(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
残高情報と履歴情報を記憶するICカードに近接させることで、前記残高情報に基づいて請求情報の決済処理を実行する携帯情報端末において実行可能な携帯情報端末用プログラムにおいて、
前記携帯情報端末においてインターネット接続によるネットショッピングを行った際、購入する商品やコンテンツを確定した後、前記携帯情報端末の外部にある前記ICカードが前記携帯情報端末に設けられた端末側アンテナに近接した際、前記ICカードから前記履歴情報中、場所に関わる最新の履歴情報を取得し、取得した前記場所に関わる最新の履歴情報に基づいて、前記ICカードが決済可能位置にあるか否かを判定する決済位置判定処理と、
前記ICカードが決済可能位置にあると判定された場合、前記ICカードに記憶される前記残高情報から、前記商品やコンテンツの購入に関して支払うべき前記請求情報の引き去りを実行する引き去り処理と、を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とする
携帯情報端末用プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、ICカードの利用の範囲が広がる中、携帯電話やスマートホンなどの携帯情報端末とICカードを利用して決済を行うことが考えられる。現在、このような携帯情報端末には、ICカード読み取り用のアンテナが内蔵された機種が存在する。このような機種では、例えば、インターネット上のショッピングサイトにて、商品、あるいは、音楽、映像等のコンテンツを購入する際、ICカードにチャージされている電子マネーで決済することが可能となる。
【0006】
しかしながら、携帯情報端末をICカードに近接するだけで決済可能となるため、例えば、鉄道駅構内、あるいは、電車やバスの車内など混雑した環境では、携帯情報端末を利用し、他人のICカードにて決済を行うことが考えられる。ICカードは、ポケットや鞄に収納されることが多く、また、ICカードと携帯情報端末間は非接触で通信を行うことが可能であるため、携帯情報端末を他人のポケットや鞄に近接させることで、他人の電子マネーが不当に摂取されることとなる。
【0007】
本発明は、携帯情報端末によるICカードの決済を行うに際し、不当な決済を抑制するとともに、その安全性の向上を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯情報端末は、 残高情報と履歴情報を含むカード情報を記憶するICカードに近接させることで、前記残高情報に基づいて請求情報の決済処理を実行する携帯情報端末において、
前記携帯情報端末は、
前記携帯情報端末の外部にある前記ICカードと近接させることで、前記ICカードから前記カード情報を取得する端末側アンテナと、
各種情報を記憶する端末側記憶手段と、
前記携帯情報端末においてインターネット接続によるネットショッピングを行った際、購入する商品やコンテンツを確定した後、前記ICカードが前記端末側アンテナに近接した際、前記ICカードから前記履歴情報
中、場所に関わる最新の履歴情報を取得し、取得した前記
場所に関わる最新の履歴情報に基づいて、前記ICカードが決済可能位置にあるか否かを判定する決済位置判定処理と、
前記ICカードが決済可能位置にあると判定された場合、前記ICカードに記憶される前記残高情報から、前記商品やコンテンツの購入に関して支払うべき前記請求情報の引き去りを実行する引き去り処理と、を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
さらに本発明に係る携帯情報端末は、
前記決済位置判定処理において、前記ICカードが決済可能位置は、前記
場所に関わる最新の履歴情報中、現在の状態が、駅などの施設に入場状態でないことを示すことを条件としている。
【0010】
さらに本発明に係る携帯情報端末において、
前記カード情報は、カード識別情報を更に含み、
前記制御手段は、
前記ICカードから読み取った前記カード識別情報と、前記端末側記憶手段に予め記憶される登録識別情報を照合する事前認証処理を実行し、
前記事前認証処理にて認証された場合、前記ICカードに記憶される前記残高情報から前記請求
情報の引き去りを実行し、前記事前認証処理にて認証できない場合、前記決済位置判定処理以降の処理を実行することを特徴とする。
【0011】
さらに本発明に係る携帯情報端末用プログラムは、
残高情報と履歴情報を記憶するICカードに近接させることで、前記残高情報に基づいて請求情報の決済処理を実行する携帯情報端末において実行可能な携帯情報端末用プログラムにおいて、
前記携帯情報端末においてインターネット接続によるネットショッピングを行った際、購入する商品やコンテンツを確定した後、前記携帯情報端末の外部にある前記ICカードが前記携帯情報端末に設けられた
端末側アンテナに近接した際、前記ICカードから前記履歴情報
中、場所に関わる最新の履歴情報を取得し、取得した前記
場所に関わる最新の履歴情報に基づいて、前記ICカードが決済可能位置にあるか否かを判定する決済位置判定処理と、
前記ICカードが決済可能位置にあると判定された場合、前記ICカードに記憶される前記残高情報から、前記商品やコンテンツの購入に関して支払うべき前記請求情報の引き去りを実行する引き去り処理と、を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る携帯情報端末、携帯情報端末用プログラムでは、ICカードに記憶された残高情報から請求情報の引き去りを行うにあたり、混雑した駅構内、車内などの状況下においてICカードからの決済を行うことを禁止することで、窃盗抑制を図ることが可能となる。
【0013】
本発明では、履歴情報に基づいてICカードが決済可能な位置を判定する際、履歴情報中、現在の状態が、駅などの施設に入場状態でないこと条件としている。このような形態では、盗難抑制を図るため、携帯情報端末側にて新たなセンサを設ける必要が無く、既存の携帯情報端末を利用することも可能となる。
【0014】
本発明では、携帯情報端末に予め登録されたICカードに対しては、事前認証処理にて決済可能としており、利便性の向上が図られたものとなっている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施形態で使用する非接触式ICカード(以下「ICカード」と略する。)の外観を示す図であり、
図1(A)には、ICカード2の表面の様子が、
図1(B)には、ICカード2の裏面の様子が示されている。
【0017】
図1(B)に示されるようにICカード2の裏面には、ICカード2の利用に関しての注意事項などの案内説明が記載されている。また、裏面右下には、個々のICカード2に割り振られたIDiと呼ばれるカード識別情報が表示されている。本実施形態では、このIDiは12桁からなる数字と英字の組み合わせで構成されている。カード発行会社などは、このIDiをデータベースに登録することで、各種管理を行うことが可能となっている。
【0018】
図2は、本発明の実施形態で使用するICカードの内部構成を示す図が示されている。
図2は、正面からICカード2を透過したときの図である。また、
図2の左下にはICチップ22近傍の断面の様子が示されている。ICカード2は、ポリ塩化ビニル、プラスチック、紙などのカード基材21内部に、ICチップ22とカードアンテナ23が埋設されて構成されている。カードアンテナ23はループ状に形成され、相手方のアンテナから出力される磁束の変化を電流に変換し、各種情報の送受信を行うことが可能となっている。本実施形態では、ICカード2側に電源(バッテリー)を必要しないパッシブ型となっており、カードアンテナ23に流れる電流を利用して、情報の送受信を行うこととしている。このような形態以外にICカード2内に電源を有するアクティブ型を使用することも可能である。
【0019】
ICチップ22内には、ICカード2の裏面に表記されたIDi(第1のカード識別情報)の他、ICカード2には、表記されていない第2のカード識別情報(IDmと呼ばれる)などのカード情報を記憶するカード側記憶部を有している。本実施形態で使用するカード識別情報としては、このIDi、IDmのどちらを使用することとしてもよい。この
カード側記憶部には、カード情報として、残高情報(残高金額)、並びに、履歴情報(入金日時、入金金額、入金場所、決済日時、決済金額、決済場所など)なども記憶しており、いわゆる電子マネーとして機能するように構成されている。本実施形態では、電子マネーとしてのICカード2として説明するが、このICカード2に定期券情報などを記憶させることで電子定期券として機能させることとしてもよい。また、本実施形態のICカード2は、パッシブ型となっており、ICチップ22内には、カードアンテナ23を流れる電流を蓄積して電源として利用するコンデンサが積載されている。
【0020】
このようなICカード2は、電車やバスなどの各種交通機関における旅費の決済処理、あるいは、駅構内の売店やコンビニエンスストア、あるいは自動販売機などでの商品購入
における決済処理に利用することが可能となっている。ところで、現在、このようなICカード2は、前述した利用形態のみならず、携帯電話やスマートホンなどの携帯情報端末でのネットショッピング、あるいは、コンテンツ購入などの決済処理に利用することも考えられる。
【0021】
図3には、このようなICカード2による決済処理を可能とする携帯情報端末1の外観(正面図)が示されている。本実施形態の携帯情報端末1は、各種情報を表示すると共に、ユーザからのタッチ入力を受け付けるタッチパネルモニタ13を備えている。入力手段としては、このタッチパネルモニタ13以外に電源スイッチ14aや、各種操作スイッチ14b〜14eといった入力部が設けられており、ユーザの操作入力を可能としている。また、ICカード2との情報送受信を行うため、タッチパネルモニタ13の上部には、ICカード用アンテナ19が筐体内部に埋設されている。ICカード用アンテナ19の設置位置を分かりやすくするため、筐体には位置を示す記号が表示されている。ユーザは、この記号位置にICカード2をかざすことで、ICカード2による決済処理を実行することが可能となっている。
【0022】
図4には、本発明の実施形態に係る携帯情報端末1の構成を示すブロック図が示されている。本実施形態の携帯情報端末1は、通話機能、インターネット接続機能を備えたスマートホン形態であり、携帯無線網に接続するための構成として、無線通信部20、携帯網用アンテナ21を備えて構成されている。また、前述したICカード2との情報送受信を可能とするため、ループ状のICカード用アンテナ19、それを制御するコントロールボード18が設けられている。
【0023】
このような外部との通信手段以外に、ユーザに対し視覚的情報を報知するための手段として、表示部13a、表示制御部12を有する。また、聴覚的情報を表示するための構成として音響制御部15、スピーカ16を有する。この音響制御部15には、マイク17が接続されており、通話などのため外部から音声情報を取得する手段としても機能する。そして、ユーザからの指示、入力を受け付けるための手段として、表示部13aに重畳されたタッチパネル13b、入力部14を有している。このタッチパネル13bは表示部13aと共にタッチパネルモニタ13を構成する。入力部14は、
図3で説明したように電源スイッチ14a、操作スイッチ14b〜14eといったスイッチ類である。
【0024】
制御部10(制御手段)は、以上のような各種通信手段、報知手段、入力手段を統括して制御する手段であって、記憶部11(端末側記憶手段)に記憶されたプログラムに基づいて、本実施形態の決済処理を含む各種処理を実行する。本実施形態の決済処理は、携帯情報端末1をインターネット接続してインターネット上のネット店舗にて、商品あるいは音楽や映像などのコンテンツを購入するネットショッピングを対象としている。ICカード2を用いてこのような決済処理を実行する場合、携帯情報端末1のICカード用アンテナ19にICカード2を近接させる(かざす)ことで決済が完了することとなる。
【0025】
しかしながら、携帯情報端末1とICカード2の間に衣類や鞄が介在した程度であっても決済処理を行うことが可能である。したがって、混雑した駅構内、あるいは、電車やバスなどの混雑した車内では、他人のICカード2を使用して決済処理を行うことが考えられる。すなわち、携帯情報端末1による商品やコンテンツの購入時に、当該携帯情報端末1を、他人のポケットや鞄に入っているICカード2にかざすことで、ICカード2に蓄積されている残高情報(残高金額)にて決済処理を行う輩が発生することが考えられる。このような決済処理は他人の電子マネーを不当に摂取するものであり、これを防ぐ手立てを考える必要がある。
【0026】
本実施形態は、このような携帯情報端末1により、ICカード2に蓄積された残高情報
の窃盗を防ぐことを目的とするものである。特に、本実施形態の決済処理では、ICカード2が記憶している履歴情報に基づいて、ICカード2が決済可能位置にあるか否かを判定し、駅構内、あるいは、車内などにおいては、決済を禁止することでICカード2に蓄積された残高情報の窃盗を防ぐこととしている。
【0027】
では、このような窃盗を抑制する決済処理について、その実施形態を
図5〜
図9を用いて説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る履歴情報、残高情報のデータ構成を示す図であり、
図6は、本発明の実施形態に係る決済処理を示すフロー図であり、
図7は、本発明の実施形態に係るICカード読取要求画面を示す図であり、
図8は、本発明の実施形態に係る決済完了画面を示す図であり、
図9は、本発明の実施形態に係る決済エラー画面を示す図である。
【0028】
図5には、ICカード2に記憶されている履歴情報と残高情報のデータ構成が示されている。図には、ICカード2に入金(チャージ)した後の履歴、並びに残高金額が示されている。本実施形態では、ICカード2に入金、あるいは、ICカード2を利用する毎にデータ更新される。この例では、まず、ユーザは東京駅にてICカード2に10,000円の入金を行っている。その後、新宿駅で電車に乗車し、海浜幕張駅まで移動している。したがって、新宿駅では入場を示す履歴が記録され、海浜幕張駅では出場を示す履歴が記録される。そして、海浜幕張駅における出場時、乗車賃620円が残高金額から引き去れれている。
【0029】
また、このICカード2では、駅の売店、あるいは、コンビニエンスストアなど実際の商店において商品を購入した際の決済(
図5では、「コンビニ***」での決済)以外に、携帯情報端末1のネット接続機能を利用したインターネット上の店舗での決済、所謂、ネットショッピングでの決済(
図5では、「**ショッピング.com」での決済)を行うことが可能である。
【0030】
このようにICカード2では、電車など交通機関における乗車賃の決済、実店舗での商品購入決済の他、携帯情報端末1を使用して行うネットショッピングでの決済を可能としている。前述したように携帯情報端末1を使用した決済においては、駅構内、あるいは、車内などの混み合った状況における電子マネーの窃盗が問題となる。本実施形態では、このような問題を抑制するため、以下に説明する決済処理を行うこととしている。
【0031】
図6に示されるフロー図は、携帯情報端末1においてインターネット接続によるネットショッピングを行った際、購入する商品やコンテンツを確定した後の処理である。この決済処理が開始されると、まず、タッチパネルモニタ13上にてユーザに決済方法を選択させる(S101)。通常、ネットショッピングにおいては、クレジットカード、銀行振込、代引き払いなど各種決済方法を選択することが可能となっている。本実施形態では、このような決済方法に加え、ICカード2に予め記憶(チャージ)されている残高金額(残高情報)から請求金額(請求情報)を引き去る決済方法を選択することが可能となっている。
【0032】
S102では、ICカード2による決済か否かが判定される。ICカード2以外による決済方法が選択された場合(S102:NO)には、選択された他の決済方法による決済処理が実行される(S104)。一方、ユーザによりICカード2による決済方法が選択された場合(S102:Yes)には、まず、携帯情報端末1のタッチパネルモニタ13上にICカード読取要求画面を表示させる。
図6には、このICカード読取要求画面が示されている。画面上には、商品あるいはコンテンツ購入に関して支払うべき請求金額3a、並びにICカード2を携帯情報端末1のICカード用アンテナ19に近接させるように促す説明が表示されている。
【0033】
ユーザが、携帯情報端末1をICカード2に近接させることで(S105:Yes)、携帯情報端末1は、まず、ICカード2から履歴情報を読み出す(S106)。ここでは全ての履歴情報を読み出すのではなく、ICカード2が決済可能な位置にあるか否かを判定するのに必要な履歴情報を読み出すことで足りる。例えば、
図5の履歴情報の例の場合、最新の履歴をみると、海浜幕張駅に入場した状態にあることが分かる。また、その後、駅から出場した履歴が記録されていないため、ICカード2を保持するユーザは、駅構内、あるいは車両内にいることが分かる。
【0034】
携帯情報端末1は、読み出した履歴情報に基づいて、ICカード2が決済可能な位置にあるか否かを判定する(S107)。本実施形態では、履歴情報に基づいて、ICカード2が駅構内、あるいは車両内にいるかを判定している。
図5の例では、海浜幕張駅に入場後、出場している履歴がないため、駅構内、あるいは、車両内にいることが分かる。この
図5の例の場合、ICカード2は決済可能な位置にないと判定(S107:Yes)されることとなり、携帯情報端末2のタッチパネルモニタ13には利用不可画面が表示される。
図9には、本実施形態の利用不可画面が示されている。この利用不可画面では、ユーザに対して、現在の位置(駅構内、あるいは車両内)での決済ができない旨、並びに、改札を出てから決済を行う旨の指示が表示されている。
【0035】
一方、駅構内、あるいは車両内でない、すなわち、ICカード2が決済可能な位置であると判定された場合(S107:No)には、ICカード2が記憶する残高金額(残高情報)から請求金額(請求情報)を減額する引き去り処理を実行する。引き去り処理の完了後には、タッチパネルモニタ13に
図8に示す決済完了画面を表示(S113)して、一連の決済処理を終了する。ただし、残高金額が請求金額に満たない場合(S110:No)が考えられる。この場合、タッチパネルモニタ13に残高不足画面(図示せず)を表示して決済処理を終了する(S111)。
【0036】
以上、実施形態の決済処理においては、携帯情報端末1においてネットショッピングなどを行った際の決済において、ICカード2が記憶する履歴情報に基づいて、ICカード2が決済可能な位置にあるか否かを判定し、ICカード2が決済可能な位置にある場合のみ、残高金額(残高情報)から請求金額(請求情報)を減額する引き去り処理を実行することとしている。したがって、駅構内、あるいは車両内など混雑が予想される環境では、携帯情報端末1による決済を禁止し、電子マネーの窃盗を抑制することとしている。
【0037】
なお、決済処理において、携帯情報端末1とICカード2を近接させ、ICカード2と携帯情報端末1が通信した際(S105)、携帯情報端末1のスピーカ16から、サウンドマークのようなICカード2の決済に特徴付けられた可聴音を出力することとしてもよい。携帯情報端末1から決済に特徴付けられた可聴音が出力されることで、他人による決済が行われようとした場合、ICカード2の保持者の周囲で放音されることとなるため、状況を周囲に気付かせることが可能となる。なお、この可聴音の放音は、携帯情報端末1がミュート状態に設定されている場合においても強制的に放音することが好ましい。
【0038】
また、本実施形態は、鉄道など改札にてICカード2の決済(乗車賃の引き去り)を行う形態について説明したが、ICカード2には、定期券機能が付帯されたものがある。このような形態のICカード2では、入場、出場の判定には、乗車賃を支払う形態の履歴情報のみならず、この定期券機能についての履歴情報を使用して、ICカード2が決済可能な位置にあるか否か(駅構内、もしくは車両内であるか否か)を判定することも可能である。
【0039】
また、鉄道などの改札にて入出場を記録する形態のみならず、バスなどのように車両に
乗車、下車する際に記録する形態についても採用することができる。例えば、バスに乗車して降車時に乗車賃を支払う形態においては、前述した駅の入出場とほぼ同じ形態にて乗車状態にあるか否かを判定することが可能である。このような形態の他、バスでは乗車時に一律料金の乗車賃を支払う形態も知られている。この形態では、ICカード2には下車した際の履歴情報が記録されない。したがって、このような場合、バスに乗車している最長時間を想定し、バスに乗車した後、当該、最長時間を経過するまでの期間を、バス車内にいる、すなわち、ICカード2は決済できない位置であるとしてもよい。この最長時間は、バスの乗車時に判定可能な、バスの路線毎、あるいは、乗車位置毎に予め設定しておくこととしてもよい。
【0040】
ところで、このような決済処理では、駅構内、あるいは車両内にて、ICカード2の正当な保持者が携帯情報端末1を使用した決済を行うことができないこととなる。このような状況の改善を図るため、携帯情報端末1に予め登録してあるICカード2については、上述した複数回の近接操作並びに入力操作を必要することなく、残高金額からの引き去りを行うこととしても良い。
【0041】
図10には、このようなICカード2による決済を行うため、携帯情報端末1にて実行される事前登録処理が記載されている。また、
図11には、事前登録処理を行った携帯情報端末1において実行される決済処理(事前認証処理を含む)のフロー図が記載されている。
【0042】
本実施形態では、携帯情報端末1とICカード2の対応付けを行うめ、携帯情報端末1にてICカード2を事前登録する事前登録プログラム(事前登録処理)を実行することが可能となっている。携帯情報端末1において、この事前登録処理が実行されると、ICカード2の登録、削除、変更を選択可能なメニュー画面がタッチパネルモニタ13に表示(図示せず)される(S401)。
【0043】
このメニュー画面にてICカード2の登録が選択された場合(S402:Yes)、ユーザに対して、ICカード2の裏面に表記されたIDi(全てもしくは一部分)を入力させるIDi入力画面が表示される(S404)。ユーザは、自己が所有するICカード2の裏面に表記されたIDi(全てもしくは一部分)を入力手段を介して入力する(S405)。IDiの入力完了後(S405:Yes)、入力されたIDiを表示する確認画面をタッチパネルモニタ13に表示してユーザに登録の確認を問う(S406)。入力手段から登録指示が入力された場合(S407:Yes)、入力されたIDiを登録識別情報として記憶部11に記憶させる。一方、修正が指示された場合(S407:No)には、S404に戻り、IDi入力画面にて再度、IDiを入力させる。
【0044】
以上、事前登録処理について、IDiの登録の説明を行ったが、この事前登録処理では、登録したICカード2の削除、修正などを行うことを可能としている(S403)。また、この事前登録処理では、IDiを入力手段から直接入力させているが、このような入力形態に代え、ICカード用アンテナ19を介してICカード2に記憶するIDiもしくはIDmを読み込み、登録識別情報として記憶させることとしてもよい。
【0045】
図11には、このような事前登録処理を可能とする携帯情報端末1について、事前認証処理を含んだ決済処理について、そのフロー図が記載されている。フロー図中、S102〜S105は、
図6で説明した決済処理の処理内容と同じであるためここでの説明は省略する。
【0046】
本実施形態では、事前登録処理にて登録されているICカード2については、履歴情報に基づく位置を判定することなく決済(残高金額からの引き去り)を可能としている。I
Cカード2の近接が判定された場合(S105:Yes)、ICカードからカード識別情報としてのIDiを読み出して、記憶部11に記憶させる(S301)。ここで、前述したようにICカード2の事前登録処理が行われていた場合、記憶部11には、登録されたICカード2のIDi(登録識別情報)が記憶された状態となっている。
【0047】
S302での事前認証処理では、S302にてICカード2から読み出したIDiと、記憶部11に事前登録されているIDiを照合し、一致していると判定された場合(S302:Yes)には、
図6のフロー中、S109に進み、残高金額と決済金額に基づく引き去り処理を実行する。したがって、この場合、駅構内、あるいは車両内であっても決済が実行されることとなる。一方、一致していないと判定された場合(S302:No)には、
図6のフロー中、S106以降の処理を実行し、前述の実施形態で説明したように、ICカード2による決済が可能な位置か否かが判定され、決済の可否が判定される。
【0048】
このように事前認証処理を実行する本実施形態では、事前登録されたICカード2に対しては、携帯情報端末1に登録されているICカード2については、決済可能位置を判定することなく決済を実行することとしており、ICカード2による有利性を活かした決済処理を行うこととしている。一方、事前登録されていないICカード2に対しては、決済可能な位置の判定に基づいて引き去り処理を実行することで、混雑した環境下などでの決済を禁止し、決済の安全性を確保している。
【0049】
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。