(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714515
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】表面欠陥を早期に検出するプレスキャン機能を有する光ディスク再生デバイス
(51)【国際特許分類】
G11B 7/004 20060101AFI20150416BHJP
G01N 21/95 20060101ALI20150416BHJP
G01M 11/00 20060101ALI20150416BHJP
G11B 7/135 20120101ALI20150416BHJP
【FI】
G11B7/004 A
G01N21/95 A
G01M11/00 T
G11B7/135 Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-7718(P2012-7718)
(22)【出願日】2012年1月18日
(65)【公開番号】特開2013-41655(P2013-41655A)
(43)【公開日】2013年2月28日
【審査請求日】2013年4月25日
(31)【優先権主張番号】13/211,869
(32)【優先日】2011年8月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508243639
【氏名又は名称】エルエスアイ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ マイケル フレウンド
【審査官】
ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−066484(JP,A)
【文献】
特開平09−102931(JP,A)
【文献】
特開2001−297516(JP,A)
【文献】
実開昭61−057392(JP,U)
【文献】
特開2006−107679(JP,A)
【文献】
特開平10−320809(JP,A)
【文献】
特開平09−261589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/00 − 7/013
G11B 7/12 − 7/22
G01M 11/00
G01N 21/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク再生デバイスであって、
第1および第2のレーザと、
光学アセンブリと、
第1および第2の光学検波器と、
前記光学検波器に結合されたコントローラ回路とを備え、
前記光学アセンブリは、前記第1および第2のレーザからの入射光を光ディスクの表面上にそれぞれ前走査スポットおよび後走査スポットを形成するように導くように構成され、
前記光学アセンブリはさらに、前記光ディスクの前記表面上の前記前走査スポットおよび前記後走査スポットからの対応する反射光をそれぞれの前記光学検波器に導くように構成され、
前記コントローラ回路は、前記後走査スポットが前記光ディスクの表面欠陥に到達する前に前記前走査スポットに関連する前記反射光を処理することによって前記光ディスクの前記表面欠陥を識別するように構成され、
前記コントローラ回路はさらに、前記表面欠陥が識別されたことに応答して、前記後走査スポットが前記表面欠陥に到達する前に、前記再生デバイスのデコーダの動作を変更するエラー回復アルゴリズムを開始するように構成される、光ディスク再生デバイス。
【請求項2】
前記第1および第2のレーザは、前記入射光をそれぞれの異なる波長で生成するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1のレーザは、第1の種類の光ディスクから記憶されている情報を読み取るのに特に適した波長を有し、前記第2のレーザは、前記第1の種類の光ディスクとは異なる第2の種類の光ディスクから記憶されている情報を読み取るのに特に適した波長を有する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前走査スポットおよび後走査スポットを、それぞれ第1および第2のレーザからの入射光を使用して光ディスクの表面上に形成するステップと、
前記前走査スポットおよび前記後走査スポットからの反射光を検出するステップと、
前記後走査スポットが前記光ディスクの表面欠陥に到達する前に前記前走査スポットに関連する前記反射光を処理することによって前記光ディスクの前記表面欠陥を識別するステップと、
前記表面欠陥が識別されたことに応答して、前記後走査スポットが前記表面欠陥に到達する前に、前記再生デバイスのデコーダの動作を変更するエラー回復アルゴリズムを開始するステップとを含む、方法。
【請求項5】
前記表面欠陥が識別されたことを示すメッセージを表示するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記前走査スポットの生成の有効化と無効化の少なくとも一方を実行する選択可能なオプションを与えるステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
請求項4の前記方法の前記ステップを実行する実行可能なコードが具体化されている非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項8】
光ディスク再生デバイスであって、
ユーザ・インターフェースと、
第1および第2の再生機構とを備え、
前記第1および第2の再生機構は、それぞれ前走査スポットおよび後走査スポットを光ディスクの表面上に形成し、それぞれ前記前走査スポットおよび前記後走査スポットからの反射光を検出するように動作可能であり、
前記光ディスクの表面欠陥は、前記後走査スポットが前記光ディスクの前記表面欠陥に到達する前に前記前走査スポットに関連する前記反射光を処理することによって識別され、
前記ユーザ・インターフェースは、再生システムが少なくとも、前記前走査スポットと前記後走査スポットの両方が生成される第1のモードと、前記後走査スポットのみが生成される第2のモードと、においてユーザの制御下で動作可能であるように、前記前走査スポットの生成を有効化および無効化するためのユーザが選択可能なオプションを提供する、光ディスク再生システム。
【請求項9】
前記エラー回復アルゴリズムは、前記表面欠陥が識別されたことに応答して、直前の映像出力フレームの表示を指示された期間にわたって継続するようにデコーダに指示する、請求項1に記載の光ディスク再生デバイス。
【請求項10】
前記エラー回復アルゴリズムは、前記表面欠陥が識別されたことに応答して、直前の映像出力フレームの表示を指示された期間にわたって継続するようにデコーダに指示する、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して光ディスク再生デバイスに関し、特に、光ディスク上に表面欠陥が存在するときのそのようなデバイスの読み出し性能を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
標準化された光ディスク・ストレージ・フォーマットは最近、デジタル・バーサティル・ディスク(DVD)からブルーレイ(商標、以下同)へと進化している。ブルーレイ・ディスク(商標、以下同)は、波長が、DVDを読むのに使用される650ナノメートルの赤色レーザよりも著しく短い405ナノメートルである青色レーザを使用して読まれる。したがって、ブルーレイ・ディスク上にはずっと高い密度で情報を記憶することができる。たとえば、単一層ブルーレイ・ディスクは、約25ギガバイト(GB)のデータを記憶することができ、これに対して、DVDで記憶できるのは約5GBである。よく知られているように複数の記憶層を含むように光ディスクを構成することによってより高い記憶密度を実現することができる。
【0003】
ブルーレイ・ディスクは、記憶密度がより高いという利点を有するが、より短い波長のレーザを読み出しに使用するのは、ディスク表面上またはその近くのひっかき傷、指紋、塵埃粒子、気泡、またはその他の欠陥によって再生エラーがより生じやすくなる問題がある。
【0004】
表面欠陥の範囲に応じて、光ディスク再生デバイスによる再生は短時間の間中断されるかあるいは完全に停止される。小さな欠陥の場合、再生デバイスは通常、まずエラーが生じているデータの再読み取りを試み、データの再読み取りができない場合、デバイスは、そのデータを飛ばし、次のデータ位置を読み取り、このプロセスを、最終的に表面欠陥が迂回され、通常の再性が再開するまで続けられる。より大きな欠陥の場合、再生デバイスで実施される補正プロセスではこの状況が解消されないため、再生が完全にフリーズすることが多い。この場合、ユーザは、再生デバイスの「スキップ」機能または「早送り」機能を使用して、表面欠陥が迂回されるまで再生シーケンスにおいてデータを手動で先へ飛ばす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の例示的な実施態様は、表面欠陥を検出することができ、読み取りレーザが表面欠陥に達する前に適切なエラー回復アルゴリズムを開始することができるプレスキャン機能を実施することによって、表面欠陥が存在するときの光ディスク再生デバイスの読み出し性能を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、光ディスク再生デバイスは、第1および第2のレーザと、光学アセンブリと、第1および第2の光学検波器と、光学検波器に結合されたコントローラ回路とを備える。光学アセンブリは、第1および第2のレーザからの入射光を光ディスクの表面上にそれぞれ前走査スポットおよび後走査スポットを形成するように導くように構成され、さらに、光ディスクの表面上の前走査スポットおよび後走査スポットからの対応する反射光をそれぞれの光学検波器に導くように構成される。コントローラ回路は、後走査スポットが光ディスクの表面欠陥に到達する前に前走査スポットに関連する反射光を処理することによって光ディスクの表面欠陥を識別するように構成される。コントローラ回路はさらに、表面欠陥が識別されたことに応答してエラー補正アルゴリズムまたは他の種類のエラー回復アルゴリズムを開始するように構成されてよい。
【0007】
第1のレーザと第2のレーザはどちらも、実質的に同じ波長を有してよく、あるいはそれぞれの異なる波長で動作してよい。後者の種類の構成では、第1のレーザは、第1の種類の光ディスクから記憶されている情報を読み取るのに特に適した波長を有してよく、第2のレーザは、第1の種類の光ディスクとは異なる第2の種類の光ディスクから記憶されている情報を読み取るのに特に適した波長を有してよい。たとえば、第1の種類の光ディスクはDVD光ディスクであってよく、第2の種類の光ディスクはブルーレイ光ディスクであってよく、DVDレーザは、表面欠陥をプレスキャンするための前走査スポットを形成するのに使用され、ブルーレイ・レーザは、光ディスクから記憶されている情報を読み取るための後走査スポットを形成するのに使用される。
【0008】
有利なことに、例示的な実施態様は、ディスク上に表面欠陥が存在するときのブルーレイ光ディスクまたは他の種類の光ディスクの読み出し性能を著しく向上させる。表面欠陥は、前走査スポットを使用して早期に検出され、したがって、観察者に対して完全に透過的な方法で自動的に対処することができ、それによって手動の介入が不要になる。一例として、従来の習慣に対するこの顕著な向上は、すでにDVD読み出し機能とブルーレイ読み出し機能の両方を備えている再生デバイスにおいて、ブルーレイ・レーザによる読み出しの前にDVDレーザを利用して表面欠陥を検出する前走査スポットを生成することによって実現することができる。このような構成では、追加的な光学素子または読み出しハードウェアをそれほど必要とせずに、読み出し性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の例示的な実施形態における表面欠陥を早期に検出するプレスキャン機能を組み込んだ光ディスク再生システムのブロック図である。
【
図2】光ピックアップ・ユニットによって光ディスクの表面上に前走査スポットおよび後走査スポットがどのように形成されるかを示す、
図1のシステムの一部のより詳細な図である。
【
図3】
図1のシステムの1つの動作モードを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、有利なことに表面欠陥を早期に検出するプレスキャン機能を組み込んだ例示的な光ディスク再生システムに関連して本発明を例示する。しかし、本発明が、図示し説明する特定のシステムおよび技術に限定されないことを理解されたい。本発明は、読み出し性能を向上させることが望ましいあらゆる光ディスク再生システムにより一般的に適用することができ、例示的な実施形態に関連して具体的に図示し説明する構成要素以外の構成要素を使用して実現することができる。
【0011】
図1は、本発明の例示的な実施形態による光ディスク再生システム100を示している。この実施形態における再生システム100は、より具体的には、光ディスク104から記憶されている情報を読み取る光ピックアップ・ユニット102を含んでいる。光ピックアップ・ユニットは、記録可能な光ディスクに情報を書き込むように構成されてもよい。ただし、このような機能な本発明の要件ではない。典型的な構成では、光ディスク104は、ディスクの回転、およびディスクの溝に対する光ピックアップ・ユニット102の位置決めを制御するディスク・ドライブに挿入される。光ディスク104の回転および光ピックアップ・ユニット102の位置決めを制御する駆動機構および関連する電子機器は、図を明確にかつ簡略にするために図から省略されているが、従来のように実装されると仮定することができる。
【0012】
本実施形態の光ピックアップ・ユニット102は、レーザ110と、光学素子112と、光学検波器114とを備える。限定としてではなく、少なくとも第1および第2のレーザと第1および第2の光学検波器があるものと仮定する。ただし、他の実施形態では他の数のレーザおよび検波器を使用してよい。第1のレーザと第2のレーザはどちらも実質的に同じ波長を有してよく、あるいはそれぞれの異なる波長で動作してよい。後者の構成では、第1のレーザは、第1の種類の光ディスクから記憶されている情報を読み取るのに特に適した波長を有してよく、第2のレーザは、第1の種類の光ディスクとは異なる第2の種類の光ディスクから記憶されている情報を読み取るのに特に適した波長を有してよい。たとえば、第1の種類の光ディスクはDVD光ディスクであってよく、第2の種類の光ディスクはブルーレイ光ディスクであってよい。これらのフォーマットおよびその他のフォーマットの多層光ディスクを使用してもよい。
【0013】
光学素子112は、本明細書でより一般的に「光学アセンブリ」と呼ぶものの一例とみなすことができる。本明細書で使用される語「光学アセンブリ」は、広義に解釈されるものであり、光ディスク104に光を導きかつ光ディスク104から光を導くのに使用される光学素子の任意の構成を備えてよく、かつ関連する構造要素、機械的要素、または電気的要素を含んでもよい。光学アセンブリは、第1および第2のレーザのそれぞれに関連する完全に分離された数組の光学素子を備えてよく、あるいは少なくとも光学アセンブリ自体の光学素子の一部を利用して、第1のレーザと第2のレーザの両方からの光を処理してもよい。したがって、本発明が、光ディスクに光を導きかつ光ディスクから光を導く光学素子の任意の特定の構成を必要としないことを理解されたい。ただし、
図2に関連してこのような光学素子のより詳細な例について説明する。
【0014】
光ピックアップ・ユニット102は、光ピックアップ・ユニットの動作を制御し、かつ光ピックアップ・ユニットから供給されかつ光ピックアップ・ユニットに渡される信号を処理するプロセッサ120に結合されている。プロセッサ120は、一例として、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはその他の集積回路デバイスおよびそのようなデバイスの一部もしくは組み合わせを備えてもよい。プロセッサ120は、本明細書でより一般的に「コントローラ回路」と呼ぶものの一例とみなすことができる。このようなコントローラ回路は、本実施形態では光ピックアップ・ユニット102とは別個に示されているが、他の実施形態では光ピックアップ・ユニット内に少なくとも部分的に実装してもよい。したがって、「コントローラ回路」という語が本明細書で使用されるときは、この場合も一例として制限なしに、ディスク・ドライブ電子機器、信号処理電子機器、および関連する処理・メモリ回路、ならびに光ディスク104の表面に対する光ピックアップ・ユニット102の位置決めを制御するのに利用される関連する1つまたは複数の電気機械要素を包含してよい。
【0015】
上述のコントローラ回路は、光学検波器114の出力に結合され、かつプレスキャンおよび読み出しに関連するさらなる処理が可能なように光学検波器からそれぞれの検出信号を受け取るものと仮定する。コントローラ回路は、レーザ110の制御入力のような光ピックアップ・ユニットの他の要素にさらに結合されてもよい。
【0016】
光学再生システム100内のプロセッサ120には、メモリ122およびデコーダ124も組み合わされている。メモリ122は、プレスキャン・読み出し機能の少なくとも一部を実施する際にプロセッサ120によって実行できる実行可能なコードを記憶する。メモリ122は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)または読み取り専用メモリ(ROM)のような電子メモリを任意の組み合わせで備えてよく、本明細書でより一般的に「コンピュータ可読記憶媒体」と呼ぶものの一例である。
【0017】
デコーダ124は、たとえば、DVD光ディスクとブルーレイ光ディスクの両方の再生をサポートするように設計された実施形態では別個のDVDデコーダおよびブルーレイ・デコーダを備えてもよい。このようなデコーダは一般に、MPEG−2復号機能を含み、第1および第2の光学検波器114のそれぞれと組み合わせることができる。他の実施形態では、単一のデコーダを使用して複数の光ディスク・フォーマットをサポートすることができる。
【0018】
光ディスク104から読み出された情報信号は、デコーダ124によって処理され、表示デバイス125上で表示するのに適した映像信号が生成される。表示デバイスは、たとえば、テレビジョン、コンピュータ、携帯電話、または光ピックアップ・ユニット102を介して光ディスク104から読み出された映像または他の情報を表示する能力を有する任意の他の処理デバイスを備えてよい。
【0019】
システム要素102、120、122、および124は、DVDフォーマットとの後方互換性も有するブルーレイ・プレーヤのような場合によっては従来型の光ディスク再生デバイスの要素を備えてよい。そのような1つまたは複数の要素は、テレビジョン、コンピュータ、携帯電話、または表示デバイス125を備えるその他の処理デバイスのような処理デバイスで実現することができる。
【0020】
光学検波器114、プロセッサ120、メモリ122、およびデコーダ124のようなシステム要素は、光ディスク・プレーヤまたは他の光ディスク再生デバイスで使用できるように設計され、かつ好適には本明細書で開示されるようにプレスキャン機能をサポートするように修正された場合によっては従来型のシステム・オン・チップ(SOC)集積回路のような1つまたは複数の集積回路の形で少なくとも部分的に実現することができる。
【0021】
本発明の集積回路実装形態では、通常、複数の集積回路ダイがウェハの表面上に反復パターンで形成される。このような各ダイは、本明細書で説明するようにデバイスを含んでよく、他の構造または回路を含んでもよい。ダイは、ウェハから切り出され、すなわちダイシングされ、次いで集積回路として実装される。当業者には、ウェハをダイシングしダイを実装して実装された集積回路を製造する方法が認識されよう。このように製造された集積回路は本発明の一部であるとみなされる。
【0022】
上記に指摘したように、光ディスク104のような光ディスクから記憶されている情報を読み取る際に生じる可能性がある問題は、ディスク表面上またはその近くのひっかき傷、指紋、塵埃粒子、気泡、またはその他の欠陥のために再生エラーが生じる恐れがあることである。これは、読み出しが短波長青色レーザを使用して実行されるブルーレイのような高密度ストレージ・フォーマットを有する光ディスクに特に当てはまる。
【0023】
本実施形態は、従来技術のこの顕著な問題を、光学素子112を含む光学アセンブリを構成することにより、第1および第2のレーザ110からの入射光を光ディスク104の表面上にそれぞれ前走査スポットおよび後走査スポットを形成するように導き、光ディスク104の表面上の前走査スポットおよび後走査スポットからの対応する反射光をそれぞれの光学検波器114に導くようにすることによって、少なくとも部分的に解消する。システム100のプロセッサ120または他のコントローラ回路は、後走査スポットが光ディスク104の表面欠陥に到達する前に前走査スポットに関連する反射光を処理することによって表面欠陥を識別するように構成されている。コントローラ回路はさらに、表面欠陥が識別されたことに応答してエラー補正アルゴリズムまたは他の種類のエラー回復アルゴリズムを開始するように構成されてもよい。このようなエラー回復アルゴリズムは、一例として、プロセッサ120内または所与の一方のデコーダ124内で実施することができる。
【0024】
上記に指摘したように、第1のレーザと第2のレーザはどちらも、実質的に同じ波長を有してよく、あるいはそれぞれの異なる波長で動作してよい。第1のレーザが、DVD光ディスクを読むように構成されたDVDレーザであり、かつ第2のレーザが、ブルーレイ・ディスクを読むように構成されたブルーレイ・レーザである実施形態では、DVDレーザを使用して前走査スポットを形成し、表面欠陥をプレスキャンすることができ、ブルーレイ・レーザを使用して後走査スポットを形成し、光ディスクから記憶されている情報を読み取ることができる。より一般的には、互いに異なる2つのレーザが互いに異なる2種類の光ディスクを読むように構成された再生デバイスでは、一方の種類のディスクを読むように構成されたレーザは、他方のレーザによって形成された後走査スポットを使用して他方の種類のディスクが読まれているときに前走査スポットを形成するように働く。逆の場合も同様である。
【0025】
図1に示されている光ディスク再生システム100は、具体的に示されている要素に加えてあるいはその代わりに、一般にこのようなシステムの従来の実装形態に見られる種類の1つまたは複数の要素を含む他の要素を含んでもよい。これらの従来の要素および他の従来の要素は、当業者にはよく理解されており、本明細書では詳しく説明しない。したがって、
図1に示されている要素の特定の構成が一例としてのみ提示されていることを理解されたい。そのため、当業者には、本発明を実施するうえで様々な他の光ディスク再生システム構成を使用できることが認識されよう。
【0026】
図2は、光ピックアップ・ユニット102のより詳細な図であり、光ディスク104の表面上に前走査スポットおよび後走査スポットがどのように形成されるかを示している。この図では、第1および第2のレーザは、それぞれレーザ110−1および110−2としてより特定的に識別されており、上記に指摘したように、それぞれのDVD光ディスクおよびブルーレイ光ディスクを読むように構成されたレーザを備えてよい。したがって、レーザ110−1および110−2はそれぞれ、波長が約650ナノメートルの赤色レーザと、波長が約405ナノメートルの青色レーザとを備えてよい。第1および第2の光学検波器は、それぞれ、光学検波器の第1のアレイ114−1および光学検波器の第2のアレイ114−2としてより特定的に識別されている。
【0027】
本実施形態の光学素子112は、より具体的には、レーザ110からの光を光ディスク104に導き、光ディスク104からの光を光学検波器のアレイ114−1および光学検波器のアレイ114−2に導くように構成された光学素子202、204、206、および208を備える。より具体的には、光学素子112は、第1のレーザ110−1からの入射光を前走査スポット210を形成するように導き、前走査スポット210からの対応する反射光を第1の光学検波器アレイ114−1に導く。同様に、光学素子112は、第2のレーザ110−2からの入射光を後走査スポット212を形成するように導き、後走査スポット212からの対応する反射光を第2の光学検波器アレイ114−2に導く。前走査スポット210は、表面欠陥をプレスキャンするのに使用され、後走査スポットは、光ディスク104から記憶されている情報を読み取るのに使用される。
【0028】
図2では、走査スポット210および212が光ディスク104の表面よりも上に位置するように示されているが、これが図示を明確にするためのものであることに留意されたい。当業者には、走査スポットが、実際には光ディスクの実際の表面を照明し、したがって、本明細書では、走査スポットが、レーザ110−1および110−2からの光を使用して光ディスクの表面上に形成されるものとして引用されることは理解されるであろう。
【0029】
動作時には、前走査スポット210は、後走査スポット212の直前に、回転する光ディスク104の溝を走査する。前走査スポット210からの反射光は、第1の光学検波器アレイ114−1で検出され、この結果得られる検出信号が上述のコントローラ回路で使用され、光ディスク104の表面欠陥が識別される。後走査スポット212からの反射光は、第2の光学検波器アレイ114−2で検出され、この結果得られる検出信号は、ディスプレイ125上に表示されるために記憶されている情報の読み出しを可能にする。前走査スポット210は、所与の位置にある表面欠陥を識別し、後走査スポットがその表面欠陥の位置に到達するよりも前に適切なエラー回復アルゴリズムをトリガするように後走査スポット212よりも十分に前に配置される。
【0030】
例示的に示されている光学素子202、204、206、および208は、一方向から到着する光を透過させ、逆方向から到着する光を反射する光学素子を備える。たとえば、光学素子206は、レーザ110−1からの入射光を光ディスク104の表面に導き、光ディスク104の表面からの対応する反射光を光学検波器アレイ114−1に導く。同様に、光学素子208は、レーザ110−2からの入射光を光ディスク104の表面に導き、光ディスク104の表面からの対応する反射光を光学検波器アレイ114−2に導く。しかし、光ピックアップ・ユニット102内で入射光および反射光を導くのに光学素子の様々な代替構成を使用できることを理解されたい。光学素子のこのような構成はすべて、本明細書で使用される一般的な用語「光学アセンブリ」によって包含されるものである。
【0031】
次に
図3を参照すると、光学再生システム100において実施されるプロセスの流れ図が示されている。このプロセスは、システム100によって、光ディスク104の表面欠陥をプレスキャンすることを含む動作モードにおいて、プロセッサ120の制御下で実行される。このプロセスは、ステップ300からステップ310を含む。これらのステップのうちの1つまたは複数は、プロセッサ120において対応するソフトウェア・コードが実行されることに応答して実行することができる。
【0032】
ステップ300で、プレスキャン・モードを有効化した状態で光ディスクの再生が開始される。この場合、たとえば、ユーザが光ディスク104をディスク・ドライブに挿入し、適切な再生デバイス制御入力を操作してプレスキャン・モードを選択することを伴う。したがって、本発明によって構成された再生デバイスは、前走査スポット210の生成を有効化または無効化し、それによって、再生デバイスのプレスキャン機能を有効化または無効化する選択可能なオプションをユーザに与えることができる。このようなオプションは、再生デバイスの場合によっては従来型のユーザ・インターフェースを適切に修正することによって設けることができる。あるいは、再生デバイスは、再生が選択されたときにいつでも再生のプレスキャン・モードが自動的に有効化されるように構成されてもよい。
【0033】
ステップ302で、第1のレーザ110−1と第2のレーザ110−2の両方およびそれらの対応する検出器114−1および114−2がオンにされる。
【0034】
ステップ304で、第1および第2のレーザ110−1および110−2からの入射光を使用して光ディスク104の表面上にそれぞれ前走査スポット210および後端末走査スポット212が形成される。ステップ304は、図では別個のステップとして示されているが、単にステップ302でレーザおよび検出器をオンにすることによって実行することができる。走査スポット形成ステップ304は、上記に加えてあるいは上記の代わりに、光学素子112のうちの1つまたは複数の素子の位置決めの何らかの移動またはその他の調整と、光ディスク104の回転速度が適切な読み出し速度に達するまでの回転速度の調整とを含んでよい。
【0035】
ステップ306で、前走査スポット210および後走査スポット212からの反射光がそれぞれの検波器114−1および114−2において検出される。このプロセスでは、前走査スポット210を使用して表面欠陥が走査され、同時に、後走査スポット212を使用して光ディスクから記憶されている情報が読み取られる。後走査スポット212を使用した記憶されている情報の読み出しは、公知の従来の方法で実行することができ、したがって、本明細書では詳しく説明しない。
【0036】
ステップ308で、前走査スポット210からの反射光に基づいて、光ディスク104の表面上の対応する位置またはその近くに欠陥が存在するか否かが判定される。このような欠陥には、たとえば、ひっかき傷、指紋、塵埃粒子、気泡、へこみ、凹凸表面領域、製造上の欠陥、記録上の欠陥またはディスク表面上もしくはその近くの他の欠陥、あるいはそれらの一部を含めてよい。したがって、本明細書で使用される用語「表面欠陥」が、広義に解釈され、たとえば、光ディスクの製造時に生じるかあるいは光ディスク上に情報を記録するのに伴って生じる可能性がある表面上またはその近くの欠陥と、光ディスクを不適切に取り扱うことによって生じる可能性がある欠陥とを包含することを理解されたい。したがって、このような表面欠陥には、表面から表面の下方の領域に延びるか、あるいは完全に表面よりも下に位置するが、それにもかかわらず前走査スポット210を使用して表面から検出可能である欠陥を含めてよい。
【0037】
本実施形態において特定の表面欠陥の検出は、検出器114−1からの検出信号を処理して、表面欠陥が存在することを検出信号が示しているかどうかを判定することを含む。この場合、たとえば、検出信号の1つまたは複数の特性が特定の種類の表面欠陥の対応する既知の特性と突き合わされることを含んでよい。当業者には、この目的のために、パターン・マッチング・アルゴリズムを使用できることが認識されよう。
【0038】
ステップ308が、前走査スポット210からの反射光に基づいて表面欠陥が存在することを示している場合、プロセスは、ステップ310に移り、他の場合には、ステップ306に戻り、前走査スポット210を使用して表面欠陥の走査を継続し、同時に、後走査スポット212を使用してディスクから記憶されている情報を読み取る。十分な大きさの表面欠陥が識別された場合、その旨のメッセージをディスプレイ125上に示すことができ、したがって、ユーザは、エラー回復アルゴリズムの処理動作に従って出力映像が一時的に変更される可能性があることを理解する。たとえば、このようなメッセージは、そうでなければ従来の慣習では再生プロセスを完全にフリーズさせる恐れがある上述のより大きな表面欠陥が検出されたときに生成され表示されることがある。
【0039】
ステップ310で、ステップ308で表面欠陥が検出されたことに応答してエラー回復アルゴリズムが開始される。エラー回復アルゴリズムは、所与の表面欠陥位置に対して、後走査スポットがその位置に到達する前に開始され、それによって、システムが欠陥に対処する際の融通性がさらに向上する。たとえば、特定の欠陥が検出された場合、開始されたエラー回復アルゴリズムは、光ディスクから読み取られた記憶されている情報を使用して再生を再開する前に、直前の映像出力フレームの表示を指定された期間にわたって継続するように、デコーダに指示することができる。これによって、再生が完全にフリーズする上述の従来の問題が回避され、再生デバイスの「スキップ」機能または「早送り」機能を使用して、表面欠陥が迂回されるまで再生シーケンスにおいてデータを手動で先へ飛ばすようなユーザの介入が不要になる。本明細書で参照する種類のエラー回復アルゴリズムは一般に、たとえば、ブルーレイ再生デコーダに、観賞体験の視覚的な障害を最小限に抑えるのに適切な画像データを供給させながら、欠陥を迂回するのを可能にする。
【0040】
図3に示されている特定のプロセス・ステップおよびその順序は、他の実施形態では変更されてよい。たとえば、
図3において順次実行されるように示されているステップは、その代わりに少なくとも部分的に互いに並行して実行されてよい。多数の代替ステップまたは追加ステップを使用してよい。
【0041】
上記に、システム100の少なくとも一部を、DVDフォーマットとの後方互換性も有するブルーレイ・プレーヤのような場合によっては従来型の光ディスク再生デバイスで実現できることを示した。この種の構成では、光ディスク・プレーヤは一般に、一方がDVDの再生用で他方がブルーレイ・ディスクの再生用である2つの別個の再生機構を備える。DVD再生機構のDVDレーザは一般に、ブルーレイ再生機構のブルーレイ・レーザとは完全に独立にオンにし動作させることができる。逆の場合も同様である。したがって、DVDレーザとブルーレイ・レーザの両方を一緒にオンにして、光ディスクの表面上にそれぞれ前走査スポットおよび後走査スポットを形成し、それによって、それぞれ前走査スポットおよび後走査スポットから反射光を検出することができる。前述の実施形態のうちの1つまたは複数と同様に、光ディスクの表面欠陥は、有利なことに、後走査スポットがその表面欠陥に到達する前に前走査スポットに関連する反射光を処理することによって検出するかあるいは他の方法で識別することができる。
【0042】
例示的な実施形態のうちの1つまたは複数において、表面欠陥は、前走査スポットを使用して早期に検出され、したがって、観察者に対して完全に透過的な方法で自動的に対処することができ、それによって、手動の介入が不要になる。一例として、従来の慣習に対するこの顕著な向上は、すでにDVD読み出し機能とブルーレイ読み出し機能の両方を備えている場合によっては従来型の上述の再生デバイスにおいて、ブルーレイ・レーザによる読み出しの前にDVDレーザを利用して表面欠陥を検出する前走査スポットを生成することによって実現することができる。このような構成では、追加的な光学素子または読み出しハードウェアをそれほど必要とせずに、読み出し性能を向上させることができる。
【0043】
この場合も、本発明の上述の実施形態が例示的な実施形態に過ぎないことが強調されるべきである。たとえば、他の実施形態は、様々な種類および構成のレーザ、光学素子、検出器、およびコントローラ回路を使用してよい。また、様々な種類の表面欠陥検出技術および関連するエラー回復アルゴリズムを使用してよい。より特定的な例として、3つ以上のレーザならびに関連する光学素子および検出器を利用し、1つのレーザならびにその光学素子および対応する検出器が、複数の光ディスク・タイプの表面欠陥を検出するように最適化され、他のレーザならびにその光学素子および対応する検出器が、ブルーレイ・フォーマットおよびDVDフォーマットのようなそれぞれの異なる光ディスク・フォーマットから記憶されているデータを読み出せるように最適化される実施形態を構成してもよい。これらの実施形態および特許請求の範囲内の多数の他の代替実施形態が、当業者には明らかになろう。
【符号の説明】
【0044】
100 光ディスク再生システム
102 光ピックアップ・ユニット
104 光ディスク
110 レーザ
112 光学素子
114 光学検波器
120 プロセッサ
122 メモリ
124 デコーダ
125 表示デバイス
202、204、206、208 光学素子
210 前走査スポット
212 後走査スポット