(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の感光性導電フィルムを用いた導電膜基板は、1枚の導電膜基板に関するものである。そのため、タッチパネルを形成するには、結局のところ2枚の導電膜基板をそれぞれ形成する必要があり、タッチパネルとして一定の厚さを有するものであった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、薄く、曲げやすさ、つまりフレキシブル性を有するタッチパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るフレキシブルタッチパネルは、基材シートと、
前記基材シートの上に設けられ、第1軸についてパターン化された第1軸検出用電極と、
前記第1軸検出用電極の上に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層の上に設けられ、前記第1軸と垂直な第2軸についてパターン化された第2軸検出用電極と、
前記第1軸検出用電極から外部への電気的接続を行う第1引き回し回路と、
前記第2軸検出用電極から外部への電気的接続を行う第2引き回し回路と、
を備える。
【0009】
また、前記第2引き回し回路を構成する各配線間にマイグレーション防止層を有してもよい。
【0010】
さらに、前記第2引き回し回路を構成する各配線間に設けられた前記マイグレーション防止層は、前記各配線と面一に設けられていてもよい。
【0011】
またさらに、前記マイグレーション防止層は、前記第1軸検出用電極の上に設けられた前記絶縁層と面一に設けられていてもよい。
【0012】
また、前記マイグレーション防止層は、前記絶縁層と同一の材料からなるものであってもよい。
【0013】
さらに、前記基材シートの裏面に反り返り防止層をさらに備えてもよい。
【0014】
またさらに、前記マイグレーション防止層は、底部の面積に比べて頂部の面積が小さく、厚さ方向に沿った断面形状が底部から頂部にかけてテーパー状であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るフレキシブルタッチパネルによれば、2枚の電極基板に代えて、第1軸検出用電極と、第2軸検出用電極とを、薄い絶縁層を間に挟む構成とすることによって、薄く、曲げやすさ、つまりフレキシブル性を有するタッチパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るフレキシブルタッチパネルの構成を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態2に係るフレキシブルタッチパネルの構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図2のB−B方向から見たフレキシブルタッチパネルの断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態2に係るフレキシブルタッチパネルの製造方法の一工程のうち、基材シート上に導電層を設けるステップを示す概略断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態2に係るフレキシブルタッチパネルの製造方法の一工程のうち、導電層をパターン化するステップを示す概略断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態2に係るフレキシブルタッチパネルの製造方法の一工程のうち、第1引き回し回路を設けるステップを示す概略断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態2に係るフレキシブルタッチパネルの製造方法の一工程のうち、絶縁層及び導電層を設けるステップを示す概略断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態2に係るフレキシブルタッチパネルの製造方法の一工程のうち、マスクを設け、上方から露光するステップを示す概略断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態2に係るフレキシブルタッチパネルの製造方法の一工程のうち、マスクを除去して裏面から露光するステップを示す概略断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態2に係るフレキシブルタッチパネルの製造方法の一工程のうち、アルカリ現像を行って未硬化の絶縁層及び導電層を除去するステップを示す概略断面図である。
【
図11】本発明の実施の形態2に係るフレキシブルタッチパネルの製造方法の一工程のうち、カバー層を設け、フレキシブルタッチパネルを得るステップを示す概略断面図である。
【
図12】本発明の実施の形態3に係るフレキシブルタッチパネルの構成を示す分解斜視図である。
【
図13】
図12のC−C方向から見たフレキシブルタッチパネルの断面図である。
【
図14】本発明の実施の形態4に係るフレキシブルタッチパネルの構成を示す分解斜視図である。
【
図15】
図14のD−D方向から見たフレキシブルタッチパネルの断面図である。
【
図16】本発明の実施の形態5に係るフレキシブルタッチパネルの構成を示す分解斜視図である。
【
図17】
図16のE−E方向から見たフレキシブルタッチパネルの断面図である。
【
図18】本発明の実施の形態6に係るフレキシブルタッチパネルの構成を示す分解斜視図である。
【
図19】
図18のF−F方向から見たフレキシブルタッチパネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態に係るフレキシブルタッチパネルについて添付図面を用いて説明する。なお、図面において、実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るフレキシブルタッチパネル10の構成を示す分解斜視図である。このタッチパネル10は、基材シート1と、基材シート1の上に設けられたx軸についてパターン化されたx軸検出用電極3と、x軸検出用電極3の上に設けられた絶縁層4と、絶縁層4の上に設けられたy軸についてパターン化されたy軸検出用電極6と、x軸検出用電極3から外部への電気的接続を行う第1引き回し回路7と、y軸検出用電極6から外部への電気的接続を行う第2引き回し回路8と、を備える。さらに、このフレキシブルタッチパネル10は、表面を保護するカバー層9を設けてもよい。また、このフレキシブルタッチパネル10は、従来のタッチパネルと比較すると、2枚の電極基板に代えて、x軸検出用電極3と、y軸検出用電極6とを、薄い絶縁層4を間に挟む構成とする点で相違する。実施の形態1に係るフレキシブルタッチパネル10によれば、上記構成とすることによって、薄く、曲げやすさ、つまりフレキシブル性を有するフレキシブルタッチパネル10とすることができる。
【0019】
また、
図10の断面図に示すように、第1引き回し回路7の上には絶縁層4は設けられていなくてもよい。さらに、第1引き回し回路7及び第2引き回し回路8は、
図1の分解斜視図に示すように、x軸検出用電極3及びy軸検出用電極6から同じ方向の端面に向かって形成されていてもよい。また、端面において、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8の上面は絶縁層4及びカバー層9によって覆われていなくてもよい。
上記第1引き回し回路7及び第2引き回し回路8に関する追加的構成によれば、端面において、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8の上面が絶縁層4及びカバー層9によって覆われていないので、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8の上面にフレキシブルプリント基板(FPC)を設けることによって、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8とフレキシブルプリント基板(FPC)とを容易に接続できる。
【0020】
以下に、このフレキシブルタッチパネル10を構成する各部材について説明する。
【0021】
<基材シート>
基材シート1の材質としては、アクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリイミドなどの樹脂フィルムが挙げられる。基材シート1の厚みは5〜800μmの範囲で適宜設定可能である。厚さが5μm未満では、層としての強度が不足して剥離する際に破れたりするので取り扱いが困難となり、厚さが800μmを越える場合は、基材シート1に剛性がありすぎて加工が困難となると共に、フレキシブル性が得られなくなる。
【0022】
<x軸検出用電極及びy軸検出用電極>
図1では、x軸検出用電極3及びy軸検出用電極6は、それぞれ短冊状の複数の電極によって構成しているが、電極の形状は短冊状に限られない。例えば、x軸検出用電極3として、対角方向で接続した複数の菱形電極によって構成し、y軸検出用電極6として、対角方向で接続した複数の菱形電極によって構成してもよい。この場合、x軸検出用電極3を構成する菱形電極と、y軸検出用電極を構成する菱形電極とを、面に垂直な方向から見て互いに重複しないように配置してもよい。このようにx軸検出用電極3とy軸検出用電極6とを重複しないように配置することによって、x軸及びy軸の検出感度を互いに影響しないようにできる。
また、
図1では、x軸検出用電極3及びy軸検出用電極6の数をそれぞれ4個としているが、これに限らず、任意の数を設けることができる。
【0023】
また、x軸検出用電極3及びy軸検出用電極6は、導電層13及び16をそれぞれパターン化して形成することができる。
導電層13、16としては、例えば、ウレタンアクリレート、シアノアクリレートなどの光硬化性樹脂バインダーと、導電性ナノファイバと、からなるものを使用できる。また、導電層13、16は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の汎用の各種印刷手法により設けることができるほか、導電性ナノファイバを含有させた光硬化性樹脂からなるドライフィルムなどのようなシートを貼り付けるなどして設けることもできる。
【0024】
さらに、導電層13、16は、例えば、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどの各種樹脂バインダーと、導電性ナノファイバと、からなるものを使用してもよい。この各種樹脂バインダーと、導電性ナノファイバと、からなるものを、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の汎用の各種印刷手法により設けてもよい。
【0025】
導電層13、16の厚みは、数十nmから数百nmの範囲で適宜設定できる。厚さが数十nmより薄いと層としての強度が不足し、厚さが数百nmより厚いと柔軟性が十分でなくなる。
【0026】
<導電性ナノファイバ>
上記導電性ナノファイバは、およそ10〜100,000の範囲のアスペクト比を有する。アスペクト比が大きいと、各導電性ナノファイバが互いに接触しやすくなり、有効なx軸検出用電極3及びy軸検出用電極6が形成できる。また、高透明性のために導電性ナノファイバの全体密度が低くなることから、透明性の高いx軸検出用電極3及びy軸検出用電極6を得るために有利になる。すなわち、高アスペクト比を有する導電性ナノファイバを使用することによって、x軸検出用電極3及びy軸検出用電極6が実質的に透明になるように導電性ナノファイバの密度を十分低くできる。
【0027】
また、導電性ナノファイバの直径dが太くなると、抵抗率が実質的に小さくなり、導電性は良好になるが、その一方で、より多くの光を吸収するため光透過率が減少する。その結果、透明性が悪くなる。また、粒界および表面散乱に基づく抵抗率への影響は、直径10nm未満で大きくなる。直径が太くなるとこれらの影響は急激に減少する。x軸検出用電極3及びy軸検出用電極6全体の抵抗率は、導電性ナノファイバの直径が10nmから100nmにかけて大幅に減少する。しかし、電気的特性における上記改善は、透明導電膜の透明性減少とのバランスをとる必要がある。
【0028】
導電性ナノファイバとしては、例えば、銀、金、銅、ニッケル、金めっきされた銀、アルミニウム等を用いることができる。具体的には、導電性ナノファイバの例としては、金、銀、白金、銅、パラジウムなどの金属イオンを担持した前駆体表面にプローブの先端部から印加電圧又は電流を作用させ連続的にひき出して作製した金属ナノファイバや、ペプチド又はその誘導体が自己組織化的に形成したナノファイバに金粒子を付加してなるペプチドナノファイバなどがあげられる。また、カーボンナノチューブなどの黒っぽい導電性ナノファイバ3であっても、影との色または反射性などに差が認められる場合は対象となる。なお、導電性ナノファイバとしては、上記例示に限定されるものではない。導電性ナノワイヤとしては、特に銀ナノファイバが好ましい。
【0029】
<絶縁層>
絶縁層4は、一般的に使用される絶縁性樹脂を用いたものであれば使用できる。また、絶縁層4は、感光性樹脂層14を設け、これを硬化させることによって得ることができる。感光性樹脂層14には、通常使用されるウレタンアクリレート、シアノアクリレートなどの光硬化性樹脂を使用できる。なお、光硬化性樹脂としては、可視光、紫外光等以外の波長領域の光で硬化されるものであってもよい。
【0030】
<第1引き回し回路及び第2引き回し回路>
第1引き回し回路7は、x軸検出用電極3から発せられた電気信号を外部に取り出すものである。また、第2引き回し回路8は、y軸検出用電極6から発せられた電気信号を外部に取り出すものである。第1引き回し回路7及び第2引き回し回路8は、電気的配線として通常使用される導電性材料であれば使用できる。例えば、銀ペーストを使用できる。あるいは、上記導電層13、16と同様に、導電性ナノファイバを含むものであってもよい。
【0031】
なお、例えば、
図10の断面図に示すように、第1引き回し回路7の上には絶縁層4は設けられていなくてもよい。さらに、
図1の分解斜視図に示すように、第1引き回し回路7及び第2引き回し回路8は、x軸検出用電極3及びy軸検出用電極6から同じ方向の端面に向かって形成されていてもよい。また、端面において、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8の上面は絶縁層4及びカバー層9によって覆われていなくてもよい。またさらに、端面において、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8とは、基材シート1の上に重ならないように平面的に互いに離間して配置されていてもよい。
【0032】
従来のように2枚の電極基板を重ねてタッチパネルを形成する場合、フレキシブルプリント基板(FPC)を2枚の電極基板の間に挟んで、第1引き回し回路及び第2引き回し回路と外部との接続を行っていた。具体的には、2枚の電極基板の間に挟んだフレキシブルプリント基板と下側の電極基板の第1引き回し回路との接続を行うと共に、上側の電極基板の第2引き回し回路とは、上側の電極基板の貫通孔を介して接続を行っていた。これは、タッチパネルを2枚の電極基板を重ねて構成しているので、中央部だけでなく端面にわたって電極基板が存在するため、フレキシブルプリント基板との電気的接続には電極基板を貫通する孔(ビアホール)が必要であるという課題があった。本発明者は、この課題の存在に着目し、この課題を解決しうる上記構成を見出したものである。
【0033】
つまり、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8とが、x軸検出用電極3及びy軸検出用電極6から同じ方向の端面に向かって形成され、しかも端面において、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8の上面が絶縁層4及びカバー層9によって覆われていない構成とする場合には、x軸検出用電極3及びy軸検出用電極6で検出された電気信号を外部に取り出すためのフレキシブルプリント基板(FPC)との接続を容易に行うことができる。
上記構成によれば、端面において、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8の上面が絶縁層4及びカバー層9によって覆われていないので、従来のように2枚の電極基板の間にフレキシブルプリント基板(FPC)を挟むのではなく、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8の上面にフレキシブルプリント基板(FPC)を設けることによってビアホール等を介することなく、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8とフレキシブルプリント基板(FPC)とを容易に接続することができる。
【0034】
<カバー層>
カバー層9は、フレキシブルタッチパネル10を保護するために必要により設けてもよい。カバー層9は、例えば、絶縁層4と同様に、一般的に使用される絶縁性樹脂を用いてもよい。
【0035】
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2に係るフレキシブルタッチパネル10aの構成を示す分解斜視図である。
図3は、
図2のB−B方向から見たフレキシブルタッチパネル10aの断面図である。このフレキシブルタッチパネル10aは、第1引き回し回路7を構成する配線間にマイグレーション防止層12を有することを特徴とする。
【0036】
ここで、「マイグレーション」とは、配線を形成する金属成分が配線間の電界の影響によって絶縁物の上を移動し、隣接する配線間での電気的短絡を生じる現象である。特に、銀のイオンマイグレーションが問題視されており、銀ペーストや銀ナノファイバ等を用いた配線におけるエレクトロマイグレーションを防ぐことが求められている。この実施の形態2に係るフレキシブルタッチパネル10aでは、上記の通り、第1引き回し回路7の配線間にマイグレーション防止層12を有する。これによって、第1引き回し回路7を構成する配線間のマイグレーションを防止できるという効果を有する。さらに、第1引き回し回路7の配線間にマイグレーション防止層12を有することにより、カバー層9を第1引き回し回路7の配線間を覆うように設けた場合、マイグレーション防止層12は、第1引き回し回路7の配線間の凹みを補うようにしてカバー層9に覆われる。よって、表面が平滑なタッチパネルを作成する際に、マイグレーション防止層12が補う凹み分だけ、カバー層9の厚みを薄くできる。その結果、全体として、薄く、フレキシブル性を有するフレキシブルタッチパネル10aを得ることができる。
【0037】
このマイグレーション防止層12は、絶縁層からなる。また、第2引き回し回路7の配線間に感光性樹脂層を設け、露光して硬化させることによって、マイグレーション防止層12を形成できる。この感光性樹脂層としては、実施の形態1で使用したものと同様のものを用いることができる。
【0038】
<フレキシブルタッチパネルの製造方法>
図4から
図11は、実施の形態2に係るフレキシブルタッチパネル10aの製造方法の各ステップを示す概略断面図である。なお、各断面図は、
図2のB−B方向からみた断面図に対応する。以下に、フレキシブルタッチパネル10aの製造方法を説明する。
(1)基材シート1を用意する。基材シートとしては、上述の材料を使用できる。
(2)基材シート1の上に導電層13を設ける(
図4)。
(3)導電層13をx軸についてパターン化して、x軸検出用電極3を形成する(
図5)。
(4)x軸検出用電極3から発せられた電気信号を外部に取り出す第1引き回し回路7を設ける(
図6)。
(5)パターン化されたx軸検出用電極3の上に感光性樹脂層14及び導電層16を設ける(
図7)。なお、ここでは感光性樹脂層14及び導電層16とが積層されたフィルムを貼付しているが、これに限られず、感光性樹脂層14を設けるステップと、導電層16を設けるステップと、を順に行ってもよい。
【0039】
(6)導電層16のうち電極を設ける箇所に窓を有するマスク18を設け、そのマスク18の上方から露光して感光性樹脂層14を硬化させる(
図8)。
(7)マスク18を除去し、基材シート1の裏面から露光する(
図9)。
(8)アルカリ現像または酸を用いたエッチングを行うことによって、表面または裏面からの露光によって、感光性樹脂14が硬化した箇所はその上の導電層16も残存する。一方、表面からの露光時にマスク18によって覆われ露光されず、さらに裏面からの露光時にもx軸検出用電極3および第1引き回し回路7に覆われ露光されなかった部分の感光性樹脂14は未硬化となるため除去される。その結果、感光性樹脂14が硬化して絶縁層4が形成される。また、導電層16がy軸についてパターン化されたy軸検出用電極6が形成される。さらに、第1引き回し回路7の各配線間にマイグレーション防止層12を形成することができる(
図10)。このマイグレーション防止層12によって、第1引き回し回路7を構成する配線間のマイグレーションを防止できる。なお、第1引き回し回路7の上には絶縁層4を設けない。
【0040】
(9)y軸検出用電極6から発せられた電気信号を外部に取り出す第2引き回し回路8を設ける(図示せず)。なお、この第2引き回し回路8は、
図2のB−B方向からみた断面図にはあらわれない。また、第2引き回し回路は、第1引き回し回路7と同じ端面に向かって形成してもよい。さらに、第2引き回し回路8は、基材シート1の上に直接に設けてもよい。またさらに、端面において、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8とは、基材シート1の上に重ならないように平面的に互いに離間して配置されていてもよい。
(10)y軸検出用電極6を覆うようにカバー層9を設ける(
図11)。この場合、端面において、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8との上面にはカバー層9を設けなくてもよい。第1引き回し回路7の配線間にマイグレーション防止層12を設け、カバー層9を第1引き回し回路7の配線間を覆うように設けた場合、マイグレーション防止層12は、第1引き回し回路7の配線間の凹みを補うようにしてカバー層9に覆われる。そこで、表面が平滑なタッチパネルを作成する際に、マイグレーション防止層12が補う凹み分だけ、カバー層9の厚みを薄くできる。その結果、全体として、薄く、フレキシブル性を有するフレキシブルタッチパネル10aを得ることができる。
(11)端面において、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8の上面にフレキシブルプリント基板(FPC)を設け、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8とフレキシブルプリント基板(FPC)とを接続する(図示せず)。この場合、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8とが、x軸検出用電極3及びy軸検出用電極6から同じ方向の端面に向かって形成され、しかも端面において、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8の上面が絶縁層4及びカバー層9によって覆われていないので、第1引き回し回路7と第2引き回し回路8とフレキシブルプリント基板(FPC)とを容易に接続することができる。
以上によってフレキシブルタッチパネル10aを得ることができる。
【0041】
(実施の形態3)
図12は、実施の形態3に係るフレキシブルタッチパネル10bの構成を示す分解斜視図である。
図13は、
図12のC−C方向から見たフレキシブルタッチパネル10bの断面図である。このタッチパネル10bでは、
図12に示すように、マイグレーション防止層12は、第2引き回し回路8を構成する各配線と面一に設けられている。さらに、マイグレーション防止層12は、絶縁層4に対しても面一に設けられている。このように構成することで、フレキシブルタッチパネル10bの中央部、つまり、x軸検出用電極3、絶縁層4、y軸検出用電極6、及びマイグレーション防止層12からなるディスプレイ部と、端部、つまり第1引き回し回路7からなる周縁部との段差をほぼ解消できる。
【0042】
絶縁層4の上に形成されているy軸検出用電極6の厚さはおよそ数十nmであり、一方、第1引き回し回路7及びマイグレーション防止層12の厚さはおよそ数十μmである。つまり、y軸検出用電極6の厚さは、第1引き回し回路7及びマイグレーション防止層12の厚さに比べて無視しうるものである。そのため、絶縁層4、y軸検出用電極6、第1引き回し回路7及びマイグレーション防止層12を覆うようにカバー層9を設けた場合、上記中央部と端部との間でカバー層が弛むことなく貼り合わされる。その結果、中央部と端部との間で虹ムラが発生したり、空気が噛んだりすることを防止できる。さらに、絶縁層4の厚さと、第1引き回し回路7及びマイグレーション防止層12の厚さとを同一にしているので、カバー層9を貼る際に絶縁層4とマイグレーション防止層12との間で空気が噛むことも防止できる。
【0043】
(実施の形態4)
図14は、実施の形態4に係るフレキシブルタッチパネル10cの構成を示す分解斜視図である。
図15は、
図14のD−D方向から見たフレキシブルタッチパネル10cの断面図である。このフレキシブルタッチパネル10cは、絶縁層4が、第1引き回し回路7が形成された領域の外縁部にもマイグレーション防止層12と同じ厚みで形成され、さらに、マイグレーション防止層12と同一の材料からなることを特徴とする。このように構成することによって、基材シート1の上にマイグレーション防止層12と絶縁層4とを形成した際に、それぞれの厚みと材質が同一であるためマイグレーション防止層12と絶縁層4が形成された領域内の収縮率が同一となる。その結果、作成されるフレキシブルタッチパネル10cのディスプレイ部と端部の間で、マイグレーション防止層12と絶縁層4の収縮率の差によって生じる凹凸の発生を抑制することができる。
【0044】
(実施の形態5)
図16は、実施の形態5に係るフレキシブルタッチパネル10dの構成を示す分解斜視図である。
図17は、
図16のE−E方向から見たフレキシブルタッチパネル10dの断面図である。このフレキシブルタッチパネル10dは、基材シート1の裏面に、厚みと材料が、マイグレーション防止層12及び絶縁層4と同一の反り返り防止層22をさらに備えることを特徴とする。このように構成することによって、基材シート1の上にマイグレーション防止層12と絶縁層4とを形成したときに基材シート1の表面側に生じる応力(収縮応力)を解消できる。その結果、フレキシブルタッチパネル10d全体としてカールの発生を抑制できる。
【0045】
(実施の形態6)
図18は、実施の形態6に係るフレキシブルタッチパネル10eの構成を示す分解斜視図である。
図19は、
図18のF−F方向から見たフレキシブルタッチパネル10eの断面図である。このフレキシブルタッチパネル10eは、マイグレーション防止層12の形状を底部の面積に比べて頂部の面積が小さく、厚さ方向に沿った断面形状が底部から頂部にかけてテーパー状にしたことを特徴とする。このように構成することによって、フレキシブルタッチパネル10eの端部、つまり第2引き回し回路8が形成されている箇所において、第2引き回し回路8を構成する各配線間に一定の遊び部分を備えるので、基材シート1の表面を凹面状に撓ませた場合にも撓みを許容できる。その一方、テーパー状のマイグレーション防止層12によって、各配線が互いに接触しないように離間させることができる。その結果、端部においてフレキシブル性を備えつつ第2引き回し回路8の短絡を防止できるフレキシブルタッチパネル10eとすることができる。
【0046】
なお、上記様々な実施の形態のうちの任意の実施の形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの実施の形態において有する効果を奏するようにすることができる。
【0047】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。