養の後に、試験ウェルからストッパーを取り除き、培地を、2%チャーコール/デキストランで処置されたFCS(Hyclone)で置き換えた。細胞を、37℃で1時間、10μg/mlの抗体と共にインキュベートし、次いで、300ng/mlの組換え体MSPで刺激した。24時間のインキュベーションの後に、移動した細胞を明視野顕微鏡(Nikon)を用いて観察し、次いで、それらのイメージをImage Jソフトウェアによって分析して、無細胞領域を計算した。
図16に示す通り、MOR07919、MOR07692、およびMOR07925は、MSPによって促進されたBxPC−3細胞の細胞移動を明確に抑制した。MOR07692およびMOR07925は、MOR07919と比較して、より強い阻害活性を有した。
(F.内部移行アッセイ)
抗体が内部移行する能力を評価するために、Hum−ZAP二次結合体(ADVANCED TARGETING SYSTEMS提供の親和性精製されたヤギ抗ヒトIgGサポリン)を二次抗体として用いて、細胞内への内部移行の後に、タンパク質合成阻害、最終的には細胞死を引き起こした。10%FCSを含有するRPMI培地中に懸濁されたPC3細胞(2000細胞/ウェル)を96ウェル透明平底白色培養プレートに播種した。翌日、細胞を抗体と共に4℃で1時間プレインキュベートした。抗体を含有する培地を除去した後、0.5μg/mlのHum−ZAP二次結合体をウェルに添加した。プレートを4℃で1時間、次いで37℃で3日間インキュベートした。CellTiter−Glo発光細胞生存率アッセイキット(Promega)によって、供給業者の指示に従って、細胞生存率の読み取り値として細胞ATPを測定した。
図17に示す通り、PC3細胞の生存率は、MOR07692、MOR07919、MOR07923、MOR07924、MOR07925、およびMOR07926での処置によって大きく低減した。これは、これらの抗体の細胞内在化能力を示唆する。
【0101】
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【0102】
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