特許第5714600号(P5714600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5714600共加工された錠用賦形剤混合物、その調製及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714600
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】共加工された錠用賦形剤混合物、その調製及び使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/26 20060101AFI20150416BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20150416BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
   A61K47/26
   A61K9/16
   A61K9/20
   A61K47/38
   A61K47/36
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-544418(P2012-544418)
(86)(22)【出願日】2010年12月16日
(65)【公表番号】特表2013-514349(P2013-514349A)
(43)【公表日】2013年4月25日
(86)【国際出願番号】NL2010050855
(87)【国際公開番号】WO2011074961
(87)【国際公開日】20110623
【審査請求日】2013年11月22日
(31)【優先権主張番号】09179867.8
(32)【優先日】2009年12月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512159764
【氏名又は名称】フリースランドカンピナ・ネーデルランド・ホールディング・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】FrieslandCampina Nederland Holding B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ゲゼル、アレクサンダー・ビルヘルムス
【審査官】 高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−538268(JP,A)
【文献】 特開平08−040895(JP,A)
【文献】 特表2009−542647(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/002829(WO,A1)
【文献】 特開2005−298338(JP,A)
【文献】 特開平07−324035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤化に適した共加工された賦形剤混合物であって、前記混合物は、複数の顆粒を含み、前記複数の顆粒は、共に造粒に供された、少なくとも一つの充填剤−結合剤、少なくとも一つの崩壊剤、及び少なくとも一つの潤滑剤を含み、前記複数の顆粒は少なくとも部分的にラクトースで被覆されており、前記賦形剤は、どの医薬活性成分(API)も含まない賦形剤混合物。
【請求項2】
請求項1に記載の共加工された賦形剤混合物であって、造粒する間に、ラクトース溶液を、前記少なくとも一つの充填剤−結合剤、前記少なくとも一つの崩壊剤、及び、前記少なくとも一つの潤滑剤に吹き付ける流動層造粒法によって得られる賦形剤混合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の共加工された賦形剤混合物であって、ラクトース、微結晶性セルロース(MCC)、及び、架橋グリコール酸澱粉ナトリウム(SSG)を含む共加工された賦形剤混合物。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の共加工された賦形剤混合物であって、平均粒子サイズが0.500mmより小さい、粗い又は不規則な形をした複数の顆粒を含む共加工された賦形剤混合物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の共加工された賦形剤混合物であって、前記混合物の全乾燥重量を基準にして、ラクトースを40乃至70%、MCCを20乃至50%、架橋グリコール酸澱粉ナトリウムを1乃至10%、及び、潤滑剤を0.2乃至1%含む共加工された賦形剤混合物。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の共加工された賦形剤混合物を含む袋又はドラム。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の共加工された賦形剤混合物の調製方法であって、少なくとも一つの充填剤−結合剤、少なくとも一つの崩壊剤、及び、少なくとも一つの潤滑剤を含む混合物を提供することと;流動層造粒機において前記混合物を造粒することとを含み、ラクトースを含む溶液を、少なくとも一つの充填剤−結合剤及び少なくとも一つの崩壊剤を含む流動層に噴霧する調製方法。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の共加工された賦形剤混合物を、活性薬剤成分と混合して、活性薬剤成分混合物を形成することと、前記活性薬剤成分混合物を錠剤化することとを含む錠剤化方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
発明の分野
本発明は、共加工された錠用賦形剤混合物、その調製及び錠剤化における使用に関する。
【0002】
発明の背景
製薬業界では、活性のある薬剤成分(以下、"API"又は"APIs")を送達するために最も一般的に用いられている手段は錠剤であり、そのような錠剤は適切に調合された粉末を圧縮することで得られる。通常の圧縮可能な混合物は、典型的には、APIと適切な賦形剤材料とを配合して得る。これらの賦形剤は、希釈剤又は充填剤/担体、結合剤又は接着剤、崩壊剤、滑剤又は流動促進剤、着色剤、香料、及び、それらの混合物を含んでいても良い。滑剤とは、打錠機中への流動性を改善するために粉末に加えられる物質のことである。
【0003】
WO2008/020990に記載されているように、これらの物質は単純に混合してもよく、又は、乾燥状態か湿潤状態で顆粒化してもよい。混合が完了すると、潤滑化するための賦形剤が加えられ、錠剤へと圧縮される。WO2008/020990では、調合されるべきAPIsの能力を、その安全性及び効能プロファイルに悪影響を与えることなしに最大化する、万能な賦形剤配合物を追及している。この配合物は、API及び任意に潤滑剤と共に混合され、タブレットへと圧縮される。このことは、US3,344,030においても確認されている。WO2007/031933の第14、15及び17乃至19頁に描かれたフローチャートは、造粒及び顆粒の粉砕後に潤滑剤を加え、その後は圧縮だけを行うべきであることを正確に示している。WO01/41744は、特に第31頁において、APIと、予め混合した賦形剤成分とを含有したスフェロイドを、ステアリン酸マグネシウムを含有した懸濁液でコートすることによってペレットを調製することを教示している。錠剤化の方法とは独立に、潤滑剤が、担体及び活性化合物と、圧縮する直前に配合される。
【0004】
同様に、US5,006,345には、結合剤とよく混ざり合ったラクトース粉末を基礎とする直接錠剤化助剤、及び、錠剤崩壊剤が記載されている。これらをAPIと混合した後、初めて潤滑剤が加えられ、この混合物が圧縮されて、錠剤を製造する。WO97/440114、US2006/0246135、WO2007/086689、US6,514,524及びWO02/03963も同様に教示している。いずれにしても、潤滑剤は、圧縮の直前であって、他の賦形剤成分を予め混合した後に再度加えられる。
【0005】
直ちに使用可能な共加工された錠用賦形剤を提供する分野外では、WO2004/110406とUS2006/0247234との双方が、API、賦形剤及び潤滑剤の全てが混ぜ合わされるプロセスを開示している。
【0006】
しかしながら、当該分野では、潤滑剤は、圧縮された成形物又は錠剤の装置からの離型を実現するのに必要であると見做されている。その一方で、同時に、潤滑剤は、各種担体成分間の必要な結合に影響を与え、ステアリン酸マグネシウムなどの疎水性潤滑剤の場合には、錠剤の崩壊性能に悪影響を及ぼすと考えられている。結合性能に関しては、それらの理由は、潤滑剤が賦形剤成分を被覆し、それ故、これらが互いに接着するのを妨げるという傾向に基づいている。また、疎水性潤滑剤による被覆は、崩壊において重要な役割を果たす水をはじく。従って、潤滑剤の使用はすべての成分の混合が達成されるまで見合わされており、実際の圧縮工程前における潤滑剤と他の錠剤成分との接触時間を最小化している。
【0007】
当該技術において、最近、WO2009/112287は、潤滑剤は共加工工程へと添加され得て、それ故、好都合なことにはAPI(s)の添加工程及び圧縮工程のみを必要とし、更に、打錠するための金型からの放出を促進する、直ちに使用可能な賦形剤混合物を提供することを開示した。より早い加工段階における潤滑剤の使用にも関わらず、離型力と錠剤化力とは優秀である。しかしながら、これらの性質を得るために、WO2009/112287のプロセスは、同時に顆粒化した成分へ潤滑剤を噴霧して、顆粒を覆った潤滑剤被覆を生じさせることを含む。それ故、それは、潤滑剤は金型に直接付着させるべきであるという熟練者の信念を強くし続け、これは、外側の被膜として賦形剤混合物に潤滑剤を吹きつけた場合にのみ成し得る。
【0008】
しかしながら、当該技術では、直ぐに使用可能な共加工された賦形剤混合物の製造プロセスをさらに最適化しようとする継続的な要求がある。
【0009】
発明の概要
発明者らは、共加工された賦形剤混合物の錠剤化において、少なくとも充填剤−結合剤及び崩壊剤との均一混合物として潤滑剤を使用することへの偏見を克服し、潤滑剤は金型に直接接触する必要が無いことを見出した。結合及び崩壊の観点で疑われている潤滑剤の有害作用は、潤滑剤が実際の造粒において共加工された賦形剤混合物では容易にコントロールされ得ることがわかった。この発見は、造粒をする際、賦形剤の成分に潤滑剤を噴霧することを不必要とさせる。有利なことに、潤滑剤の代わりに、当業者は、流動層技術において、ラクトースの溶液を他の成分に吹き付けることを選ぶことも出来、従って、外側にラクトースを有している顆粒を製造することが出来る。ラクトースの優れた水溶解特性及び密度によって、外側におけるその存在は、結合と流動性とに良好に寄与し、さらには崩壊を促進し、結果、滑剤の必要性を、少なくとも大いに、賦形剤混合物のおおよそ0.25%未満の水準まで削減する。
【0010】
当該技術における認識に反し、潤滑剤がこのように外側に直接付着していないという事実は、打錠や金型から放出する効能に悪影響を与えない。従って、ラクトースの利点を利用可能とみなせる。発明者らはどのような理論にも囚われることを望まないが、潤滑剤を顆粒の表面ではなくマトリクス中へと混入させる方が、錠剤の製造を容易にし、非接着性の潤滑剤膜による圧縮ロスを避けられると考えられる。
【0011】
このように、錠剤の崩壊は影響を受けず、圧縮性については、混入させなかった場合、すなわち凝集していない構成要素の物理的な混合の場合に比べて、より小さい程度でしか影響を受けない。圧縮性及び崩壊の結果については、添付の例と図1及び2とに示している。本発明に係るラクトース被覆を有している共加工された賦形剤は、潤滑剤を、それ自体で使用可能な共加工された賦形剤混合物に、少なくとも(複数の)崩壊剤及び(複数の)充填剤−結合剤との均一混合物として予め混入させており、伝統的な錠剤製剤方法と比較して単純な製剤方法を提供する。API(s)を除く全材料が錠用賦形剤調合物へと共加工され、それは、それ自体で使用可能であり、API(s)との錠剤化用として市販される。
【0012】
発明の詳細な説明
この発明は、少なくとも一つの潤滑剤、一つ又は複数の充填剤−結合剤、及び、一つ又は複数の崩壊剤を含む顆粒を含み、前記顆粒は(好ましくは少なくとも部分的に)ラクトースで被覆され、前記ラクトースは好ましくは結晶質の形態であって、好ましくは一水和物及び/又は無水物の形態である共加工された賦形剤混合物に関する。
【0013】
言い換えれば、この発明は、少なくとも一つの潤滑剤が従来の賦形剤成分、典型的には少なくとも一つ又は複数の充填剤−結合剤及び一つ又は複数の崩壊剤と共に複数の顆粒へと共加工され、少なくとも一つの潤滑剤、崩壊剤、及び充填剤−結合剤を含む複数の顆粒の外側にラクトースが付着している賦形剤混合物に関する。
【0014】
被覆
ラクトースで被覆された顆粒表面は、被覆材料の結晶の性質に起因して、より多くの表面が圧縮に関与するならば、“粗い”と表現してもよい。顆粒は、例えば別個の島として、少なくとも部分的に被覆されていることが好ましい。言い換えると、添付したSEMの写真に示されているように、被覆又は被覆層は、開口しているか(有孔の)又は閉じたような外観又は構造を有していてもよい。一態様において、ラクトースは連続的な被覆層を形成している。
【0015】
潤滑剤で被覆する先行技術では、より滑らかな表面を見いだせる。本発明の文脈では、“被覆”という用語は、単にラクトースが顆粒の外側表面又は上面に付着していることを表現している。
【0016】
本発明に係る賦形剤混合物は、凝集しており、錠剤化に適している(言い換えれば、“未錠剤化”であるが、後に錠剤を製造する)。賦形剤混合物は、圧縮されていないか又は圧縮されているが錠剤を製造するのに十分とみなされるほどではないかで特徴付けても良い。
【0017】
“共加工された賦形剤(混合物)”という用語は、一つ又は複数の活性薬剤成分と共に錠剤化するのに適した、均一で、分離しておらず、複数の成分からなる、自由に流動する混合物若しくは混合体を意味すると解釈される。当該分野では、“共加工”はよく知られた用語で、一つ又は複数の賦形剤混合物が、共乾燥、凝集又は造粒といったプロセスを使用して、他の賦形剤成分の粒子構造中へと組み込まれることを意味する。賦形剤混合物は、物理的には変形されるが、その成分の化学的な構造は変わらない。少なくとも(複数の)充填剤−結合剤、(複数の)潤滑剤及び(複数の)崩壊剤が共に造粒又は凝集、好ましくは湿式造粒に供されることが好ましい。“共加工された賦形剤”は、単に個別の賦形剤の成分を混ぜることによって作られる、賦形剤の成分の物理的な混合物とは反対に、凝集物又は粒状物として特徴づけられてもよい。凝集物又は粒状物は、好ましくは、典型的には粒径が0.500mm(最大の断面に基いて)よりも小さい不揃いな形でさらに特徴づけられる。共加工という用語は、時々、サブ粒子レベルでの既知の賦形剤成分の組み合わせを指すこともある。本件では、それは(複数の)潤滑剤を含む。
【0018】
自明であり、“賦形剤”という用語どおりであるが、共加工された賦形剤混合物自体は、どのAPI(s)も含まない。それは、粉状であって、好ましくは、典型的には0.500mmよりサイズが小さな不揃いな形の粒子によって形成され、好ましくは共加工された賦形剤混合物の全重量(結晶水を含む)の8%未満の、より好ましくは7%未満の水分含量を有している。流動性の観点から、共加工された賦形剤混合物は、好ましくは、約400乃至600g/lの盛込嵩密度及び/又は約400乃至700g/lのタップ嵩密度を示す。
【0019】
先行技術と比較して、潤滑剤の選択と量とは通常どおりである。(複数の)潤滑剤の量は、共加工された賦型剤の全乾燥重量に基づいて、典型的には0.2乃至2.2重量%の範囲内であり、好ましくは1.0重量%以下である。タルクやシリカなどの一般的な鉱物、及び、脂肪、例えば植物ステアリン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、又は、ステアリルフマル酸ナトリウムは、錠剤で最もよく使用される潤滑剤である。薬学的に受け入れられるステアリン酸塩(及びその共役酸)及びステアリルフマレート(ナトリウム塩又はカリウム塩)は特に好ましい。
【0020】
充填剤−結合剤は、錠剤中の成分を結び付けておく。充填剤−結合剤は、錠剤と顆粒とが必要な機械的強度で形成されることを保証し、低作用量錠剤に嵩を与える。充填剤−結合剤の量は、共加工された賦形剤の全乾燥重量に基づいて、典型的には78乃至98.8重量%の範囲内であり、好ましくは90乃至97.0重量%の範囲内である。充填剤−結合剤は、通常、澱粉類、糖類、セルロース又は変性セルロース、例えば、微結晶性セルロース(MCC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ラクトース、又は、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール若しくはモルチトールといった糖アルコール類である。
【0021】
上で述べた理由により、共加工された賦形剤は、好ましくは顆粒内部及び表面にラクトースを含むことが特に好ましい。どちらの場合においても、ラクトースは一水和物及び/又は無水和物の形態であることが好ましい。ラクトースは、混合物において主な充填剤−結合剤であることが好ましい。ラクトースは、錠剤中に存在する希釈剤の役割も果たす。また、ラクトースは凝集していることが好ましい。DMV−Fonterra Excipients(Germany)より購入可能なPharmatose 200Mのような粉状化されたタイプのラクトースを用いると良い結果が得られる。
【0022】
崩壊剤は、錠剤が水に接触しているときにより小さい小片へ早く分解されること、従って溶解を促進することを保証する。(複数の)崩壊剤の量は、共加工された賦形剤の全乾燥重量に基いて、典型的には1.0乃至10.0重量%の範囲内であり、好ましくは2.0乃至6.0重量%の範囲内である。崩壊剤の例として、架橋ポリビニルピロリドン、澱粉グリコリン酸ナトリウム、及び架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(架橋カルメロース)がある。ポテト由来の澱粉グリコリン酸ナトリウムが最も好ましい。DFE(DMV−Fonterra Excipients Germany)から購入可能なPrimojel(登録商標)を用いると良い結果が得られる。他の適した崩壊剤としては、DMV−Fonterra Excipients(Germany)からPrimellose(登録商標)という名で売られている架橋カルメロースナトリウムがある。
【0023】
好ましい態様において、共加工された賦形剤は、ラクトース(好ましくは40乃至70%の量で)、澱粉グリコリン酸ナトリウム、微結晶性セルロース、及び潤滑剤を含む。さらに好ましくは、共加工された賦形剤は、40乃至70%のラクトース、20乃至50%のMCC、1乃至10%の架橋澱粉グリコリン酸ナトリウム、及び0.2乃至2%の潤滑剤を含む。
【0024】
錠剤化に適した共加工された賦形剤は、パッケージ化された形で提供され、好ましくは(通常の)紙袋又はドラム(典型的にはPEインナーライナーを有している)に入れられた状態で提供される。ひとつの側面において、この発明は、この発明に係る共加工された賦形剤を含んだ袋やドラムに関するものである。
【0025】
本発明によると、この発明に係る共加工された賦形剤は、広範なAPIsを錠剤化のために調合することを可能にし、従って固体製剤送達デバイスの開発を促進する。本発明の共加工された賦形剤は、例えば、当該技術分野で良く知られている、滑剤(例えば、コロイダルシリコンジオキシド)、着色剤、香料、及び、それらの混合物を任意成分としてさらに含んでいてもよい。共加工された賦形剤中のこれら付随する成分は、当該技術分野でよく知られた通常の水準で含まれていても良い。
【0026】
上で述べたように、この発明は、i)少なくとも一つの崩壊剤、一つの充填剤−結合剤、及び、少なくとも一つの潤滑剤を含む混合物を提供することと、ii)前記混合物を流動層凝集によって凝集させるか粒状化させること(すなわち共加工)とを含み、前記流動層にラクトース溶液を噴霧する、共加工された賦形剤の調製方法又はプロセスに更に関する。これは、最終的に一様に混合された、非分離、易流動性の、最終的な共加工された賦形剤であって、崩壊剤と潤滑剤とがラクトースによって(部分的に又は完全に)被覆された賦形剤を生成する。
【0027】
流動層造粒法は、湿式造粒法の特別なタイプであって、造流と乾燥とが同一容器内で行われ、凝集が行われている最中に乾燥が開始する。空気流中で粉体粒子を流動させている間に、ラクトース溶液をノズルから噴霧する。十分な液を噴霧して必要なサイズの顆粒を製造し、この時点で噴霧を終了するが、流動化のための空気流は、その後の乾燥工程においても継続する。単一の容器で造粒と乾燥とを行うと、温度と乾燥速度とをより良好に制御することが可能となる。
【0028】
湿式造粒をしている際に、ラクトース溶液に、潤滑剤、崩壊剤、充填剤−結合剤、及び、他の賦形剤の成分を接触させると、賦形剤成分同士の結合とともに凝集体の強度も高まる。ラクトースを含んだ‘結合剤’溶液を、段階的に又は連続的に、最も好ましくは連続的に加え、ここで、水分供給速度は、乾燥によって造粒機から自由水分が消失する速度とほぼ等しいことが好ましい。概して、自由水分含量は、上に述べた限度内のままであり、より好ましくは、結合剤溶液の供給中、ほぼ一定である。
【0029】
ラクトース又は結合剤溶液は、乾燥によって取り除くことができるように揮発性でなければならない非毒性の溶剤を含む。典型的な溶剤は、水、エタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物を含む。ラクトース溶液は、結合剤溶液の全重量を基準にして、好ましくは5乃至60重量%のラクトース、さらに好ましくは10乃至40重量%のラクトースを含む。仮に結合剤溶液中のラクトースの濃度が60重量%より大きくなると、この溶液の粘性が高くなり噴霧が困難となる。
【0030】
この発明はまた、活性薬剤成分と共加工された賦形剤とを混ぜて活性薬剤成分の混合物を形成し、この活性薬剤成分の混合物を錠剤化して薬剤的に受け入れられる錠剤を形成することにも関する。
【0031】
製造方法を問わず、共処理された賦形剤は、少なくとも一つのAPIと、およそ10乃至99.9重量%の範囲内の水準で混合してもよい。
【0032】
ある説明のための非制限的な態様において、共加工された賦形剤は、その成分を混合し、当業者には良く知られた湿式造粒法を用いて処理することで得られる。湿式造粒法においては、それら成分の粉末が混合され、その後、適切なコンシステンシーになるまで、ラクトースを含んだ流体で加湿される。その後、加湿された素材はスクリーンを通して押し出され、適度な含水量になるまで乾燥され、続いて望ましい粒径になるまで粉砕され、任意に所望の平均粒径へと篩別される。
【0033】
この明細書においては、全てのパーセンテージは、断りが無い限り、賦形剤混合物の乾燥重量を基準とする重量/重量比を表す。
【0034】
実施例
例1.共加工された賦形剤混合物の製造
共加工された賦形剤混合物を、Pharmatose(登録商標)200M(DFE製ラクトース、充填剤−結合剤)261g、Pharmacel101(登録商標)(DFE製MCCタイプの充填剤−結合剤)180g、Primojel(登録商標)(DFE製崩壊剤)30g、及び、ステアリン酸マグネシウム(Fagron製潤滑剤)3gを流動層凝集機(Agglomaster AGM-2-PJSD、 Hosokawa、Japan)に加え、この混合物を、水140mlに溶かしたラクトース126gで凝集させることによって製造した。液状の充填剤−結合剤を、この粉体床に、10分間にわたって添加し、その後、10分間乾燥させる。その後、その結果として得られた共加工された賦形剤を、材料の密度を高めるべく、10バールの圧力で予備圧縮する。なお、予備圧縮は、遥かに高い圧力で行われる実際の錠剤化圧縮工程と混同されるべきではなく、当業者には公知である。
【0035】
例2.錠剤化
共加工された賦形剤混合物の錠剤機能に対して混合時間が及ぼす影響を調べるために、例1に係る500gの共加工された賦形剤の5つのバッチを、Turbula T2C(WAB、Switzerland)において、1分、3分、10分、30分、及び100分混合した。それぞれの場合において、混合された賦形剤混合物は、次に、ロータリフィードフレーム付きロータリプレスRotab-T(Luxner、Berlin、Germany)において、10kNの力で、9mm、250mgの錠剤へ圧縮した。これらの錠剤は、崩壊時間と錠剤の衝突強度とを調べるのに先立ち、翌日まで放置して緩和させた。
【0036】
参照として、SuperTab14SD(登録商標)(DFE製ラクトース、充填剤−結合剤)と、Pharmacel102(登録商標)(DFE製MCCタイプ充填剤−結合剤)及びPrimojel(登録商標)(DFE)との5つの混合物を、90RPMで8分間回転しているTurbula T2C(WAB、Switzerland)において先の成分を混合し、その後、ステアリン酸マグネシウム(Fagron、Germany)を添加し、さらに1分、3分、10分、30分、又は100分間にわたって混合させることで調製した。これらは‘物理的な混合物’(共加工に供されていない)として言及される。錠剤は、これら混合物から同様に作られた。
【0037】
図1は、対数目盛で表した混合時間に対する、共加工された賦形剤及び物理的な混合物からなる錠剤の崩壊時間を示している。図2は、対数目盛で表した混合時間に対する、共加工された賦形剤及び物理的な混合物からなる錠剤の錠剤圧縮強度を示している。図1及び2は、潤滑剤を他の賦形剤からなる共加工マトリクスに含めた場合、混合時間が崩壊時間に与える有意な影響は見られないことを示している。驚くべきことに、共加工された賦形剤で作られた錠剤の錠剤硬さは、個々の成分の物理的な混合物を用いて作られた場合と比較して、長時間の混合に対する感受性が有意に小さい。
【0038】
この驚くべき効果は、図3においてさらにはっきり示され、そこでは、混合時間の関数としての硬さを、1分だけ混合した場合の硬さを100として示したものである。これは、物理的な混合物については、続く99分間にわたるほぼ60%もの錠剤硬さの劇的な減少を示し、共加工された賦形剤は20%よりも若干多くの圧縮性を失うだけであることを示している。発明者らは、理論に束縛されることを望むものではないが、共加工された賦形剤と物理的な混合物とで潤滑剤の影響が異なるのは、分離していない共加工された賦形剤のマトリクス中に潤滑剤が組み入れられており、従って非接着性の潤滑剤膜を素早く形成することがないという事実が原因であると考えている。
【0039】
例3:SEM
本発明のプロセスの影響を示すために、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて写真を複数撮影した。図4A乃至Cは、物理的に混合された試料(A)と共加工された賦形剤(B)とを比較するものである。図4Cは、図4Bの共加工された賦形剤を拡大したものである。
【0040】
図4Aは、各々が特有の特徴をもった個々の粒子を示したものである。すべては被覆されていない。共加工された賦形剤のSEMは、先ず、ラクトースの結晶子からなる粗い被覆の生成をはっきりと示し、次に、複数の粒子の凝集によって個々の粒子のサイズが大きくなっていく様子を示している。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C