(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも二つの加熱ランプに供給される既に設定された第1供給レベルは、前記ソース電源により供給される最大レベルであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記加熱部は加熱ローラを含み、前記加熱ローラの測定された表面温度が前記目標温度に到達すれば、前記定着部は前記加熱ローラを利用して前記トナー画像を前記印刷媒体に定着させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
<本発明の実施形態>
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る加熱ローラのための電力制御方法及び電力制御装置について説明する。
【0019】
図2は、本実施形態に係る加熱ローラのための電力制御装置を説明するための一実施形態のブロック図である。
図2を参照すると、本実施形態に係る電力制御装置は、主に、電源供給部210、第1同期信号生成部214、第2同期信号生成部216、減衰信号生成部218、温度測定部220、トナー定着部230、第1比較部240、第2比較部250、及び検査部260から構成される。なお、当該電力制御装置は、例えば、第1同期信号生成部214、第2同期信号生成部216、減衰信号生成部218及び検査部260を省略して構成する等、様々な構成の変更が許容される。
【0020】
また、上記の電源供給部210、第1同期信号生成部214、第2同期信号生成部216、減衰信号生成部218、温度測定部220、トナー定着部230、第1比較部240、第2比較部250、及び検査部260は、何れもトナー画像の定着のための画像形成装置(例えば、レーザプリンタや複写機の定着システム)に適用可能である。そのために、上記の画像形成装置は、一つ以上のランプが備えられた加熱ローラを備える。
【0021】
ここで、各ランプは、発熱抵抗を備える。このとき、発熱抵抗は、例えば、タングステンなどの抵抗用の材料からなり、抵抗値が、臨界温度以下の発熱抵抗の温度に比例して(又は、反比例して)決定される可変的な特性を有しうる。抵抗値が臨界温度以下の発熱抵抗の温度に比例して決定される場合、発熱抵抗は、比例温度(PTC;Positive Temperature Coefficient)特性を有すると表現できる。説明の便宜上、以下、発熱抵抗は、比例温度特性を有すると仮定する。もちろん、本実施形態に係る発熱抵抗は、これに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0022】
一方、加熱ローラに備えられた複数のランプ、すなわち、複数の発熱抵抗は、例えば、並列的に連結されていてもよい。また、発熱抵抗に供給される電力であるローラ電力は、発熱抵抗毎独立して制御されうる。
【0023】
このようなローラ電力は、ローラ電圧及びローラ電流が交流型であるため、交流型で発熱抵抗に供給される。ここで、ローラ電圧は、発熱抵抗に印加される電圧を意味し、ローラ電流は、発熱抵抗に流れる電流を意味する。
【0024】
電源供給部210は、「第1ウォームアップ指示信号及びスイッチング信号」又は「第2ウォームアップ指示信号及びスイッチング信号」応じて、外部から入力されるソース電力の最大レベルを漸進的に上昇させ、ソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給する。より具体的に述べると、電源供給部210は、第1ウォームアップ指示信号又は第2ウォームアップ指示信号に応じて、信号区間が漸進的に増大するスイッチング信号の信号区間に、外部から入力されるソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給する。
【0025】
ただし、第1同期信号生成部214、第2同期信号生成部216、減衰信号生成部218が、本発明による加熱ローラのための電力制御装置に設けられないならば、電源供給部210は、第1ウォームアップ指示信号又は第2ウォームアップ指示信号に応答して、外部から入力するソース電力の最大レベルを漸進的に上昇させ、ソース電力をローラ電力として発熱抵抗に出力する。
【0026】
一方、電源供給部210は、第3ウォームアップ指示信号又は定着指示信号に応じて、外部から入力されるソース電力をローラ電力として、そのまま発熱抵抗に供給する。
【0027】
また、電源供給部210は、電源供給遮断信号に応じて無電力をローラ電力として発熱抵抗に供給する。
【0028】
本明細書上で、外部とは、発熱抵抗の外部、特に、電源供給部210の外部を意味する。また、上記のソース電力とは、電源供給部210に入力される電力を意味する。また、上記のローラ電力とは、電源供給部210を経て発熱抵抗に供給される電力を意味する。
【0029】
スイッチング信号生成部212、第1同期信号生成部214、第2同期信号生成部216、減衰信号生成部218は、何れもスイッチング信号を生成するために動作する。さらに具体的に述べると、スイッチング信号生成部212、第1同期信号生成部214、第2同期信号生成部216、減衰信号生成部218の動作は次の通りである。
【0030】
スイッチング信号生成部212は、減衰信号A1が第2同期信号S2以上である区間を信号区間として有する矩形波形のスイッチング信号を生成する。ここで、第2同期信号S2の生成のために、本実施形態では、例えば、第1同期信号生成部214及び第2同期信号生成部216を必要とする。
【0031】
この場合、第1同期信号生成部214は、ソース電力と同期化された矩形波形の第1同期信号S1を第1ウォームアップ指示信号又は第2ウォームアップ指示信号に応じて生成する。
【0032】
また、第2同期信号生成部216は、第1同期信号を積分し、積分された結果を第2同期信号S2として出力する。そのために、第2同期信号生成部216は、一つ以上の抵抗(図示せず)及びキャパシタ(図示せず)からなる積分器により具現されうる。そのため、第2同期信号は、鋸歯波形のような三角波形を有することが望ましい。
【0033】
一方、減衰信号生成部218は、時間が経過するにつれて、予め設定された一定の傾きで減衰する減衰信号を第1ウォームアップ指示信号又は第2ウォームアップ指示信号に応じて生成する。このとき、減衰信号の傾きは、後述する第2比較部250が第3ウォームアップ指示信号を生成する前に、減衰信号が無信号区間に進入するように設定されることが望ましい。温度測定部220は、加熱ローラの表面温度を第3ウォームアップ指示信号に応じて測定し、測定された表面温度を出力する。
【0034】
トナー定着部230は、加熱ローラ及び加圧ローラ(PR;Pressure Roller)を備える。ここで、加圧ローラは、加熱ローラとは異なり、発熱抵抗を含んでもよく、加熱ローラとは異なり、発熱抵抗を含んでいなくてもよい。後述するが、定着は、加熱ローラの表面温度が定着目標温度であるときに行われることが望ましい。このとき、加熱ローラの表面温度だけでなく、加圧ローラの表面温度も定着目標温度に到達することが望ましい。
【0035】
このような加圧ローラは、加熱ローラとは異なり、発熱抵抗を含んでもよいし、発熱抵抗を含んでいなくてもよい。加圧ローラに発熱抵抗が含まれていない場合、加圧ローラは、加圧ローラと外接する発熱体により加熱されてもよい。また、加圧ローラは、定着が行われる前から加熱ローラと連動し、加熱ローラが有する熱を奪うことによって加熱されてもよい。
【0036】
説明の便宜上、以下、加圧ローラは、定着が行われる前から加熱ローラと連動して、加熱ローラが有する熱を奪うことによって加熱されると仮定する。もちろん、本実施形態に係る加圧ローラは、これに限定されるものではない。
【0037】
この場合、トナー定着部230は、第4ウォームアップ指示信号に応じて加熱ローラと加圧ローラとを連動させ、画像形成装置に所定の印刷データのトナー画像を、定着指示信号に応じて、印刷媒体上に加熱ローラ及び加圧ローラを利用して定着する。ここで、連動とは、加熱ローラ(又は加圧ローラ)が回転運動した際に、加圧ローラ(又は加熱ローラ)も加熱ローラ(又は加圧ローラ)と共に回転運動することを意味する。また、印刷データは、一つ以上のページからなり、トナー画像は、印刷媒体上にページ別に定着される。
【0038】
[画像形成装置]
より具体的に述べると、トナー定着部230は、加熱ローラ及び加圧ローラを備え、加圧ローラは、第4ウォームアップ指示信号に応じて加熱ローラと連動され、その結果、加圧ローラの表面温度及び加熱ローラの表面温度の両方とも、後述する定着目標温度に到達する。一方、印刷媒体は、相互に噛み合って回転運動する加熱ローラと加圧ローラとの間に定着指示信号に応じて供給される。この場合、印刷媒体の供給だけでなく、加熱ローラ及び加圧ローラの回転運動も定着指示信号に応じて行われる。このように、加熱ローラ及び加圧ローラは回転運動し、トナー画像を、その供給された印刷媒体上に定着させ、トナー画像の定着された該印刷媒体を画像形成装置の外部に印刷物として排出する。
【0039】
一方、前述した第1ウォームアップ指示信号、第2ウォームアップ指示信号、第3ウォームアップ指示信号、第4ウォームアップ指示信号、定着指示信号及びソース電力のそれぞれは、入力端子IN1、IN2、IN3、IN4、IN5、及びIN6のそれぞれを通じて入力される。
【0040】
ここで、第1ウォームアップ指示信号とは、「電源供給部210が、その入力されるソース電力の最大レベルを上昇させ、その最大レベルの上昇したソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給させる」信号を意味する。このような第1ウォームアップ指示信号は、画像形成装置の電源がターンオンされた直後、又は画像形成装置が待機モードから印刷モードに進入した直後に発生する。そのために、画像形成装置には、その画像形成装置の加熱関連の作業を制御する制御部(図示せず)(以下、「加熱制御部」という)と、その画像形成装置で実行可能なあらゆる作業のうち、加熱関連の作業以外の作業(以下、「非加熱関連作業」という)を制御する制御部(図示せず)(以下、「非加熱制御部」という)とがそれぞれ区別されて設けられる。ここで、加熱関連作業とは、加熱作業に対して所定の関連度以上の関連度を有する作業を意味する。このとき、所定の関連度は、高いほど望ましい。第1ウォームアップ指示信号は、このような加熱制御部(図示せず)により発生することが望ましい。
【0041】
画像形成装置加熱ローラを加熱ローラとして認識するか、又は加熱ローラの加熱を制御することは、加熱制御部の動作の一例である。ここで、加熱ローラは、加熱制御部の初期化中に加熱ローラとして認識され、加熱制御部が初期化される時間は、無視できる程度に短い。一方、加圧ローラを加圧ローラとして認識するか、又は加熱ローラ及び加圧ローラの回転駆動を制御するか、又は画像形成装置に備えられた光走査装置(LSU;Laser Scanning Unit)を制御するなどの処理は、非加熱制御部(図示せず)の動作の一例である。ここで、加圧ローラは、非加熱制御部の初期化中に加圧ローラとして認識される。そして、非加熱制御部が初期化される時間は、加熱制御部が初期化される時間に比べて非常に長い。その結果、画像形成装置の電源がターンオンされると、加熱制御部は、その直後(すなわち、無視できる時間の間)に初期化を完了した後、加熱ローラの加熱を開始する。一方で、非加熱制御部は、初期化の完了にもある程度の時間(例えば、数秒)がかかるので、加熱ローラは、非加熱制御部の初期化が完了した時点に既にある程度加熱された状態にある。
【0042】
一方、非加熱制御部は、画像形成装置のCPUに該当することが望ましい。この場合、CPUは、加熱関連作業を除いた画像形成装置が実行可能なあらゆる作業を制御する。
【0043】
このように、画像形成装置の実行可能な作業を制御する制御部が、画像形成装置に加熱制御部と非加熱制御部として区別されて設けられることによって、画像形成装置の電源がターンオンされ、画像形成装置の初期化(特に、CPUの初期化)が完了した後にはじめて加熱関連の作業が実行可能であった従来の電力制御原理とは異なり、CPUの初期化が完了する前でも、画像形成装置は、加熱ローラの加熱を開始できる。
【0044】
このような加熱制御部と非加熱制御部とは、ハードウェア的に区別されて設けられていてもよく、ソフトウェア的に区別されてもよい。
【0045】
第2ウォームアップ指示信号とは、「電源供給部210が、その入力されるソース電力の最大レベルを上昇させ、その最大レベルの上昇したソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給させる」信号を意味し、第1比較部240を通じて生成される。
【0046】
第3ウォームアップ指示信号とは、「電源供給部210が、最大供給レベルを最大レベルとして有するソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給させる」信号を意味し、第1比較部240又は第2比較部250を通じて生成される。
【0047】
第4ウォームアップ指示信号とは、「加熱ローラと加圧ローラとを連動させる」信号を意味し、画像形成装置の非加熱制御部が、加圧ローラを加圧ローラとして認識した後に非加熱制御部により生成される。特に、第4ウォームアップ指示信号は、非加熱制御部が加圧ローラを加圧ローラとして認識した直後に生成されることが望ましい。定着指示信号とは、「電源供給部210が、温度維持レベルを最大レベルとして有するソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給させる」信号を意味する。また、定着指示信号とは、「印刷媒体を給紙させ、トナー定着部230が、トナー画像を、その給紙される印刷媒体上に定着させる」信号を意味してもよい。このような定着指示信号は、第2比較部250を通じて生成されるか、又は定着の実行中に非加熱制御部により生成される。
【0048】
以下、第2ウォームアップ指示信号、第3ウォームアップ指示信号、電源供給遮断信号及び定着指示信号が生成される機構を、第1比較部240、第2比較部250及び検査部260の動作説明と共に開示する。
【0049】
第1比較部240は、電源供給部210から入力され、上昇した最大レベルを所定の最大供給レベルと比較し、比較された結果に応じて第2ウォームアップ指示信号又は第3ウォームアップ指示信号を生成する。ここで、最大供給レベルは、発熱抵抗に対して最大に供給可能なローラ電力の最大レベルであることが望ましい。
【0050】
より具体的に述べると、電源供給部210から入力され、上昇した最大レベルが最大供給レベルより低いと比較された場合、第1比較部240は、第2ウォームアップ指示信号を生成する。一方、電源供給部210から入力され、上昇した最大レベルが最大供給レベルに到達したと比較された場合、第1比較部240は、第3ウォームアップ指示信号を生成する。
【0051】
一方、第2比較部250は、温度測定部220で測定された表面温度を定着目標温度(例えば、180℃)と比較し、比較して得られた結果に応じて第3ウォームアップ指示信号又は定着指示信号を生成する。ここで、定着目標温度とは、トナー画像が安定して定着される加熱ローラの表面温度を意味する。このとき、トナー画像が安定して定着される加熱ローラの表面温度とは、定着可能な最低温度以上、定着可能な最高温度以下の任意の温度である。そして、定着目標温度とは、定着可能な最低温度と定着可能な最高温度との間で予め設定されることが望ましい。
【0052】
より具体的に述べると、温度測定部220で測定された表面温度が定着目標温度より低いと判断された場合、第2比較部250は、第3ウォームアップ指示信号を生成する。一方、温度測定部220で測定された表面温度が定着目標温度に到達したと判断された場合、第2比較部250は、定着指示信号を生成する。
【0053】
このような第2比較部250は、最大供給レベルを最大定格レベルと比較し、比較して得られた結果に応じて、第3ウォームアップ指示信号を間歇的に生成することが望ましい。ここで、最大定格レベルとは、発熱抵抗に対して最大に供給可能な定格電力の最大レベルを意味する。より具体的に述べると、第2比較部250は、最大供給レベルが最大定格レベルを超過した程度(どれだけ超過したかを表す超過量又は超過率等)を算出し、第3ウォームアップ指示信号を、その算出された結果に応じて間歇的に生成できる。さらに具体的に述べると、第2比較部250は、その算出された結果に反比例する第2所定時間T2を算出し、第3ウォームアップ指示信号を第1所定時間T1毎に第2所定時間T2の間に生成できる。ここで、第2所定時間T2は、第1所定時間T1以下である。一方、第2所定時間T2は、最大供給レベルを最大レベルとして有するローラ電力が供給される加熱ローラの表面温度の上昇推移が、最大定格レベルを最大レベルとして有するローラ電力が供給される加熱ローラの表面温度の上昇推移に対して所定の近似度(例えば、90%の近似度以上の近似度)を有するように決定される。
【0054】
結局、第2比較部250は、第3ウォームアップ指示信号を生成するに当たって、その測定された表面温度が定着目標温度より短いと判断された場合、最大供給レベルと最大定格レベルとを比較し、最大供給レベルが最大定格レベルを超過したと判断された場合、その超過した程度に反比例する第2所定時間T2を算出する。一方、検査部260は、画像形成装置が印刷データの印刷を指示されたか否か、及びローラ電力が発熱抵抗に対して正常に供給されるか否かを検査し、検査された結果に応じて電源供給遮断信号を生成する。検査部260は、第1ウォームアップ指示信号及び初期化完了指示信号に応じて動作してもよく、第2ウォームアップ指示信号及び初期化完了指示信号に応じて動作してもよく、第3ウォームアップ指示信号及び初期化完了指示信号に応じて動作してもよい。ここで、初期化完了指示信号は、非加熱制御部の初期化が完了したことを表す信号であり、このような初期化完了指示信号は、非加熱制御部(図示せず)の初期化が完了した場合に、非加熱制御部により継続的に生成されることが望ましい。
【0055】
より具体的に述べると、画像形成装置が、印刷データの印刷を指示されなかったと判断された場合、又はローラ電力が非正常に供給されると判断された場合、検査部260は、電源供給遮断信号を生成する。ここで、ローラ電力が正常に供給されるとは、ローラ電力が、第1ウォームアップ指示信号、第2ウォームアップ指示信号、第3ウォームアップ指示信号又は定着指示信号に応じて動作する電源供給部210が意図する通りに供給されることを意味する。なお、本明細書等において、電源供給遮断信号とは、「電源供給部210が発熱抵抗にローラ電力を供給させない」信号を意味する。
【0056】
前述した電源供給部210、温度測定部220、第1比較部240及び第2比較部250の動作は、加熱制御部の制御を受け、トナー定着部230、及び検査部260の動作は、非加熱制御部の制御を受けることが望ましい。
【0057】
図3は、本発明による加熱ローラのための電力制御原理を説明するための波形図である。
図3に示すように、ソース電圧生成部(図示せず)で生成された正弦波形のソース電圧(Vin)300の一部又は全部が、比例温度特性を有する発熱抵抗にローラ電圧として印加される。それにより、発熱抵抗には、
図3に示されているようなローラ電流(Ir)320が流れる。そこで、電源供給部210は、ソース電圧生成部からソース電圧300の一部又は全部を入力し、入力されたソース電圧300をローラ電圧として発熱抵抗に供給する。
【0058】
ここで、ソース電圧300、ローラ電圧及びローラ電流320は、何れも交流型の波形を有する。それにより、ソース電力及びローラ電力は何れも、前述したように、交流型の波形を有する。より具体的に述べると、ソース電力及びローラ電力の包絡線は、ローラ電流320の包絡線332、334のうち正の包絡線332と同じ形態を有する。
【0059】
発熱抵抗に流れるローラ電流320の波形図は、
図3に示されているように、フリッカー特性改善区間310、最大電力供給区間312及び定着区間314の三つの区間に区分されうる。
【0060】
ここで、フリッカー特性改善区間310は、電源供給部210が第1ウォームアップ指示信号又は第2ウォームアップ指示信号及びスイッチング信号に応じて動作する区間を意味する。ただし、スイッチング信号生成部212、第1同期信号生成部214、第2同期信号生成部216、減衰信号生成部218が、本実施形態に係る加熱ローラのための電力制御装置に設けられない場合、フリッカー特性改善区間310とは、電源供給部210が第1ウォームアップ指示信号又は第2ウォームアップ指示信号に応じて動作する区間を意味する。
【0061】
さらに具体的に述べると、フリッカー特性改善区間310で、電源供給部210は、ソース電力の最大レベルを最大供給レベルまで漸進的に上昇させ、ソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給する。一方、ソース電力の最大レベルが最大供給レベルに到達するまで、発熱抵抗に印加されるローラ電圧は、ソース電圧300の一部である。
【0062】
フリッカー特性改善区間310中に、発熱抵抗の抵抗値は臨界抵抗値に到達する。ここで、臨界抵抗値とは、前述したように、電力が供給され続けるにもかかわらず、抵抗値がそれ以上変更されないときのその抵抗値を意味する。このような臨界抵抗値は、最大供給レベルが最大定格レベルであると仮定したとき、導出された抵抗値であることが望ましい。
【0063】
最大電力供給区間312とは、電源供給部210が第3ウォームアップ指示信号に応じて動作する区間を意味する。さらに具体的に述べると、最大電力供給区間312において、電源供給部210は、最大供給レベルを最大レベルとして有するソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給する。一方、最大電力供給区間312において、ソース電圧300は、何れもローラ電圧として発熱抵抗に印加される。
【0064】
最大供給レベルとは、発熱抵抗に対して最大に供給可能なローラ電力の最大レベルを意味する。そのため、最大供給レベルは、最大定格レベルを超過しうる。すなわち、最大供給レベルは、最大定格レベルを超えてもよく、最大定格レベルであってもよく、さらには、最大定格レベル未満であってもよい。本実施形態は、最大供給レベルが最大定格レベルを超える場合でも、表面温度の上昇曲線が、最大供給レベルが最大定格レベルである場合の表面温度の上昇曲線に近似するように、望ましくは、100%近似させる方案を提示する。
【0065】
そのために、第2比較部250は、最大供給レベルを最大定格レベルと比較し、最大供給レベルが最大定格レベルを超えると判断された場合、最大供給レベルが最大定格レベルを超過した程度に反比例する第4所定時間K2を算出する。この場合、電源供給部210は、最大供給レベルを最大レベルとして有するソース電力を、第3所定時間K1毎に第4所定時間K2の間にローラ電力として発熱抵抗に供給する。
【0066】
定着区間314とは、電源供給部210及びトナー定着部230が定着指示信号に応じて動作する区間を意味する。さらに具体的に述べると、定着区間314において、電源供給部210は、温度維持レベルを最大レベルとして有するソース電力を、ローラ電力として発熱抵抗に供給する。また、トナー定着部230は、その温度維持レベルを最大レベルとして有するソース電力がローラ電力として供給される加熱ローラを利用してトナー画像を印刷媒体上に定着する。一方、定着区間314において、発熱抵抗に印加されるローラ電圧は、ソース電圧の一部である。
【0067】
温度維持レベルを最大レベルとして有するソース電力が供給される加熱ローラの表面温度は、定着目標温度と所定の近似度を有する。例えば、温度維持レベルを最大レベルとして有するソース電力が供給される加熱ローラの表面温度は、定着目標温度の95%〜105%に属する。このとき、温度維持レベルを最大レベルとして有するソース電力が供給される加熱ローラの表面温度は、定着可能な最低温度と定着可能な最高温度との間の温度でなければならない。
【0068】
もし、印刷データの少ないページ(例えば、二つのページ)に対しては、表面温度が定着目標温度に到達した加熱ローラに対し、それ以上のローラ電力が供給されなくても、その印刷データのあらゆるトナー画像に対して定着が完了するまで、表面温度が定着可能な最低温度未満に下降しないこともある。この場合、電源供給部210は、前記と異なり、温度維持レベルを最大レベルとして有するソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給しなくてもよく、このように定着区間314でローラ電力が追加的に供給されなくても、トナー定着部230は、トナー画像を安定的に定着できる。
【0069】
しかし、印刷データの多いページ(例えば、数十ページ)に対しては、表面温度が定着目標温度に到達した加熱ローラに対し、それ以上のローラ電力が供給されない場合、その印刷データのあらゆるトナー画像に対して定着が完了する前に表面温度が定着可能な最低温度未満に下降しうる。この場合、電源供給部210は、前述したように、温度維持レベルを最大レベルとして有するソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給せねばならない。
【0070】
一方、フリッカー特性改善区間310及び最大電力供給区間312では、加熱ローラに含まれたあらゆる発熱抵抗のそれぞれにローラ電力が供給される。しかし、定着区間314では、そのあらゆる発熱抵抗から選択された特定の発熱抵抗にのみローラ電力が供給されることが望ましい。
【0071】
このとき、選択は、非加熱制御部により行われる。非加熱制御部は、その選択される発熱抵抗を周期的あるいは非周期的に変更する。すなわち、定着区間314でローラ電流320が流れる時間領域は、発熱抵抗自身が非加熱制御部により選択された時間領域を意味する。
【0072】
一方、本実施形態に係る加熱ローラのための電力制御装置に検査部260が設けられる場合、フリッカー特性改善区間310及び最大電力供給区間312は、次の通りに説明される。
【0073】
すなわち、検査部260が第1ウォームアップ指示信号及び初期化完了指示信号に応答するか、又は第2ウォームアップ指示信号及び初期化完了指示信号に応答するならば、検査部260は、フリッカー特性改善区間310の進行中に、画像形成装置が印刷を指示されたか否か及びローラ電力が正常に供給されるか否かを検査する。
【0074】
この場合、上記検査の結果として、画像形成装置が印刷を指示されていないと判断されるか、又はローラ電力が非正常に供給されると判断されれば、電源供給部210は、第1ウォームアップ指示信号及び第2ウォームアップ指示信号をそれ以上発生させないことによってローラ電力の供給を遮断し、それにより、フリッカー特性改善区間310は、それ以上進まない。一方、画像形成装置が印刷を指示され、ローラ電力が正常に供給されると判断された場合、フリッカー特性改善区間310は、予定の通りに進める。
【0075】
一方、検査部260が第3ウォームアップ指示信号及び初期化完了指示信号に応答する場合、検査部260は、最大電力供給区間312の進行中に、画像形成装置が印刷を指示されたか否か、及びローラ電力が正常に供給されるか否かを検査する。
【0076】
この場合、上記検査の結果として、画像形成装置が印刷を指示されなかったと判断されるか、又はローラ電力が非正常的に供給されると判断された場合、電源供給部210は、第3ウォームアップ指示信号をそれ以上生成させないことによってローラ電力の供給を遮断し、それにより、最大電力供給区間312は、それ以上進まない。一方、画像形成装置が印刷を指示され、ローラ電力が正常に供給されると判断された場合、最大電力供給区間312は、予定の通りに進める。
図4は、本実施形態に係る加熱ローラのための電力制御方法を説明するためのフローチャートである。このフローチャートは、発熱抵抗にローラ電力が供給されることをフリッカー特性改善区間310、最大電力供給区間312及び定着区間314のそれぞれに異なって制御することにより、フリッカー特性を改善しつつも、加熱ローラの表面温度を迅速に定着目標温度に到達させるステップ(ステップ410〜430)からなる。
【0077】
電源供給部210は、ソース電力の最大レベルを所定の最大供給レベルまで漸進的に上昇させ、ソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給する(ステップ410)。このとき、ステップ410は、画像形成装置の電源がターンオンされた直後に開始されてもよく、画像形成装置が待機モードから印刷モードに進入した直後に開始されてもよい。
【0078】
ステップ410の後に、温度測定部220は、加熱ローラの表面温度を測定する。そして、電源供給部210は、その測定された表面温度が所定の定着目標温度となるまで、最大供給レベルを最大レベルとして有するソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給する(ステップ420)。
【0079】
ステップ420の後に、電源供給部210は、温度維持レベルを最大レベルとして有するソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給する。そして、トナー定着部230は、所定の印刷データのトナー画像を印刷媒体上に加熱ローラ及び加圧ローラを利用して定着する(ステップ430)。
【0080】
一方、ステップ410又はステップ420の実行中、検査部260は、画像形成装置が印刷を指示されたか否か、及びローラ電力が正常に供給されるか否かを判断することが望ましい。この場合、ステップ430は、画像形成装置が印刷を指示され、ローラ電力が正常に供給されると判断された場合に限って行われる。
【0081】
以上で言及されたステップ410及びステップ420の実行は、加熱制御部の制御を受けて実行される。また、ステップ430の実行は、非加熱制御部の制御を受けて実行されることが望ましい。このようなステップ410、ステップ420及びステップ430のそれぞれは、フリッカー特性改善区間310、最大電力供給区間312及び定着区間314のそれぞれに該当する。
【0082】
一方、ステップ430の後に、非加熱制御部は、所定の印刷待機時間の経過中に印刷データが与えられたか否かを判断する。そして、ステップ430の後に、印刷待機時間の経過中に印刷データが与えられていないと判断されれば、画像形成装置を待機モードに進入させる。
【0083】
この場合、非加熱制御部は、画像形成装置が待機モードに進入された後に印刷データが与えられたか否かを判断する。そして、画像形成装置が待機モードに進入された後に印刷データが与えられたと判断されれば、画像形成装置を印刷モードに進入させ、電源供給部210がステップ410を行うことを指示する。
【0084】
図5は、
図4に示すステップ410についての本発明に係る一実施形態410を説明するためのフローチャートである。このフローチャートは、ソース電力の最大レベルを所定の最大供給レベルまで漸進的に上昇させ、ソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給するステップ(ステップ510〜530)からなる。
【0085】
電源供給部210は、ソース電力を第1所定時間間隔で第2所定時間の間にローラ電力として発熱抵抗に供給する(ステップ510)。このとき、第1所定時間は、第2所定時間以上であり、可変可能な第2所定時間と異なり、可変不可能であることが望ましい。
【0086】
ステップ510後に、第1比較部240は、ステップ510で供給されたソース電力の最大レベルが最大供給レベルより低いか否かを判断する(ステップ520)。
【0087】
ステップ520で低いと判断されれば、第1比較部240は、第2所定時間を延長させ、電源供給部210がステップ510を再び行うことを電源供給部210に指示する(ステップ530)。
【0088】
一方、ステップ520で低くないと判断されれば、ステップ420に進める。
【0089】
このように、第2所定時間は、ソース電力の最大レベルが最大供給レベルに近接するにつれて延長される。これにより、画像形成装置の電源がターンオンされるか、又は画像形成装置が待機モードから印刷モードに進入して、発熱抵抗に電力が供給され始める時点において、発熱抵抗にローラ電力が過剰供給されて発生するフリッカー特性が緩和される。
【0090】
図6は、スイッチング信号生成部212、第1同期信号生成部214、第2同期信号生成部216、減衰信号生成部218が、本実施形態に係る加熱ローラのための電力制御装置に設けられた場合の
図5に示すフローチャートを説明するための波形図である。
【0091】
より具体的に述べると、
図6(a)は、
図3(a)に示すソース電圧(Vin)300を意味し、
図6(b)は、第1同期信号(S1)610を意味し、
図6(c)は、第2同期信号(S2)620及び減衰信号(A1)630を意味する。
【0092】
また、
図6(d)は、スイッチング信号(S3)640を意味し、
図6(e)は、ローラ電圧(Vin’)650を意味する。
図6(e)に示すように、フリッカー特性改善区間310でのローラ電圧(Vin’)650」は、「スイッチング信号(S3)640の信号区間Q2に該当するソース電圧(Vin)300」を意味する。
【0093】
図示されているように、Q1は、「第1所定時間」を意味する。Q2は、「第2所定時間」、すなわち、「スイッチング信号(S3)の信号区間の時間幅」を意味する。このとき、第2所定時間Q2は、図示されているように、漸進的に延長される。
図7は、
図4に示すステップ420についての本発明の一実施形態に係るステップ420を説明するためのフローチャートであって、加熱ローラの表面温度を測定し、測定された表面温度が定着目標温度となるまで、最大供給レベルを最大レベルとしてソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給するステップ(ステップ710〜ステップ730)からなる。
【0094】
温度測定部220は、加熱ローラの表面温度を測定し(ステップ710)、第2比較部250は、ステップ710で測定された表面温度が定着目標温度であるか否かを判断する(ステップ720)。
【0095】
ステップ710において、測定された表面温度が定着目標温度ではないと判断されれば(ステップ720)、電源供給部210は、最大供給レベルを最大レベルとして有するソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給する(ステップ730)。
【0096】
一方、ステップ710において、測定された表面温度が定着目標温度であると判断されれば(ステップ720)、ステップ430に進める。
【0097】
図8は、
図4に示すステップ420を説明するためのフローチャートであって、最大供給レベルを最大レベルとして有するソース電力を、加熱ローラの表面温度が定着目標温度となるまで、最大供給レベルが最大定格レベルを超過する程度に対応する区間の間にローラ電力として発熱抵抗に供給するステップ(ステップ810〜ステップ840)からなる。
【0098】
まず、温度測定部220は、加熱ローラの表面温度を測定し(ステップ810)、第2比較部250は、ステップ810で測定された表面温度が定着目標温度であるか否かを判断する(ステップ820)。
【0099】
ステップ810において、測定された表面温度が定着目標温度ではないと判断されれば(ステップ820)、第2比較部250は、最大供給レベルが最大定格レベルを超える程度に反比例する第2所定時間T2を求める(ステップ830)。
【0100】
ステップ830の後に、電源供給部210は、最大供給レベルを最大レベルとして有するソース電力を第1所定時間T1ごとに第2所定時間T2の間にローラ電力として発熱抵抗に供給する(ステップ840)。
【0101】
一方、ステップ810で測定された表面温度が定着目標温度であると判断されれば(ステップ820)、ステップ430に進める。
【0102】
図9は、
図5に示すステップ840を説明するための波形図である。
図9に示すように、最大電力供給区間312で発熱抵抗に対して供給されるローラ電力の最大レベル、すなわち、最大供給レベルMpは、最大定格レベルMsを超えうる。
【0103】
この場合、
図9(a)に示すように、ローラ電力が供給されれば、加熱ローラの表面温度は、オーバーシュート及びアンダーシュートを表し、定着目標温度に到達する可能性が高い。過度なオーバーシュート及びアンダーシュートは、定着性の低下、発熱抵抗の寿命短縮などの問題を引き起こすので、発生しないように措置することが望ましい。
【0104】
そのために、本実施形態においては、このようなオーバーシュート及びアンダーシュートの発生を最小化するために、望ましくは、オーバーシュート及びアンダーシュートの発生を防止するために、
図9(b)に示すように、最大供給レベルを最大レベルとして有するソース電力を、第3所定時間K1ごとに第4所定時間K2の間にローラ電力として発熱抵抗に供給する。
図10は、
図4に示すステップ430を説明するためのフローチャートであって、温度維持レベルを最大レベルとして有するソース電力をローラ電力として発熱抵抗に供給し、トナー画像を定着するステップ(ステップ1010〜ステップ1030)からなる。
【0105】
非加熱制御部は、加熱ローラに含まれた複数の発熱抵抗のうち、一つ以上の発熱抵抗を選択する(ステップ1010)。
【0106】
ステップ1010の後に、電源供給部210は、ステップ810で選択された発熱抵抗に対し、温度維持レベルを最大レベルとして有するソース電力をローラ電力として供給する(ステップ1020)。
【0107】
ステップ1020の後に、トナー定着部230は、トナー画像を印刷媒体上に加熱ローラ及び加圧ローラを利用して定着する(ステップ1030)。
【0108】
図11は、
図4に示すステップ430が行われる前に、加圧ローラの表面を定着目標温度まで加熱するために行われるフローチャートであって、画像形成装置の非加熱制御部が加圧ローラを認識した直後から
図4に示すステップ420の実行が完了するまで、加圧ローラの表面を加熱するステップ(ステップ1110〜ステップ1170)からなる。
【0109】
一方、
図12は、
図11に示すフローチャートを説明するための参考図であり、
図13(a)は、従来の電力制御原理による場合、加熱ローラの表面温度のタイミング
図1310であり、
図13(b)は、本実施形態電力制御原理による場合、加熱ローラの表面温度のタイミング
図1320である。以下、
図11を、
図12及び
図13を利用して詳細に説明する。
【0110】
加熱ローラ1210の表面温度のみが定着目標温度であり、加圧ローラ1220の表面温度は、定着可能な最低温度未満の低い温度である場合、定着のために印刷媒体1230が供給されれば、加熱ローラ1210は、自身が有する熱を加圧ローラ1220に奪われ、それにより、加熱ローラ1210の表面温度は、定着可能な最低温度未満に下降しうる。この場合、トナー画像1240は、印刷媒体1230に安定的に定着されず、それによる印刷物1250の印刷状態は悪くなる。
【0111】
結局、トナー画像1240が印刷媒体1230に対し安定して定着するためには、加熱ローラ1210の表面温度及び加圧ローラ1220の表面温度が何れも定着目標温度STtでなければならない。すなわち、
図4に示すステップ430が行われる前に、加熱ローラ1210の表面温度及び加圧ローラ1220の表面温度は、何れも定着目標温度STtに到達せねばならない。
【0112】
このように、加圧ローラ1220の表面温度が上昇するためには、加圧ローラ1220が加熱ローラ1210と連動しつつ、加熱ローラ1210が有する熱を奪わなければならない。これは、加圧ローラ1220は、加熱ローラ1210とは異なり、発熱抵抗を有さないことに起因する。
【0113】
このような点を考慮して、フリッカー特性改善区間310及び最大電力供給区間312において、加熱ローラ1210の表面温度がどのように変化するかを以下で説明する。
【0114】
従来の電力制御原理による場合、加熱関連作業及び非加熱関連作業は、何れも同じ制御部(図示せず)の制御を受ける。この場合、画像形成装置の電源がターンオンされるか、又は画像形成装置が待機モードから印刷モードに進入すれば(t=0(但し、以下で、tは「time」を意味する))、画像形成装置の制御部は、時間T1(t=0〜t1)の間に初期化される。ここで、制御部は、例えば、画像形成装置のCPUであることが望ましい。
【0115】
画像形成装置の制御部以外の部分は、制御部の初期化が完了した時点(t=t1)から時間T2(t=t1〜t3)の間に初期化される。すなわち、制御部は、この区間T2の何れか一つの時点から、画像形成装置の加圧ローラ1210を加圧ローラとして認識し始めることはもとより、加熱ローラ1220を加熱ローラとして認識し始める。
【0116】
また、制御部が加熱ローラ1220を認識した時点から、発熱抵抗には電力が供給され始める。例えば、制御部が、加熱ローラ1220をt=t2から認識したならば、加熱ローラ1210の表面温度は、図示されているように、t=t2から上昇する。
【0117】
一方、加熱ローラ1210の表面温度は、t=t3から時間T4が経過した時点(t=t4)に所定の定着待機温度STr(例えば、160℃)に到達し、加圧ローラ1220は、その時点(t=t4)から加熱ローラ1210と連動する。加圧ローラ1220が、自身が認識された直後から加熱ローラ1210と連動することもあるが、この場合、加熱ローラ1210の表面温度は、「t=4+〜5での傾き」でt=t3から上昇するので、迅速に上昇できず、加熱ローラ1210と加圧ローラ1220とは、その時点(t=t4)から連動する。
【0118】
それにより、加圧ローラ1220の表面温度は、t=t4から上昇し、これにより、加熱ローラ1210の表面温度は、t=0〜t4−区間に比べて、t=4+〜5区間であまり迅速に上昇しない。また、加熱ローラ1210の表面温度と加圧ローラ1220の表面温度とは、何れもt=t4から時間T5が経過した時点(t=t5)に定着目標温度STtに到達する。
【0119】
結果的に、従来の電力制御原理によれば、画像形成装置が、電源がターンオンされた直後(t=0+)に印刷を指示されるか、又は待機モードにある画像形成装置が印刷を指示された(t=0)場合、印刷待機時間がT3+T4未満となり得ない。
【0120】
一方、本実施形態を適用すると、画像形成装置の電源がターンオンされた直後、又は画像形成装置が待機モードから印刷モードに進入した直後(t=0+)、加熱制御部は、加熱ローラ1210を加熱ローラとして認識し、電源供給部210が発熱抵抗に電力を供給し始めるように電源供給部210に指示する。したがって、本実施形態を適用すると、前述したT3に該当する時間が印刷待機時間に含まれない。
【0121】
また、本実施形態を適用すると、加圧ローラ1220は、加熱ローラ1210の表面温度が定着待機温度STrに到達したか否かに関係なく、非加熱制御部により認識された直後(t=t6+)から加熱ローラ1210と連動することが望ましい。それにより、加圧ローラ1220の表面温度は、t=t6から上昇し、これにより、加熱ローラ1210の表面温度は、t=0〜t6−区間に比べて、t=6+〜7区間であまり迅速に上昇しない。ここで、t6は、t1と同じ値を有し、フリッカー特性改善区間310又は最大電力供給区間312に含まれる。一方、加熱ローラ1210の表面温度及び加圧ローラ1220の表面温度は、何れもt=t7に定着目標温度STtに到達する。
【0122】
結局、本実施形態を適用すると、
図4に示すステップ430が行われる前に、次のようなステップが行われる。
【0123】
まず、画像形成装置の電源がターンオンされるか、又は画像形成装置が待機モードから印刷モードに進入する(ステップ1110)。ステップ1110後に、非加熱制御部が初期化される(ステップ1120)。
【0124】
ステップ1120後に、非加熱制御部が加圧ローラ1220を加圧ローラ1220として認識した直後から、加圧ローラ1220は、加熱ローラ1210と連動する(ステップ1130〜ステップ1160)。
【0125】
すなわち、ステップ1120後に、非加熱制御部は、自身を除いた画像形成装置の各部分のうち一つ以上の部分を認識し(ステップ1130)、加圧ローラ1220が加圧ローラ1220として認識されたか否かを判断する(ステップ1140)。
【0126】
ステップ1140で認識されなかったと判断された場合、非加熱制御部は、まだ認識されていない各部分のうち一つ以上の部分を認識し、ステップ1140に進める。
【0127】
それに対し、ステップ1140で認識されたと判断された場合、トナー定着部230は、加圧ローラ1220と加熱ローラ1210とを連動させ(ステップ1160)、第2比較部250は、加熱ローラ1210の表面温度が定着目標温度STtに到達したか否かを判断する(ステップ1170)。
【0128】
ステップ1170で到達したと判断されれば、ステップ430に進める一方、ステップ1170で到達しなかったと判断されれば、ステップ1160に進める。
図14は、本実施形態に係る加熱制御部及び非加熱制御部に保存されるデータである制御データ1410を説明するための参考図である。加熱制御部及び非加熱制御部は、何れも内部に所定の保存空間を設け、このような保存空間は、RAM(Random Access Memory)で具現されうる。説明の便宜上、加熱制御部に設けられた保存空間を第1保存部といい、非加熱制御部に設けられた保存空間を第2保存部という。一方、加熱制御部と非加熱制御部とは、制御データ1410を相互やり取り可能である。
【0129】
図14に示すように、制御データ1410は、ローラ電力の供給が遮断される(IH_OFF)ことを表す情報である電源供給遮断情報1420と、定着目標温度(TH_REF)を表す情報である定着目標温度情報1430と、ローラ電力が非正常に供給される(SYS_ERROR)ことを表す情報であるエラー表示情報1440、及び温度測定部220で測定された加熱ローラの表面温度(TEMP)を表す情報である測定表面温度情報1450を含みうる。
図14に示すように、第0アドレスAD0、第1アドレスAD1、第2アドレスAD2、第3アドレスAD3のそれぞれは、第1保存部(又は、第2保存部)で電源供給遮断情報1420が保存されるアドレス、定着目標温度情報730が保存されるアドレス、エラー表示情報1440が保存されるアドレス、測定表面温度情報750が保存されるアドレスのそれぞれを意味する。
【0130】
前述したように、電源供給部210、温度測定部220、第1比較部240及び第2比較部250の動作は、加熱制御部の制御を受けると仮定すれば、電源供給部210、温度測定部220、第1比較部240及び第2比較部250のそれぞれは、一つの動作を行う度に、第1保存部に保存された制御データ1410にその動作の結果を反映して更新する。この場合、加熱制御部は、その更新された制御データ1410を非加熱制御部に伝達し、非加熱制御部は、第2保存部に保存された制御データ1410をその更新された制御データ1410に更新する。
【0131】
それと同様に、トナー定着部230及び検査部260の動作は、非加熱制御部の制御を受けると仮定すれば、トナー定着部230及び検査部260のそれぞれは、一つの動作を行う度に、第2保存部に保存された制御データ1410にその動作の結果を反映して更新する。この場合、非加熱制御部は、その更新された制御データ1410を加熱制御部に伝達し、加熱制御部は、第1保存部に保存された制御データ710をその更新された制御データ1410に更新する。
【0132】
一方、前述した電源供給遮断信号は、電源供給遮断情報1420及びエラー表示情報1440が挿入された信号であると定義されてもよい。
【0133】
また、本実施形態は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能なコードとして具現することが可能である。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取られうるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例としては、ROM(Read Only Memory)、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ保存装置などがあり、また、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを介した伝送)の形態で具現されるものも含む。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークに連結されたコンピュータシステムに分散され、このような分散方式によりコンピュータで読み取り可能なコードが保存され、かつ実行されうる。
【0134】
上記の通り、本実施形態に係る加熱ローラのための電力制御方法及び装置は、画像形成装置の電源がターンオンされる場合、画像形成装置の初期化が完了する前から加熱ローラを加熱でき、加熱ローラに、初期には電力を漸進的に増加させつつ供給し、一定の時間が経た後には、供給可能な最大の電力を供給できるので、フリッカー特性を改善しつつも、加熱ローラの表面温度を迅速に定着目標温度に到達させうる。また、本実施形態に係る電力制御方法を適用すると、最大供給レベルが最大定格レベルを超えても、加熱ローラの表面温度を、オーバーシュートやアンダーシュートなしに迅速に定着目標温度に到達させうる。
【0135】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。