特許第5714625号(P5714625)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディズニー エンタープライゼス インコーポレイテッドの特許一覧

特許5714625選択可能な深さに表面下補強層を有するロボットその他に使用する皮膚
<>
  • 特許5714625-選択可能な深さに表面下補強層を有するロボットその他に使用する皮膚 図000002
  • 特許5714625-選択可能な深さに表面下補強層を有するロボットその他に使用する皮膚 図000003
  • 特許5714625-選択可能な深さに表面下補強層を有するロボットその他に使用する皮膚 図000004
  • 特許5714625-選択可能な深さに表面下補強層を有するロボットその他に使用する皮膚 図000005
  • 特許5714625-選択可能な深さに表面下補強層を有するロボットその他に使用する皮膚 図000006
  • 特許5714625-選択可能な深さに表面下補強層を有するロボットその他に使用する皮膚 図000007
  • 特許5714625-選択可能な深さに表面下補強層を有するロボットその他に使用する皮膚 図000008
  • 特許5714625-選択可能な深さに表面下補強層を有するロボットその他に使用する皮膚 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714625
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】選択可能な深さに表面下補強層を有するロボットその他に使用する皮膚
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/10 20060101AFI20150416BHJP
   A63H 9/00 20060101ALN20150416BHJP
   A63H 11/00 20060101ALN20150416BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20150416BHJP
   B29L 31/00 20060101ALN20150416BHJP
【FI】
   B29C39/10
   !A63H9/00 S
   !A63H11/00 Z
   B29K105:08
   B29L31:00
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-38338(P2013-38338)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-220658(P2013-220658A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2013年2月28日
(31)【優先権主張番号】13/449,579
(32)【優先日】2012年4月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504399716
【氏名又は名称】ディズニー エンタープライゼス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ジェイ.ジャクソン
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−141564(JP,A)
【文献】 特開2006−044264(JP,A)
【文献】 特開平11−009339(JP,A)
【文献】 特公昭38−007043(JP,B1)
【文献】 特開昭56−078954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 39/00−39/44
B29C 33/00−33/76
A63H 1/00−37/00
D06N 1/00−7/06
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性及び耐久性の人工皮膚を製造する方法であって、
外側金型及び内部コアを有し、前記外側金型の内側表面と前記内部コアの外側表面との間にあるキャビティが、人工皮膚の形状を規定し、前記キャビティに面する前記内部コアの表面が、前記内部コア表面から所定の距離だけ外側に伸長する複数のオフセット部を含む金型組立体を準備すること、
前記表面に対して補強材料のシートを位置決めし、前記シートを、前記オフセット部の少なくとも一部分と接合接触させること、
前記人工皮膚用の材料を前記金型に注いで、前記外側金型と前記内部コアとの間の前記キャビティを埋めること、
前記材料が硬化して前記人工皮膚が形成された後、前記金型組立体を解体し、前記人工皮膚の表面からオフセット距離をおいて前記人工皮膚内に埋め込まれた前記補強材料のシートを有する前記人工皮膚を取り出すことを含む方法。
【請求項2】
前記補強材料が、弾性材料のメッシュ織物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記弾性材料が、スパンデックスを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記オフセット部が、前記補強材料のシートを前記オフセット距離に保持し、前記オフセット距離が、前記皮膚の前記表面から少なくとも1/16インチ(1.6mm)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記オフセット部の各々が、円錐状、円錐台状、又は半球状の形状を有する本体を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記本体の各々が、前記補強材料のシートの糸と結合するための少なくとも1つの保持部材を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記保持部材が、前記オフセット部の前記本体の先端から距離をおいて設けられており、前記補強材料の前記シートの前記糸の1つ又は複数を受容するのに適した前記オフセットの前記本体付近に伸長する凹部表面を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
弾性材料で形成された人工皮膚であって、
第1の表面と第2の表面との間に伸長する所定の厚さの前記弾性材料で形成された本体と、
前記本体の部分に、前記第2の表面からオフセット距離をおいて前記本体と共に埋め込まれた補強材料のシートと、
前記補強材料のシートに隣接する前記第2の表面にあり、前記オフセット距離と少なくとも等しい深さで前記本体中に伸長する複数の凹部を含む人工皮膚。
【請求項9】
前記弾性材料がゴムを含み、前記補強材料が、4方向に伸張可能な材料のメッシュ織物を含む、請求項8に記載の皮膚。
【請求項10】
前記4方向に伸張可能な材料が、スパンデックスを含む、請求項9に記載の皮膚。
【請求項11】
前記オフセット距離が、1/16インチ(1.6mm)を超える、請求項8に記載の皮膚。
【請求項12】
前記凹部が、円錐状、円錐台状、又は半球状の形状である、請求項8に記載の皮膚。
【請求項13】
前記人工皮膚が、前記弾性材料を金型のキャビティで成型することにより形成され、前記弾性材料前記シートの両側に結合されている、請求項8に記載の皮膚。
【請求項14】
前記補強材料のシートが前記本体において緩和状態配置から伸張された状態において、前記シートが前記本体と共に埋め込まれた請求項13に記載の皮膚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、皮膚又はそれに類似の被覆が適用されるロボット用の又はロボット工学若しくは他の応用(例えば、ロボット工学は、人間又はキャラクターの顔面又は手等の動きを模倣するために使用される)に使用するための、又はウェットスーツ等に使用するための、耐久性があって現実に近い皮膚を生成することに関する。より詳しくは、本願は、少なくとも1つの補強又は補強材料の層若しくはシート(「補強層」)を有する皮膚又は人工皮膚システム、及び補強層を有する皮膚を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック及びゴム等の可撓性及び弾性の耐久性材料は、内部の物理的支持構造若しくは骨格に適用される被覆若しくは皮膚、又はサーフィン、スキューバダイビング、及び他の運動競技若しくは他の活動用のウェットスーツ等の着用するための被覆又は皮膚を生成するための多数の応用分野で使用されている。例えば、人工皮膚又は皮膚システムは、人間、動物、及びキャラクターの現実的モデルを製作するために使用され、ロボット工学と組み合わせると、そのような皮膚で覆われたモデルは、生物を正確に模倣することができる。
【0003】
ロボット工学とは、プログラム可能なアクチュエータを備えるロボットを設計及び使用して、人間を介在させずに作業課題を実施させることであり、人間、動物、及び他の生物又はキャラクターを模倣するロボットデバイス(又はロボット、このような用語は、同義的に使用される場合がある)に対する顕著な需要が存在する。娯楽産業では、映画及びテレビに特殊効果を提供し、遊園地又はテーマパークでの催し物及び展示に使用するためのロボットを提供するために、これらロボットキャラクターに大きく依存している。例えば、ロボット工学は、観客若しくは乗り物の存在又は別のきっかけに基づき、特定セットの運動又は動作(例えば、プログラムされた作業課題)を繰り返す、テーマパークの乗り物又は催し物でのキャラクターを提供するために使用することができる。
【0004】
ロボット工学への関心は、今後数年間拡大し続けるだろう。成長関心領域は、より現実的に見えるロボットを提供する方法である。多くのロボット工学企業は、ロボットが、模倣しようとする生き物らしくより自然に振る舞うことを可能にするような、ソフトウェア、処理ハードウェア、及び機械的アクチュエータ又は駆動装置を有するロボットの製作に注目している。移動が可能であり、人間のように構成された手のように振る舞う機械的装置で対象物を操作すること等により、人間のように振る舞うことさえ可能なロボットを製作するために多大な努力がなされている。ロボットがその口を開いたり閉じたりして音声出力に合わせて唇を動かすこと等(例えば、会話と共に)、及び眉をしかめる及び微笑む等の眼の動きを含む特定の顔のアニメーションを提供することにより、現実的な顔のアニメーションをロボットに提供することにも、著しい努力が向けられてきた。同様に、物体を操作することができ、頻繁に繰り返して動き、表面及び物体に接触する、現実的に機能する腕及び手を提供することに、多大の努力が費やされてきた。
【0005】
キャラクターの身体的な動き及び顔の動きを現実的に模倣することには、多くの進展が見られるが、ロボット工学装置(例えば、機械的/構造的部分並びにソフトウェア、ハードウェア、及び電源系等を含むロボットの内部部品)が皮膚又は皮膚システムで覆われている場合、現実的な若しくは所望の動き又は顔のアニメーションを維持することに関する問題が依然として生じており、ロボットの容姿又はキャラクターの現実味は、皮膚の動きにより助長される場合もあり、又は妨げられる場合もある。
【0006】
人間又は人間に似たキャラクターを模倣する場合、ロボット工学装置は、典型的には、その下層にあるロボット工学装置を用いて自然に動かせるように可撓性材料で作られた皮膚で覆われている。皮膚は、ロボットシステムの機械的アクチュエータ又は駆動装置に取り付けられているか又は係留されているゴム材料又はシリコーンで形成されていてもよく、皮膚は、ロボットにより模倣されているキャラクター又は生き物に類似した外側の外観を有するように構成される。例えば、顔面の皮膚は、それらが模倣しているキャラクター(又は個人)とそっくりになるように形成されているが、取り付けられているロボット工学装置が顔面をアニメーションし始めると、このそっくりさは失われる。皮膚は、典型的には、硬度及び可撓性等の1組の物理的特性を有する単一材料でできている。
【0007】
これらロボット用皮膚は、可撓性である必要があるが、皮膚が耐久性であることも好ましいとされる応用分野が多数存在する。皮膚製造業者にとって難しいのは、皮膚の現実的な動き及び特徴を破壊せずに、全体的な皮膚システムの少なくとも特定の位置がより頑丈であるか及び/又はより強い皮膚を提供する方法である。例えば、ロボット用皮膚の部分は、頭を頻繁に動かすように制御されているロボットの首等、伸張、ねじれ、及び他の動きの繰り返しによる著しい応力の下に置かれている場合がある。別の例では、ロボットが、その手で物体を操作することができ、その結果、そこの皮膚が、皮膚の他の部分より急速に摩耗する傾向を示す場合がある。ウェットスーツ等の他の皮膚システムでは、肘、膝、及び皮膚のより高い応力領域又は摩耗領域に、より強いか又はより丈夫な皮膚を提供することが有用であり得る。
【0008】
現在のところ、皮膚は、典型的には、皮膚の内部(又は外部)表面に織物補強材料のシートを備えることにより補強されている。このように、補強材料は、ロボット工学装置に隣接している。そのような補強された皮膚を製造するために一般的に行われていることは、まず伸張可能な補強織物のメッシュソックス又はスリーブを製造することである。例えば、補強織物は、スパンデックス(エラステイン)又は類似の弾性材料で形成されたメッシュシートであってもよい。その後、ソックス又はスリーブは、皮膚を形成するために使用される金型のコア又は部分に巻き付けられるか又は伸張される。これには、典型的には、それをコアに密接に嵌合させ、それがコアの表面としっかりと接触したままになるように、ソックス/スリーブを伸張させることを伴う。
【0009】
その後、皮膚材料(所望の硬度に硬化し、実物そっくりの可撓性、伸縮性、及び弾性を提供するゴム等)は、外側金型部品と、補強材料のソックス/スリーブで(少なくとも一部が)覆われている内部コアとの間に規定されるチャンバに注がれるか又はポンプで注入される。皮膚材料は、メッシュソックス/スリーブの穴を通ってコアに向かって流れ込む。皮膚が凝固した後、外側金型の全体又は部分を取り外して、補強された皮膚を露出させる。皮膚を取り出すと、補強材料は、皮膚の内側表面(又は幾つかの場合では外側表面)上にあるか、形成されているか、又は組み込まれている。したがって、既存の技術では、皮膚がロボットデバイスに適用されるか又は使用するために設置された場合、補強材料が接触面又は合わせ面を常に示すか又は提供している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者は、スパンデックス若しくは他の可撓性のメッシュ材料のシート又は層等の補強材料を、皮膚又は人工皮膚システムの表面から距離をおいてオフセットすることが望ましい応用が多数存在することを認識した。例えば、補強層を表面から1/16〜3/16インチ(以上)((1.6mm〜4.8mm)(以上))オフセットすることにより、耐久性がより高いロボット用皮膚を提供することができる。
【0011】
このように、補強材料は、皮膚材料(ゴム等)内に完全に囲み込まれている。したがって、補強材料は、四方が皮膚材料に包み込まれている。更に、補強材料は、ロボット要素と接触しておらず、ロボットに皮膚を取り付けるための接触表面及び合わせ面の向上(例えば、ゴムとは対照的なより滑らかな補強材料上の滑動の低減)を提供することができる。更に、補強材料を埋め込むことにより、単に「皮相的」な補強の場合のように、補強層が周囲の皮膚から浮き上がって離れる可能性が非常に少なくなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願は、表面からオフセットされているか又は皮膚厚内に埋め込まれる補強層が設けられた人工皮膚システムを製造するための方法(及びそのような方法により形成される皮膚)を提供する。補強層が皮膚表面(例えば、多くの場合は内側表面)から離れて配置されるオフセット距離又は深さは、皮膚の製造業者により選択可能である(例えば、幾つかの場合には、1/16〜3/16インチ以上(1.6mm〜4.8mm以上)が有用であり得る)。そのために、コア(又は補強が望ましい金型の他の部分)は、上向きに伸長して、メッシュ材料と接触するか又は実際に係合するかのいずれかであるプロング要素又は合わせ要素で終わる又は終了する複数のオフセット部又はスタンドオフ部を含むように構成される(例えば、合わせ要素は、補強シートの糸/繊維と単に接触しているか、又はシートの穴/隙間を通ってある距離を伸長しているかのいずれであってもよく、幾つかの場合には、シートを適所に保持/維持してもよい)。オフセット部/スタンドオフ部の形状及び設計は、補強材料のオフセット又は埋込み深さを各皮膚システム用に設定することを可能にする。というのは、本発明者は、そのような深さの範囲が、様々な人工皮膚システムの製造に有用であり得ることを認識しているためである。幾つかの場合、補強層の深さは、コアに使用されるオフセット/スタンドオフ部の高さ又は別の設計パラメータを変更することにより、単一の皮膚で変更することができる。
【0013】
より詳しくは、ロボット組立体等に使用するため等の人工皮膚を製造する方法が提供される。本方法は、外側金型及び内部コアを有する金型組立体を準備することを含む。外側金型の内側表面と内部コアの外側表面との間にキャビティが規定されており、それにより皮膚の形状及び厚さが規定される。実際は、キャビティに面する内部コアの表面は、内部コア表面から外向きある距離だけ伸長する複数のオフセット部又はスタンドオフ部を含む。
【0014】
本方法は、シートが、少なくともオフセットの部分と接合接触するように、補強材料のシートを表面に対して位置決めすることを更に含む(例えば、一部のオフセットは、シートをコアに対して適所に接触させるか又は保持することができる)。また、本方法は、皮膚システム用の材料を金型に注いで、外側金型と内部コアとの間のキャビティを埋めることを含む。その後、材料が硬化して皮膚システムが形成された後、本方法は、金型組立体を解体すること、及び皮膚の表面からオフセット距離をおいて皮膚内に埋め込まれた補強材料のシートを有する皮膚を取り出すことを含む。
【0015】
幾つかの場合では、補強材料は、弾性材料から形成されているか又は弾性材料で形成されているメッシュ織物を含む。例えば、弾性材料は、伸張させて、その後コアに対してそのオフセットだけ距離をおいて配置するためのスリーブ又はソックスとして設けられるスパンデックスであってもよい。本方法では、オフセット部は、補強材料のシートをオフセット距離に保持し、オフセット距離は、皮膚の表面から少なくとも約1/16インチ(1.6mm)であってもよい。オフセット部の形状は、様々であってもよく、幾つかの場合では、オフセット部の各々は、円錐状、円錐台状、又は半球状の形状を有する本体を有する。幾つかの応用では、本体の各々が、補強材料のシートの糸と結合するための少なくとも1つの保持部材を更に含むことが望ましい場合がある。例えば、保持部材は、オフセット部の本体の先端から距離をおいて設けられており、補強材料のシートの糸の1つ又は複数を受容するのに適したオフセット部の本体付近に伸長する凹部表面を構成する。幾つかの実施形態では、本方法は、金型組立体から皮膚システムを取り出すこと、及び皮膚システムをロボット組立体に適用することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】皮膚又は皮膚システムの形成に使用される金型組立体のコア又はコア区画を示す図であり、コアは、キャビティ(及びしたがって形成される皮膚)の規定を支援することになり、補強スタンドオフ又はオフセット部のパターンを有する表面を有する。
図2】金型組立体のコア表面等に(又は、幾つかの場合では、補強材料が、外側表面からオフセットされている場合、ケーシング/外側ハウジングに)使用することができる例示的な円錐形のスタンドオフ/オフセット部の側面図を示す図である。
図3】皮膚表面から距離をおいて補強シート又は補強材料の層を埋め込むかオフセットするためのオフセット/スタンドオフ部のパターンを有する本願のコア(又はケーシング)を用いて形成することができる、スタンドオフ/オフセット部の存在により窪みのある又は起伏のある表面を有する皮膚又は皮膚システムの部分的な断面図である。
図4図2と同様に、補強材料をオフセットするために円錐台状の形状が使用される(例えば、円錐状のスタンドオフ部ではなく(又は円錐状のスタンドオフ部に加えて)円錐台状の)別の例示的なスタンドオフ/オフセット構成を示す側面図である。
図5図1と同様に、埋め込まれた補強層又はシートを有する皮膚又は皮膚システムの生産に金型組立体で使用されるコア又はコア区画の別の実施形態を示す図であり、コアは、半球形状のスタンドオフ/オフセット部のパターンを有する。
図6】埋め込まれた補強層を有する皮膚の製造に使用中の金型組立体の部分的断面図を示す図であり、図6では、伸張された補強シートが、多数の円錐形オフセットに対して押し付けて適用されることが示されている。
図7】埋め込まれた補強層を有する皮膚の製造に使用中の金型組立体の部分的断面図を示す図であり、図7では、ケーシング/ハウジングを使用してキャビティの形状を規定した後の、及び硬化すると皮膚システムを形成するある容積の充填剤(液状ゴム又は類似材料)をポンプで金型に流し込んだ後の金型組立体が示されている。
図8】オフセット部又は埋込み補強層を有する皮膚を製造するプロセス又は方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の記載は、ロボットデバイス(例えば、ロボット頭部、ロボット系の手及び腕等)を覆うための、単位外側皮膚層等の皮膚システム又はより単純に皮膚、及びそのような皮膚又は皮膚システムを製造するための方法に関する。皮膚の外側表面から距離をおいてオフセットされている補強層(例えば、スパンデックス等の弾性材料のメッシュ又は多孔性シート)を提供する必要性があることが認識されていた。例えば、皮膚は、皮膚と接触し、皮膚を動かし、反復様式で作動するロボット工学装置を被覆するために使用することができ、補強材料がロボット工学装置の駆動要素と接触しないように埋め込まれ、より耐久性が高く、より軽量の皮膚を提供することは有用であり得る。
【0018】
そのような皮膚は、表面から上向きに伸長するオフセット/スタンドオフ部のパターンを有する1つ又は複数の外側表面を有するコア(又は幾つかの場合では、ハウジング/ケーシング)を使用することにより製造される。これらスタンドオフ/オフセット部は、典型的には、コアに対して伸張された補強材料のシートを受容し(例えば、スパンデックス等のソックス、グローブ、又はスリーブが、コアの全体又は部分に対して伸張されている)、補強材料で被覆されるコアは、金型組立体のケーシング/ハウジングに囲み込まれている。その後、コアの外側表面とケーシングの内側表面との間のキャビティに、ある容積の液状ゴム又は他の皮膚形成材料が充填され、その後それを加硫又は硬化させる。その後、金型組立体を開き、補強層が埋め込まれ又はオフセットされる皮膚を取り出して、ロボット工学デバイスに適用するか、又はそうでなければ使用するために(皮膚がウェットスーツ又は他の製品である場合等)配置することができる。
【0019】
図1には、実物そっくりの皮膚の形成に有用なゴム又は化合物等の、可撓性であり、圧縮可能であり、弾力性のある材料を注いで皮膚又は人工皮膚システムを形成する際の金型組立体(図1には示されていない)に使用されるコア又はコア部分100が示されている。考察されているように、そのような皮膚は、好ましくは、皮膚の内側表面又は裏側表面からある程度の距離にオフセットされている補強材料層を有するように形成することができる(例えば、補強材料層は、皮膚内に埋め込まれている)。
【0020】
このために、コア100は、外側表面114(例えば、ゴム等の液状皮膚形成材料を受容するためのキャビティの形状を規定する金型組立体に面する表面)を有する本体又は壁110を含む。外側表面又はコア表面114には、パターン又は複数120のオフセット又はスタンドオフ部124が設けられている。一般的に、オフセット/スタンドオフ部124は、表面114から上向きにある程度の距離(オフセット距離)だけ伸長するほぼ任意の形状の本体である。
【0021】
オフセット/スタンドオフ部124は、コア100に液体を注ぐ前にコア100を金型組立体内に組み立てる際、補強材料のシート又は層を受容及び補強材料のシート又は層と接触する役目を果たす。示されているように、スタンドオフ部124は、形状が錐体又は円錐形であり、比較的高密度で設けられており、高密度が典型的には許容されるのは、皮膚液体が、ポンプで圧力をかけてキャビティに注入され、そのため小さな隙間にさえも容易に流れ込み、キャビティの空間全体を満たすためである(補強シートの孔又は穴を通って流れ込むことを含む。コア100のスタンドオフ124に適用されるため示されていない)。パターン120は、両方向に並行であってもよく、又は、示されているように互い違いであってもよいスタンドオフ部124の並列の列128、129を含むように示されている。
【0022】
図2には、コア100のスタンドオフ部124の1つ又は複数として使用することができる例示的なスタンドオフ224が示されている。示されているように、スタンドオフ部224は、円錐形の形状である本体226を有しており、それは、他の幾つかの形状よりも皮膚前面の「プリントスルー」が少ないため錐体を使用することが有用であり得るためである(例えば、皮膚を伸張しても、スタンドオフにより皮膚の裏側/内側表面に生成される窪み又は「穴」が、前面から見える可能性が少ない)。円錐形本体226は、約3〜20度等の範囲であってもよい角度θ等で底部230から先端232に上向きに伸長する。スタンドオフ部224は、補強材料の最大オフセット深さを規定する高さHoffsetを有しており、それは、補強材料が、使用の際に複数のスタンドオフ部224を有するコアに対して伸張され、先端232と少なくとも隣接するか又は接触を強いられるためである(例えば、金型組立体キャビティの先端232のスタンドオフ部224と接合接触する際に)。典型的には、1/16〜3/16インチ(1.6mm〜4.8mm)の範囲のスタンドオフ部の高さHoffsetを使用する幾つかの実施では、高さHoffsetは、少なくとも1/16インチ(1.6mm)であろう。
【0023】
しかしながら、より典型的には、補強材料は、スパンデックス又は他の弾性材料(例えば、4方向に伸張可能な織物等)のシート等、比較的多孔性である。したがって、材料が伸張されると、その穴/隙間は先端232の直径より大きくなり、補強材料は、円錐形スタンドオフ部224の本体226の上の先端/端部232上をある程度の距離だけ滑動する。その結果、実際のスタンドオフ又はオフセット距離は、多くの場合高さHoffsetよりも幾らか少なくなり、そのような係合は、角度θを選択することにより及び/又は補強材料の織り又は多孔性を選択することにより制限又は制御することができる。
【0024】
更に、補強材料をスタンドオフ部224に保持するか、又はスタンドオフ部224と補強材料/シートとの物理的係合を引き起こすことが望ましい幾つかの応用が存在する。例えば、金型組立体を組み立てる作業者にとって、補強材料がスタンドオフ224に係合した感触を得るか又は聞くことさえできることは有用であり得る(例えば、スパンデックスのシートをスタンドオフ等にポンと又はパチッと嵌める)。
【0025】
図2のスタンドオフ部224は、先端232から所定の距離にあるリング状凹部の形態の一連の保持要素240、241、242、243を含む。各々は、前方のより遠位の保持要素よりも大きな直径(リング/リテーナ240、241及び直径DIAM<DIAMをともに示す)を有する。(直径は、コア表面に近づくほど増加し、それぞれが異なるオフセット距離(HRetA>HRetBと示されている)を規定している)。使用に際して、スパンデックス、又は多孔性の織り(又は穴/開口部)を有する他の弾性材料の伸張シートは、複数のスタンドオフ224を含むか又は有するコアの部分を覆うように配置される。先端232は、補強材料のシートにある穴を通って伸長することになる。穴のサイズ及び他の要因(シートをスタンドオフに押し付ける力の強さ等)に応じて、補強シートは、リテーナリング/保持要素240〜243のうちの1つにパチッと嵌るか又は係合することになり、これによりコアのその位置でのオフセット深さが設定されることになる(例えば、HRetA、HRetB、又はより小さなオフセット距離)。
【0026】
図3には、図2に示されている円錐形状のスタンドオフ部124を有するコア100を使用して形成することができる皮膚又は皮膚システム300が示されている。示されているように、皮膚300は、第1の表面310(典型的には、皮膚300がロボットデバイスに適用される際の、人間により着用される際等の、外側又は外部に面する表面)を有する。皮膚300は、典型的には均質な厚さのゴム又は他の皮膚材料で製作されている第1の又は外側部分312を有する。皮膚300は、第2の又は内側表面316に示されている蜂巣状パターンを含む第2の又は内側部分313を有しており、これは、コアのスタンドオフ部(図3に示されている錐体等)により形成されることになる。なお、スタンドオフ/オフセット部には十分な高さがあり、そのため表面316の穴は、層/部分313及び312の両方を通って伸長し、そのため皮膚は多孔性である(例えば、表面310の穴は、表面316と同じか、又はより典型的には、より小さなサイズである)。これは、例えば、洋服、ウエットスーツ又は他のスーツ等の人間が着用することができるもの等、通気性の皮膚300を提供するのに有用であり得る。
【0027】
また、これら2つの層/部分312、313が異なる材料で形成されること及び/又は2つの異なる硬度(又は他の物理的/化学的特性)を有することが所望の場合等は、複数回の注入を行うことにより、層又は部分312、313を設けることができる。例えば、層/部分313をまず注いで、補強織物/シート320と結合又は保持させることができる。層又は部分は、より硬いか、又はそうでなければより耐久性のある材料で形成されていてもよい(例えば、ショアAスケール等で10以上のデュロメータ測定値)。その後、皮膚300を元の金型から取り出し、異なる材料及び外側ケーシングを使用して第2の注入を行って、層/部分312を形成する。このように、層又は部分3l2は、より硬くともよく又はより柔らかくてもよく(例えば、ショア00スケールでのデュロメータ測定値又は他の測定値/範囲が、層/部分312よりも低い)、幾つかのロボット工学の応用例では、より柔らかい外側層は、より実物に近い外側皮膚層及びより耐久性のある内側/接触層を提供するために有用である。
【0028】
表面316では、スタンドオフにより提供される各穴又は凹部は、直径DiamHoleを有し、距離dSpacingだけ離間されており、皮膚300を形成するために使用されるコアのスタンドオフ部の構成及び配置により規定される。これらの寸法又は皮膚パラメータは、本発明を実施するために変更してもよく、より大きな直径の穴/凹部を用いて、重量がより軽く、屈曲がより容易であるが、それほど耐久性のない可能性が高い皮膚を製作してもよく、穴/凹部のサイズ及び深さ並びに皮膚300の所望の特性にも応じて、典型的には1ミリメートル未満から数ミリメートルの距離だけ離れた穴/凹部を有する皮膚を製作してもよい。
【0029】
重要なことには、皮膚300は、補強材料(スパンデックス等の可撓性材料のメッシュパッチ又はスリーブ等)のシート又は層320を更に含む。補強シート320は、皮膚300の外側及び内側部分312、313の間に挟まれている。皮膚300は、2〜10ミリメートル等(0.1〜0.5インチ等)の厚さtSkinを有し、皮膚300のシート320の深さdOffsetは、コアにあるスタンドオフ部の設計により制御又は設定される(図3には示されていないが、図1及び2に示されている形態であってもよい)。多くの場合、深さdOffsetは、l/l6〜3/16インチ(1.6mm〜4.8mm)の範囲であろう。
【0030】
幾つかの実施形態では、コアにあるスタンドオフ/オフセットの高さを変えること等により、複数の深さdOffsetが設けられる。このように、シート320を、複数の深さdOffsetで皮膚300内に配置して、深さが異なる皮膚補強を設けることができる。例えば、皮膚300の幾つかの部分では表面316により近いが(例えば、1/16インチか又はその付近)、他の部分ではより離れた位置(例えば、3/16インチか又はその付近)に補強320を有することは、皮膚300の一部の皮膚に所望の動き又は動作を提供するために及び/又は皮膚300の特に摩耗性の高い区域の耐久性を増加させるために有用である。
【0031】
繰り返しになるが、皮膚300の独特な態様は、シート320の深さdOffsetが、皮膚製造者により選択可能であり、その後スタンドオフを有するコアにスリーブ又はシート320を取り付けることにより、皮膚製造/注入中に正確に制御することができるということである。シート320のメッシュ材料(スパンデックス等)及びスタンドオフを組み合わせて使用することにより、ゴム又は他の皮膚材料が、シート320及びスタンドオフの開口部に及びその中に流れ込み、その結果、補強材料のシート320が、皮膚300に統合的に形成されて(部分312、313の両方に接合する)、その結果、使用(シート320を有する皮膚300の反復屈曲)中に浮き上がる可能性が少なく、皮膚300の耐久性及び強度が増加される。
【0032】
理解されるように、コア上のスタンドオフ部は、適用された補強材料のシート又はスリーブと接触する機能、及びコア(その表面は、皮膚の表面(例えば、外側表面)を規定する)の表面から比較的一定の又は均一な距離に材料を保持又は維持する機能を提供する。そのために、スタンドオフは、様々な形状及びサイズを含む様々な形態をとっていてもよく、特定の補強材料に適するように又は皮膚の表面に所望の穴サイズ/形状を得るように選択することができる(皮膚の内側表面は、ロボット工学装置又は他の駆動装置と隣接/接触することになる)。
【0033】
例えば、図4には、コア表面に設けられていてもよい別の例示的なスタンドオフ又はオフセット部424が示されている。示されているように、スタンドオフ部424は、傾斜角度θ(3〜30度等)により規定される、形状が円錐台状の本体426を有する。本体426は、例えば、先端432及び本体430の直径、及び補強シート/スリーブのメッシュ開口部(該当する場合)のサイズに応じて、先端432で、又は先端432と底部430(コア表面付近)との間の本体426に沿って幾つかの位置で、受容された補強シート/スリーブと接触してもよい。本体430は、オフセット部424のパターンを有するコアで形成された皮膚の補強材料のオフセット距離を規定するように選択された(シートがスタンドオフ/オフセット424と接触する可能性が高い場所に基づいて)高さHOffsetを有する。
【0034】
様々な有用なコア及びスタンドオフ構成の別の例として、図5には、コア500を用いて形成される皮膚の表面のテクスチャー及び形状を規定する(例えば、ロボットデバイス等で使用される皮膚の内側表面を規定する)ために使用される外側表面514を有する本体510を有するコア(又はコア区画)500が示されている。コア表面514には、パターン又は複数520のスタンドオフ又はオフセット部524が設けられている。円錐形又は円錐台状の本体の代わりに、スタンドオフ部524は、形状が半球状であり、コア500を用いて形成される皮膚の凹部/穴のパターンは、ゴルフボールに見出されるものに類似するだろう。スタンドオフ部524のパターンは、規則的であってもよく(並列の列又はオフセット)、又は図5に示されるようにオフセット部524がほぼ無作為に配置されているように不規則であってもよい。
【0035】
スタンドオフ部524を規定するために使用される球の半径は、コア500を実施するために変更することができ、コア500及びその表面514に適用される補強材料のシート又はスリーブのオフセット距離を規定するために使用される。繰り返しになるが、スタンドオフ部のサイズ、及びメッシュ補強シートの織り/開口部のサイズ及び配置は、シートがスタンドオフ524の先端に受容されるか否か、及び/又は補強シート/スリーブを規定する糸/線材がスタンドオフ部の本体周囲に伸長するか否か(後に形成される皮膚の補強のオフセット距離を規定するスタンドオフの底部と先端との接触)を決定することになる。
【0036】
図6及び7には、コアを使用して成型される皮膚内に補強を選択的に設けるための、オフセット/スタンドオフ部のパターンを有するコアの使用が示されている。図6には、皮膚又は皮膚システムを形成するための初期ステップにおける金型又は金型組立体600が示されている。示されているように、組立体600は、本体612及び外側表面(キャビティに面する表面)614を有するコア610を含む。表面614には、複数の又はパターンのオフセット又はスタンドオフ部616が設けられており、この例では、各スタンドオフ部616は、円錐形の形状を有し、コア表面614からある距離/高さだけ外側に向かって伸長している。
【0037】
金型組立体600の使用では、4方向伸張メッシュ織物のシート又はスリーブ等の補強620が伸張されており(張力矢印Fで示されているように)、スタンドオフ部616と接触するように押圧又は押し付けられている(矢印625で示されているように)。伸張Fは、メッシュ補強620の開口部/穴を拡大させるために使用されてもよく、及び/又はまずシート620の織物を伸張させ、その後シート/スリーブ620の材料の弾性特性を解放して、コア610にスタンドオフ部616と接してそれが保持されるように使用されてもよい。例えば、コア610は、ロボットデバイスの腕又は手に装着するための皮膚を形成するために使用されてもよく、補強620は、「緩和状態」では小さすぎてコアに嵌合しないが、力F(これはメッシュ開口部を拡大させる)により伸張されると嵌合するスリーブ又はグローブの形状で提供されていてもよい。
【0038】
図7には、補強620がスタンドオフ部616に設けられており、スタンドオフ部616の先端が、メッシュ補強620を通って所定の距離だけ伸長した金型組立体700が示されている。ケーシング又は外側ハウジング760は、コア610と隣接又は囲い込むように配置されている。ケーシング760は、コア610に面する内側表面768を有する本体766を有し、スタンドオフ部616及びケーシング表面768を有するコア表面614は、皮膚780を形成するために使用される所定の容積の液体(液状ゴム等)の注入を受容するための金型組立体700のキャビティ770を規定する。補強720は、キャビティ770にオフセット距離dOffsetで、オフセット616による皮膚780の全体的な厚さtSkin内に保持される。
【0039】
皮膚780は、ケーシング表面768により規定される第1の表面(例えば、外側表面)782、並びにコア表面614及びオフセット部616により規定される第2の表面(例えば、内側表面)784を有する(例えば、オフセット部616に対応する凹部/穴でテクスチャーが作られている)。更に、硬化させた後、皮膚780は、金型700から取り出すことができ、オフセット部616により規定されるオフセット距離dOffsetに埋め込まれた補強620を有することになる。その結果、補強620は使用中に皮膚780から浮き上がる可能性がより低いため、皮膚780はより耐久性があり、皮膚780は、補強材料の露出が望ましくない応用においてより有用であり得る(例えば、皮膚780のゴム又は他の材料は、表面784に接触表面を提供し、テクスチャーを作ることにより提供される粗さも、向上した接触表面の提供を支援することができる)。また更に、皮膚780は、オフセット部616により形成される凹部/穴により衝撃吸収機能を提供し、穴/凹部の位置でより容易に圧縮/伸張させることができる(例えば、静止摩擦力及び圧縮/伸張する材料がより少ないため)。
【0040】
図8には、本発明の実施形態による皮膚又は皮膚システムを製造する方法800が示されている。示されているように、方法800は、ロボット組立体の全体又は部分を覆うための皮膚等の皮膚を成型するために使用され、又はダイビング/ウエットスーツ若しくは他の運動競技応用等の他の使用のための金型組立体を設計すること等のステップ805から始まる。ステップ810では、ステップ805で設計/選択された、皮膚の形成に使用するための金型コアが準備される。金型コアは、その外側表面(キャビティに面する表面)に少なくとも1つのパターン又は複数/セットのスタンドオフ部を含む。幾つかの実施形態では、金型の複数の領域又は部分は、1セットのスタンドオフ部を有することになり、異なるセットのスタンドオフ部は、同様に設計/構成されたスタンドオフ部を有していてもよく(同じ形状、同じ高さ、同じ間隔及びサイズ等)、又はスタンドオフ設計が異なっていてもよい。更に、スタンドオフ部は、単一のスタンドオフパターン/セット内で、形状、サイズ、又は他のパラメータを変更して、幾つかの場合では、単一のシートに異なるオフセット距離又は皮膚の他の所望の効果を達成することができる。
【0041】
ステップ820では、方法800を継続して、補強材料のシート、ソックス、又はスリーブ等を準備し、その後、補強材料を伸張し、コア及びそこに含まれているスタンドオフ部に対して位置決めする。ステップ830では、取り付けた補強シート/層を有するコアは、ケーシング又は外側ハウジングに囲い込まれており、その結果、皮膚形成キャビティが、スタンドオフ部を有するコア表面とケーシングの内側表面との間に規定される。補強シート/層は、コア表面からオフセット距離(深さ)をおいてキャビティ内に配置される。
【0042】
ステップ840では、方法800を継続し、液体形態のゴム等の皮膚材料でキャビティを満たす(組み立てられた金型への注入を実施する)。皮膚材料を所定の圧力でキャビティにポンプで流し込み、その結果、皮膚材料は、容易に流れて込んでキャビティを満たし、それには、コア表面のオフセット/スタンドオフ間を、補強シート、スリーブ、又はソックス等のメッシュ又は織物の開口部/隙間を通って流し込むことが含まれる。ステップ850では、方法800は、注がれた又はポンプで注入された材料が適度に硬化して、金型から取り出すことが可能になる所定の時間(硬化時間)が過ぎたか否かを判断することを含む。そうでなければ、金型をその組立て配置のまま保持し、皮膚の硬化が完了するまでステップ850を繰り返す。
【0043】
ステップ860では、方法800を継続し、金型組立体を解体し、皮膚を取り出す。皮膚が、皮膚内に埋め込まれており、単に露出表面にあるのではない補強シート/層(又は複数のシート/層)を含んでいる点で、この皮膚は従来の皮膚とは異なる。その代わりに、補強材料(メッシュスパンデックス等)は、オフセット部により確立されるオフセット距離で皮膚材料に結合されており、皮膚は、オフセット/スタンドオフ部を有する1つ又は複数の表面を含むコアから引き剥がされる。方法800を継続し、追加の皮膚を形成してもよく、又はステップ890で終了してもよい。なお、方法800の幾つかの実施形態では、皮膚は、1回の注入では形成されない。そのような場合、異なるケーシングを使用し、ステップ810から始めて方法800を繰り返し、別の外側層を、補強シートを有する注がれた/形成された元の皮膚に対して適用してもよい。2〜4回以上の注入を実施して、典型的には、皮膚の各層が異なる特徴(例えば、異なる硬度等)を有する多層皮膚を提供することができる。
【0044】
ステップ890の後、方法800により製造された皮膚を、皮膚を動かす駆動装置に接触する等、摩耗の激しい区域(例えば、使用中に繰り返して動くロボットの頭又は手の部分)に補強材料/シートが戦略的に設けられている、より耐久性の高い皮膚の部分をロボットデバイスに被せること等の応用に使用することができる。
【0045】
本発明は、ある程度具体的に記載及び説明されているが、本開示は例として示されているに過ぎず、当業者であれば、以下に特許請求されている本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、部品の組み合わせ及び配置には多くの変更をなす余地があり得ることが理解される。本明細書で教示されている方法は、より長持ちし、より軽量でもあるロボットを覆う/囲み込むのに使用すること等ができる可撓性皮膚を製造又は提供する。
【0046】
そのために、本方法は、所定の一連の又はパターンの突起形状(オフセット又はスタンドオフ部)をコアの外側表面に提供することを含む。これにより、皮膚製造業者は、補強する区域、及び皮膚の厚さ内に補強層を配置する所望の深さ(皮膚の本体/シートにおいて、メッシュ/多孔性補強のオフセット距離をどの程度にするか)を選択することができる。補強の深さを選択可能にすることに加えて、皮膚表面に、オフセット/スタンドオフ部によりテクスチャーを作ることができ、それにより皮膚が全体的に軽くなり、また、ロボット駆動装置が皮膚を曲げるか又は捻らなければならない場所等の補強区域/位置(例えば、首の後ろ、肘、又は他の関節等)で皮膚がより可撓性になる。これにより、非テクスチャーの又は中実の皮膚と比較して、より少ない力をかけて同じ量の皮膚の動きをもたらすことが可能になり、この利点は、接触表面積がより少なく、したがって機械とロボット用皮膚との間のスティクションがより少ないためにもたらされる可能性がある。本明細書に記載の方法は、補強材料/層が皮膚内に存在する深さを皮膚製造業者が容易に選択することを可能にする最初のプロセスの1つであり、補強材料は、皮膚の表面(多くの場合、内側表面)の裏側上には存在しないか又は露出しないように、少なくともあるオフセット量(例えば、少なくとも1/16インチ(1.6mm)等)があることが望ましい。
【0047】
本発明は以下の態様で実施することも可能である。
(1) 可撓性及び耐久性の人工皮膚を製造する方法であって、
金型にコアを設け、前記コアの表面が、前記コア表面から外側に伸長するスタンドオフ部のパターンを含むこと、
一片の補強材料を前記スタンドオフ部と接触するように前記表面に位置決めすること、
人工皮膚用の材料を前記コア及び前記一片の補強材料に注ぐこと、及び
前記補強材料が硬化した後、前記人工皮膚の表面からオフセット距離をおいて前記人工皮膚内に埋め込まれた前記一片の補強材料を有する前記人工皮膚を取り出すことを含む方法。
【0048】
(2)上記第(1)項において、
前記補強材料が、弾性材料のメッシュ織物を含み、前記位置決めが、前記一片の補強材料を伸張させて、前記メッシュ織物を第1の配置から、前記第1の配置よりも少なくとも1つの寸法がより大きい第2の配置へと伸長させることを含む、方法。
【0049】
(3)上記第(1)項において、
前記補強材料が、弾性材料がスパンデックスを含み、前記スタンドオフ部が、前記補強材料のシートを前記オフセット距離に保持し、前記オフセット距離が、前記人工皮膚の前記表面から少なくとも1/16インチ(1.6mm)である、方法。
【0050】
(4)上記第(1)項において、
前記スタンドオフ部の各々が、円錐状、円錐台状、又は半球状の形状を有する本体を有する、方法。
【0051】
(5)上記第(4)項において、
前記本体の各々が、前記補強材料のシートの糸と結合するための少なくとも1つの保持部材を更に含む、方法。
【0052】
(6)上記第(5)項において、
前記保持部材が、前記スタンドオフ部の前記本体の先端から距離をおいて設けられており、前記一片の前記補強材料の前記糸の1つ又は複数を受容するのに適した前記スタンドオフ部の前記本体付近に伸長する凹表面を含む、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8