(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5714656
(24)【登録日】2015年3月20日
(45)【発行日】2015年5月7日
(54)【発明の名称】活線用具試験装置及び活線用具試験方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/12 20060101AFI20150416BHJP
G01R 31/16 20060101ALI20150416BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20150416BHJP
【FI】
G01R31/12 Z
G01R31/16
H02G1/02 309D
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-132847(P2013-132847)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-7574(P2015-7574A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2014年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】井原 史博
(72)【発明者】
【氏名】水津 忠男
(72)【発明者】
【氏名】白井 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】池田 稔
(72)【発明者】
【氏名】広政 勝利
(72)【発明者】
【氏名】藤原 博之
【審査官】
續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−064179(JP,U)
【文献】
特開2010−256055(JP,A)
【文献】
特開2012−189452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/12
G01R 31/16
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験交流電圧源の正極に接続される正極導電性バーと、
試験交流電圧源の負極に接続される負極導電性バーと、
鉛直上方に延び、前記正極導電性バーを所定の高さで支持する複数の正極用絶縁棒と、
鉛直上方に延び、前記負極導電性バーを所定の高さで支持する複数の負極用絶縁棒と、
前記正極導電性バー及び前記負極導電性バーに対して長手方向に沿って所定の間隔を開けて複数設けられ、長尺の活線用具に接続される接続部材とを備え、
前記接続部材は、前記活線用具を把持するクリップ、及び基端部が前記正極導電性バー及び前記負極導電性バーのいずれかに接続され、先端側の所定部位に前記クリップが接続される鋼線を有し、
前記複数の正極用絶縁棒及び前記複数の負極用絶縁棒は、一列ずつ並べて配置され、
前記正極導電性バー及び前記負極導電性バーは、所定の高さで並べて配置され、
前記活線用具は、前記正極導電性バーの前記クリップと前記負極導電性バーの前記クリップとを前記活線用具の長手方向に沿って交互に把持させることにより、前記正極導電性バー及び前記負極導電性バーに吊り下げられ、
前記試験交流電圧源からの試験交流電圧が前記正極導電性バー及び前記負極導電性バーから前記接続部材を介して前記活線用具に印加されることを特徴とする活線用具試験装置。
【請求項2】
前記クリップは、最大電流値をホールドする機能を備えた電流計を更に有することを特徴とする請求項1記載の活線用具試験装置。
【請求項3】
前記鋼線には、複数の前記クリップが並列に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の活線用具試験装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の活線用具試験装置を用いた活線用具試験方法であって、
複数の前記正極用絶縁棒及び複数の前記負極用絶縁棒を、並列に配置する工程と、
複数の前記正極用絶縁棒の列の上部に前記正極導電性バーを配置する工程と、
複数の前記負極用絶縁棒の列の上部に前記負極導電性バーを配置する工程と、
前記正極導電性バーに電気的に接続されている前記クリップと前記負極導電性バーに電気的に接続されている前記クリップとを交互に前記活線用具に把持させることにより、前記正極導電性バーと前記負極導電性バーとの間に前記活線用具を吊り下げる工程と、
前記正極導電性バーに試験交流電圧源の正極を接続し、前記負極導電性バーに試験交流電圧源の負極を接続して、試験交流電圧源からの電圧を前記正極導電性バー及び前記負極導電性バーから前記接続部材を介して前記活線用具に印加する工程とを備えることを特徴とする活線用具試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活線用具の耐電圧試験に用いる活線用具試験装置及び活線用具試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、活線用具の使用中における感電等の事故を防止するため、労働安全衛生法に基づく定期検査を行っている。ここで、活線用具とは、実際の高電圧設備に直接使用する用具であり、断路器操作用フック棒、検電器、不良がいし検出器及び間隔測定桿等があげられる。また、定期検査としては、外観検査及び耐電圧試験等が行われる。
【0003】
従来、この種の技術としては、特許文献1に記載された技術がある。特許文献1には、ホットスティック等の間接活線工具の持ち手部分における絶縁キャップ(作業用防具)を試料とする耐電圧試験を行うための耐電圧試験装置について記載されている。
【0004】
ところで、耐電圧試験においては、活線用具に対して公称電圧の2倍の試験交流電圧が印加される。また、試験交流電圧が50kVを超える場合に限り、活線用具に複数の正極と負極の電極を交互に配置して試験交流電圧を印加する区間を複数に分割し、それぞれの分割した区間に試験交流電圧を印加している。耐電圧試験において、試験交流電圧を印加する区間を複数に分割する必要がある活線用具としては、例えば、棒状の検電器やアース棒等といった長物の活線用具があげられる。
【0005】
図5は、長物の活線用具150の耐電圧試験方法を示す説明図である。耐電圧試験は、試験用電源装置100と、銅管バー110と、支持台120と、金属鎖130とを用いて実施される。
【0006】
試験用電源装置100は、長物の活線用具150に印加する試験交流電圧を発生する装置である。銅管バー110は、試験用電源装置100の電極に接続される棒状部材であり、試験用電源装置100の正極に接続されるバーと、負極に接続されるバーとの2本が用意されている。また、銅管バー110には、導電性の金属部材からなる複数のフックねじ112が長手方向に沿って等間隔に並ぶようにねじ込み固定されている。支持台120は、2本の銅管バー110、110及び複数の活線用具150を水平方向に支持するものである。金属鎖130は、導電性の金属部材からなる。
【0007】
支持台120は、支持板122と、台座124と、支持棒126とによって構成される。支持板122は、略矩形の絶縁性の板状部材によって構成されており、支持板122の上部には、2本の銅管バー110、110を支持する凹部122aが2箇所形成されており、支持板122の両側部には、活線用具150を支持する複数の凹部122bが、例えば4箇所ずつ形成されている。
【0008】
台座124は、地面に載置する重量物からなり、支持棒126は、台座124に鉛直方向に延びるように立設され、支持板122は、支持棒126の先端部に固定される。
【0009】
活線用具150の耐電圧試験を行う際には、まず、複数の支持台120を、長物の活線用具150の長手方向に沿って一列に並べ、支持板122の上部の凹部122a、122aに2本の銅管バー110を並べて載置し、支持板122の両側部の凹部122bに活線用具150を載置する。
図5に示す例においては、支持板122の両側部に活線用具150が4本ずつ上下方向に並べて載置され、計8本の活線用具150が載置される。
【0010】
次に、金属鎖130の中央部をフックねじ112に掛け、金属鎖130を支持板122の両側に垂下させ、金属鎖130を上方の活線用具150から下方の活線用具150に順に巻き付ける。この巻き付け作業を、正極の銅管バー110から延びる金属鎖130と負極の銅管バー110から延びる金属鎖130とにおいて交互に行う。この際、正極の銅管バー110から延びる金属鎖130の巻付け位置と負極の銅管バー110から延びる金属鎖130の巻付け位置とが等間隔となるように、金属鎖130を銅管バー110に巻き付ける。
【0011】
そして、2本の銅管バー110をそれぞれ試験用電源装置100の電極に接続して、試験交流電圧を銅管バー110及び金属鎖130を介して活線用具150に印加することにより、耐電圧試験が実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−190702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前述した耐電圧試験方法においては、金属鎖130を活線用具150に巻き付ける作業に時間が掛かり、作業時間が長くなるおそれがある。複数の活線用具150が支持板122によって支持されるため、試験用電源装置100の絶縁物表面積が大きくなり、湿度の影響による絶縁低下が発生し易くなり、正確な測定ができないおそれがある。
【0014】
本発明は、このような問題点を解決し、耐電圧試験を円滑に行うことを実現する活線用具試験装置及び活線用具試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備えている。
【0016】
(1) 試験交流電圧源の正極に接続される正極導電性バーと、試験交流電圧源の負極に接続される負極導電性バーと、鉛直上方に延び、前記正極導電性バーを所定の高さで支持する複数の正極用絶縁棒と、鉛直上方に延び、前記負極導電性バーを所定の高さで支持する複数の負極用絶縁棒と、前記正極導電性バー及び前記負極導電性バーに対して長手方向に沿って所定の間隔を開けて複数設けられ、長尺の活線用具に接続される接続部材とを備え、前記接続部材は、前記活線用具を把持するクリップ、及び基端部が前記正極導電性バー及び前記負極導電性バーのいずれかに接続され、先端側の所定部位に前記クリップが接続される鋼線を有し、前記複数の正極用絶縁棒及び前記複数の負極用絶縁棒は、一列ずつ並べて配置され、前記正極導電性バー及び前記負極導電性バーは、所定の高さで並べて配置され、前記活線用具は、前記正極導電性バーの前記クリップと前記負極導電性バーの前記クリップとを前記活線用具の長手方向に沿って交互に把持させることにより、前記正極導電性バー及び前記負極導電性バーに吊り下げられ、前記試験交流電圧源からの試験交流電圧が前記正極導電性バー及び前記負極導電性バーから前記接続部材を介して前記活線用具に印加されることを特徴とする活線用具試験装置。
【0017】
(1)によれば、試験対象の活線用具に、試験交流電圧源の正極に接続された正極導電性バーの複数の接続部材のクリップと、負極に接続された負極導電性バーの複数の接続部材のクリップとを活線用具の長手方向に沿って交互に取り付け、活線用具を2本の導電性バーに吊り下げるという簡単な作業で、試験交流電圧源からの電圧を活線用具に印加可能な状態とすることが可能になる。これにより、耐電圧試験を円滑に行うことが可能になる。
【0018】
(2) (1)において、前記クリップは、最大電流値をホールドする機能を備えた電流計を更に有することを特徴とする活線用具試験装置。
【0019】
(2)によれば、作業員は、各クリップの電流計を視認することによって、異常個所の有無を容易に判断することが可能になる。
【0020】
(3) (1)、(2)において、前記鋼線には、複数の前記クリップが並列に接続されていることを特徴とする活線用具試験装置。
【0021】
(3)によれば、複数の活線用具を導電性バーに吊り下げることが可能になり、一度の試験電圧印加により、複数の活線用具の試験を行うことが可能になる。
【0022】
(4) (1)〜(3)の活線用具試験装置を用いた活線用具試験方法であって、複数の前記正極用絶縁棒及び複数の前記負極用絶縁棒を、並列に配置する工程と、複数の前記正極用絶縁棒の列の上部に前記正極導電性バーを配置する工程と、複数の前記負極用絶縁棒の列の上部に前記負極導電性バーを配置する工程と、前記正極導電性バーに電気的に接続されている前記クリップと前記負極導電性バーに電気的に接続されている前記クリップとを交互に前記活線用具に把持させることにより、前記正極導電性バーと前記負極導電性バーとの間に前記活線用具を吊り下げる工程と、前記正極導電性バーに試験交流電圧源の正極を接続し、前記負極導電性バーに試験交流電圧源の負極を接続して、試験交流電圧源からの電圧を前記正極導電性バー及び前記負極導電性バーから前記接続部材を介して前記活線用具に印加する工程とを備えることを特徴とする活線用具試験方法。
【0023】
(4)によれば、(1)と同様に、耐電圧試験を円滑に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、耐電圧試験を円滑に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態における活線用具試験装置1の構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態における活線用具試験装置1の他の使用形態を示す正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態における活線用具試験装置1の他の使用形態を示す正面図である。
【
図5】従来の活線用具試験装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態における活線用具試験装置1の構成を示す斜視図である。活線用具試験装置1は、長物の活線用具5の耐電圧試験を行う際に用いる装置であり、試験交流電圧源に相当する試験用電源装置10と、銅管バー20と、フックねじ22と、絶縁棒30と、接続部材40とを備えている。
【0027】
試験用電源装置10は、長物の活線用具5に印加する試験交流電圧を発生する装置である。銅管バー20は、試験用電源装置10の電極に電気的に接続される棒状部材であり、試験用電源装置10の正極に接続されるバーと、負極に接続されるバーとの2本の銅管バー20が用いられる。このように、試験用電源装置10の正極に接続される銅管バー20が正極導電性バーに相当し、試験用電源装置10の負極に接続される銅管バー20が負極導電性バーに相当する。銅管バー20には、導電性の金属部材からなる複数のフックねじ22が長手方向に沿って等間隔に並ぶようにねじ込み固定されている。
【0028】
絶縁棒30は、試験用電源装置10の電極に電気的に接続される銅管バー20を支持するものであり、台座32と、絶縁部材からなる支持棒34とによって構成される。台座32は、地面に載置する重量物からなり、支持棒34は、台座32に鉛直方向に延びるように立設され、支持棒34の先端部は銅管バー20が載置可能な形状、例えば、U字型に形成されている。複数の絶縁棒30は、直線状に配置され、複数の絶縁棒30の先端部に銅管バー20が載置される。これにより、銅管バー20は、地上から離れた高い位置で絶縁棒30によって支持される。このように、試験用電源装置10の正極に接続される銅管バー20を支持する複数の絶縁棒30が正極用絶縁棒に相当し、試験用電源装置10の負極に接続される銅管バー20を支持する複数の絶縁棒30が負極用絶縁棒に相当する。
【0029】
接続部材40は、活線用具5を銅管バー20に吊り下げるとともに、銅管バー20と電気的に接続し、活線用具5に試験交流電圧を印加する電極となる。
【0030】
図2は接続部材40の構成を示す説明図である。接続部材40は、複数のクリップ42と、鋼線に相当するIV鋼線44と、フック46とによって構成されている。
【0031】
クリップ42は、一対のクリップ片42aと、付勢バネ42bと、電流計42cとを備えている。一対のクリップ片42aはそれぞれ導電性の金属部材からなり、中央部が回動軸42dによって連結されている。一対のクリップ片42aの先端部は半円形状に形成されており、先端部が閉じた状態において円形状に形成されている。この円形の内径は、活線用具5の外径と略同じである。一対のクリップ片42aの基端側には付勢バネ42bが設けられており、通常状態において、付勢バネ42bの付勢によって一対のクリップ片42aの先端部が閉じた状態となっている。また、一対のクリップ片42aの基端部を閉じるように動作させた場合に、先端部が開放されて活線用具5への取り付けが可能な状態となる。
【0032】
また、クリップ42における片方のクリップ片42aの基端部には、電流計42cが設けられている。この電流計42cは、最大値ホールド機能、すなわち電流計42cが検知した最大の電流値を表示部に表示する機能を備えている。
【0033】
IV鋼線44は、支持棒34(
図1参照)の長さよりも若干短い、導電性を有する金属線である。また、IV鋼線44には絶縁カバーが被覆されている。このため、IV鋼線44同士が接触しても短絡することはない。IV鋼線44の基端には、フック46が固定されており、先端側には、複数のクリップ42が並列に連なるように固定されている。本実施形態によれば、IV鋼線44に4つのクリップ42が固定されている。より具体的には、IV鋼線44は、3箇所で分岐線44a、44b、44cが延びており、これら分岐線44a、44b、44cの先端、及びIV鋼線44の先端に、クリップ42における片方のクリップ片42aの基端部が固定されている。ここで、IV鋼線44と電流計42cと片方のクリップ片42aとは直列回路を形成するように接続されている。このため、電流計42cには、IV鋼線44から片方のクリップ片42aに流れる電流の最大値が表示される。
【0034】
次に、本実施形態における活線用具試験装置1を用いた活線用具5の耐電圧試験の手順について説明する。
【0035】
まず、正極となる銅管バー20の支持する複数の絶縁棒30と、負極となる銅管バー20の支持する複数の絶縁棒30とを直線状に並べて、2列の絶縁棒30の列を形成する。本実施形態によれば、3本の絶縁棒30を2列に並べている。なお、1列当たりの絶縁棒30の本数は、活線用具5の長さに応じて適宜設定する。両端に配置された絶縁棒30、30の間隔は活線用具5の長さ程度に設定する。
【0036】
次に、2列の絶縁棒30の先端部にそれぞれ銅管バー20を載置する。この時、正極になる銅管バー20と負極になる銅管バー20とは、地上から離れた所定の高さで平行に並べられる。更に、2列の絶縁棒30にそれぞれ支持される銅管バー20、20を側面視した場合に、2本の銅管バー20のフックねじ22の位置が一致するように、銅管バー20の水平位置を調整する。
【0037】
次に、銅管バー20に取り付けられているフックねじ22に、IV鋼線44のフック46を引っ掛けることにより、IV鋼線44を介して4つのクリップ42を銅管バー20に吊り下げる。具体的には、正極となる銅管バー20における一端側のフックねじ22から数えて偶数番のフックねじ22にフック46を引っ掛ける。また、負極となる銅管バー20における一端側のフックねじ22から数えて奇数番のフックねじ22にフック46を引っ掛ける。
【0038】
次に、クリップ42に活線用具5を把持させる。この時、活線用具5に対して一端側から長手方向に他端側に向かって順番に、正極となる銅管バー20から延びるIV鋼線44に接続された最上部のクリップ42と、負極となる銅管バー20から延びるIV鋼線44に接続された最上部のクリップ42とを交互に、クリップ42を活線用具5に取り付ける。同様に、下位のクリップ42も活線用具5に取り付ける。これにより、
図1に示すように、一本の活線用具5が複数のクリップ42によって把持され、正極となる銅管バー20と負極となる銅管バー20の間に4本の活線用具5が接続部材40によって吊された状態となる。
【0039】
なお、4本の活線用具5が接続部材40によって吊された状態においては、4本の活線用具5は、上下方向に所定の間隔を開けた状態で保持されており、活線用具5が互いに接触することはない。
【0040】
そして、2列の銅管バー20における正極となる銅管バー20に試験用電源装置10の正極を接続し、負極となる銅管バー20に試験用電源装置10の負極を接続して、試験用電源装置10からの電圧を銅管バー20及び接続部材40を介して活線用具5に印加する。活線用具5に試験交流電圧を印加した後、作業員が、電流計42cに表示される値を視認することによって、異常個所の有無を判断する。
【0041】
なお、上述した手順は一例であって、
図1に示すように、絶縁棒30に2本の銅管バー20を支持させ、これら2本の銅管バー20、20に接続部材40によって活線用具5を吊り下げる状態にするまでの手順は、他の手順であってもよい。例えば、2本の銅管バー20への接続部材40の取り付けと、活線用具5へのクリップ42の取り付けとを地上で行い、最後に、2本の銅管バー20、20を絶縁棒30の先端部に載せてもよい。
【0042】
また、接続部材40においては、活線用具5の径が異なる場合でも対応できるように、IV鋼線44に対してクリップ42を交換自在に構成してもよい。あるいは、クリップ42の種類が異なる複数種類の接続部材40を用意してもよい。
【0043】
また、
図1に示すように、銅管バー20、20に複数の活線用具5を吊り下げる以外でも、例えば、絶縁棒30を3列に配置し、3列の絶縁棒30上にそれぞれ銅管バー20を載置し、
図4に示すように、隣合う銅管バー20、20の間に複数の活線用具5を吊り下げる。そして、例えば、中央の銅管バー20に試験用電源装置10の正極を接続し、両隣りの銅管バー20、20に試験用電源装置10の負極を接続することにより、より多くの活線用具5の耐電圧試験を一度の電圧印加によって行うことが可能になる。
【0044】
また、活線用具5が短尺であれは、2列の絶縁棒30の列幅を活線用具5の長さに設定し、
図5に示すように、活線用具5を、銅管バー20、20及び絶縁棒30に対して垂直方向に向けて、銅管バー20、20に吊り下げられた接続部材40に把持させる。これにより、複数の短尺の活線用具5の耐電圧試験を一度の電圧印加によって行うことが可能になる。このように、本実施形態の活線用具試験装置1によれば、活線用具5が短尺であっても長尺であっても耐電圧試験に使用することが可能になる。
【0045】
以上、説明したように構成された本実施形態によれば、耐電圧試験対象の活線用具5に、試験用電源装置10の正極に接続される銅管バー20の複数の接続部材40のクリップ42と、負極に接続される銅管バー20の複数の接続部材40のクリップ42とを、活線用具5の長手方向に沿って交互に取り付け、活線用具5を2本の銅管バー20、20に吊り下げるという簡単な作業で、試験用電源装置10からの電圧を活線用具5に印加可能な状態とすることが可能になる。これにより、耐電圧試験を円滑に行うことが可能になる。
【0046】
また本実施形態によれば、クリップ42が、最大電流値をホールドする機能を備えた電流計42cを有することにより、作業員が、各クリップの電流計を視認することによって、異常個所の有無を容易に判断することが可能になる。
【0047】
また本実施形態によれば、IV鋼線44に、複数のクリップ42が並列に接続されていることにより、複数の活線用具5を銅管バー20、20に吊り下げることが可能になり、一度の試験電圧印加により、複数の活線用具の試験を行うことが可能になる。
【0048】
また本実施形態によれば、
図5に示す支持板122のような板状の部材を、複数の活線用具5の支持に用いておらず、活線用具5を銅管バー20、20に吊り下げているため、上下に隣合う活線用具5、5間の絶縁性が維持されるため、正確な電流測定ができるようになる。
【符号の説明】
【0049】
1 活線用具試験装置
5 活線用具
10 試験用電源装置
20 銅管バー
22 フックねじ
30 絶縁棒
32 台座
34 支持棒
40 接続部材
42 クリップ
42a クリップ片
42b 付勢バネ
42c 電流計
44 銅管バー
44 IV鋼線
44a 分岐線
44b 分岐線
44c 分岐線
46 フック
48 電流計