特許第5714646号(P5714646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714646
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】多結晶シリコン
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/02 20060101AFI20150416BHJP
【FI】
   C01B33/02 E
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-106344(P2013-106344)
(22)【出願日】2013年5月20日
(65)【公開番号】特開2013-241330(P2013-241330A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2013年5月22日
(31)【優先権主張番号】10 2012 208 473.8
(32)【優先日】2012年5月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100155631
【弁理士】
【氏名又は名称】榎 保孝
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(72)【発明者】
【氏名】マティアス、フィーツ
(72)【発明者】
【氏名】ライナー、ペヒ
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−528955(JP,A)
【文献】 特開2009−184922(JP,A)
【文献】 特開2012−046412(JP,A)
【文献】 特開2003−237722(JP,A)
【文献】 特開2010−189274(JP,A)
【文献】 特表2008−503423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 − 33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも5kgの質量を含み、プラスチックバッグに包装された塊の形態にあり、サイズ20〜200mmの塊を包含する多結晶シリコンであって、前記プラスチックバッグ中の微粉画分が、900ppmw未満であり、前記微粉が、正方形メッシュサイズ8mm×8mmを有するメッシュススクリーンにより除去されるようなサイズのシリコン塊又は粒子である、多結晶シリコン。
【請求項2】
サイズ45〜200mmの塊を包含し、前記プラスチックバッグ中の前記微粉画分が、600ppmw未満である、請求項1に記載の多結晶シリコン。
【請求項3】
サイズ90〜200mmの塊を包含し、前記プラスチックバッグ中の前記微粉画分が、500ppmw未満である、請求項1又は2に記載の多結晶シリコン。
【請求項4】
少なくとも5kgの質量を含み、プラスチックバッグに包装された塊の形態にあり、サイズ10〜40mmの塊の少なくとも90質量%を包含する多結晶シリコンであって、サイズ8.3mm未満の粒子が、前記プラスチックバッグ中に10000ppmw未満で存在する、多結晶シリコン。
【請求項5】
少なくとも5kgの質量を含み、プラスチックバッグに包装された塊の形態にあり、サイズ4〜15mmの塊の少なくとも90質量%を包含する多結晶シリコンであって、サイズ3.5mm未満の粒子が、前記プラスチックバッグ中に10000ppmw未満で存在する、多結晶シリコン。
【請求項6】
少なくとも5kgの質量を含み、プラスチックバッグに包装された塊の形態にあり、サイズ1〜5mmの塊の少なくとも90質量%を包含する多結晶シリコンであって、サイズ1mm未満の粒子が、前記プラスチックバッグ中に10000ppmw未満で存在する、多結晶シリコン。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の多結晶シリコンの製造方法であって、
下記の工程:a)CVDにより堆積させた多結晶シリコンロッドを塊に粉砕する工程、b)多結晶シリコン塊をサイズ区分20から200mm以下、45から200mm以下、90から200mm以下、10〜40mm、4〜15mm、又は1〜5mmに分別し、分類する工程、c)多結晶シリコン塊を計量ユニットで計量する工程、d)包装ユニットにより少なくとも5kgの質量に計量した多結晶シリコン塊を、少なくとも一つのプラスチックバッグ中に充填することにより包装する工程、を含んでなり、
前記計量ユニット及び前記包装ユニットが、計量の際及び包装の際に、微粉又は、サイズ8.3mm未満の粒子、又はサイズ3.5mm未満の粒子、又はサイズ1mm未満の粒子を除去できる素子を含んでなり、前記包装ユニットが、前記シリコン塊を前記プラスチックバッグの中にスライドさせる、又は滑り込ませることができるエネルギー吸収部又は貯蔵容器を含んでなり、及び前記プラスチックバッグが充填された後、プラスチックバッグの内部で発生したガス流が、微粉又は、サイズ1mm未満の粉塵又は粒子、又はサイズ3.5mm未満の粉塵又は粒子、又はサイズ8.3mm未満の粉塵又は粒子を前記バッグの外に搬送し、次いでこれらを吸引装置で吸引し、前記包装バッグの充填後、以下の微粉又は粒子、すなわちサイズ区分20〜200mm:微粉画分900ppmw未満;サイズ区分45〜200mm:微粉画分600ppmw未満;サイズ区分90〜200mm:微粉画分500ppmw未満;サイズ区分10〜40mm:サイズ8.3mm未満の粒子が10000ppmw未満;サイズ区分4〜15mm:サイズ3.5mm未満の粒子が10000ppmw未満;サイズ区分1〜5mm:サイズ1mm未満の粒子が10000ppmw未満、包装バッグの中に存在するようにする、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコンに関する。
【背景技術】
【0002】
多結晶シリコン(以下、ポリシリコンと言う)は、とりわけ、電子部品及びソーラーセル製造用の出発材料として使用される。
【0003】
多結晶シリコンは、シリコン含有ガス又はシリコン含有ガス混合物の熱分解により得られる。この操作は、蒸気相からの堆積(CVD、化学蒸着)と呼ばれる。
【0004】
この製法は、シーメンス反応器中で大規模に実行されている。ポリシリコンは、ここではロッドの形態で得られる。ポリシリコンロッドは、一般的に、手作業により粉砕される。
【0005】
手作業で予め粉砕した粗いポリシリコン塊を、通常のクラッシャーを使用してさらに粉砕する、公知の機械的製法が数多く存在している。機械的粉砕方法は、例えば、米国特許第8021483B2号に開示されている。
【0006】
米国特許第8074905号は、粗いポリシリコン塊をクラッシャーユニットに供給するデバイスと、クラッシャーユニットと、ポリシリコン塊を分類するための分別ユニットとを含んでなる装置であって、クラッシャーユニットが、クラッシャーユニット中の少なくとも一つの粉砕パラメーター及び/又は分別ユニット中の少なくとも一つの分別パラメーターを可変調節できるコントロールシステムを備えている装置を開示している。
【0007】
半導体及びソーラー工業への用途には、汚染物が最少であるポリシリコン塊が望ましい。これを達成するために、様々な浄化方法も使用されている。
【0008】
米国特許出願公開第2010/0001106A1号は、シーメンス方法から得たポリシリコンを、粉砕工具を含んでなる装置により断片に粉砕すること、及び断片をスクリーニング装置により分類すること、及びこうして得たポリシリコン断片を洗浄浴中で浄化することを含んでなる、高純度分類ポリシリコン断片の製造方法であって、粉砕工具及びスクリーニング装置が、ポリシリコンと接触し、かつ外来の粒子でのみポリシリコン断片を汚染する表面を有し、外来粒子は、続いて洗浄浴により選択的に除去される、製造方法を記載している。
【0009】
塊に付着するシリコン粉塵も、結晶引上げ収率を低下させるので、汚染物とみなされる。
【0010】
米国特許出願公開第2012/0052297A1号は、多結晶シリコンの製造方法であって、シーメンス反応器の細いロッド上に堆積した多結晶シリコンを塊に粉砕すること、塊を約0.5mm〜45mm強のサイズ区分に分類すること、及び圧縮空気又はドライアイスにより塊を処理して、シリコン粉塵を塊から除去すること、ただし化学的湿式洗浄操作は使用しない、製造方法を開示している。
【0011】
しかし、多結晶シリコンは、粉砕工程及び所望により行う洗浄又は粉塵除去操作の後、顧客に輸送する前に、包装しなければならない。
【0012】
従って、包装の際に、確実に汚染を最少に抑えなければならない。
【0013】
典型的には、エレクトロニクス工業向けのポリシリコン塊は、質量公差+/−最大50gの5kgバッグに包装する。ソーラー工業向けには、質量公差+/−最大100gの10kgバッグに入れたポリシリコン塊が標準的である。
【0014】
シリコン塊を包装するのに原理的に適した管状バッグ機械が市販されている。対応する包装機械は、例えば、独国特許出願公開第3640520A1号に記載されている。
【0015】
しかし、ポリシリコン塊は、縁部が鋭く、自由に流れないバルク材料であり、個々のシリコン塊の質量が2500gまでである。従って、包装の際に材料が、袋詰めに標準的なプラスチックバッグを確実に貫通しない、又は最悪の場合、完全に破らないようにしなければならない。
【0016】
これを防止するために、市販の包装機械は、ポリシリコン包装目的に好適な様式で改良しなければならない。
【0017】
米国特許第7013620B2号は、高純度ポリシリコン断片の全自動輸送、秤量、分配、充填、及び包装用のコスト的に有利な装置であって、ポリシリコン断片用のコンベヤーチャネルと、ホッパーに接続したポリシリコン断片用の秤量装置と、シリコン製の偏向板と、静電荷を、従って粒子によるプラスチックフィルムの汚染を防止する脱イオン器を含んでなる、高純度プラスチックフィルムからプラスチックバッグを形成する第一充填装置と、ポリシリコン断片を満たしたプラスチックバッグ用の溶接装置と、コンベヤーチャネル、秤量装置、充填装置、及び溶接装置の上に取り付けてあり、かつ粒子によるポリシリコン断片の汚染を防止するフローボックスと、ポリシリコン塊で満たした、溶接したプラスチックバッグ用の磁気的に誘導する検出器を備えたコンベヤーベルトと、を含んでなり、ポリシリコン断片と接触するすべての部品は、シリコンで被覆又は高耐摩耗性プラスチックで被覆されている、装置を開示している。
【0018】
そのような装置では、充填装置でシリコン塊のジャミングがよく起こることがわかっている。これは、機械の完全停止時間の増加につながるので、不利である。プラスチックバッグの貫通例も起こり、これも同様にプラントの完全停止及びシリコンの汚染につながる。
【0019】
特定サイズ区分の塊、例えば塊サイズ20〜60mm、を包装する際に、好ましくない小さなシリコン粒子又は塊が生じることも分かっている。そのような塊サイズに対するそのような好ましくない粒子の比率は、17000〜23000ppmwである。
【0020】
以下に、正方形メッシュサイズ8mm×8mmを有するメッシュススクリーンにより除去されるようなサイズのシリコン塊又は粒子は、すべて微粉と呼ぶ。微粉画分は、顧客の操作に悪影響を及ぼすので、顧客にとっては好ましくない。微粉画分が顧客により、例えばスクリーニングにより除去されても、これはコスト増加及び不便を意味する。
【0021】
米国特許第7013620B2号による多結晶シリコンの自動包装と同様に、プラスチックバッグへの多結晶シリコンの手作業による包装も選択肢の一つである。手作業包装は、微粉画分を明らかに低減させることができ、上記の20〜60mm塊サイズに対して17000ppmw〜1400ppmwである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかし、手作業包装は非常に不便であり、人件費の増加につながる。従って、手作業による包装は、経済的な理由から選択肢にはならない。その上、微粉画分を、手作業包装により達成される微粉画分よりもさらに下げることが望まれている。
【0023】
従って、本発明の目的は、多結晶シリコンを自動的に包装すること、及び形成される微粉画分を著しく低レベルに抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の目的は、少なくとも5kgの質量を含み、プラスチックバッグに包装された塊の形態にあり、サイズ20〜200mmの塊を包含する多結晶シリコンであって、プラスチックバッグ中の多結晶シリコンの微粉画分が、900ppmw未満、好ましくは300ppmw未満、より好ましくは10ppmw未満である、多結晶シリコンにより達成される。
【0025】
多結晶シリコンは、好ましくはサイズ45〜200mmの塊を含んでなり、プラスチックバッグ中の多結晶シリコンの微粉画分が、600ppmw未満、好ましくは10ppmw未満である。
【0026】
多結晶シリコンは、好ましくはサイズ90〜200mmの塊を含んでなり、プラスチックバッグ中の多結晶シリコンの微粉画分が、500ppmw未満、好ましくは10ppmw未満である。
【0027】
多結晶シリコンの微粉画分は、本発明の状況下では、プラスチックバッグ中に存在する塊から、メッシュサイズ8mm×8mm(正方形メッシュ)を有するメッシュススクリーンにより選別される粒子である。微粉画分は、質量測定手段により定量される。
【0028】
少なくとも5kgの質量を含み、プラスチックバッグ中に包装された塊の形態にあり、塊の少なくとも90質量%がサイズ10〜40mmを包含する多結晶シリコンでは、サイズが8.3mm未満、好ましくは9.5mm未満の多結晶シリコン粒子が、プラスチックバッグ中に10000ppmw未満の程度に存在する。
【0029】
少なくとも5kgの質量を含み、プラスチックバッグ中に包装された塊の形態にあり、塊の少なくとも90質量%がサイズ4〜15mmを包含する多結晶シリコンでは、サイズが3.5mm、好ましくは3.9mm未満の多結晶シリコン粒子が、プラスチックバッグ中に10000ppmw未満の程度に存在する。
【0030】
少なくとも5kgの質量を含み、プラスチックバッグ中に包装された塊の形態にあり、塊の少なくとも90質量%がサイズ1〜5mmを包含する多結晶シリコンでは、サイズが1mmの多結晶シリコン粒子が、プラスチックバッグ中に10000ppmw未満の程度に存在する。
【0031】
塊サイズ<=CS2の微粉画分の測定は、市販の粒子サイズ測定機器、例えば、Retsch製のCamsizer(登録商標)、により行う。微粉画分に使用する尺度は、1質量%変位値(=10000ppmw)である。
【0032】
本発明の目的は、多結晶シリコンの製造方法であって、下記の工程:a)CVDにより堆積した多結晶シリコンロッドを塊に粉砕する工程、b)多結晶シリコン塊をサイズ区分20から200mm以下、45から200mm以下、90から200mm以下、10〜40mm、4〜15mm、又は1〜5mmに分別し、分類する工程、c)多結晶シリコン塊を計量ユニットで計量する工程、d)包装ユニットにより少なくとも5kgの質量に計量した多結晶シリコン塊を、少なくとも一つのプラスチックバッグ中に充填することにより包装する工程、を含んでなり、計量ユニット及び包装ユニットが、計量の際及び包装の際に、微粉又は、サイズ8.3mm未満の粒子、又はサイズ3.5mm未満の粒子、又はサイズ1mm未満の粒子を除去できる素子を含んでなり、包装ユニットが、シリコン塊をプラスチックバッグの中にスライドさせる、又は滑り込ませることができるエネルギー吸収部又は貯蔵容器を含んでなり、及びプラスチックバッグが充填された後、プラスチックバッグの内部で発生したガス流が、微粉又は、サイズ1mm未満の粉塵又は粒子、又はサイズ3.5mm未満の粉塵又は粒子、又はサイズ8.3mm未満の粉塵又は粒子をバッグの外に搬送し、次いでこれらを吸引装置で吸引し、包装バッグの充填後、以下の微粉又は粒子、すなわちサイズ区分20〜200mm:微粉画分900ppmw未満;サイズ区分45〜200mm:微粉画分600ppmw未満;サイズ区分90〜200mm:微粉画分500ppmw未満;サイズ区分10〜40mm:サイズ8.3mm未満の粒子が10000ppmw未満の程度に;サイズ区分4〜15mm:サイズ3.5mm未満の粒子が10000ppmw未満の程度に;サイズ区分1〜5mm:サイズ1mm未満の粒子が10000ppmw未満の程度に、包装バッグの中に存在するようにする、製造方法により達成される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、シーメンス方法により堆積させたロッドの粉砕により得た特定サイズ区分のシリコン塊から進行し、続いて分別及び分類を行う。
【0034】
サイズ区分は、シリコン塊の表面上の2点間の最長距離(=最大長さ)として決定される。
塊サイズ0[mm]1〜5
塊サイズ1[mm]4〜15
塊サイズ2[mm]10〜40
【0035】
上記のサイズ区分と同様に、多結晶シリコンの下記の塊サイズへの分類及び分別も同様に行われる。
塊サイズ3[mm]20〜60
塊サイズ4[mm]45〜120
塊サイズ5[mm]90〜200
【0036】
それぞれの場合に、塊画分の少なくとも90質量%は、指定されたサイズ範囲内にある。
【0037】
分別及び分類の後、塊は包装される。その前に、塊は、洗浄工程にかけられる。あるいは、塊は、脱粉塵することもある。
【0038】
シリコン塊を脱粉塵し−米国特許出願公開第2010/0052297A1号に記載されているように−、湿式化学洗浄操作にかけないのが好ましい。圧縮空気又はドライアイスにより脱粉塵するのが好ましい。このようにして、塊からシリコン粉塵を除去することができる。
【0039】
圧縮空気又はドライアイスによる塊の処理は、1〜50バールの圧力で行うべきである。塊の処理は、圧縮空気又はドライアイスを、少なくとも2m/sの流量で吹き付けることにより行うべきである。圧縮空気又はドライアイスによる塊の処理は、0.01〜2000秒間行うべきである。
【0040】
包装する前に、多結晶シリコンは、先ず分配及び秤量する。
【0041】
ポリシリコン塊は、コンベヤーチャネルにより搬送し、少なくとも一つのスクリーンにより粗い及び細かい塊に分離する。塊は、計量天秤により秤量し、目標質量まで秤量し、次いで除去チャネルにより除去され、包装ユニットに搬送される。
【0042】
スクリーンは、穴の開いたプレート、バースクリーン、光空気圧分別装置、又は他の好適な装置でよい。
【0043】
充填ユニットは、充填の前又は際に、ポリシリコンの超微粉粒子及び破片が除去されるように設計する。塊サイズに応じて異なったスクリーンを使用できる。20〜200mmの塊サイズに関して、スクリーンサイズ8mmを有するスクリーンを使用する。これによって微粉を選別することができる。
【0044】
1〜40mmの小さな塊には、好ましくは7mm未満、好ましくは1〜4mmの小さなスクリーンサイズを有するスクリーンを使用することができる。これによって、8.3mm未満、好ましくは9.5mm未満の粒子、又は3.5mm未満、好ましくは3.9mm未満の粒子、又は1mm未満のサイズの粒子を除去することができる。
【0045】
少なくとも一つのスクリーン及び計量天秤は、好ましくはそれらの表面の少なくとも一部の上に低汚染性材料、例えば、硬質金属、を含んでなる。硬質金属とは、焼結した炭化物の硬質金属を意味する。炭化タングステンを基材とする従来の硬質金属、並びに、好ましくは硬質物質として炭化チタン及び窒化チタンを含む硬質金属も存在しており、この場合、結合材相は、ニッケル、コバルト、及びモリブデンを含んでなる。
【0046】
スクリーン及び計量天秤の少なくとも機械的に応力のかかる、摩耗に対して敏感な表面区域は、好ましくは硬質金属又はセラミック/炭化物を含んでなる。少なくとも一つのスクリーンは、好ましくは硬質金属から完全に製造する。
【0047】
スクリーン及び計量天秤は、部分的又は完全に被覆することができる。使用する被覆は、好ましくは、窒化チタン、炭化チタン、窒化アルミニウムチタン、及びDLC(ダイヤモンド状炭素)からなる群から選択された材料である。
【0048】
ポリシリコン塊の分配及び秤量は、塊の製品流を搬送するのに好適なコンベヤーチャネルと、製品流を粗い及び細かい塊に分離するのに好適な少なくとも一つのスクリーンと、粗い塊用の粗い計量チャネルと、細かい塊用の細かい計量チャネルと、計量した材料を測定するための計量天秤と、を含んでなる計量ユニットにより行い、少なくとも一つのスクリーン及び計量天秤は、それらの表面の少なくとも一部の上に硬質金属を含んでなる。
【0049】
そのような計量ユニットは、特定サイズ区分のポリシリコン塊を包装の前に可能な限り正確に計量することができる。
【0050】
製品流を粗い及び細かい部分に分離することにより、ポリシリコンのより正確な計量が可能である。
【0051】
計量ユニットは、好ましくは2個のスクリーン、より好ましくはバースクリーン、を含んでなる。
【0052】
粗い又は比較的大きいポリシリコン塊は、粗い計量チャネルで搬送される。
【0053】
細かい又は比較的小さなポリシリコン塊は、細かい計量チャネルで搬送される。
【0054】
出発材料流中にあるポリシリコン塊のサイズ配分は、とりわけ、先行する粉砕操作によって異なる。粗い及び細かい塊への分割方法並びに粗い及び細かい塊のサイズは、計量及び包装すべき所望の最終製品によって異なる。
【0055】
典型的な塊サイズ配分は、サイズが20から200mm以下の塊を含んでなる。
【0056】
例えば、特定サイズ未満の塊は、スクリーンにより、好ましくはバースクリーンにより、計量ユニットからの除去チャネルと連携して、除去することができる。これによって、非常に特定のサイズ区分の塊だけを計量することができる。
【0057】
コンベヤーチャネル上のポリシリコンの搬送により、やはり好ましくない製品サイズが生じる。これらのサイズは、やはり、例えば、計量天秤における除去操作により除去される。この目的のために、天秤は、オリフィスと、交換可能な除去機構と、除去ユニットとを備えてなる。
【0058】
除去した小さな塊は、やはり下流操作で分類され、計量及び包装されるか、又は別の用途に送られる。
【0059】
計量ユニットは微粉スライドを有することが不可欠である。これは、回転し得るように設計することができる。所望の目標とする製品(塊サイズ配分)により、これを使用して微粉を選別し、微粉計量用に製品流から除去する。
【0060】
二つの計量チャネルを経由するポリシリコンの計量を自動化することができる。
【0061】
計量ユニットは、さらに、シリコン製品流を、調整された回転チャネルにより幾つかの計量及び包装システム間で分割することができ、一種類の出発材料で充填し、計量及び秤量後に、異なった包装機械に搬送される、幾つかの計量システムを組み合わせることができる。
【0062】
計量システムは、好ましくない小さな製品サイズを選別し、次いでそれらを上流にあるプロセス(スクリーニング、分類)に供給する除去機構(スクリーン)を包含する。
【0063】
計量後、塊は、除去チャネルを経由して除去され、包装ユニットに搬送される。
【0064】
包装ユニットは、計量供給装置を含んでなり、それによって塊はプラスチックバッグに充填される。
【0065】
計量供給装置は、好ましくは非金属低汚染材料から製造された自由に吊り下げられたエネルギー吸収部を包含する。プラスチックバッグは、エネルギー吸収部の上に引き寄せられる。この目的には、例えば、関節式ロボットが好適である。多結晶シリコンが導入され、シリコンがプラスチックバッグの中にスライドするように、充填の際にプラスチックバッグが下降する。エネルギー吸収部の存在により、プラスチックバッグはエネルギー吸収部によりシリコンの硬い衝撃から保護されるので、プラスチックバッグの貫通が防止される。同時に、プラスチックバッグの下降により、エネルギー吸収部の中で確実にジャミングが起こらない。プラスチックバッグは、好適なつかみシステムにより下降させるのが好ましい。
【0066】
米国特許出願公開第2010/154357A1号は、エネルギー吸収部の使用をすでに開示している。しかし、そこに記載されている製法では、低粉砕後成分でプラスチックバッグの充填を達成することは不可能であることが分かった。プラスチックバッグの下降は、本発明の成功にとって不可欠である。
【0067】
エネルギー吸収部は、好ましくは漏斗又は中空物体、例えば可動式のフレキシブルチューブの形態をとる。
【0068】
エネルギー吸収部は、織物材料(例えば、Gore−Tex(登録商標)PTFE布地又はポリエステル/ポリアミド布地)、プラスチック(例えば、PE、PP、PA、又はこれらのプラスチックの共重合体)からなる。より好ましくは、エネルギー吸収部は、エラストマー、例えば、PU、天然又は加硫ゴム又はエチレン−ビニルアセテート(EVA)からなり、ショアA硬度が30A〜120A、好ましくは70Aである。
【0069】
エネルギー吸収部を使用しない場合、シリコンを導入するオリフィスを有する貯蔵部容器を用意することができ、その場合、プラスチックバッグが、貯蔵部容器がシリコンで満たされた後、貯蔵部容器の上に引き寄せられ、貯蔵部容器は、シリコンが貯蔵部容器からプラスチックバッグの中にスライドするように回転する。
【0070】
ここで、貯蔵部容器がまずシリコンで充填される。この目的のために、貯蔵部容器は、シリコンを導入する少なくとも一個のオリフィスを有する。貯蔵部容器が満たされた後、プラスチックバッグは、貯蔵部容器の、オリフィスを有する側の上に引き寄せられ、そのオリフィスを通してシリコンが導入される。続いて、シリコンが貯蔵部容器からプラスチックバッグの中にスライドするように、貯蔵部容器はプラスチックバッグとともに回転する。この目的のために、貯蔵部容器は、例えば、上に向かって引き寄せられる。ここでも、シリコンが落ちて貯蔵部容器からプラスチックバッグに通る距離は事実上無視できるので、プラスチックバッグの貫通は信頼性良く回避される。
【0071】
同様に、少なくとも2個のオリフィスを有する貯蔵部容器を使用することも可能であり、その場合、プラスチックバッグは貯蔵部容器の、少なくとも2個のオリフィスの一方を含んでなる片側の上に引き寄せられ、シリコンは、少なくとも2個のオリフィスの二番目を通して貯蔵部容器の中に導入され、貯蔵部容器は、少なくとも充填操作の開始時には、シリコンが、充填の途中で、プラスチックバッグに最初は接触せず、プラスチックバッグが下降したときにのみ、シリコンの、プラスチックバッグの中へのスライドが達成されるように配置される。
【0072】
ここで、プラスチックバッグは、充填操作の開始時にすでに貯蔵部容器の上に引き寄せられている。貯蔵部容器は、この場合、少なくとも2個のオリフィスを有する。シリコンは、一個のオリフィスを通して導入される。シリコンは、第二のオリフィスを通してプラスチックバッグの中にスライドする。貯蔵部容器及びプラスチックバッグは、貯蔵部容器の中に導入されたシリコンが直ちにプラスチックバッグと決して衝突又は接触しないように、例えば傾斜して、配置されている。シリコンは、先ず貯蔵部容器の内壁と接触する。これを行う中で、シリコンは、運動エネルギーを失い、第二オリフィスを通ってプラスチックバッグの中にゆっくりとスライドする。貯蔵部容器は、同様に、一種のエネルギー吸収材として作用する。
【0073】
貯蔵部容器又はエネルギー吸収材は、好ましくは天秤を含んでなる。
【0074】
この天秤は、好ましくは硬質金属又はセラミックもしくは炭化物からなる。
【0075】
好ましくは予め製作されたバッグを、秤量容器の上に引き寄せ、ユニット全体を回転させて充填する。
【0076】
天秤は、好ましくはスクリーンの形態を取り、エネルギー吸収材又は貯蔵部容器の一端に存在する。
【0077】
好ましくは、ジャミングを完全に排除するため、及び除去し易くするために、振動機構を備える。そのような振動機構は、例えば、超音波により得られる。さらに好ましい実施態様は、エネルギー吸収部に移動する天秤を備える。
【0078】
この場合、プラスチックバッグをエネルギー吸収部上に引き寄せ、次いでスクリーンを包含する天秤が開き、次いでフォールアレスターを開き、閉鎖し、次いでバッグを波状の運動及び/又は振動により下降させる。
【0079】
使用するフォールアレスターは、プラスチックバッグ又はエネルギー吸収部に押し付ける装置である。これは、プラスチックバッグ又はエネルギー吸収部の断面を減少させ、次いでそれを調整された様式で解除する。
【0080】
これによって、製品流を調整し、低レベル微粉を発生するだけで、シリコンを予め製作されたバッグの中に充填することができる。
【0081】
充填操作の後、プラスチックバッグは閉じる。
【0082】
しかし、その前に、プラスチックバッグの中でガスの流れを発生させる。この目的のために、例えば、圧縮空気をプラスチックバッグの中に導入する。この吹出し操作のために導入するガスの圧力は、1〜10バール、好ましくは5バールである。圧縮空気は、吹込み管又は他の好適な装置により導入する。シリコンの汚染を排除するために、フィルターを通した空気を導入するのが好ましい。
【0083】
ガス又は空気は、大きな塊に妨害されずに通過するように流れる必要がある。好ましくは、空気は、第一のバッグの側面、バッグ基底部、及び第二のバッグの側面を経由して半円を描くように導入する。ガス又は空気は、粉塵及び小さな粒子をバッグの外に搬送する。バッグの外側、好ましくはバッグ縁部のすぐ上に、粉塵及び粒子を含んでなるガス又は空気流が、吸引装置により吸い出される。塊サイズ区分に応じて、バッグ開口部は変えることができ、これによって吹出し隙間を好適な様式で調節することができる。
【0084】
これによって、サイズが1mm未満の粉塵又は粒子、又はサイズが3.5mm未満、好ましくは3.9mm未満の粉塵又は粒子、もしくはサイズが8.3mm未満、好ましくは9.5mm未満の粉塵又は粒子がバッグ外に搬送される。
【0085】
プラスチックバッグは、好ましくは高純度プラスチックからなる。バッグは、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリプロピレン(PP)もしくは複合材料フィルムを含んでなる。
【0086】
複合材料フィルムは、多層包装フィルムであり、そこからフレキシブル包装が製造される。個々のフィルム層は、典型的には押出又はラミネーションされる。包装は、主として食品工業で使用される。
【0087】
ポリシリコン塊を充填する際、プラスチックバッグは、好ましくはバッグ上の少なくとも2個の素子により保持され、エネルギー吸収部から下方に引き寄せられ、充填操作が終了した後、これらのグリップにより、閉鎖装置、好ましくは溶接装置に送られる。
【0088】
プラスチックバッグは、好ましくは厚さが10〜1000μmである。プラスチックバッグは、例えば、溶接、接着剤結合、縫合又はポジティブロッキングにより閉鎖される。閉鎖は、好ましくは溶接により行う。
【0089】
顧客に輸送する途中のポリシリコンを含む溶接されたプラスチックバッグにおける微粉の再発及び形成を確実になくすために、プラスチックバッグのさらなる安定化包装が好ましい。
【0090】
輸送目的に、プラスチックバッグは、輸送容器、例えば、分離素子又は箱を含んでなる大型包装、中に導入する。ポリシリコンを含むプラスチックバッグの寸法に適合した箱を用意するのが特に有利であることが分かった。さらに、プラスチックバッグは、補強構造又は形成素子を有するフィルムで包み込むべきである。包装を安定化させるために、箱の上側に対して、及び/又は側壁に対して、及び多結晶シリコンを含むプラスチックバッグに対して適合する楔形状素子を備えるのが有利である。これらの手段により、顧客に輸送する途中で塊を確実に固定することができるので、プラスチックバッグの中で新しい、又は追加の微粉の形成を回避することができる。
【実施例】
【0091】
本発明に従い包装したバッグ、及び比較例として、米国特許第7013620B2号に従い包装したバッグ及び手作業で包装したバッグを試験した。それぞれの場合、塊サイズCS0〜CS5の異なったサイズ区分で5kg及び10kgの質量を含むバッグを試験した。
【0092】
塊サイズ3〜5の微粉画分を測定するために、8×8mm平方メッシュのメッシュスクリーン及び振動モーターを使用した。選別された微粉画分は、質量により定量した(検出精度10ppmw)。
【0093】
塊サイズ0〜2の微粉画分を測定するために、市販の粒子測定機器を使用した。例えば、RETSCH Technology GmbHから市販のCamsizer(登録商標)が好適である。この機器は、カメラシステムにより粒子を分析する。ここで、微粒子の比率に使用した測定ユニットは、1%(質量で)変位値である。
【0094】
表1は、塊サイズ0〜2に関する結果を示す。塊サイズ0に関しては、平均値は1.2106mmであった。これは、バッグの内容物(塊及び小さな粒子)の1質量%が、1.21mm以下の粒子径を有することを意味する。つまり、これは、1mm未満のサイズの粒子が、バッグ内容物の1質量%を超えない、すなわちバッグ内容物の1質量%未満が1〜5mmの塊サイズの外側にあることを意味する。
【0095】
先行技術と比較して、これは明らかな改良を意味する。米国特許第7013620B2号に従う包装及び手作業包装の両方共、好ましくない粒子の比率が1質量%を超える。
【0096】
【表1】
【0097】
表2は、塊サイズ3〜5に対する結果を示す。ここでも、本発明は、手作業包装に対する明らかな改良を示す。
【0098】
塊サイズ4の場合、米国特許第7013620B2号による包装の後、6400〜3700ppmwの微粉画分が形成され、平均は5280ppmwである。
【0099】
対照的に、塊サイズ4を手作業で包装した場合、微粉画分の大幅な低下が観察される。1100〜1900ppmwの値が測定され、平均は1460ppmwである。
【0100】
本発明による手順の場合、0〜900ppmwの値、平均値340ppmwが得られた。一つの値は、検出限界10ppmw未満であった。
【0101】
【表2】